現在では、引く手数多の敏腕プロデューサーとして名を馳せるアンディ・スニープ(G)や、 SKYCLADのマーティン・ウォルキーア(Vo)が在籍していた事で知られる、英国はノッティンガム出身の スラッシュ・メタル・バンド、'89年発表の2ndアルバム。(ちなみに、本作からツインGを擁する5人編成となった) ストレートなスラッシュ・サウンドを聴かせたデビュー作『HISTORY OF A TIME TO COME』に比べ、 今回はマーティンの「色」が強く反映された、ファンタジックな雰囲気漂うコンセプト・アルバムという事で、 スラッシーな疾走感はそのままに、リフはより重厚に、Gは艶を増し、アコギ、ストリングス、女性Voの導入等、 細部へのアレンジにもこれまで以上に気の払われた、起伏に富んだドラマチックな楽曲がズラリと並ぶ。 前作では、割とありがちなシャウト・スタイルだったマーティンのVoにも凄みが増し、 ある種呪術的とも言えるドスの効いた歌唱でアルバムの幻想的な雰囲気を盛り上げる。 個人的には、イントロ①に続く②や、④のようなシャープに疾走するリズムに、劇的なツインGが乗っかる楽曲が好みなれど、 マーティンがノーマルVoで歌い上げ、そこにバイオリンが絡む③も、後のSKYCLADに繋がる重要な存在として見逃せない。 全体的に見ると、アルバムのハイライトとなるべき大作曲にイマイチ冴えが見られないのが残念だが (リフが次々に展開していく⑤とかはユニークな仕上がりなんだけど)、本作をSABBATの最高傑作とする意見に異論はない。 尚、最近長年のファンの願いが叶って、アンディ・スニープによりリマスターが施された再発盤がリリースされた。
アルバム・デビュー前に製作した2本のデモ・テープ『ANGEL OF DEATH』と『VIRGIN METAL INVASION FROM DOWNUNDER』を 1つにまとめ、デジタル・リマスターを施してCD化した初期音源集。 流石にリマスターしたとはいえ、デモ音源ゆえ音質的には少々厳しい場面も散見されるが、バンドの音楽的方向性は この頃からハッキリと定まっていて、SLAYERからの影響が色濃く薫る、ダークでスピーディ且つイーヴルな スラッシュ・サウンドは、音の悪さを差し引いても遥かに余りある、ハイレベルなカッコ良さを誇る。 全11曲中、よりストレートなサウンドを聴かせる①~⑥が『ANGEL~』から、邪悪なドラマ性や荘厳さを 強調した感じの⑦~⑪が『VIRGIN~』からの音源。ここから後に①②③④⑤⑥⑨⑪がデビュー作に 収録される事になるわけで、中には「1st持ってるからいらないや」と敬遠する人もいるかもしれないが、 いやいや、何を仰いますやら。本作のみ収録で、⑨と並んでバンドの極初期からの レパートリーでもあったらしい⑧は名曲ですよ?(序曲⑦も◎) HOBBS' ANGEL OF DEATHのファンのみならず、スラッシュ・メタル好きなら聴いて損はない作品。勿論、1stアルバムはもっと必聴だが。