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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 6501-6600

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 6501-6600

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NUCLEAR ASSAULT - Game Over - Radiation Sickness ★★★ (2007-10-08 18:15:51)

高速回転するリフと、硬質に疾走するリズムの上に乗っかる
切迫感を煽るVo、そして正統派テイストの感じられるGソロと、
本作の美点が詰め込まれたかのような名曲。


NUCLEAR ASSAULT ★★ (2007-10-06 23:24:00)

個人的には、ジョン・コネリーの金属的なVoよりも、
ダン・リルカの歪みまくったBよりも、グレン・エヴァンスの
ドカドカと豪快なドラミングこそが一番の肝だと思っているので、
そういう意味では文句なく楽しめたライブでした。
(帰宅した後、久し振りにC.I.A.のCDを引っ張り出して聴いてしまった程に)


SLAYER - Hell Awaits ★★ (2007-10-06 22:09:00)

VENOMやJUDAS PRIEST、IRON MAIDENといったバンドからの影響を巧みに消化吸収、自らの血肉へと変え、
SLAYERならではのスラッシュ・メタル・サウンドを構築するための重要な足掛かりとなった、'85年発表の2ndアルバム。
規格外のアグレッションを誇りながらも、まだ正統派へヴィ・メタル・テイストを色濃く残していた
1st『SHOW NO MERCY』に比べ、殺傷力抜群のリフの禍々しさ、ハイテンションで畳み掛けて来るトム・アラヤのVo、
狂い咲くツインG、そしていよいよ本領を発揮し始めたデイヴ・ロンバートの壮絶なドラミングに牽引される
切り裂くような疾走感と、スラッシュ・メタル度を飛躍的に高めた本作からは、若気の至り的なチープさや
コケ脅し感が完全に払拭され、「闇の帝王」としての貫禄すら感じ取れるようになった。
何よりその成果は、収録曲のクオリティに如実に反映されていて、特に、本作の作風を代表するかのような
邪悪で荘厳なOPチューン①(CRADLE OF FILTHもカヴァーしていましたね)や、狂気を感じさせるトムの
ボーカリゼイションと、猟奇的な歌詞が心胆寒からしめる②、本編のハイライトと言うべき、禍々しくもクールな
リフをフィーチュアした⑤の破壊的なまでのカッコ良さは、スラッシャー・・・いやさ、メタル・ファンなら必聴かと。
このバンドにしては異例の大作主義(やや冗長な部分もあるか)、疾走感はそのままに、複雑なリフ/リズム・チェンジが
織り込まれた曲展開、北欧ブラック・メタル勢に多大な影響を与えたと思しきイーヴル且つ荘厳な雰囲気etc・・・
といった要素を兼ね備え、ある意味、SLAYERの初期ブラック・メタル路線の集大成的作品となった、とも言える名作。


KREATOR - Renewal ★★ (2007-10-04 23:48:00)

90年代のKREATOR迷走期のファースト・ステップとなってしまった、'92年発表の6thアルバム。(でもこの後に初来日)
リリース当時、トム・モリスの手による生々しさが強調されたサウンド・プロダクションや、激情の昂ぶりを
薄れさせ、フラット気味な歌唱に終始するミレ・ペトロッツァのVo、ダイナミックな展開を排し
シンプルにまとめられた楽曲、そして作品全体を圧し包む、流行を意識したかのような陰鬱な雰囲気が
「らしくない」と賛否両論を巻き起こした本作。個人的にも初めて耳にした時は、これまでのような
爆発的なテンションの高さがダウンした事と、ヨーロッパのバンドならではのドラマティシズムが大幅に
失われてしまった事に落胆を覚えたクチなのだが、ところが、現在の感覚で改めて本作を聴き直してみると、
これが案外悪くない。というか、実に真っ当なスラッシュ・メタル・アルバムに聴こえてしまうのだから、
時の流れってヤツは恐ろしいというか、偉大というか・・・。
特に、スパスパと切り裂くように、カミソリの如く疾走する高速スラッシュ・チューン①④⑦⑧の有無を言わせぬ
カッコ良さは流石だし、90年代型へヴィネス重視の楽曲にしても、サビで奏でられる勇壮なテーマ・メロディが
印象的な③や、ラストを締める⑨なんかは、十分に魅力的な仕上がり。
但し、全体的にテンションが抑え気味なのと、メロディのフックの弱さとが相俟って、大きな山場が作れないまま、
淡々と最後まで流れて行ってしまう感があるのも事実。ぶっちゃけ、地味なのだ。
別に何を置いてもゲットしなければならない程ではないが、「問題作」というレッテルを気にして
スルーするには、惜しいクオリティを備えた(ように思う)1枚かなと。


TANKARD - The Morning After ★★ (2007-10-02 23:55:00)

多くのファンが、TANKARDの名前を聞いて想起するスラッシュ・サウンドが遂に完成をみた、'88年発表の3rdアルバム。
初期作品からはそこはかとなく感じられた、ヨーロピアンな湿り気が綺麗サッパリに消え失せ、
カラッと乾いて明るく弾けるサウンドは、「メソメソ、ウジウジしてる暇はねぇ!」とばかりに、
ひたすらポジティブ&アグレッシブ。ライブで大盛り上がりする様が目に浮かぶようです。
正直、ここまで躁状態の続くアルバムを1枚聴き通すのはかなり辛いのだが、このバンドの長所は、
突き抜けて陽気であっても、決してユルくはならない点。安定したリズム隊が叩き出す、
タイト且つハイスピードな疾走感は痛快極まりないし、ジャキジャキと歯切れ良く刻まれるGリフが
カッコイイしで、個人的な好みは兎も角、この完成度の高さは流石だ。
何より、陽性よりも攻撃性が勝るアルバム・タイトル・トラック⑦や、その勢いを受け継ぐ⑧、浮かれ気分の中で
シリアスさが一際光る⑩、そしてジャーマン・ハードコアの大御所SPERMBIRDSのカヴァー⑥といった楽曲は十分に魅力的だしね。
TANKARDの作風は、確かに血中バカ濃度が高めなのだが、彼らが素晴しいのは、そのバカを言い訳にして
曲作りや演奏に手抜きをしないところ。そんじょそこらのバカとは違う、筋金入りのバカを舐めてはいけない(褒め言葉)。


C.I.A - Attitude - C.i.a. ★★ (2007-09-30 13:12:36)

アルバムのOPを飾る、バンドのテーマ・ソング。
スピーディに疾走するリズムに乗って、「C.I.A.!C.I.A.!」と
グレンがハイテンションでシャウトしまくる、
キャッチーというよりも分かり易く単純なサビがカッコイイ。


C.I.A - Attitude - Insecurity ★★ (2007-09-30 13:08:50)

地響きを立てて疾走する、2ndアルバムのハイライト・チューン。
全編疾走しまくりの2ndの中でも、そのカッコ良さは
頭1つ抜きん出ている印象を受けます。


C.I.A - Attitude ★★ (2007-09-30 12:54:00)

先日、NUCLEAR ASSAULTの一員として久し振りの来日を果たし、変わらぬ豪快なドラミングを披露した
グレン・エヴァンスのサイド・プロジェクトC.I.A.が、'92年に発表した2ndアルバム。
1st『IN THE RED』は国内盤も出てたけど、インディーズ・リリースの今回は残念ながら日本未発売。
とは言え、出来の方は1stに勝るとも劣らぬクオリティで、グレンはこれまで同様、作詞・作曲、
プロデュースから、全楽器パートまでこなす八面六臂の活躍っぷり。
内容に関しては、基本的には1stの路線を踏襲した、NA的な緊迫感よりも「勢い」や「ノリの良さ」が前面に押し出された
スラッシュ・メタル・アルバムに仕上がっているものの、正統派へヴィ・メタリックな楽曲や、
バラードを演ってみたりと、曲調がかなりバラエティに富んでいた前作に比べると、今回は小細工抜きの直球勝負。
例えば“N.A.S.A."のような凝ったアレンジの楽曲が姿を消し、どの曲もシンプル且つストレートに
まとめられている辺りが、'92年という時代を感じさせる。
ともあれ、OPを飾るに相応しい走りっぷりを聴かせてくれる、バンドのテーマ・ソング①を筆頭に、アルバム全編に溢れる流行とは
無縁の「豪快な疾走感」は買いだし、特に、地響きを立てて突進しまくる⑤は個人的にイチオシの高速スラッシュ・チューン。
また、リードGとして本作に参加している、デイヴィッド・ディピエトロの弾きまくりのGプレイも
グレンのDsとタメを張る存在感を、本編中で発揮していてグー。
NA的な要素は余り感じられない作品ながら、スラッシャーには、1stよりも本作の方がお薦め。か?


ANNIHILATOR ★★ (2007-09-30 00:12:00)

1回ならともかく、複数回の機材トラブルは、明らかに盛り上がりに水を差しちゃいましたよね・・・。
(これはトリを務めたNUCLEAR ASSAULTにも言えたことですが)
考えてみれば、初来日の時はサイドGが病気で急遽シングルG編成でのライブだったし、2度目はジェフが
Voを取ってた時期だったので、初期のメロディアスな楽曲が歌いこなせずメロメロだったし、
3度目は仕事の都合で見に行けなかったしで、今度こそ完璧な編成でのANNIHILATORが楽しめる!と
期待していただけに、少々残念な結果に終わってしまいました。
とはいえ、相変わらずジェフ・ウォーターズ先生の正確無比なGプレイは光っていましたし、
バンドのパフォーマンス自体は非常に熱の篭ったモノで文句なし。
出来れば、今度は単独で来て欲しいなぁ、と。


WRATHCHILD AMERICA - Climbin' the Walls ★★ (2007-09-29 11:16:00)

イギリスの同名バンドとの混同を避けるため、そこにAMERICAを付け加えてWRATHCHILD AMERICAと改名した
NY出身の4人組スラッシュ・メタル・バンドが、米メジャーのATLANTICから'89年に発表した1stアルバム。
音楽性を拡散させた2nd『3-D』は、スラッシュ・メタルのみならず、クラシック、ジャズ、ブルーズと、様々な要素を
取り込んだ個性的なサウンドが、非常に印象に残る作品だったが、このデビュー作もユニークさでは負けていない。
歌えるVoを生かした、KIX辺りを思わせる(実際、交流があったらしい)ロックンロール・テイストあり(①③)、
ツインGが大活躍する欧州風味満点のへヴィ・メタリックな楽曲あり(④⑥⑦⑨)、WRATHCHILD AMERICA流バラードと
言うべきメロウなナンバー(⑧)あり・・・と、サウンドのバラエティ豊かさは、既にこの頃から健在。
特に、ロックンロール調の軽快なノリと、正統派テイスト漂うインスト・パートのミスマッチな組み合わせが
良い味を出してる①や、NWOBHMチックな盛り上がりを聴かせる④、IRON MAIDENばりにラストを
ドラマチックに締める⑨といった楽曲は、かなり強力な仕上がりの名曲。
勿論、デビュー作という事でスラッシュ・メタル色も(2ndに比べると)ハッキリと打ち出されていて、
中でも、本編随一のアグレッションを発散する②や、①⑥といった楽曲における爆発的な疾走感は、
彼らがスラッシュ・メタル・バンドである事を端的に表しているのではないかな、と。
バリバリのスラッシュ・メタル路線を期待すると肩透かしを食らうかもしれないが、このクオリティは十分に聴く価値あり。
焦点が絞られている分だけ、次作より取っ付き易く感じられるしね。


STONE - Colours ★★ (2007-09-24 22:11:00)

バイオリンやチェロを導入して、じっくりと聴かせるミドル・チューン③を収録するなど、
ますますメロディに北欧的な叙情性が感じられるようになってきた、'90年発表の3rdアルバム。
ツインGの片翼にメンバー・チェンジが起きているが、基本的にSTONEは、メイン・ソングライターのヤンネ(Vo、B)と
ローペ(G)が健在ならばそれでOKなので、大勢には全く影響なし。今回もまた前3作同様、ヒンヤリとした冷気を纏って、
ザクザクと刻まれるエッジーなGリフと、硬質且つタイトな疾走感が小気味良いスラッシュ・メタル・アルバムに仕上がっている。
少々地味めな内容だった2nd『NO ANAESTHESIA!』に比べ、本作はタイトに疾走するOPナンバー①から、
ラストを締めるLED ZEPPELINのカヴァー⑨まで、収録曲は何れも粒揃い。前作のような10分を越える大作は姿を消したものの、
その分、無駄なく絞り込まれたランニング・タイムの中に、しっかりと緩急の組み込まれた楽曲の数々は、
これまで以上のダイナミズムとドラマ性の高さを誇る。
特に、メロディに磨きのかかったツインGが強力なフックになっているのがポイントで、シャープな疾走感と、
流麗に切り込んで来るGソロの組み合わせが絶妙な①②⑦や、次作『EMOTIONAL PLAYGROUND』で全面開花する、
北欧の荒涼とした大地を想起させるインスト・パートを備えた⑥、そして劇的なスラッシュ・チューン⑧といった楽曲は絶品かと。
併せて、これまでどうにもノッペリと淡白な印象が拭い切れなかった、アルバム全体の構成にも、メリハリが生まれている点も素晴しい。
着実な成長の跡が伺える1枚。


GOTTHARD ★★ (2007-09-19 22:24:00)

久し振りの来日公演、非常に楽しめる内容でした。
名曲を沢山持ってるバンドゆえ、ショウに中弛みがないのは勿論のこと、
ヨーロッパで大観衆相手にライブを演ってるだけあって、メンバーの
パフォーマンスも素晴しく(特にスティーヴ・リーの強靭な喉には惚れ惚れ)、
また、今回は過去2回の来日公演に比べても客入りが断トツに良かった事もあって、
これまでで最高の盛り上がりっぷりを記録したんじゃないかな、と。
会場は死ぬほど暑かったですが。(スティーヴ曰く「まるでサウナ」)


STONE - No Anaesthesia! ★★ (2007-09-16 12:21:00)

購買意欲を著しく減退させるジャケット・アートワークが目印な(苦笑)、'88年発表の2ndアルバム。
基本的には1st『STONE』の路線を踏襲した、オーソドックスなパワー/スラッシュ・メタル・サウンドを
聴かせてくれるアルバムだが、メロディにそこはかとなく哀感が漂い始め、Gソロにもフックが出て来いて、何より
7分以上に及ぶ⑤や、10分を越える大作のアルバム・タイトル・トラック⑦を演るようになったのが、本作最大のトピックか。
ただ、大作といっても劇的な印象は然程なく、どこか淡々と進んで行くのがこのバンドらしいところ。
これは作品全体の流れにも言える事で、悪く言えば淡白で起伏に乏しいという事になるが、
それこそが、このバンド独特の味わいである「寒々しい雰囲気」を演出していると言えなくもない・・・か?
ただ、今回は強力なキメ曲に欠けることもあり、やや地味な内容なのが残念。
尚、プロデュースは前作に引き続き、あのミッコ・カーミラが担当。質の高いサウンド・プロダクションを提供してくれています。


ARTILLERY - Fear of Tomorrow ★★ (2007-09-15 17:57:00)

デンマーク出身の5人組スラッシュ・メタル・バンドが、'85年に発表した1stアルバム。
スラッシュ・メタル史に燦然と輝く(俺の中で)名盤『BY INHERITANCE』の余りの完成度の高さにノックアウトされ、
「昔の作品もチェックせねば!」と遡って聴いてみたら、これがダークでイーヴルな雰囲気に包まれた
直球勝負のスラッシュ・メタル・アルバムで、思わず肩透かしを食らった気分になってしまった1枚でもある。
ささくれ立って刻まれるリフは非常に破壊的だし、へしゃげた声質のVoは、メロディアスな歌い上げよりもシャウト・スタイルを多用。
当然の如く『BY~』をスペシャルな存在へと高めていた「東洋風味のメロディ」が聴かれる場面も殆どなく、
ラフなサウンド・プロダクションも、彼らがスラッシュ・メタル・バンドである事を強く主張している。
猛然と疾走するスピード・パートを基本としつつも、起伏に富んだ曲展開や、炸裂するようなテンション高めのGソロは、
なるほど、確かにSLAYER的だ。(特に『HELL AWAITS』の頃の)
とは言え、SLAYERに比べればこちらの方がグッとメロディアスだし、Voもトム・アラヤよりは「歌う」場面が多い。
アルバムの随所で噴出する、ヨーロッパ的な湿り気を帯びた捻りのあるメロディにも、後のアルバムで全面開花する、
このバンド独特の個性が既に表れていて、特に、鋭利なリフとダイナミックな曲展開を備えた⑦は、
アルバムのハイライト・チューン的な名曲と言える(かも)。
初めて聴いた時は微妙だったが、今ではお気に入りの作品。


STONE - Stone ★★ (2007-09-15 01:11:00)

ヘルシンキにて結成され、世界に通用するフィンランド初の本格派パワー/スラッシュ・メタル・バンドとして
同国内では英雄的存在であり、日本では現CHILDREN OF BODOMのローペ・ラトヴァラが嘗て
在籍していたバンドとして知られる4人組が、'88年に発表した1stアルバム。
まるで深雪を踏み締めるかのように、ザクザクと刻まれるGリフ、小気味良く疾走するタイト且つ硬質なリズム隊、
ぶっきら棒な声質のVoが歌う寒々としたメロディ、そして2本のGが奏でる流麗なGソロから生み出され、
アルバムを包み込むヒンヤリと冷たい感触というSTONE独特の味わいは、既にこのデビュー作の時点で確認できる。
ただ、クリスタルな叙情性とか、ネオクラシカルなメロディといった、如何にも北欧的な要素は薄めで、
作品全体としては、パワフルで荒々しい、オーソドックスなパワー/スラッシュ・メタル風味が濃厚な仕上がり。
それでも楽曲は十分にカッコ良く、バンドのテーマ曲である威勢の良い①、ツインGと勇ましいサビの展開が印象的な②、
広島に投下された原爆について歌った⑥、緩急の効いた⑧、EUROPEファン激怒必至の“FINAL COUNT DOWN"のカヴァー⑨を
イントロ代わりに、本編最速のスピードでラストを突っ走る⑩等、そのクオリティは、デビュー作にして立派に世界水準。
個人的に、STONEの作品では4th『EMOTHONAL PLAYGROUND』に次いで、本作がお気に入り。


DéTENTE - Recognize No Authority - Shattered Illusions ★★ (2007-09-13 21:46:39)

劇的なイントロから疾走を開始する、
正統派パワー・メタリックなリフにガツンと掴まれる名曲。
個人的にはアルバムのハイライト・チューン。


DéTENTE - Recognize No Authority - Losers ★★ (2007-09-13 21:44:31)

アルバムのOPをパワフル且つスピーディに飾る
高速スラッシュ・チューン。
噛み付くように歌うドーン・クロスビー姐さんの歌唱に
圧倒されます。


DéTENTE - Recognize No Authority ★★ (2007-09-13 21:40:00)

西のHOLY MOSES、東のDETENTEと評された・・・かどうかは知らないが、ザビーネ・クラッセンばりの
強烈なシャウトを響かせる女傑Vo、ドーン・クロスビー(R.I.P.)を擁するLA出身の
5人組スラッシュ・メタル・バンドが、'86年にROADRUNNER RECORDSから発表した唯一のフル・アルバム。
実際、音楽性もHOLY MOSESと共通点が多く(バンド同士付き合いもあったようで、特にザビーネとドーンの両姐御は親しかったとか)、
猛々しく無骨なリフ、怒涛の如く押し寄せるリズム隊、そして凶悪な存在感を放つ女性Voといった要素から
生み出されるサウンドの迫力は、そのHOLY MOSESに匹敵せんとする勢い。
ただ、本家に比べるとドーン姐さんのVoは、音程無視の喚き型ながらも女性ならではの「艶」を感じさせるし、楽曲の方も
ダイナミズムよりストレートな疾走感重視の仕上がりで、この辺のシンプルで乾いたノリは、如何にもアメリカのバンド的と言えるかも。
疾走感を売りにするにはDsのキレがイマイチで、名手ウリ・カッシュも在籍していたHOLY MOSESと比べると、
この点で明らかに聴き劣りがしてしまうとか、折角のツインGを余り有効活用していないのも勿体無いとか、
色々気になる点があるとは言え、パワフル且つスピーディにアルバムの幕開けを飾る①や、パワー・メタリックな
リフが疾走する⑥等、スラッシャーならガッツポーズ物のカッコ良さを誇る名曲/佳曲も収録されているので、
取り敢えず、ARCH ENEMYやHOLY MOSES、最近ならDECADENCEといった、ブルータルな歌唱スタイルの
女性Voを擁するバンドがイケルくちの人なら、本作も要チェック。


NUCLEAR ASSAULT - Third World Genocide ★★ (2007-09-12 21:28:00)

ラスト・アルバムとなった5th『SOMETHING WICKED』から実に12年ぶりとなる'05年に発表された、再結成第2弾アルバム
(第1弾はライブ盤『ALIVE AGAIN』)。ちなみにメンバーは、お馴染みダン・リルカ(B)、ジョン・コネリー(Vo)、
グレン・エヴァンス(Ds)に、新加入のエリック・バーク(G)という布陣で、『ALIVE~』には
その名前を連ねていたオリジナルGのアンソニー・ブラマンテは、今回は不参加となっている。
個人的にNUCLEAR ASSAULTに関しては、初期のハードコアがかったスラッシュ・メタル路線も、後期のメロディ重視路線も
どちらも質が高くて大好きなのだけど、本作で披露されているサウンドは、そのどちらでもないヘヴィネス重視路線。
立ち塞がるモノ全てを薙ぎ払うかの如きヘヴィ・リフ、戦車の進撃を思わせる重厚なリズム、不穏さを撒き散らすVoとが
一丸となって押し出してくるOPナンバー①に代表されるように、かつての作品のような突き抜けたテンションの高さは抑え気味で、
寧ろ、内側に向かって圧縮されたエネルギーが生み出す、異様な緊張感がアルバム全体を支配している印象。
勿論、彼らの作品である以上、高速スラッシュ・チューンはしっかりと収録されているし
(というか⑥以降はひたすら走りっ放しだ)、特に③は、その中でも頭1つ抜き出た名曲のように思うのだが、
それでも、そうしたスピード・チューン以上に強烈に印象に残るのは、前述の①や、新メンバーのGが
殆ど主役といって働きっぷりを披露する、メロディアスな⑥(②でのGプレイも素晴しい)といった楽曲だったりする。
『GAME OVER』や『SURVIVE』のようなスラッシュ・メタル・アルバムを期待するとスカされるかもしれないが、
ともあれ、NUCLEAR ASSAULTの名の下に発表するに相応しいクオリティを備えた作品なのは確か。


NUCLEAR ASSAULT - Game Over / The Plague ★★ (2007-09-11 21:40:00)

1st『GAME OVER』リリース翌年の'86年に発表され、現在はその1stとカップリング仕様で発売されている5曲入りEP。
アルバム全編をひたすらスピーディに飛ばしまくっていた『GAME~』に比べ、今回は意図的に曲調の幅を広げにかかっていて、
本編の幕開けを飾る①からしてミドル・ハイだし、他にも、アジりまくるVo、ルーズな感じのインスト・パート、
そしてスラッシーな疾走感と様々な表情をみせる②、アグレッシブだがちゃんと歌っているVoが印象的な③、
NUCLEAR ASSAULT流バラードと言うべきメロウな④を収録する等、EPならではの冒険心(遊び心?)を感じさせる仕上がり。
とは言え、ラストを締める⑤が激烈な高速スラッシュ・チューン——それも正統派へヴィ・メタリックなGソロを
フィーチュアした文句なしの名曲——なもんだから、聴き終えた後の満腹感は十分。
また、各収録曲にはちゃんとNUCLEAR ASSAULT印が刻印されているので、実験作的な散漫な印象もなし。良く出来てます。


ARTILLERY ★★ (2007-09-10 05:45:00)

いやいや、現在廃盤の3rd『BY INHERITANCE』には\3000~\4000ぐらいの
プレミア価格が付けられているので
4枚で\8000ならかなり良心的じゃないかと。(しかもリマスター仕様)
ただ、できればバラ売りして欲しいですよねぇ。


NUCLEAR ASSAULT - Handle With Care ★★ (2007-09-08 16:55:00)

アメリカだけで15万枚以上を売り上げ、NUCLEAR ASSAULT史上最大のヒット作となった、
自他共に認める彼らの代表作である、'89年発表の3rdアルバム。
地球に「取り扱い注意」のスタンプが押されている、如何にも社会派スラッシャーらしい
ブラック・ユーモアに満ちたアルバム・ジャケットも印象的な本作。当然、中身の方も非常に充実していて、
多くのファンは、本編の幕開けを飾る激烈なキラー・チューン(中間部での一瞬のブレイク後、
Gソロが炸裂するパートが鳥肌モノ)の①を聴いただけで、このアルバムのクオリティを確信した筈。
また、お馴染みランディ・バーンズが手掛けたサウンド・プロダクションも、前作『SURVIVE』から
著しい向上を遂げていて、中でも、ドカドカと鳴りまくる豪快なグレン・エヴァンスのDsと、
歪みきった音色でのた打ち回るダン・リルカのBから生み出される、硬質で前のめりなリズムの迫力は凄まじく、
その攻撃的なビートに引っ張られる形で突進する、劇的なイントロでグッと掴まれる③や、挑みかかるような⑤といった、
ブチ切れ高速スラッシュ・チューンのカッコ良さと言ったら、アルバムのハイライトと断言しても良いぐらい。
アンソニー・ブラマンテのGソロがやや地味なのと、後半に核となるキメ曲がないのが気になるが
(正統派ヘヴィ・メタリックな⑫とかは良い曲なんだけどね)、最早、クロスーオーバー・スラッシュの大御所として
貫禄すら感じさせるスラッシュ・メタル・アルバムに仕上がっているという点には異論ない。


NUCLEAR ASSAULT - Game Over ★★★ (2007-09-06 21:16:00)

メタルとハードコア/パンクのクロスオーバー現象を推し進めた先駆者的存在であり、数多登場したその手のバンドの中でも、抜きん出たハイテンションなカッコ良さを誇るNYの4人組NUCLEAR ASSAULT、'86年発表の1stフル・アルバム。
個人的にクロスーバー・スラッシュというのは余り得意とするところではないのだけど、彼らが全く別格なのは、やはりその突出したメタル度数の高さゆえ。1分にも満たない秒殺ナンバーの数々や、ダン・リルカ(B)とグレン・エヴァンス(Ds)のリズム隊が叩き出す、硬質且つ性急なビート等、NAの全アルバム中、最もハードコア色が濃厚な本作なれど、それを遥かに凌ぐインパクトを放つのが、高速で刻まれる猛々しいリフ、緩急のしっかり組み込まれた曲展開、アグレッシブなだけでなく、ちゃんとメロディもなぞって歌うジョン・コネリーのVoといった、メタリックな要素の数々。
特に、メロディアスなイントロとジョンの歌唱が印象的なスピード・チューン⑦、アコギによる導入部を経て、荒々しく盛り上がっていく7分以上に及ぶラスト・ナンバー⑬は、ヘヴィ・メタル的な様式美すら感じさせる名曲。勿論、のっけからオラオラ状態で畳み掛けて来る②、緩急の効いた曲展開がガッツポーズ物の④、勇壮な歌メロに痺れる⑨のような高速スラッシュ・チューンのカッコ良さは言うに及ばず。そして極めつけが、本編のハイライトたる⑤。高速回転するリフ/ハイテンションなVo/劇的なGソロが一塊となって怒涛の如く疾走する、本作の魅力を凝縮したかのような超名曲です。
間違いなくクロスオーバー・スラッシュを語る上で、外す事の出来ない歴史的名盤。


HOLY MOSES - Master of Disaster ★★ (2007-09-05 21:54:00)

7th『NO MATTER WHAT'S THE CAUSE』を最後に、長らく休眠状態にあったHOLY MOSESの復活の狼煙となった、'01年発表の5曲入りEP。
翌年の復活第1弾アルバム『DISORDER OF THE ORDER』ではプロデュースと楽曲提供のみ。それ以降の作品には
完全不参加ということでファンを落胆させた元リーダーのアンディ・クラッセン(G)なれど、取り敢えず、
このEPでは作曲・プロデュースのみならず、Voを除く全てのパートを担当する等、八面六臂の大活躍。
個人的に何より賞賛したいのは、全くブランクを感じさせない、相変わらずハイレベルな曲作りの巧さで、
活動末期にはハードコア色を強めていたHOLY MOSESだが、復活を経て初心に立ち返ったのか、本作では再び己の立ち位置を
「スラッシュ・メタル・バンド」に定め、全5曲、往年のファンの期待に見事に応える景気の良い突っ走りっぷりを魅せてくれる。
特に、スピーディな①に始まり「お、いいね」と思わせておいて、更にアクセルを踏み込んで来る②③のカッコ良さ、
分けてもアンディのスリリングなGソロが楽曲のスピード感を倍化させる③は、往年の名曲群と比較しても何ら遜色ない出来じゃないかと。
勿論、相変わらず衰えを知らない、ザビーネ・クラッセン姐さんの野獣の如き咆哮も強烈極まりなし。
この曲は↑の方が仰る通り『DISORDER~』にもボーナス・トラックとして収録されているが、
その他の収録曲も押し並べてクオリティは高いので、スラッシャーはこのEPも是非買いましょう。
尚、現在は更にMOTORHEADや、トム・エンジェルリッパーとザビーネのデュエットが聴けるHenry Valentino & Uschiのカヴァー等、
未発表曲7曲を追加収録して、殆どアルバム並のボリュームとなったお得なリイシュー盤も発売されているので、そちらがお薦め。


SODOM - Agent Orange ★★ (2007-09-04 21:33:00)

雑誌で読んだ「暗くて速い」という評価から、(勝手に)北欧ネオクラシカルっぽい音を想像して、
ついウッカリ1st『OBSESSED BY CRUELTY』を聴いて打ちのめされて以来、名前を見聞きするのも嫌だった
SODOMを見直す切っ掛けとなった、彼らが'89年に発表した3rdアルバム。
デビュー当時の、劣悪な音質/極悪な演奏/凶悪なルックスと三拍子揃ったVENOM直系のブラック・メタル路線から
着実に進歩を重ね、本作では完全に本格派スラッシュ・メタル路線へとシフト。整然としたクリアなサウンド・プロダクション、
メリハリの効いた構成、メンバーの演奏能力の向上と、それによるインスト・パートの充実といった要素を得て、
タイト且つシャープに突っ走る引き締まった楽曲のカッコ良さ/気持ち良さは、これまでの彼らの作品のそれを大きく上回っている。
特に、SODOM屈指の名曲であり、現在でもライブでプレイされ続けている代表曲①⑦はファン人気の高い名曲として知られているが、
個人的なイチオシは②。激烈な曲調の中から不意に顔を出す美しいアコギ・ソロに「SODOMやるなぁ!」と唸らされること請け合い。
また、この曲に限らず、今回はGのフランク・ブラックファイアが非常に良い仕事をしていて、②以外にも、①や⑥といった楽曲で
メロディックなソロを披露。本作を最後にSODOMを脱退する彼からバンド(とファン)への置き土産といったところか。
SODOMの名をオーバー・グラウンドへと浮上させるヒット作となったのも納得の、ジャーマン・スラッシュ・メタル史に残る名盤です。


BATHORY - Blood on Ice ★★ (2007-09-01 23:48:00)

'95年にレコーディングされた当時の最新音源に、(ファンの要望に応える形で)'88年~'89年に
レコーディングされていた未発表音源を加えて、'96年にリリースされた9thアルバム。
新旧の楽曲が入り混じっていていも、不自然さやクオリティのバラつきといったマイマス面が一切感じられない辺りは、
流石クォーソン先生。ただ、残念ながら音の方は余り良くない・・・いや、音が悪いというよりも、やたらクォーソンのVoが
前に出たミックスになっているせいで(ちなみに、今回はアルバム全編をクリーンVoで歌っています)、
彼の歌唱の弱点であるピッチの不安定さが、必要以上に悪目立ちしているような・・・。
ともあれ、その点さえ除けば、これまでのBATHORYのアルバム同様、本作もまた強力極まりない出来。
『HAMMERHEART』や『TWILIGHT OF THE GODS』を彷彿とさせるヴァイキング・メタル路線の楽曲の数々は、
壮大で勇壮且つドラマチックなだけでなく、これまで濃厚に作品全体を覆っていた「絶望的なまでの暗さ」や
「病的な雰囲気」といった負の要素が薄れ、非常に聴き易い仕上がり。(別に明るくなったわけではないが)
アップテンポの楽曲あり、バラードありと、曲調にも広がりが見られて、雄々しいメロディが印象的な⑦に
代表されるように、普遍的な魅力を備えた正統派へヴィ・メタルへの接近が感じられる作風。
これなら、堅気のメタル・ファンでも問題なく楽しむ事が出来るんじゃなかろうか。
特に、『INTO GLORY RIDE』の頃のMANOWARを彷彿とさせる劇的なヘヴィ・メタル・チューン⑤や、重々しく劇的に盛り上がっていく
曲展開と、スケールの大きさを感じさせるサビメロが感動を呼ぶ、本編のハイライト・チューン足る⑧は必聴の名曲かと。
奈落の底へと引き摺り込まれるような「負」のエネルギーが薄れてしまった事に不満を感じるファンもいるだろうが、
個人的には、これはこれで十分に魅力的な作品のように思う。


BATHORY - Requiem ★★ (2007-08-30 22:00:00)

壮大でドラマチックなヴァイキング・メタル路線が行き着く所まで行ってしまった感のあった
6th『TWILIGHT OF THE GODS』(BURRN!!のレビューで1点を献上され「自縛霊も逃げ出す密教のBGM」と評された)から一転、
ソリッドでスピーディな高速スラッシュ・チューンが、息つく暇なく次々に繰り出されるという、
スロウで重厚な『TWILIGHT~』とは対照的な作風に仕上がった、'94年発表の7thアルバム。
例えるなら、良好なサウンド・プロダクションで1st『BATHORY』を作り直してみた感じ?
ここ数作続いたメランコリックな大作主義は影を潜め、コンパクト且つストレートにまとめられた楽曲には、
メロディのメの字も見当たらない。Gソロは初期の頃を彷彿とさせる突き刺さるようなアグレッションを発散させ、
前作ではアルバム全編をクリーンVoで歌っていたクォーソンも、凶悪な濁声スタイルへと回帰を果たしている。
それにしても、スラッシュ・メタル冬の時代真っ只中の'94年に、この前のめりな突っ走りっぷりは爽快極まりない。
(デスでもブラックでもなく、スラッシュ・メタルならではの疾走感が堪能できるってのがポイント)
特に、①②⑤⑥といった楽曲の半端ないカッコ良さは、名曲“BLOOD FIRE DEATH"や、名盤『HAMMERHEART』の
方向性を愛するメロディ重視派(俺です)をも黙らせるクオリティ。
初期の頃を思い起こさせる内容の割りに、“WAR"“SADIST"級のキメ曲の不在が惜しまれるものの、
収録曲の平均クオリティの高さと、疾走感の痛快さゆえ、大した傷にはなっていない。


VENDETTA - Go and Live... Stay and Die ★★ (2007-08-29 22:40:00)

ジャーマン・スラッシュ・メタルの隠れた名盤として、中古盤市場においてかなりの高額で取引されていた
VENDETTAの'87年発表の1stアルバムが、ボーナス・トラック1曲を追加収録して漸くリマスター再発。いやぁ、目出度い。
ある程度スピードは抑え目にして、「聴かせる」ことを意識した感じの作風だった2nd『BRAIN DAMAGE』に比べると、
この1stでは、リフ/リズム・チェンジを多用して畳み掛けて来るダイナミックな曲展開は『BRAIN~』同様ながら、
デビュー作という事で、より初期衝動に忠実に、荒々しくスピーディに突っ走っているとの印象が強い。
特に、冒頭からガツンとカマされる①②③の三連打は、クランチの効いたGリフ、スラッシーな疾走感と起伏に富んだ曲展開、
そして華麗にしてメロディアスなツインGといった要素がギュッと詰め込まれた、本作の魅力を端的に物語る名曲揃い。
また、叙情的なイントロで幕を開ける④、劇的な導入部で一気に引き込まれる⑥なんかも、
VENDETTA流スラッシュ・メタルの真髄が堪能できる楽曲じゃないかな、と。
その他にも、後半を猛然と駆け抜けていく高速スラッシュ・チューン、リフのカッコ良さは本編一とも言える⑦や、
ドラマチックなツインGが炸裂するラスト・ナンバー⑧等、収録曲の平均クオリティは総じて高く、まさに捨て曲なしの完成度。
「幻の名盤」というヤツは、評判ばかりが一人歩きして、実際に聴いてみるとガックリなんてパターンが
決して少なくないのだが、本作に関してはそれは当てはまらない。必聴。


VENDETTA - Hate ★★ (2007-08-28 21:30:00)

確かな実力に裏打ちされた、ダイナミックなスラッシュ・サウンドが好評を博し、80年代に
2枚のスタジオ・アルバムを残して解散したジャーマン・スラッシャーVENDETTAが復活。2nd『BRAIN DAMAGE』から
ほぼ20年ぶりとなる'07年に発表した、再結成第1弾アルバム(通算3枚目)がこれ。
ブックレットに見る、メンバーのしょっぱ過ぎるルックスと、オリジナル・メンバーがBのヘイナー以外、
誰も残っていないラインナップに不安を覚えるが、実際に聴いて見ると、嘗ての中心メンバー・ダックス(G)が裏方として、
ほぼ全曲の作曲作業に関わっているだけあって、楽曲にはスラッシュ・メタルならではの疾走感が健在だし、
①を筆頭に、往年を思い起こさせるメロディアスなツインGが炸裂する場面も随所にあるしで、
ある程度はメタル・シーンの空気(とファンの期待)を読んだ内容に仕上がっているんじゃないかな、と。
但し、へヴィに歪められたGサウンドや、グルーヴが強調されたリズム、シンプルにまとめられドラマ性が減少した曲展開、
そしてバキバキにビルドアップされたサウンド・プロダクション等、少なからず現代的な要素も取り入れられていて、
これを「意欲的」と捉えるか、「余計な事を」と捉えるかで、かなり評価が割れる作品なのも確か。
(ツインVo体制もなくなっているが、これは元々あまり効果的とは言えなかったからなぁ)
まぁ、その辺は各自が自身の耳で判断してみて下さい。ということで。


XENTRIX - Scourge ★★ (2007-08-27 21:20:00)

3rd『KIN』を最後にROAD RUNNNER RECORDSからドロップ・アウト。新たに英インディーズの
HEAVY METAL RECORDSとディールを結び、'96年に発表した4thアルバム。
スピード・チューンが殆どなく、ミッド・テンポの楽曲中心の構成は前作同様ながら、決定的に違うのは
(素っ気無いジャケット・デザインからも大体察しの付く通り)本作が明らかにPANTERAと、
所謂「90年代型モダン・へヴィネス」の影響下にあるという点。叙情性が大幅に後退し、
リフの重々しさや、Bの存在が強調されたマッチョな音作りも、そうした印象に拍車を掛けている。
但し、影響を随所に取り入れつつも、楽曲そのものまではPANTERA化していないのがこのアルバムの救いで、徐々に速度を上げていく②や、
ツインGが活躍する④⑥、アップテンポの⑦といった曲は単純にカッコイイし、ラストをドラマチックに締める⑩のような、
前作の路線を受け継ぐ楽曲もちゃんと収録されているので、聴き終えた後の印象はそう悪いものではない。
とは言え、これまでの作品で聴かれたような「泣きメロ/哀メロ」が影を潜め、よりへヴィネスの演出に重きを置いた作風は、
とにかく地味。繰り返し聴き込めば段々と味も出て来るのだけど、その前に本作を見限ってしまうファンも
多いんじゃないかなぁ、と。これを最後に解散したのもむべなるかな。


GRAND PRIX - Samurai ★★ (2007-08-23 22:32:00)

後にマイケル・シェンカーとM.S.G(マッコーリー・シェンカー・グループ)を結成し、現在では何とSURVIVORの
フロントマンの座に就任しているロビン・マッコーリーが、その昔在籍していた事で知られる、
イギリス出身のKeyを含む5人組ハードロック・バンドが、'83年に発表した3rdアルバム。
NWOBHMのカテゴリーに属するバンドで、しかもアルバム・タイトルが『SAMURAI』と来た日にゃ(鎧武者の描かれたジャケットもイカス)
どんな無骨で荒々しいヘヴィ・メタル・サウンドが炸裂する作品なのかと思いきや、本作に収められた楽曲は
時にBOSTONや後期KANSASを思わせる、ポップでキャッチー、且つ爽やかなハードロック・チューンばかり也。
豊かなVoハーモニーとKeyを全面的にフィーチュアした洗練されたサウンド・スタイルは、NWOBHMというよりは
アメリカン・ロック(プログレ・ハード~産業ロック)寄りで、特に、掴みにもってこいのキャッチーな①や、
スウィートで胸キュンもののバラード④、アップテンポで爽快な⑤は、本作の美味しい部分がギュッと凝縮された名曲。
また、ラストを締めるアルバム・タイトル・トラックの⑨(「元寇の乱」について歌っている)も、
ヨーロッパ的な構築美が前面に押し出された、他の収録曲とはやや毛色の異なる、壮大でドラマチックなナンバーでお薦め。
M.S.G時代は、のっぺりと無表情な歌声が批判を集めたロビンのVoも、ここでは違和感なく馴染んでいて、
寧ろ、アクの薄い声質でVoハーモニーの効果を一層高めている感じが無きにしも非ず。
NWOBHMのメロウ・サイドを代表する名盤の1つではないかな、と。


UNITED - BEAST DOMINATES '92 ★★ (2007-08-22 22:17:00)

'86年発表の7インチ・シングルをリ・レコーディング。新たに『ウルトラQ』のテーマ曲と、BAY CITY ROLLERSの代表曲
“YESTERDAY'S HERO"のカヴァー2曲を追加収録して、'92年に発表された6曲入りEP。生憎と7インチ・シングル盤の方は
聴いた事がないのだけど、どうやら、歌詞や楽曲のアレンジが結構変更されているとのこと。
初期UNITEDは、バンド名からも察しの付く通り、JUDAS PRIEST型のパワー・メタルを演っていたわけだが、
この時点でのサウンド・スタイルは(未だJPからの影響を随所に残しつつも)、既に完全なスラッシュ・メタルのそれ。
シンプルなミドル・チューンなれど、ライブの定番曲として絶大な人気を誇る①に始まり、そこから間髪入れずに繋がっていく
高速スラッシュ・チューンの②、ベース主導で突っ走る小気味の良い③、そして飛翔感漂うツイン・リードを
フィーチュアした、UNITED屈指の名曲④と、キャッチーで歯切れの良いリフ&リズム・ワークや、
カラッと爽快でスポーティな作風(能天気ではない)は、『AMONG THE LIVING』の頃のANTHRAXに通じるモノがあるような・・・。
但し、Gソロ等に顕著な細やかなメロディの使い方は、間違いなく日本のバンドならでは(というかUNITEDならでは)の味わい。
新録のカヴァー2曲も、ラフだが遊び心満載で、バンドがノリノリでレコーディングしている姿が
目に浮かぶような楽しい仕上がりで最高です。
1stや2ndアルバム同様、現在ではバンドのメジャー・デビューに伴い廃盤なのだが、探し出して聴く価値は大いにある1枚。
また、①③④はインディーズ時代のベスト盤『BEST RARE TRACKS FROM UNDERGROUND』にも収録されている。


ZNOWHITE - All Hail to Thee / Kick 'em When They're Down ★★ (2007-08-18 21:41:00)

'82年、イリノイ州シカゴにて、イアン(G)、スパークス(Ds)、ニッキー(B)のタフォーヤ3兄弟によって結成され、
そこにイアンの高校時代のクラスメイトで、バンドのマネージャーだったニコル・リーがVoとして加わる事でラインナップが完成。
バンド名をSNOWHITEからZNOWHITEに改めた後、ENIGMA RECORDSとの契約を得て、'84年に発表したデビュー作がこれ。
彼らの最高傑作、2nd『ACT OF GOD』('88年)と聴き比べると、明らかに二コル・リー嬢の声が幼い!
ドスの効いた迫力という点では物足りなく感じられるかもしれないけど、聴いていると思わず
ホクホク顔になってしまう溌剌とした歌唱は、これはこれで非常に魅力的なので良し。
また、楽曲の方もまだスラッシュ・メタル色は薄く、展開もヘッタクレもないまま、シンプル且つストレートに疾走しまくる様は、
スラッシュ・メタルと言うよりも、NWOBHMから影響を受けた、スピーディでコアなヘヴィ・メタルといった趣きで、
後の諸作品においてスラッシャーの涙腺を決壊させまくったイアン必殺の「泣き」のGも
ここでは余り披露される事はなく、より荒々しく、へヴィ・メタリックなプレイに専念しているとの印象が強い。
それでも、④を筆頭にリフのカッコ良さは既に半端ないし、二コル嬢が歌う憂いとフックに富んだ歌メロも
(『ACT~』ほどではないにしろ)かなり良いしで、この作品全体のクオリティの高さは流石だ。
じっくりとドラマチックに盛り上がっていく⑥のような、後の作品への布石とも言えるような楽曲もちゃんと収録されているしね。
最近、'85年発表のEP『KICK EM WHEN THEY'RE DOWN』と、ライブEP『LIVE SUCIDE』との
お得なカップリング仕様のデジタル・リマスター盤が再発された。


UNIVERSE - Universe - Rollin' On ★★★ (2007-08-18 21:34:09)

UNIVERSEと言えば、やはりこの曲でしょう。
心地良い疾走感に、憂いに満ちたメロディを熱唱するVo、
静と動を演出するKey、そして心の琴線を震わせる哀メロを紡ぎ出すG!
北欧メタル・ブームを代表する名曲の1つ。


SINNER - Fast Decision - Magic ★★★ (2007-08-18 21:27:52)

イントロの“PRELUDE Nr.7"を聴いただけで出来の良さを確信する、
2ndアルバムのハイライト・チューンにして、SINNER屈指の名曲。
哀愁に満ちたメロディを紡ぎ出すツインGが
よくTHIN LIZZYと比較されるSINNERだけど、
個人的には、この頃の彼らはTHIN LIZZYよりも
PRAYING MANTISに近い印象を受けます。


UNIVERSE - Universe ★★ (2007-08-16 21:42:00)

ツインGにKey奏者を擁するスウェーデン出身の6人組が、バンド名をタイトルに冠して'85年に発表した、唯一のフル・アルバム。
第1次北欧メタル・ブームを代表する楽曲の1つとして知られる、劇的な名曲①で幕を開ける本作が素晴しいのは、
その①以外の楽曲も粒揃いであるという点。ブームの中で生まれ、ブームの終焉と共に消えていったB級バンドには、
「アルバムの中で1、2曲だけ良くて後は平凡」というパターンが少なくなかったわけだが、このバンドは別格。
中~後期RAINBOWから多大なインスピレーションを得たと思しきリフに、心地良く疾走するリズム・セクション、
繊細な表現力に長け、マイケル・シェンカーばりに泣きまくるG、ヒンヤリとした哀感と透明感を演出するKey、
そして声質こそ野暮ったいものの、確かな歌唱力で憂いに満ちたメロディを歌うVoといった要素に彩られた楽曲の数々は、
NWOBHMを通過した荒々しさと、北欧のバンドならではの叙情性が同居した、「これぞ北欧メタルの真髄!」と、
思わずガッツポーズ取りたくなるカッコ良さを誇る。
起承転結がバッチリ決まった様式美ナンバー①以外にも、メランコリックなメロディを伴って勢いよく疾走する②、
個人的には①に匹敵するアルバムのハイライト・チューンと認識している名曲③、猛烈に泣きまくるバラード④、
ダークな緊迫感が漂うスピーディな⑤、憂いを帯びた歌メロとKeyの良い仕事っぷりが光る⑥・・・と、端から挙げていくと
全曲について語れてしまうぐらい、名曲/佳曲がズラリ。要するに捨て曲なしの名盤てこってすな。
弱点といえば冴えない音質ぐらいのもので、発表当時、国内盤が発売されなかったという事実が
俄かには信じられない1枚。初期イングヴェイなんかが好きな貴方はマスト・バイ。


SINNER - Fast Decision ★★ (2007-08-15 20:59:00)

マット・シナー率いるドイツ出身のベテラン・ハード・ロック・バンドが'83年に発表した2ndアルバム。
アルバムといっても、当時の所属レコード会社がバンドに無断で、勝手にデモ音源をリリースしてしまった
というのが真相らしく、マット・シナーはこのアルバムを、SINNERの正式な作品とは認めたくないのだとか。
そんなわけで、90年代半ばにSINNER再評価の機運が高まり、彼らの過去のカタログが一斉に再発された際も
そのリストから外されていた本作は、実際、落書きみたいなジャケット・アートワークは酷いわ、サウンド・プロダクションも
ショボイわで、確かにレーベルのやっつけ仕事感がありありと伝わって来る仕上がりなので、マットの腹立ちも分からなくはない。
ただ、そうしたマイナス面を差し引いて尚、ここに収められた楽曲の数々が放つ強い輝きが弱まる事はない。それこそ、
嘗てBURRN!!の「80年代の隠れた名盤特集」にて、現編集長が本作の名をその筆頭に挙げていたのも納得の完成度の高さだ。
適度なポップさとキャッチーさを兼ね備えたリフ、仄かな哀愁を湛えたマット・シナーのヘタウマVo、
THIN LIZZYとPRAYING MANTISを足して2で割った感じの美しいハーモニー・プレイを聴かせる華麗なるツインG・・・といった、
所謂「SINNER節」は既にこの時点で確立されていて、特に、爽やかな曲調と哀愁を帯びたサビメロの対比が秀逸な①に始まり、
じっくりと聴かせるミッド・テンポの②、序曲的なインスト③を経て、本編のハイライト・チューンにして
SINNER屈指の名曲④、ツインGが泣きまくるバラード⑤へと展開していく、アルバム前半の流れは最高に素晴しい。
事情が事情だけに正規盤の入手は困難ながら(プライベート盤は時々出回っている様子見かける)、
マット・シナー・ファンなら是非とも一度は聴いてみて欲しい逸品。


GRAVE DIGGER - War Games ★★ (2007-08-14 21:16:00)

「反戦」をテーマにしたコンセプト・アルバム的な側面を持つ作品のせいか、硬派で無骨なパワー・メタルという
基本的な音楽性はそのままに、前2作に比べると、幾分シリアスな仕上がりとなった'86年発表の3rdアルバム。
ちゃんとプロのエンジニアの手を借りてレコーディングされているだけあって、重厚さを得たサウンド・プロダクションの
向上も著しい本作。(2nd『WITCH HUNTER』と2in1仕様の国内盤を通して聴けば、音質の差は歴然)
楽曲のアレンジやメンバーのパフォーマンスもグッと洗練され、なかなか垢抜けた雰囲気が漂う・・・飽くまで前2作比でだけど。
特に、劇的さを演出するピアノの調べをフィーチュアしたバラード⑤はその代表格で、これまでの
「良い曲なんだけど力み過ぎていて笑っちゃう」という過剰な空回りっぷりが抜け、表現力を身に付けた
クリス・ボルテンダールのメリハリの効いた歌唱が、感動すら感じさせる名曲。その他にも、
これぞGRAVE DIGGER節!といった感じのアグレッションを発散する①②⑦、隠し味的に使われているKeyが
非常に効果を上げているスピード・チューン③、JUDAS PRIESTを思わせる④、泣きのGを配してドラマチックに盛り上がる⑥、
凝ったアレンジで聴かせるミドル・チューン⑧等、収録された楽曲の平均クオリティは押し並べて高め。
個人的に、GRAVE DIGGERの初期作品3枚の中では1st『HEAVY METAL BREAKDOWN』が一番好きなんだけど、
最も高い完成度を誇っているのは本作のように思う。
尚、こんなに素晴しい作品を作りながらも、レコード会社の横槍で迷走を始めたバンドは、
この後バンド名をDIGGERに改めて、ポップ方向に大きく舵を切った4th『STRONGER THAN EVER』を発表するも、
結局解散の道を辿る事になる。(で、後に再結成を果たして現在に至ると)


GRAVE DIGGER - Witch Hunter ★★ (2007-08-09 22:34:00)

1st『HEAVY METAL BREAKDOWN』発表後にBが脱退してしまった為、その抜けた穴を中心メンバーの
クリス・ボルテンダール(Vo)とピーター・マッソン(G)で埋めつつレコーディング、'85年に発表された2ndアルバム。
GRAVE DIGGERを代表する名曲の1つでもある、アルバム・タイトル・トラック①で幕を開ける本作は、
相変わらず突き抜けたテンションで飛ばしまくるクリスのVo、荒っぽく猛々しいGリフ、力任せに押し込んでくるリズム隊・・・と、
基本的には1stの作風を順当に受け継いだ、無骨で剛直なパワー・メタル・アルバムながら、
スラッシュ・メタル的なガムシャラな疾走感が若干後退。代わって、要所にリズム・チェンジを仕掛ける等、
ダイナミズムの強調された楽曲の数々は、これまでより格段の練り込みが伺える仕上がり。
特に、前述のアルバム・タイトル・トラック①や、ドラマチックなツインGが聴かれる③、
前作収録の“YESTERDAY"を思わせるパワー・バラード④は、その効果がテキメンに表れた、このアルバムのハイライト的存在。
勿論、その一方で⑤のようなゴリ押しのスピード・チューンもちゃんと収録されているので安心されたし。
後半に「これ」といったキメ曲が見当たらないせいか、聴き進むにつれてテンションが下降線を描いてしまう点が難だが、
ともあれ、1stが気に入ったファンなら本作も必聴の1枚なのは間違いない。
尚、かつてビクターから発売された国内盤は、3rd『WAR GAME』とのお得なカップリング仕様だった(現在も入手可能かどうかは不明)


GRAVE DIGGER - Heavy Metal Breakdown ★★ (2007-08-08 23:20:00)

結成以来残る唯一のオリジナル・メンバーにして、リーダーのクリス・ボルテンダール(Vo)が中心となり、
現在も第一線で活動を続けるドイツの古参パワー・メタル・バンドが、当時はまだ新興のインディ・レーベルに
過ぎなかったNOISE RECORDSから、'84年に発表した1stアルバム。
ここ日本でも高く評価された'93年の再結成第1弾アルバム『THE REAPER』以降は、比較的、整合性の感じられる
メロディック・パワー・メタル路線を追求している彼らだが、このデビュー作の頃は、タイトルからして奮ってる
名曲①②や、ダークなミドル・チューン③といった楽曲に代表されるように、ウド・ダークシュナイダーを
更にラウドにしたかのようなクリスのVoといい、猛々しく刻まれるササクレ立ったリフといい、雪崩を打って押し寄せる
リズム隊といい、とにかく野卑でアグレッシブ。「整合性なんざクソ食らえ!」とばかりに突撃しまくるそのサウンドは、
かなりスラッシュ・メタル寄りだ。特に本編ラストを締める⑨なんかは、もろそっち系のスピード・ナンバー。
とは言え、どんなにダーティでも、ちゃんとメロディを追いかけるクリスのVoやGリフ、そして「無骨で強面のオッサンが
精一杯優しくキメてみました」的なメロウさが微笑ましいバラード④を聴けば分かる通り、彼らの根っこにあるのは飽くまで
ヘヴィ/パワー・メタル。再結成以降のアルバムでGRAVE DIGGERを知ったファンが聴いても、十分満足できる内容なのは間違いない。


DEICIDE - Once Upon the Cross ★★ (2007-08-06 23:35:00)

北欧ツアー中にライブ会場を爆破されたり、過激派団体から殺人予告を受けたりと、苛烈なアンチ・クライスト道を突き進む
グレン・ベントン率いるDEICIDEが'96年に発表した、ファンの多くが初期の代表作としてその名を挙げる、衝撃の3rdアルバム。
「イエス・キリストの人体解剖図」という過激でショッキングなジャケット・アートワークが
物議を醸したことで知られる本作だが、内容の方も負けじと過激さがパワーアップ。
ズッシリと手応えの感じられる、スコット・バーンズ/MORRI SOUNDスタジオ謹製の充実したサウンド・プロダクションのもと、
より太く、より重く、重厚さを増したリフ、高速ブラストからヘヴィ・パートまで緩急自在のリズム隊、
テンションの高さはそのままに、ややメロディアスになったホフマン兄弟によるツインG、そして地獄の底から
沸き上がるかのようなグレンの邪悪なデス声Voとが一丸となって、ダイナミックに畳み掛けて来る楽曲の数々は圧巻。
全9曲で30分弱というタイトな収録時間も、密度の濃い内容が腹にもたれない程度の長さで丁度良い。
無慈悲にしてブルータル、怒りと憎しみに彩られたDEICIDE流デス・メタル・サウンドを完璧に確立した、
ある意味、このバンドにとってのSLAYERの『REIGN IN BOLLD』的な作品と言える・・・かも。
まぁ正直に言えば、1st『DEICIDE』の頃のスラッシュ・メタル的な要素が感じられるサウンドの方が好みなんだけど、
それでも、激烈極まりない名曲①④(文字通りの「キラー・チューン」だ)の迫力には、ただただ平伏するのみ。


BATHORY - Twilight of the Gods ★★ (2007-08-04 01:06:00)

ファンの間では「BURRN!!で1点を獲得した作品」として知られる、'91年発表の6thアルバム。
1点を付けられるなんてどんなに酷い作品なんだ?と思われるかもしれないが、実際は、前作『HAMMERHEART』の作風を
順当に受け継いだ、暗く、重く、壮大にしてドラマチックなヴァイキング・メタル・チューンがアルバム全編に渡って敷き詰められた、
非常にハイクオリティな内容の逸品。(音質も向上しているし、幻想的なジャケット・アートワークも美しい)
敢えてこれまでと異なる部分を挙げるなら、クォーソンが濁声を封印し、全編をノーマル・ボイスで歌うようになった点で、
線が細く、ピッチも甘いその歌唱はお世辞にも上手いとは言えないながらも、北欧にはこの手のシンガーがゴロゴロ居るので
いちいち目くじらを立てる程のものではないし、聴き慣れるとこれが結構味わい深くて、楽曲の雰囲気を良く盛り立てているので無問題。
但し、深淵へと引き摺り込まれて行くような錯覚に陥る陰鬱なリフが延々と刻まれ、そこにクォーソンの淡々としたVoと
悲壮感に満ちたGソロ、そして呪文の如き厳粛なコーラスが乗っかる、30分近くに及ぶ大作組曲①で
いきなり本編の幕を開ける極端な作風ゆえ、かなり聴く人を選ぶ、敷居の高い作品なのは確か。
(上で別の方が指摘されてる通り、BURRN!!のレビューも(点数はともかく)内容自体はそれほど的外れな事が書かれているわけではない)
なので、BATHORY初体験の人には、4th『BLOOD,FIRE,DEATH』や、5th『HAMMERHEART』を聴いてから
このアルバムにトライする事をお薦めさせて頂く。そうすれば、MANOWARとBLACK SABBATH(名作『TYR』の頃の)を足して2で割って、
アンダーグラウンド風味に味付けしたかのような、本作のドラマチック極まりない魅力にヤられること請け合い。


DEICIDE - Deicide ★★ (2007-08-02 21:52:00)

グレン・ベントン(Vo.G)、スティーヴ・アシェイム(Ds)、エリック(G)とブライアン(G)のホフマン兄弟からなる
ラインナップで結成、「神殺し」を意味する言葉「DEICIDE」をバンド名に冠した、バイブル・ベルト地帯は
フロリダ出身のアンチ・クライスト・デス・メタル軍団、'90年発表の1stアルバム。
MORRI SOUNDスタジオにプロデューサー/スコット・バーンズという、フロリダ・デス・メタル界隈ではお馴染みの布陣で
レコーディングされた本作は、ドロドロと重く禍々しいリフ&リズムに、爽快感よりも病的な雰囲気の
勝る疾走感、メロディの「メ」の字も見当たらない咆哮型Voと、これまた典型的なブルータルで
ストロング・スタイルのデス・メタル・サウンドを聴く事が出来る。
現在のDEICIDEと比べると、サウンド・プロダクションの質は落ちるし、幾らかスラッシュ・メタルの要素が強く、
グレンのVoにも青さが残るものの(逆に聴き易いとも言える)、だがしかし、曲作りの上手さはこの頃から既に際立っている。
デス・メタルの場合、楽曲のパターンが似通ってしまい、アルバムの途中で聴き飽きてしまう事が少なくないのだが、
DEICIDEは⑤のようなハイスピード・チューンのみならず、勢いで誤魔化しのきかない⑥の如きミドル・チューンすら、
豊富なリフのアイデアと、緩急の巧みに組み込まれた曲展開、アグレッシブなだけでなく、
フックにも富むグレンのVoを活かして、しっかりと聴かせきるのだから畏れ入る。脳味噌を金属片で
攪拌されているかのような感覚に陥る、ホフマン兄弟のツインGも強烈極まりない。そして、その集大成とも言えるのが⑩。
邪悪でスピーディなだけなく、ある種の荘厳さすら漂わす、本編ラストを締めるに相応しい名曲だ。
デビュー作にして、いきなり全世界で15万枚を売り上げたというのも納得のクオリティを備えた1枚。


SAVATAGE - Handful of Rain ★★ (2007-08-02 21:34:00)

クリス・オリヴァの突然の事故死という悲劇を乗り越え、その後任に元TESTAMENTのアレックス・スコルニックを
起用して、'94年に発表された8thアルバム。・・・なのだが、正直、完成度の方は余り芳しくない。
出来/不出来の差がかなり激しい収録曲は、メイン・ソングライターだったクリスを失ったバンドの混乱の大きさを
如実に物語っているし、また、そうした楽曲を無理に声を歪ませて、へヴィに歌おうとするザッカリー・スティーヴンスのVoも
音程の甘さを露呈(クリーン・トーンでの歌唱は、相変わらず伸びやかで素晴しいんだけど)。
そして何より、華やかで、よく泣きよく歌う、クリス・オリヴァのヨーロピアン・フィーリングに溢れたGを欠いた事で、
作品全体がダークで重苦しい雰囲気に包まれてしまっているのが痛過ぎる。耐え難い悲劇を経験したバンドに
「華やかな作品を作れ」なんてのは難しい(無理な)注文だし、アレックスもクリスの抜けた穴を埋めるべく、
随所で気合の入ったGプレイを披露してくれているのだが、それでもメロディの弱さは如何ともし難い・・・というのが客観的な感想。
但し、6th『STREETS A ROCK OPERA』を最後にバンドを去ったジョン・オリヴァが、曲作りに全面的に
協力している事もあって(Keyも弾いてるようだ)、ピアノをフィーチュアした“GUTTER BALLET"型の
ドラマチック・チューン⑤⑦や、オペラティックな曲展開と、幾層にも重ねられたカウンター・パーツが
本作以降の曲作りの方向性を決定付けた名曲③、そしてクリス・オリヴァに捧げられた感動的な大作⑩と、
ダークな作風の中でキラリと光を放つ楽曲もちゃんと収録されているので、本作は決して駄作などではないので誤解なきよう。
そもそも、解散の危機を乗り越えてSAVATAGEが新作を作り上げてくれた事にこそ最大の意義があり、
個人的にはそれだけで満点を進呈したいぐらいのアルバムである。


RAVEN - Wiped Out ★★ (2007-07-31 22:24:00)

元祖パワー・メタル・トリオRAVENが、デビュー作『ROCK UNTIL YOU DROP』を更に下回る
予算と期間(僅か一週間)でレコーディング、'82年に発表した2ndアルバム。
ボトムの全く効いていないスカスカなサウンド・プロダクションは、流石、NEAT RECORDS謹製と言ったところなれど、
このアルバムに限っては、逆にそれが上り調子のバンドの凄まじい勢いを生々しく捉えていると、
好意的に評価する事も可能・・・かも。(勿論、もっと音が良いに越した事ぁないわけだが)
そう、とにかく本作の魅力は、劣悪な音質すらブッ千切るジョン・ギャラガーのハイパーなVoと豪快に動き回るB、
マーク・ギャラガーの剛柔兼ね備えたG、そしてロブ“ワッコ"ハンターのラウド極まりないDsとが三位一体となって生み出す
異常なまでのテンションの高さと、後のスラッシュ・メタルに多大な影響を与えたという前のめりな疾走感に尽きる。
特に、押せ押せのスピード・チューンがズラリ揃った中でも、SF風のイントロから猛烈な疾走へと転じる①は、
RAVEN屈指、そしてNWOBHM史に残る名曲の1つだ。
かと思えば、8分近くに及ぶドラマチックな大作⑤や、勇壮で雄々しい⑧、アコギによるインスト曲⑩を収録して
アルバムの流れに緩急を演出する等、如何にもイギリスのバンドらしい隙のなさも頼もしいぞ、と。
RAVENというバンドの魅力がギュウと詰め込まれた、彼らの最高傑作。


OUTRAGE - Outrage(1987) ★★ (2007-07-30 22:28:00)

'87年に3000枚限定でリリースされ、中古盤市場では目ん玉の飛び出るようなプレミア価格で取引されていた、伝説のデビューEP。
作品自体は『IT'S PACKED』のタイトルで、ライブ音源と抱き合わせで'97年に一足早くCD化が為されていたが、
今回はオリジナル・ジャケット仕様、しかもデジタル・リマスターにより音質がダイナミックに向上を遂げているので、
既に『IT'S~』を持っているファンでも、買い直す価値は大いに有るんじゃないかな、と。(たった\1200だし)
何より本作に収められた楽曲の数々は強力無比。後の作品に比べればスラッシュ・メタル色は薄く、
NWOBHMに影響を受けたハードコアなヘヴィ・メタルといった感じのサウンドで、若さゆえの青さも散見されるが、
現在でもライブでプレイされ続けているバンドの代表曲①、重々しく刻まれるミッド・テンポの曲調と
叙情的なGソロの対比が美しい②、起承転結がバッチリと決まった劇的な③、そして完璧なる
OUTRAGE流スラッシュ・メタルの名曲④と、たった4曲でも聴き終えた後の満足度は半端なく高い。
特に、アグレッシブな楽曲の中でギラリと光を放つ、阿部洋介のマイケル・シェンカーばりのGプレイは必聴だ。
日本スラッシュ・シーンの黎明期を飾る名作の1つ。


SAVATAGE - Edge of Thorns ★★ (2007-07-28 02:06:00)

ジョン・オリヴァ(Vo)が脱退。後任にジョンと良く似た声質(彼より癖がなく、万人受けするタイプの声)の持ち主、
ザッカリー・スティーヴンスを迎え入れ、'93年に発表した7thアルバム。
メイン・ソングライターの1人だったジョンを欠いた事で、作品のクオリティの著しい低下が懸念されたが、蓋を開けてみれば
そんな不安は、冷ややかにして儚げなピアノの音色で幕を開け、重厚に刻まれるリフ&リズムの上をクリス・オリヴァのGが華麗に舞い、
ザッカリーが堂々たる歌唱を披露する“GUTTER BALLET"クラスの名曲①が始まった途端に、綺麗サッパリ吹き飛んだ。
アルバム全体としては、前作『STREETS A ROCK OPERA』の如き緻密さは薄れ、肩の力の抜けたストレートな仕上がりながら、
起承転結がビシッと決まったドラマチックな②、クラシカルなインスト曲⑤から繋がる壮麗な⑥、柔和で優しげなバラード⑩等、
SAVATAGEならではの「気品」と「劇的さ」に彩られたHMナンバーもしっかりと収録されているので安心されたし。
但し、ボーナス・トラックも含めて全15曲というボリュームは明らかに詰め込み過ぎだし、各楽曲の出来にもムラがあるので、
11曲目以降は少々ダレる。既に完成していた本作に、更に曲数を追加するよう命じたというレコード会社は何を考えていたんだか・・・。
しかし、そうした地味な楽曲の中にあっても、きっちりと聴かせ所を演出するクリスの「よく歌い」「よく泣く」Gプレイは
眩いばかりの強い輝きを放っていて、突然の事故死により、これが彼の遺作になってしまった事実を、一層惜しませるのであった。R.I.P.


HEXENHAUS - Awakening ★★ (2007-07-26 22:26:00)

スラッシーな疾走感が後退した代わりに、プログレッシブ・メタル分が増強された、'91年発表の3rdアルバム。
テクニカルでメロディアスなツインG、構築美に溢れた曲展開、如何にも北欧のバンドらしい寒々としたメロディ等、
前作『THE EDGE OF ETERNITY』で感じられた美点は、本作にもきっちりと受け継がれているが、
今回から新たに加わったVoが、よりメロディアスに歌えるタイプのせいか、はたまた、楽曲の複雑化に
一層の拍車が掛かっているせいか、最早ここまで来ると、プログレ風味の漂うスラッシュ・メタルと言うよりも、
スラッシーな要素もあるプログレ・メタルだよなーと、思わせられる作風に仕上がっている。
正直、ダーティながらもカッコイイ歌メロを披露してくれていた前任Voに比べると、新Voは歌唱力は十分なんだけど
歌メロに今ひとつフックが欠ける印象で、楽曲に「ダレ」を感じる原因の1つになってしまっているような・・・。
そのせいか、よりストレートな疾走感が強く押し出されている②や⑦、そして1st収録曲のリメイク⑩の方が
複雑さが売りの楽曲よりも魅力的に聴こえるのが皮肉だが、とは言え、アルバムのハイライト・チューン的存在の④や、
“THE ETERNAL NIGHTMARE PARTⅠ"の続編に当たる⑨等、聴き応え十分のドラマチックな大作も
ちゃんと収録されているので、聴き終えた後の満足感は決して前作に劣るモノではない。良く出来てます。


SALEM - LIFE WITH NO HOPE ★★ (2007-07-25 23:01:00)

2ndデモがKERRANG!誌で高く評価され、'93年にはUKツアーも行っている4人組HMバンドSALEMが、
1stフル『REASON FOR EXISTENCE』に先行する形で'93年発表した4曲入りEP。
HOWLING BULLレーベルからのリリースだったので、てっきりバキバキにスラッシーな内容を想像して購入したら、
そうした要素は(あるにはあるけど)最小限に留められ、もっとずっとモダンでプログレッシブ・ロック寄りの
サウンドを聴かせるバンドだったので、意外に思った記憶がある。
ちゃんと歌っているVo、テクニカルだが独り善がりではない、メロディアスなフレーズを紡ぎ出すG、
アクティブに動き回って要所を締めるB、多彩なリズムを叩き出すグルーヴィなDsと、メンバーの技量も確かで、
「グッとヘヴィ・メタル寄りになったATHEISTやFORCED ENTRY」といった印象も無きにしも非ず、か?
キャッチーとは言い難い音楽性ゆえ、個人的には苦手なタイプのバンドの筈なのに、彼らの場合は
(やや表現力に欠けるものの)取っ付き易い歌メロを乗っけてくれるVoと、繊細な表現力に長けたGの存在のお陰で、
最後までダレることなく聴き通せる。特に、強烈に泣くGと、憂いを帯びた歌メロを兼ね備えた、
SALEM流の美意識の結晶である④(1st『REASON~』にも再録)は名曲です。


SAVATAGE - Streets: A Rock Opera ★★ (2007-07-25 22:34:00)

ロック・スターD.T.ジーザスの栄光と挫折、孤独と絶望、そして救済を、大都会NYへの愛憎半ばする複雑な思いを交えて綴る、
一大ロック・オペラにして、SAVATAGEの最高傑作と呼び声も高い、'91年発表の6thアルバム。
プロデューサーのポール・オニールが執筆したという、深みのあるストーリー展開も然ることながら、
それ以上に評価すべきは、捨て曲なしの楽曲の素晴しさ。個人的に、9th『DEAD WINTER DEAD』以降の作品は、
立派なコンセプトに楽曲の質が追い付いていない印象があったのだが、本作に関しては両者共に文句なし。
1曲1曲が独立して起承転結を主張していた前作に対し、こちらは全体の流れで起承転結を演出する構成ゆえ、
その流れを壊してしまうような突出した名曲こそ収録されていないものの、荘厳な少年合唱隊のコーラスをフィーチュアした①、
劇的極まりない⑧、クリス・オリヴァのエモーショナルなGプレイが堪能できる⑨、物語のクライマックスをドラマチックに飾る
感動的な⑫といった楽曲を筆頭に、収録曲の平均レベルは、傑作『GUTTER BALLET』と比べても何ら遜色ないクオリティ。
そして何より特筆すべきは、それらの楽曲を歌うジョン・オリヴァの絶品のVo。癖の強い声質は好き嫌いがハッキリと分かれるが、
シンガーとしての実力は折り紙付きの彼氏。特に、SAVATAGEサウンドの大きな武器の1つである気品漂うピアノをフィーチュアして、
絶望/孤独/悲しみといった感情について歌った③⑥⑩における、胸が張り裂けんばかりの絶唱は、息苦しいまでにエモーショナルで涙モノ。
このアルバムを最後にバンドを去ることになるジョン・オリヴァだけど、最後に良い仕事しましたなぁ。
尚、当然の事ながら、本作を買う場合は必ず歌詞カード付きの国内盤を購入すべし。ストーリーと楽曲の完璧なシンクロっぷりが
一層の感動を演出するし、何より歌詞が分からないと、③⑤⑪⑫に仕掛けられた「場面転換」の意図が伝わらないような・・・。


SAVATAGE - Fight for the Rock ★★ (2007-07-25 22:08:00)

タイトルとは裏腹に、スピード・チューンが姿を消し、その代わりにBADFINGERやFREEのカヴァーを収録する等、
実験的な作風がファンの間で賛否両論を呼んだ、'86年発表の3rdアルバム。
角が取れて丸みを帯びたソフトなサウンド・プロダクションや、女性ファン層を狙ったと思しき歌詞、
そして大胆に取り入れられたKeyの印象の強さから、「ポップ化した」と評される事の多い作品だが、実際のところ、
収録されている楽曲の方向性自体は、前作『POWER OF THE NIGHT』と大差ない。疾走曲がなくなったとは言え、
ズッシリとヘヴィネスの効いた楽曲は①を筆頭に十分アグレッシブだし、全面的に導入されたKeyにしても、
ライトな雰囲気作りよりも、寧ろ、クラシカルなイントロを担当する⑤や、初期の頃を思わせるダークな⑥等を
聴けば明らかなように、主に楽曲の完成度を高める方向で有効活用されているので、チャラい印象は皆無。
前述したカヴァー2曲や、1st『SIRENS』収録バラードのリメイク②辺りを飛ばして聴けば、
これまで通りの硬派なHMアルバムとして楽しむ事も十分可能だ。
リフにリードにソロにと、相変わらず「歌心」に溢れたメロディアスなプレイを連発するクリス・オリヴァのGの素晴しさは
今更言うに及ばず、今回はジョン・オリヴァも、クセの強い濁声の歪ませ具合を最小限に抑えて歌っているので、
彼のクドイ歌唱が苦手という人でもスンナリと受け入れられるかもしれない。
ただ、そのせいか全体的に、楽曲がどうにも薄味というか淡白に聞こえ、強力なキメ曲の不在と相俟って、
SAVATAGEの作品史上、最も地味な印象を受けるアルバムなのもまた、間違いないのであった。


SAVATAGE - Power of the Night ★★ (2007-07-22 19:11:00)

裏ジャケに刻まれた「メタル・チャイルドよ、拳を突き上げろ!」との文句も勇ましい、
'85年発表のメジャー・デビュー作(2ndアルバム)。歌詞の方も、今のSAVATAGEからは
ちょっと想像が付かないぐらい、頭悪そうな(褒め言葉)メタル賛歌が並んでいて微笑ましいぞ。
さて、その本作。同時期に英インディーズのMUSIC FOR NATIONSから発表されたEP『THE DANGEONS ARE CALLING』と
聞き比べてみると分かるように、作風が大きな変化を遂げていて、マックス・ノーマンの手によるタイトな
サウンド・プロダクションのもと、これまでのダークでオドロオドロしい雰囲気が薄れ、スッキリと垢抜けた楽曲の数々は、
コンパクトにまとめられていて、如何にもメジャー制作といった感じの聴き易い内容に仕上がっている。
とは言え、別に本作がポップになったわけじゃないのは、シンセサイザーのイントロを切り裂いてスタートする、
ヨーロピアンHM風味の濃厚な①や、ズシッとした手応えを感じさせるへヴィ・チューン③、
アグレッシブでスピーディな⑤といった楽曲を聴けば明らか。
ポップと言うよりも、全体的によりメロディに明快さが増し、楽曲がキャッチーになったと表現すべきかな。
特に、④のGソロを筆頭に、アルバム全編に渡って(時にジョン・オリヴァのVo以上に)雄弁に「歌う」
クリス・オリヴァのメロディアスなGワークが素晴しいったらありゃしない。
これぞ!という強烈なキメ曲に欠けるし、現在のSAVATAGEの音楽性ともかなり異なっているが、この完成度の高さは流石だ。


OUTRAGE ★★ (2007-07-20 22:38:00)

1st~3rdはリマスターではなく、オリジナル・ミックス盤の再発のようですね。
とは言え、オリジナル・ミックス盤は既に廃盤で入手困難なうえに、
ステファン・カウフマンによるリミックス盤とは
かなりサウンドが異なるので、未聴の方はこの機会に是非どうぞ。
また、デビューEP『OUTRAGE』は初のデジタル・リマスター化により音質が
飛躍的に向上しているので、『IT'S PACKED!!』を持ってる方も要チェック。
より迫力のあるサウンドで名曲“STEP ON IT"が聴けるのだから
これで1200円は安い!かなと。


SAVATAGE - Hall of the Mountain King - Hall of the Mountain King ★★★ (2007-07-19 22:01:23)

この4thアルバムのタイトル・トラックにして、
同アルバムのハイライト・チューンが登録されていないのは
納得が行かないぞ!と。
『GUTTER BALLET』以降の華麗さや気品とは無縁の
ゴツゴツと無骨でヘヴィ、ダークでアグレッシブな
インディーズ時代のパワー/スラッシュ・メタル路線を
思わせる作風だが、これはこれで非常にカッコイイ。
シアトリカルなジョン・オリヴァの歌唱が、
楽曲の大仰な雰囲気を一層盛り上げていて効果的。
序曲“PRELUDE TO MADNESS"と併せてお楽しみください。


SAVATAGE - Hall of the Mountain King - Prelude to Madness ★★★ (2007-07-19 21:53:23)

ホルストの組曲『惑星』から“火星"と、
グリーグのペールギュント組曲から“山の魔王の宮殿にて"の
メロディを引用した、クラシカルでドラマチックなインスト曲。
次曲“HALL OF THE MOUNTAIN KING"の序曲的存在だが、
これ単体でも十分に魅力的。
華麗に舞うクリス・オリヴァのGがナイス。


SAVATAGE - Sirens / The Dungeons Are Calling ★★ (2007-07-19 21:11:00)

1st『SIRENS』の好評を受け、晴れてメジャー・レーベルATLANTICとディールを結んだまでは良かったものの、
契約上のトラブルに巻き込まれ、イギリスのインディ・レーベル大手MUSIC FOR NATIONSからも作品を発表する事を
余儀なくされたSAVATAGEが、メジャー・デビュー作『POWER OF THE NIGHT』と同時期('85年)に
契約消化のために発表したのが本作。
国内盤の帯には「2ndアルバム」と表記されているけれど、実際はSAVATAGEの前身であるAVATOR時代の楽曲や、
1st発表後、PAR RECORDSとの契約を巡るゴタゴタで身動きが取れなかった時期に書き溜められた楽曲等、
比較的古いマテリアルを中心に構成されているので、正確にはEPに分類すべき作品のように思う。
まぁ、それはさて置き内容の方だが、同年に発表された『POWER~』が、如何にもメジャー制作らしい、スッキリと垢抜けて
聴き易くコンパクトにまとめられていたのに対して、こちらは前作の延長線上にある、ヘヴィでダーク、
且つオドロオドロしい雰囲気を纏ったパワー/スラッシュ・メタル路線。
この方向性は、4th『HALL OF THE MOUNTAIN KING』で頂点を迎えるわけだが、現在でもライブでプレイされている
劇的な名曲①や、ドッシリとしたヘヴィネスの効いた②④といった楽曲を収録した本作の完成度も、決して侮れたものではない。
尚、国内盤にはロスト・サヴァタージ・トラック(要するに未発表曲)2曲を追加収録。


SAVATAGE - Sirens ★★ (2007-07-19 20:54:00)

ジョン(Vo)とクリス(G)のオリヴァ兄弟が中心になって、フロリダで結成されたHMバンドSAVATAGEが、地元のインディ・レーベル
PAR RECORDSから'83年に発表した、記念すべき1stアルバム。(エンジニアとしてジム・モリスの名前もクレジットされている)
殆ど自主制作に近い配給網だったにも関わらず、約半年で15000枚以上の高セールスを記録し、マニアの間では
「スラッシュ・メタル創世記のバイブル的作品」とまで評された(らしい)本作は、現在のSAVATAGEサウンドに比べると、
かなりヘヴィでダークでアグレッシブ。楽曲にしろ、メンバーのパフォーマンスにしろ、
ストレートな荒々しさが前面に押し出されていて、確かにパワー/スラッシュ・メタル寄りの作風に聴こえる。
イマサンなサウンド・プロダクションや、B級チックな垢抜けなさに物足りなさを覚えるファンも多いかもしれないが、
重々しく刻まれるリフ&リズムがオドロオドロしくサタニックな雰囲気を演出する劇的な
名曲①(現在でもライブの重要なレパートリー)に始まり、緩急の効いた③、スラッシーなスピード・チューン④、
ヘヴィ・メタリックなリフがスピーディに疾走する⑧といった楽曲は、今聴いても十分魅力的だ。
デビュー作としては、必要にして十分なクオリティを備えた作品と言えるのではないだろうか?


SAVATAGE - Gutter Ballet - Gutter Ballet ★★★ (2007-07-18 23:31:17)

ヘヴィでダーク、華麗にしてドラマチック、
格調高いピアノの調べが、アメリカのバンドとは思えぬ
「気品」まで演出する、SAVATAGEの全てが詰まった名曲中の名曲。
スラム街でオーケストラが演奏しているPVも非常に印象的で、
録画したビデオをうっかり捨ててしまった時は
かなり悲しかったが、今ではYOUTUBEで気軽に見られるのだから、
良い時代になったものです。


SAVATAGE - Hall of the Mountain King ★★ (2007-07-18 21:27:00)

以後、長い付き合いとなるプロデューサーにして盟友のポール・オニールと初めてタッグを組み、試行錯誤の感じられる内容だった
前作『FIGHT FOR THE ROCK』から一転、Keyを効果的に導入して、クラシカル且つドラマチックに盛り上がって行くという、
今に至るSAVATAGEサウンドの基本スタイルを完成させた、'87年発表の4thアルバム。
取り分け、グスターヴ・ホルストの『惑星』から“火星"と、ペールギュントの“山の魔王の宮殿にて"を引用した
劇的でクラシカルなインスト曲⑤と、様々な声色を使い分けるジョン・オリヴァのシアトリカルな歌唱が映える
ダークで壮大な⑥は、本作最大の聴き所であるだけでなく、中期SAVATAGEをも代表する超名曲の1つ。
ただ、その⑤⑥も含めて、一口にドラマチックと言っても、「華麗さ」や「気品」の漂う5th『GUTTER BALLET』以降のテイストとは
少々異なっていて、未洗練なサウンド・プロダクションにしろ、ファンタジー趣味に深く傾倒した歌詞世界にしろ、
より無骨で荒々しい攻撃性丸出しな楽曲にしろ、未だパワー/スラッシュ・メタル風味を色濃く残していて、
ある意味、インディーズ時代の作品(『SIRENS』『THE DANGEONS ARE CALLING』)に先祖帰りを起こした作風と言えなくもない。
特に、重心低く押し出してくる①、重く、ダークでドラマチックな本編序盤のハイライト・チューン的存在の②、
クリス・オリヴァの構築感に溢れた泣きのGソロに涙する③、故レイ・ギランがバックVoとして参加している
シングル向きの佳曲④といったハイクオリティな楽曲が並ぶアルバム前半の充実っぷりはお見事で、
本作以降、本格的に追及されていく事になるSAVATAGE流ドラマチックHM路線の始まりを告げる作品としてだけでなく、
「初期パワー/スラッシュ・メタル路線の集大成的作品」としてもお薦めの1枚。


SAVATAGE - Gutter Ballet ★★ (2007-07-17 22:15:00)

サイドGとしてクリス・キャファリーが加入。いよいよ陣容が整い、格調高いピアノの調べが
アメリカのバンドらしからぬ「気品」を演出する、クラシカルでドラマチックなヘヴィ・メタルという、
SAVATAGEならではのサウンド・スタイルを確立するに至った、'89年発表の5thアルバム。
ガツガツと引っ掛かり気味に力強く刻まれるリフ、劇的且つダイナミックな曲展開、かなり好き嫌いの分かれる
癖の強い声質ながら、起伏に富んだメロディをシアトリカルに歌いこなすジョン・オリヴァのVo、
バンドの要でもある、たっぷりと「泣き」を含んだ欧州風味満点の繊細なプレイで、アルバム全編に豊かな潤いを
もたらすクリス・オリヴァのGといった要素が、高いレベルで見事に融合を果たした楽曲の数々は、まさに唯一無二。
レコードで言うところのA面にドラマチック路線、B面によりへヴィ・メタリックな楽曲が並ぶ構成の本作だが、
やはりハイライトは前者。パワー/スラッシュ・メタル時代の面影を色濃く残すヘヴィ・チューン①こそ
ややテイストが異なるものの(でも良い曲)、SAVATAGE史上、いや、メタル史に残る超名曲として名高い
アルバム表題曲②に始まり、オーケストレーションをフィーチュアしたクラシカルなインスト曲③、
悲哀に満ちた前半から、希望に満ちた後半へと劇的に展開していく様が圧巻の名曲④の盛り上がりを経て、
アウトロ的小曲⑤で幕を閉じるその構成の素晴しさは、言葉を失うほどのドラマ性の高さを誇る。
勿論、クリスの華麗なGプレイを伴った、静と動の対比が見事な⑦、胸締め付ける哀メロに彩られた、タイトルからして美しいバラード⑩を
収録したB面パートも、捨て曲なしの充実度で最高。ただ、CD用ボーナス・トラックの⑪は蛇足だったかな。(悪い曲ではないが)
SAVATAGEのアルバムに名盤は多いが、彼らの最高傑作として1枚挙げるなら、間違いなく本作を推す。このCDを聴け。


SAVATAGE - Edge of Thorns - Edge of Thorns ★★★ (2007-07-14 23:45:46)

零れ落ちるような美しいピアノの音色をイントロに、
物悲しくも力強く展開していく名曲。
和田誠氏がDJを務めるラジオで、
クリス・オリヴァの突然の事故死を知らされ、
追悼の意味を込めてこの曲のイントロが流れ出した時は
ちょっと泣きましたね。


VENDETTA - Brain Damage ★★ (2007-07-14 00:33:00)

ツインGにツインVo編成で、ドイツ産にしては珍しく、ベイエリア型の明快で小気味良いスラッシュ・サウンドを聴かせる
シュバインフェルト出身の4人組スラッシャーVENDETTA、'88年発表の2ndアルバムが待望のリマスター再発。
どうせなら中古屋でバカ高い値段で取引されている1stも一緒に再発して欲しかったところだけど、まぁ贅沢は言うまい。
で、本作だが、ストレートに突っ走っていた(・・・らしい。何せ聴いた事がない)前作に比べると、リフ/リズム・チェンジを大胆に取り入れ、
キレのある演奏を活かした、凝った曲展開で畳み掛けて来るタイプの楽曲が大半を占めていて、何やらバンド側の試行錯誤が伺える内容。
実際、比較的ストレートに疾走する③⑤⑧⑨よりも、グルーヴィなノリに体が動く①、捻った曲展開に、ダーティながらも
ちゃんと「歌う」Voを絡めて攻めてくる②、VENDETTA流バラードといった趣きの前半から徐々に速度を上げていく名曲④、
ファンキーな小曲⑥をイントロ代わりに、ベース主導でドラマチックに盛り上がるインスト曲⑦の方が、
より印象に残ると言う事実が、本作の性格を端的に物語っているんじゃなかろうか。
全体的にイマイチ強烈なパンチに欠けるとか、試みとしては面白いツインVoも、2人のVoの声質が酷似しているせいで
あまり効果的に機能していないとか、細かい不満点もあるにはあるが、それでも本作のクオリティの高さは
疑いようがない。特に、劇的なメロディを次々に紡ぎ出すツインGの威力は侮り難し。


RAVEN - All for One ★★ (2007-07-12 21:30:00)

破天荒なまでにエネルギッシュなサウンドとライブ・パフォーマンスから「アスレチック・ロック」とも呼ばれ、
後のパワー/スラッシュ・メタル勢に大きな影響を与えた事で知られる、英国はニューキャッスル出身の
パワー・トリオRAVENが、'83年に発表した3rdアルバム。
「元祖パワー/スラッシュ・メタル」的な荒々しい疾走感よりも整合性に重き置いた感じの作風に仕上がっている本作だが、そこはRAVEN。
圧倒的にパワフルな①を聴けば判るように、多少スピードが落ちようとも、作品全体に漲るエネルギー量は相変わらず尋常ではない。
と言うか、マイケル・ワグナー&ウド・ダークシュナイダーが手掛けたサウンド・プロダクションの飛躍的な向上により、
ジョン・ギャラガーのハイテンションなVoと唸るB、ギャンギャンと喧しくリフを刻む一方で、⑤⑧で聴かれるような
メロウなソロも紡ぎ出すマーク・ギャラガーのG、そしてダイナミックに炸裂するロブ“ワッコ"ハンターの
豪快極まりないDsとが一丸となって生み出す凄まじい突進力は、過去の作品群のそれを大きく上回っているんじゃなかろうか。
特に、その最大の成果と言うべきパワフルな名曲②や、Gソロに有名なメロディを引用した(曲のタイトルが思い出せない・・・)
メタル・アンセム④、パワー・メタリックなスピード・チューン⑥、ACCEPTばりに硬派な⑨といった楽曲の数々は必聴だ。
また、嘗てテイチクから発売されていた国内盤には、ボーナス・トラックとしてウド・ダークシュナイダーがゲスト参加した
“BORN TO BE WILD"のカヴァーが収録されているのだが、これがムチャクチャ強烈な内容。超個性派シンガー2人が
喚き散らす様は「キ○ガイの狂演」とも評された程の迫力で、下手すりゃ本編の印象が吹っ飛びかねないインパクトのデカさを誇る。


PESTILENCE - Testimony of the Ancients ★★★ (2007-07-11 22:49:00)

パトリック・マメリが中心となって結成された、オランダ出身のデス/スラッシュ・メタル・バンド、'91年発表の3rdアルバム。
曲間を繋ぐ短いSEや、インスト曲を合わせて全16曲収録という実験的な構成は、この作品がコンセプト・アルバム的な側面も持っているからか。因みにプロデュースを手掛けたのは、デス・メタルと言えば勿論この人、のスコット・バーンズ。(レコーディング場所も当然の如くMORRI SOUNDスタジオだ)
前作『CONSUMING IMPULSE』は、直線的な楽曲が揃ったストレートな作風のデス・メタル・アルバムだったが、前任Voの脱退によりトリオ編成となり、パトリック・マメリがGとVoを兼任する本作では、猛烈な疾走感はそのままによりテクニカルでプログレッシブな曲展開が聴かれるようになった。
特に、マメリとUTERWIJK(何て発音すんだ)のWパトリックが奏でる流麗極まりないツインG、CYNICからリクルートされた名手トニー・チョイによるテクニカルなB、そしてスペーシーな空間とスケール感を演出するシンセサイザーの大胆な導入は、楽曲のクオリティを飛躍的に向上。
中でも、荒々しいミドル・チューン③や、バイオレントに疾走する⑦、ドラマチックと表現して差し支えない曲展開が聴ける⑬、本編ラストをシャープに締め括る⑮を筆頭とする押しまくりの楽曲の中にあって、スッと「引く」ことで静と動、美醜の対比を描き出すインスト・パートのドラマ性の高さは、普段、デス・メタルに興味のないリスナーの耳をも惹き付ける強力な魅力を備えているように思う。
PESTILENCEのアルバムでは2nd『CONSUMING~』の人気が高いようだが、個人的には彼らの最高傑作には本作を推したい。


ANGEL WITCH - Angel Witch ★★★ (2007-07-10 21:57:00)

NWOBHMに沸くイギリスで活躍し、幻想美術画家ジョン・マーティンの代表作の1つ「万魔殿の堕天使」を用いたアルバム・ジャケットや、
オカルト色の強い歌詞、そしてダークでドラマチックな楽曲の数々が生み出すオドロオドロしいイメージをもって、
METALLICAやMEGADETHを始めとするスラッシュ・メタル勢に多大な影響を与えた事で知られる、
ロンドンはサウス・イースト出身のパワー・トリオANGEL WITCH、'80年発表の1stアルバム。
硬質なリフ、シャープに疾走するリズム、メロディアスに切り込んで来るG、イギリスの専売特許とも言える湿ったメロディを
歌うヘタウマVo、そしてダークでドラマチックな曲展開といった、このバンドの持つ美点を余す所なく兼ね備えた
名曲中の名曲①で幕を開ける本作は、流石、NWOBHMを代表する名盤の1つと評されるだけあって、捨て曲は皆無。
前述したバンドのテーマソングでもある名曲①に始まり、シャープに疾走する②、静と動の対比が美しい③、
ONSLAUGHTもカヴァーした緊張感に満ちた④、70年代ハードロック風味の⑤、アグレッシブだがメロディにも気の払われた⑥、
如何にもNWOBHM的なスピード・チューン⑦、メロメロに泣きまくるバラード⑧、バンドのイメージに忠実な
禍々しい雰囲気を発散する⑨、そして本編を締め括るアウトロ⑩に至るまで、最初から最後までテンションが緩む事は一切ない。
また、全体的に漂うコアな雰囲気とは裏腹に、隠し味的に導入されているKeyが非常に効果的に機能している点も付け加えておきたい。


BATHORY - The Return...... ★★ (2007-07-09 21:58:00)

友達がいなくても音楽活動は出来るんだ!と、世の引き篭もり系メタル・ミュージシャンに勇気と希望を与えた(?)
クォーソンによる「独りスラッシュ・メタル・プロジェクト」ことBATHORY、'85年発表の2ndアルバム。
(でも実際は、アルバムのレコーディングにはサポート・メンバーも参加しているらしい)
北欧暗黒メタル史に燦然と輝く・・・いや、ドス黒い影を落す名盤として知られる1st『BATHORY』は、どちらかと言えば
VENOM直系のイーヴルでサタニックなスラッシュ・メタル風味が色濃い作風だったが、この2ndでは、いよいよ前作と同等か
もしくはそれ以上に劣悪なサウンド・プロダクションの下、歪み切っていて最早何を弾いているのかすら判然としない禍々しいリフ、
取り憑かれたように疾走するリズム、凄まじい邪気を発散する絶叫Vo、耳に突き刺さる狂ったGソロetc・・・と、
「元祖ブラック・メタル・バンド」の称号に恥じぬ、邪悪な本領を発揮した内容に仕上がっている。
ここに更に「荘厳さ」が加わった傑作3rd『UNDER THE BLACK MARK』で、BATHORYのブラック・メタル路線は
一応の完成を見るわけだが、その数歩手前で荒々しい攻撃性剥き出しの本作は、こと疾走感にかけては
BATHORYの全アルバム史上でも屈指。特に、長い(長過ぎ?)イントロで焦らしに焦らしてから
疾走へと転じる①や、前作収録の名曲“WAR"を彷彿とさせるブルータリティを発散するラスト・ナンバー⑨の迫力は圧巻。
また、どんなに走りまくっても決して熱くならず、常に冷ややかなのも本作のポイントか。
「ブラック・メタル」の誕生を告げる、メタル史的にも重要な位置を占める1枚。


BATHORY - Hammerheart ★★ (2007-07-07 01:19:00)

ジャケット・アートワークに、英国人画家フランク・ディクシー卿の名画「ヴァイキングの火葬」を用いている事からも判る通り、
これまでのスラッシュ/ブラック・メタル路線から、ヴァイキング・メタル路線へと、その作風を大きく変化させた
'90年発表の5thアルバム。例えるなら、前作収録の名曲“BLOOD,FIRE DEATH"の方向性をアルバム全編に渡って押し進めてみた感じ?
疾走曲が完全に姿を消してしまったため、BATHORYにスピードを求めるファンには本作は耐え難いほど退屈な代物だろうが、
一方で、クォーソンの創造する暗黒世界に魅せられた者にとっては、これぞまさしく捨て曲なしの大傑作。
強烈なうねりを生み出す壮大なスケール感、メランコリックという表現では生温い絶望的なまでにダークなメロディ、
厳粛且つ荘厳な雰囲気を演出するコーラスといった要素に彩られた楽曲の数々は、何れも10分前後に及ぶ大作揃いで、
しかも中~低速を基本としたヘヴィ・チューンばかりながら、油断していると真っ暗闇の深海底へと
引き摺り込まれて行くような不穏な緊張感に満ち溢れていて、冗長さは皆無。
極悪な音質により割れ歪んだGリフが怒涛の如く押し寄せるOPチューン①、神話世界を歌うに相応しい
劇的さと力強さを兼ね備えた②、クォーソンのメロディアスな歌唱をフィーチュアした勇壮なサビメロが
高揚感を演出する④、強烈な悲壮感を撒き散らしながらラストを締める⑦といった楽曲を筆頭に、
確固として構築された世界観はMANOWARに通じるものがあるような。裏MANOWAR?
まさに↑上の方々が仰る通り、「ヴァイキングにムチ打たれながらガレー船で行くバルト海の旅」が追体験できる1枚。


SACRED REICH ★★ (2007-07-05 22:03:00)

どうやら、1st『IGNORANCE』、2nd『AMERICAN WAY』、EP『SURF NICARAGUA』に、
ライブ音源やJUDAS PRIESTの“RAPID FIRE"のカヴァーなんかをプラスした
BOXセットが発売になったようです。
(修正。1stとEP『SURF~』、そしてライブDVDというセットのようです)
リマスターされているのかどうかは不明ですが、
この3枚の名盤をまとめて\4000で聴けるのは間違いなくお買い得。
未聴の方は、この機会に是非。


MANOWAR - Gods of War ★★ (2007-07-04 21:28:00)

ここ数作のコンパクトにまとめられた楽曲重視路線から一転、久し振りに重厚長大なコンセプトを全面に押し出した、'07年発表の記念すべき10thアルバム。
コンセプト重視といえば、30分近くに及ぶ大作組曲“ACHILLES,AGONY AND ECSTASY"を収録した7th『THE TRIUMPH OF STEEL』を思い出すが、全体的にメロディの弱さが目立ったあのアルバムに比べて、今回は1曲1曲がきっちりと練り上げられていて、メロディの煽情度も高め。長尺曲で圧倒するのではなく、キャッチーなHMソングを、SEやナレーション、インスト曲で繋ぎ合わせ、映画のサウンド・トラックの如き壮大さを演出するという手法が取られていて、ジョーイ・ディマイオが『THE TRIUMPH~』から得た教訓をちゃんと本作に活かしている事が判る。例えるなら、6th『KINGS OF METAL』に収録されていた笑撃・・・もとい、衝撃的な組曲“THE WARRIORS PRAYER"~“BLOOD OF THE KINGS"の流れをアルバム全編で展開してみた作品?
また、ここのところ「メタル応援歌」的な歌詞の比率がどんどん高まっていただけに、本腰を入れてジョーイが神話世界を題材に取ってスケールの大きな歌詞を書き上げてくれた点もファン的には嬉しい限り。
ただ、疾走曲が並ぶ前半に対して、(そのクオリティは兎も角)似通ったテンポのへヴィ・チューンが並ぶ後半はSEやナレーションの長さと相俟って明らかにダレる。ので、個人的には通して聴くのは遠慮させて貰って③⑤⑥⑦⑩⑫といった楽曲のみを摘み食いしていきたい1枚。


BATHORY - Bathory - War ★★★ (2007-07-03 21:45:52)

アルバムのラストを締める突撃スラッシュ・チューン。
荒々しく、野蛮にして勇壮なBATHORY初期の名曲。
聴いてると「WAR!」「WAR!」と一緒に歌いたくなりますね。


BATHORY - Bathory ★★ (2007-07-03 21:32:00)

スッカスカの音質から垣間見えるアングラ主義、暗黒サタニック性、禍々しく寒々しい楽曲、
そして「独りスラッシュ・メタル」と呼ばれる家内手工業的なアルバムの制作スタイルが、後続のバンド群に
多大なインスピレーションを与えたという元祖ブラック・メタラーBATHORY、'84年発表のデビュー作。
尤も、傑作と名高い3rd『UNDER THE BLACK MARK』辺りに比べると、まだまだブラック・メタル的な要素は希薄で、
それよりも不気味なイントロ①に導かれてスタートする②を聴けば判るように、チリチリしたリフにしろ、
ダミ声中心のクォーソンのVoスタイルにしろ、その作風は多分にオーソドックスなスラッシュ・メタル寄り。
とは言え、初期VENOMからロックンロール色を取り除いた代わりに、爆発的な疾走感と、北欧のバンドらしい
暗く湿った質感を加味した感じの陰惨なスラッシュ・サウンドからは、既にBATHORYならではの個性が伺えるし、
切り裂くような③、切迫感に満ち溢れた⑤、不穏な雰囲気を撒き散らす⑦、そして野蛮にして勇壮な
BATHORY屈指の名曲⑨といった高速スラッシュ・チューンの数々は、同じく「ブラック・メタルの元祖」と謳われる
その他幾つかのバンドのそれを遥かに上回る魅力と破壊力を備えている(んじゃないかな、と)。
短いながらもツボを押さえたメロディを紡ぎ出すGソロも良い。
ダークサイド方向の噂ばかりが先行しがちで、すっかり敷居の高いバンドと化してしまった感のあるBATHORYだが、
実際は(初期VENOMとどっこいのチープ・チーパー・チーペストなサウンド・プロダクションを除けば)、
非常にクオリティに高いメタル・サウンドを聴かせてくれるバンドなので、スラッシュやメロデスがイケるクチの貴方は、迷わずGO!


D.R.I. - Crossover ★★ (2007-07-02 21:15:00)

テキサス出身の4人組スラッシャー、DIRTY ROTTEN IMBECILIES(薄汚い性根の腐った悪ガキ共)ことD.R.I.が、'87年に発表した2ndアルバム。
全世界で10万枚以上を売り上げたD.R.I.の出世作として知られる本作は、『CROSSOVER』という
そのものズバリなタイトルが示す通り、メタルとハードコア/パンクのクロスオーバー現象を語る上で
欠かす事の出来ない名盤の1つであり、個人的には、彼らの最高傑作と信じて疑わない1枚でもある。
ヘヴィなイントロを経て猛烈に疾走を開始。中盤にはGソロまでフィーチュアして、最後は再びミドル・パートに戻って幕となる、
緩急の効いたOPナンバー①が端的に表わす通り、もろハードコア/パンク路線だったデビューEP『DIRTY ROTTEN EP』や
1stフル『DEALING WITH IT』の作風から一転、飛躍的にスラッシュ・メタル度を高めた本作は、重厚な音作りといい、
更に鋭くメタリックに研ぎ澄まされたリフといい、よりダイナミズムを増した曲展開といい、前2作の音圧の低さに
物足りなさを覚えたメタル者の耳すらもガッチリとキャッチする、問答無用のカッコ良さを誇るスラッシュ・チューンがズラリ。
勿論、10秒にも満たない③の如きハードコア・チューンもちゃんと収録されてはいるけれど、やはりそれ以上に魅力的なのは、
ダイナミックに疾走する②、起承転結を飲み込んだ④、切り裂くようなイントロ・リフにノックダウンされる⑦、
ベース主導で忙しなく突っ走る⑩といった、硬派な高速スラッシュ・ナンバーの数々。中でも④は
「聴かせる」インスト・パートまで備えた、本編のハイライト的存在の名曲だ。
それ以外の楽曲も総じてクオリティは高めで、捨て曲は見当たらない。D.R.I.入門編としても最適な名盤じゃなかろうか。


FORTE ★★ (2007-07-02 20:13:00)

Voが、1stで歌っていたオリジナル・メンバーの
ジェイムズ・ランデルというのが嬉しいですね。
個人的に、歴代Voの中でも一番好きなシンガーだったので。

>1stだけどーしても見つからないけど。トホホ・・・
これは本当にそうですよね。下手すりゃ4thより見かけないぐらい?
でも、バンドが再結成した事で、過去のカタログをリマスターして
再発するという可能性も、グッと高まったんじゃないでしょうか。
・・・と、信じたい。


NASTY SAVAGE ★★ (2007-07-01 01:32:00)

おお、NASTY SAVAGE。懐かしいですね。
何かとプロレス界とは縁の深いHM/HR界ですが、
Voが本当にプロレスラーだったのは、このバンドぐらいのものでしょうか?
(あ、今ならクリス・ジェリコがいるのか)
昔、3rd『PENETRATION POINT』を購入して聴いた時には
「ルックスのインパクト程は作品のクオリティは高くない」
との印象を持って、さっさとアルバムを売っ払ってしまったのですが、
これは是非とも未聴の1stを探し出して聴いてみねば。


JURASSIC JADE - Gore ★★ (2007-06-30 01:46:00)

特異な個性を誇る日本のベテラン・スラッシャー、JURASSIC JADEが'89年に発表した1stフル・アルバム。
現在では幅広いラウド・ミュージックからの影響を取り入れた、深遠なサウンドを披露している彼らだが、
この頃はバリバリにファストでピュアなスラッシュ・メタル・バンド。
ガリガリと刻まれる殺傷力満点のリフの数々や、緩急をしっかりと織り込んで畳み掛けてくる曲展開なんかは
SLAYERからの影響を伺わせるものの、とても女性・・・いや、人類のモノとは思えぬHIZUMIの壮絶なVoや、
勢いだけでなくカッチリと構築されたNOBのGソロ、そして日本語詞による唯一無二の歌詞世界といった要素を聴けば、
JURASSIC JADEが単なるSLAYERのフォロワーなどではなく、独自のサウンド・スタイルを確立した
スラッシュ・メタル・バンドであることが良く判るはず。
特に、マシンガンの如き速射リフ、タイトなリズム、劇的且つメロディックなGソロ、憑かれたように
狂気を吐き出すHIZUMIのVoとが一丸となってシャープに疾走する②は、JJ屈指の名曲じゃないかと。
本作からバンドはシングルG編成へと移行しているが、音の薄さ等、それによるダメージは殆ど感じられない。
これが'90年のCD化に際して行われたというリミックス作業の賜物なのかどうかは、オリジナル盤を聴いた事がない
自分には定かじゃないが、ただ、ペシペシと薄っぺらいドラムの音だけは、もう少し何とかして欲しかったかな、と。


LAAZ ROCKIT - City's Gonna Burn ★★ (2007-06-28 22:46:00)

サンフランシスコのクランチ軍団ことLAAZ ROCKITが、'84年に発表した1stアルバム。
3rd『KNOW YOUR ENEMY』以降の、まるでベイエリア・スラッシュ・メタルの権化の如きアグレッシブなサウンドで
知られる彼らも、このデビュー作の時点では、JUDAS PRIESTやIRON MAIDENから大きな影響を受けたと思しき、
オーソドックスなヘヴィ・メタル・テイストが色濃く薫る。ブックレットに大きくロン・キールの名前が
クレジットされているせいか、時に明快なリフ・ワークからはLAメタルっぽさも感じ取れるような・・・。
とは言え、(メンバーのルックスも含めて)マッチョで硬派な本作にチャラチャラと浮付いた雰囲気は皆無。
マイケル・クーンズの男臭く攻撃的なVoは、とてもじゃないけどキャッチーとは言い難いし、流麗なツインGは
欧州的な湿り気をタップリと帯び、中盤にクールなリズム・チェンジ・パートを備えた③や、シュレッド・リフに
圧倒される本編最速の⑤といったスピード・チューンからは、既に後のスラッシュ・メタル路線の萌芽が確認できる。
そして何より本作は、そのサウンドに宿る重量感が半端なく凄まじい。へヴィ・メタルどころかスラッシュ・メタルすら
凌駕する勢いのこの特異なヘヴィネスは、ライブでもお馴染みの名曲⑦に、特に強く表れているので必聴だ。
正統派HMと呼ぶにはアグレッシブ過ぎ、スラッシュとして括るにはメロディアス過ぎるという、
まさに王道パワー・メタル・サウンドが堪能できる1枚・・・なんだけど、発表時期がパワーメタルというジャンルの定義が
曖昧だった時代せいか、日本では「中途半端」と取られて(?)高い評価が得られなかったのが惜しまれる。


MANOWAR - Warriors of the World ★★★ (2007-06-25 22:54:00)

前作『LOUDER THAN HELL』から、実に6年のインターバルを置いて、'02年に発表された待望の9thアルバム。
間に2枚のライブ・アルバムを挟んだとは言え、幾らなんでも6年は待たせ過ぎでしょうが!とか、しかも漸くリリースされた国内盤の歌詞には日本語訳がないという、今時有り得ない手抜き仕様(これはバンドよりもレコード会社の怠慢だが)等、湧き上がる数々の不満を力ずくで捻じ伏せてみせる本作の凄まじいクオリティの高さは、流石MANOWAR。
基本は『LOUDER~』同様、コンパクトに練り上げられたキャッチーなHMチューンが次々に繰り出される、コンセプトよりもメロディに重きを置いた楽曲重視路線だが、個々の楽曲のクオリティは、傑作だった前作をも軽く上回る勢い。
ボーナス・トラックも含めて全11曲、熱きメタル魂を胸に思わず行進したくなる勇壮な①に始まり、エリック・アダムスの驚異的な歌唱力が堪能できるプッチーニの③、厳粛且つドラマチック極まりない⑤を経て、後半の小細工無用の剛球メタル・チューン4連発(⑧⑨⑩⑪)からオマケ収録の名曲“KILL WITH POWER”のライブ・バージョン⑫に至るまで、本編のテンションは一時も緩まる事無く、当然、捨て曲なし。
惜しむらくは曲順がイマイチな点で、似たり寄ったりのテンポの楽曲が並んでいるため緩急に乏しく、折角の楽曲のインパクトの強さを、十分に活かしきれていない印象なのが勿体無い。尤も、前半に壮大で劇的な楽曲を、後半にストロングなメタル・チューンを揃えて、「静」と「動」のコントラストが引き立つ構成を狙ったバンドの意図も理解できるので、この曲順も一概には否定できないんだけど・・・。
ともあれ、こうした些細な部分が気になるのも本作の完成度が半端ないからこそ。疑いの余地なく名盤だ。


MIKAEL ERLANDSSON - The Gift ★★ (2007-06-24 22:00:00)

日本のレコード会社の要請を受けて、ミカエル・アーランドソンが'03年に発表した、復活の4thソロ・アルバム。
制作の経緯が経緯だけに、てっきり初期の頃を思わせる哀愁のハードポップ路線の作品を期待していたが、
実際に聴いてみると、これがBEATLESやELECTRIC LIGHT ORCHESTRAなんかを彷彿とさせる、爽やかでポップな
メロディに満ち溢れた、3rd『UNFAMILIAR』の作風を順当に受け継いだ内容に仕上がっていて、ちょっぴり肩透かし。
とは言え、これはこれで悪くない。と言うか非常に良い。楽曲のキャッチーさは過去最高とも思えるクオリティだし、
何より前作に比べて、グッとハード・ロック的なエナジーを取り戻しているのがポイント。仄かな哀愁とポジティブな
メロディが心地良い②、軽やかに疾走する爽快な⑥、「キャッチーとはこういう事だ!」な⑧、
1stや2ndに収録されていてもおかしくない悲哀に満ちたメロディが聴かれる⑨等、フックに富んだ
ハード・ロック・チューンのお手本のような楽曲が次々に繰り出される様は、聴いていて兎に角気持ち良い。
強力なキメ曲に欠ける点は前作同様だが、各楽曲のクオリティの高さゆえ、それも大した傷にはなっていない。
本作で確かな手応えを得たミカエル・アーランドソンは。音楽活動を本格化させ、引き続き日本のレコード会社の
支援を受けつつ、元FAIR WARNINGのアンディ・マレツェクとLAST AUTUMN'S DREAMの結成へと走るのであった。


MIKAEL ERLANDSSON - The 1 - It's Alright ★★★ (2007-06-23 00:21:14)

ミカエル・アーランドソンと言えば、やはりこの曲は外せない。
哀しくも切ないメロディを帯びた曲調といい、
ミカエルの「泣き」を含んだ歌声といい、
まさに「哀愁のロック・ナンバー斯くあるべし!」な必殺の名曲。
後にLAST AUTUMN'S DREAMにおいて、よりハードなアレンジを
施されてリメイクされたが、やはりメロウなこのバージョンが一番でしょう。


MIKAEL ERLANDSSON - Unfamiliar ★★ (2007-06-22 23:31:00)

「ポップ過ぎる」と言われた2nd『UNDER THE SUN』(個人的には名盤だと思う)にすら収録されていた
ハードロック・チューンがとうとう完全に姿を消し、前2作に比べて更にシンプルに、更にソフトにと、
より一層のポップ化が推し進められた、'97年発表の3rdアルバム。
全体的に「哀愁のメロディ」が薄まり始めていて、代わりに目立つのが、ミカエル・アーランドソンのルーツである
BEATLESやELECTRIC LIGHT ORCHESTRAといったバンドを彷彿とさせる、人懐っこいポップ・センス。
また、楽曲のアレンジもかなり簡素化されていて、それに合わせてかミカエルの歌唱もかなり大人しめで、
以前のような聴いてるだけで胸がキュンとなる(死語か?)熱唱は、余り耳にすることが出来ない。
とは言え、前2作の事を切り離して1枚のアルバムとして評価すれば、楽曲は十分キャッチーだし、
ポップなメロディはフックに富んでいるしで、相変わらずクオリティは並外れて高い。
メロウな曲調にアコギ・ソロがマッチする②や、切ない哀メロがジンワリと胸に染みる⑥のように、
これまでの路線を踏まえた楽曲もしっかりと収録されているしね。
ただ、“IT'S ALRIGHT"や“UNDER THE SUN"クラスのキメ曲に欠けるせいか、その完成度の高さに反して
前2作ほどのインパクトが残せていないのも、また事実。 何とも惜しい1枚。
尚、本作発表後、ミカエルは4th『THE GIFT』で復活を果たすまで、暫しの沈黙期間へと突入する事になる。


MIKAEL ERLANDSSON - Under the Sun - Under the Sun ★★★ (2007-06-21 22:22:11)

爽やかさやキャッチーさが強化された2ndアルバムの中にあって、
この曲の放つ強烈な哀愁は一際耳を惹く。
泣きの入ったミカエルの絶品の歌声
(この人は歌唱力よりも、声質それ自体が非常に魅力的だ。
勿論、歌も上手いけど)、
悲哀に満ちた冷ややかなメロディ・・・
隠し味の女性Voも良い感じのスパイスとなっている。
個人的には“IT'S ALRIGHT"に匹敵する名曲じゃないかと思っております。


MIKAEL ERLANDSSON - Under the Sun ★★ (2007-06-21 22:12:00)

名盤『THE 1』と、そこに収録された名曲“IT'S ALRIGHT"で日本のメロディ愛好派リスナーのハートを
鷲掴みにしたミカエル・アーランドソンが、'96年に発表した2ndアルバム。
絶品の哀愁のメロディに彩られた、瑞々しいハードロック・チューンがギッシリ詰まったデビュー作に比べると、
「泣き」の要素が薄まって、ハード・ロッキンなエッジが更に失われた余りにポップな作風ゆえか
(ドライでシンプルなサウンド・プロダクションも、その印象に拍車を掛けている)、発表当時、BURRN!!誌上でも
高評価を得ることが適わず、大して話題になる事もなくフェードアウトしてしまった本作だが、いやいや、なかなかどうして出来は良い。
と言うか、ミカエルのソロ・アルバムの最高傑作は本作である!と、個人的には信じて疑わない次第。
泣きの代わりに、「爽やかさ」や「キャッチーさ」といった要素が増量された楽曲の数々は、相変わらず心憎いばかりに
フックに富んだメロディ満載で、やや掠れ気味のハスキー・ボイスがチャーム・ポイントのミカエルの熱唱が映える映える。
清涼感漂うポップ・チューン②、スウィートなバラード③、爽やかに疾走する⑤、悲哀に満ちた⑨、
バイオリンをフィーチュアしたプログレ風味の⑪といった楽曲を筆頭に、全12曲、捨て曲なし。
中でも、冷ややかな哀メロと、多分に「泣き」を含んだミカエルの歌声が胸を締め付ける
アルバム・タイトル・トラックの④は、“IT'S ALRIHGT"級の名曲じゃないかと。
如何にも北欧的な雰囲気は薄まったものの、これぞ洗練されたハードポップ・アルバムの名盤!


LAST AUTUMN'S DREAM - Saturn Skyline - Rock 'n' Roll Is Saving My Soul ★★★ (2007-06-20 21:05:23)

タイトルからして、KISSの感動的な名曲
“GOD GAVE TO ROCK N' ROLL TO YOU"を彷彿とさせる
ドラマチックな仕上がり。
ライブにおいて観客がサビを合唱する場面は、
ミカエル・アーランドソンでなくとも感動もの。


MIKAEL ERLANDSSON - The 1 ★★ (2007-06-20 05:52:00)

先日行われたLAST AUTUMN'S DREAMの来日公演が予想以上に素晴しくて、俺の中のミカエル・アーランドソン熱が再燃。
ここ数日、彼の過去の作品をCD棚から引っ張り出しては毎日のように聴いているのだが、そのミカエルの代表作と言えば、
やはりソロ・アーティストとしてのデビュー作であり、名曲中の名曲“IT'S ALRIGHT"を収録した、
'95年発表のこの1stアルバムで決まりだろうか。
メタルはおろか、ハードロックとすらかなり距離の感じられるライトな音楽性なれど
(名バラード⑩を初めて聴いた時は、これ何て徳永英明?と思ったものです)、
ミカエルの少々掠れ気味のハスキー・ボイスで歌われる、強力な哀愁とフック、そして如何にも北欧的な透明感を
兼ね備えたメロディの魅力は、そうした物足りなさを補って遥かに余りある。
特に、悲哀に満ちたヴァースから広がりを感じさせるサビメロへと流れて行く曲展開が胸キュン(死語)モノの①に始まり、
涼しげなピアノの音色が効いている爽やかな②、アコギをフィーチュアした叙情バラード③、強烈な「泣き」に
思わず眉毛も八の字になってしまう④を経て、哀愁のロック・チューンの理想形を体現する必殺の名曲⑤が炸裂する
アルバム前半の隙のない構成はお見事。
中でも⑤は、後にLAST AUTUMN'S DREAMでも、もっとハードなアレンジでリメイクされるわけだが、
個人的には、曲の持つ叙情性を効果的に増幅させるメロウなアレンジの施された、本作のバージョンの方が好みかな。
メロディ愛好家なら、必聴/必携の1枚かと。


BATHORY - Blood Fire Death ★★ (2007-06-18 21:48:00)

VENOMやCELTIC FROSTと並んで、「ブラック・メタルの元祖」と崇め奉られる
スウェーデンのカルト・スラッシャーBATHORYが、'88年に発表した4thアルバム。
チープな音質、寒々しく邪悪なリフ、性急に疾走するリズム、ヒステリックな絶叫Vo、ある種、宗教的な
荘厳さすら感じさせる楽曲と、後にブラック・メタルと呼ばれる事になるサウンド・スタイルの雛形を
確立した前3作に比べると、ノルウェー出身の画家ペーター・ニコライ・アルボの代表作の1つ、
『THE WILD HUNT OF ODIN(ASGARDSTEIEN)』をアルバム・ジャケットに用いた本作は、大仰さやドラマ性といった
要素が後退して、よりスラッシュ・メタル的なストレートさが前面に押し出されているのが特徴。
クォーソンのVoパフォーマンスにも幅が出て来ているし、サウンド・プロダクションも(極上とまではいかないまでも)
それなりに向上と、全体的にかなり聴き易い作風に仕上がっているので、BATHORY初体験者にもお薦めの作品かもしれない。
個人的には、傑作3rd『Under The Sign Of The Black Mark』に比べると、特に疾走チューンにおけるドラマ性が
減少してしまっているのが残念だが、その一方で、序曲①を経て、アコギやシンセサイザーを駆使して
邪悪且つ荘厳な雰囲気を演出する②や、本編ラストを締める10分以上に及ぶ大作⑧といったミドル・チューンの数々は、
相変わらずのダークでイーブルなドラマ性の高さを誇るので、初期からのファンも安心だ。
中でも⑧。正直「パクリ」と言われても言い逃れが出来ないぐらいMANOWARの名曲“BATTLE HYMNS"にクリソツな
仕上がりなのだが(特にサビのリズム・パターンがまんま)、ともあれ、BATHORYのヴァイキング・メタル路線の
幕開けを飾る本作に相応しい名曲なのは間違いない。必聴。


LAST AUTUMN'S DREAM ★★ (2007-06-15 22:04:00)

来日公演を見てきました。「良くも悪くもスタジオ・ミュージシャンが集まったバンド」という
イメージが強かったのですが、かなりしっかりとしたライブを見せてくれたので大満足。
特にミカエル・アンダーソンが、あそこまでしっかり歌えるシンガーだったとは嬉しい驚きでした。
てっきり、経験値の少なさからメロメロな歌唱を披露してしまうものとばかり・・・。
また、ファンによる“ROCK'N ROLL IS SAVING MY SOUL"のサビの合唱シーンは、
ミカエルでなくとも感動してしまう、ショウのハイライト的な場面として非常に印象に残りましたね。
唯一の不満は、アンコールなしで1時間弱と、公演時間がえらく短かった点でしょうか。


ANVIL - Metal on Metal - Mothra ★★ (2007-06-13 21:54:07)

ゴジラではなく、モスラというチョイスが渋いねぇ。
とは言え、タイトルこそ色物臭いが、これが真面目に
アルバムの中でも1、2を争う名曲なんだから侮れない。
中盤、テンポ・チェンジする場面のカッコ良さときたら!


ANVIL - Metal on Metal ★★ (2007-06-13 21:47:00)

EXCITERと双璧を為す、カナダ出身の元祖スラッシュ・メタル・バンド、リップス(Vo)率いるANVILが
'82年に発表した2ndアルバムにして、“METAL ON METAL"“MOTHRA"“JACKHAMMER"“666"といった
ANVILを語る上で欠かす事の出来ない名曲を多数収録した、彼らの代表作と言うべき1枚。
カミソリの如く切り裂くように疾走しまくるEXCITERに比べると、こちらはもう少しオーソドックスというかメロディ重視のサウンドで、
楽曲は意外なくらいキャッチー(ポップという意味ではない)。勇壮なインスト曲④や、初期RIOTにも通じる哀愁を漂わせた
⑧のようなハードロック・チューンを収録していたりするので、EXCITERよりもかなり取っ付き易く感じられるかも。
とは言え、やはり「元祖スラッシュ・メタル・バンド」の称号は伊達じゃなく、アルバム全編に漲る攻撃性は
同年代のバンドに比べるとズバ抜けて高濃度。有無を言わせぬスピード感こそそれ程ではないものの、パワフルなメタル・アンセム①、
ゴジラではなくモスラというチョイスが渋い(?)②、哀愁を帯びて疾駆するRIOT風味の⑤、本編最速ナンバーの⑩といった
名曲群におけるエッジの立ったリフの刻みや、全楽器が一丸となって生み出す突進力は文句なしでスラッシュ・メタル的だ。
本作発表当時、本国よりもNWOBHMに沸くイギリスで高い評価を受けたというのも大いに納得のいく名作。
尚、バンドは現在も元気に活動中で、去年もLOUD PARK06に参戦するために唐突に来日。
オールド・スラッシャーを「なぜANVILが?」と不思議がらせつつも大いに喜ばせた。


MANOWAR - Louder Than Hell - Outlaw ★★ (2007-06-12 21:06:05)

↑ドイツではバラードがヒットしたせいか、女性ファンが多いんだとか。

それは兎も角、この曲はシンプル且つ硬派な疾走チューン。
中盤のドラマチックな一捻りに胸躍ります。


MANOWAR - Louder Than Hell ★★★ (2007-06-12 21:00:00)

オリジナル・メンバーの1人であり、生粋のロックンローラーだったロス・ザ・ボス(G)が6th『KINGS OF METAL』を最後にバンドを去って以来、ジョーイ・ディマイオ(B)の妥協を許さぬ完璧主義者っぷりに歯止めを掛けられる存在がいなくなったのか、アルバムのリリース・ペースがオリンピック級の気の長さになってしまったMANOWAR、'96年発表の8thアルバム。
前作『THE TRIUMPH OF STEEL』から参加したデイヴィッド・シャンケル(G)とライノ(Ds)が早くも脱退し、新Gとしてカール・ローガンが加入。Dsの座には前任のスコット・コロンバスが出戻るという慌しい人事異動を経て完成をみた本作だが、大勢には全く影響なし。いや、寧ろやや力み過ぎの感があった『THE TRIUMPH~』を軽く凌駕する内容に仕上がっているような・・・。
前作は、30分に及ぼうかという組曲“ACHILLES,AGONY AND ECSTASY"を筆頭に、気合の入った大作がズラリと並んでいたものの、メロディの弱さがアルバムの印象を弱いものにしてしまっていたが、今回は初心に帰ったのか、贅肉を削ぎ落とされ、コンパクトに絞り込まれた楽曲の数々は、疾走チューンにしろ、ミドル・チューンにしろ、バラードにしろ、非常に明快でキャッチー。
また、前作から飛躍的に向上したエリック・アダムスの歌メロの充実振りも大きい。特に、活きの良いOPナンバー①、タイトル/歌詞/曲調と、どこを切っても100%MANOWAR印な②、中盤の劇的な曲展開がガッツポーズ物のカッコ良さを誇る⑥、壮大なインスト曲⑧~⑨を経て、ラストを猛スピードで締め括る勇壮な⑩といった楽曲は、その両者の最良の部分が上手い具合に組み合わさった名曲じゃないかと。その他の収録曲も何れも粒揃い。当然捨て曲なし。
個人的には、ロス・ザ・ボス脱退(7th)以降のアルバムでは、この作品が一番好きだな。


MANOWAR - The Triumph of Steel ★★ (2007-06-11 22:33:00)

ロス・ザ・ボス(G)とスコット・コロンバス(Ds)が脱退したり、新しいレコーディング・スタジオを建設したりとドタバタと色々な事があって、前作から実に4年のインターバルを経て、'92年に漸く発表された7thアルバム。邦題は『勝利の鋼鉄(はがね)』。
オリジナル・メンバーにして生粋のロックンローラーでもあるロスがバンドを去った事により、ジョーイ・ディマイオの妥協を許さぬ完璧主義者っぷりに歯止めを掛ける存在がいなくなってしまったせいか、これ以降、MANOWARのアルバム・リリース・ペースはオリンピック級の気の長さになってしまうわけだが・・・。ま、それはともかく。
本編の半数を重々しいミドル・チューンが占め、しかもエリック・アダムス(Vo)がドラマチックな歌い上げよりアグレッシブなシャウトを多用している事もあって、MANOWARのアルバムの中でも際立ってヘヴィな仕上がりの本作。
正直、それらの楽曲はメロディの魅力、分けても歌メロにフックが乏しいため、どうにも地味な印象が拭えない。そして何より、アルバムのOPにドーンと鎮座まします超大作①だ。これを受け入れられるかどうかで真のMANOWARファンか否かが決まるという、ファンにとっては、ある種、踏み絵的な存在のこの組曲。長尺にも関わらずオーケストラやKeyの類に頼らない姿勢は、如何にもこのバンドらしくてナイスだが、やはり各楽器のソロまで組み込んだ構成は、(意図は分かるけど)個人的には冗長に感じられてしまう。
ただパート毎に見れば、エリック入魂の歌唱に胸揺さぶられる第6章や、ライブでも摘み食い的にプレイされていた荒々しくスピーディな最終章なんかは聴き応え十分。また本作には他にも、これぞMANOWAR!なメタル・アンセム②、スケールの大きな哀愁のバラード⑧、そして「この1曲のためだけにこのアルバムを買っても損はない」と思わされる、劇的なドラマ性を飲み込んで勇壮に疾走する名曲⑥なんかが収録されていて、聴き終えてみれば「なんだ、結局はいつもの良く出来たMANOWARのアルバムじゃんか」との結論に落ち着くのであった。
尚、本作発表後に初来日公演が実現。ステージ上でエリックは「日本に来るまで10年かかったけど、今度はもっと早く戻ってくるからな!」と語っていたが、あれから更に10年以上の月日が経っても、未だ再来日公演が行われる気配はないのであった・・・。


MANOWAR - Kings of Metal - Wheels of Fire ★★★ (2007-06-09 21:00:49)

スラッシュ・メタルばりのスピード感と、
炸裂するようにダイナミックに展開する
サビメロのカッコ良さが半端じゃない。
余談だが、RHAPSODYの4thアルバムには、この曲そっくり
(ご丁寧にVoの歌声まで左右のチャンネルに振り分けてある)の
“WHEN DEMONS AWAKE"という曲が収録されていて、
今にして思えば、彼らがジョーイ率いるマネジメント
マジック・サークル・ミュージックに移籍する予兆だったのかな、と。


MANOWAR - Fighting the World - Black Wind, Fire and Steel ★★★ (2007-06-09 20:42:23)

個人的には思い入れの薄い5thアルバムだが、
間違いなくアルバムのハイライトを飾るこの曲は、
文句なしで素晴しい。
エンディングがクドイという意見が出ているようですが、確かに(笑)。
ただ来日公演の時には、引き伸ばされたエンディングの最中に、
ジョーイ・ディマイオがベース弦を1本1本、
力任せに引き千切っていくという
圧巻のパフォーマンスを披露して会場を沸かせていたので、
映像付きで見るとまた印象が違うのかもしれませんね。
“BATTLE HYMNS"のエンディングもまた然り。


MANOWAR - The Triumph of Steel - The Power of Thy Sword ★★★ (2007-06-09 20:29:11)

ヘヴィネスは効いていても、楽曲のメロディの弱さと、
せっかくのエリック・アダムスのVoを活かしきれていない印象が
強い7thアルバムの中にあっても、この曲だけは別格。
疾走感、メロディ、そしてエリックの壮絶な歌唱が
三位一体となって突撃する、アルバムのハイライト・チューンだ。


MANOWAR - Into Glory Ride - Gloves of Metal ★★★ (2007-06-09 01:22:39)

1stに比べ、いよいよエリック・アダムスのVoがパワー全開。
特に、この曲における彼の歌唱には心震えます。
何度聴いても「レザー!メタル!スパイクス!アンチェイ~ンンン」
の歌い回しにコブシを握ってしまう俺がいる。


MANOWAR - Battle Hymns - Battle Hymn ★★★ (2007-06-09 01:10:12)

必ずライブのエンディングで演奏される超名曲。
まさに「地獄の鎮魂歌」(?)
1st収録バージョンは、オモチャの太鼓みたいにチープな
ドラム・サウンドがイマイチなので、
個人的にはスコット・コロンバスの雷鳴の如きドラミングが堪能できる
劇的さ4割増しのライブ・バージョンを聴く事をお薦めしたい。


MANOWAR - Sign of the Hammer - Guyana (Cult of the Damned) ★★★ (2007-06-09 01:01:07)

カルト教団の教祖ジム・ジョーンズ以下、信者913人以上が死亡した
南米ガイアナにおけるの人民寺院集団自殺事件を
題材に取り上げた、MANOWAR屈指の超名曲。
この曲を聴けば、MANOWARが底の浅い単なるファンタジー・バンドじゃない事が分かる筈。
出来れば国内盤の歌詞も読んでみて欲しいところ。
怒りと悲しみを感じさせるジョーイ・ディマイオのBプレイは絶品だ!


MANOWAR - Sign of the Hammer - Thor (The Powerhead) ★★★ (2007-06-09 00:50:57)

4thアルバムにおいて、“GUYANA"に匹敵するハイライト・チューン。邦題は“戦神トール"。
まさに「戦いの歌」といった趣きの勇壮な歌メロと、劇的なリフ、
それに激烈な疾走感に心が震えます。


MANOWAR - Hail to England - Hail to England ★★★ (2007-06-09 00:42:44)

MANOWARにハマリ始めた当時、3rdアルバムは世界的に廃盤状態だったので、
仕方ないから今は亡き西新宿のDISKLANDで海賊盤を4000円の大枚はたいて購入したのだが、
まぁ板起こし盤ゆえスクラッチ・ノイズが豪快に入ってるのは我慢するにしても、
この名曲を2分ぐらい聴き進んだ所で、いきなり針飛びを起こして、
最後のコーラス部分まで音が飛んでしまうのには参った。
チクショウ、いい加減な録音しやがって!金返せ!
・・・という意味でも思い出の1曲。
後に国内盤が発売されて、改めて聴き直した時には感動しましたね。


MANOWAR - Kings of Metal ★★★ (2007-06-08 23:41:00)

タイトルといい、アートワークといい、暑苦し・・・もとい、劇的な楽曲の数々といい、ファンは忠誠を誓い、興味の無い人間は失笑を漏らすMANOWARというバンドの一番「濃い」部分をグツグツと煮詰めたかのような、アクの強くてマッチョな作風を誇る'89年発表の6thアルバム。
個人的に初めて買ったMANOWARのアルバムであり、HELLOWEENの『守護神伝 第2章』やRIOTの『THUNDERSTEEL』と並んでメタルに本格的にハマる切っ掛けとなった1枚だけに思い入れも一入なんだけど、その辺の贔屓目を抜きにしても本作のクオリティは『HAIL TO ENGLAND』『SIGN OF THE HAMMER』等の傑作群に匹敵する高さ。(・・・じゃないかな、と)
CD用ボーナス・トラック⑦がちと弱いが(ネタ曲としては満点)、それ以外は、スラッシーな疾走感とダイナミックなサビメロが圧倒的興奮を生む①に始まり、ラストを締める、余りに大袈裟で芝居がかった展開が笑いと感動を呼ぶ組曲⑨~⑩まで、全編これ捨て曲なし。中でもエリック・アダムスの熱唱が胸焦がす大ヒット・バラード③、100人からの男性コーラス隊が参加した荘厳且つ厳粛極まる⑤、そして劇的にしてキャッチーな(来日公演でも物騒な「HAIL&KILL」コールを巻き起こした)本編のハイライト・チューン⑧といった楽曲のカッコ良さは鳥肌モノ。
また今回特に注目すべきは、これを最後にバンドから脱退するロス・ザ・ボスのGプレイ。一般的に、ジョーイ・ディマイオの作る楽曲と、エリック・アダムスの超絶歌唱があれば、それでMANOWARサウンドは成立するというのがファンの共通認識なれど、このアルバム以前と以後とで、その作風が微妙に変質していく事を鑑みるに「やはりオリジナル・メンバーのロスの存在って重要だったんだな~」と、その豪快さと繊細さを併せ持つGプレイを聴きながらしみじみと実感させられます。
ロス・ザ・ボス在籍時代の集大成とも言える、気合の入った傑作。