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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 701-800

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 701-800

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BURN - So Far, So Bad - We Are The Young ★★★ (2020-05-25 01:24:00)

北欧メタルばりの透明感を湛えた
哀愁のメロディと、バンドの大陸志向を感じさせる
キャッチーなコーラス・ワークの融合が見事にハマった
アルバムでも1、2を争うハイライト・ナンバー。


BURN - So Far, So Bad ★★ (2020-05-23 09:21:05)

同名バンドが世界中にいて最早どれがどれだかです、こちらはマーク(B)とバーニー(Key)のスタックハウス兄弟により結成され、オリジナル・メンバーだったドラマーの死去という悲劇を乗り越えて、現在までに4枚のアルバムを残している英国出身の5人組。本作は彼らが'93年に発表した1stアルバムにあたる作品です。自主制作盤かな?
当時雑誌の輸入盤レビューで見かけて以来気になってはいたものの、結局買う機会を逸したまま早幾年月。それが去年の正月に古本屋のCDコーナーで500円で売られているのを偶然発見してしまい、思わず「やっと会えたね…」と辻仁成みたいなことを口走ってしまいましたよ。
このバンド名でメンバーにKey奏者もいるとなると、ついついDEEP PURPLE型HRを期待してしまうのが人情というものですが、彼らが志向するサウンドは、熱っぽく歌い上げるVo、コンパクトに練られたソロを弾くG、煌めくKeyと厚めに敷かれたコーラスをフィーチュアした大陸志向のメロディック・ロック。躍動感溢れるロックンロールから乾いた哀愁漂わすバラードまで、収録曲をバラエティ豊かに揃えつつ、いずれも能天気にはなりきれない欧州風味の翳りをそこはかとなく湛えている辺りが、何と言うか「ああ、非常にイギリスのバンドっぽいなぁ」と。個人的にはヴァースからサビメロにかけて、1曲の中でメロディの質が寒と暖のグラデーションを描く②や⑧がツボにハマりましたね。
収録曲の出来栄えにややムラっ気が感じられるものの、90年代にこの音楽性で(しかも英国で)勝負を賭ける、その心意気や良し!な1枚。


TEER - Teer - Heaven's Not Enough ★★★ (2020-05-21 01:17:00)

肉厚に刻まれるバッキングの上で、爽やかさと
哀愁が程よくブレンドされたメロディと分厚い
ハーモニーが華麗に舞う、このバンドが目指す
音楽性を端的に示してくれるOPナンバー。


TEER - Teer ★★★ (2020-05-20 01:08:28)

中心メンバーのジョン・ティアー(Ds)からバンド名を頂戴してTEERを名乗ったアメリカはフロリダ州出身の5人組が、'00年にNOW AND THEN RECORDSから発表したセルフ・タイトルのデビュー作(…と思ったら、自主制作の1stもあるのね)
本作は'18年に心臓発作で急逝したギタリストで、フロリダHR/HMシーンのちょっとした顔でもあったラルフ・サントーラの全面バックアップを得てレコーディング作業が進められおり、そのせいか、肉厚に刻まれるバッキングの上で、キャッチネスと哀感が程よくブレンドされた流麗なメロディ、分厚く重ねられたボーカル・ハーモニー、テクニカルなGソロとが華麗に舞うメロディアスHRサウンドは、MILLENIUM、EYEWITNESSといったラルフ絡みのバンドに通じる爽やかな味わいに満ち溢れています。
Voの音程が時折怪しいのはご愛嬌ながら、情熱的な歌いっぷりは気持ちが良いですし、何より収録曲の出来栄えがどれも素晴らしい。重厚且つドラマティックに展開する①、ストリングスをフィーチュアした哀愁のバラード②、一転爽やかさ振りまく③…と「アルバムは頭3曲が勝負」の鉄則を踏まえ、タイプの異なる秀逸な楽曲が並べられた序盤戦だけで掴みは上々。以降も仄暗いヴァースから明快なサビメロへと視界が開けていくような曲調が印象的な⑤等、確かなクオリティを有するのメロディック・ロック・チューンがズラリ。MILLENIUMのメンバーでもあるシェーン・フレンチの、ジョージ・リンチに通じるエッジの鋭さと構築美を併せ持ったGプレイも華やかに本編を彩ります。
本作のみで消息不明になってしまったのが残念に思える逸材バンドでしたよ。


RAMOS - Living in the Light - Tell Me Why ★★★ (2020-05-19 01:26:31)

スペーシーなイントロで十分に焦らしてから
哀愁のメロディが走り始める、本編においては
ハード寄りな仕上がりのロック・チューン。
ギターも比較的弾きまくっていますが、
常に歌心を失わないのがこの人の美点。
物悲しくもキャッチーなコーラスが絶品ですよ。


RAMOS - Living in the Light - Winds of Change ★★★ (2020-05-19 01:15:23)

マーク・ウェイツの美しい歌声に導かれてスタートする
爽やかな清涼感溢れるメロディアスHRナンバー。
Keyの用い方も効果的で、THE STORMやTWO FIRESといった
バンドのアルバムに収録されても立派にハイライト・チューンの
役目を果たせたのではないかという名曲ぶりです。


RAMOS - Living in the Light ★★★ (2020-05-17 23:37:34)

ギタリスト発掘人ことマイク・ヴァーニー社長の目に留まり、LE MANSの一員としてSHRAPNEL RECORDSからプロ・デビュー。しかし以降は一貫して「テクニックの披露よりメロディ」「ギターより歌」重視のスタンスを崩すことなく今に至るギタリスト、ジョシュ・ラモスが、現FOREIGNERのケリー・ハンセンをプロデューサーに迎えて(バックVoにも参加)'03年にFRONTIERS RECORDSから発表したソロ・アルバム。
初めてのソロ名義、その上フュージョン畑で活躍するスチュワート・ハム(B)、SHRAPNEL作品でお馴染みのアトマ・アナー(Ds)、元EYESで、イングヴェイのバンドのシンガー候補だったこともあるマーク・ウェイツ(Vo)等、腕に覚えのあるミュージシャン連中がバックを固めていることあり、もしかしたら今回は派手にGを弾きまくったインスト・アルバムなのかも…と思いきや、別にそんなことは全然なかったという。そりゃそうだ。
主役は飽くまでマークの伸びやかな歌声であり、適宜Keyも効かせたキャッチーなJOURNEY型メロディアスHRサウンドを実践。日々のストレスが綺麗さっぱり洗い流されていくような清涼感溢れる③と、イントロで焦らした後、哀愁を伴って駆け出していくHRナンバー⑥は、この人の長いキャリアの中でも上位に食い込める名曲っぷり。また②⑤等バラード系の楽曲に顕著な「少ない音数でいかに多くを語るか」を追求したような、タメと揺れを十二分に効かせたニール・ショーン直系のGソロも相変わらずエモい輝きを放っています。
ソロ作ということで購入を後回しにしていたのですが、何のことはない。彼がこれまで関わってきたバンド/プロジェクトのアルバムに匹敵するメロハーの逸品でしたよ。


ALEX MASI - The Watcher - The Watcher ★★★ (2020-05-16 09:31:47)

ジェフ・スコット・ソート型のVo、クラシカルな旋律を奏でるKey
ドコドコと突進するリズムとに乗って、アレックス・マシのGが
縦横無尽に駆け巡る、アルバム表題曲でもあるスピード・ナンバー。
非常にイングヴェイ的なサウンドではあるのですが、個人的には
SHRAPNELメタルの世界に通じるものも強く感じたり。


ALEX MASI - The Watcher ★★★ (2020-05-14 01:41:19)

80年代からアメリカを拠点に活動していたイタリア人ギタリスト、アレックス・マシ。'89年には1stソロ『ATTACK OF THE NEON SHARK』がグラミー賞インストゥルメンタル部門にノミネートされるという輝かしい実績を残す等、ある意味アメリカン・ドリームを掴んだ男である彼氏が’97年に発表した、バンド名義(MASI)では3枚目となるアルバム。
「自虐的だなぁ」と名前のインパクトは抜群ながら、過去作ではアメリカン・メタルやフュージョンがかったHRを演っていて今一つピンと来るものがなかったのですが、本作においてはザクザク刻まれるリフ、ドコドコ疾走するリズム、青筋立ててシャウトするVo、その合間を縫ってクラシカルなGソロが華麗に走り抜けるスピード・ナンバー①④が全てを物語る通り、どこを切ってもメタル汁100%、RISING FORCE時代のイングヴェイを更にビルドアップしたようなパワー・メタル・サウンドを全編に亘って追求してくれています。
発表がもう数年早ければSHRAPNEL RECORDSから(日本盤は勿論APPOLONの黄色い帯付で)リリースされてたって違和感のないスタイルながら、メロディアスな②やバラード③等、要所要所で一歩長じた細やかなメロディ・センスの良さが感じられるのは、やはりイタリア人の血のなせる業か。またURIAH HEEPの名曲“EASY LIVIN’”や、スティーヴィー・ワンダーの“汚れた街”(イアン・ギランも演ってました)をカヴァー曲としてチョイスするセンスもヨーロッパ的と言えるのかも。
これぞ!というキメ曲は見当たりませんが、それでも「マシ」どころか、かなり良質なHMアルバムであることは受け合える1枚。


SHIVA(80'S) - Firedance - Stranger Lands ★★★ (2020-05-13 00:37:24)

素直に乗らせてはくれない、引っ掛かり気味に進行する
山あり谷ありな曲展開と、哀愁迸るVoの熱唱、
それにエモーションを滾らせたGソロとが楽曲を
一層ドラマティックに盛り上げる、本編指折りの名曲の一つ。


SHIVA(80'S) - Firedance - En Cachent ★★★ (2020-05-13 00:21:40)

妙に艶っぽいBがリード楽器の役割を果たすことで
HR的ヘヴィネスと、プログ・ロック的なドラマ性が同居した
独特な魅力が浮遊するこのバンドならではの名曲に仕上がっています。
美しいボーカル・ハーモニーも印象的。


SHIVA(80'S) - Firedance ★★★ (2020-05-12 00:32:23)

一口にNWOBHMといっても、スラッシュ・メタル誕生を促したアグレッシブなバンドからポップ/メロディアスな方向に振り切ったバンド、更には70年代に隆盛を極めたプログレッシブ・ロックの精神を継承するバンドまで、その音楽性は非常に多岐に亘っていました。
ヒンドゥー教最高神からバンド名を頂く英国はブリストル出身の3人組が、’82年発表の本デビュー作で聴かせてくれるのは、レザー&スタッドで身を固めたメンバーと、ソフト帽&スーツ姿のメンバーが入り混じる一風変わったアー写の出で立ちからも窺い知れる通り、NWOBHMのエッセンスとプログレッシブ・ロックのエッセンスが溶け合わされた個性的なHRサウンド。同じ方向性&トリオ編成ということでLIMELIGHTのことを思い出したりもしますが、“ASHES TO ASHES”みたいな分かり易い名曲も書いてくれていたLIMELIGHTに対し、こっちは万人向けとは言い難いクセの強さが全編に漲っているという。
逆に言えばそこが魅力でもあるわけで、ヘタウマVoが気怠げに歌う抒情メロディと美しいボーカル・ハーモニー、沈み込むようなリフを刻むバンマス役も担うBによって生み出されるスペーシーな浮遊感が印象的な②、情熱的に弾きまくるGがフィーチュアされた劇的な⑤、中間部で「別の曲が始まったの?」つーぐらい曲調が不気味に変化するバンドのテーマ曲⑩等は、とりわけこのバンド独特の世界観が色濃く描写された名曲。比較的シンプルに疾走する、ノリ易い⑥みたいな楽曲も味わい深いですけどね。
現在に至るまでバンドが再結成をしていないことも、本作が纏うミステリアスな魅力を底上げしてくれているように感じられる1枚。


STORMBRINGER - Stormbringer - Fight With Me ★★★ (2020-05-10 10:16:33)

SFタッチのアートワークの世界が脳裏に広がるようなHRナンバー。
Vo、G、Keyが互いに高め合いながら昇り詰めていく、
楽曲後半クライマックス・パートは膝を叩かずにはいられない劇的さですよ。


STORMBRINGER - Stormbringer - Tearin’ Your Eyes ★★★ (2020-05-10 10:03:00)

“CATCH THE RAINBOW”を始め、RAIBOWの名曲のエッセンスを抽出して
STORMBRINGER風に味付けした感じの泣きのバラード。
アンジー・スキリロのGプレイの素晴らしさは言わずもがな、
個人的にはGに負けないぐらい泣きまくって楽曲の哀愁濃度を更に上昇させる
声質自体に憂いが立ち込めるVoの熱唱にも激しく心打たれます。


STORMBRINGER - Stormbringer - Susi ★★★ (2020-05-10 09:52:52)

長らく「寿司」呼ばわりしていましたが、正しくは「スージィ」だった抒情インスト曲。
“スイスの散歩道”と勝手に邦題を付けたくなるぐらい、
メロディや曲構成はほぼほぼゲイリー・ムーアの“パリの散歩道”からの頂きで、
それだけなら決して褒められたものではないのですが、
オリジナルにだって決して聴き劣りしないアンジー・スキリロ入魂の
Gプレイが、この曲に安易なパクリを超えた輝きを焼き付けています。


STORMBRINGER - Stormbringer ★★★ (2020-05-09 03:11:28)

DEEP PURPLEの名盤『嵐の使者』から拝借したバンド名、ハモンド・オルガンをフィーチュアした正統派HRサウンド、それにリーダーのアンジー・スキリロ(G)が奏でるクラシカルな風情を湛えたインスト曲に至るまで、スイスにおいて虹紫魂を継承して活動するSTORMBRINGERが、'85年にMAUSOLEUM RECORDSに残した唯一のフル・アルバム(リリース当時の邦題は『メタル・ハリケーン』)。
「哀愁強めの“I SURRENDER”」といった趣きのOPナンバー①がアルバムの幕開け役を担うことからも分かる通り、ガチガチの様式美路線ではなく、適度にポップな要素も取り込んだサウンドはどちらかと言えばジョー・リン・ターナー時代のRAINBOWタイプ。スキリロのGプレイもリッチーのみならずゲイリー・ムーアからの影響が色濃く伺え、本編最後には“パリの散歩道”のカヴァー⑩が収録されていることもその表れかと。若干アレンジが加えられているけど、やっぱ名曲だなぁ…って、え?カヴァーじゃないの?(白々しい)
それはともかく。抜群に歌は上手くはなくとも、声質自体がグッとくる哀愁を帯びているデヴィッド・バーネット(Vo)の歌唱も本編への没入度を促進してくれていて、ほんのりALCATRAZZ風味の疾走ナンバー②、思わず虹を掴みたくなる泣きのバラード⑤、アルバム後半を熱く盛り上げる⑨等は、Voの熱唱と、パッション迸るGプレイの相乗効果に心揺さぶられるアルバムのハイライト的逸品。
バンドは本作のみを残して惜しくも解散してしまいましたが、スキリロが後に結成したZEROや、’93年発表のソロ・アルバムもなかなかの出来栄えなので、そちらもお薦めですよ。


KROKUS - Stampede - In the Heat of the Night ★★★ (2020-05-07 00:48:19)

KROKUS版“死の国の彼方に”とでも言いたくなる(単なる印象論)
7分以上の長尺を情感豊かに、且つドラマティックに綴る大作ナンバー。
元HEADHUNTERの新Voピーター・マクターナーの
持てる力全てを振り絞るような熱唱に胸打たれます。


KROKUS - Stampede - Stampede ★★★ (2020-05-07 00:37:48)

「ソロ・プロジェクトだなんて言わせねえぜ!」
とばかりにフェルナンド・フォン・アルプが意気軒高に叩きつける、
タイトル通り荒馬の如く疾走するOPナンバー。
ツインGによる劇的なハーモニーと新Voの塩辛シャウトも
JUDAS PRIEST直系な楽曲のヘヴィ・メタリックな感触を増強してくれています。


KROKUS - Stampede ★★★ (2020-05-06 00:14:10)

’89年発表の『HEART ATTACK』を最後に、ほぼ解散状態にあったというスイスのベテランHRバンドKROKUSが、'91年に帰還の挨拶として放った11thアルバム。(日本盤はVICTORからのリリース)
正直、この頃彼らについては「名前は知ってるけど…まだやってたの?」と完全に興味の範疇外。しかもバンドというよりは唯一残ったフェルナンド・フォン・アルプ(G)のソロ・プロジェクト状態ゆえ、本作に対する期待値は限りなくゼロベースだったのですが、しかし後追いで聴いて吃驚。これが名盤『髑髏の紋章』(’83年)にだって負けない気迫が漲る力作じゃありませんか。
脇を固めるメンバーも、元KILLERのマーニー・モーラー(G)、マーク・ストレイス激似のカミソリ・シャウトが鼓膜をつんざくピーター・マクターナー(Vo)、後にPOLTERGEISTに参加するピーター“ラビット”ハース(Ds)等タレント揃い。疾走感溢れる曲調にツインGの劇的なハモリが華を添える①と、緩急を飲み込みアルバムを締め括る⑪という強力なスピード・ナンバーを頭とケツに配し、HM賛歌②(どこかMANOWARの“KINGS OF METAL”風)、重厚な⑤、ノリ良く飛ばす⑥、歌詞が“TOKYO NIGHTS”の続編みたいな⑧、そしてクライマックスをドラマティックに盛り上げるバラード⑨といったバラエティ豊かな楽曲がその合間に敷き詰められた本作は、自らの原点を見つめ直し、再びアクセルを踏み込まんとするバンドの堅固な意気込みが感じられ、好感度もボルテージもうなぎ上り。
HR/HMシーンが大きく変貌を遂げ始めた'90年という時代の節目に不幸にも埋もれてしまった感のある、KROKUSが残した隠れた逸品ですよ。


TRIUMPH - Edge Of Excess - Troublemaker ★★★ (2020-05-04 23:55:00)

ホラー映画「ヘルレイザー3」のサントラに提供された
(但しホラーな雰囲気は微塵も感じられない)イキのいい疾走ナンバーで、
正直映画の方は微妙な出来栄えでしたが、新加入のフィル・XのGプレイが
前面に押し出されたこの曲はカッコイイ。ギル・ムーアも歌とドラムで
溜まっていた鬱憤を晴らすようにハジけまくっています。


TRIUMPH - Edge Of Excess ★★ (2020-05-03 23:38:25)

作曲クレジットをバンド名義にされることに対しかねてから不満を抱いていたリック・エメットが遂に脱退。後任ギタリストとしてフィル・Xことフィル・ゼニースを加え、新たにVICTORY MUSICと契約を交わしたTRIUMPHが’92年に発表した10thアルバム。ちなみにゲストとしてALIASやVON GROOVEのメンバーの名前がクレジットされていたり。
こちとらリック・エメットに思い入れがバインバインなので、ミスターXだかスーパーXだか知らねえが、いい年こいてXなんて名乗ってる輩にTRIUMPHのギタリストの座が務まるわけねーだろ!と上から目線で批判しまくっていたのですが、しかしそのX氏が現在ではBON JOVIのメンバーなのですから、バンドの見る目の確かさに感心するとともに、己の見る目のなさに顔真っ赤という。
ストレートに押して来る骨太なHRサウンドへと回帰を果たした本編では、レーベル移籍以降のポップ路線(好きでしたが)で溜まっていた鬱憤を晴らすかの如くギル・ムーアのドラムが大暴れ。特にグルーヴィながらメロディにフックも効いた①に始まり、映画『ヘルレイザー3』のサントラに提供されたスピード・ロック②を経て、アコギを交えたバラード③へと繋がっていく冒頭の流れは、「エメット師匠のいないTRIUMPHなんて…」と本作に対してクリープが入っていないコーヒーばりの塩対応を取っていた我が身さえもグッと引き寄せられてしまう、強力な掴みとして機能しています。
泣きや哀愁といった要素が薄まってしまっている点はやはり如何ともし難いものの、新生TRIUMPHの漲るやる気は十二分に伝わってくる1枚。それだけにこれ以降新作の発表が途切れてしまっていることがファンとしては残念でならないのですが…。


GREAT WHITE - Elation - Love Is Enough ★★★ (2020-05-03 00:29:43)

夕焼け色の哀愁を帯びたメロディと、マーク・ケンドールの泣きのGが
実に涙腺に沁みる抒情ナンバー。物悲しいメロディをエモーショナルに
歌い上げるテリー・ルイスのハスキー・ボイスが絶品にハマっていますよ。


GREAT WHITE - Elation ★★★ (2020-05-01 00:14:10)

00年代後半にお家騒動が勃発。現在に至るも、マーク・ケンドール(G)率いる本家(バンド名を名乗る正式権利はこちらが所有)と、看板シンガーのジャック・ラッセルが新たに結成した分家の2派に別れた状態が続くGREAT WHITE。本作はマーク率いる本家の方のGREAT WHITEが'12年に発表した12枚目のスタジオ・アルバム。
なおジャックの後任シンガーとして新たに加入したのは、誰あろう元XYZのテリー・ルイス。GREAT WHITEの活動を熱心にフォローしてたわけじゃないので、後追いで知って「え?加入してたんだ」とちょっと吃驚でしたよ。しかしこの人選がドンピシャでして、XYZの2nd『HUNGRY』でも圧巻だったテリーのワイルド且つ情熱的な歌声は衰えることなく健在な上に、相当数のライブをこなすことでバンドとしての一体感を獲得し、より骨太で埃っぽさを増したサウンドにもジャストフィット。この方向性を決めていたから彼を加入させたのか、彼の資質に合わせてこの方向性を選択したのか、どっちだろ?
全体的に乾いた空気感が支配的な本編ですが、マークの滋味深いGプレイが映えるエモーショナルなバラード系の楽曲も充実。テリーのソウルフルな熱唱が堪能できるアコギ・バラード⑤も絶品ですが、個人的に一押ししたいのはピアノのイントロに導かれてスタートする⑩の方。バラードというよりは抒情メロハーといった儚い憂愁を孕んだ曲調と、ちょい掠れた歌声にどうしようもなくエモーションを掻き立てられてしまう名曲です。
尚、この編成はアルバム1枚のみで終了し、現在のGREAT WHITEのフロントマンの座にはミッチ・マロイが就任している模様。そっちはそっちで音源が聴いてみたいぞ。


KELLY KEAGY - I'm Alive - World Before You and After ★★★ (2020-04-30 00:33:43)

大暴れするケリーのドラムと、レブ・ビーチのフラッシーなGが
互いにテンションを高め合うエネルギッシュなHRナンバー。
それでいて大味になることなく、疾走するリズムの上で歌い上げられる
メロディはグッとくる憂いを秘めています。
NIGHT RANGERの名曲群にだって比肩し得るアルバムのハイライト・ナンバー。


KELLY KEAGY - I'm Alive ★★★ (2020-04-28 23:10:29)

「NIGHT RANGERの歌えるドラマー」ケリー・ケイギーが、レブ・ビーチ、ジム・ピートリック、トミー・デナンダー、ブルース・ガイチらをゲストに迎えてレコーディングを行い、前作『TIME PASSES』(’01年)以来、6年ぶりに発表した2ndソロ・アルバム。(プロデュースはケリーとジム・ピートリックが共同で担当)
芸達者な面子が集うNIGHT RANGERは、メンバー各自がこれまでに複数枚のソロ・アルバムをリリースして来ていますが、それらの中にあって個人的に最もお気に入りの1枚に挙げられるのが本作ですよ。サウンドはシンプル且つモダンなエッセンスも織り込まれたメロディアス・ロック。アレンジや音作りに飾り気が控えめな分、1曲の中で時に爽やかに、時に物憂げにカラフルに表情を替えていくメロディのフックの豊かさ――とりわけケリーの少々掠れた歌声が切ないフィーリングを増幅するサビメロの秀逸さ――が際立っています。ダイナミックに展開するOPナンバー①、ヘヴィでメランコリックな②、リードGがよく歌う③、哀メロが胸キュンを誘う④、仄かな爽やかさと哀愁が程よく溶け合った⑥、アコギを用いたエモーショナルなバラード⑪等々…。ジム・ピートリックが共作者として名前を連ねているだけに充実した楽曲が揃う本編にあって、特にHR然としたアップテンポの曲調にケリーの熱唱とレブの流麗なGプレイが劇的に華を添える⑧は、本家NIGHT RANGERの名曲群とだってタイマンを張れる逸品に仕上がっているのではないかと。
アルバムのアートワークに、生え際が後退した己の額をフィーチュアするケリーの漢らしい姿勢のみならず、その完成度の高さにおいても感動を呼ぶ力作。


Marcello-vestry - Marcello-vestry - One More Night ★★★ (2020-04-28 00:41:16)

体を揺するアップテンポの曲調、
ホットなVoにキャッチーで爽快なコーラス、
それらを華やかに彩るテクニカルなGと、
痒い所に手が届くポップ・メタルの逸品。
これを聴けば、ロブ・マルセロが後にDANGER DANGERの
メンバーに抜擢されたのも得心が行くというものです。


Marcello-vestry - Marcello-vestry ★★★ (2020-04-27 00:18:01)

DANGER DANGERにアンディ・ティモンズの後任として参加して以降、卓越したギター・テクニックと曲作りの才(ついでにイケメンでもある)を活かして、傑作『REVOLVE』('09年)や、ブルーノ・ラヴェル(B)のサイド・プロジェクトTHE DEFIANTSのアルバム作りに大きく貢献。今やブルーノの相棒として欠かせない存在となったロブ・マルセロ。本作はその彼が、ベテラン・シンガーのフランク・ヴェストリーをパートナーに迎えて立ち上げたプロジェクト、MARCELLO-VESTRYのデビュー作にあたる作品です。(’08年発表)
ギタリストのソロというとクラシカルなインスト物を想像してしまいますが、ここで聴かれるのはキャッチーな歌メロ&コーラス・ワーク重視のスカッと明るくハジけるポップ・メタル。JACK STARR’S BURNING STARをキャリアの出発点に、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオと組んだLANESLIDEや元MANOWARのロス・ザ・ボスのバンド等、これまで様々な作品に参加してきた実力派であるフランクの、エネルギッシュな熱を帯びた歌声により盛り立てられた収録楽曲の数々は、しれっとDANGER DANGERのライブで披露しても全く違和感なさそうな80年代風味満点の仕上がりです。
当然捨て曲は見当たりませんが、中でもロブ・マルセロの華やかなGプレイが、楽曲が放つ爽快感を数倍にも引き立てるHRナンバー⑩は、彼氏がこの手の音楽スタイルに寄せる愛情の深さがビンビンに伝わってくる名曲ではないかと。
両者とも複数のバンドやプロジェクトを抱えて多忙のためか、この顔合わせが本作のみで終わってしまったことが不満と言えば不満な1枚。


AOR - Nothing But the Best ★★ (2020-04-26 01:15:55)

そのまんまなプロジェクト名や、全てのアルバム・タイトルに「LA」を入れ込む等、遠く離れたフランスの地からウェスト/コースト・サウンドとロサンゼルスに対する熱烈ラブコールを送り続けているマルチ・ミュージシャン、フレデリック・スラマが立ち上げたメロハー・プロジェクトAOR。新旧TOTOのメンバーや盟友トミー・デナンダーを始め、毎度枚挙に暇がないほど豪華なゲストを迎えてレコーディングが行われている彼らの初期の歩みを総括するベスト盤。(日本盤は’04年にCOOL SOUNDからのリリース)
選曲は1st『L.A. CONSESSION』から3曲、3rd『L.A. REFRECTION』から5曲、4th『DREAMING IN L.A.』から4曲、既発曲のリメイク3曲、合わせて全15曲を収録。当時自主制作盤ゆえ入手困難だった(フレデリック本人さえCDを所有していなかったという)初期作の楽曲が気軽に聴けるので重宝しましたが、それにしては2nd『NEXT STOP:L.A.』から1曲もチョイスされていないのは画竜点睛を欠くのではないか。まぁリメイク3曲のうちの1曲は2nd収録曲ではあるのですが…。
音楽性は勿論王道AOR。こうしてまとめて聴くと、リズムは打ち込みで済ませていたスタート時から、アルバムを重ねる毎にバンド形態への拘りが感じられ始め、それに伴って音楽性も若干ハードな方向へ磨き上げられていったことが分かって興味深い。まぁそれでもHR/HMで括るには少々躊躇を覚える作風に変わりはないのですけども。
現在までに十数枚の作品を残す多作なバンドゆえ、とりあえずの入門盤にするのに丁度いい塩梅の1枚。2枚組ベスト盤も別にありますが、そこまでボリュームがあるとそれはそれで敷居が高く感じられますし。


CROSSFADE - White on Blue - Thorns of Life ★★★ (2020-04-23 23:43:07)

哀愁を帯びたメロディを切々と歌うヨラン・エドマンは
勿論のこと、間奏パートで派手さはないが歌心を感じさせる
ソロを差し込むGもじっくり楽曲を盛り上げてくれています。


CROSSFADE - White on Blue - Flying ★★★ (2020-04-23 23:37:16)

ファンキーに踊るバッキングにリラックスした歌声を乗せる
ヨラン・エドマンのVoが、ハイトーンを使わずとも実に魅力的。
「こういう曲を歌うこの人もイイなぁ」としみじみ聞き惚れます。
ウィスパーボイスを交えたソウルフルな歌唱は
グレン・ヒューズにだって負けていませんよ。


CROSSFADE - White on Blue ★★★ (2020-04-23 01:26:52)

北欧シーンのセッション畑で長年活躍してきた二人のミュージシャン、ラーズ・ホールバック(G)とリチャード・ステンストロム(Key)が2年がかりでレコーディング作業を行い、CROSSFADE名義で'04年に発表した1stアルバム。
リズム隊を務めるのはABBA人脈に連なるペール(B)&スヴェン(Ds)のリンドヴァル兄弟。そしてシンガーは「Mr.北欧ボイス」こと我らがヨラン・エドマン。個人的に本作の購入目的の大半はヨランの歌聴きたさだったと言えるぐらいなのですが、そうしたこっちの期待を裏切らない見事な歌唱を全編に亘って響かせてくれています。
主張し過ぎないGとKeyが大人の彩りを加える洗練された音楽性は、(COOL SOUNDの社長が解説文を寄稿していることからもお察しの通り)ほぼほぼ完全にAOR/産業ロック。HR/HMとはかなりの距離を感じる作風ではあるのですが、そうしたサウンドを、時にクリア且つ伸びやかに、時に節回しで酔わせつつ、ソウルフルに歌い上げるヨランのVoがとにかく絶品。「バラードを歌わせたらメタル界隈において右に出る者なし」との評判は知っていましたが、この手のサウンドをここまで歌いこなせるシンガーだったとは…。歌神様グレン・ヒューズに肉薄するレベルで、新たな引き出しの中身を見せて貰った気分ですよ。
特にファンキーなバッキングに乗るウィスパーなVoに聴き惚れる④、美しいピアノ・バラード⑤、涼し気な哀メロとHR寄りの熱を帯びた曲調のコントラストにグッとくる⑥等は、楽曲の出来栄えとエモーショナルなVoが相俟って、耳奪われずにはいられない仕上がり。
2nd以降の作品も聴いてみたいのですが、国内盤が出ているのは本作のみなんですよね。残念。


ARK - Burn the Sun - Just a Little ★★★ (2020-04-22 00:27:06)

CONCEPTION時代からトゥーレの十八番である
ラテン風味薫るGプレイとメロディが閃く哀愁のHRナンバー。
印象的な裏メロを奏でるBと立体的に絡む音数多めのDs、
楽器陣に負けじと熱唱を繰り広げるVo等、全パートが自己主張しまくりですが
それらを暴走させることなく、きっちり「優れた楽曲」としてまとめ上げた
トゥーレの手腕に星3つ。


ARK - Burn the Sun - Missing You ★★★ (2020-04-22 00:10:15)

9分以上に及ぶドラマティックな大作ながら、大仰な印象は然程なく
哀切なメロディをエモーショナルに歌い上げるヨルン・ランデのVoが強く印象に残る。
特に4分20秒ぐらいからの入魂の歌唱には感情を揺さぶられずにはいられませんて。


ARK - Burn the Sun ★★★ (2020-04-20 22:58:28)

CONCEPTIONが新作アルバムを発表するという目出度いニュースを耳にして、ふと気になって最近引っ張り出してきたのが、中心メンバーのトゥーレ・オストビー(G)が自身の幅広い音楽的バックグラウンドをより自由に活かせる場としてCONCEPTIONとは別に立ち上げたプロジェクト、ARKが'01年に発表したこの2ndアルバム。
音楽性は、ジャズ/フュージョン味も取り込んだ変拍子バリバリのダークなプログレ・メタル。それでいて聴き手を置き去りにするような難解さは控えめで、北欧メタルらしい冷気を帯びた哀メロや劇的な曲展開等、キャッチーさもしっかり保った仕上がりなのは流石のお点前。得意のスパニッシュ・タッチが炸裂する④⑥みたいな楽曲があるのも嬉しい限りです。
その他のメンバーはヨルン・ランデ(Vo)、マッツ・オラウソン(Key)、ジョン・マカルーソ(Ds)、ランディ・コーヴェン(B)という布陣で、CONCEPTION時代からテクニックとセンスには定評のあったトゥーレや、界隈屈指の凄腕として知られるランディはともかく、「目立たないサイドマン」との印象が強かった(失礼)マッツやジョンまでもが、ここでは音数多めのテクニカルなプレイをビシバシと決めまくっていて、耳から鱗がボロボロ落ちまくり。ただ個人的に最も驚かされたのはヨルン・ランデのVoで、当時は知名度も低かったため、挨拶代わりの①、ドラマティック且つエモーショナルな大作⑪におけるこっちの動脈を鷲掴みにするような入魂の熱唱に「無名なのに凄いシンガーが現れたもんだ」と感心しきりでしたよ。(同時期に聴いたMILLENIUMの『HOURGLASS』も衝撃的でしたが)
COCEPTION復活が有りなら、こっちの再始動も全然有りじゃないでしょうか。


ALIEN - Dark Eyes - Oh Sarah ★★★ (2020-04-19 01:22:05)

ジム・ジッドヘッドの歌の上手さが堪能できる抒情ナンバー。
涙腺に沁み込むメロディの物悲しさといい、
泣きのGで的確に歌を盛り立てるトニー・ボルグのGといい、
一粒で三度美味しい逸品。


ALIEN - Dark Eyes - Fallen Eagle ★★★ (2020-04-19 01:17:08)

冷ややかなKeyを纏って哀メロが疾走する
アルバム『DARK EYES』のハイライト・ナンバー。
ALIENはアルバム毎にこのレベルのキメ曲を
必ず用意してくれるので侮れません。


ALIEN - Dark Eyes ★★★ (2020-04-16 23:14:35)

中心メンバー、トニー・ボルグ(G)がリッチー・ブラックモア愛を暴投気味に投げ込んだ結果、パク…オマージュ要素満載で賛否両論分かれる仕上がりとなった’95年発表の4th『CRASH』(個人的には嫌いになれない作品でした)以降、長い沈黙期間に入っていたALIENに、オリジナル・シンガーのジム・ジッドヘッドが復帰。デビュー作以来となるジム&トニーのタッグでレコーディングが行われた5thアルバム(’05年発表)。
前年リリースのジム・ジッドヘッドのソロ作『FULL CIRCLE』がメロハーの秀盤だったので、事前にかなりハードルを上げて挑んだ本作でしたが、結論から申さばそうしたこっちの期待に見事応えてくれる内容でしたよ。
「ALIENはノスタルジーではない」とのメンバーの主張を裏付けるように、ロックンロールのエッジやラフネスといった新味も組み込まれたサウンドからは、北欧ハードポップ的キラキラ感や透明感は減退傾向。そのせいか、印象に残る曲とそうでない曲が結構はっきり線引きされてしまう感はあるものの、哀愁を帯びたメロディの魅力、それを盛り立てるジムのエモーショナルなVo、トニーの歌心を感じさせるGプレイは健在。甘く切ない泣きが涙腺を刺激する③、キャッチーな⑦、欧州民謡テイスト(THIN LIZZY風味)が印象的な⑧、爽やかな哀愁が薫るバラード⑫等、従来の「ALIENらしさ」もきっちりと保持されています。中でもKeyを効かせ、ヒンヤリとした哀メロを纏って軽快に疾走する④は名曲!
1st『ALIEN』(’88年)や、三度目の復活作にして大傑作となった『ETERNITY』(’14年)を気に入った方なら、チェックしておいて損のない1枚ではないかと。


LARS ERIC MATTSSON - Vision ★★★ (2020-04-16 00:35:54)

かのマイク・ヴァーニーに見い出されたフィンランド出身のギタリスト、ラーズ・エリック・マットソン。北欧ならではの透明感と哀愁を湛えたHRサウンドを作り出すセンスには恵まれながら、それを表現する為のテクニックに恵まれなかった彼氏が遂に化けた!と、北欧メタル・ファンの間でちょっぴり話題になった、LARS ERIC MATTSON'S VISION名義で'93年に発表された作品。(ソロとしては3枚目のアルバムになるのでしょうか)
AMAZE MEやアレックス・マシ等との活動で知られる、新Voコニー・リンドのメロウな歌声を前面に押し出したポップな作風は、様式美とかネオ・クラシカルHMとかとは全く無縁の歌モノ路線を志向しながら、適度にエッジの効いたGが必要以上に甘口になるのを防いでいるので、心地良く切ない哀メロ・チューンの数々に浸ることが出来ます。ラーズのGプレイも無理な背伸びはせず、ひたすら「良いメロディ」を紡ぎ出すことに集中しているようで好印象。バラード③なんてかなり泣かせてくれる仕上がりで、やれば出来る子!と、思わず駆け寄って肩を叩きたくなるという。
線の細いGサウンドとVoの垢抜けない歌声が相俟って、作品全体を如何にもマイナーな雰囲気が覆っていますが、とは言え、欧米のメジャーなハードポップ・バンドとは一線を画する洗練やゴージャス感とは無縁の素朴な佇まいが、楽曲の持つ儚げな叙情性を増幅しているように聴こえるので、これはこれであり!と。
捨て曲なしの名盤…とは行かないまでも、北欧メタルならではの侘び寂びが詰まった1枚であることは確か。中古盤が格安の値段で入手可能なので(いやまぁこの人の作品は大概安いんですけども)、見かけたら是非。


AMAZE ME - Dream on - It's All over ★★★ (2020-04-15 01:34:05)

涼し気な哀愁を湛えたメロディを、コニー・リンドが甘い歌声で
爽やかに歌い上げる北欧ハードポップの名曲。
個人的には「AMAZE ME=IT'S OVER」ってな認識と言っても過言じゃありませんよ。
大味な打ち込みドラムがやや耳障りですが、それを差し引いて尚魅力的。


AMAZE ME - Dream on ★★★ (2020-04-14 01:25:20)

STATE OF MINDやGREAT KING RAT、TALK OF THE TOWN、あと個人的には北欧メタルの隠れた秀盤、ラーズ・エリック・マットソンの『VISION』(’92年)で歌っていた印象が未だに強く残っているコニー・リンドと、プロデューサー/ソングライター/マルチ・プレイヤーとして腕を振るうピーター・ブローマン(今回調べてみて’17年に亡くなっていると知ってびっくり)の2人により立ち上げられたメロハー・プロジェクトAMAZE MEが、’97年にマーキー/アヴァロン・レーベルから発表した2ndアルバム。
コニーの甘く感傷的な歌声と煌めくKeyの彩りが映える、「北欧のそよ風」の如き爽やかな透明感&哀感兼備のメロディアスHRサウンド実に心地の良い1枚なのですが、90年代当時はこの手の作品の受け入れ先が日本(と欧州の一部)にしかなかったためか、レコーディング費用はあまり用意出来なかったようで、音質はお世辞にも上質とは言い難く、打ち込み丸出しのリズムも少々気になるっちゃあ気になります。
ただぶち壊しというレベルではありませんし、何よりそれを押しても溌剌と弾むOPナンバー①、清涼感に溢れた⑥、甘口な中にもHRのエッジが効いたアップテンポの⑪等、収録曲の出来栄えが素晴らしい。特に北欧ハードポップの理想形を体現した名曲の一つである②は、この曲目当てにアルバムを買っても損はないと力説したくなる魅力を有しています。
BURRN!!誌等で高評価を得たこともあって、リリース時はそれなりのセールスを記録したようで、廃盤の今でも中古屋に行くと安価での入手が可能。もし見かけたら上記楽曲目当てに手に取って頂けましたら幸いです。


BAD HABIT - After Hours - Coming Home ★★★ (2020-04-13 00:44:12)

瑞々しくハジける爽快なHRナンバー。
かなりロックしている曲調ながら、勢い任せに流さず
コーラス・パートの絶品のメロディ展開等、
天才ハル・マラベルの曲作りの手腕がここでも光っています。


BAD HABIT - After Hours - Rowena ★★★ (2020-04-13 00:38:35)

北欧の草原を一陣の微風が涼し気に吹き抜けていく様を
思わず幻視する、爽やか&キャッチーな北欧ハードポップの名曲。
曲調に対し熱唱型のVoが少々クドイ印象はあるものの、
この「一生懸命」感にグッとくるものがあるので、これはこれで良し。


BAD HABIT - After Hours ★★★ (2020-04-12 01:28:53)

北欧メタル・シーン指折りのメロディ・メイカー、ハル・マラベル(Key)により結成されたBAD HABBIT、’89年発表の1stフル・アルバム。リリースはメジャーのVIRGIN RECORDSからで(ちょうど同時期にALIENをヒットさせ、同系統のバンドを物色していたレーベル側の目に留まったのだとか)、日本盤はそれから少々遅れ、’95年に2nd『REVOLUSION』発売に合わせてゼロ・コーポレーションから再発されています。
メンバー・ショットを用いたアートワークはお世辞にもイケてるとは言い難いものの、透明感と哀感を併せ持ったポップなメロディとキャッチーなコーラス・ワーク、そしてキラキラのKeyとに彩られた北欧ハードポップ然とした瑞々しさを湛えるサウンドは、捨て曲なしの高品質っぷりを提示。何せBOSTONの名曲“MORE THAN A FEELING”のカヴァー⑩が全く浮いて聴こえないのですから大したものですよ。BAD HABBITの最高傑作と言えばまずは3rd『ADULT ORIENTATION』(’98年)の名前が真っ先に思い浮かぶ身なれど、メロウでロマンティックなAOR/産業ロック方向にフルスイングされていたあちらに対し、キャッチーに煌めくOPナンバー①、結婚式で流せそうな神聖さ漂わすバラード⑤、アルバムのハイライトを飾る感動的なハードポップ⑥、からの爽やかに駆け抜けていくロック・チューン⑦等々、新人バンドらしい溌剌とした躍動感とロックのエッジが備わった本作にも抗い難い魅力を感じる次第。
長らくオフィシャルなCDは日本盤しか存在せずプレミア化していましたが、近年リマスター再発されましたので、この機会に一人でも多くの人の耳に触れることを念願します。


SHELL SHOCK - Unpredictable - Fragment ★★★ (2020-04-10 00:17:19)

スラッシュ・メタル然としたエッジの鋭さで刻まれるGリフを
フィーチュアして突っ走るアルバムのラスト・ナンバー。
終盤のオラオラな突進ぶりにメタル魂が煽られますよ。


SHELL SHOCK - Unpredictable ★★ (2020-04-09 01:41:14)

日本のスラッシュ・シーン黎明期を支え、再結成を遂げたSHELL SHOCKが自ら設立したレーベルSYSTEM KILLS RECORDINGSから'19年に発表した、通算5枚目のスタジオ・アルバム。
事前に「SHELL SHOCKがスラッシュ・メタル路線に回帰した!」との評判を耳にしていましたが、実際はそこまでシンプルなサウンドではなく。OPナンバーのイントロ数秒を聴いただけで明らかなように、一筋縄では行かないコード進行や、ヒネリを効かせたリフとリズムの絡み、達者な演奏に支えられストップ&ゴーを繰り返す曲展開等々、活動後期や復活作に顕著だったプログレッシブ&アバンギャルドな試みは本作にも着実に息衝いています。
と同時に、収録曲のランニング・タイムは大半が2~3分台、疾走パートを基軸とする曲調や、威勢の良いギャング・コーラス等、アグレッションをスピードに乗せて叩きつけて来るサウンドは確かにスラッシーな取っ付き易さを大幅回復してくれていて、強いて言うなら復活作『肆—SHI—』と、初期スラッシュ・メタル時代の楽曲のカヴァー集だったEP『BEYOND RESURRECTION』の中間ぐらいに位置する作風といった趣き。特に緩急を交え、切迫感を煽りながら突っ走る⑪のカッコ良さには、そうした本編の美味しいトコ取りな魅力が凝縮されていますよ。
近作は「迷走している」との批判に晒されもしましたが、そうした試行錯誤が糧になったからこそ、かつて硬質な突進力と、ミュージシャンとしてより熟成された現在のSHELL SHOCKのやりたいことを無理なく溶け合わせた本作の完成があったのではないかと。


RAGING FURY - Grotesque Masked Krusher - The Demonic Beast Front ★★★ (2020-04-08 01:09:07)

8分越えの大作ながら、スラッシーな炸裂感と
劇的な曲展開が組み合わされ、全編に亘って
高いテンションをキープし続けるOPナンバー。
特に要所で男泣きのメロディを叩き込んでくる
Gの活躍にグッときます。


RAGING FURY - Grotesque Masked Krusher ★★★ (2020-04-07 01:04:18)

結成からほぼ30年。折れない心を持つ漢、中川晴夫(Vo、B)率いるパワー/スラッシュ・メタル・バンドRAGING FURYが'19年に発表した3rdアルバム。
前作『BLACK BELT』から6年のブランクが空いていますが、’82年から活動を開始してアルバム・デビューは'92年、2ndの発表が’13年と、作品リリースの間隔が毎度オリンピック級の長さを誇るバンドだけに、今回は寧ろ「思ったより早かった」と感じてしまうぐらいで。(’16年には長らく入手困難だった1stアルバムの再発もあったので尚のこと)
音楽性も、彼らの標榜するところの《HIGH POWER RAGING METAL》スタイルを更に推進。独特の言語センスが迸る歌詞を野太い濁声で勇壮に歌い上げるVoと、強面のリフを刻み男泣きのメロディを叩き込むGとが、炸裂感溢れるソリッドなリズム隊に支えられて、時に怒気を孕み、時に雄々しく、行く手を遮るモノ全てをブチ破らんと荒れ狂っています。
ドラマティックなイントロでじっくり焦らして勇猛な爆走へ転じるOPナンバー①や、Dsがリード楽器の役割を果たす激烈な②、ドスの効いたアルバム表題曲⑨とハードコアに突っ走る⑩というラストのスラッシュ・ナンバー2連発等、とてもトリオが出しているとは思えぬド迫力で押し出して来る楽曲を多数揃える一方、起伏の激しい長尺をダレることなく展開させていく④に顕著な通り、押し引きを心得た楽曲構築術からはベテランの技がギラリ。また肩ひじ突っ張らかすだけでなく、ブルース・リー・オマージュを感じさせる⑧も収録する等、本編の硬軟のバランスも良好です。
バンドが今好調な状態にあることがヒシヒシと伝わってくる、勢いに満ち溢れた快作。


HATRIOT - From Days Unto Darkness - Frankenstein Must Be Destroyed ★★★ (2020-04-06 00:11:03)

ゼトロそっくりのヤスリ声でシャウトするVoと
ガリガリと鼓膜に突き立つ鋭角的なGリフ、
鮮烈なGソロが硬質なリズムに乗って突撃。
7分以上の長尺を一切テンション緩ませることなく
走り抜ける、HATRIOTというバンドの魅力が
分かり易く詰まったスラッシュ・ソング。


HATRIOT - From Days Unto Darkness ★★★ (2020-04-05 01:01:07)

本業であるEXODUSの活動が多忙となり、二足の草鞋を履けなくなった看板シンガーのスティーヴ“ゼトロ”サウザが脱退。後任は迎えず、息子のコーディ・サウザがBとVoを兼任する4人編成へと移行したHATRIOT、'19年発表の3rdアルバム。
既に散々言われてますが、でもやっぱり本作を聴いて驚かされるのは父子の歌声が激似なこと。昔友人の家に電話を掛けたらそいつの親父が出て、あまりに声が似ていたので暫く気付かずに一方的に話し続けてしまった学生時代の思い出が不意に蘇るぐらいのそっくりさ加減。何も知らなければメンバー・チェンジにさえ気付かなかったんじゃなかろうか?。
そうした編成替えを経て、父親の目も届かなくなったことだし大胆に作風を刷新だ!…なんてことはなく。イントロで抑え込んだ衝動を一気に解き放つOPナンバー①の苛烈な突撃ぶりが物語る通り、今回も前2作のスタイルを継承するスラッシュ・メタル・サウンドを徹底。寧ろブラスト・ビートの多用や随所で噛まされるデス声コーラス等、これまで以上にマッシヴに音楽性を絞り込んできたとの印象です。特に、噛み付くようにシャウトするヤスリ声Vo、作曲センスのみならず、鮮烈なGプレイも曲中に焼き付けるコスタ・ヴァルヴァタキス、息の合った演奏で硬質なリズムの壁を築くニックとコーディのサウザ兄弟が一丸となって畳み掛ける、7分以上の尺を全く長く感じさせない⑥、メロディックなGソロが劇的に華開く⑦、キャッチーなリフとデス・メタリックなアグレッションが並走する⑨等々、収録曲にはゼトロが抜けた穴をカバーして余りあるエネルギーが渦巻いていますよ。
「親は無くとも子は育つ」の格言の意味をしみじみと実感させてくれる力作。


SUICIDAL ANGELS - Years of Aggression ★★★ (2020-04-03 00:01:00)

デビュー以来順調に作品リリースを重ね、’15年には来日公演も行う等、ギリシャのHR/HMシーンを牽引し続けるスラッシュ・メタル・バンドSUICIDAL ANGELSが、前作から3年ぶりとなる'19年に発表した7thアルバム。
ミレ・ペトロッツァの覚え目出度いことでも知られる彼らですが、本作では益々「ギリシャのKREATOR」化が進行。ヤスリ声のシャウトVoや、刺々しく刻まれるGリフでサウンドのアグレッションを維持しつつ、スピードは若干抑え気味に、その分ツインGが奏でる欧州風味のダークネスを孕んだ抒情旋律とドラマティックな曲展開をマシマシにしていくスタイルも、近作のKREATORの流儀に通じます。そりゃ気に入られるよねと。象徴的なのがアルバムを締め括る7分オーバーのイーヴルなヘヴィ・チューン⑩の存在で、最初はてっきり中盤でスピードアップするだろうと思っていましたが、最後まで重厚なテンポを保ったままエンディングを迎える意表を突いた作りからも、本作においてバンドが目指した方向性がハッキリと伝わってくるのではないかと。
そんなわけで、一聴してのインパクトやスラッシュ・メタル然としたエキサイトメントは従来作に一歩譲る感は否めませんが、それを補うようにツインGが全編をメロディックに駆け巡っており、特に鋭利且つキャッチーなGリフ、畳み掛けるスピーディなリズム、その中で2本のGが劇的に絡み合う②は、安易なKREATORクローンとは一線を画するSUICIDAL ANGELSの凄味を伝えてくれる名曲ですよ。
未だ高いテンションを漲らす、アルバム・タイトルに偽りなしの1枚。


ANNIHILATOR - Ballistic, Sadistic - Lip Service ★★ (2020-04-02 23:54:53)

Gリフ、Bライン、Voの歌メロ、醸し出されるグルーヴまで
(恐らく意図的に)“KNIGHT JUMPS QUEEN”そっくりのミッド・チューン。
新曲というよりはリメイクと言うべきか。
“KNIGHT~”にはない、ジェフ・ウォーターズのトレードマークといえる
アルペジオを交えたGソロ・パートのメロディアス且つドラマティックなアレンジは〇。


ANNIHILATOR - Ballistic, Sadistic ★★ (2020-04-01 00:54:29)

カナダが誇るベテランHMバンド、ジェフ・ウォーターズ(Vo、G)率いるANNIHILATORが'20年に発表した最新アルバム。
最初に言っておけば今回もジェフのGは最初から最後までキレキレ。自ら「初心に立ち返った」と語り、名盤『NEVER, NEVERLAND』の頃のスタイルを目指したと明言しているだけあって、バラードさえ排した本編は徹底してファスト&テクニカルな仕上がり。もしファンであれば、そうしたサウンドの中を俊敏に動き回り、蝶のように舞い蜂のように刺す「モハメッ度」高めのジェフのハイテンションなGプレイを聴くためだけにでも本作は購入する価値ありですし、逆にANNIHILATORに興味がないというリスナーも、このGプレイには一聴の価値がありまっせ!と強力にお薦め致します。
ただ、収録曲の方向性が初期スタイルに寄せられた分、高低差の激しいメロディをエキセントリックに歌い上げられるシンガーの不在がこれまで以上に気になってしまうのも事実でして。ジェフのフロントマンとしての仕事に不満はなくとも、どこかで聴き覚えのあるフレーズが頻出する歌メロ(例えば本作で一番のお気に入りの楽曲は⑨なのですが、でもこれって“KNIGHT JUMPS QUEEN”の焼き直しじゃね?とか…)等からは、若干マンネリの気配が感じられなくもないという。個人的には、ジェフには今一度個性派シンガーと組んで、バチバチ化学反応の火花を散らして頂きたいと念願する次第ですが、これまでの活動経緯を踏まえれば、全部自分で回せてしまう彼がいちいち専任シンガーを加入させる可能性の低さも理解できるわけで…。ストレスなく活動を継続してくれることが一番とはいえ、ちと複雑な思いに囚われなくもない1枚。


BLESSED DEATH - Kill or Be Killed - Blessed Death ★★★ (2020-03-31 00:00:03)

Gが咽び泣くイントロに始まり、スラッシーな疾走パートから
演劇的なVoの芝居がかった絶唱に圧倒されるドゥーミーな
ヘヴィ・パートまで、執拗にリフ/リズム・チェンジを繰り返し
次々に転調していく複雑怪奇な曲展開がバンドのテーマ曲に
相応しい、様々なアイデアが闇鍋チックに投入された逸品。


BLESSED DEATH - Kill or Be Killed - Omen of Fate ★★★ (2020-03-30 23:51:05)

1st収録曲の中では比較的ストレートに突っ走るスラッシーな楽曲ながら
禍々しくも大仰な雰囲気を放つ曲展開や、倍々で音階を上げていく
Voのエキセントリックな歌唱が相俟って、一発キメたKING DIAMOND
(もしくはMERSYFUL FATE)的な雰囲気が漂ってくるという。


BLESSED DEATH - Kill or Be Killed ★★★ (2020-03-30 01:19:11)

ケヴィン(B)とクリス(Ds)、双子のパウエルソン兄弟を擁して'84年に結成されたニュージャージー州出身の5人組が’85年にMEGAFORCE RECORDSから発表したデビュー作。
野太いシャウト/鼓膜をつんざくハイトーン/朗々とした歌い上げを使い分けるラリー・ポーテロの超クセの強いVo、強引なリズム・チェンジを捻じ込んで来るパウエルソン兄弟、攻撃的にリフを刻み、泣きを孕んだソロを奏でもするジェフ・アンダーソンのGとが複雑怪奇に絡み合い、次から次へと展開していく特異なサウンドが本作の持ち味…と書くと「要はインテレクチュアル・スラッシュ・メタルでしょ?」と思うやもしれませんが、あの手のバンドが醸し出す火花散るテクニックの応酬や緊張感の類は然程でもなく。ラリーの変幻自在のVoに圧倒される⑤、泣きの導入部に始まって転調を繰り返す⑦といった大作ナンバーに特に強く表れている通り、メンバー各々が好き勝手に自己主張しまくったら不思議と帳尻が合っちゃっいました…ってなスポンテニアスな感性が勝るサウンドは、バンドの埃っぽいルックスやサイケなアートワークも相俟って、「突如スラッシュ化した70年代HR」という前評判が非常に腑に落ちる仕上がり。一方でKING DIAMONDがドーピングしたみたいな③、噛み付くように突っ走る⑥といった攻撃性剥き出しのスラッシュ・ナンバーも本編にはあったりと、とにかくどこを切っても独特の個性が渦巻く1枚です。
音質はイマイチ、楽曲もキャッチーとは言い難いのですが、そうした聴き手のことなんぞ全く斟酌しないバンドの我が道を往く姿勢が、結果として本作の孤高性を高めることに貢献したのではないかと。


GASKIN - Stand Or Fall - The Man is Back ★★★ (2020-03-29 02:20:36)

RAINBOWの“SPOTLIGHT KIDS”を倍速化したようなスピード・ナンバー。
アルバムの掴みに持ってこいのカッコ良さで、
歌だけでなくGソロでもポール・ガスキンが
健在ぶりをアピールしてくれています。


GASKIN - Stand Or Fall ★★★ (2020-03-27 00:57:30)

NWOBHMの名物バンドGASKINが今年5月に来日するという。しかもDEMONと一緒に。何その嬉しい組み合わせ!と身を前に乗り出しつつも、それまでにコロナウィルス騒動は終息してくれのか?公演中止にならんといいなぁと、情緒不安定気味にテンションを乱高下させている今日この頃。何はともあれ来日に備えてGASKINが'00年に唐突に発表した3rdアルバムを引っ張り出してきました。
実態としては純然たる新作ではなく、GASKIN再始動に合わせて未発表曲を発掘したお蔵入り音源集らしいのですが、生憎と自分は当時輸入盤の方を購入してしまったため、本作収録曲がいつ頃書かれたものなのかは不明。しかし、どこか透明感を宿した哀愁のメロディといい、ヘタウマ…いやいや実に味わい深いポールのもっさりブリティッシュ・ボイスといい、ここに託されているのは紛うかたなきGASKINサウンド。1stにあったプログレ風味は抑え気味にしてシンプルに押して来るスタイルは、名盤1stと問題作2ndの中間ぐらいに位置していると言えなくもないような?
未発表曲集と聞くと、何やら「余り物の寄せ集め」的なネガティブなイメージが少なからずつきまといますが、RAINBOWの“SPOTLIGHT KIDS”風Gリフが繰り出される疾走ナンバー①や、洗練を感じさせる⑤、BLACK SABBATHの“HEAVEN AND HELL”にインスパイアされていそうな⑥、歌とGがグッとくる泣きを叩き込む⑧、憂いを帯びて本編を締め括るキャッチーな⑫等々、優れた楽曲が結集された本作は立派に「3rdアルバム」として通用するクオリティを有していますよ。来日に合わせて国内盤を再発してくれないものか。


RIGOR MORTIS - Rigor Mortis vs. The Earth - Mummified ★★★ (2020-03-26 00:06:24)

ANNIHILATORの“CRYSTAL ANN”を思わすムーディなイントロから
せかせかと前のめりに突っ走るアルバムOPナンバー。
執拗なリフの刻みから、華麗とさえ表現できそうなソロ・パートまで
楽曲を牽引するGの活躍ぶりがここでも際立っています。


RIGOR MORTIS - Rigor Mortis vs. The Earth - Sog ★★★ (2020-03-25 23:53:12)

スラッシュ・メタル・ソングとしてはテンポは抑え気味ながら
リフにソロに縦横無尽に駆け巡るマイク・スカシアのGと
煽るようなシャウトVoが焦燥感を高め、6分以上に及ぶ長尺をダレさせません。


RIGOR MORTIS - Rigor Mortis vs. The Earth ★★★ (2020-03-25 00:35:05)

1stで歌っていたブルース・コルビットが脱退。ケイシー・オア(B)と新たに加入したドイル・ブライト(G)がVoパートを分け合うツインVo体制への陣容替えを経て、RIGOR MORTISが’91年にTRIPLE X RECORDSから発表した2ndアルバム。
後にMINISTRYやGWAR、SPEEDEALER、WARBEAST等に参加することとなる猛者たちにより構成されたバンドであり、はっちゃけたアートワークや、RAMONESのカヴァー⑥の激ハマりっぷりからも、彼らに関しては「テキサスの暴れん坊」的なイメージが強いのですが、本作で聴けるのは剛柔使い分けるGプレイといい、思わず一緒に叫びたくなるギャング・コーラスといい、スピードは若干抑え気味に、その分ダイナミズムとノリ易さの増強が図られた、意外なぐらいキャッチー(ポップという意味に非ず)なスラッシュ・メタル。
特にANNIHILATORを思わすインスト序曲①でムーディにアコギを奏でたかと思えば、痙攣気味に刻まれるリフと高機動力を生かして音数多く駆け巡るリズムとが、焦燥感をまき散らしながら突っ走るスラッシュ・ナンバー②③④⑦⑪等では鼓膜を切り裂くように弾きまくったりと、振れ幅の大きなパフォーマンスで楽曲をグイグイ牽引するマイク・スカシア(G)の存在はこのバンドの大きな武器。6分以上に及ぶ緩急を飲み込んだ曲展開で畳み掛ける本編のハイライトたる⑤⑩の魅力は、彼氏のG抜きには語れませんよ。
こぢんまりとしたプロダクションは些か迫力に欠けますが、'91年というHR/HMシーンの一大転換点に発表されたスラッシュ・メタル・アルバムの中では、トップ集団に食い込む完成度を提示してくれている1枚じゃないかと。


UNCLE SLAM - When God Dies - Age of Aggression ★★ (2020-03-23 22:46:36)

疾走ナンバーではあるものの、そのテンポはスラッシュ・メタルというよりは
正統派HM的。Voもはっきりとメロディを歌っています。
歌メロはキャッチーですし、何よりトッド・モイヤーの最早「味わい深い」とさえ
表現したくなる歌うGソロが印象に残りますよ。


SACRILEGE(UK) - Within the Prophecy - Search Eternal ★★★ (2020-03-23 22:37:50)

ハードコア的やさぐれ感と、スラッシーなアグレッション、
英国正統派HMか、はたまたエピック・ドゥームかという
漆黒のドラマ性を宿した10分以上に及ぶ曲展開等、
このバンドの個性を全部乗せしたような大作ナンバー。


UNCLE SLAM - When God Dies ★★ (2020-03-23 00:42:13)

結成初期からのメンバー、アメリー・スミスがSUICIDAL TENDENCIESへと去り、トッド・モイヤー(Vo、G)、サイモン・オリヴァー(B)、あとSUICIDAL TENDENCIESからリクルートしたR.J.ヘラーラ(Ds)というトリオ編成で制作、MEDUSA RECORDSから’95年に発表されたUNCLE SLAMの3rdアルバムにして残念ながら彼らのラスト作。
時はスラッシュ・メタル冬の時代真っ只中。いくらエド・レプカ画伯謹製「超胡散臭いアンクル・サム」が描かれたアートワークによって前2作との連続性を猛烈アピールされても、「でもやっぱ流行に流されてんでしょ?」との疑心暗鬼の念が拭い切れず、当時は購入をスルーしてしまいました。しかし正月の帰省中に立ち寄った古本屋の中古CDコーナーで偶然本作を発見。今更ながら購入して聴き直してみれば、これが非常に優れた内容で思わず居住まいを正してしまったという塩梅でして。
実際のところ、スピードを抑え気味にして横ノリのグルーヴとメロディの増量が図られたサウンドからスラッシュ・メタル・テイストが減退傾向にあるのは、まぁ想定の範囲内。ただ疾走パート(スラッシュというよりは正統派HM的)を随所に噛ませてダイナミックな起伏が演出された本編は、それを支えるメンバーの演奏にキレと躍動感があるので、ミドル・テンポの楽曲でもテンションは緩まず、非常にパワフルでカッコイイ。トッド・モイヤーのGソロも相変わらず冴えており、歯切れの良い疾走ナンバー⑥、しなやかなグルーヴに体が揺れる⑦における練られまくったGソロにはグッと来ずにはいられませんよ。
従来のらしさと新味をバランス良く持ち合わせた、バンドの地力の高さが伝わる一作に仕上がっています。買って良かった。


SACRILEGE(UK) - Within the Prophecy ★★★ (2020-03-20 09:53:25)

似たような名前のバンドがチラホラいますが、こちらは英国ブリストル出身の4人組。UKシーンにおけるクラスト/パンクからスラッシュ・メタル方面へのクロスオーバー現象を語る上で欠かすことの出来ない重要バンドであり、NAPALM DEATH、BOLT THROWER、CEREBRAL FIXといったバンドに影響を与えたことでも知られるSACRILEGEが、'87年に発表した2ndアルバム。
MUSIC FOR NATIONS傘下のスラッシュ・メタル専門レーベルUNDER ONE FLAGと契約を交わしたことが関係あるのかどうか、ともかくDISCHARGE辺りからの影響を伺わせるリフ&リズムのササクレ感はそのままに、よりメロディックに歌うようになった金髪女性シンガー、リンダ“タム”トンプソンのVoといい、一層の拡充が図られたインスト・セクションといい、10分越えの大作ナンバーも収録する等ブリティッシュHM然とした薄暗いドラマ性を宿す曲展開といい、これまで以上にサウンドのスラッシュ~正統派HM度数がUP。個人的には聴いていてZNOWHITEのことを思い出したりしましたよ。
無論それがマイナスに働くなんてことは全然なく、寧ろこっちにはバッチ来い。インストの前半と歌入りの後半の二部構成からなるOPナンバー①、アコギと緩急を活かしてドラマティックな盛り上がりを演出する③、次作ドゥーム・メタル路線への萌芽が既に感じられる⑦、本編ラストをオラつきながら走り抜ける⑧といった楽曲のカッコ良さは、音質の悪さを差し引いてもくすまぬ輝きを放っています。
スラッシャーにも、ブリティッシュHM好きにもお薦めできる歯応えのある力作。


SACRILEGE(UK) (2020-03-20 09:49:02)

WARWOUNDやVARUKERS等、英国のハードコア/パンク畑で活動していたメンバーらにより結成。「かつてリー・ドリアンにTROUBLEを推薦した」なんて目利きぶりが伝わるエピソードも残す女性シンガー、リンダ“タム”トンプソンを擁して、ハードコア/パンク発、スラッシュ・メタル経由、ドゥーム・メタル着という歴史を突っ走った英国はミッドランド出身の4人組。
80年代に個性的な3枚のアルバムを残して活動を休止。結成から30周年、アルバム・デビューから25周年を記念して2014年に復活を遂げている。


DEATHWISH - Demon Preacher - Wall of Lies ★★★ (2020-03-19 00:18:23)

機関銃の猛射の如く吐き出される鉛色のリフ&リズム、
猛々しくメロディを追って歌う硬派なVo、
シャープ且つメロディックに切り込んでくるGソロが
好戦的に畳み掛ける様は、聴いてるだけで血管が
グワッと拡張するようなカッコ良さを誇っていますよ。


DEATHWISH - Demon Preacher ★★★ (2020-03-18 00:44:23)

バンド名はチャールズ・ブロンソン主演のヴィジランテ映画『狼よさらば』(原題『DEATH WISH』)から取ったのでしょうか?イギリスのリゾート地として有名なブライトン出身のスラッシュ・メタル・バンドが、ベーシストの脱退を受け4人組からトリオ編成への陣容替えを経て、'87年に発表した2ndアルバム。
手首をいわしそうな執拗さで刻まれる、初期SLAYERばりに殺気立ったGリフといい、ハードコア/パンクの流儀を受け継ぎ直線的に飛ばしまくるリズムといい、本作で聴かれるのは、80年代半ばに2枚の作品のみを残しスラッシュ・シーンを慌しく駆け抜けていったこのバンドの生き様を反映したかのような(?)、性急に畳み掛けるスラッシュ・サウンド。曇天の空模様を溶かし込んだかの如き鉛色のリフ&リズム、Voが歌う派手に突き抜けることのない憂いを湛えたメロディ、そしてツインG風のアレンジを施され曲間をスリリング且つ華麗に舞うGソロが、米国産とは一味異なる英国印のスラッシュ・メタルならではの風情を醸し出してくれていて、個人的には非常にグッときますね。
重厚な序曲①に始まりアコギによる抒情インスト⑨にて幕が下りる本編は、上記した美点を全て網羅する冒頭②③④の波状攻撃に、BLACK SABBATHの代表曲を秀逸に料理して見せた⑤、血を滾らせずにはいられないアルバムのハイライト⑥、エピカルな⑦、猛然と吹き荒れる⑧…と、そのテンションを片時も緩めることなく最後まで走り切る1枚。
バンドはこの力作を最後に活動停止。近年復活したらしいとの噂も耳にしますし、ならば是非新作のリリースをお願いしたいところであります。


ROGUE MALE - First Visit - Crazy Motorcycle ★★★ (2020-03-17 00:34:57)

スラッシュ・メタルばりの攻撃力と、ライブじゃさぞかし盛り上がるであろう
アゲアゲなノリの良さを併せ持って突っ走るアルバムのOPナンバー。
ぶっきらぼうな吐き捨てVoと、全体を牽引するリードBはMOTORHEADからの
影響が大ですが、不思議と埃っぽさは漂って来ないこのバンドの個性が
くっきりと刻まれています。


CRISIX - Sessions:#1 American Thrash ★★★ (2020-03-16 00:55:53)

昨年JAPANESE ASSAULT FEST 19において初来日公演を成功裏に終わらせ、更にそれに合わせて1stと2ndアルバムの国内盤緊急リリースが実現する等、ここにきて俄然注目が集まっている(…と、いいなぁ)スペインの若手スラッシャーの有望株CRISIXが、’19年に発表したカヴァー曲集。こっちも国内盤出してくれればいいのに。
若手つっても既にスタジオ盤4枚を発表して中堅バンドのキャリアを築きつつある連中で、となるとぼちぼちメンバーが「俺達、実はこんな意外な音楽からも影響受けてるんだぜ」とか「スラッシュ・メタルばかり聴いていないで、もっと色々なジャンルを聴こうぜ?」とか言い出しそうなものですが、本作収録曲のチョイス――①VIOLENCE、②NUCLEAR ASSAULT、③EVILDEAD、④FORBIDDEN、⑤EXODUS、⑥ANTHRAX、⑦TESTAMENT、⑧DEMOLITION HAMMER――を見る限り、彼らにその心配は無用な模様。
カヴァー対象は全てスラッシュ・メタル・バンド。(表題が物語る通り)例外なくアメリカ出身なのもCRISIXの影響源が伺えて興味深いという。誰もが知る有名曲ではないけれど、さりとてマニアック過ぎもしない選曲センスからは、スラッシャー同士が酒飲みながら「あれって良い曲だったよな」「あの曲も最高!」と思いつくまま列挙していったような気負いのなさが感じられ、親近感が湧くというもの。
アレンジは完コピが基本であり、本編にビックリするような仕掛けも見当たりませんが、そうしたストレートな作りからもCRISIXがカヴァー対象へ捧げるリスペクトと、スラッシュ・メタルというジャンルに対する深い愛情が読み取れるようで和める1枚ではないかと。第2弾もお待ち申し上げております。


ROGUE MALE - First Visit ★★★ (2020-03-13 00:30:08)

シンガーのジム・リトル(Vo、G)を中心に北アイルランドはベルファストで結成され、ロンドンを拠点に活動した4人組。KERRANG!!誌において「次に来るバンド」と高く評されたROGUE MALEが'86年にMUSIC FOR NAITONSから発表した1stアルバム。(アメリカでの堂々メジャーのELEKTRA RECORDSが配給担当)
元々はパンク畑で活動していた連中が、MOTORHEADやMETALLICAに触発されてサウンドを先鋭化させていった…との経緯からお察しの通り、パンクの疾走感&ノリの良さとメタルのエッジをクロスオーバーさせた音楽性が持ち味。ブンブン唸りまくるBに、レミーがお手本のシンガーのぶっきらぼうな歌唱等、とりわけMOTORHEADからの影響は大。
ただ、ジャケットの『ターミネーター』風イラストや、メンバーの『マッドマックス』の世界から抜け出てきたような扮装、そして妙に浮遊感を意識させられる音作り等、アルバム全体をほんのり覆うSi-Fiテイストが埃っぽさを薄めている点がユニークな個性になっています。特にOPを豪快に突っ走る“CRAZY MOTORCYCLE”はその無頼なカッコ良さからスラッシュ・メタルのフィールドでも人気を誇る彼らの代表曲。まぁこの名曲のインパクトのデカさが本編の印象を食ってしまっている感も結構あるのですが…。
2曲目以降は必ずしもスラッシュ・メタル風味は色濃くないものの、そこはかとなく憂いを振りまく⑤や、アクセルを床まで踏み込む④⑥等、聴いてるだけで勝手に身体が動き出す、気迫とキャッチネスを宿した楽曲で畳み掛けるこの完成度の高さは侮れませんよ。
LPでリリースされたっきり、ほったらかしの日本盤を再発して欲しいなぁ。


TOKYO YANKEES - Overdoing - Quick as Light ★★★ (2020-03-10 23:49:01)

序盤は抑え気味に展開し、2本のGの荒々しい切り込みを切っ掛けに
アクセルを踏み込んで突っ走る場面のカッコ良さにゃ血圧ぶち上がり。
ダーティなVoとドスの効いたコーラスも、
アグレッシブで埃っぽい曲調にマッチしていますよ


TOKYO YANKEES - Overdoing ★★★ (2020-03-10 00:37:30)

「和製MOTORHEAD」ことTOKYO YANKEESが’91年にEXTACY RECORDSから発表し、インディーズ・チャートにおいて№1ヒットとなった1stフル・アルバム。ちなみに兄貴分のXからPATAとHIDEがそれぞれバックVoとGで参加。初回盤はボーナス・トラックとして8cmCDシングル『JOKER』が付属した2枚組仕様でした。
埼玉県の国道をパトカーに追いかけられながらブッ飛ばしているような、ヤンキー臭漂うオラついたパワーメタル・サウンドは前作同様ですが、音質の向上により迫力は倍増。ランニング・タイムも30分台とタイトに凝縮された本編は、「I!C!B!M!」とコーラスをシャウトせずにはいられないキャッチーさも備わったOPナンバー①から、最速でエンディングを爆走する⑨まで、表題『OVER DOING』(「悪ノリ」の意)に相応しい突進三昧。脇目も振らぬその猪突猛進ぶりや表情に乏しい咆哮型Voをして「一本調子で構成にメリハリが欠ける」「どの曲も同じように聴こえてしまう」とマイナスに感じる向きもあるやもしれませんが、逆にそうした部分を「いいんだよ、細けぇことは!」と堂々うっちゃれる豪快さが、このバンドの得難い個性とも思えるわけでして。
特に土煙蹴立ててダイナミックに疾走するハード・ドライヴィンな⑦は、2本のGの斬り込み隊長ぶりにメタル魂が燃え上がる名曲。またボーナストラックの“JORKER”もメロディックなGソロが印象的な、特別扱いも納得のカッコ良さを誇っていますよ。
TOKYO YANKEESは長らくデビューEPしか聴いたことがなかったのですが、本作は買って大正解。寧ろもっと早く聴いておけば良かったと思うぐらいでして。


RAZOR - Armed and Dangerous - Take this Torch ★★★ (2020-03-09 00:01:34)

ブチ切れVoにカミソリG、猪突猛進のリズムと三拍子揃った
RAZOR屈指の名曲。1st収録バージョンと聴き比べると、
EPバージョンの方が比較的Voがメロディを追っていて
前者が完全にスラッシュ・メタルなら、後者はその一歩手前の
スピード・メタルといった趣き。まぁどっちも最高なんですけどね。


RAZOR - Armed and Dangerous ★★★ (2020-03-06 00:57:50)

カナダが誇る「スラッシュバカ一代」RAZOR。長らく彼らのカタログ中において最も入手困難な状態が続いていた(但しリプロ盤は結構出回ってた)’83年発表の7曲入りデビューEPが、未発表のデモ音源をボーナス・トラックとして追加収録し、リリースから35周年を記念して待望のオフィシャルCD化ですよ。こいつぁ目出度い。
そういやANTHRAXも同タイトルのEPを制作していましたが(リリースはこっちのが先)、そのANTHRAX含め、他のスラッシュ第一世代バンドのデビュー作の多くがそうであったように、本作もまたNWOBHMからの影響が色濃く滲む内容に仕上がっています。
プロダクションの質には厳しいものがあり、またミドル・テンポの楽曲による本編の幕開けや、メロディを追っている(歌っている)Voの歌唱を始め、RAZORの名を聞いて想起するようなスラッシュ・メタルの権化たるサウンドとは未だ結構な開きがある――半数の楽曲は1stでリメイクされるのですが、明らかに仕上がりのテイストが異なる――ものの、デイヴ・カルロのカミソリ・ギターの刻みっぷりといい、HMの範疇からはみ出し気味のテンションの尋常ならざる高さといい、次作以降に全面開花するスラッシュ・メタル・バンドとしての萌芽もここには確実に息衝いています。何よりHMに対するパッションが溢れ出す楽曲が単純にカッコイイ。特に現在でもライブのクライマックスを盛り上げる“TAKE THE TORCH”は、RAZORらしいササクレた突撃精神と正統派HMのエッセンスが溶け合った、この時期の彼らならではのスピード・メタリックな名曲ですよ。
入門盤にするにはちと厳しいかもしれませんが、RAZORファンなら一聴の価値ありな作品なのは疑う余地なし。


STäLKER - Shadow of the Sword - Evil Dead ★★★ (2020-03-05 00:51:40)

DRAGONFORCEやF.K.U.等、様々なバンドによってカヴァーされている
DEATHの初期の名曲ですが、STALKERバージョンもなかなかのハマり具合。
(来日公演でも披露されていました)
余りに出来が良いので、本編後半の他の楽曲の存在を
霞ませてしまっているという痛し痒しな部分もなくはないのですが…。


STäLKER - Shadow of the Sword - Path of Destruction ★★★ (2020-03-05 00:42:56)

「勢いだけのバンドと侮ってもらっちゃ困るぜ」
とのバンドの主張が聞こえてきそうな、
嵐のSEに導かれる重厚なイントロから、
起承転結を効かせてドラマティックな盛り上がりを
呈するアルバム前半のハイライト・ナンバー。
やはりこの手のバンドにとってIRON MAIDENの存在は
重要なのだなぁと改めて実感させられます。


STäLKER - Shadow of the Sword - Total Annihilation ★★★ (2020-03-05 00:34:46)

ハイピッチVoにささくれ立ったリフ&リズムが
やけくそ気味に突っ走るOPナンバー。
ほんのり漂うサタニック・テイストと、
クイック且つ鋭角的な刻みっぷりが80年代の
SLAYERやDESTRUCTIONを思わすGリフがクール。


STäLKER - Shadow of the Sword ★★★ (2020-03-04 00:37:47)

直前のタイミングになって、ヘッドライナー・バンドから「アホか、君ら」な理由で出演キャンセルを食らい、しかもこのままだとこれが最後の開催になりかねない等、踏んだり蹴ったりだった今年のTRUE THRASH FEST。主催者側に落ち度は全然ないのだから最後なんて言わんと今後も何とか続けて欲しいのですが…。
とまれ、ベテラン勢の抜けた穴を埋めるべく、こんなご時世にも関わらず来日してくれた若手バンド――とMATYR――の奮闘は賞賛されて然るべきであり、折角の機会なので手元にあったニュージーランド出身のスピード・メタル・トリオ、STALKER(TTF初日に3番手として出演)が'17年に発表した1stアルバムをご紹介。
彼らが聴かせてくれるのは、ラフな音質に乗せて、アッパーテンションなハイトーンVoとささくれたリフ&リズムが疾走疾走また疾走という、EXCITERや初期SLAYER等からの影響を伺わせるオールドスクールなスピード・メタル・サウンド。
力押しでひたすらゴリゴリ突き進む本編は、微笑ましい反面「一本調子」とも紙一重なわけですが、忙しなく回転するGリフが80年代DESTRUCITONを彷彿とさせるOPナンバー①、メロディックなGソロが劇的に舞う②、起承転結がドラマティックに決まったエピック・チューン③という頭3曲の出来栄えが証明する通り、彼らのキャッチーな楽曲作りの腕前はなかなかのもの。アルバム後半にDEATHの名曲“EVIL DEAD”のカヴァー⑨を配置してアクセント代わりにしているのも効果的です。まぁ余りにハマり過ぎていて、他の楽曲を食っちゃってる感も無きにしも非ずなのですが。
日本盤が出てもおかしくないクオリティの備わった1枚。今後の飛躍に期待致します。


KROKUS - Hellraiser - Spirit of the Night ★★★ (2020-03-02 23:29:57)

メタリックに疾走する曲調が、名曲“HEADHUNTER”を
思い起こさずにはいられないスピード・ナンバー。
やればできる子、KROKUS!
メロディックに繰り出されるマンディ・メイヤーの
Gソロも楽曲のテンションを高めてくれています。


KROKUS - Hellraiser ★★ (2020-03-02 00:37:38)

スイスの国民的HRバンドKROKUSが、ドイツのAFM RECORDSに移籍後、1stアルバムのリリースから丁度30年というタイミング(’06年)で発表した15thアルバム。ちなみにプロデュースはPINK CREAM 69のデニス・ワードが担当しています。
タイトルが『HELLRAISER』と何やら厳めしい感じなので、もしかしたら名作『髑髏の紋章』ばりの80年代ヘヴィ・メタリックなサウンドを演ってくれているかも…と、仄かな期待を胸に聴き始めてみれば、立ち上がりからロックンロール・ナンバーが連打されるマッタリとしたお出迎え。やはりAC/DC路線には微塵の揺るぎもなかったという。そりゃそうか。
ただ、母国のアルバム・チャートで№1ヒットとなった前作『ROCK THE BROCK』(’03年)に続き、本作も最高第2位をマークしてゴールド・ディスクを獲得する等、KROKUSの健在ぶりを示す成功作となっただけあって、質の高さは折り紙付き。特に、大味にならぬようメロディにはさりげなくフックが仕込まれ、80年代に比べグッと表現力を増したマーク・ストレイスの歌声と、マンディ・メイヤーのツボを心得たGプレイが好サポートを得た本編は、物悲しさ漂わせつつ重厚に展開する④や、ヘヴィに押し出す⑤、哀メロが胸に沁み入るバラード⑥、仄かな憂いを纏った曲調とGソロが印象的な⑫といった、スロー~ミドル・テンポ系の楽曲の魅力が際立つ仕上がり。それでいて、名曲“HEADHUNTER”を彷彿とさせるスピード・ナンバー⑦をちゃんと用意してくれている抜かりなさも素敵です。
強烈なインパクトを受けることはなくとも、聴き込むほどに味わいが増して来る、ベテラン・バンドの業前が堪能できる1枚。


TYGERS OF PAN TANG - Wild Cat ★★ (2020-02-27 23:50:21)

若きギター・ヒーロー、ジョン・サイクスと、実力派シンガー、ジョナサン・デヴァリルの2本柱を擁して発表された名盤『SPELLBOUND』(’81年)の陰に隠れてしまいイマイチ存在感が薄い、’80年リリースのTYGERS OF PAN TANGの記念すべき1stアルバム。え?TYGERSの作品は2nd『SPELLBOUND』以外は全部影が薄いだろうって?…それを言っちゃあお終いよ(渥美清風に)。
Wジョンの鮮烈なパフォーマンスにボトムアップされて、時にNWOBHMというジャンル枠内からはみ出すインパクトを放っていた『SPELLBOUND』に比べると、ジャンル内にすっぽりと収まり、寸分たりともはみ出さない本作は「NWOBHM充填120%」といった趣き。ガシガシと刻まれ楽曲を荒々しく牽引するGリフ、シンプルにして攻撃的な曲調(当然バラードなし)、もっさり歌うヘタウマVo等々、まるでNWOBHMの基礎パーツのみで構成されているような本編は、これといったキメ曲が見当たらず、著しく地味。ただ今聴き直すと、なか卯のはいからうどんか、はたまた生(き)で飲む焼酎ビッグマンの4ℓボトルかというこのソリッド過ぎる味わいが妙にクセになるという。ワイルドに吹き荒れるOPナンバー①やアルバム表題曲⑦はカッコイイですし、アルバムをそこはことなくドラマティックに盛り上げて締め括る⑩等は、頭一つ抜けた印象度を誇る逸品ではないでしょうか。
よう考えれば発表当時、全英アルバム・チャート20位圏内に食い込むヒット作なのですから、そりゃつまらない内容のわけがなく。NWOBHMってどんな音?との問いに答える教材に持ってこいの1枚であり、BATTLEAXE辺りが楽しめる向きにもお薦めです。


TYSONDOG - Crimes of Insanity - Taste the Hate ★★★ (2020-02-26 23:27:46)

音質の向上、シンガーの交代やリズム・セクションの強化を得て
NWOBHMというよりは、むしろACCEPT辺りに近しいパワーと
アグレッションを漲らせてドコドコと突進するOPナンバー。


TYSONDOG - Beware of the Dog - In the End ★★★ (2020-02-26 00:41:40)

タイトル通り、ルバムの幕引き役を担うナンバー。
アコギのイントロに始まり、徐々に速度を上げながら
ドラマティックに盛り上がる曲展開は、勢いだけが武器ではない
いぶし銀のNWOBHMバンドならではの魅力が光ります。


TYSONDOG - Beware of the Dog - Hammerhead ★★★ (2020-02-26 00:13:10)

1stアルバムのOPナンバーにしてTYSONDOG屈指の名曲。
イントロのGによる鋭利な切り込みだけで掴みはOK。
このアグレッシブな飛ばしっぷりは、後のスラッシュ・メタル勢にも
少なからず影響を与えたのではないかと推察したくなる
音の悪さをものともしないカッコ良さですよ。


TYSONDOG - Crimes of Insanity ★★★ (2020-02-25 00:00:41)

その昔、海外通販で注文をして待つこと数週間。ようやく実物が届いたのでワクワクしながら歌詞カードを開いてみたらゴキブリの卵が挟まっていた。…ってな、慌てて殺虫剤を噴霧した思い出が未だに忘れ難い、TYSONDOGが’85年に発表した2ndアルバム。ちなみにそのCDはその後どうしたかというと…実はまだ我が家にあるのです。(つげ義春風に)
最高とまでは行かなくとも、それでも音の輪郭すら不明瞭だった1st『BEWARE OF THE DOG』(’84年)に比べるとプロダクションの質は格段に向上。また前任のアラン・ハンターより安定した歌唱力を誇る新Vo(復活作でも歌っていたクラッチ・カラザース)や、力強くビートを刻むドラマーの加入に伴い、肉厚感を増したサウンドは全体的に逞しくビルドアップされています。
前作がNWOBHMというジャンル内で括れる作品だったとするならば、今回はパワー・メタルと評せるアグレッションを発散。アップテンポの楽曲が大半を占める本編中にあって、特にアルバムOPを土煙蹴立てて突進する①、これまたドラム連打から幕が上がる本編最速ナンバー⑥、雄々しく勇壮な⑨といった疾走ナンバーの数々からは、スラッシュ/スピード・メタルのエッセンスも感じられたり。それでいて、湿り気と憂いを孕んだ歌メロをなぞるVoや、随所でメロディアスに絡み合うツインG等、ブリティッシュHMならではの魅力もしっかり保持して、勢い任せな作りにしない曲作りの手腕も光る。
個人的な好みだとどうしても前作に軍配が上がってしまうのですが(度し難い)、未聴の方にTYSONDOG入門盤としてお薦めするなら間違いなく本作の方ではないかと。


TYSONDOG - Beware of the Dog ★★★ (2020-02-21 00:13:21)

SATAN人脈はNWOBHMというジャンル内に複雑に根を張っており、1st『COAT IN THE ACT』にバックVoとして参加、また後年PARIAHにもフロントマンとして在籍することとなるアラン・ハンターがVoとGを兼任していた、ニューカッスル出身のこのTYSONDOGも、そうしたSATAN人脈に連なるバンドの一つとして知られています。
本作は彼らが’84年にNEAT RECORDSから発表した1stアルバム。風呂場で録音したん?ってな如何にもNEATな安普請プロダクションといい、終始歌唱が上擦り気味なヘタウマVoといい、陽光を浴びて華やかにハジけるLAメタルとはまるっと正反対な、陽の届かぬ地下室で醸成されたようなシケシケなメロディ等々、一般的な尺度だとマイナスにしかならないでしょうが、NWOBHMという沼にハマったマニア諸氏は「よっ、たっぷり!」「英国屋!」と大向こうから掛け声をかけずにはいられないサウンドが詰まりまくった1枚。
さりとて、好き者の胸をときめかせるだけの珍品かと言えば、BLACK SABBATHの“HEAVEN AND HELL”にインスパイアされていそうな③、ツイン・リードGが切れ味鋭く切りむ③、小気味良く疾走する④、アコギに始まり本編ラストを劇的に盛り上げて〆る⑨等、攻撃的なGリフとブリティッシュ然とした憂いを纏った楽曲はいずれも魅力十分。中でもシャープなリフと荒々しいリズムがドカドカ駆け抜けるOPナンバー①は、SATANやBLITZKREIGを彷彿。後続のスラッシュ・メタル勢にだって少なからぬインスピレーションを授けたんじゃないかと思えるカッコ良さを誇っていますよ。
SATAN関連のバンドは当たりが多いですが、本作も間違いなくそうした内の1枚です。


SILVER MOUNTAIN - Before the Storm(demo 1980) - Vikings ★★ (2020-02-20 00:50:11)

1st収録バージョンは、3分18秒あたりからスタートする
イェンス・ヨハンソンのピアノ・ソロに魂を持って行かれる名曲でしたが
こちらはイェンス加入前ということで、そこの部分はGソロでカバー。
結果、NWOBHM由来の大味…もとい、荒々しい無骨さが際立つ仕上がりに。
これはこれで捨て難い魅力がありますよ。


SILVER MOUNTAIN - Before the Storm(demo 1980) ★★★ (2020-02-18 23:33:50)

我が最愛の北欧メタル・バンド、SILVER MOUNTAINがデビュー前に制作したデモテープが、マニアックな作品のリイシューに関して定評のあるMETAL MINDから正式商品化。前世紀ならば「SILVER MOUNTAIN先進国」としてこの手の発掘作業は日本のお家芸だったのに、すっかりCD化大国の栄光は遠くへ去りにけり…。
一応リマスタリングが施されてはいるようですが、所詮はデモ。音質は下の下で、ヨナス・ハンソンのVoも不安定極まりない。尤も、音の良さや歌の上手さを求める人がSILVER MOUNTAINに手を出すわきゃないので(断言)これはマイナス点には当たりません。ええ、当たりませんともさ。ただ殆どの楽曲が既に何らかの形で世に出てしまっているので、正直マニア以外がわざわざ手を出す価値は見い出し難いかなぁと。
逆にファンであれば興味深く聴ける1枚であることは確かでして。ネオクラシカル系とは一線を画する侘しい詩情湛えたヨナスのGは相変わらず唯一無二の魅力を放っていますし、何よりヨハンソン兄弟加入前のツインG編成期ということで、1st、2nd、4th収録バージョンに比べると楽曲もゴリゴリと無骨な仕上がり。例えばイェンス・ヨハンソンの華麗なピアノ・ソロが衝撃的だった名曲“VIKINGS”は、北欧メタルというよりNWOBHMに近しい荒々しさを伴い疾走していてこれはこれでなかなか乙な味わいですよ。あと“PROPHET OF DOOM”は『BREAKIN’ CHAINS』よりも本作収録Ver.の方が数倍カッコイイんじゃないかと。
膝の力が抜けるジャケット(一応1stアルバムと関連付けたデザインではあるのだけど)を見ても買う気の挫けない諸兄にお薦めする1枚。


VIRGIN STEELE - Virgin Steele - Children of the Storm ★★★ (2020-02-17 23:01:09)

勇壮にしてアグレッシブ。Keyの導入も自然且つ効果的で
VIRGIN STEELEというバンドの原石の魅力が凝縮された名曲。
VoとGが互いにバチバチ火花散らして「どやさ!」と好き勝手
自己主張しまくっているのですが、それがむしろ楽曲のテンションを
ギンギンに高める好結果に繋がっているという。


VIRGIN STEELE - Virgin Steele - a) Minuet in G Minor / b) Danger Zone ★★★ (2020-02-17 22:53:17)

ドラマティックなHRバージョンにアレンジされたバッハ作曲(実は別人の作曲らしいですが)
“メヌエット ト短調”をイントロ代わりに荒々しく炸裂するVIRGIN STEELEを代表する名曲の一つ。
評価が割れるデイヴィッド・ディフェイのVoですが、この曲におけるシャウトは個人的には
嫌いじゃない…というか寧ろ、野生動物が外敵を威嚇しているような攻撃性の迸りが感じられ、
結構曲調にハマっているのんじゃないかと。


VIRGIN STEELE - Virgin Steele ★★★ (2020-02-16 23:56:29)

USエピック・メタルの開祖バンドの一つとして名前が挙げられるVIRGIN STEELEが、MUSIC FOR NATIONS第一弾アーティストとして’82年に発表した1stアルバム。ちなみに当時ちゃんと日本盤もリリースされていて、その際の邦題は『危険地帯』だったという。
さてその本作、'82年という時代を考慮しても音が悪い。また彼らならではの大仰でオペラティックなサウンドを期待すると、本編の半数を占めるのはラフなノリのロックンロールだったり、ついでにデイヴィッド・ディフェイ(Vo)が繰り出すシャウトは「子犬の鳴き声」と評したくなる線の細さだったりと、VIRGIN STEELE入門盤にチョイスするにはなかなかクセの強い仕上がりです。
要は個性確立を模索する過渡期の作品と言えるのかもしれませんが、クラシカルなイントロ序曲からパワフルに炸裂するアルバム表題曲にして、VSの名をマニアに知らしめた名曲①を手始めに、ピアノの小曲④を導入に濃厚な泣きを発散しながら綴られる⑤、ジャック・スターのGとデイヴィッドが奏でるKeyが火花を散らす様式美HMナンバー⑥、バンドのテーマ曲としてアルバムのトリを飾る⑫等、VIRGIN STEELE節がギラリと牙を剥く劇的な楽曲もしっかりと配されており、決して退屈な内容でない。…というか、むしろクオリティは高いレベルを維持していて、既に曲作りの手腕には必要十分な冴えが感じられます。
イマサンな音質に、強めのロックンロール・テイスト、それでいて要所を締めるドラマティックな楽曲の強力な存在等々…。個人的にはMANOWARの1st『地獄の鎮魂歌』に通じる魅力が見い出せる1枚かと。


VIRGIN STEELE - Life Among the Ruins - Last Rose of Summer ★★★ (2020-02-14 00:13:35)

アルバムをしっとりと締め括るリリカルなバラード。
歌唱能力に関しては評価が割れがちなデヴィッド・ディフェイですが
ピアノをバックに、ファルセットを駆使して、エモーショナルに、
切々と歌い上げるこの曲におけるパフォーマンスからは、
立ち昇る「実力派シンガー」のオーラを幻視することができますよ。


VIRGIN STEELE - Life Among the Ruins - Love Is Pain ★★★ (2020-02-14 00:07:14)

エピック・メタルの面影は欠片も見当たりませんが、
そこはかとない哀愁と爽やかなポップ・センスが同居した
秀逸なメロハー・チューンに仕上がっています。
デイヴィッドの濃いVoも意外にキャッチーな曲調にマッチ。
VIRGIN STEELEの名前で演る必要があったかどうかはさておき
名曲であることは疑う余地がありませんよ。


VIRGIN STEELE - Life Among the Ruins ★★ (2020-02-13 00:04:31)

前作『AGE OF CONSENT』(’89年)における大胆な音楽性刷新の試みが不首尾に終わり、開店休業状態に陥っていたデイヴィッド・ディフェイ(Vo)率いるNY出身のパワー・メタルの雄VIRGIN STEELEが、4年のブランクを経て'93年に発表した5thアルバム。
ちなみに自分が初めて買った彼らのアルバムがこれ。何でよりにもよって迷走期の作品を?と我ながら思いますが、当時は彼らの初期作は殆どが廃盤で入手困難、本作のみゼロ・コーポレーションから国内盤が発売されたので、これ幸いと購入したんだっけなぁと。あの頃はゼロのカタログを片っ端から買い漁ってましたし。…なんて思い出話はさておき。
クラシカルな小曲④から重厚な⑤へ繋ぐ展開に往年の残り香を微かに留める程度で、基本的に本編の主体となるのはバラード系の楽曲。パワーメタル色ほぼ皆無のアメリカンHR路線が更に突き詰められている今作は、もし1stや2ndをこっちより先にチェックしていたら失望感も半端なかったでしょうが、幸か不幸か、この時点じゃ彼らに対する思い入れや知識が殆どなかったため「何か噂に聞いていたパワー・メタルじゃないけど、これはこれで結構好きだなぁ」とフラットに受け入れることが出来たという。特に哀愁のハードポップ②は名曲ですよ。“DANGER ZONE”の面影は欠片も見当たらずとも、キャッチーなメロディが心を潤してくれる逸品。また初期はクセの強さで評価が割れがちだったデイヴィッドのVoもこの頃には成長著しく、ラストをしっとり締め括る⑭における裏声シャウトを織り交ぜた情感豊かな歌声なんて、実力派シンガーの貫禄すら漂ってくるぐらいで。
迷走期とはいえ、ちゃんと歯応えある内容に仕上げてくれている辺りは流石。


NEIL ZAZA - Two Hands, One Heart - Faith ★★★ (2020-02-11 23:10:29)

前半のバラード・パートにおける繊細にしてエモーショナルなチョーキングといい
バンド・サウンドが加わってテンポアップする曲調の中で閃く
スパニッシュ・タッチのアコギの妙技といい、ニール・ザザというギタリストの
テクとセンスが遺憾なく盛り込まれた珠玉の逸品。
抒情性を増幅するKey(ピアノ)の好サポートも印象的です。


NEIL ZAZA - Two Hands, One Heart ★★★ (2020-02-11 01:00:53)

オハイオ州クリーブランド出身のギタリスト、ニール・ザザが、自身のバンドZAZAを解散させた後、デイヴィッド・T・チャステインが主宰するLEVIATHAN RECORDSから'93年に発表した初のソロ・アルバム(オール・インスト物)。ちなみに日本デビュー作でもあり国内盤はゼロ・コーポレーションからのリリースでした。
帯には《様式美》《クラシカル》の宣伝文句が並び、所属レーベルに対するイメージも手伝ってバリバリのネオクラ路線なサウンドを想像していましたが、フルピッキングやスウィープピッキングを多用した演奏スタイルこそ確かにイングヴェイからの影響を伺わせつつも、作品の方向性自体はテクニック以上に「メロディ」を聴かせることに重きを置いた、大仰さ、堅さよりも寧ろ「軽やかさ」が印象に残る親しみ易いサウンドが託されています。
疾走する曲調にGとピアノ(本物じゃないのが惜しい)がスリリングに絡み合うOPナンバー①、エモーショナルなチョーキングと、スパニッシュ・タッチで閃くアコギの妙技が絶品な④、哀愁に満ちたテーマ・メロディが耳に残る⑦、“IN THE MOOD”を組み込んだ賑々しくノリの良い⑨等々…豊かなセンスと多彩なテクニックに裏打ちされた収録楽曲の数々は、メロディアスなGが全編に亘って雄弁に「歌って」くれているので、普段Voなしのインスト物を積極的には嗜まない身でも何の問題もなく楽しむことが出来るという。
宅録ゆえプロダクションのしょぼさは隠しようもないのですが、ニールが目指した「音楽の二大要素、テクニックとメロディの自然な融合」が、デビュー作にして既に高いレベルで果たされている1枚ですよ。


OPEN SKYZ - Open Skyz - Open Skies ★★★ (2020-02-09 22:53:22)

ノスタルジックな風情漂うイントロから、タイトルに相応しく
真っ青な空へ溶けて広がっていくような感覚を覚える
スケールの大きなロック・チューン。この手の爽やかな楽曲を歌わせると
ヒューゴの澱みなく伸びやかな歌声は実に映えますね。


OPEN SKYZ - Open Skyz ★★ (2020-02-09 22:50:20)

現在はソロ・シンガーとしても知られるヒューゴが在籍していたVALENTINEは、90年代突入と共にHR/HMシーンに吹き始めたグランジ/オルタナティブ・ロック・ブームの逆風の煽りを食い、所属レーベルからドロップ。その後メジャーのRCA RECORDSとの契約を手にすると、「バンド名が80年代過ぎる」と名前をOPEN SKYZに改め心機一転。ベテランのリッチー・ズィトーをプロデューサーに迎えてレコーディングを行い、'93年に発表した出直しデビュー作がこちら。
伸びやかで透明感のあるヒューゴのVoが主役を務めるメロディアスHRサウンドという基本的音楽性に大きな変化は見られませんが、VALENTINE時代に比べるとKeyによるキラキラな装飾が大きく減退。アレンジは90年代らしくシンプルに、曲調もミドル~バラードを中心に落ち着いたテンポの楽曲が増える等、全体としてポップ・メタル路線からAOR/産業ロック路線への軌道修正が感じられる仕上がりに。
正直、地味と言えば地味。ただ流石にリッチー・ズィトーとバンド、二人三脚でアルバム作りに励んだというだけあって、要所で煌めくメロディのフックには捨て置き難い魅力があり、殊にTHE BEATLES風のイントロから壮大なスケール感を伴って展開していくアルバム表題曲④、ヒューゴのスティーヴ・ペリー似の歌声が映えるJOURNEY風味のバラード⑦⑩、爽やかな哀愁を纏ったメロハー・チューン⑨といった楽曲の充実ぶりはお見事です。
ただ、本作を以てしても時代の逆風に抗えず、バンドはまもなく解散。ヒューゴはソロ・キャリアを選択し、日本での知名度は格段に高まることとなるので、結果オーライ…だったのでしょうか?


HOUSE OF LORDS - Demons Down ★★ (2020-02-07 00:43:36)

KISSのジーン・シモンズに見い出され、彼が設立したSIMONS RECORDSから華々しくデビューを飾るも、その後は大きくブレイクすること叶わず(ジーンに見い出されたバンドに多いパターン)。所属レーベルをVICTORY MUSICに変えたHOUSE OF LORDSが’93年に発表した3rdアルバム。それでもKISSとは良好な関係を保っていたようで、本作にはポール・スタンレーがゲスト参加しています。あとフィオナも。
ざっくり分けると、グレッグ・ジェフリア(Key)主導期と、ジェイムズ・クリスチャン(Vo)主導期の二期に分類されるHOUSE OF LORDS。日本人好みのメロディック・ロックを聴かせてくれて評価も高い後者に比べると、前者は存在感もアルバムに対する評価もあまりパッとしない印象がありますが(そもそも今じゃ作品の入手自体が困難なのもそれに拍車を掛けている)、どっこい、導入となるOPナンバー①のドラマティックなイントロの段階で早くもリスナーを掴みに来る本作は、初期3作の中にあってはメロディ面において頭一つ抜きん出た充実ぶりを提示してくれているのではないかと。
「哀愁のバラード」のお手本のような③、タメと泣きと緩急を効かせてドラマティックな盛り上がるアルバム前半のハイライト④、ジェイムズのエモーショナルな歌声が映える洗練されたメロハー⑤、マイク・スラマー提供の爽快な疾走チューン⑦、ストリングスの哀切な調べが堪らなく胸を打つ劇的なバラード⑧等々…。これだけ優れた楽曲を揃えたにも関わらず、レコード会社からは適切なバックアップを得られず本作はセールス的に失敗。バンドはこれにて一旦解散の道を選択すること余儀なくされるのですから、嗚呼、無情。


ACE FREHLEY - Frehley's Comet - Calling to You ★★★ (2020-02-06 00:31:45)

歌の上手さではやはりトッド・ハワーズに一日の長あり。
曲調も707で演っても違和感なさそうな爽快感溢れるハードポップで、
リードVoを彼に譲ったエースの慧眼に星3つ。
久々に聴き直しましたが、良い曲ですよ。