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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 6701-6800

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 6701-6800

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SLAYER - Christ Illusion ★★ (2006-09-11 21:38:00)

速いから素晴しいのではなく、速くてカッコイイ曲を演ってるから素晴しいのですよ!と、
強く主張しておきたい、前作『GOD HATES AS ALL』以来、5年振りに発表された待望の9thアルバム。
デイヴ・ロンバートの出戻りという大イベントを経た所為か、原点回帰(この場合の原点は3rd『REIGN IN BLOOD』を指す)の
姿勢が強く打ち出されている感じで、ここ数作の「速い曲も演る」スタイルから一転、アグレッション漲る
スピード・チューンが収録曲の大半を占める。増加傾向にあった曲数も再び10曲まで絞られ、
ランニング・タイムも40分弱とスカッとタイト。それでいて異様なまでに密度が濃いので、
聴き終えた後に物足りなさが残らないという、まったく恐れ入る仕上がり。
小細工を排して、生々しく迫ってくるトム・アラヤのハイテンションVoの迫力も前作以上だ。
何より特筆すべきは、アグレッシブでありながら非常にキャッチーという点で、中でもジェフ・ハンネマンのメロディアスなGソロに
耳奪われる①、2本のGが刻むリフにゾクゾクさせられる⑤、印象的なサビを持つ先行シングル⑨なんかは、そうした部分が顕著に現れた名曲。
このキャッチーさ(ポップという意味ではないので悪しからず)あったればこそ、本作は「ビルボード初登場5位」という、
SLAYERの作品史上最高位の成績を収められたのではなかろうか。疑いの余地なく傑作。


SLAYER - Show No Mercy ★★ (2006-09-09 00:03:00)

メタルを聴き始めて間もない頃、友人が「コアなJUDAS PRIESTみたいでカッコイイぞ」と貸してくれたのが、
この'83年発表の1stアルバムであった。その時は一聴して「こんな雑音とJPを一緒にするんじゃないよ」と
突っ返した記憶があるのだが、今、改めて聴き直してみると、友人の言葉に嘘が無かった事がよく分かる。
確かに①⑥⑩辺りを筆頭に、前のめりに突っ走る楽曲は(当時の)常識外れなまでの疾走感を誇るが、
リフには欧州へヴィ・メタルからの大きな影響が感じられ、Gソロも、狂ってはいるが意外なほどメロディアス。
特に⑨のIRON MAIDEN風のインスト・パートなんぞ「ドラマチック」と表現しても差し支えないカッコ良さ。
トム・アラヤのVoも、尋常ならざるテンションの高さは今と変わらないが、曲によっては「歌ってる」場面が多々あり、
正統派へヴィ・メタリックな⑦における歌唱なんて、シャウトと言うよりハイトーンVoのようだ・・・なんて言ったらトム・アラヤに怒られるか?
思わず微笑ましくなるダサジャケや、バスドラが破けたまんまレコーディングに挑んだデイヴ・ロンバートのエピソード等、
SLAYERにしてみれば「若気の至り」的な1枚だろうが(現在のような「帝王」のオーラも殆ど漂ってこないし)、
それでも個人的には、彼らの全アルバム中、3rd「REIGN IN BLOOD」に次いでお気に入りの作品だったりする。


SILENT SCYTHE - Suffer in Silence ★★ (2006-09-08 23:49:00)

スウェーデン産の5人組パワー/スラッシュ・メタル・バンド、'04年発表の1stアルバム。
(正確には'03年に自主制作した作品のリニューアル盤らしい)
製作過程がかなりドタバタと慌しかったようで、どうにもマテリアル不足の感は否めず、全8曲のうち、
イントロ代わりのSE①と、ボーナス・トラック的なスタジオ・ライヴ・テイク⑧を除けば、僅か30分ちょいという
アルバムのランニング・タイムに物足りなさが残るが、それは本作の仕上がりが強力だからこそ。
サウンド・プロダクションや歌メロにはモダンな雰囲気が感じられるものの、そこに北欧のバンドならではの
憂いを帯びたメロディやリフ・ワーク、ドラマチックなGソロが加わる事で、独特な魅力が発生。
特に、凄まじいアグレッションを撒き散らしながら疾走する、AT THE GATES風の高速スラッシュ・チューン②、
IRON MAIDENばりのツイン・リードが印象的な⑤(これに限らずGコンビはアルバム全編で非常に良い仕事をしている)、
スピーディな曲調と浮遊感漂うサビ、そして劇的なGソロの対比が美しい⑥といった楽曲は、その好例か。
ラフな仕上がりながら、ラテン風味の効いたアコギ・バラード⑧も○。
メンバーでは、メロディックな歌い上げもこなす一方、NUCLEAR ASSAULTのジョン・コネリーを彷彿とさせる
ハイテンションなシャウトもキメまくるVoの存在が光るが、何とその彼氏はアルバムの発売を待たずして脱退。
既にバンドには後任Voが加入済みとのこと。果たしてこの逸材Voの穴を埋められるほどの実力者か否か・・・
完成間近と伝えられる2ndアルバムの発表を待ちたいところ。


RITUAL CARNAGE - The Highest Law ★★ (2006-09-04 22:16:00)

2nd「EVERY NEVER ALIVE」が、かなりカッコイイ出来だったので、遡って聴いてみた'98年発表の1stアルバム。
うん。こちらもなかなかイケてます。
分厚く刻まれるリフ、全編をスピーディに疾走するリズム、そしてメロディックなツイン・ギターといった要素は
もう既にこの時点で耳にすることが出来るが、オーセンティックなヘヴィ/スラッシュ・メタルからの影響が
色濃く感じられた「EVERY~」に比べると、本作はもう少しコア寄りなスタイル。轟然とした音作りといい、
Voの歌唱もデス・メタル風だし、時にブラスト・ビートが炸裂したりと、所謂メロディック・デス・メタル的なアプローチが目立つ。
まだまだ、有無を言わせぬ迫力は感じられないものの、クオリティの高さは折り紙付き。
特に、シャープ且つメロディアスな2本のGの絡みが勇壮さを演出する、アルバムのタイトル・トラック④や、
ベテラン・スラッシュ・バンドへのトリビュート・ソングといった趣きの⑨等の楽曲は、
次作で開花するスラッシュ・メタル路線への萌芽として、聴き応え十分。ONSLAUGHTの名曲“DEATH METAL"を
カヴァーするセンスにも◎を差し上げたい。(⑨もONSLAUGHTの名曲と同タイトルなれど、こちらは同名異曲)
リーダーであるVo兼Bがアメリカ人である事を抜きにしても、「日本のバンドにしては」等という注釈無用の
優れたデビュー作であるように思う。


RITUAL CARNAGE - Every Nerve Alive ★★ (2006-09-02 00:48:00)

大した予備知識もなしに、骸骨武者&2丁拳銃というイカしたアルバム・ジャケットに惹かれて購入してみたら、
これが大当たり。極太のリフがバリバリ刻まれ、スタスタと2ビートが猛スピードで駆け抜けていく
スラッシュ・メタルの力作であった。(ライナーによれば'00年発表の2ndアルバムとのこと)
とにかく徹頭徹尾、疾走しまくりの1枚で、本編ラストをヘヴィに締める⑩(とは言え、この曲にだって
疾走パートが組み込まれているんだが)以外は、METALLICAのカヴァー曲“HIT THE LIGHTS"他、
日本盤のみのボーナス・トラック4曲も含めて、収録曲全てが高速スラッシュ・チューン。
「緩急?知らねーよ」とばかりに飛ばしまくる、スラッシュ馬鹿一代っぷりが存分に堪能できる1枚。
それでいて単調さが然程感じられないのは、欧州へヴィ・メタルからの影響が色濃いリフ・ワークと、
メロディックなツイン・ギターに宿る高いドラマ性ゆえか。
Voはメロディ無視の吐き捨てスタイルながら、デス声の手前で踏み止まって聴かせる、ドスの効いた硬質なシャウトは
なかなかの迫力。スピーディでアグレッシブな曲調にも非常にマッチしている。
篭もり気味のサウンド・プロダクションが惜しい。(迫力という点では文句なしなんだけど)


ANNIHILATOR - Double Live Annihilation ★★ (2006-08-26 19:41:00)

'03年発表の2枚組ライブ・アルバム。9th「WAKING THE FURY」に伴う欧州ツアーの模様を捉えたものらしいが、
偏りのない選曲はなかなかツボを突いていて、これなら確かにベスト盤としても十分に機能すると思われ。
勿論、「漏れ」も結構あるけど、歴史の長いバンドだけに致し方なしと言ったところか。
DISKⅠに比較的新しめの曲を、DISKⅡに初期の名曲を集めた構成になっていて、やはりDISKⅡの怒涛の盛り上がりは圧巻。
実験色の濃いサウンドだった「WAKING~」からの楽曲も、こうして装飾の取っ払われたライブで聴くと、
非常に純度の高いスラッシュ・メタル・チューンと化していて面白い。
ジェフ・ウォーターズ(G)を筆頭に、楽器陣の一糸乱れぬ、それでいてライブならではの熱さと
前のめり感を漂わせた、素晴しく達者な演奏ぶりは今更言うに及ばず、歴代フロントマンの中でも
屈指の実力を誇る逸材Voジョー・コミューのダイナミックな歌唱もお見事!
個人的には、もう少し観客とのエネルギーのやり取りが感じられるライブ盤の方が好みだし、
欧州メタル・ファンの嗜好を考慮した結果か、ANNIHIRATORのもう1つの顔である「メロウな側面」が
フォローされていないのも残念だが、ともあれ、ジョー・コミューを擁したバンドの3度目の来日公演を見逃した
己の迂闊さを呪いたくなる、ハイクオリティなライブ盤であることは間違いない。


ANNIHILATOR - Schizo Deluxe ★★ (2006-08-23 22:23:00)

前作「ALL FOR YOU」に引き続きベーシスト不在のまま、ジェフ・ウォーターズが兼任する形でレコーディング
(リフが印象的な佳曲⑧ではリードVoも披露)、'05年に発表された11thアルバム。
似たようなスタイルを2作続けない事を旨とする(?)ANNIHILATOR。前作が大作主義に傾いたシアトリカルな作風だった事への
反動か、今回はコンパクトにまとめられた(彼らにしては)直線的な楽曲がズラリと並ぶ。バラードもない、かなり硬派な仕上がり。
ただ、ここで気になるのは、器用だがパンチに欠ける声質のデイヴ・パッデン(Vo)のありがちな歌唱スタイルが、
せっかくの楽曲の個性をスポイルしてしまっているように聴こえる点。③⑤⑨のようなドラマチックで多彩な表現力を
必要とする楽曲におけるハマリっぷりは、相変わらず最高なんだけど・・・。
とは言え、疾走感と勇壮なメロディが融合を果たした②⑤⑦のようなスピード・チューンは、
その辺りの不満を差し引いても十分カッコ良く、全体的な完成度には揺るぎはない。
また、今回はなかなか興味深いボーナス・トラックが何曲か収録されていて、1つはシングルのみの収録だった⑪。
全楽器が一丸となって突進する「らしい」スラッシュ・チューン。そしてもう1つは、バンド名をタイトルに
冠した⑬(4th収録のモノとは同名異曲)。リフ主体で組み立てられた、如何にも'85年という時代を感じさせるHMチューンで、
ジェフがNWOBHMから大きな影響を受けていたことが伺え、微笑ましい。
それにしても、これだけ素晴しい作品を発表し続けているのに、ここ暫く来日がないのはどういうことか。
単独公演が難しいなら、THRASH DOMINATIONに1バンドとしてでも構わないので、日本に呼んで貰えないもんかな~。


ANNIHILATOR - All for You ★★ (2006-08-17 22:28:00)

3枚の作品を残して、逸材Voジョー・コミューが脱退。代わりに無名の新人デイヴ・パッデンを加えて、'04年に発表された10thアルバム。
その新Voは、この御時世アメリカには掃いて捨てる程いそうな、クリーンボイスと怒号を使い分けるタイプだが、
流石ジェフ・ウォーターズの眼鏡に適っただけあって、③のようなスラッシュ・チューンも、④のようなバラードも
歌いこなせる確かな実力の持ち主。力んでもしなやかさを失わない声質は、前任者の「硬」の対して「軟」。
スタイル的には三代目Voのアーロン・ランドールに近い感じ?
そんな今風のVoの存在ゆえか、本作はモダンな空気が強いように感じられるかもしれないが、どっこい。
腰を据えて聴き込んでみると、スピーディでメロディアス、且つドラマチックというANNIHILATORサウンドの基本は
きっちり守られていることに気付く。まぁ1曲目のタイトル・チューンは、ジェフ自身が「NU METALっぽいだろ」と
ぶっちゃけてた通りの仕上がりなんだけど。とは言え、流麗なインスト・パートと、憂いを帯びた歌メロの魅力は
このバンドならでは。そもそも、流行を意識した曲をOPに持って来るのは昔からだしね。
そして何より、今回は初期のシアトリカルな雰囲気が復活を遂げている事が大きい。特に②⑤⑥⑨といった
大作志向の楽曲で聴く事の出来る、妖しくもドラマチックな曲展開と、それを絶妙にアシストするVoの
芝居がかった歌唱は本作の白眉。必聴。
あと個人的には、バラード⑧で久し振りにジェフの歌声が聴けるのも嬉しい(やはり上手い)。
今回は全編でBもプレイ。随所でメロディアスなフレーズを閃かせていて、久々にマルチ・プレイヤーの本領発揮といったところか。


ANNIHILATOR - Waking the Fury ★★ (2006-08-16 22:05:00)

前々作、前作と、ANNIHILATORの理想像に忠実な作品を発表してきたジェフ・ウォーターズ先生が、
久々に頭をもたげて来た実験精神を全開にして作り上げた、'02年発表の9thアルバム。また、ジェフ自身が兼任してて時期を除けば、
同じシンガーのまま、2枚目のアルバムを作る事が出来たという意味でも画期的(笑)な作品。
さて本作。CDを再生すると、いきなり斬り込んでくるノイジーなギター・サウンドに思わず仰け反らされる。
前作「CARNIVAL DIABLOS」はキャッチーとも言える仕上がりをみせていたが、今回は「獣性を呼び起こせ」の題名通り、
再びアグレッシブ方向に揺り戻されていて、凄まじいアグレッションを撒き散らしながら疾走する①、
鉈で両断されるが如きリフの刻みが強烈な③、殆どハードコア・チューンなノリの⑩、
といった楽曲に代表されるように、全体的にかなり前のめりな作風。
それでも本作が、賛否両論分かれた実験作「REMAINS」の再現になっていないのは、その豊潤なメロディの魅力ゆえ。
復活作「CRITERIA FOR A BLACK WIDOW」で開眼した、ジェフのメロディ重視の姿勢は②⑧等の楽曲に明らかなれど、
先述のスピード・チューンにしても、インスト・パートは非常にメロディアスで、アグレッシブな曲調と、
次々に湧き上がって来るメロディの対比が堪らなくドラマチックだ。そして、その極みが⑨“STRIKER"。
前作にもIRON MAIDENを彷彿とさせる名曲“EPIC OF WAR"が収録されていたが、こちらはシャープに乱舞するツインGと、
ジョー・コミューのパワフルな歌唱とが相俟って、スラッシーなJUDAS PRIESTといった趣き。
ジェフの作曲能力の高さを改めて思い知らされる名曲である。(正直、ブレイク・パートはいらなくね?と思わなくもないけど)


ANNIHILATOR - Carnival Diablos ★★★ (2006-08-14 22:47:00)

人気ないなー、このアルバム。個人的にはANNIHILATORの最高傑作!と断言したくなるぐらい気に入っているんだけど・・・。
快作「CRITERIA FOR A BLACK WIDOW」で、それまでの迷いを断ち切り完全復活を遂げたANNIHILATORが、'01年に発表した8thアルバム。
「CRITERIA~」でバンドに電撃復帰を果たしたランディ・ランペイジが、案の定、アルバム1枚きりで脱退(というか解雇)、本作からは、その後任として元OVERKILLのジョー・コミューが参加しているのだが、これがアグレッシブなシャウトから、ロブ・ハルフォードばりのスクリーム、更にはブルース・ディッキンソン風の雄々しい歌唱まで幅広くこなせる、二代目フロントマン コバーン・ファー以来の逸材。
「歌える」Voの加入効果か、楽曲の方も意図的に激しさ/複雑さが前面に押し出されていた前作に対し、今回はリフにしろ、メロディにしろ、ツインGの絡みしろ非常にキャッチー。曲展開も必要最低限に整理され、ある意味、正統派へヴィ・メタル的とも言える仕上がりをみせる。ここ暫くは封印されていた、バンド初期の必殺技「ここぞという箇所でのアルペジオ」が効果的にフィーチュアされているのも、その印象を強めている一因かな?
結果として、スラッシーな雰囲気は若干後退したものの(勿論③⑩のような高速スラッシュ・チューンも収録しているが)、シャープに疾走する①“DENIED"、へヴィな曲調と哀愁を帯びたVoハーモニーの対比が美しい④“CARNIVAL DIABLOS"、ジョー・コミューのダイナミックな歌唱が劇的な盛り上がりを演出する⑥“TIMEBOMB"、そして全てを兼ね備えた名曲中の名曲⑨“EPIC OF WAR"といったハイクオリティな収録曲の前には、そんなことは枝葉末節。
中期以降のANNIHILATORの何たるかが知りたければ、まず本作を聴くことをお薦めさせていただきまうす。


ANNIHILATOR - Criteria for a Black Widow ★★ (2006-08-12 01:27:00)

アルバムのOPをダイナミックに駆け抜けるスラッシュ・チューン①“BLOODBATH"が始まった瞬間、
「ANNIHILATOR復活!」と大声で叫びたくなる'99年発表の7thアルバム。いや復活も何も、バンドはコンスタントに
作品を作って順調に活動を続けていたわけなのだが、明らかに進むべき方向性に迷いの感じられたここ数作の作風から一転、
(私生活でのトラブルを乗り越えた開放感からか)本作では徹底的に原点回帰の姿勢が打ち出されているのだ。
アルバム・ジャケットにアリス人形が再登場、初代Voランディ・ランペイジの戦線復帰といった表面的な部分はもとより、
ここのところシンプル化著しかった楽曲に、叙情的なメロディ、リフ/リズム・チェンジを多用して畳み掛けてくる
ドラマチックな曲展開といった、1st~3rdの頃を彷彿とさせる要素が戻って来ているのがナイス。
そして何より、久々に冴え渡るジェフ・ウォーターズのギター・プレイ!まぁ兎に角、シアトリカル且つドラマチックな①⑤⑧、
高速スラッシュ・チューン⑥⑨等の楽曲を聴いてみて下さい。曲自体の素晴しさは勿論のこと、
その中を縦横無尽、緩急自在、華麗にして流麗に動き回るジェフのGに圧倒されること請け合いですから。
(また、声のクセの強さは相変わらずながら、多彩な表現力を駆使するランディ・ランペイジの良い仕事っぷりも見逃せない)
個人的には「REFRESH THE DEMON」も「REMAINS」も決して嫌いな作品ではなかったが、へヴィさとメロディが
絶妙な絡みをみせる本作を聴いてしまうと、やはり「これこそANNIHILATOR!」との思いを強くするのも、また事実。
何せ、このスタイルを彼らほど上手くやってくれるバンドは他にいないのだから・・・。


ANNIHILATOR - Remains ★★ (2006-08-10 22:45:00)

ANNIHILATOR最大の問題作と言えば、やはりこの'97年発表の6thアルバムでしょうか。
何せレコーディング・メンバーはジェフ1人(全てのパートを担当)という、文字通りのソロ・プロジェクト状態。
内容の方も、シンプルというか素っ気無いデザインのアルバム・ジャケットに嫌な予感を覚えつつCDを再生してみれば、
1曲目から聴こえてくるのは、明らかに打ち込みのDs、無機質なリフ、エフェクトのかかりまくったVoといった、
如何にも90年代風の(当時としては)モダンなサウンド・・・そりゃファンもドン引きするわ。
2曲目以降も似たようなスタイルの楽曲が続く事からも明らかな通り、彼らのアルバムの中でも最も実験色の濃い1枚で、
複雑な曲展開を排して、ひたすらシンプルにアグレッシブに攻めてくる楽曲は兎も角、全般的にGソロに冴えが見られないのが痛い。
どうやら、私生活でのゴタゴタで溜まったフラストレーションが、もろ作風に影響を与えてしまったらしいのだが・・・。
とは言え、それで本作を駄作と切って捨てるのは早計というもの。ジェフの成長著しいVoが素晴しい、
ここ数作では出色のバラード⑥“IT'S YOU"を皮切りに、うっすらと哀愁を帯びたリフが駆け抜ける⑦“I WANT"
初期ANNIHILATORの空気を濃厚に漂わせたスラッシュ・チューン⑧“TRICK&TRAPS"⑪“REACTION"等、
中盤以降には聴き応えのある曲が並び、個人的には前作「REFRESH THE DEMON」よりも評価の高いアルバムだったりする。
実験色の濃い曲も、装飾を取っ払ってしまえば、骨格となるリフのアイデアは悪くないしね。
そんな感じで、単体としては結構好きな作品なのだが「じゃあANNIHILATORのアルバムとしてはどうなのよ?」と聞かれると・・・うーむ・・・。


ANNIHILATOR - Refresh the Demon ★★ (2006-08-09 22:09:00)

'96年発表の5thアルバム。丁度この時期は、メロディ志向の日本市場と、ヘヴィ志向の欧米市場のギャップが
埋め難いほどに広がってしまっていて、メロディとヘヴィさのバランスこそ最大の武器であったANNIHILATORにとっては
「あちらを立てれば、こちらが立たず」ってな具合で、最も活動が困難な時期だったのではなかろうか。
そんなわけで(?)本作は、複雑でドラマチックな曲展開を控えめにした、かなりヘヴィでソリッドな仕上がり。
前作の経験を踏まえて、自分の荒々しい声にあった、ストレートなアグレッシブ・チューンをズラリ揃えた
その判断は的確で、作曲能力の高さも含めて、流石、ジェフ・ウォーターズといったところなのだが、
問題はその作風が、叙情メロディと劇的な曲展開を愛する日本のファンには、余り受け入れて貰えなかった点か。
(美しいバラード“INNOCENT EYES"を「日本盤のみのボーナス・トラック」として収録してる辺りにも彼の苦悩が伺える)
従来のANNIHILATOR節が堪能できる①“REFRESH THE DEMON"、軽快に疾走するポップ・チューン⑦“CITY OF ICE"、前述のバラード⑪等、
佳曲も多数収録されていて、決してつまらない作品ではないのだが(というかANNIHILATORに駄作はない)、
大多数の日本のファンがこのバンドに求める理想像と、ジェフが生き残るために選択したスタイルとのズレが、いよいよ顕著に表れた1枚。


KREATOR - Coma of Souls ★★ (2006-08-08 21:53:00)

「おおぅ、こりゃ本当にパワー・メタル・アルバムだ」と、思わず感心してしまった、'90年発表の5thアルバム。
とは言っても、メロスピ/メロパワ・バンド宜しく、ミレ・ペトロッツァが朗々とハイトーンVoで歌い上げたり、
楽曲自体がメロディアスになったりする筈はなく、触れれば切れそうな疾走感も、高い殺傷力の誇るシャープなリフも、
ミレのヒステリックなシャウトも健在。それより寧ろ、とにかく勢い重視で、無軌道に暴走しまくっていた(そこが大きな魅力だった)
初期作品に比べ、楽曲の枠組みがキッチリ定まり、その枠内で「タメ」と「疾走」を繰り返しながら、
ダイナミックに盛り上がっていく曲展開、そして、これまで以上に流麗に、欧州へヴィ・メタリックな
ドラマ性に満ちたメロディを紡ぎ出すGの存在が、非常にパワー・メタル的なカッコ良さを感じさせる。
これを「大人しくなった」と不満に思う硬派スラッシャーも多かろうが、個人的には、前作「EXTREAM AGGRESSION」辺りから
明確になってきた、敢えてスピードよりも完成度の高さを追求する姿勢を支持したい。
特に(その甲斐あってか)アルバム前半の楽曲の充実度は半端でなく、中でも、JUDAS PRIESTの“THE HELLION"を
思わせるイントロを持つ⑤“TERROR ZONE"は、様式美的な「起承転結」がドラマチックな盛り上がりを演出する、
本作のハイライト・チューンとでも呼ぶべき逸品。
次作「RENEWAL」が、かなり実験色の濃い作品だったことを考えると、本作は、初期KREATORの集大成とも言えるのではなかろうか。
(ここから、1stアルバムへ向かって遡って聴いていくのが、KREATORの本質に迫る近道じゃないかな、と)


DEATH - Scream Bloody Gore ★★ (2006-08-06 16:01:00)

よく「処女作には作家の本質が表れる」と言われますが、なるほど。チャック・シュルデナー率いるDEATHが、
'87年に発表したこの1stアルバムを聴くと、その言葉の意味が良く分かる。
中期~後期の作品に比べると、驚くほど飾り気のないスラッシュ・サウンドで、あまりにもストレートに疾走するリズム・パートは、
ショーン・レイナート、ジーン・ホグランといったスーパー・ドラマーによる、オカズ満載の超絶プレイに慣れ親しんでいる身には
物足りなく聴こえるかもしれないが(とは言え、クリス・レイファートのドラミング自体は非常に堅実で気持ち良い)、
耳を捕らえて離さない禍々しいリフ、狂気を帯びた絶叫Vo、そして何より、邪悪極まりない曲調と見事な迄に美醜の対比を描き出す、
華麗にして流麗なGソロといった、DEATHならではの強烈な特異性は、このデビュー作の時点で既にギラリと光を放っていて、
凡百のスラッシュ・メタル・バンドとの格の違いを見せ(聴かせ)つけてくれる。
ちなみに、個人的にお気に入りの楽曲は⑨“EVILDEAD"。ドラマチックなイントロに導かれて、
僅か3分足らずのランニング・タイムを、荒々しくも(BURRN!!風に言うなら)慟哭のメロディを纏って駆け抜けて行く
「元祖メロデス」風なリフが、非常にカッコイイ一曲。


ANNIHILATOR - Never, Neverland ★★ (2006-08-05 09:46:00)

その完成度の高さから、ANNIHILATORの最高傑作に推すファンも多いと聞く、'90年発表の2NDアルバム。3rd以降の音楽的変化を考えると、
確かに、攻撃性と叙情性のバランスが絶妙なこの作品こそ、初期テクニカル・スラッシュ路線のベスト盤かな、と。
前作では、曲展開が唐突だったり強引過ぎたりと、やや未整理な部分(そこがまた魅力だったわけだけど)が目に付いたが、
ここではそうした無駄が省かれ、カッチリと整理整頓。激烈スラッシュ・チューン⑧⑩を収録しつつも、
ストレートな疾走感よりダイナミズムが強調された楽曲は、シャープ且つテクニカルなリフ、流麗なGソロ、構築美を感じさせる曲展開と、
三拍子揃った隙のない仕上がり。中でも、これぞANNIHILATOR!たるシアトリカルな曲展開の①“THE FUN PALACE"
勇壮なパワー・メタル・チューン④“STONE WALL"、ドラマチック極まりない⑤“NEVER,NEVERLAND"といった楽曲は
その真骨頂か。ここぞというタイミングで炸裂する、美しいアルペジオも非常に効果を挙げている。
新Voとして迎えられた、歴代シンガーの中でも屈指の実力派コバーン・ファーの、多彩な表現力を備えた強力な歌唱も、
楽曲のドラマ性の底上げに大いに貢献。確かに、良くも悪くも個性の塊みたいな声質だったランディ・ランペイジを失ったことで
病的な雰囲気は大きく後退してしまったが、メジャー感、ドラマティシズム等、得たものはそれ以上に多いので、個人的には無問題。
本作を聴けば、何故、デイヴ・ムスティンがMEGADETHにジェフ・ウォーターズを欲したのか、よく分かるはず。


ANNIHILATOR - King of the Kill ★★ (2006-08-02 21:44:00)

ジェフ・ウォーターズ率いる技巧派スラッシュ・メタル・バンド、'94年発表の4thアルバム・・・と同時に、
裏ジャケにジェフ1人しか写っていない事からも明らかな通り、なかなか安定しないバンドのラインナップに業を煮やした彼が、
遂に開き直って自らVoも担当、ANNIHILATORのソロ・プロジェクト化を宣言した最初の作品でもある。
前作の(日本でのみ好評を得た)メロディ重視路線から、若干、アグレッシブ方向へ軌道修正が図られている感じで、
ジェフの荒々しい歌唱スタイルと相俟って、かなりヘヴィな印象を受けるかもしれないが、実際に聴き込んでみると、
疾走チューンあり、バラードあり、穏やかなイントロから一転、ドラマチックな盛り上がりを見せる曲あり・・・と、
これまでの作風と大差はない事に気付く。寧ろ、コンパクトに練り上げられた楽曲が次々に繰り出される様は爽快ですらある。
中でも、バンド名をタイトルに冠した③“ANNIHILATOR"は、シンプルなミッド・チューンながら、
キャッチーで歯切れの良い、弾けるような躍動感溢れる演奏がクセになる気持ち良さ。聴いてるだけで勝手に体が動き出します。
・・・と、かなり充実した内容にも関わらず、どうも過小評価に甘んじている気がする本作(来日公演の客入りもイマイチだったし)。
その原因の1つはやはりジェフのVoだろうが、歴代シンガーに比べ声域の狭さは如何ともし難いものの、
別に音痴ではないし、優しさの滲むバラード⑤“ONLY BE LONELY"における表現力など立派なものだ。
それより問題なのは、アルバムのOPを飾るANNIHILATOR屈指の駄曲①“THE BOX"の存在ではなかろうか。
素直にスピーディな名曲②“KING OF THE KILL"辺りで始めていれば、アルバム全体の印象も、もう少し向上したと思うのだが・・・。


ANNIHILATOR - Alice in Hell ★★ (2006-08-02 21:26:00)

ジェフ・ウォーターズ率いる技巧派スラッシュ・メタル・バンド、'89年発表のデビュー作で、
ANNIHILATORのアルバムの中では、比較的ストレートな疾走感が堪能できる1枚。(飽くまで「彼らにしては」だけど)
物語を感じさせるアルバム・ジャケットといい、クセの強いVoの存在といい、シアトリカルな曲展開といい、ついでに発売元が
同じROADRUNNERである事といい、本作を例えて「スラッシュ化したKING DIAMOND」とは正に言い得て妙。座布団1枚!
KING DIAMONDがホラー・メタルなら、こちらはサイコ・ホラー・メタルとでも形容すべき独特の雰囲気が漂っていて、
それを主に演出するのが、ランディ・ランペイジのヒステリックなキ○ガイVo、そして、痙攣の発作の如き執拗なリフの刻みと、
高いドラマ性を有しながら、どこか不安を掻き立てるメロディが印象的なソロを聴かせる、ジェフ・ウォーターズのGワーク。
特に、絡み合う2本のアコギが、文字通り水晶のような美しさを感じさせる序曲①“CRYSTAL ANN"と、
組曲形式で続く②“ALICE IN HELL"は、不気味なヘヴィ・パート/ひねくれたインスト・パート/オペラティックなパート
/スラッシーな疾走パート等が目まぐるしく入れ替わる、芝居がかった劇的な曲展開が素晴しい、
初期ANNIHILATORの何たるかを「ギュッ」と凝縮した名曲。
デビュー作にして早くも、新人離れした高い完成度とインテリジェンスを誇る楽曲の数々を作り上げてしまうジェフ・ウォーターズ、
その才、恐るべし。


FLOTSAM AND JETSAM - Doomsday for the Deceiver ★★ (2006-07-31 22:45:00)

F&Jの代表作と言えば、やはり2nd「NO PLACE FOR DISGRACE」で決まりだろうが、ジェイソン・ニューステッドが
唯一参加している、この'86年発表のデビュー作も、完成度の高さでは負けていない。
兎に角、(俺のように)METALLICAでジェイソン・ニューステッドというベーシストの存在を知り、
遡ってこのアルバムを聴くと、その活き活きとハジけるように動き回る魅力的なベース・プレイに
「METALLICAと全然違うなぁ」と驚かされること請け合い。これが若さか・・・なんて。
ぶっちゃけた話、彼が殆ど手掛けたという収録曲のクオリティも、「...AND JUSTICE FOR ALL」以降の
METALLICAの楽曲より断然上だ。(と言っても、これは単なる好みの問題なんだけれども)
本作は、のっけからガツンとカマされる勇壮な①“HAMMERHEAD"を筆頭に、F&Jのアルバム史上、
最もスラッシュ・メタル色が色濃く打ち出されている1枚で、そのエネルギーの原動力は、勿論、ジェイソンのリードB。
一方で、⑤“DOOMSDAY FOR THE DECEIVER"のような劇的な盛り上がりをみせる大作では、
2本のギターが中心となって、美味しいメロディを積み重ねながらドラマ性を演出していく。
この強力なツインGがあったればこそ、中心メンバーだったジェイソンを引き抜かれた後も、
作品のクオリティを落とすことなく活動を継続できたんじゃなかろうか?
また、フロントマンのエリック・AKも、確かな歌唱力を備えながら、3rdアルバム以降の脱スラッシュ路線では
歌メロの弱さを指摘される場面もしばしばだったが、ここでは有無を言わせぬ攻めの姿勢で聴き手を圧倒。
耳をつんざくパワフルなハイトーンVoで、作品のアグレッション演出に大きく貢献している。


DEATH ANGEL - The Art of Dying ★★ (2006-07-29 23:51:00)

アコギのイントロに続いて1曲目が疾走を開始した瞬間、多くのファンがガッツポーズを取ったに違いない、
DEATH AGEL、'04年発表の再結成第1弾アルバム。
前作「ACT Ⅲ」と比較した時、スラッシュ・メタルならではの疾走感が、かなり戻って来ているのが特徴で、
これに押しやられる形でファンク色が大きく後退。代わって、THE ORGANIZATION時代に培ったと思しき
「うねり」が、スパイスとして加えられている。
とは言え、やはりメインはピュア・スラッシュ・チューンの数々。特に①③⑥⑧といった、アルバムのポイントとなる
位置(先制・中押し・ダメ押し)に配された疾走曲が、いずれも高品質に仕上げられているのには拍手喝采。
中でも、哀愁を帯びて駆け抜ける⑧“SPIRIT"は、新生DEATH ANGELの新機軸とでも言うべき名曲じゃなかろうか。
思いっきり突っ走ってる時でも常に余裕を感じさせ、アグレッシブな作風ながらも、
ちゃんとメロウな曲——“A ROOM WITH AVIEW"に通じる、ドラマ性に富んだ情熱的なバラード——を収録してくれる、
歴戦のスラッシャーならではの懐の大きさもナイス。全方位からのファンの期待に見事応えた、会心の復活作である。


ANNIHILATOR - Carnival Diablos - Epic of War ★★ (2006-07-27 21:49:29)

「最近のANNIHILATORは、Gソロはメロディアスでも、曲自体がメロディアスな事は余りないよな」
とボヤいていた頃に、ガツンとカマされた勇壮な疾走チューン。
1st~3rdの頃を思わせる、欧州へヴィ・メタリックなリフと、
ドスの効いたシャウトだけでなく、しっかりと「歌う」事も出来る
ジョー・コミューの確かな歌唱力が素晴しい。
勿論、細部にまでコントロールの行き届いたプレイで楽曲をドラマチックに盛り上げる
ジェフ・ウォーターズのGにも文句なし!


ANNIHILATOR - Set the World on Fire ★★ (2006-07-26 21:33:00)

ジェフ・ウォーターズ率いる技巧派スラッシュ・メタル・バンド、'93年発表の3rd。
・・・なんだけど、ここまで曲調に広がりが見られると、最早スラッシュ・メタル・アルバムと言っていいのかどうか。
エッジの立ったリフの刻みと、場面転換の激しい⑩“BRAIN DANCE"にその面影を留める程度で、
例えばスピード・チューンの②“NO ZONE"にしても、スラッシーと言うよりは
JUDAS PRIEST型の正統派HMチューンといった趣き。(実際、そのJPのカヴァー曲“HELL BENT FOR LEATHER"を収録)
泣きの叙情バラード⑤“PHOENIX RISING"、メロウに駆け抜ける⑦“SOUNDS GOOD TO ME"等、
ANNIHLATORのポップ・サイドを代表する名曲を収録した本作は、彼らのカタログ中、最もコマーシャルな作風の1枚で、
スラッシュ・バンドがここまでやったら、普通総スカンを食らいそうなものだが、才人ジェフ・ウォーターズが
持てる才能を十二分に発揮したそのハイレベルな完成度ゆえ、日本ではこの3rdを切っ掛けに人気が急上昇。
アルバムに伴う来日公演も大盛況だった事が懐かしく思い出される。(急病でサイドGを欠いた不完全編成での公演だったけど)
尚、個人的にお薦めの楽曲は、キャッチーなベース・ラインが印象的なMEGADETH風の⑥“KNIGHT JUMPS QUEEN"。
疾走曲でもバラードでもない、こうしたソリッドなミッド・テンポの名曲をもサラリと生み出す辺りに、
ジェフの豊かな才能の片鱗を感じて痺れてしまうのであった。


EXODUS - Shovel Headed Kill Machine ★★ (2006-07-24 17:24:00)

再結成2作目を前に早くもラインナップが崩壊。ゼトロ離脱は予想範囲内だったが、H-TEAMの片翼リック・ヒューノルトと、
EXODUS独特の疾走感の要トム・ハンティングの脱退には心底驚かされた。ともあれ、その後任にポール・ボスタフとリー・アルタスを
迎え入れるというサプライズ人事で体制を立て直し、殆どベイエリア・スラッシュ・オールスターズと化したEXODUSが
'05年に発表した7thアルバム。しかもこれが傑作ときたもんだ!
メロディ無視で吠えまくるVo(ポール・バーロフ程の狂気はないが)、キャッチーさより攻撃性を重視した作風は、
1st「BONDED BY BLOOD」を思わせるが、これまでになくベース音が強調された音作りと、重量感溢れるタイトなドラミングによって、
ガチガチにビルドアップされまくった硬質な楽曲は、明らかにその1stの頃の路線とも異なる。
「ショベル付き殺人戦車」の進撃の如きミドル・チューンも迫力だが、やはり本作の肝は高速スラッシュ・チューン。
中でも頭3曲のリフのカッコ良さは強烈の極みで、スラッシュ・ファンならハートを鷲掴みにされること請け合い。
また、こうした楽曲に流麗に斬り込んでくるリー・アルタスのGも期待通りのドラマ性を誇り、
ともすれば剛直一辺倒になりがちな楽曲に潤いをもたらすと共に、美醜の対比によるダイナミズムをも生み出している。
前作『TEMPO OF THE DAMNED』も良く出来た作品ではあったが、本作を聴いてしまうと、やはり人間関係の歪みが、
その完成度に多少なりとも影を落としていたのかな・・・と思わざるを得ない。
新たなEXODUS流スラッシュ・メタルの創出に成功した、底なしの才能の持ち主ゲイリー・ホルト、恐るべし。
そして、同じく豊かな作曲能力を有するリー・アルタスが曲作りに参加するであろう、次作以降のアルバムが今から楽しみでならない。


EXODUS - Pleasures of the Flesh ★★ (2006-07-21 23:21:00)

Voをポール・バーロフからスティーブ・ゼトロ・サウザに代えて、'87年に発表された2ndアルバム。(国内盤には『栄光への挑戦』なる邦題がつけられていた筈)
良い意味でも悪い意味でも尖がっていた1st「BONDED BY BLOOD」に比べ、格段に聴き易くなっているのが大きな特徴で、
これは、前任者よりメロディを追えるタイプのVoの存在、サウンド・プロダクションの向上と、
演奏のキレをしっかり捉えた整理された音作り、そして何より、フックに富んだキャッチーなクランチ・リフに由るところが大。
個人的に、EXODUSの名前を聞いて想起する音像は、本作に於いて確立された感あり。
勿論、楽曲が親しみ易くなったとは言え、攻撃性は微塵も損なわれてはおらず、アルバム全編、スラッシーに疾走しまくり。
ゲイリー・ホルト&リック・ヒューノルトのH-TEAMによるツイン・ギターも、益々メロディの煽情力を高め、
特にキャッチー且つアグレッシブに刻まれるリフが秀逸な③“PARASITE"、2本のギターが互いに煽り合って
クライマックスへと昇り詰めていくドラマチックな曲展開が失禁モノの⑧“SEEDS OF FATE"(序曲代わりのインスト曲⑦も美しい)
といった楽曲では、その真髄が存分に堪能できる。
スラッシュ・メタル・バンドとしてのEXODUSの代表作は、間違いなく本作だろう。


EXODUS - Bonded by Blood ★★ (2006-07-20 22:53:00)

EXODUSにアルバム史上、最も欧州へヴィ・メタルからの影響が色濃く薫る、'85年発表のデビュー作。
デモ・テープ並みのクオリティながら、破れかぶれな迫力に満ちている轟然としたサウンド・プロダクション、
テンションも音程もリズム感も狂いっ放しだが、それゆえ極悪な凄味を感じさせる故ポール・バーロフのVo、
憑かれたように前のめりで突っ走るトム・ハンティングのDs、そして何より本作の白眉たる、高いドラマ性と殺傷力を兼ね備えた、
H-TEAMによるツイン・ギター・ソロ&クランチ・リフは強力無比!
2ndアルバム以降ではキャッチーさも加味されていく楽曲も、ここでは凶暴性剥き出し。
名曲④“A LESSON IN VIOLENCE"を山場に、ひたすらササクレ立ったスラッシュ・チューンが、
アグレッション撒き散らかしながら疾走する、アルバム前半の畳み掛けはまさに圧巻。
かと思えば、⑥“NO LOVE"のイントロに美しいアコースティック・ギターを用いて、フッと空気を入れ換える等の小技も効いていて、
このバンドの売りが「勢い」だけでない事もアピール。
スラッシュ・メタル・バンドとしてのEXODUSの代表作の座は、次作「PLEASURES OF THE FLESH」に譲るものの、
個人的好みで彼らのカタログから1枚選ぶなら、本作こそマスト。


OVERKILL - The Years of Decay ★★ (2006-07-15 22:49:00)

'89年発表の4thアルバム。バンドのメロディ面を一手に担っていたボビー・ガスタフソン在籍時代最後の作品であり、
これまでの集大成的作風ゆえ、本作をOVERKILLの代表作として挙げるファンも多い。
曲調に広がりの見られた前作に比べ、心持ち初期の剛速球路線に揺り戻されてる印象で、キャッチーさは薄れたものの、
より強靭に引き締まったリフ&リズムは、さながら鉄塊の如くガツガツと刻まれ、硬質なサウンド・プロダクションと相俟って、
突進パートでは全身に弾丸を浴びているかのような感覚を味わえる。
その一方で、前作で培ったドラマ性も十二分に活かされていて、「これぞOVERKILL!」な高速スラッシュに、
劇的なインスト・パートを持ち込んだ、名曲中の名曲②“ELIMINATION"、重く引き摺るリフとダイナミックな曲展開が
BLACK SABBATHを思わせる⑤“PLAYING WITH SPIDERS/SKULLKRUSHER"、初のパワー・バラード⑧“THE YEARS OF DECAY"、
激しくアップダウンを繰り返す⑨“E.VIL N.EVER D.IES"といった楽曲は、きっちりアルバムの聴かせ所として機能している。
本作を最後にボビー・ガスタフソンが脱退してしまった為、以降、彼らのアルバムで、ここで聴かれるような流麗なメロディ展開を
耳にする機会は、残念ながらかなり減ってしまった。(今のマッチョ路線なOVERKILLも嫌いではないのだけれど)


OVERKILL - Under the Influence ★★ (2006-07-13 20:21:00)

ボビー・ガスタフソン在籍時代の作品は、いずれも甲乙付け難い高い完成度を誇るが、その中でも、この'88年発表の3rdはマイ・ベスト。
攻撃的な硬派スラッシュ・メタルという基本はそのままに、楽曲のクオリティが急上昇。曲調にも幅/メリハリ/緩急が出て来て、
全9曲、捨て曲がないのは勿論、どの曲も非常にキャッチーで、聴いてると勝手に体が動き出す衝動的エネルギーに満ち溢れている。
中でも、高速ロックンロール・スラッシュ③“HELLO FROM THE GUTTER"と、スラッシュ版IRON MAIDENといった趣の
ドラマチックな⑦“END OF THE LINE"は、従来にはなかったタイプの異色曲ながら、2曲とも完全にOVERKILL色に染め上げられていて
違和感は全くなし。どころか、どちらもアルバム前半と後半のハイライト・チューンの役割を果たしている。
金属的艶を感じさせるボビー・ブリッツ・エルズワースのハイテンションなVo、縦横無尽に動き回り、楽曲を牽引するD.D.ヴァーニのB、
アグレッシブ且つメロディックなソロをキメまくるボビー・ガスタフソンのGという、OVERKILLの三本柱が完璧に機能している、
彼らのカタログ中、最もスラッシュ・メタル色が強く出た1枚。


SEPULTURA - Arise ★★★ (2006-07-11 22:32:00)

とてつもなくキャッチーな、'91年発表の4thアルバム。
キャッチーと言っても、勿論ポップという意味ではなく(当たり前だ)、この場合は「印象的」という意味でのキャッチーさ。極限まで研ぎ澄まされたリフ、雄々しく吠えまくるド迫力Vo、メロディアスなソロと、要所で聴かせるハーモニー・プレイが効果的なGコンビ、如何にもモーリ・スタジオ仕込みといった感じの、図太く引き締まったサウンドで押し出してくるリズム隊etc・・・そのいずれもが異様なまでにカッコ良く、ゆえに恐ろしいまでにキャッチーさを誇る。
名曲中の名曲①“ARISE"を筆頭に、ストレートなスラッシュ・チューンを多数収録する一方、より整合性の増した③“DESPERATE CRY"のような「ドラマティック」と表現して差し支えない楽曲も収められていて、静と動の対比/緩急の効いた作品全体に漂うダイナミズムは、これまでの作品の比ではない。
本作以降、SEPULTURAはダーク&へヴィ/民族音楽回帰路線を強く打ち出していくわけですが、こんな越えようのない凄まじい完成度のスラッシュ・メタル・アルバムを作ってしまったら、それ(路線変更)も無理ない事のように思える次第。


KREATOR - Violent Revolution ★★ (2006-07-11 22:14:00)

'01年発表。リーダーのミレ・ペトロッツァが「初心に立ち返った」と認める通り、スピーディでアグレッシブな作風が
復活を果たした、記念すべき10thアルバム。「ENDORAMA」や「OUTCAST」を聴きながら、「これはこれで悪くないんだけどね・・・」と
遠い目をして呟いていたファン(俺だ)も大満足の内容に仕上がっている。
しかも、工夫なく過去と同じ事を繰り返すのではなく、「RENEWAL」以降のメロディ重視路線で培った叙情性を
巧みに攻撃的な楽曲へ融合。結果、スピーディでアグレッシブ、且つ怒りと悲しみの激情のメロディに彩られた、
新しいKREATOR流スラッシュ・メタルの創造に見事成功している。
特に、殺気立った高速スラッシュ・チューン①④⑥、インスト曲のイントロに導かれて始まるメロディアスな③、
重々しく劇的な⑤といったメリハリの効いた楽曲と曲順によって、ギリギリ高められたドラマ性が、
全てを兼ね備えた名曲⑧“REPLICAS OF LIFE"で頂点に達するアルバム前半の構成は、殆ど完璧と言っていい程の隙のなさ。
後半も、ラストを締めるスピード・チューン⑫まで捨て曲は見当たらないし、これぞまさに名盤と呼ぶに相応しい。
しかも彼らが凄いのは、この後('05年)に本作を更にビルドアップしたかのような強力作「ENEMY OF GOD」まで作ってしまった点。
全く、ミレ・ペトロッツァの底なしの才能には恐れ入る。


MEGADETH - The System Has Failed ★★ (2006-07-10 22:07:00)

「そしてムスティンだけが残った」状態で製作、'04年に発表された10thアルバム。
とは言え、ラトルヘッドの復活したアルバム・ジャケット、毒吐きまくりの歌詞、刺々しいVoにシャープなリフに複雑な曲展開、
そしてメロディックに炸裂するGソロといった攻撃性全開の楽曲は、皮肉な事にちゃんとメンバーが揃っていたここ数作より
遥かに全盛期のMEGADETHを彷彿とさせる。1人残ったデイヴ・ムスティンが、思う存分創作活動に没頭できた事がこの好結果に繋がったのか・・・。
勿論、単なる過去の遺産の焼き直し等という安易さは微塵もなく、特に、時に強烈な「憂い」を発散するキャッチーな
メロディの魅力(歌メロの充実度が半端じゃない)は、90年代の試行錯誤があったればこそ。
中でも、リフ・メイカー/メロディ・メイカー/ソロイスト デイヴ・ムスティンの能力が、高いレベルで結実した
名曲③“KICK THE CHAIR"は、個人的に某音楽誌人気投票の「年間BEST TUNE」候補に1票を投じてしまったぐらい強力。
同じくアルバムのハイライト・チューンである⑦“BACK IN THE DAY"は、後半の展開にもう一捻り欲しいとか、
ドラマチックなインスト曲から続く本編ラストの⑫“MY KINGDOM"が大した曲ではないとか、
若干の詰めの甘さは感じられるが、ともあれ、「ムスティン=MEGADETH」という図式を満天下に知らしめる力作である。


SHELL SHOCK - MORTAL DAYS ★★ (2006-07-09 20:54:00)

EXPLOSION WORKSから'89年に発表した1stアルバム。総合的な完成度、殊に「問答無用のスピード感」という点に措いては、
2nd「PROTEST AND RESISTANCE」に一歩譲るものの、本作もまた非常に優れた内容であることは疑いようが無い。
次作「PROTEST~」(というかHOWLING BULL RECORDS移籍)以降は、大幅にハードコアの要素を注入して楽曲の
ビルドアップを図る彼らだが、この時点ではまだ高純度のスラッシュ・メタルを体現。Voも直線的な
ハードコア・スタイルではなく、ダーティな歌唱ながらメロディを追いかけているし、何より、単なるアクセントに
留まらず、しっかり構築され曲を盛り上げる、メロディアスなGソロが大変素晴しい。
取り分け、パンキッシュに爆走する⑥、尖がった曲調に劇的なGソロが映える⑧、そして、メロウなイントロから一気に疾走へと
転じる高速スラッシュ・チューン⑨といった、三ツ星級の名曲が畳み掛けるように連続する後半の流れはスラッシャーなら必聴。
尚、長らく廃盤状態が続いていた本作だったが、今年遂に再発が叶い、しかもボーナス・トラックとして、
デビュー・シングル『SELF DEFENCE』、カセット作品『INTO SHELTER』、オムニバス盤提供楽曲は勿論のこと、
果ては未発表の蔵出しライブ音源までが大量に追加収録され、殆ど初期音源集の様相を呈しているのだから有り難い。
既に旧盤を持っているファンも、買い直す価値が大いにある1枚かと。


STONE - Emotional Playground ★★ (2006-07-06 20:39:00)

現CHILDREN OF BODOMのローぺ・ラトヴァラが在籍していた事でも知られる、フィンランド産スラッシャーの'91年発表の4th。
OPチューン①“SMALL TALES"や、叙情的なインスト曲から雪崩れ込む⑧“HEAVEN"といった楽曲に代表されるような、
タイトな疾走感が痛快なスラッシュ・サウンドに、北欧の荒涼たる大地を想起させるヒンヤリと冷気を帯びたインスト・パートを
ブチ込んだ唯一無二の「STONE流スラッシュ・メタル」は、本作で遂に完成を見た。特に、キンと硬く冷え澄んだ特徴的な音色で、
流麗にソロを披露するGは本作のハイライト。相変わらず表情に乏しいVoも(好き嫌いは兎も角)その寒々とした歌唱が
楽曲の雰囲気作りに一役買ってるは事実。まぁ、この歌い方も4作貫き通せば立派な個性だろう(?)
と、ここまでハイクオリティな作品を発表しておきながら、バンドはこの後、ライブ・アルバム一枚を残して解散。
残念ながら本作が、彼らの最高到達地点にして、最終到達地点になってしまった。


TAROT - To Live Forever - Do You Wanna Live Forever ★★★ (2006-07-05 21:51:58)

冷たい感触を宿した硬質なリフが疾走する、アルバムのOPチューン。
水晶のような音色で、北欧のバンドならではの透明感を演出するKeyの存在がポイントで、
特にインスト・パートにおけるクラシカル且つドラマチックなアレンジは堪らない。
マルコ・ヒエタラの熱唱も、劇的に曲を盛り上げている。


TAROT - To Live Forever ★★ (2006-07-05 21:48:00)

'93年発表の3rd。丁度、北欧メタルが再び盛り上がりを見せていた日本でも国内盤がリリースされ、ファンから高い評価を得た作品。
この時期の北欧バンド群は「1作目は良かったのに次作で流行に擦り寄ってコケる」というパターンが非常に多かったのだが、TAROTの作品は
安定して高いクオリティを保持。中でも本作は特に楽曲が粒揃いで、全14曲捨て曲なし。バンドの最高傑作に推す声も多い。(俺の中で)
基本はトニー・マーティン在籍時のBLACK SABBATHを彷彿とさせる(実際、カヴァー曲⑬“CHILDREN OF THE GRAVE"を収録)、
ダークさと潤いの同居するドラマチックな様式美メタル・サウンドながら、どこかヒンヤリとした空気を伝える楽曲は
北欧のバンドならではの味。これは、氷塊のように硬質なリフと、透明感と哀感を演出するKey、
それに「憂いを帯びたロニー・J・ディオ」風のマルコ・ヒエタラのVoに依るところ大。
まぁ兎に角、アルバムのOPチューン①“DO YOU WANNA LIVE FOREVER"や、本編ラストを劇的に締めるバラード⑭“GUARADIAN ANGEL"
といった楽曲を聴いてみて欲しい。北欧メタル・ファンのみならず、メロディ重視派の方ならグッと掴まれること請け合いよ?


TESTAMENT - The New Order ★★★ (2006-07-04 21:21:00)

名曲中の名曲“OVER THE WALL"が収録されているのは1st「THE LEGACY」なれど、作品自体のクオリティでは、この'88年発表の2ndアルバムの方が大きく上回る。俺の中では。
サウンド・プロダクションの向上といった基本的な部分から、切れ味鋭いリフの尋常でないカッコ良さ、スラッシーな疾走感と欧州風味濃厚な叙情性の理想的な融合っぷり、アグレッシブでありながら、実は非常にキャッチーなメロディ・ラインを歌っているチャック・ビリーのVo、そして益々流麗に、艶やかに冴え渡るアレックス・スコルニックのGプレイ!①“EERIE INHABITANTS"のGソロを筆頭に、激しく泣きながらも決してベタ付く事の無い、その冷たい音色に胸を打たれます。
また「最終戦争後の地球」を題材にしたコンセプト・アルバムと言う事で、ダイナミックな曲展開や、インスト曲の配置箇所などアルバム全体の流れ(構成)にもかなり気が使われていて、それが一層、作品の持つドラマ性を高めている点も見逃せない。
これぞまさに「様式美スラッシュ」の名盤。1stと併せてTESTAMENT入門盤に是非どうぞ。


PROTECTOR - Leviathan's Desire ★★★ (2006-07-01 19:37:00)

新作までの繋ぎと、新Voの紹介を兼ねて僅か一週間でレコーディング、'90年に発表された7曲入りミニ・アルバム。
いやぁ、速い速い。しかも速いだけでなく、きっちり「タメ」を設けることで、ブラスト寸前の疾走感との組み合わせで劇的なダイナミズムを演出するその手腕。暗黒のドラマに満ちた曲展開のみならず、その物語を紡ぐに相応しい邪悪さとキャッチネスを兼ね備えたGリフの練り上げっぷりまで、本作はバンドの成長の跡がしかと刻み込まれたハイクオリティな内容に仕上がっています。(事実、リリース後間もなくで2万8千枚以上の売り上げを記録したという)
新加入のオリバー・ヴィーベルは、限りなくデス声に近い吐き捨て型Voで、「このVoのせいで曲の疾走感がスポイルされている」という批判は全く以ってその通り。困ったものなのですが、それでも前任者マーティン・ミシーに比べれば随分と「走っている」印象で、これは両者の性格の違いにも起因しているのかなぁ、と。(メンバー曰く「マーティンは内向的、オリーは社交的」)
国内盤は2nd『URM THE MAD』とのカップリング仕様なので、彼らの歌唱を聴き比べてみるのも一興。で、実際に知り合いに聴かせてみて「どっちが良いと思う?」と感想を求めたら「違いが全く分からん」とバッサリ。ですよねー。
それでも、ずっと聴いているとこの曲のリズムをワンテンポ遅れで歌メロを追っける演歌チックな唱法が、だんだんクセになってきてしまうのだから不思議ですよ。


GALACTIC COWBOYS - Galactic Cowboys ★★ (2006-06-28 20:21:00)

GCの代表作を2nd「SPACE IN YOUR FACE」とする意見に異論はない(寧ろ賛成だ)が、
個人的に、彼らのアルバムの中で最も気に入っているのは、'91年発表のこのデビュー作だったりする。
アグレッシブなリフ&リズムの上に乗っかる、浮遊感漂う歌メロと、美麗なボーカル・ハーモニーの妙・・・という
個性的なスタイルは既に完成されているのだが、それを美しく彩るメロディの質が「ポップ」「キャッチー」「ソウルフル」な
2nd以降とは異なっていて、ポップでキャッチーなのは間違いないのだけど、もう少し叙情的で哀感が強く演出されている
(ように感じられる)のがその理由。言うなれば、GCの前身バンドAWFUL TRUTHの音楽性に最も近い感じ?
スパニッシュ風のアコギやら、カントリー調のハーモニカやら、スラッシーな疾走パートやら、
色々な要素をギュッと詰め込んでドラマチックに仕上げた①“I'M NOT AMUSED"や、スピーディな⑦“KILL FLOOR"から、
組曲形式で大作⑩“SPEAK TO ME"へと展開していく、スペーシー且つプログレッシヴな流れは、何度聴いても最高。


LIVING DEATH - Protected From Reality ★★ (2006-06-23 23:22:00)

ドイツだけで2万枚のセールスを記録したという'87年発表の3rdアルバム。LIVING DEATHの代表作と言えばこれだろう。
国内盤CDは、その前年に発表された4曲入りミニ「BACK TO THE WEPONS」とのお得なカップリング仕様。(だが既に廃盤で入手困難)
その「BACK~」と聴き比べると明らかな通り、これまでの直線的な押せ押せスタイルが後退して、
静と動の起伏や、練られたGソロ、リフ/リズム・チェンジ等のアレンジに凝った曲展開が積極的に取り入れられ、
よりメリハリの効いた、バンドの格段の成長を物語る作品に仕上がっている。
プロデューサーがMEKONG DELTAのラルフ・ヒューベルトゆえか、KEYを導入した邪悪でドラマチックなインスト曲
④“WOOD OF NECROPHILIC"のような異色曲も収録されているが、概ねその実験精神はプラスに作用。
特に、マシンガンの如く刻まれる鋭利なリフ、性急に突っ走るビート、わめきまくる発狂Vo・・・という従来のスタイルに、
メロディックなGソロと、荘厳な男性コーラス・パートが組み込まれた①“HORRIBLE INFANTICED(PARTⅠ)"は出色の名曲。
また、Voさえ普通なら「IRON MAIDENの曲」と言っても通用しそうなリフを持つ⑧“WAR OF INDEPENDENCE"も素晴しい出来だ。


FORBIDDEN - Forbidden Evil - Through Eyes of Glass ★★★ (2006-06-22 22:39:36)

ギターのフィードバック音を引き裂いて切り込んでくる、
エッジの立ったシャープなリフにまず耳を奪われる。
ダイナミックなリズムを叩き出して疾走するDs、インスト・パートでの仕事振りがナイスなB、
上下動の激しい難易度高めの歌メロを、楽々と歌いこなすVoも強力だ。
だが、やはりこの曲においては、リフ・ワークだけでなく、
惜しみなく豊かなメロディの注ぎ込まれた、美しく劇的なGソロを披露する
ツイン・ギター・コンビがトドメを刺す。最高!
6分半という比較的長尺の曲ながら、その展開には一分の隙も無駄もなく、
アグレッションとドラマティシズムを撒き散らしながら疾走する、
FORBIDDEN・・・いや、スラッシュ・メタル史上屈指の名曲の一つ。


FORBIDDEN - Twisted Into Form ★★ (2006-06-22 22:32:00)

名手ポール・ボスタフ(Ds)が在籍していた事で知られるベイエリア・スラッシュ・バンド、'90年発表の2nd。
デビュー作に比べ、若干スピードが押さえ気味に、サウンドが丸く聴き易くなった事が硬派スラッシャーには不評のようなれど、
なんのなんの。個人的にはEXODUS臭が抜けたシャープなリフと、次から次へと湧き出る豊潤なメロディの魅力が、それを補って遥かに余りある。
一層安定感を増した「歌える」Voと、ガッチリとボトムを支えるポール・ボスタフのタイトなドラミングと併せて、本作こそ、
FORBIDDENが真の個性を確立させた記念すべき作品ではないだろうか。(まぁこの作品以降、迷走を始めてしまうわけだが)
“THROUGH EYES OF GLASS"レベルの名曲こそ見当たらないものの、1曲目のアコギ・イントロに始まり、アウトロ的存在の7曲目まで、
息つく暇なく矢継ぎ早に繰り出されるスラッシュ・チューンの数々は何れもハイクオリティ。トータルの完成度では前作を大きく上回る。
それだけに8曲目以降の曲のつまらなさが(2曲とは言え)痛い。それさえなけりゃ大傑作だったのに・・・。


UNITED - Human Zoo ★★ (2006-06-22 22:09:00)

スラッシュ・メタルというジャンルの拡散化に拍車が掛かっていた時期('92年)に発表された作品ゆえか、
UNITEDのアルバム史上、最も幅広いタイプの楽曲が揃った2nd。
突撃スラッシュ・チューンから、叙情的なバラードやドラマチックな大作まで、バラエティに富んだ作風ながら、そのいずれもが、
アグレッシブ且つキャッチーなリフ、しなやかなリズム隊、構築美を感じさせるメロディアスなツイン・リード・ギターetc・・・
といった(初期)UNITED節がきっちりと貫かれているので、散漫さは殆ど感じられない。
特に強烈に印象に残るのがVoの古井義明で、②“VIOLENCE JACK"⑩“DON'T LET PEACE BREAK OUT"といった高速スラッシュ・ナンバーで
野太いシャウトを響かせたかと思えば、劇的な盛り上がりを見せる⑤“FALSE MAJESTY"では陰影に富んだダイナミックな歌唱を披露する隙の無さ。
中でもUNITED唯一のバラード⑧“OVER THE OCEAN"で聴かせる男の哀愁漂わせた歌唱は、名曲に相応しい名演と言う他ない。
中盤のインスト・パートで炸裂するスパニッシュ・ギター・ソロ(弾いてるのは吉田良文?)もゾクゾクくるカッコ良さで最高。
本作がUITEDの最高傑作と言うつもりはないが、個人的には一番好きなアルバムである。バンドのメジャー・デビューに伴い現在は廃盤らしが、
機会があれば是非一聴をお薦めしたい。


CYCLONE TEMPLE - I Hate Therefore I Am ★★ (2006-06-17 21:44:00)

黒人スラッシャー、グレッグ・フルトン率いるドラマチック・スラッシュ・メタル・バンド、'91年発表のデビュー作。
ドラマチックと言っても大仰さは然程感じられず、物憂げな叙情性と、スラッシーな疾走感を併せ持つ練り上げられた楽曲からは、
むしろ洗練されたクールな雰囲気が強く漂う。都会的とでも言いましょうか・・・。
特に、作品の二枚看板とでも言うべき、鋭いカッティングが気持ち良いリフ・ワークから、繊細なアコギ・プレイ、
多分に「泣き」を含んだソロまで流麗にこなすグレッグ・フルトンのGと、憂いを帯びた歌メロを確かな歌唱力で歌い上げる
(太く掠れた声質がイカス)ブライアン・トロックのVoとが、タイト極まりないリズム隊と一体となって疾走する①“WHY"
③“WORDS JUST ARE WORDS"⑥“I HATE THEREFORE IAM"といった起伏に富んだスラッシュ・チューンの数々は劇的なまでのカッコ良さを誇る。
中でもアルバムのタイトル・トラック“I HATE~"におけるGソロの泣き具合ときたら、思わず眉毛が八の字になるほど強力。


CARNIVORE - Retaliation - Race War ★★ (2006-06-17 21:27:57)

本作に於いては「歌う」と言うより、ハイテンションに「アジる」Voスタイルで
攻めまくるピーター・スティールが、この曲のサビではしっかりと歌っている。
哀愁背負ったリフと男臭い歌声が相俟って何となくTANKを彷彿とさせる
この叙情パートが印象的だからこそ、後半の激烈な疾走感がより一層引き立つというもの。


HEATHEN - Breaking the Silence ★★ (2006-06-17 21:22:00)

あらゆる面で洗練された2nd「VICTIMS OF DESEPTION」に比べ、ジャケは冴えないし、Voはイモだし、音質もイマサンなれど、
単純に収録曲のクオリティのみで勝負した場合、軍配が本作に上がる事は、多くのHEATHENファンが認めるところ。(じゃなかろうか)
とにかく、曲が圧倒的に良い。ドラマチックでスピーディ。勿論、捨て曲等一切ない。疾走するリズムに乗って力強く刻まれるリフは
2ndでは典型的なベイエリア・クランチ・スタイルだったが、ここではもう少し鋭角的で、リー・アルタスが愛して止まない
NWOBHM風(それよりずっとパワフルだが)。ディビッド・ゴッドフレーのVoも、歌唱力は兎も角、彼の歌う湿り気を帯びた
マイナー調の歌メロは非常に魅力的で、思わず「スラッシュ・メタル界のゲイリー・バーデン」の称号を進呈したくなる程(?)
そして何より本作のハイライトは、リー・アルタス/ダグ・ピアシーのコンビによる、劇的極まりないツイン・リード・ギター!
緩急自在、時にクラシカルなフレーズも流麗にキメてみせるそのGソロは、まさに「蝶の様に舞い、蜂の様に刺す」状態で、
心の琴線をビシバシ刺激しまくってくれます。


MORDRED - Fool's Game ★★ (2006-06-14 21:50:00)

作品を重ねる毎にファンク/ラップ色を強め、とうとう3rdアルバムでは別世界に旅立ってしまった感のあるMORDREDだが、
2ndアルバムまでは十分にメタリック&スラッシー。特にデビュー・アルバムである本作では、ファンキーなのは3曲目と
カヴァー曲“SUPER FREAK"ぐらいのもので、残りは王道ベイエリア・スラッシュ・スタイルを貫いている。
スピード感こそ他のスラッシュ・バンドに比べ控えめながら、重厚なクランチ・リフ、へヴィにハジけるDs、派手に動き回り、
時にリード楽器の役割も果たすBから生み出される突進力は、かなりのモノ。(線は細いが「泣き」の入った声質のVoもユニーク)
だが、何より特筆すべきは、要所要所で強力な泣きメロを叩き込んで来るギター・コンビ。
ウリ・ロートやジョン・サイクスをフェバリット・ミュージシャンに挙げる彼らが、①“STATE OF MIND"⑧“RECKLESS ABANDON"
⑩“NUMB"で炸裂させる、劇的且つメロディアスなGプレイは、楽曲の持つドラマ性を何倍にも引き上げている。
ファンク=能天気という印象が嫌われてるせいか、中古屋でも安値で取引されている彼らのアルバム、聴くなら今がチャンス。


DEATH - Human ★★ (2006-06-14 21:33:00)

直線的なスラッシュ・チューンが姿を消し、(若干)楽曲がメロディアスに聴き易くなった事から、
ハードなデスラッシャーからの評判はイマイチらしい'91年発表の4thアルバム。
どっこい本作こそ、禍々しいリフと印象的なギター・ハーモニー、狂気のシャウトとメロディアスなGソロといった美醜の対比の効かせ方、
凄腕揃いの面子による、高度なテクニックと表現力に裏打ちされた複雑極まる曲構成、「タメ」と「疾走」を繰り返しながら
テンション&ドラマ性を高め、その頂点で劇的且つメロディックに炸裂するGソロetc・・・と、後期DEATHのスタイルが遂に完成をみた記念すべき一作である。
バンド形態の崩壊に伴うDEATHのソロ・プロジェクト化、他メンバーからのインプットがなくなり、
開き直ったチャック・シュルデナーが好き勝手に創作活動を展開した事が奏功したのか、唯一無二のDEATH(流)メタルを確立させた彼は、
以降、この方向性に磨きをかけ、ドラマチックな「INDIVIDUAL THOUGHT PATTERNS」、キャッチーな「SYMBOLIC」といった傑作を発表していく事となる。


ONSLAUGHT - The Force ★★ (2006-06-14 21:19:00)

VoがBに、BがリズムGに転向、そして新Voにサイ・キーラー加入という複雑なメンバー(楽器)チェンジを経て、86年に発表された2ndアルバム。
デビュー作のような、初期衝動に任せたヤケクソ気味の疾走感はやや薄れたものの、その分、楽曲が練り上げられ、
抑えるべきパートは抑え、走るべきパートでは必要以上に突っ走るという、より緩急の効いたダイナミックな作風に仕上がっている。
1stの猪突猛進ぶりを愛する向きには文句の一つもあろうが、個人的にはこの完成度の高さを評価したい。
ツイン・ギター編成への移行、(ダーティな歌唱とはいえ)歌える専任Voの加入という陣容変えの成果か、楽曲に備わるドラマ性も格段に向上。
特に②“METAL FORCES"における、2本のGを効果的に使ったドラマチックな曲展開は、
次作で花開くパワー・メタル路線への萌芽であると同時に、本作のハイライトとなっている。
惜しむらくは、楽曲の大作化が(曲によっては)「ダレ」を生んでしまっている点。この問題の解決には、
長尺曲を説得力を持って歌いこなすだけのパワーと表現力を兼ね備えたVo(スティーブ・グリメット)の加入を待たねばならない。


CRIMINAL - Victimized ★★ (2006-06-10 09:16:00)

リフが図太くうねるへヴィ・パートは、如何にも90年代のバンド的だが、
スピード・パートにおける小気味良い疾走感は、直球ド真ん中でスラッシュ・メタルしてくれていて嬉しくなる。
へヴィ・パートにしても、南米のバンドならでは(?)の強靭なしなやかさを感じさせるグルーヴが心地よく、
意外に退屈しない。個性的なソロを聴かせるGも○。
「傑作!」と断言するには、そのGソロも含めて、楽曲の練り具合とサウンド・プロダクションの詰めの甘さ、
特に単調なVoパフォーマンスは大いに改善の余地アリなれど、作品全体から迸る前のめりな熱気と勢いは「買い」。


PRO-PAIN - Foul Taste of Freedom ★★ (2006-06-07 22:02:00)

このバンドの出自については殆ど何も知らず、また、アルバムもこれ一枚きりしか持っていないのだが、
それでも本作がスラッシュ・メタル冬の時代('93年頃)にリリースされた時は、それこそCDが擦り切れんばかりに愛聴させて貰った思い出の一枚。
前半こそハードコア/パンク風味が強いものの(但し質は高い。マカロニ・ウェスタン風のリフを持つ“EVERY GOOD BOY DOES FINE"がユニーク)、
後半は加速度的にスラッシュ・メタル化が進行。特に7曲目以降、迫力の怒号Voに、歯切れの良いリズム隊、時にメロウなフレーズを閃かせ、
聴き手をハッとさせる油断ならないGとが、ガッチリと噛み合ってタイトに畳み掛けて来る展開はかなり気持ち良い。
中古屋へ行くと、僅か3桁の値段で叩き売られているので、是非とも御一聴を。


PANIC - Epidemic ★★ (2006-06-07 21:31:00)

裏ジャケに一番目立つ文字で「PRODUCED BY THE H-TEAM」と誇らしげにクレジットされてるだけあって、
ザクザクと刻まれる肉厚なリフの感触は、まさしくEXODUSのそれ。
実際に、H-TEAMからインプットがあったのかどうかは定かではないが、アグレッシブな中にも、キャッチーな要素を含んだリフの
アイデアはかなり良質。曲作りだけでなく、耳に残るメロディアスなソロも披露するGはなかなかの逸材ではなかろうか。
本家に比べると、どうしても優等生的で小さくまとまってしまっている印象は拭えないものの、
EXODUSファンなら聴いて損は無い、良質のスラッシュ・メタル・アルバム。


HOLY TERROR - Mind Wars - No Resurrection ★★★ (2006-06-03 00:39:02)

メロディック・パワー・メタルにも通じるドラマティシズムの海で乱舞するツインG、
ヤケクソ気味に前へ前へと押し出してくるリズム隊、
メロディの流れに全く無頓着に歌メロを叩き込んで来るハイテンションなVo・・・
全てが崩壊しそうで崩壊しない、ギリギリの境界線上を猛スピードで突っ走る、
余りにも個性的なスラッシュ・メタルの超名曲。


EVILDEAD - Annihilation of Civilization - Holy Trials ★★★ (2006-06-03 00:37:04)

LA出身のバンドなのに、ザクザクと刻まれる分厚いクランチ・リフがベイエリアのそれを思わせる。
叙情的なイントロを導入に、ミドル~高速パート、絡み合う2本のGが紡ぎ出す
泣きの入ったメロディが大変美味なブレイク・パートを挟んで、再び高速パートへ・・・と、
アップダウンの激しいドラマチックな曲展開が魅力のスラッシュ・チューンながら、
聴き終えて最も印象に残るのは「コアな疾走感」という辺りが、このバンドならではの味わい。


HOLY TERROR - Mind Wars ★★ (2006-06-01 21:59:00)

1st「TERROR AND SUBMISSION」の時点で既に高品質だった楽曲が更なるレベルUPを遂げ、しかも音質の向上に伴い、よりシャープに、
アグレッシブに、ドラマチックに聴き手へと斬り込んでくる、「スラッシュ・メタルの隠れた名盤」と呼ぶに相応しい'88年発表の2ndアルバム。
バンドのアキレス腱だったキース・ディーンのVoも、技量を上げるのではなく、欠点の「リズム感の欠如」に一層磨きをかける事で、
逆にそれを強力な武器(個性)へ転じてしまうという、コペルニクス的発想の転換でこれを克服(・・・克服?)。
とにかく“DO UNTO OTHERS"“NO RESURRECTION"といった楽曲を聴いてみて欲しい。スピーディ且つドラマチックなメロディラインと
噛み合うことなく、強引に捻じ込まれるハイテンションな歌メロは、正常な感覚の持ち主が聴けば単にヘタクソというだけだが、
一度ツボにハマってしまうと、その狙っては出来ない天然ボケ的ズレの妙技の虜になること請け合い。
斯く言う私めも「やっぱHOLY TERRORのVoはこれじゃないと」と、のたまう中毒患者の1人であります。


SODOM - Sodom ★★ (2006-05-31 22:15:00)

本作の特徴を一言で表現するなら「ドラマチック」が適当だろうか。
何しろ、北欧のメロデス勢にも通じる、荒涼たる叙情性とアグレッションを宿したリフ・ワークが滅茶苦茶クール。
11thアルバムにして、SODOMの楽曲に新たな魅力を付与してみせたトム・エンジェルリッパーというミュージシャンの
底知れぬ才能には、今更ながら感嘆を禁じ得ない。
今回、その高いドラマ性を援護射撃するのがバーネマンのGで、“BLOOD ON YOUR LIPS"のイントロに憂いを帯びたアコギ・プレイ、
“CITY OF GOD"“NO CAPTURES"で炸裂させるメロディックなGソロは、そこいらの正統派メタル・ギタリストが
裸足で逃げ出す劇的さを誇り、各曲のハイライトとなっている。
とは言え、新機軸ばかりに気を配って足元がお留守になってるなんて事は全くなく、そこはSODOM。
ダイナミックな曲展開が魅力の“LAY DOWN THE LOW"、サビの勇壮なGメロに痺れる“NOTHING REGRET"、日本盤ボーナス曲ながら、
本編OPを飾ってもおかしくないクオリティを備えた激烈スラッシュ・チューン“KAMIKAZE TERRRORIZER"等、不変の突進力は健在。
ある意味(「BETTER OFF DEAD」とは違った意味で)SODOM未体験者に最適の一枚かと。


REVEREND - World Won't Miss You - Gunpoint ★★ (2006-05-30 23:07:10)

デイヴィッド・ウェインの強烈なスクリームを合図に走り出す、スラッシーなスピード・チューン。
雄々しく疾走するリフ、ライブ映えしそうなコーラス
(実際、ミニ・ライブ・アルバム「LIVE」のOPを飾るのはこの曲)
メロディアス且つドラマチックなGソロも素晴しいが、やはりウェインのVoこそが要。
そのアグレッシブなVoパフォーマンスは、本曲の格を数段引き上げている。


REVEREND - World Won't Miss You ★★★ (2006-05-30 22:54:00)

初期METAL CHURCHを彷彿とさせる楽曲の数々(OPナンバー“REMISSION"の分厚いリフの刻みからしてもう)と、ささくれ立ったサウンド・プロダクションのせいか、マイケル・ローゼンによるモダンな音作りが印象的だった2nd「PLAY GOD」より、かなりスラッシュ・メタル色が濃厚に感じられる1stアルバム。
ゆえにREVERENDのデビュー作としてだけでなく、「デイヴィッド・ウェイン在籍のまま作られたMETAL CHURCHの3rdアルバム」としても楽しめる・・・かもしれません。
それにしても驚異的なのはデイヴィッド・ウェインその人。聴けば一発で彼と分かる独特の声質を武器に、噛み付くようなシャウトから、アコギ・バラードで披露する繊細な歌い込み、ドラマティカルな楽曲における「押し」と「引き」の駆使、そして強烈なスクリームまで、余裕綽々で歌いこなすその歌唱力はまさに圧巻としか。BLACK SABBATHのカヴァー“HANDS OF DOOM”もしっかり自分のモノにしていますよ。
個人的には、本作をREVERENDの最高傑作に推したいですね。


NUCLEAR ASSAULT - Something Wicked ★★ (2006-05-27 21:15:00)

オリジナル・ラインナップの崩壊、デビッド・ディピエトロ&スコット・メタクサス(!)加入・・・
というドラスティックなメンバーチェンジを経て、'93年に発表された5thアルバム(そしてこれが取り敢えずのラスト作となった)
へヴィ&ダークにうねる頭3曲は'93年という時代を感じさせるが、中盤以降にはしっかりと突撃スラッシュ・チューンも配置されているので、
聴き終えてみれば、作品の備える突進力は前作「OUT OF ORDER」と大差ない。
メンバーチェンジの影響か、これまで以上にメロディ志向が強まり、「OUT~」では中途半端さを感じなくもなかった楽曲のメロディアス化が
よりスムーズに行われているのも本作の特徴の一つ。
特に、その最大の成果と言うべき、ツインGがJUDAS PRIESTばりの劇的なドラマを演出する疾走曲“THE FORGE"、
美しくも力強いNUCLEAR ASSAULT版パワー・バラード“NO TIME"は必聴の名曲!と断言させて頂きます。
ダン・リルカ不在ゆえ、あまり顧みられることのない(中古屋でも最安値で叩き売られてる)作品だが、是非とも再評価を望みたいところ。


STONE - Stone - Overtake ★★ (2006-05-20 23:47:21)

1stアルバム「STONE」のラストを、猛スピードで駆け抜けるスラッシュ・チューン。
デビュー作ゆえ、荒削りな楽曲からはまだ「冷気」が殆ど漂ってこないものの、
流麗なGはこの時点で既に十分個性的。
荒々しい曲展開の中に、ハッとさせる繊細なアコギ・プレイを忍ばせる等の小技も効いてます。
イントロ代わりに用いられる、EUROPEファン激怒必至の“THE FINAL COUNTDOWN"の
ミニ・カヴァー(チューニング狂いまくり)と併せて、星2つ進呈。


NUCLEAR ASSAULT - Out of Order ★★ (2006-05-20 23:17:00)

コアなスラッシュ・メタル・バンドから、「速い曲もやるメタル・バンド」へと、音楽性を拡散させ始めた'91年発表の4thアルバム。
勿論、スラッシーな突撃チューンは健在だが、そういった曲よりも、アコースティック・ギターと、
しっかりと「歌う」ジョン・コネリーのVoをフューチュアしたヘヴィ・チューン“TOO YOUNG TO DIE"のような曲の方が強く印象に残る・・・
という事実が、本作の方向性を端的に物語る。(疾走曲にしてもストレートに駆け抜けるのではなく、静と動/緩急が演出されている)
そして極めつけが、インスト大作“SAVE THE PLANET"!繊細なアコギ・プレイにキーボード・ソロまで盛り込まれたそのドラマチックな曲展開には
「一体どこの様式美バンドだ?」と唸らされること請け合いの異色の名曲。
ダイ・ハードなスラッシュ・ファンからは失望の溜息の一つも聞こえて来そうな作風ではあるが、
少なくともメタル好きなら一聴の価値ありと、個人的には信じて疑わない次第。


MELIAH RAGE - Kill to Survive - Impaling Doom (2006-05-17 21:38:05)

余りに教科書通りの(=没個性的)スラッシュ・メタル・アルバムだった為、
どうにも地味な印象を拭えなかったデビュー作「KILL TO SURVIVE」の中にあって、
最も新人バンドらしい「はっちゃけ感」を漂わせていたのがこの曲。
Bソロから「GO!」の掛け声と共に曲が走り出す瞬間、勢い重視のGソロ等、
ありがちとは言え、やはりカッコイイものはカッコイイ。


HALLOWS EVE - Death & Insanity - Nobody Lives Forever ★★ (2006-05-17 21:33:08)

ダイナミックな展開が魅力の名曲。
それをガッチリとキレのある演奏で支える楽器陣も、1stアルバム時より格段にスキルUPを遂げており、
中でもリフ/リズム/ソロに、時にメロディアスに、時にアグレッシブにと、縦横無尽に動き回る
デイビッド・スチュアートのGプレイは白眉。勇壮且つハイテンションなVoパフォーマンスも迫力十分。


AWFUL TRUTH - The Awful Truth - Higher ★★★ (2006-05-17 21:27:56)

ブンブン唸りを上げるBが刻むヘヴィ・リフと、その上に乗っかる柔和なボーカル・ハーモニー・・・
この絶妙なミスマッチ感は確かにクセになる。(GALACTIC COWBOYSより正統派メタル色が濃いのもポイント)
7分以上に及ぶアルバム随一の長尺曲ながら、浮遊する哀メロが胸締め付ける叙情パート、
スラッシーな疾走パート、摩訶不思議な(としか表現しようのない)インスト・パートと、
クルクル目まぐるしい曲展開に退屈する暇は全くなし。


PYRACANDA - Thorns - At The Abyss ★★ (2006-05-17 21:00:26)

「THORNS」のOPチューンにして、個人的にはアルバムのハイライト・チューン。
ミドル・ハイ・テンポの前半から、小刻みなリズム・チェンジでエネルギーを溜め込み、
一気にスラッシュ・スピードへと雪崩れ込む曲展開と、
ここぞ!というタイミングで劇的且つメロディックに炸裂するGソロが非常にカッコイイ。


HALLOWS EVE - Tales of Terror - Hallows Eve (including Routine) ★★ (2006-05-16 21:18:09)

一皮剥けた3rd「MONUMENT」では、堂々たるアメリカン・パワー/スラッシュ・メタルを披露していた彼らだが、
1stアルバムの時点ではまだ青さが先行気味で、この8分に及ぶ大作曲にも、どこか垢抜けなさが漂う。
んが。そんなものは、この「IRON MAIDEN大好き!」と主張しまくりの攻撃的なリフと力強い曲調、
しかもその曲のタイトルにバンド名を冠して、自分達のテーマ・ソングにしてしまう
直球勝負のメタルバカっぷりの前には些細な問題。
実際、後半のドラマチックな盛り上がりは、かなり聴き応え有り。


PYRACANDA - Thorns ★★ (2006-05-15 22:27:00)

評価も知名度も完成度も1stに比べると劣る物の、個人的には結構お気に入りの一枚。
全体的に疾走感は抑え気味で、低~中速でスタート、リフ/リズム・チェンジを繰り返しながら、
徐々にスピードを速めて盛り上がっていくタイプの曲が大勢を占めているが、リフの鋭さや、メロディの扇情力に鈍りは殆ど感じられない。
また、テンポが落ちた分、2本のGが奏でるメロディの質の高さが浮き上がって聴こえるのもポイント。
インスト・パートの劇的さが鳥肌モノの“AT THE ABYSS"、腰の据わったヘヴィ・チューン“DRAGON'S CULT"、激烈スラッシュ“SHUT UP"、
アコギ・パートから疾走に転じる曲展開がガッツポーズもののカッコ良さの“TWO SIDES OF A COIN"等、聴かずに捨て置くには惜しい名曲・佳曲を多数収録。
本作最大の弱点は、後半に並ぶ曲が地味なので、聴き終えた後のスッキリ感がイマイチな点だろうか。


STONE - Emotional Playground - Small Tales ★★★ (2006-05-12 22:06:44)

ヒンヤリとした冷気を撒き散らしながら、硬質なリフが疾走するスラッシュ・チューン。
特に、北欧の荒涼とした大地を想起させる、中間部のドラマチックなインスト・パートは絶品!
ぶっきらぼうな歌い回しが特徴のVoは好き嫌いが分かれるかもしれないが、
この歌唱が、STONE独特の「寒々とした空気感」の演出に一役買ってるのも、また事実。
残暑厳しい季節にでも聴けば、体感温度がスッと下がって快適に過ごせること請け合い。


URIAH HEEP - Sea of Light - Against the Odds ★★★ (2006-05-12 22:00:34)

傑作アルバム『SEA OF LIGHT』の幕開けを飾るに相応しいドラマチック・チューン。
幻想的なイントロをハードなGリフが切り裂き、
フィル・ランゾンによる華麗なハモンドの音色と、
リー・カースレイクの叩き出すダイナミックなビートに乗って曲が疾走を開始。
伸びやかなVoを聴かせるバーニー・ショウ
(ライブでの大合唱が容易に想像出来る雄々しいサビメロが秀逸)や、
印象的なオブリを閃かせるトレバー・ボルダーのBも良い仕事をしているが、
やはり要はミック・ボックスのG。
メロディアスなソロ・プレイも然ることながら、結成25周年(当時)を経ても、
未だにこのレベルの楽曲を生み出し得るその才能には、ただただ敬服するのみ。


CYCLONE TEMPLE - I Hate Therefore I Am - Why ★★★ (2006-05-07 16:52:26)

物憂げな雰囲気漂わす叙情パートと、小気味良い疾走パートとの対比が劇的なドラマを演出する曲展開や、
それをしっかりと支えるタイトなリズム隊、気持ち良いぐらいザクザクと刻まれるクランチーなリフetc・・・
と、絶賛すべき点は多いが、やはりこの曲を名曲以上の「超名曲」足らしめているのは、確かな歌唱力を持ったVoが歌う
憂いを帯びた歌メロ。「よくもまぁこんなフックに富んだ歌メロを思い付くな」と感心させられる程、
ツボを突いたメロディ・ラインが秀逸。取り敢えず、スラッシュ界の「歌メロチャンプ」の称号を進呈したい。


SOLITUDE - Virtual Image ★★ (2006-05-03 09:11:00)

スラッシュ・スタイルだったSACRIFISEに比べると、こちらは若干、正統派寄りで聴き易いへヴィ・メタル・アルバムに仕上がっている。
(SACRIFISE自体、スピードで押し切るバンドではなかったけど)
とは言え、強烈な個性を主張する杉内明のダーティなVoは健在。どころか、ドスの効かせ方などかなりパワーUPした印象で、
これはかなり好き嫌いが分かれるかもしれないが、表現したい事があるからこそのこの歌唱法なわけで、別に文句を言う筋合いはない。
ウド・ダークシュナイダーやマーティン・ウォルキーア辺りがイケル口ならトライしてみる価値は十分にあり。
曲作りの巧さは相変わらずで文句なし。特に痒い所に手の届くGソロと、頭3曲のリフのカッコ良さには痺れた!
ただ、全6曲のミニ・アルバムで、インストを2曲続ける構成には疑問を感じなくも無いけど。


SACRED REICH - Ignorance ★★ (2006-04-30 00:36:00)

表現したい事は痛いほど伝わってくるが、その志しにクオリティが全く追い付いていないアルバム・カバー(中学漫研部員の落書き風裏ジャケは更に凄い)はともかく、
内容の方は充分にハイクオリティ。
硬派かつアグレッシブな正統派スラッシュ・サウンドを基本にしながら、そこに叙情的なインスト曲やらダイナミックな曲展開やら、やたら滅多らテンションの高い
Gソロなんかがブチ込まれているため、アルバム全体が一本調子になることも、個々の楽曲が没個性的になることもない。
鋭く現代社会の病巣を抉る歌詞(ゆえに出来れば対訳の付いた国内盤入手が望ましい)も含めて、これぞ注釈無用の「スラッシュ・メタル」アルバム!


C.I.A - In the Red - N.A.S.A. ★★ (2006-04-30 00:21:06)

いきなり意表を突いて、深みのあるピアノの調べから曲がスタート。
如何にも「この後スピードUPしますよ~」と言わんばかりの重々しいイントロで焦らしまくるも、
実際に始まる本編はヘヴィ・リフがザクザク刻まれるミッドテンポ。
「でもこれはこれでカッコイイから良いか」と思いきや、何の前触れも無く、
勇ましくもキャッチーなサビをフルスピードで突撃開始・・・と、意外な展開の連続が楽しい。


EARTHSHAKER - EARTHSHAKER ★★ (2006-04-26 22:02:00)

名曲中の名曲“MORE"を収録している2ndアルバム「FUGITIVE」も捨て難いが、
トータルの完成度で選ぶなら、OPを劇的に飾るバンドのテーマ曲“EARTHSHAKER"、キャッチーな疾走曲“WALL"、
エイドリアン・スミス作曲の如何にも(中期)メイデン風なHMチューン“DARK ANGEL"等、捨て曲なしのこのデビュー作こそがマイ・ベスト。
山本隆士に酒井康に宇井秀雄、おまけにデイヴ・メニケッティといった錚々たる面子がライナーに寄稿している事実からも、本作の完成度の高さが伺えようと言うもの。(?)
伊藤政則氏のプロデュースは、今聴くとソフト過ぎてアグレッションに欠けるように感じられるが、
代わりにバンドの武器の一つである「繊細な表現力」は十二分に活かされているので無問題。
特に、そっち方面の代表曲である泣きの名バラード“I FEEL ALL SADNESS"は、全ロック・ファン必聴。


AVERSION - Fit To Be Tied ★★ (2006-04-26 21:52:00)

とにかくタイト。この一言に尽きる作品。
パンク/ハードコアからの影響を感じる無駄を削ぎ落とした2~4分台の楽曲もそうだが、
特筆すべきは演奏面のタイトさ。
疾走曲のみならず、ミッドテンポの曲でも聴き手の体を勝手に反応させてしまうこの演奏の歯切れの良さは驚異的。
あまりの気持ち良さに何度も聴き返したくなるこの中毒性は、確かにかなり強力だ。

あと、最後に1フレーズだけ有名バンドの有名なリフが登場するのだが、どうしてもその曲名が思い出せない・・・。


AVERSION - Fit To Be Tied - Falling Full Circle ★★★ (2006-04-26 21:44:40)

引っ掛かりのあるリフがヘヴィに刻まれる前半でグッとエネルギーを溜め込み、
それを後半の疾走パートで一気に爆発させる展開が痛快極まりない。
(そしてまたヘヴィ・パートに戻って曲が終わる構成も美しい)
リフのカッコ良さ、及び、しなやかさと歯切れの良さを兼ね備えた楽器陣(Voも含めて)のパフォーマンスも特筆モノ。


DESPAIR - Decay of Humanity - Victims of Vanity ★★ (2006-04-24 21:31:18)

2ndアルバムのハイライト・チューン。
重厚なイントロが終わるや否や、緊迫感を湛えたスラッシュ・リフが疾走開始。
そこに、濁声はもとより朗々とした歌唱も見事に操るVoと、
2本のGが華麗に奏でるクラシカルなソロが絡む曲展開は、痺れるほどにドラマチック。
これで時々演奏がヨレなければ、星3つ級の名曲なのだが・・・。


DESPAIR - Beyond All Reason ★★★ (2006-04-24 21:27:00)

全体的に音圧が下がって、アグレッションで聴き手を圧倒するよりも、凝ったアレンジや曲展開で聴き手をグッと惹き込むサウンド・スタイルへと転換が図られているため、スラッシャー的には評価の割れる作品かもしれませんが、個人的にはDESPAIRの最高傑作に押したい'92年発表の3rdアルバム。
尤も、彼らは元々メロディに強い拘りを持つバンドでしたし、本作はそのセンスがここに来て遂に大爆発しただけのこと。特に、2人のギタリストによって紡ぎ出され、アルバム全編で乱舞するクラシカルなメロディは、聴き手の感性のツボをグイグイ刺激してくる絶品さです。
メンバーの高い演奏技術に裏打ちされた攻撃性や疾走感はそのままに、キーボードとアコギの大胆な導入で耽美性が増大。荘厳なイントロダクションに導かれて疾走を開始する名曲中の名曲“DEAF AND BLIND"、ミステリアスな雰囲気の前半と、激しく盛り上がる後半のコントラストが美しい“IN THE DEEP"、アラビア・メロディ風のアコギ・ソロに耳奪われる“RAGE IN THE EYES"、ラストをドラマチックに締めるインスト曲“CROSSED IN SORROW"(最初と最後にインスト曲を配置するこの様式美!)等、アルバム全編これ捨て曲なし。
これが最終作とは残念至極。ヴァルデマー・ゾリヒタ(G)様におかれましては、一日も早いDESPAIRの再結成をご祈念申し上げます。


EARTHSHAKER - EARTHSHAKER - I FEEL All SADNESS ★★★ (2006-04-22 01:36:43)

西田“Mr.ヴィブラート"昌史の胸締め付ける熱唱、繊細な表現力でビシバシ涙腺を刺激してくる石原慎一郎のG、
劇的なリズムを叩き出し、ドラマを重厚に演出する工藤義弘&甲斐貴之のリズム隊・・・
「泣きのバラード」という言葉を音楽にしたら、こんな曲が出来るんじゃなかろうか?
思わずそう考えさせられるぐらい、各パートが壮絶に泣きまくる傑作バラード。
特に、石原慎一郎による慟哭のGソロの涙腺破壊力は圧倒的だ。


PARADOX - Collision Course - Shattered Illusions ★★ (2006-04-20 20:54:03)

これはPARADOX史上、最速チューンじゃなかろうか?
冒頭からガツンとカマされる「これぞスラッシュ・メタル!」たる
ストロングなリフの刻みが強烈。
それでいて、歌メロやGソロにおけるメロディの使い方に
しっかりと気を配っている辺り、自分達の武器が何なのか良く分かってるなぁと感心。
ことにインスト・パートのドラマチックな展開は聴きモノです。


PARADOX - Collision Course ★★ (2006-04-20 20:45:00)

流行におもねらず、と言ってノスタルジーにも囚われていない、理想的な復活作。
パワフルな楽曲と、チャーリー・シュタインハウアーの衰えぬVoパフォーマンスには、
お世辞抜きでJUDAS PRIESTの『ANGEL OF RETRIBUTION』級の感銘を受けた。
アコギによる序曲(美味しいメロディてんこ盛り)から、激ドラマチックなタイトル・トラックへ・・・
という流れが、代表作『HERESY』と二重写しになるアルバムOPの構成も、PARADOXの
「ファンの期待に応えるぞ!」という決意表明に他ならない(んじゃないかなぁ、と)。
リフの重さは現代的だが、それが各曲の叙情性やスピード感を殺しておらず、
むしろ引き立て、破壊力を倍化させている点も評価ポイント。
序盤からスラッシーに押しまくり(かと思えば突然アコギ・パートを挿入してハッと
させる辺りにベテランの技が光る)本編ラストを飾るSCORPIONSの名曲“DYNAMITE"の
カバーまで、あれよあれよのうちに聴き通せる。


LOUDNESS - THUNDER IN THE EAST ★★★ (2006-04-19 21:36:00)

これまでのマイナー調の暗さが抜けて、スッキリと垢抜けた印象を受ける、メジャー感漂う5thアルバム。(マックス・ノーマンが手掛けたドライな音像もその一因か)
とは言え、別にポップになったわけでも能天気になったわけでもなく、THERIONやHAMMERFALLもカバーした腰の据わったヘヴィ・チューン“CRAZY NIGHT"、キャッチーな疾走曲“LIKE HELL"、サビメロとドラマチックなGソロが秀逸な“CROCKWORK TOY"、哀愁のバラード“RUN FOR YOUR LIFE"等、優れたHMチューンがズラリ揃った名盤に仕上がっている。
丁度、ダークなヨーロピアンHRバンドから、普遍的な魅力を備えたHMバンドへと変貌を遂げたSCORPIONSの『BLACKOUT』と同じような立ち位置の作品・・・と言ったところでしょうか?
日章旗ジャケは今見ると苦笑を誘われるかもしれませんが、このアートワークで、このアルバム・タイトル、そしてシンプル(且つ魅力的)な楽曲が放つ「判り易さ」があったればこそ、本作はアメリカ・ビルボードに19週連続チャートイン(最高位74位)という快挙を成し遂げられたと思うわけで。
個人的に、LOUDNESSのアルバムでは一番好きな作品ですね。


ONSLAUGHT - In Search of Sanity - Welcome to Dying ★★★ (2006-04-19 21:17:05)

「質は高くても必要以上に長いので途中でダレる曲が多い」
と苦言を呈される事の多いアルバム『IN SEARCH OF SANITY』の中にあっても、この曲は例外。
何せ12分以上もあるパワー・バラード大作ながら、全くダレ場なし。特にテンポアップして突入する、
クライマックスと言うべき中盤のインスト・パートのドラマチックな盛り上がりは最高としか!
美しいアルペジオとザクザク刻まれるスラッシュ・リフ、激しいGソロとメロウなBソロの美しい対比や、
スティーブ・グリメットの見事な歌唱が胸に染みます。


OVERKILL - Under the Influence - End of the Line ★★★ (2006-04-19 21:10:07)

「掴み」には持ってこいの劇的なイントロ、勇壮且つメロディアスなサビの歌メロがIRON MAIDENを彷彿とさせる
7分にも及ぶ大作ながら、ボビー・ブリッツ・エルズワースの鋼の如きストロングなVoが、
時にメロウに時に派手にと、アクティブに動き回るD.D.ヴァーニのBが、
インスト・パートでドラマチックなプレイを炸裂させるボビー・ガスタフソンのGが、
スラッシュ・チューンとしてのアグレッションの低下を許していない。


OVERKILL - The Years of Decay - Elimination ★★★ (2006-04-19 21:05:09)

金属的硬質感を漂わせたリフ&リズム&ヴォーカルが一体となって、弾丸の如く突進する様がド迫力の
OVERKILL史上でもトップクラスの攻撃性を発散するスラッシュ・チューン。
それでいて曲展開はかなりドラマチックに練り上げられているのだが、
それをさして大仰に感じさせる事無く、サラリとスマートに聴かせちゃう辺りが、流石、NY出身の都会派。


S.O.D.(STORMTROOPERS OF DEATH) - Speak English or Die - Kill Yourself ★★★ (2006-04-15 00:18:15)

この曲を初めて聴いたのは、
S.O.D.がSTORMTROOPERS OF DEATH名義で参加したオムニバス・アルバム「STARS ON THRASH」でだったか・・・。
とにかく一発で気に入り、後に「SPEAK ENGLISH OR DIE」も買ったが、やはりこの曲のベストの座は揺ぎ無かった。
笑っちゃうぐらい速く、スカッと短く(2分ちょい)、でもリフは驚異的なまでのカッコ良さを誇る。
思わず一緒に叫びたくなるキャッチー(?)なサビも良い。
反復リフで徐々にテンションを上げていく、ミッドテンポの後半も最高。
つまり文句なしの超名曲って事ですな。


TESTAMENT - The New Order - Eerie Inhabitants ★★★ (2006-04-15 00:07:50)

名盤のOPを飾るに相応しい名曲。なのに人気がないのは、
(日本人には)イマイチ分かり辛く、キャッチーさに欠けるタイトルのせいではなかろうか?なんて。
美しくも終末感漂うイントロ、そのしじまをブチ破りザクザク疾走する鋭角的なリフ、
ドスの効いたチャック・ビリーのVoと、絶妙なタイミングで挿入され、
思わず一緒に叫びたくなる野太いコーラスetc・・・
何れも高品質ながら、やはり白眉はアレックス・スコルニックのGプレイ。
特に荒々しい曲調の中に突如として出現する官能的なGソロは、静と動の落差が生み出すドラマ、
そして美しい泣きメロにハッと胸を突かれること必至。
初めて聴いた時はゾワゾワと鳥肌が立ちました。


EXODUS - Pleasures of the Flesh - Seeds of Hate ★★★ (2006-04-13 20:26:22)

EXODUSと言えば、一番好きなアルバムは『BONDED BY BLOOD』だが、一番好きな曲はこれ。
アコギによる美しい小曲“30 SECONDS"(正確には“35 SECONDS"だが/笑)をイントロに、
「攻撃的でありながらキャッチー」という相反する要素を兼ね備えて疾走するリフが凶悪なまでにカッコイイ。
憑かれたかのように突っ走るトム・ハンティングのDs、
エキセントリックでありながら、しっかりと歌っているスティーヴ・ゼトロ・サウザのVoも強烈ながら、
やはり主役はゲイリー・ホルト&リック・ヒューノルトのH-TEAM。
2本のギターが絡み合うようにして高みへと昇り詰めていくクライマックスのソロ・パートは、
あまりの恍惚感に失禁しそうになりましたですよ、はい。


CASBAH - BOLD STATEMENT ★★ (2006-04-12 20:10:00)

発表された時期を考えると、この混じりっ気なさは奇跡的とも言える
爆走型ピュア・スラッシュ・メタル・アルバム。
クオリティは高いもののキメ曲に乏しいとか、低域を膨らませ過ぎて鋭さに欠ける
サウンド・プロダクションがイマイチといった細部への不満も、
前のめりの全8曲、トータル・タイム僅か31分、曲間も殆ど無しという
怒涛の攻めの姿勢の前には吹き飛ぶと言うもの。
取り敢えず、聴き終えた後の爽快感はかなり大きい。


SHELL SHOCK - PROTEST AND RESISTENCE - POISON ★★★ (2006-04-11 22:47:48)

不穏なSE“SLAMMIN'…BUT THRILLIN'"とヘヴィ・パートをイントロ代わりに、
アルバムのOPを猛スピードで駆け抜ける激烈スラッシュ・チューン。
「叙情的」と言うのとは一味違う、メロディアス且つ攻撃的なギター・ソロにも耳惹かれるが、
やはりこの曲の肝はリフ。
切迫感溢れるシャープなリフと、直線的歌メロをドスを効かせて歌いこなすハードコア調のVoとが、
互いに煽り合ってテンションを急上昇させていく終盤の展開は、小便チビりそうになるぐらいカッコイイ。


LAAZ ROCKIT - Annihilation Principle - Mirror to Madness ★★ (2006-04-10 20:19:53)

ドラマチックなイントロからしてガシッと掴まれる突撃スラッシュ・チューン。
カラリとした歯切れの良さ(陽性だが脳天気には非ず)が持ち味の彼らには珍しい
欧州へヴィ・メタリックなリフが非常にカッコイイ。
そこから、もろヨーロピアン風味なパワー・バラード“THE OMEN"に繋ぐ構成も上手い。


MORDRED - In This Life - A Beginning/falling Away ★★ (2006-04-06 23:22:33)

ファンキーなリズムの上に乗る、パワー/スラッシュ・メタル然とした攻撃的なリフ&勇壮なメロディ・・・
このミスマッチ感が面白い。
特に中間部のインスト・パートにおけるドラマチックな展開はお見事!Gも良い具合に泣いています。
スクラッチも導入されているが、ドラマ性を盛り上げる効果的な使われ方をしているので恐るるに足らず。


VOW WOW - Vibe - Fade Away ★★★ (2006-04-03 23:06:54)

厚見玲衣の華麗で劇的でスリリングなキーボード・プレイが、曲の完成度を数段引き上げていると思う。
“SHOCK WAVE"と同等の感動が味わえる、文句なしの超名曲。
勿論、胸締め付ける壮絶な歌唱を聴かせるVo、涙腺刺激しまくりのG、
味わい深いリズム叩き出すDs、黙々と脇に徹するBの素晴しい仕事っぷりは言わずもがな。


MORDRED - In This Life - Progress ★★ (2006-04-03 22:57:14)

「IN THIS LIFE」では唯一の突撃スラッシュ・チューンだが、
それをちゃんと名曲に仕上げてくれてるんだから嬉しくなる。
ベイエリア・クランチ・リフが気持ち良くザクザク刻まれ、
中間部のソロ・パートではギターが泣きまくり。
流石「ウリ・ロートを尊敬してる」というだけはある。ギター


AGENT STEEL - Skeptics Apocalypse - Agents of Steel ★★★ (2006-04-02 20:35:11)

短いイントロに導かれて始まるのは、クスリでハイになったロブ・ハルフォード風Voがシャウトしまくる、
JUDAS PRIEST型やけっぱち爆走スラッシュ・チューン。
しかも曲タイトルがバンド名、サビもバンド名の連呼というコテコテ具合がたまりません。
なんの小細工もなし、ひたすら前のめりに突っ走ってランニング・タイムは僅か3分ちょい。
この曲のインパクトが強過ぎて、アルバム自体の印象が薄れてしまうぐらい強力。


COZY POWELL - Tilt - Sunset ★★★ (2006-04-02 16:49:52)

バリバリのハード・ロック・チューンは勿論のこと、
こういうバラード・チューンにおいても味わい深いプレイを披露するコージー・・・。
まさに唯一無二の存在でした。


CONCERTO MOON - Make It Shine Vol.2 - Change My Heart ★★★ (2006-04-02 00:49:37)

この超名曲を初めて聴いたのはオムニバス・アルバム「MAKE IT SHINE VOL.2」において。
同シリーズ1作目に完成度の高い様式チューンを提供していた
CRYSTAL CLEARのGとZENITHのVo・Key・Dsが結成した新バンドの曲という事で
聴く前からある程度の期待はしていたが、その完成度の高さはこちらの予想の遥か上を行くものでした。
イントロが流れ出した瞬間、早くもガッツポーズ。
ギターが素晴しいのは言わずもがな、良い仕事してるKey、コブシの効いた歌を聞かせるVoも素晴しい。


ANTHEM - Eternal Warrior - Onslaught ★★★ (2006-04-02 00:21:25)

未だにこんな名曲を生み出せてしまう、柴田直人の計り知れないポテンシャルに脱帽。
まさに天才。
こういう曲を歌わせたら、坂本英三の歌も天下一品!


SABBRABELLS - One Night Magic - ルルドの泉 ★★★ (2006-04-02 00:13:11)

ダーク且つドラマチックなオドロオドロしい曲調は、
流石、日本の元祖(?)サタニック・バンドといったところでしょうか。
でも初めてこの曲を聴いた時に連想したのはカルメン・マキ&OZだったりするのだが・・・。
中古で購入した帯なしの旧規格盤しか持ってなかったので、再発盤に買い直そうと思ったら、
なんと“ルルドの泉"が収録されていない!
アルバムでも1、2を争うこの名曲がカットされてるなんて納得いかんぞ。


WRATH - Insane Society - Law of Lies ★★ (2006-03-31 22:04:06)

アグレッシヴに「MAIDENしてる」パワー/スラッシュ・チューン。
ゴキバキベキブリと、派手なラインを刻みつつ曲をリードするベースは、
元々スティーブ・ハリスからの強い影響が感じられたが、
この曲ではギターまで何だかデイヴ・マーレイっぽい(笑)
それでもパクリのような安易さを全く感じさせないのは、受けた影響をしっかり消化してるのと、
曲そのもののクオリティの高さゆえか。


PROTECTOR - Leviathan's Desire - Subordinate ★★ (2006-03-31 21:56:52)

人間離れした咆哮のVo、狂ったギター・ソロに、ブラスト・ビート炸裂させるリズム隊と、
ノリは殆どデス・メタルながら、聴き終えた後の感想が
「ヨーロピアン・スラッシュの名曲を聴いた!」に落ち着くのは、
欧州へヴィ・メタルの匂い薫る練られたリフ・ワークゆえか、
はたまた根底に流れるダーク且つ耽美なドラマ性ゆえか。


SHELL SHOCK - PROTEST AND RESISTENCE - THE ANSWER OF TECHNOLOGY ★★★ (2006-03-30 21:36:00)

左右のチャンネルから波状攻撃を仕掛けてくるヴォーカル(MANOWARの得意技のアレ)、
ゴリゴリと曲を引っ張るベース、それに攻撃的なギター・リフとが一丸となって、前のめりに突進する様が最高にカッコイイ。
聴いてると勝手に体が動き出す!
3rdアルバム以降は急速にハードコア化を強めていくけれど、ここではまだスラッシュ度とのバランスが丁度良い塩梅で、
それがまたメタル者の耳には心地よい。