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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 701-800

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 701-800

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DESTRUCTOR - Forever in Leather - World of War ★★★ (2021-01-28 23:45:15)

タイトルに相応しく一触即発の雰囲気を纏って突き進む。
アグレッシブなだけでなく、聴き手を行進へと誘うような
エピカルなドラマ性も宿したアルバム前半のハイライト・ナンバー。


DESTRUCTOR - Forever in Leather ★★★ (2021-01-27 23:51:37)

80年代に活動、偏差値低めのバカメタルっぷりがマニアから愛されるも、主要メンバーの一人が刺殺されてしまうという悲劇を受けて解散を余儀なくなされたデイヴ・オーヴァーキル(Vo)率いるDESTRUCTOR。本作は復活作となった'02年リリースの『SONIC BULLET』に続き、’07年に発表された3rdアルバムに当たる作品です。
その『SONIC~』は、ブランク明けにしては悪くない出来栄え…ってな印象でしたが、アルバム・タイトルからしてバンドの心意気が伝わってくる本作は、評価に下駄を履かせる必要まるでなし。プロダクションの向上もあり、80年代作品にほんのり漂っていたチープさを現代的アグレッションに置き換えて、破壊的に刻まれるGリフ、悪路を力づくで踏破するダンプカーが如きゴリ押しリズムとが、デイヴの荒くれVoを伴って猪突猛進。美しさとか洗練とかとは百万光年無縁の武骨で男臭いパワー/スラッシュ・サウンドは、80年代よか遥かにパワーアップしてんじゃねえか?という迫力で押し出してきます。
中間部では「引き」のパートを設けてダイナミズムを演出するベテランの技前が光るOPナンバー①に始まり、エピカルなドラマ性も湛えたアルバムのハイライト・ナンバーたる③や、ドーピングしたMOTORHEADといった趣きで地響き立てて突進する⑤を経て、若造スラッシャーなんぞに負けへんでぇ!と言わんばかりのオヤジパワー巻き散らかすラスト・ナンバー⑪に至るまで、途中息抜きや休憩(バラード系の楽曲)も挟まずに走り抜けるガッツとスタミナに驚嘆させられっぱなし。
テストステロンがムンムンに溢れ出して来る、懐古趣味とは無縁の力作でしたよ。


ANGEL WITCH - Burn The White Witch - Live In London - Angel Witch ★★★ (2021-01-27 00:03:04)

毎度ライブのトリを飾るバンドのテーマ曲。
スタジオ・バージョンも最高ですが、観客の大合唱が加わる
ライブ・バージョンはそれ以上の高揚感に満ち溢れています。


ANGEL WITCH - Burn The White Witch - Live In London ★★★ (2021-01-25 23:57:56)

再結成、そして初の来日公演を記念して、'09年に紙ジャケット仕様にて日本のみでリリースされたANGEL WITCHの実況録音盤。帯に記載された『白人の魔法使いを燃やしなさい』という直訳極まりない邦題が何やらブート盤めいた雰囲気を醸し出していますが、れっきとしたオフィシャル作品。正月休みにCD棚を整理していて発見するまで、リリースがあったことも購入したこともすっかり忘れてしまっていましたよ。
‘09年にロンドンのクラブで行われたライブの模様が収録されており、セットリストは全10曲、全てが1st『ANGEL WITCH』からのチョイス。今も昔も変わらないケヴィン・ヘイボーンの独特なヘタウマVoと、彼がクリエイトする地下室的な湿り気と薄暗いメロディに彩られたバンド初期の名曲が、MCもそこそこに、大仰な仕掛け等何もなく次々に畳み掛けられるソリッド極まりない――でもこのバンドには非常に似合っている――構成といい、野郎率120%な観客の野太い声援といい、何も知らずに聴いて「実はこれ、80年代初頭に録音された秘蔵ライブ音源なんですよ」と言われたら、疑わずに信じてしまいそうな仕上がり。(補足しておくと、バック・バンドは初来日公演時と同じ、リー・ドリアン人脈に連なる若手ミュージシャン達によって固められています)
バンドとオーディエンスのコール&レスポンスが熱い⑤、満を持して炸裂する名曲中の名曲に会場のボルテージが最高潮に達する⑨は本編のハイライト。これ聴いて来日公演の大合唱の思い出が蘇り胸が熱くなったファンも多いのじゃないでしょうか。
国内盤で手に入るANGEL WITCHのライブ盤は本作だけなので、見かけたら是非どうぞ。


MR. BIG(UK) - Seppuku - Seppuku ★★★ (2021-01-22 00:22:16)

色物感溢れる曲タイトルに星3つ。
とはいえ、ドラマティックな構築美を宿した楽曲自体には
浮ついた雰囲気は微塵もなく、もしかするとアルバム制作中に既に
バンドの解散を予期していたメンバーが、「これが最後」と決意して
このタイトルを名付けたのではないか…と深読みすることも可能。
手元のCDには対訳はおろか歌詞カードもついていないので
何について歌っているのかは全然分からんのですが。


MR. BIG(UK) - Seppuku ★★★ (2021-01-21 00:49:49)

アメリカではなくイギリスのMR. BIGがMOTT THE HOOPLEのイアン・ハンターをプロデューサーに迎えてレコーディング作業を行うも、紆余曲折の末バンドが解散してしまったため、'03年に発掘されるまでお蔵入りの憂き目に遭っていた幻の3rdアルバム。
90年代に彼らの旧譜を見かけた時は「へー、イギリスにもMR.BIGがいたんだ」と思う程度でアルバムの購入までには至らなかったのですが、本作はショップで目に入った瞬間購入を決意。何せタイトルが『SEPPUKU』ですよ。買わいでか。
なので「話のネタに」と入手した作品でしたが、実際のところ本編に東洋趣味は皆無。さぞやガッカリした…ことは実は全然なく、むしろQUEENやSWEET辺りに通じる甘い歌声/美しいハーモニー/キャッチーなメロディに彩られた、まさしく『甘美のハード・ロッカー』(2ndアルバムの邦題)の面目躍如といった趣きの極上ハードポップ・サウンドに大いに痺れまくった次第で。先行シングルとしてリリースされたのも納得のOPナンバー①、軽快に踊るGに心浮き立つポップ・チューン③、アメリカン・プログレ・ハード調の④、しみじみと泣かせる哀愁のバラード⑥、思わず行進せずにはいられない(?)⑦、アルバムをハードに締め括るスピーディな⑫…と、ポップネスとロックのエッジが巧みに溶け合わされた本編に捨て曲なし。「SEPPUKU!SEPPUKU!SUICIDE~♪」と物騒な歌詞がキャッチーに歌われるアルバム表題曲⑪のドラマティックな名曲っぷりも嬉しい驚きでしたよ。
今じゃ1stも2ndもレア・アイテム化してしまい中古盤価格が高騰しているので、「あの時買っときゃ良かったな~」と後悔しきりです。


SWEET - Cut Above the Rest - Mother Earth ★★★ (2021-01-20 00:24:20)

6分越えの長尺をスペーシー且つドラマティックに語りきる、
プログレッシブ・ロック・テイストも漂う名曲。
特にピアノが華麗に閃く中間部のアレンジが辛抱堪りません。
敢えてこの一筋縄ではいかない楽曲を先行シングルに選ぶ辺りからも
バンド側の「甘くみんなよ」(SWEETだけに)という
攻めの姿勢が感じられるのではないでしょうか。


SWEET - Cut Above the Rest - Discophony (Dis-Kof-O-Ne) ★★★ (2021-01-20 00:20:14)

英国におけるニューウェイヴブームを皮肉った歌詞、
ディスコミュージックのパロディ的フレーズを要所に散りばめつつも
飽くまで曲展開を主導するのはハードなGという
SWEETのロック・バンドとしての矜持が刻まれた逸品。


HOUSE OF LORDS - House of Lords - Love Don't Lie ★★★ (2021-01-18 23:59:43)

STAN BUSH & BARRAGEが誇る泣きの名バラードをHOUSE OF LORDSがカヴァー。
ジェイムズ・クリスチャンも素晴らしいシンガーなので
秀逸な出来栄えになることは約束されたも同然。
スタン・ブッシュのバージョンも是非お聴きください。


SWEET - Cut Above the Rest ★★★ (2021-01-18 22:57:29)

ツアー生活の疲弊からアルコールに走るようになり、バンド内で軋轢を生じ始めたブライアン・コノリーが脱退。後に残されたメンバーはトリオで活動を継続することを決断し、所属レーベルをPOLYDOR RECORDSに替えて心機一転を図ると、セルフ・プロデュースでレコーディング作業を行って’79年に本7thアルバム(邦題『標的』)を発表しました。
看板メンバーだったコノリーの脱退に加えて、発売されたアルバムは全米チャートで100位内に入ることも叶わない寂しい成績…ってな事前情報に惑わされ、紙ジャケ再発されるまで聴いたことがなかった本作ですが、実際にトライしてみれば、SWEETの他のカタログにも決して聴き劣りしない素晴らしい内容で「こりゃ結構なお点前ですよ!」と思わず居住まいを正してしまった次第。
ここで披露されているのは、前作のアメリカン・メロハー路線を更に洗練させ、キャッチーなメロディを甘美なハーモニーで包んだ、例えばELO辺りにも通じる魅力を放つポップ・ロック・サウンド。ドイツでシングル・カットされスマッシュ・ヒットを飛ばしたという①みたいな親しみ易いハードポップ・チューンも非常に和めるのですが、甘さ一辺倒では終わらず、エッジの効いたGが曲展開を主導するロック賛歌の⑤、スペーシーなシンセを活かしたプログレッシブ・ロックにも通じるドラマ性を宿した⑦といった、ピリッと本編を引き締めるHRナンバーを要所に配置。その⑦を敢えて先行シングルに選ぶ攻めた姿勢からも、バンドの「舐めてくれるなよ」との主張が聞こえてくるようじゃないですか。
こうなると、未聴の最終作『IDENTITY CRISIS』も聴きたくなってきますね。


WHITE SISTER - White Sister - Straight From the Heart ★★★ (2021-01-14 23:53:48)

LAメタルらしいエッジの効いたGリフに、ハイトーンVoの
歌う哀愁のメロディが絡む。泣きを湛えたGソロといい、
印象的なオブリを入れて来るシンセに、美麗なハーモニーといい
開幕早々にアルバムの完成度を確信するに十分な名曲です。


WHITE SISTER - White Sister - Don't Say You're Mine ★★★ (2021-01-14 23:44:54)

心地よい疾走感を伴うリズムに乗って、
ウェットなメロディを歌うハイトーンVo、
分厚いコーラスで包まれたキャッチーなサビメロ、
それに80年代感バリバリな音色のシンセが、
スペーシー且つドラマティックに曲展開を盛り上げる
アルバムの掴みに相応しい名曲。


WHITE SISTER - White Sister ★★★ (2021-01-13 23:42:11)

クリスチャン・メタルっぽいバンド名ですが別にそんなことはないらしいバーバンク出身の4人組。多くのLAメタル勢が、まずクラブ・シーンで鎬を削った後、自主制作音源を作成してレコード会社の反応を伺う…ってなルートを辿ったのに対し、彼らはいきなりメジャーのEMIから'84年に本1stアルバムを発表して華々しいデビューを飾っています。
抒情的なメロディを配し、適度な緊迫感を湛えたサウンドは「明るく楽しいLAメタル」のイメージとは趣きを異するものの、さりとてNWOBHMからの影響を感じさせる地下室臭の類も皆無。キレのあるハイトーンVo、歯切れ良くリフを刻むG、早過ぎず遅過ぎず自然と聴き手をノらせるリズム、そして美麗なボーカル・ハーモニーとを伴う楽曲からは、既に堂々たるメジャー感が漂ってきます。取り分け、時にポップに/時にドラマティックにサウンドを彩り、リードVoまで取ってしまうKey奏者の活躍は本作の肝。これにはプロデューサーがGIUFFRIAのグレッグ・ジェフリアってことも関係しているんでしょうかね?
大きなヒットには恵まれず、これ1枚きりでメジャーからドロップしてしまったバンドゆえ「これぞ!」という強力なキメ曲は見当たりませんが、華麗なシンセサイザーを前面に押し出し、例えるなら初期BON JOVIが気持ち正統派HMに寄ったような収録曲の数々はいずれも粒揃い(⑤のみ毛色が異なりますがこれは外部ライター提供曲)ゆえ、大した瑕ではありません。特に冒頭4曲のカッコ良さは最高ですよ。
一度CD化されたきりで既に廃盤の国内盤には5,000円オーバーのプレミアが付いてしまっているので、1日も早いリイシューが望まれる、LAメタルの隠れた名盤。


QUIET RIOT - QR III - Slave to Love ★★★ (2021-01-12 23:36:35)

スタン・ブッシュ先生との共作曲なのですから、
そりゃあ素晴らしい仕上がりにならないわけがないという。
哀愁に満ちたメロディ、コンパクトに締まったGソロ、
サビで絡む女性コーラスのドンピシャな起用といい、
3rdアルバムでQUIET RIOTが試みた音楽的試行錯誤の
結実と言っても過言ではない名曲じゃないでしょうか。


QUIET RIOT - QR III - Still of the Night ★★★ (2021-01-12 23:31:31)

トシちゃんばりの「俺はビッグ」発言とか、ルディ・サーゾ苛めとか
言動面には多々問題があったのかもしれませんが、シンガーとしての
実力は間違いなく高かったのもまた事実。特にこの名バラードの感動は
ケヴィンの熱唱あったればこそ。ボビー・キンボールのゲストVoも
楽曲をドラマティックに盛り上げてくれており非常に効果的です。


QUIET RIOT - QR III ★★★ (2021-01-11 23:16:48)

ケヴィン・ダブロウ(Vo)のビッグマウスぶりが人々の鼻につき始めたのか、はたまた次々にデビューを飾るBON JOVI、DEF LEPPERDといった若くてイキのいい新人バンドに話題を奪われるようになったためか、ともかくウルトラ・セールスを記録したデビュー作以降はアルバムの売上枚数の下降に歯止めを掛けられずにいた(今にして思えば十分立派な成績なんですけどね)QUIET RIOTが、勝負作として’86年に放った3rdアルバム。
笑っちゃうぐらい1stアルバムの作風を踏襲していた前作に比べ、本作ではエッジを削って丸みを帯びた音作りの下、Keyとボーカル・ハーモニーのフィーチュア度を各段に上げた、メロディアスHR路線へと一気に傾斜したサウンドを披露。筋の取れた伸びやかな歌唱を心掛けるケヴィンのVoといい、派手さは抑えて楽曲を引き立てることに注力するカルロス・カヴァーゾのGプレイといい、全体的にバンドとしての成熟を感じさせる仕上がりで、QUIET RIOTの名を聞いて想起する底抜けに明るい溌剌としたHMサウンドとは隔たりはあるものの、ことメロディの魅力に関して言えば前2作を完全に凌駕。シンセによるイントロが新鮮な空気を運んでくるQR版“JUMP”チックな①、哀愁漂う②、ケヴィンの優れたシンガーとしてのポテンシャルが十全に発揮された感動的なバラード⑦等々…。中でもスタン・ブッシュとバンドの共作曲⑩は個人的にアルバムのハイライトに推したい名曲ですよ。実はこの曲目当てで本作を購入したぐらいでして。
結局セールス的に失敗しケヴィン脱退の引き金となった本作ですが、内容の充実ぶりからすれば、試合には負けたかもしれないが勝負には勝った!と言える1枚ではないでしょうか。


HOUSE OF LORDS - House of Lords ★★★ (2021-01-08 00:15:46)

GIUFFRIAの2ndが期待したほどのセールスを上げられなかったことから新たな展開を模索していたグレッグ・ジェフリアと、自身のレーベルを立ち上げて有望な新人バンドを物色中だったKISSのジーン・シモンズ。両者の思惑が一致した結果、フロントマンをデヴィッド・グレン・アイズレーからジェイムズ・クリスチャンに替えたGIUFFRIA改めHOUSE OF LORDSが、’87年に発表した出直しデビュー作がこれ。邦題は『神々の館』。
EL&Pばりのシンセによるイントロに始まり、ラニー・コードラのGから泣きが染み出す②から、チャック・ライト&ケン・メリーの渡り鳥コンビのタイトなリズム・ワークが冴えるHRナンバー④⑥、重厚かつキャッチーなコーラスが鮮烈な⑦、ファンファーレの如くKeyが鳴り響く高揚感に満ちた⑧、共作者としてデヴィッド・ロバーツが名を連ねる⑩に至るまで、多彩な楽曲が集う本編で披露されているのは、基本的にはGIUFFRIA時代を踏襲するスケールの大きなアメリカン・ロック。但し、前任者よりも情感豊かに歌い込むタイプのシンガーであるジェイムズを得たことで、サウンドの方は派手さを控えめに、よりメロハー色が強化。またほんのりブルージーな味わいも加味されるようになりました。
特に、ジェイムズの熱唱とラニーのエモーション迸るGの競演が息苦しいまでの盛り上がりを演出する③はその真骨頂。そして何よりスタン・ブッシュのペンによる感動的な名バラード⑤には感涙に咽ばずにはいられませんよ。
グレッグ・ジェフリア主導期の3枚の中では、個人的には本作が一番好きだなぁと。それだけに国内盤が廃盤のままほったらかしなのは勿体ない。


WHITE LION - Mane Attraction - Warsong ★★★ (2021-01-06 23:44:42)

90年代的ヘヴィネスを伴った重厚なミッド・チューン。
鉄と鉛、血も涙もないといった風情の前半から一転、
突如堰を切ったように泣きが溢れ出す、中盤での劇的な転調と、
ヴィトの胸を締め付けるエモーショナルなGソロが
落涙モノの素晴らしさですよ。


WHITE LION - Mane Attraction - Broken Heart ★★★ (2021-01-06 23:37:27)

評価が割れがちなマイク・トランプのVoですが、
こうした哀愁に満ちた楽曲を歌うと、独特の枯れ声が
メロディの抒情性を一層際立たせてくれて実に良い。
1stの頃より確実に表現力も増しています。
ヴィト・ブラッタの泣きのGソロは、どちらもバージョンも
「最高」以外の形容詞が思い浮かびません。


WHITE LION - Mane Attraction ★★★ (2021-01-05 23:58:00)

80年代の絶頂期を謳歌していたバンド群が、新たな波の到来で路線変更や解散を余儀なくされていった90年代。WHITE LIONもプロデューサーにリッチー・ズィトーを迎えて制作、'91年に発表した本4thアルバムを以て一旦その歴史に幕を下ろすこととなりました。
プロデューサーの人選からして、前作『BIG GAME』以上にポップ路線を突き詰めた仕上がりになっているかと思いきや、本作ではメロディの魅力は生かしつつ、極力装飾を排した音作りの下、ヘヴィなGが全体を引っ張る90年代仕様のサウンドを提示。マイク・トランプも時に荒れ声を駆使して荒々しい側面を披露しています。ただそうなると、これまでは分厚いハーモニーに覆われることで気にせずに済んでいた、声の表情の乏しさやパワー不足が悪目立ちしている印象が無きにしも非ずという。
反面、それをフォローするように存在感を発揮しているのがヴィト・ブラッタで、ブルージーな⑪を始めバラード系の楽曲における、1つの音で10を語るGプレイには悶絶せずにはいられません。またこうしたメロウな曲においてはマイクの歌唱も存分にポテンシャルを発揮。メロディの抒情性を効果的に増幅してくれていて、やはり得難いシンガーであることを印象付けます。中でもシングル・カットされた哀愁の名曲②、静と動を切り替えながらドラマティックに盛り上がる⑦、日本語の「サヨナラ」まで飛び出す⑫は、バンドの新たな魅力を提示することに成功した逸品ですよ。
WHITE LIONは長いこと80年代の作品しか触れずに来ていたので、後年マイク中心で再編された復活作(5th)を聴いてそのハードな作風に吃驚したのですが、3rdと5thの間に本作があると、その変化も必然であったと遅まきながら理解できた次第で。


BRITNY FOX - Britny Fox - Long Way to Love ★★★ (2021-01-05 00:33:39)

“GIRLSCHOOL”のノリを受け継ぐ爽快なロックンロール。
クセの強い声質が好き嫌い分かれるタイプのシンガーですが、
印象的なコーラス・ワークを始め、こうした抜けの良い楽曲には
ハマっていて、その魅力を存分に引き立ててくれます。
シングル・カットされたのも納得。


BRITNY FOX - Britny Fox - Girlschool ★★★ (2021-01-05 00:27:11)

アルバムのOPナンバーにしてBRITNY FOXの代表曲。
クセの強いシャウトVo、シンプルでノリ易い曲調、
キャッチーなコーラスに曲中を彩るフラッシーなGソロ、
あと80年代感全開のゴキゲンなPVまで、
陽気で豪快なロックンロールに思わず体が動き出す名曲。


BRITNY FOX - Britny Fox ★★★ (2021-01-04 00:12:28)

LAでバンドを組んで活動するも芽が出ず、地元フィラデルフィアへと戻ったシンガーのディジィー・ディーン・デイヴィッドソンが中心となり結成、デビュー前からKERRANG!!誌の表紙を飾るなど話題を振りまいたBRITNY FOXが、'88年にメジャー・レーベルのCBSから発表した1stアルバム。
髪の毛を膨らませ過ぎてシルエットがウルトラセブンのクール星人みたくなっているメンバーの「ヘアメタル」を体現したようなルックスに、トム・キーファー似のクセの強いディジィーの歌唱スタイル、それにGが元CINDERELLAだったりと、何かと「CINDERELLAの弟分」的な扱いを受ける機会の多いバンドでしたが、音楽性の方からは当時流行のブルーズ・テイストは殆ど感じられず。むしろカラッと陽性で覚えやすいメロディ、盛りに盛られたキャッチーなコーラス・ワーク、フラッシーなGプレイとに彩られたAC/DC辺りにも通じるサウンドは、SLADEのカヴァー⑧を含めて、彼らが骨の髄までロックンロール野郎であることを証明するワイルドな仕上がり。
特にビデオクリップが印象的だったリーダートラック①、共に合唱せずにはいられない高揚感に満ち満ちた②⑦⑨、良い意味で売れ線ど真ん中なパワー・バラード④、ライブ映えする曲調にディジィーの金切りシャウトが映える⑥等々といった楽曲は、「ヘア・メタルねぇ」とグチグチ抜かしながら冴えない面で本作を聴き始めたリスナー(俺ですが)さえも、聴き終わる頃には笑顔に替えてしまうゴキゲンさを誇っています。
BRITNY FOXがリリースした3作の中では、個人的には本作が一番のお気に入りですよ。


CLIF MAGNESS - Lucky Dog - Shout ★★★ (2020-12-30 01:35:16)

力強くロックする曲調に、哀愁のメロディと、合唱せずには
いられないキャッチーなコーラス(バックVoにロビン・ベック参加)
が華を添えるアルバムでも1、2を争う名曲。HR然としたエッジを
加えるトミー・デナンダーのGプレイも光っていますよ。


CLIF MAGNESS - Lucky Dog - Unbroken ★★★ (2020-12-30 01:29:27)

「80年代にCMで使われていました」と言われたら
全く疑わずに信じてしまいそうなパワー・バラード。
むしろ現在CM(あるいはドラマ)に起用されていないのが
不思議なぐらいですよ。


CLIF MAGNESS - Lucky Dog ★★★ (2020-12-29 00:45:47)

ジェイ・グレイドン、グレン・バラードと結成し、デビュー作『A HEART FROM THE BIG MACHINE』(’91年)が日本でスマッシュ・ヒットとなったPLANET 3での活動や、様々なアーティストへの楽曲提供で知られるシンガー/ソングライターのクリフ・マグネスが、1st『SOLO』(’94年)以来、24年ぶりにリリースした2ndソロ・アルバム(’18年発表)。
雲ひとつない青空、パームツリー、アメ車、あと犬…と、わたせせいぞう感溢れるジャケットから想起される通り、クリフのクセのないハイトーンVoが伸びやかに響き渡る、ポップで爽快なメロディアスHRサウンドが心地良い1枚。前作がメロディ愛好家から「まるで青春映画のサントラのよう」と絶賛されていたことを踏まえると、変わらない魅力を湛えつつも、どこか過ぎ去った日々を懐かしむような郷愁が漂ってくる本作は同窓会映画のサントラ的趣きも感じられたり。
…なんて書くと、何やら後ろ向きで覇気に欠ける作品のように思われるやもしれませんが、どうしてどうして。アルバムのOPを飾るVAN HALENばりに溌剌と駆け抜ける①、歯切れ良く軽快に弾む④、ゲストVoのロビン・ベックが華を添える⑤等、要所に配されたHRナンバーがしっかりと気分をアゲてくれます。特にキャッチーなコーラスと哀愁のメロディに思わず合唱を誘われる⑧はアルバムのハイライトに推したい名曲。無論、「80年代にトレンディドラマかCMに主題歌として起用されてなかった?」と尋ねたくなるヒット・ポテンシャル充填120%な③、バグパイプを効果的に取り入れた⑥といったバラード系の楽曲の素晴らしさに関しては、今更言及するまでもなく。
前作を気に入った方なら迷わず買えよ買えば分かるさな1枚。前作を知らない方も是非に。


BLUE OYSTER CULT - The Symbol Remains - The Alchemist ★★★ (2020-12-25 01:01:35)

名作『IMAGINOS』収録の名曲
“THE SIEGE AND INVESTITURE OF BARON VON FRANKENSTEIN'S CASTLE AT WEISSERIA”
を彷彿とさせる、重厚にしてドラマティックなアルバムのハイライト。
Gにリードされて曲調が疾走へと転じる場面のカッコ良さ、
そして凛としたピアノの旋律も印象に残ります


BLUE OYSTER CULT - The Symbol Remains ★★★ (2020-12-24 01:11:28)

結局日本盤が出なかった前作『CURSE OF THE HIDDEN MIRROR』(’99年)は未だに持っていないので(そもリリースされていたことさえ結構最近まで知らなかったという)、BLUE OYSTER CULTの新作を買うのは前世紀以来となる、’20年発表の13thアルバム。
ピアノ好きの身には欠かせない存在だったKey奏者アレン・レニアーは既に亡く、ヘヴィ・リフが無骨に刻まれ、レゲエ調のアレンジまで飛び出すOPナンバー①が始まった時にゃ思わず眉間に皴が寄りそうになったりもしましたが(冷静になれば十分良い曲)、硬質なバッキングとポップなメロディのコントラストが印象的な②以降は、メロディは泣いていてもベタつかない③、オールディーズをBOC流の解釈で料理してみせた④…と、エリック・ブルームの浮遊する歌声、立体的に組まれたボーカル・ハーモニー、そして都会的な仄暗さ/冷ややかさを纏ったメロディといった、BOCならではの魅力と個性が刻印された逸曲が連続。
クレジットを見るに、この収録曲の充実ぶりには新参メンバー、リッチー・カステラーノ(G)の貢献も大きかったようで、特に彼が単独で手掛けた、重厚かつ劇的な盛り上がりと随所で流麗に閃くピアノの美旋律に力瘤って仕方ない⑪の、名盤『IMAGINOS』(’89年)に収録されていたって違和感のない名曲ぶりは本作の白眉。しみじみと「優秀な人材をゲットしましたなぁ」と呟かずにはいられませんよ。
《NYの醒めた狂気》とか《文科系BLACK SABBATH》とか、何かと敷居の高い枕詞が冠せられることの多い彼らですが、本作にこれみよがしの難解さは皆無。キャッチーな哀メロを粋なアレンジと有機的な演奏で楽しませてくれる、シンプルに親しみ易い1枚です。


DRIVE,SHE SAID - Drive, She Said - Don’t You Know ★★★ (2020-12-22 23:22:29)

TOUCH時代の名曲“愛は謎のストーリー”のリメイク。
シンセが増量され、よりモダンなアレンジが施されていますが
アル・フレッチのパワフルな熱唱にドライヴするG等、
これはこれでカッコイイ。
というかこれがカッコ良すぎて、他の楽曲の印象を霞ませてしまっている感が
無きにしも非ずなのですが・・・。


DRIVE,SHE SAID - Drive, She Said ★★★ (2020-12-21 23:20:10)

半世紀近くに亘り活動を続けるアメリカン・メロハー界の良心、マーク・マンゴールド(Key)が、盟友アル・フレッチ(Vo)と立ち上げたプロジェクト、最早マークのライフ・ワークとさえ言えそうな(の割に余り評価がパッとしないのが痛し痒し)なDRIVE, SHE SAID。本作は彼らが'89年にCBS傘下のIMAGINE RECORDSからリリースしたデビュー・アルバムで、プロデュースはマーク本人が担当。幾つかの楽曲ではアルド・ノヴァの名前も共同プロデューサーとしてクレジットされ、またボブ・キューリックやフィオナ、トニー・ブルーノ、ケニー・アーロンソンらをゲストに迎えレコーディングが行われています。
ここで聴けるのは、「TOUCHがアルバム1枚きりで解散せず、80年代も作品リリースを重ねていたら、多分こんな音を出すようになってたんじゃなかろうか?」と思わされる、ポップで洗練されたメロハー・サウンド。ヤスリでエッジを削ぎ落したみたいな売れ線狙いのプロダクションがHR/HMならではのエキサイトメントを著しく低下させつつも、楽曲にフックを作り出すマークのKeyと、アル・フレッチのパワフルなVoがサウンドにメリハリを付与してくれていて、右から左へBGMとして聴き流すような真似はさせません。
正直、TOUCH時代の名曲“愛は謎のストーリー”のリメイク③のインパクトが他の楽曲の存在を食ってしまっている感はあるのですが、それでもフロア対応のリズムとファッショナブルなシンセ・サウンドに負けじとアルのロック・シンガー然とした熱唱が芯を通す⑨等、本編はマークの曲作りの腕前が既に健在であることを示す秀曲揃い。
数年前の引っ越しで国内盤の帯をなくしてしまい非常に落ち込んだので、そろそろ再発してくれないものかなぁと。


RAMOS - My Many Sides - All Over Now ★★★ (2020-12-18 00:53:27)

ブルージーな色合いが強いアルバムの中にあって
アルバムの終盤を〆るこの曲は爽快な曲調にキャッチーな
コーラス、それにジョー・レッタの熱いVoとが相俟って
80年代ポップ・メタル的な味わいを感じさせてくれます。


RAMOS - My Many Sides ★★★ (2020-12-17 01:05:34)

それこそ肩眉を剃り落して山に篭りそうな勢いで(誤ったイメージ)ひたすらJOURNEY型メロディアスHRサウンドを求道し続ける「馬鹿よのう…まさにメロハー馬鹿」なギタリスト、ジョシュ・ラモス。RAMOS名義では『LIVING IN THE LIGHT』(’03年)以来、実に17年ぶりとなる、’20年発表の2ndソロ・アルバムがこちら。
トニー・ハーネル、ダニー・ヴォーン、エリック・マーティン、トニー・ミルズ…著名な実力派シンガー勢をゲストに迎えてレコーディングされている本作でも、当然JOURNEY路線のメロハー・サウンドが聴けるものとばかり思っていましたが、意表を突いて本編の幕開けを飾るのは、イントロからGが派手に弾きまくられ(そもそもSHRAPNELからデビューを飾った人なのでテクニックは十分)、70年代HRばりの豪快さを伴って繰り出される①。アルバム全体としても所謂クラシック・ロックからの影響を伺わせる渋めのサウンドが展開されており、まさしく表題『MY MANY SIDES』を地で行く仕上がりだったという。
思ってた方向性と多少異なるとはいえ、ブルージーなフィーリング漂わす楽曲には元XYZのテリー・ルイス、再結成SWEETのフロントマンとして知られるジョー・レッタらの粘っこい熱唱がハマっていますし、またそれらの楽曲においてもジョシュの類まれなるメロディ・センス、一音入魂のGプレイはしっかりと健在。特にGを雄弁に歌わせるインスト・ナンバー⑩にゃ聴き惚れずにはいられませんて。そしてアルバム終盤にはちゃんと「これぞジョシュ・ラモス」という爽快メロハー⑪が用意されているので、聴後感も良好です。
予想は裏切るが期待は裏切らない1枚。でも、出来れば次はメロハー物をヨロシク。


ROBERT FLEISCHMAN - World in Your Eyes - The Crush ★★★ (2020-12-16 00:56:48)

ポジティブなフィーリングを振りまきながら
軽快に駆け抜けていく、これまたジョシュ・ラモス節全開の
爽快なロック・チューン。(ロバート・フライシュマンとの共作)
ニール・ショーン直系の歌心に溢れたGプレイにも耳を惹かれるものあり。


ROBERT FLEISCHMAN - World in Your Eyes - Heaven to Me ★★★ (2020-12-16 00:51:33)

JOURNEY躍進の切っ掛けとなった、彼らの初期の名曲の幾つかに
共作者として名を連ねているロバート・フライシュマンの
作曲術が冴える哀メロ・チューン。抒情的な導入部から
テンポアップして清涼感を増していく曲展開が秀逸。
要所で飛び出す往時を思わすハイトーンも良いアクセントになっています。


ROBERT FLEISCHMAN - World in Your Eyes - World in Your Eyes ★★★ (2020-12-16 00:45:18)

アルバムの幕開け役に相応しいハードエッジと
軽快な疾走感を伴ったOPナンバー。
サビメロの爽やかで伸びやかなメロディ展開は
まさしくジョシュ・ラモスの仕事ですなぁと。


ROBERT FLEISCHMAN - World in Your Eyes ★★★ (2020-12-14 23:51:03)

正式加入寸前でJOURNEYフロントマンの座をスティーヴ・ペリーにかっ攫われてしまったロバート・フライシュマン(Vo)。実力はありながらも運に恵まれず90年代は裏方稼業に活動の軸足を移していた彼氏が本家JOURNEY作品のリリースも手掛けているFRONTIERS RECORDSと契約を結び、20数年ぶりに発表した2ndソロ(プロデュースはケリー・ハンセンが担当)。
JOURNEYのヒット曲“お気に召すまま”や名曲“WINDS OF MARCH”に共作者として名を残す等、自身も確かな曲作りの才を有しているのに加えて、本作を語る上で外せないのがジョシュ・ラモス(G)の参戦ですよ。JOURNEYに入り損ねたシンガーと、ことあるごとにJOURNEY愛を詳らかに表明してきたギタリスト、この座組を実現させた時点で本作の勝ちは決まったと。事実、清涼感溢れるコーラスが秀逸なOPナンバー①、ハイトーンを活かした美しい導入から聞き惚れる②、爽やかにロックする③、暖かみが染み出すバラード④…と、頭から連打されるジョシュ印のメロハー・チューンの数々は、創作意欲を刺激された彼がノリノリで作曲作業に勤しんだことを伝えてくれる仕上がり。
若干かかり過ぎてしまったのか中盤で息切れが感じられなくもないのですが(それでも水準は軽くクリア)、最後は泣きのGが美味な秀曲⑪で〆られるので聴後感に影響なし。主役たるロバートのVoも、ヴィニー・ヴィンセントのバンドにいた頃はトニー・ハーネル系ハイトーン・シンガーとの印象でしたが、本作では中音域をメインにエモーショナルに歌い上げることに専念しており、それがまた楽曲の味わいを深く豊かなものにしてくれています。
ぼちぼち新作が聴きたいなぁ。それが難しいなら1st『PERFECT STRANGER』の国内盤をCD化してくれないものか。


RETURN - Return - Mr. President ★★★ (2020-12-11 00:23:58)

ピアノ好きとしては、物悲し気なピアノのイントロだけで
グッと掴まれてしまいます。寒色のヴァースから
暖色のコーラスへと転じるメロディの移調も絶妙です。
ハスキーなVoの声質もあって初期ミカエル・アンダーソンを
彷彿とさせる哀愁のメロハーの名曲。


RETURN - Return ★★★ (2020-12-09 23:24:18)

これまでリリースしたカタログを悉くヒット・チャート上位に送り込み、本国ノルウェーではトップ・バンドとして確固たる地位を築き上げたRETURN。5th『V』(’92年)を最後に活動を停止していた彼らの再始動となった'05年発表の6thアルバム。
前作『V』では、HR/HMで括ることに若干の躊躇を覚えなくもないアコースティカルなサウンドを聴かせた彼らですが、ブリットポップ風の疾走ナンバーまであったりする今作では(当時のシーンの趨勢もあってか)、だいぶHR色を回復させたサウンドを披露。かといって、安易にダーク&ヘヴィな流行におもねるような真似はせず、あくまでRETURNならではの悲哀に満ちたメロディの魅力はしっかりとキープされ続けています。
抒情味を増幅するハスキー・ボイスという、往時の個性がここでも健在なシンガーの歌唱が映える、重厚にして物憂げなOPナンバー①、雪の夜に灯された暖炉のような暖かみに満ちたバラード②、ポップにして爽やかな③という冒頭の3連打、あるいは憂いを帯びたGとハモンド・オルガンの共演が北欧メタル風味をぐっと盛り上げる⑪といった楽曲は、本作の質の高さを如実に示す逸品ですし、何より美しいピアノのイントロに導かれてスタートし、Gが奏でる泣きメロとコーラス・ワークに垣間見えるポップ・センスが巧みにブレンドされた⑥なんて、「これを聴くためにアルバムを買おう!」と思わずキャンペーンを張りたくなる、初期ミカエル・アンダーソンにも通じる感傷的な泣きに溢れた名曲ですよ。
ブランクを感じさせない良作だっただけに、これ以降、再び音沙汰がなくなってしまったのが勿体ないなぁと。


DORO - Force Majeure - Angels With Dirty Faces ★★★ (2020-12-08 23:48:48)

ハードロックのエッジを効かせて躍動する曲調に
ドロがパワフルに歌い上げるキャッチーなメロディが彩りを添える、
硬軟のバランスに優れたメロディック・ロック・ナンバー。
この路線であと1、2枚は聴いてみたかった。


DORO - Force Majeure ★★★ (2020-12-08 00:22:44)

ドロ・ペッシュというと、個人的には今でも「元WARLOCK」の肩書で語ってしまいがちなのですが、既にソロとしての活動期間の方が圧倒的に長い彼女にしてみりゃ「いつまで過去のこと引き摺ってんのさ」ってなもんじゃないでしょうか。
‘89年発表の本作は、マネージャーとのトラブルが原因でWARLOCKというバンド名が使用できなくなったため、初めて「DORO」名義でリリースされた記念すべき1枚で、レコーディングはニューヨークで行われ、バックに名の知れたアメリカ人ミュージシャンを起用(ドラマーはボブ・ロンディネリ)。いきなりPROCOL HARUMの名曲“青い影”のカヴァーで幕が上がる意表を突いた本編の構成等、このアルバムが「ドロ・ペッシュというソロ・アーティスト」の作品であることをガッツリ主張する仕上がりとなっています。
彼女の歌を主役に据え、欧州的な暗さを排してすっきり垢抜けたアレンジで聴かせるメロディック・ロックというスタイルを更に押し進めつつも、ジャケットはお馴染みジェフリー・ギレスピーの手によるものですし、収録曲の中にはジャーマン・メタルらしい力強さを伴って疾走する⑨⑪のようなスピード・ナンバーもあり。またそれらを歌うドロ姐さんの歌唱も女ロニー然とした力感溢れるもので、少なくともこの時点では出している音にしろルックスにしろ、90年代に発表されたソロ作品群ほどフェミニンな方向へは寄せられていません。特にHRのエッジとキャッチーなポップ・センスを巧みに融合させた⑤なんて、この時期(過渡期)ならではの魅力を宿した逸品ですよ。バラード⑥における歌唱も素晴らしい。
DOROの門出を祝うに相応しい充実作。


浜田麻里 - MAGICAL MYSTERY “MARI” 浜田麻里 LIVE ’85 - DON’T CHANGE YOUR MIND〜SE: SO LONG ★★★ (2020-12-03 23:55:21)

スタジオ・バージョンも十分凄いのですが、
この時期のライブ・バージョンもまた凄い。
エネルギーが奔流となって溢れ出すような
(それこそ喉手術前のクラウス・マイネばりに)
尻上がりにパワーを増していく歌いっぷりに圧倒されます。


MUNICIPAL WASTE - Hazardous Mutation - Terror Shark ★★★ (2020-12-02 01:01:41)

2ndアルバムにおいてメタル度数の高さでは
“UNLEASH THE BASTARD”とタメを張る
本編後半のハイライト・ナンバー。
ここでもダブルで録られたGの奏でるメロディが
硬質且つタイトに畳み掛ける曲調に
勇壮なアクセントを加えてくれています。


MUNICIPAL WASTE - Hazardous Mutation - Unleash the Bastards ★★★ (2020-12-02 00:54:13)

JUDAS PRIESTの『UNLEASHED IN THE EAST』を思わす
タイトル通り、2ndアルバムの中でも1、2を争う
メタル度数の高さで2分間を突っ走る名曲。
Gが奏でる勇壮なメロディも耳に残ります。


MUNICIPAL WASTE - Waste ’Em All - Waste ’Em All ★★★ (2020-11-27 00:38:35)

80年代映画から持ってきたようなイントロに始まり
畳み掛けるVo、前がかりで突進するリズムに鋭利なGリフ、
緩急を飲み込んだ曲展開、そして短いながらもGソロまで
フィーチュアされて、ランニングタイムは1分半ぽっきり。
初期の彼らの魅力を端的に表してくれるアルバム表題曲です。


WHEELS OF FIRE - Begin Again - For You ★★★ (2020-11-24 22:50:51)

ピアノ好きの身としては、ポロポロと奏でられる
ピアノの美しいイントロだけで期待感が高まってしまいますが
哀愁が溢れ出すサビメロの素晴らしさといい、情感迸るGソロといい、
その後のドラマティックな盛り上がりっぷりは
そうしたこちらの性癖(?)にしっかりと応えてくれるものです。


WHEELS OF FIRE - Begin Again ★★★ (2020-11-23 23:49:09)

現WHITESNAKEのミケーレ・ルッピに師事した実力派シンガー、ダヴィデ・バービエリ率いるイタリア出身の5人組HRバンドWHEELS OF FIREが'19年に発表した3rdアルバム。昨年末に帯・解説付の輸入盤がBICKEE MUSICから発売されていたので「年が明けたら買おう」と呑気に構えていたら、それから1~2か月足らずであっという間に廃盤になってしまい慌てましたよ。どう考えても早過ぎるのですが一体どうしたことか。
80年代風味満点の溌剌としたポップ・メタル・アルバムだった1st、より成熟しメロディアスになった2ndときて、本作で披露されているのはちょうど両作の中間ぐらいに位置するメロディック・ロック・サウンド。ポップな中にも哀愁がまぶされたメロディと、この手の音にお似合いの、ちょっと鼻にかかったハイトーンでエネルギッシュに歌いまくるVo、それにコンパクトにまとまった良ソロをテクニカルに繰り出すGにより華やかに彩られた本編は、ボーナストラック含めて捨て曲なし。前作から7年という長期間のブランクをものともしない、相変わらず卓越した曲作りのセンスが光るハイクオリティな仕上がりです。まぁダヴィデは活動休止期間中も多数のプロジェクトを掛け持ちしていたようなので、それも当然っちゃ当然なのですが…。中でもピアノのイントロからスタートするドラマティックなバラード⑤や、フックを満載にして疾走する⑨等は、今が80年代ならヒット・チャートを賑わしたっておかしくない本編のハイライト・ナンバーですよ。
過去2作の美味しい所取りとも言える充実作なので、WHEELS OF FIRE入門盤代わりに強くお薦めする1枚…って、もう廃盤か。願・再発。


HITTMAN - Vivas Machina - Mercy ★★★ (2020-11-19 23:47:35)

アルバムの締めに相応しく、豊富なアイデアをブッ込んで
ドラマティックに仕上げられた大作曲。
長尺をダレさせない場面転換多めの曲展開と、多彩な表現力で
それを支えるシンガーの見事な歌唱力に聞き惚れますね。


HITTMAN - Vivas Machina - Say a Prayer for Me ★★★ (2020-11-19 23:42:05)

曲名といい、曲調といい、BON JOVIを意識していることが
ビンビンに伝わってくるメロハー・チューンですが、
ここまで良い曲に仕上げられては文句を言う気も失せるというもの。
本家よりもメロディの湿り気は強めですし、シンガーの確かな歌唱力が
楽曲を歯応えのあるものにしてくれています。


HITTMAN - Vivas Machina ★★★ (2020-11-19 00:11:04)

復活作が評判を呼んでいるニューヨーク出身の5人組が、デビュー作から4年のブランクを経て、’92年にSPV/STEAMHAMMER RECORDSより発表した2ndアルバム。
前作はアメリカのバンドとは思えぬヨーロピアンな風情漂う正統派HMの名作でしたが、プロデューサーにEXTREMEとの仕事で知られるボブ・セント・ジョンを起用した今作では、曲によってはファンキーに跳ねるリズムや、明るくハジけるコーラス・ワークといった、まさしくEXTREMEっぽい要素を導入する等、音楽性が若干拡散。これを「意欲的」と評価するか、「散漫になってしまった」とガッカリするかは聴き手次第といったところでしょうか。
初めて聴いた当時は、印象に残る曲とそうでない曲がハッキリと分かれてしまっている点にテンションが上がりきらず、後者寄りの感想を抱いたりもしましたが、ただ、これまで以上に幅広い表現力を駆使して見事な歌唱を披露するダーク・ケネディのVoといい、よりテクニカルに逞しさを増した楽器陣の重厚な演奏といい、バンドがそのレベルアップの痕跡を着実に刻み込んでいる一作であることも疑う余地はありません。
初期BON JOVIを思わす哀愁のメロディアスHR③、QUEEN的なコーラス・ハーモニーが印象的なバラード④、プログレ・メタル的な凝ったアレンジで聴かせる⑥、仄かに土の匂いも薫る憂いを帯びた⑧、そしてシアトリカルな曲展開でもってアルバムを劇的に締め括る7分半の大作⑪辺りは、新境地を切り開かんとするHITTMANの意欲と、持ち前の曲作りのセンスが化学反応を起こした、本作ならではの名曲と言えるんじゃないかと。
1stや3rdを気に入った方なら、スルーするのは勿体ない1枚ですよ。


THREE MAN ARMY - Three Man Army Two - Irving ★★★ (2020-11-17 23:26:19)

どことなくYESの“HEART OF SUNRISE”を思い出したりもする
イントロのマシンガン・リフからしてもろにメタル。
荒れ狂うGに、受けて立つB、緩急の効いた曲展開…
楽器陣の丁々発止の絡みに圧倒されつつ聴き惚れる名曲です。


THREE MAN ARMY - Three Man Army Two - Polecat Woman ★★★ (2020-11-17 23:18:53)

豪快に刻まれるGリフに熱いシャウトといい、
HMのプロトタイプと呼びたくなるハード・ナンバー。
途中から曲の主導権を強引に奪うトニー・ニューマンの
派手なドラミングにも耳を奪われます。


THREE MAN ARMY - Three Man Army Two ★★★ (2020-11-17 01:03:51)

元祖HMギタリストというと真っ先にその名が思い浮かぶアーティストの一人、エイドリアン・ガーヴィッツ(G)が、アメリカからイギリスへ帰国後、兄弟のポール・ガーヴィッツ(B)と共に結成したバンドTHREE MAN ARMY、’72年発表の3rdアルバム。タイトルが『TWO』なのに3rdアルバムとはこれいかに。しかも『3』と名付けられた未発表曲集まで別にあるというのがややこしさに拍車を掛ける。
1stでは複数のセッション・ドラマーが起用されていましたが、今作では(前作同様)名手トニー・ニューマンのみ起用。その効果がてきめんに表れた、名曲“BUTTER QUEEN”に匹敵するメタリックなアグレッションを放射するOPナンバー①を始め、ジェフ・ベックとの活動等で知られるこの腕利きの存在は、サウンドの迫力底上げに大きく貢献してくれています。次曲以降も、ブルージーな泣きが迸る②、疾走感溢れる③、タイトル通りスペーシー且つドラマティックに盛り上がっていく④、HMスタイルの先取りというべきマシンガン・リフが刻み込まれるインスト・チューン⑤、ストリングスをフィーチュアしてしみじみと綴られる抒情バラード⑥、そこから間髪入れずにハードに展開する⑦等々、充実した楽曲がズラリ。
熱いエモーションが脈打つエイドリアンのVoとG、音数多めに暴れ回るトニーのDs、ファンキーな演奏でそこに寄り添うポールのBとが、躍動感に満ちたアンサンブルで奔放に畳み掛ける、前作以上にメリハリとダイナミズムの効いた名盤。
半世紀近く前の作品とは思えぬ、今聴いてもメタル魂にボッと火を点される内容だけに、これがバンドの最終作となってしまったのが残念至極。


RICHARD HARRIS - My Boy - Like Father Like Son ★★★ (2020-11-12 23:51:36)

リチャード・ハリスが作詞家のパートナー、
ジョン・ブルームリィと共作で書き下ろした楽曲。
中盤でテンポアップする躍動感溢れる曲調と、
ハリスの聴き手を包み込むような熱唱がマッチして
感動的でスケールの大きな盛り上がりを演出する名曲。
HRバンドがカヴァーしてもハマりそうです。


RICHARD HARRIS - My Boy ★★★ (2020-11-11 23:47:49)

『ワイルドギース』に『ジャガーノート』に『カサンドラクロス』…70年代イギリス製アクション映画には欠かせない俳優だった(晩年は『ハリーポッター』シリーズの初代ダンブルドア校長役で知られる)故リチャード・ハリス。プログレ・バンドのBEGGERS OPERAやドナ・サマー、グレン・キャンベルなんかもカヴァーした名曲“MACARTHUR PARK”を聴いてこの人のシンガーとしてのキャリアに興味を持ったところ、折よく過去のカタログがリイシューされたので、とりあえず購入したのが'71年発表の本3rdソロ・アルバム。
既成曲のカヴァーや書下ろしの新曲が入り混じる本作で聴けるサウンドは、もちろんHR/HMとは相当距離があるポピュラー・ミュージック。ただ、離婚により息子と離れ離れになってしまった父親の「我が子への想い」をコンセプトに据え、詩情豊かに綴られるストーリー仕立ての構成と、ハリスの包容力を感じさせるジェントリーな歌声が組み合わさることで、アルバムはプログレッシブ・ロック作品にも通じるドラマ性とメリハリを獲得。特に、哀愁に満ちたヴァースからサビにかけての劇的な曲展開が胸を打つ“PROPOSAL”、躍動感溢れるテンポ・チェンジが効果的な“LIKE FATHER, LIKE SON”や“THIS IS MY LIFE”、エルヴィス・プレスリーもカヴァーしたヒット・シングル“MY BOY”といった、ハリスのトム・ジョーンズばりの(それこそ『007』の主題歌を歌ったらハマリそうな)熱唱が炸裂する楽曲は、息苦しい程の盛り上がりを呈していて実に感動的ですよ。
右から左へは聞き流させない、ROBBY VALENTINE、MEATLOAFあたりがイケル方なら間違いなく楽しめる1枚ではないでしょうか。


CHRISTOPHER LEE - Charlemagne: The Omens of Death - Massacre of the Saxons ★★★ (2020-11-10 23:24:19)

アルバムで最もアグレッシブな疾走ナンバー。
カール大帝役を演じるクリストファー・リーの
威厳を湛えた歌声の素晴らしさは勿論のこと、
対話形式でデュエットするゲストVoもなかなかの歌いっぷり。
クレジットがないので誰が歌っているのか判然としないのが残念。


CHRISTOPHER LEE - Charlemagne: The Omens of Death ★★★ (2020-11-10 00:04:37)

ドラキュラ俳優として世界的にブレイクし、近年は『スターウォーズ』『ロード・オブ・ザ・リング』といったヒット作で重厚な存在感を放っていた名優クリストファー・リー。カール大帝の血筋に連なる名門貴族の家系に生まれ、堪能な語学能力を買われて大戦中は特殊部隊に出向、1939年にはフランスで行われたギロチンによる最後の公開処刑を目撃する等、映画以上に波乱万丈な生涯を送った御大が'13年に発表した2枚目のHMソロ・アルバム。
仕切りはカイリー・ミノーグ等との仕事で知られるマルコ・サビューで、「ヨーロッパの父」とも言われるカール大帝の生涯をテーマに据えたコンセプト作なのも前作同様(いくつかの楽曲の編曲はJUDAS PRIESTのリッチー・フォークナーが担当しています)。MANOWAR、RHAPSODYとの共演をきっかけにHR/HM界隈と縁を結んだ御仁ゆえ、本作で披露されているのもドラマティックなシンフォニック・メタルであり、そこに持ち前の美声を活かした朗々たる歌い上げから厳粛な語りまで、齢90を越えるご老体とは思えぬリー翁の、カール大帝を憑依させたような張りと威厳に満ちた熱唱が乗っかるという塩梅。
まぁいくら名優といえども本業のシンガーではないので、良く言えば泰然自若、ぶっちゃけリズムに乗り切れていない感もあるVoに当初やや違和感を覚えたりもしましたが、なにしろ「声」の圧と説得力が半端ないので、繰り返し聴き込むうちに強引にねじ伏せられてしまうという。攻撃的な曲調に乗せてゲストVoと白熱の歌合戦を繰り広げる④を筆頭に、聴いているだけで思わず平伏したくなってしまう堂々たるパフォーマンスはやはり圧巻です。
メタル・シンガーとしては本作が最終作となってしまったことが残念でなりません。


SWEET - Level Headed - Love Is Like Oxygen (extended version) ★★★ (2020-11-05 23:17:17)

邦題は“愛が命”。
7分に及ぶ長尺の中で、次々に表情を変えていく
プログレッシブかつドラマティックな曲展開を有しつつも、
一貫して甘くポップなメロディが楽曲をリードするため
小難しい印象は一切なし。英米チャートでTOP10に食い込む
ヒット・シングルとなったのも納得の名曲です。


SWEET - Level Headed - Fountain ★★★ (2020-11-05 23:09:25)

邦題は“ふたりの誓い”
哀切を湛えて歌われるメロディと、それを引き立てる美麗な
ハーモニー&アコースティック・ギター、そしてエンディングを
盛り上げるハープシコードのクラシカルな響きが辛抱堪らない名曲です。


SWEET - Level Headed ★★★ (2020-11-05 00:24:18)

所属レーベルをRCAからポリドールへと替えたSWEETが'78年に発表した、多分6、7枚目ぐらい?のフル・アルバム。英米のチャートにおいてトップ10に食い込む好成績を残したヒット・シングル“愛が命”を収録し、これを最後に中心メンバーのブライアン・コノリーが脱退して不動の4人組の一角が崩れてしまい、以降は大きなヒットに恵まれぬまま解散へと至ったことから、一般的にSWEET全盛期最後の作品とされる1枚です。
彼らのアルバムは飛び飛びでしか所持していないのですが、本作では『荒廃の街角』(’74年)で開眼したHR路線から趣きを変えて、シャラシャラと乾いた音色で奏でられるアコギの使用比率を上げ、アメリカでの更なる成功を見据えたコマーシャル路線へと方向を軌道修正。そのことはカリフォルニアへの憧れが爽やかに歌い上げられるウェスト/コースト風味のOPナンバー“CALOFORNIA NIGHTS”が端的に物語る通り。
但し安易に売れ線に走るのではなく、持ち前のキャッチーなメロディ・センスは存分に活かしつつ、アレンジや曲展開の練り上げに更に注力した結果、本作からはBOSTON、KANSAS、STYXといった同時期にヒット・チャートを賑わせたバンドに通じるプログレ・ハード風味も立ち昇るようになりました。その好例が、クラシカルなチェンバロが効果的なアクセントとなっている名バラード“ふたりの誓い”や、スペーシーにアルバムを締め括る“永遠の詩”~“AIR ON ’A’ TAPE LOOP”のメドレーであり、そして7分近くに及ぶ長尺の中で曲調が次々に表情を変えていくドラマティックな大ヒット・ナンバー“愛が命”であったと。
SWEETは名曲が多い!と今更ながら実感させられた1枚であります。


HYBRID ICE - Hybrid Ice - Magdelene ★★★ (2020-11-04 00:47:42)

BOSTONがカヴァーしたことで、HYBRID ICEの再評価の機運を高める
きっかけともなったSTYX+BOSTONといった趣きも感じられるバラード。
かなり異なるアレンジが施されたBOSTONバージョンと聴き比べてみるのも一興かと。


HYBRID ICE - Hybrid Ice ★★★ (2020-11-03 00:28:23)

結成は60年代まで遡るという「超」の付くベテラン・バンドが、苦節十数年、ようやく'82年に自主制作でリリースした1stアルバム。
長らくHR/HMシーンの片隅に埋もれてしまっていたところ、トム・ショルツのお眼鏡に適いBOSTONが4th『WALK ON』において、本作収録曲“MAGDELENE”をカヴァーした辺りからマニアの間で注目度が高まり、’00年に入ってESCAPE MUSIC(日本盤はプログレ系レーベルとして知られるマーキー/ベル・アンティーク)からCDとしてリイシューされる運びとなりました。
“移民の歌”っぽいGリフと緊張感を湛えたKeyリフが交錯するOPナンバー①こそプログレ・メタル的な感触ですが、CD化に際して追加収録されたこの曲は本編においてはどちらかと言えば例外的存在。次曲以降は、デニス・デ・ヤング似の張りのあるハイトーンVoや、メンバー全員が歌える強みを生かした分厚いボーカル・ハーモニーはSTYXから、ギターの重ね方はBOSTONから、構築美を感じさせる曲展開はKANSASから…といった具合に、同時期にヒット・チャートを賑わせたアメリカン・プログレ・ハード勢からの影響を伺わせるキャッチーで親しみ易いサウンドが全編に亘って繰り広げられています。
甘くポップなSTYX調バラード③、初期BOSTON風味が薫る④、大仰にならない程度の構築感を宿した⑦、哀愁を帯びて本編を締め括るバラード⑪等、聴き応え十分の楽曲が並び、マニアからお宝盤扱いされるのも納得の仕上がりです。
彼らがリリースしている他のアルバムも聴いてみたいが、もう廃盤なんですよね。


3 (Emerson, Berry & Palmer) - ...To the Power of Three - Runaway ★★★ (2020-10-30 00:57:43)

一度聴けば覚えてしまえそうなキャッチーなコーラスが
印象的なハードポップ・チューン。当然ロバート・ベリーのペンによる。
派手に個性を主張しつつも、軽快に弾む楽曲を高揚感を湛えて盛り上げる
間奏部におけるキース・エマーソンの仕事ぶりにも花丸を差し上げたくなります。


3 (Emerson, Berry & Palmer) - ...To the Power of Three - Chains ★★★ (2020-10-30 00:48:39)

ロバート・ベリーの秀逸なメロディ・センスが活かされた
キャッチーなハードポップ・ナンバー。プログレっぽさを求めるリスナーには
噴飯モノかもしれませんが、ここまで開きなってくれればいっそ清々しいというもの。


3 (Emerson, Berry & Palmer) - ...To the Power of Three ★★★ (2020-10-29 01:12:30)

EMERSON, LAKE & POWELLがアルバム1枚きりで瓦解。グレッグ・レイクとヨリを戻して目論んだEL&P復活もグレッグの再離脱で頓挫してしまったキース・エマーソン(Key)とカール・パーマー(Ds)が、代打ちとしてGTRのロバート・ベリー(Vo、B、G)をメンバーに加え、EB&Pならぬ「3」名義で'88年に残した唯一のアルバムがこちら。
かなりコマーシャルな方向へ寄せた作風ゆえ、廃盤のCDは再発もかからず長いこと黙殺状態が続く不遇な1枚ですが、個人的にはバリバリ売れ線を意識している割に70年代に刻んだ偉大な足跡や、あるいはミュージシャンとしての拘りが足枷となって、ポップになりきれず、かといってプログレッシブ・ロック物としても生煮えな仕上がりとなってしまった作品よりも、本作の方が聴き直す頻度も好感度も高いぐらいですよ。
特に、この後もALLIANCE等で優れたメロディメイカーとしての才能を発揮するロバート・ベリーの貢献は大きかったようで、サビメロが実にキャッチーな③とか甘くポップな⑥辺りは、彼の作曲力を得て開き直ったバンドの姿勢が「吉」と出た名曲じゃないでしょうか。
まぁキース・エマーソンのKeyは脇役に甘んじたりはせず、相変わらずリード楽器として前へ前へ出張ってきているのですが、これはこれでありがちなAOR/産業ロックと一線を画すための重要な個性となっていますので無問題。
個人的には再評価を望みたい1枚です。ちなみにキース・エマーソン死去後、ロバート・ベリーは彼とのコラボ曲等を取りまとめたアルバム『THE RULES HAVE CHANGED』を「3.2」名義でリリースしていますので、よろしければそちらも是非。


TOKYO BLADE - Dark Revolution - See You Down in Hell ★★★ (2020-10-28 00:44:11)

鈍色のリフを刻み、憂い湛えたメロディを奏でるG、
早過ぎず遅すぎないリズムが駆け抜け、
その上で煮え切らない声質のVoが翳りを帯びたメロディを拾う…と
濃厚にNWOBHMの息吹を現代に伝えてくれる逸品です。


TOKYO BLADE - Dark Revolution ★★ (2020-10-27 01:16:23)

TOKYO BLADEが’20年に新作をリリースしたとの情報を聞きつけ、「アルバムは『THOUSAND MEN STRONG』(’11年)以来、久々だなぁ」と遅ればせながら購入してみたところ、国内盤の解説を読んでビックリ。何と既に’18年に『THOUSAND~』の次作となるアルバム『UNBROKEN』が発表されている上(しかも当サイトにおいて失恋船長さんがレビュー済み)、いつの間にかデビュー作で歌っていた初代シンガーのアラン・マーシュがバンドに出戻っているじゃありませんか。全然気が付いていませんでしたよ。
…と、ちょっとした浦島太郎状態を味わいつつ聴き始めた本作でしたが、アランの歌声は往年の個性をしっかりキープ・オン・ロッキン。若さに溢れていた前任Voに比べると流石にパワーでは劣る感が否めないものの、その分、力んで歌っても肺から空気が漏れていくようないなたさが如何にもNWOBHMシンガー然とした味わいで(誉めてます)、郷愁をそそられずにはいられないという。
その彼が拾っていく煮え切らない歌メロと、曇天模様のリフを刻み、湿ったメロディを奏でる2本のGを両軸に牽引される本編は、復活後なら例えば“LUNCH-CASE”に匹敵するような強力なキメ曲が見当たらないため多少地味な印象がつきまといますが、それでも雄々しくライブ映えしそうな⑤や、ツインGの勇壮なハモリが耳を捉える⑧あたりを始め、聴くほどに沁みて来る滋味深い楽曲を多数収録。ファンが最も支持する初期2作の路線は本作においてもきっちりと継承されています。
『UNBROKEN』も聴かないわけにはいきますまい。


LIONVILLE - Magic is Alive - I'll Never Give My Heart Away ★★★ (2020-10-23 00:31:14)

冷ややかな哀感を宿したメロディアスHRチューンで、
個人的にはアルバムのハイライト。
零れ落ちるように奏でられるピアノの流麗な調べが
楽曲の絶妙なアクセントとなっています。


LIONVILLE - Magic is Alive - If You Don't Know Me ★★★ (2020-10-23 00:27:17)

心地良く躍動するハードポップ・ナンバー。
仄かな哀愁が薫るフックに富むサビメロが絶品で、
豊かに湧き出すステファノ・ライオネッティの曲作りの
アイデアの泉が、まだまだ枯れる気配がまったくないことに
感心させられますよ、


LIONVILLE - Magic is Alive ★★★ (2020-10-21 22:59:42)

ステファノ・ライオネッティ(G)率いるLIONVILLが、日本では所属先をキングからマーキー/アヴァロンに変えて'20年に発表した4枚目のアルバム。
イタリア系ミュージシャンを中心とする一大メロハー企画SHINIG LINEから派生したため、当初は「豪華なゲスト・ミュージシャンの顔触れが目を惹くメロハー・プロジェクト」的な立ち位置でしたが、ライブ活動を見据えて参加メンバーを固定する等、作を重ねる毎にバンド感が強化。これまでステファノがGと兼任していたKeyパートには専任奏者を加え、曲作りも助っ人は迎えずステファノ自身が一手に担う形で制作された本作においても、そうした方向性が更に推進されています。
となるとぼちぼち収録曲のクオリティ低下が懸念され出す頃合いなれど、すでに4作目を数えてもそういった兆候がまるで見受けられないのだから大したもの。また曲作りにおいてバンド感の重視とライブ映えを意図した場合、ともすればメロディが蔑ろにされることが多々あるのですが、本作収録曲は相変わらず強力なフックを有しており、特にそれは、適度にロックのエッジを効かせて躍動する⑤、キャッチーなサビメロが印象的な⑥、ラーズ・サフサンド(Vo)の伸びやかな歌声が楽曲に備わった爽快感を倍加させてくれている⑦、冷ややかに奏でられる流麗なピアノの調べがアクセントになっている⑨等々、アルバムのハイライト級の逸品が連続する本編中盤以降に顕著に表れています。
前作を聴いた時はちょっぴりマンネリ化を懸念したのですが、それが完全に杞憂であったことを証明する快作。


ANVIL - Speed of Sound - No Evil ★★★ (2020-10-20 23:58:12)

ロブ・ライナーの荒ぶるドラミングが主役を張るスピード・ナンバー。
ブラスト・ビートまで飛び出すハッスルぶりにたまげますが、
単に奇をてらっただけでなく、暴風の如く吹き荒れるアグレッシブな楽曲は
アルバムのハイライトに推したいぐらいのカッコ良さを誇っています。


ANVIL - Speed of Sound ★★★ (2020-10-19 23:53:19)

ドキュメンタリー映画で再ブレイクの切っ掛けを掴んだANVIL。それは単に幸運が転がり込んできたのではなく、メタル冬の時代である90年代にも挫けず、また「お、まだやってんかい」ってな無神経な輩(俺ですが)の言葉にも心を折られることなく、ヨーロッパに活路を見い出して地道にアルバム・リリースとツアーを重ねた時期の踏ん張りがあったればこそ。
本作はミュージシャン稼業だけでは家族を養っていけないので、それこそリップス(Vo、G)が給食のおじさんとしても糊口を凌いでいた時期(’99年)に発表された9thアルバム。ここに託されているのは、ダンプカーが屋台や通行人を蹴散らしながら爆走するアクション映画のカーチェイス・シーンを彷彿とさせるパワー・メタルで、ぶっちゃけ『SPEED OF SOUND』という直球極まりないタイトルと、翼とジェット・エンジンを装着した金床(ANVIL)が空飛んでるという底抜けにゴキゲンなアートワークが全てを物語る通りの、ヒネリも何もないサウンドです。良い意味で。
バラードには目もくれず、終始肩をいからせまくりの楽曲からは、80年代ANVILサウンドの魅力の一端を担っていた「メロディのキャッチーさ」が薄れてしまっていて、そのせいかリップスのVoやG以上に、ロブ・ライナーの猛烈なドラミングの方が目立っていているという。特にブラスト・ビートまで飛び出す⑤(キャプテンの解説によれば元ネタはTERRORIZERらしいのですが)は本編のハイライト的インパクトを放っていますよ。
「夢を諦めない」ド根性とエネルギーが濃厚に渦巻くパワフル極まりない1枚。迂闊に手を出すと胃もたれ必至なので胃腸薬片手にどうぞ。


PANTERA - Before We Were Cowboys - Power Metal (Live) ★★★ (2020-10-16 00:06:14)

4thアルバムのタイトル・トラックで
メタリックなGリフが印象的な正統派パワーメタル・チューン。
スタジオ版もカッコイイのですが、ライブで聴くと
血管がブチきれそうなフィルのハイテンションなVoと
楽器隊のタイトでアグレッシブな演奏が相俟って迫力がマシマシ。
それこそ『PAINKILLER』の世界に本家より先に到達してしまっているような
印象さえ受けるぐらいのものでして。


PANTERA - Before We Were Cowboys ★★★ (2020-10-15 00:51:53)

テリー・グレイズの後任シンガーにフィル・アンセルモを加えたPANTERAが、’88年12月に地元テキサス州ダラスのザ・ベースメント・クラブで行ったライブの模様を収録した実況録音盤が、今頃になってひょっこりリリース。嬉しいじゃありませんか。
セットリストの大半を占めるのは、当時発表されたばかりの4thアルバムにして、1st~3rdともども公式ディスコグラフィーからは抹消済の不遇の名盤『POWER METAL』収録曲。代表作『俗悪』において、その後のヘヴィ・ミュージックの在り方を根底から覆してしまったPANTERAですが、この頃はJUDAS PRIESTからの濃厚な影響を滲ませる正統派パワー・メタルを実践しており、そこに全盛期のロブ・ハルフォードもかくやというハイピッチ・スクリームが鼓膜をつんざくフィルのVo、金属質なリフを刻み鮮烈なソロを焼き付かせるダイムバック・ダレルのG、硬質且つタイトな音塊を次々打ち出すヴィニー・ポール&レックス・ブラウンの鉄壁のリズム隊という、90年代以降のPANTERAの片鱗を早くもチラ見させるメンバーの強靭なライブ・パフォーマンスが組み合わさった結果、場面によっては図らずも、本家JUDAS PRIESTが後に発表する名作『PAINKILLER』の領域へと一足お先に彼らが到達してしまっている(ように思える)ことに驚かされますよ。
これでもし、この時期のPANTERAが“PAINKILLER”的な代表曲を生み出し得ていたらば、その後のHR/HM史は変わっていたんじゃなかろうか?と、思わず益体もない妄想をさせられてしまうライブ盤でありました。
いつか1st~4thも公式に再発してくれないもんかなぁ。


HEATHEN - Empire of the Blind - A Fine Red Mist ★★★ (2020-10-13 23:47:40)

アルバム後半を引き締めるインスト・ナンバー。
当初はインスト曲だと全く気付いていなかったのですが、
というのも2本のGが劇的且つメロディックに曲中を駆け巡って
Voの代わりを十分以上に果たしてくれているから。
クライマックスへ向かってぐいぐいテンションを高めていく
2本のGの絡みに聞き惚れます。


HEATHEN - Empire of the Blind ★★★ (2020-10-12 23:21:26)

復活作となった前作『THE EVOLUSION OF CHAOS』から実に10年のブランクを経て、'20年に発表されたHEATHENの最新アルバム。(通算4作目)
ここまで間が空いてしまったのは、バンドがのんべんだらりと食っちゃ寝していたから…なわけはなく、質量共に80年代を上回るツアーに忙殺されたのと、ジェフ・ハンネマンの急死により空席となったSLAYERのギタリストの座を急遽EXODUSのゲイリー・ホルトが埋めることとなり、その代わりに空席となってしまったEXODUSのギタリストの座をリー・アルタスが埋めるという、スラッシュ・メタル界隈の玉突き衝突的な人材交流の影響でアルバム作りに取り組む時間が作れなかったためだとか。
そうした事情ゆえ今回リーは曲作りにタッチしておらず、代わりに作曲を一手に担ったのは前作からバンドに参加したクラーゲン・ラム(G)。となると出来栄えに関して若干の不安を覚えなくもなかったわけですが、それも泣きのGを配したイントロから猛然と突撃に転じるOPナンバー①②の血沸き肉躍る流れを聴くまでの話。前作同様、本作においても、デヴィッド・ホワイトのデビュー作とは隔世の感を覚える見事な歌唱が堪能できるHEATHEN流バラード⑧や、疾走するツインGの劇的且つ濃密な絡みにグッとくる⑩等、クラーゲンはその作曲センスを立派に証明する優れた楽曲を提供してくれています。
敢えて指摘すると、全体を覆うダークな雰囲気と、前作“DYYING SEASON”に匹敵するようなキメ曲が本編に見当たらないことが相俟って、起伏の乏しさが気にならなくもないかなと。まぁこんなん小姑スラッシャーによる「良く出来ているからこその粗探し」みたいなもんですよ。


LIVING DEATH - Worlds Neuroses - Bastard (At the Bus Stop) ★★ (2020-10-09 01:00:13)

アメリカのクロスオーバー系スラッシュ・バンドが演りそうな曲調に、
正直「LIVING DEATHらしさ」は薄めと言わざるを得ないのですが
ただ、1曲のスラッシュ・メタル・ナンバーとして評価した場合、
頭を振りたくなるノリの良さと炸裂感を伴う曲調は単純にカッコイイですよ、これが。


LIVING DEATH - Worlds Neuroses ★★ (2020-10-08 00:44:00)

LIVING DEATHが、引き続きプロデューサーにラルフ・ヒューベルトを迎えて制作、AAARRG RECORDSから’88年に発表した4thアルバム。
布陣は前作と同じなのに一聴して明らかな音楽性の変化に加え、発表後にケルヒ兄弟とそれ以外のメンバーがバンド名の権利を巡って法廷闘争を繰り広げた泥沼の分裂劇の悪印象とが相俟って、今に至るも芳しくない評価に晒され続けている本作。斯くいう自分も初めて聴いた当時は、妙に整理された音作りといい、迸る狂気を抑え気味に中途半端に歌おうとするトーステン“トト”ベルグマンのVoといい、ジャーマン・スラッシュ・メタル史に残る傑作だった前作『PROTECTED FROM REALITY』に比べ、ヨーロッパ的ダークネスや聴き手の神経を逆撫でするようなトンガリ具合が大幅に減退してしまったサウンドには、圧倒的「コレジャナイ」感を覚えたクチなのですが。
とはいえ、発表から30年以上が経過して最早こちらも「ジャーマン・スラッシュ斯くあるべし!」的な面倒臭い拘りが薄れて久しい昨今。フラットな気持ちで付き合ってみると、これが案外楽しめてしまうんですよ。本作がスラッシュ・メタル・アルバムであることは間違いないですし、一緒にシャウトせずにはいられないキャッチーなギャング・コーラスを伴って突っ走る①や、不穏にかきむしられるGソロが印象的な③、クロスオーバー・スラッシュ的な炸裂感をもって畳み掛ける⑦辺りは、改めて聴き直すことでそのカッコ良さを再発見した楽曲です。
前評判を耳にして敬遠されている方も、案外聴いてみたら気に入る1枚かもしれませんよ。


MASSACRE - From Beyond - Corpsegrinder ★★★ (2020-10-06 23:42:38)

オリジナルは初期DEATHのデモテープ『REIGN OF TERROR』収録。
ただしそっちで演奏しているのもリック・ロッツとカム・リーなので
カヴァーというよりはリメイクと言うべきか。
のたうつように刻まれるGリフと重低音Voがド直球のデス・メタルっぽさを
醸し出す一方、一緒に叫びたくなるコーラスは案外キャッチー。
疾走感もスラッシュ・メタルに根差したもので、頭振るのに持ってこいという。


MASSACRE - From Beyond ★★★ (2020-10-05 23:27:34)

故チャック・シュルデナーとの関連で度々名前を耳にするものの、実際に音まで聴いたことがあるDEATHファンはあまり多くないという、フロリダの古参デス・メタル・バンドMASSACREが'91年にEARACHE RECORDSから発表した1stアルバム。
製作時の布陣は、MASSACREの看板を背負い続けるリック・ロッツ(G)、デス声のパイオニアの一人であるカム・リー(Vo)、現OBITUARYのテリー・バトラー(B)、一時期名古屋のDISK HEAVENで目撃情報が相次いだ(店員として働いていたらしい)ビル・アンドリュース(Ds)という、全員が初期DEATH、ないしその前身であるMANTASに関わったメンバーばかり。なので出している音も「チャックのいないDEATH」といった趣きのデス・メタル・サウンド…と書くと退屈そうに思われるかもしれまんせんが、さに非ず。
コリン・リチャードソンの手による低音の効いた音作りや、怨嗟に塗れた咆哮、かさぶたを剥がした傷口の如きジュクジュクのリフを刻み、SLAYER直系の鼓膜に突き刺さるソロも繰り出すG、そしてブラストは用いず、飽くまでスラッシュ・メタルに根差した乾いたビートでリズム隊が突っ走る、今となっては「母さん、僕のあの帽子、どうしたんでしょうね」と懐かしさすら覚えるオールドスクールなデス・メタルっぷりに胸トキメキます。
中には意表を突いて大仰なオーケストレーションが導入された実験的――というほど小難しくはないが――な楽曲もあったりしますが、やはり本作のハイライトはストレートに突っ走る⑩(初期DEATHの名曲のリメイク)ではないかと。
再発盤は'92年発表のEP『『INHUMAN CONDITION』も収録されていてお得ですよ。


HELL FREEZES OVER - Hellraiser - The Last Frontier ★★★ (2020-10-01 23:42:44)

忙しなく刻まれるGリフがRIOTの名曲“WARRIOR”を思わせる疾走ナンバー。
アルバムにおいて印象に残る“HELLRASIER”“BURN YOUR LIFE”“OVERWHELM”
といった楽曲がEPやデモCDで既出だったのに対し、この曲はまっさらな新曲。
それでこのレベルのカッコ良さなのですから、バンドの地力の高さが伺えるってもんです。


HELL FREEZES OVER - Hellraiser ★★★ (2020-10-01 01:32:09)

看板シンガーの離脱でデビューEPのレコーディング作業やり直しを余儀なくされたかと思えば、記念すべきこの1stフル・アルバム(’20年)のリリース時期もコロナ禍の真っ只中と重なってしまったりと、タイミングに恵まれない印象がつきまとうHELL FREEZES OVER。しかし本作の内容はそうしたモヤモヤを吹っ飛ばすに十分な覇気が満ちています。
RAVENの名物ドラマー、ワッコ兄さんライクなキャラクターが描かれたヘタウマ・ジャケットやラフなエッジを残したプロダクションに加えて、耳をつんざくハイピッチVo、乾いた音色で荒々しく刻まれるGリフ、押せ押せで突き進む直線的なリズムが物語る通り、ここに託されているのは初期METALLICA、RAVEN、EXCITER等々、NWOBHMをやがてスラッシュ・メタルの領域へと押し進めた80年代初頭のスピード・メタル勢を彷彿とさせるサウンド。それでいて懐古的なニュアンスよりも、前のめりなイキの良さ、炸裂感の方が遥かに勝っている辺りが新人バンドならではじゃないでしょうか。
ついでに言うと、デモCDにも収録されていたシャウト一閃から走り始める名曲①、最速の爆走ナンバー⑤、刻んで刻みまくる代表曲⑧を筆頭に、全編をアッパー・テンションな疾走曲で固めつつ、ノリ良く跳ねる②、GリフがRIOTのアンセム“WARRIOR”を思わせる⑥、IRON MAIDENばりに組み上げられたインストの大作⑩といった楽曲をその合間に配して、全体の流れが単調にならぬようダイナミズムの演出にも気を払う等、1stにして既にアルバム作りに余裕さえ伺わせてくれる辺りも現代っ子バンドだなぁと。
期待していた連中が期待通りの作品を提示してくれた、まさに拍手喝采モノの1枚です。


PHANTOM - Phantom - Wolves at the Door ★★★ (2020-09-30 00:01:06)

イントロの堂々たるシャウト一発で場を攫う
ファルコンのハイトーンVoが強力ですが、
光沢を感じさせるGリフと重厚なリズムが
パワフルに押し出してくる楽曲自体がこれまたカッコイイ。
パワー・メタル化したJUDAS PRIESTといった趣きの名曲です。


PHANTOM - Phantom ★★ (2020-09-28 23:44:15)

念願叶って'87年に1st『DEAD OR ALIVE』でNEW RENAISSANCE REORDSからデビューを飾るも、(案の定と言うべきか)レーベル側は何のケアもしてくれず、無為に時間のみが経過。その間バンドは殆ど解散状態にあったようですが、残されたファルコン・エディ(Vo)とニール・サンデル(G)はデモテープ片手に新たなレコード会社探しに奔走。90年代に入ってようやくドイツのSHARK RECORDSとディールを成立させ陣容も整えると、'91年に本2ndアルバムを発表しました。
制作期間が必要以上に長引くと、しっかり煮詰まった傑作か、作り手の迷いを伺わせる内容かのどちらかに極端に振れることが多い気がするのですが、相変わらず正統派以外の何者でもないサウンドを追求しつつも、曲によっては明るいノリを伴い、そのせいかメロディにも少々フックを欠く楽曲がチラホラ見受けられる本作は、バンドの試行錯誤の跡がクッキリと顔を覗かせる、どちらかと言えば後者寄りの仕上がりかなぁと。
ただ、レーベルを替えたことで音質は確実に向上を遂げ、鮮烈なインパクトを放つファルコンのハイトーンVoも益々力強さを増しています。両者の迫力を組み合わせてパワフルに疾走するOPナンバー①なんて、JUDAS PRIEST直系パワー・メタルの旨みがギュッと凝縮された名曲じゃないですか。(後半を引き締めるアグレッシブな⑪もなかなかの出来栄え)
本作発表後もバンドを取り巻く状況は好転せず、オリジナル・メンバーのニールまでも去ってしまうこととなるPHANTOMでしたが、そこで一人残ったファルコンが踏ん張り、力作『CYBERCHRIST』で気を吐くことなるという。


MICHAEL HARRIS - Distorted Views - Blue Tokyo ★★★ (2020-09-24 23:41:06)

ブルージーな曲調ながら泥臭さはなく、
タイトル通り首都高ドライブのお供なんぞに
ハマリそうな洗練された哀愁が漂ってくる逸品。
一気にエモーションが高まる、中間部の
スローダウン・パートにグッときます。


MICHAEL HARRIS - Distorted Views ★★★ (2020-09-24 01:21:12)

デイヴィッド・T・チャステインの秘蔵っ子で、日本でもマニアから注目を集めたメロディアスHRバンドARCH RIVALの中心メンバーでもあったギタリスト、マイケル・ハリス。ファースト・コンタクトとなった名曲“MIND OR HEART”におけるこの人の泣きのギターには感銘を受けたものの、その後の活動までは積極的にフォローしていなかったので、'99年にマーキー/アヴァロンから、3枚目となる本ソロ・アルバムをリリースしていたことには全く気が付いていませんでした。リリースからしばらく経って中古ショップでアルバムに目が留まり、収録曲の中に“BLUE TOKYO”なる非常に食指をそそられる曲名を見つけてしまったので思わず購入。したらば個人的に主食ではないインスト作品ながらも、これが聴き手を飽きさせない好盤に仕上がっていたのだから嬉しいじゃありませんか。
嫌味にならないテクニックと、確かな表現力を駆使して奏でられるのは、メタルからアコギによる小品、クラシック、ジャズにプログレ、ブルーズまで様々なジャンルを横断しつつ、己のルーツを詳らかにするような多彩なサウンド。但しいずれの楽曲も琴線に触れるキャッチネスと哀愁を宿したメロディに彩られており、Gプレイと曲作りの両面においてマイケル・ハリスというミュージシャンの円熟味がじわっと滲み出してくるという塩梅。
スリリングな疾走チューンやクラシカルなナンバーも勿論カッコイイのですが、やはりハイライトは本作のお目当てでもあった“BLUE TOKYO”ですよ。都会の哀愁をブルージーに伝えてくれるこの名曲における情感篭ったGプレイにはグッとくるものあり。
「話のネタになれば」程度の軽い気持ちで買ったら、お釣りが来るレベルの当たり作品だった1枚です。


AT WAR - Ordered to Kill - Rapechase ★★★ (2020-09-22 23:14:46)

濁声Voと刻みの細かいGリフを載せて埃っぽく一心不乱の突撃する
アルバムでも1、2を争うカッコ良さを有するスラッシュ・ナンバー。
このレーベルには付きものの問題とは言え、折角のリフの鋭さや
リズムの疾走感をスポイルする薄っぺらな音質が残念極まりない。


AT WAR - Ordered to Kill ★★★ (2020-09-22 00:16:25)

ヴァージニア州出身のトリオ・スラッシャーAT WAR、'86年発表の1stアルバム。
「うんこメタル製造工場」だの「ポンコツ・バンド梁山泊」だのと散々な悪評を囲う一方、時折ギラリと個性が光るバンドを世に送り出したりもするので油断がならなかったインディーズNEW RENAISSANCE RECORDS。非常にクセの強い同レーベルのカタログの中にあって、本作は「当たり」に分類されてしかるべき1枚ではないかと。
トリオ編成に加えて、ガンベルトと銃器で武装したメンバーのジャケ写や、戦争をテーマに埃っぽく突っ走る楽曲からも明らかな通り、バンドが聴かせてくれるのはMOTORHEADを更にハードコア化させたようなスラッシュ・メタル(実際、MOTORHEADの名曲“THE HAMMER”のカヴァーも収録)。恐ろしく抜けの悪いプロダクションが、折角の演奏のキレと本来サウンドが醸し出すべきスピード感をスポイルしまくっていますが、このレーベルに音質について文句言っても詮無きこと。そこはグッと過保護な気持ちで楽曲のみに意識を集中して頂くと、レミー~クロノスの系譜に連なる咆哮型Voを伴い、ドカドカと突進するブルドーザー・スラッシュのカッコ良さが徐々に浮かび上がってくるのではないかと。特にテンション高く畳み込む④と、映画『イルザ ナチ女収容所/悪魔の生体実験』へのトリビュート・ソング⑦の迫力はなかなかのもんですよ。
ぶっちゃけ、スラッシュ・メタル・アルバムとしての完成度は次作の方が上なのですが、こちとら何故か不思議と本作ばかりを繰り返し聴いてしまうという、底は浅いが奥は深いNEW RENAISSANCE RECORDSの魅力を体現しているかのような1枚です。


SWEET - Sweet Fanny Adams - Set Me Free ★★★ (2020-09-18 01:15:42)

仄かな憂いを帯びたメロディ、一度聴けば耳にこびりつくコーラス、
そして快活な疾走感と、元祖HMナンバーの一つに数えられる名曲。
HEATHENのカヴァーを聴いてそのカッコ良さに痺れた時は、てっきり彼らが
メタリックにアレンジしているからだと思ったのですが、
後追いでSWEETのオリジナルを聴いて、ほぼほぼ完コピだった分かった際は吃驚でしたよ。


SWEET - Desolation Boulevard ★★★ (2020-09-16 23:49:14)

グラム・ロックの源流の一つとして、後続勢に多大な影響を与えたSWEETが'72年に発表した3rd。
英盤と米盤で内容が若干異なっており、自分が所有しているのは米盤ベースの国内盤(邦題は『荒廃の街角』)。リリース当時は英米のチャートを席巻し、近年でも映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:REMIX』の予告編にフィーチュアされたことで再びリバイバル・ヒットを飛ばした代表曲“FOX ON THE RUN”を収録、SWEETが「ヒットメーカーにお膳立てされたアイドル・バンド」から「よりヘヴィなサウンドを追求するHRバンド」へと歩みを進める分岐点となった名盤です。
初期から培ってきた甘くポップなメロディ・センスや、親しみ易いキャッチーなコーラス・ワーク、QUEEN等に通じる高音ハーモニーといった従来の魅力に、タイトで歯切れの良いハードネスが加わった本編は、前述の“FOX~”を筆頭に、賑々しい“ロックンロールは恋狂い”、曲名通りのタテノリ・ナンバー“A.C.D.C.”、重厚に舞うボーカル・ハーモニーが印象的な“THE 6 TEENS”、ヘヴィなリフとポップなメロディのコントラストが絶品な“SWEET F.A.”等、硬軟のバランスに優れた名曲がズラリ。中でもHEATHENがカヴァーし、個人的に本作購入の切っ掛けともなった逸曲“SET ME FREE”は、明快なメロディにアグレッシブな疾走感といい、「これ完全にHMナンバーじゃね?」ってなカッコ良さに満ち溢れていますよ。
CDだと更にボーナス・トラックとして代表曲“ACTION”(DEF LEPPERDがカヴァーしていました)まで収録されているという至れり尽くせりっぷり。下手なベスト盤に手を出すくらいなら、SWEET入門盤には本作をお薦め致します。


LUCIFER'S FRIEND - I'm Just a Rock 'n' Roll Singer - Born on the Run ★★★ (2020-09-16 01:14:24)

軽快なノリの中にも芯の太いグルーヴが通った演奏にアガりまくるHRナンバー。
つくづく「何でも演られる人たちだなぁ」と感心させられますよ。
楽器陣の熱演に一歩も引かないジョン・ロートンのVoも勿論最高です。


LUCIFER'S FRIEND - I'm Just a Rock 'n' Roll Singer ★★★ (2020-09-15 00:49:38)

稀代の名シンガー、ジョン・ロートンを擁して現在も活動中のベテラン・ハードロッカー、LUCIFER’S FRIENDが'74年にVERTIGO RECORDSから発表した3rdアルバム。
オカルティックなバンド名に相応しい、ハモンド・オルガンが重厚にうねるヘヴィ且つプログレッシブなHRを披露して名声を確立した初期2作から一転、「俺はただのロックンロール・シンガーさ」ってな格好いいタイトルとは裏腹に、ファッション・センスは微妙で頭頂部の毛髪も薄くなっているオッサンの後ろ姿を戴くアートワークのひねくれたユーモアが表す通り、本作で早くも路線転換。女性コーラスやブラス・セクションを加え、時にファンキー&ソウルフルに弾んだりもするサウンドに、初めて聴いた当初は「これじゃない」感が半端なかったですよ。但し、演奏はタイトで隙がないうえ、ロートンのパンチの効いた歌声が楽曲にビシッと一本筋を通してくれているので、本編に緩かったり能天気だったりする印象は皆無。聴けば聴くほど魅力マシマシな1枚で、特に憂いを帯びた歌メロを載せてキビキビと躍動する③は名曲。また終盤に置かれたスペーシー&ドラマティックにアルバムを締め括る大作⑨からは、前2作の残り香もしっかりと感じることが出来ます。
ジャズ、クラシック、ロックンロールにブラス・ロック、シンフォニックだったりプログレッシブだったり、更にはHMのエッセンスまで、発表するアルバム毎に指向される方向性はバラバラながらも、1枚1枚じっくり付き合ってみると、そのいずれもがLUCIFER’S FRIENDの流儀できっちりと料理され、唯一無二の質の高い内容に仕上げられているのだから、流石としか言いようがありませんて。


OVERLAND - Break Away - This Time ★★★ (2020-09-11 00:23:16)

アンダース・リドホルムの冷ややかな哀メロ・センスと
スティーヴ・オーヴァーランドのエモーショナルな歌声のマリアージュ。
両者の最良の部分が化学反応を起こしたサビメロの素晴らしさに万歳三唱を誘われる、
アルバム自体の完成度を確信させらるOPナンバーです。


OVERLAND - Break Away ★★★ (2020-09-10 00:31:04)

FMのフロントマンとして知られるスティーヴ・オーヴァーランド(Vo)が、GRAND ILLUSIONのアンダース・リドホルムをブレインに迎えて制作、'08年にOVERLAND名義で発表したソロ・アルバム。
FM的要素(ブルーズ・ロック色)がほぼ排除され、いかにも北欧的な冷気と憂いを纏って、絶妙な展開で聴き手のハートを鷲掴みにする哀メロと、ハジけるようなキャッチネスを伴ったメロディアスHRサウンドは、紛うかたなきGRAND ILLUSIONワールド。
そりゃバックもGRAND ILLUSIONのメンバーが固めているのだから当然と言えば当然の話なんですが、しかしそこは流石のスティーヴ・オーヴァーランド。相手の世界に飲まれてしまうことなく、類稀なる歌唱力をもってキッチリと主役の座を守りきる辺りが一流のシンガーたる所以です。
特に、アンダース・リドホルムの真骨頂たる悲哀に満ち満ちたメロディに、スティーヴが一音入魂でエモーションを吹き込んだOPナンバー①は全哀メロ派悶絶必至の名曲。個人的にはこれ1曲でアルバム1枚分の価値があるとさえ断言できる勢いですよ。
以降も、フックの効いたメロディが駆け抜けていくアップテンポの③⑦、重厚な哀愁を湛えた⑪といった佳曲を収録し、ファンがスティーヴ・オーヴァーランドとGRAND ILLUSIONの組み合わせに寄せる期待に見事に応えた1枚に仕上がっています。
その割に次作以降がチェックできないまま今に至る我が身の不明を恥じいるばかりです。


OVERLAND (2020-09-10 00:25:43)

FM解散後は、SO!、THE LADER、SHADOWMAN等、様々なバンド/プロジェクトで歌っていたスティーヴ・オーヴァーランドが、ESCAPE MUSICのバックアップを受けて立ち上げたソロ・プロジェクト。
ブレイン役を務めたのはGRAND ILLUSIONのアンダース・リドホルムで、バックもGRAND ILLUSION並びにCODEのメンバーによって固められている。
現在までに4枚のアルバムを発表済み。


JAMES CHRISTIAN - Meet The Man - Strong Enough ★★★ (2020-09-09 00:53:48)

明るく爽やかな曲調の中にも仄かな哀愁と
強力なフックを忍ばせるツボを心得た作曲術は
流石スタン・ブッシュ先生。
ロビン・ベックのバックVoも楽曲の爽快感盛り上げに
貢献してくれています。


JAMES CHRISTIAN - Meet The Man - Know You in the Dark ★★★ (2020-09-09 00:49:59)

聴き進むに従って哀メロ濃度が高まっていき、
それが頂点に達するコーラスの素晴らしさは流石ランダル母娘のお仕事。
情感豊かなジェイムズ・クリスチャンの熱唱も相俟って
実にグッとくる楽曲に仕上がっています。


JAMES CHRISTIAN - Meet The Man ★★★ (2020-09-08 01:04:48)

1stソロ『RUDE AWAKENING』がゼロ・コーポレーションからリリースされた当時は、ジェイムズ・クリスチャンというアーティストに全く興味がなかったのでスルーしてしまったのですが、その後HOUSE OF LORDSで快作を連発する彼の実力に瞠目させられ、’06年発表のこの2ndソロを慌ててショップへ買いに走りましたよ。
優秀なシンガーであるだけでなく、ジェイムズ自身が素晴らしい楽曲を書けるソングライターであることに加えて、本作はファブリツィオ・V・グロッシーがプロデュースを手掛け、スタン・ブッシュや、マーク・フリーへの楽曲提供、VENUS & MARSでの活動で知られるジュディス&ロビンのランダル母娘といった百戦錬磨の作曲陣が参加しているのですから、「それもう絶対に大当たりの奴じゃん」と聴く前から期待値がガン上がり。そして実際聴いてみても、高まりきったこちらのテンションにきっちり応えてくれる出来栄えをアルバムは誇っており、完成度に関して言えば、同時期にリリースされたHOUSE OF LORDSの再結成作『THE POWER AND MYTH』をも上回っているんじゃないでしょうか。
特にランダル母娘との共作曲で、ヴァースからコーラスへ向かって哀愁度が上昇していく②や、哀愁のメロディをフラッシーに弾きまくるGの活躍も印象的な⑦、スタン・ブッシュが手掛け、ジェイムズの奥方であるロビン・ベックがバックVoとして参加するキャッチーで爽快な⑧は、この組み合わせにこちらが期待する要素をギュッと凝縮したようなメロハーの逸品です。(ちなみにXのPATAのペンによるバラード⑤も収録)
つくづく『RUDE~』購入をスルーしてしまった己の所業を悔やまずにはいられない1枚。


91 SUITE - 91 Suite - I Will Stand by You ★★★ (2020-09-04 00:05:56)

ほんのり憂いを帯びて軽快に弾むハードポップ・ナンバー。
涼し気に奏でられるエレピと、要所でメロディアスに切り込んでくる
ヘスス・ディアズのGが楽曲の魅力をグッと底上げしてくれています。


91 SUITE - 91 Suite - The Day She Left ★★★ (2020-09-03 23:38:26)

アルバムのOPに相応しい高揚感を伴うハードポップ・チューン。
爽やかな曲調ながら、適度にエッジを効かせるGの踏ん張りが
甘口になり過ぎることを防ぎ、楽曲をHRのフィールドに留まらせています。


91 SUITE - 91 Suite ★★★ (2020-09-03 01:06:51)

デビュー前からデモテープが耳聡いマニアの間で話題になっていたというスペイン出身の4人組が、'01年にVINNY RECORDSから発表した1stアルバム。
所属レーベルがスペイン国外での活動に非協力的だったせいで速攻廃盤になってしまった日本盤は結構な高値で取引されており、数年前にCD屋で見かけた際には5,000円オーバーの値が付けられていて魂消た覚えあるのですが(今はどうなんだろ)、ことクオリティに関して言えば、プレミア価格で取引されるのも納得の内容であることは間違いありません。
マイク・マンゴールドとアル・フリッチのDRIVE, SHE SAIDコンビがプロデューサーとして腕を振るう本作で披露されているのは、スペイン産と聞いて想起するような「濃さ」「クドさ」の類は殆ど感じられない、いっそ北欧的とすら言えそうな透明感漂う洗練されたメロディアスHRサウンド(ちなみに歌詞は全て英語)。キリッとエッジを効かせてフレッシュにアルバム開巻を告げるOPナンバー①から、ハスキー声で熱唱するVoをフィーチュアし感動的に本編の幕を引くバラード⑪まで、涼し気な哀感を付与するKeyや、印象的なGのハモりが組み込まれた楽曲はインスト・パートにもきっちり聴かせ所が配されていて――人によってはこれが「長い」と感じられる要因なのかもしれませんが――特にヘスス・ディアズのツボを心得たGプレイはアルバムのハイライトの一つ。仄かな哀愁も孕んでポップ且つ爽やかに躍動する⑩はそうした本作のポテンシャルを凝縮したような名曲ですよ。
バンドは次作(これも力作)を出した後解散した筈だったのですが、どうやら近年再結成を遂げてEPも発表している模様。聴いてみてぇなぁ。