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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 901-1000

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火薬バカ一代さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 901-1000

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ROKO - Roko ★★★ (2019-10-18 01:09:44)

イギリスのBON JOVI、スイスのBON JOVI、北欧のBON JOVI等々…。世に「〇〇のBON JOVI」系バンドは数あれど、こちらは「ドイツのBON JOVI」と評されたフランクフルト出身のバンド。80年代初頭からキャリアを積むリーダーのロバート・コールメイヤー(Vo)の愛称ロコからバンド名を取ったという5人組が、'90年にPHONOGRAM RECORDSから発表した1stアルバム。邦題は『ワン・ナイト・キッズ』。
シングル・カットもされた①、JEFFERSON STARSHIPのカヴァー②、感動的なパワー・バラード④、燃え上がるような高揚感に満ちた⑥、あるいはキャッチーなサビメロが印象的な⑧辺りに代表されるように、ミドル・テンポの楽曲を中心に揃え、トミー・ハート似の声質で熱く歌うVo、コンパクトに練られたソロを繰り出すG、華やかな雰囲気を付与するKey、厚めに盛られたハーモニー、そしてポップなメロディとに彩られたサウンドは、基本的にはアメリカ志向の洗練されたメロハー・スタイルを標榜。ただ大陸産の同系統のバンドに比べると、HR然としたエッジの効き具合とメロディの哀愁味の強さが欧州出身バンドらしさを主張していて、また透明感も湛えた哀メロは時に北欧ハードポップに通じる魅力も発散。特にハモンド・オルガンを取り入れたハード・ナンバー③と、EUROPEの“FINAL COUNT DOWN”を思わす⑨は個人的にアルバムのハイライトに推したい名曲ですよ。
たった一人で全曲の作詞作曲を手掛ける(カヴァー曲は除く)ロコ・コールメイヤーの才能が炸裂する1枚。90年代に解散するまでの間に数枚のアルバムを残している彼らですが、こと完成度の高さにおいては本作が頭一つ抜けているのではないでしょうか。


CHINA - China - Wild Jealousy ★★★ (2019-10-17 00:29:34)

Voの歌唱が少々暑苦しいものの、曲調自体は涼しげ。
特に爽やかな空気を運んでくるキャッチーでメロディアスな
コーラス・パートが秀逸。人気曲なのも納得ですよ。


CHINA - China ★★★ (2019-10-16 00:57:12)

ジャケットに書かれた「君炎」の漢字でお馴染み(どういう意味かは未だ不明のままですが)、GOTTHARD登場前はKROKUSと共にスイスを代表するHRバンドの一つだったCHINAが’88年にPHONOGRAM RECORDSから発表し、母国のアルバム・チャートでは最高第6位にランクインするヒットとなったデビュー作。ジャケットをオリジナルのシンプルなデザインからグループショットに差し替えてリリースされた国内盤の邦題は『ワン・ショット・トゥ・ザ・ハート』でした。
バンド名はこんなんですし、アルバム全体のイントロである序曲①でももろ中華風なメロディが奏でられていますが、曲名と曲調がKISS風な②以降にオリエンタルな要素はほぼゼロ。更に言うとそのサウンドはヨーロッパ的な暗さや重さとも無縁で、元気一杯に歌いまくるVoや、煌めくKeyといった快活なパフォーマンスに載せて繰り広げられるのは、寧ろアメリカに対する憧憬が強く迸る明るく健康的にハジけるポップ・メタルです。
高いヒット・ポテンシャルを秘めた③、爽快なHRチューン④、ハイトーンVoが映える⑦、哀愁の隠し味が効いた⑨、ゴキゲンにロックする⑩、フラッシーなGプレイに彩られた⑫等、フックを盛り込んだキャッチーなメロディや、思わず合唱を誘われるサビメロ作りの上手さは、流石「スイスのBON JOVI」と評されるだけのことはあるなぁと。特に日本のファンの間でも評判を呼んだという⑤は、欧州風味の湿り気とアメリカンなポップ・センスという、CHINAの個性サウンドが理想的な形で体現されたハードポップの名曲。
次作『SIGN OF THE SKY』(’90年)と甲乙つけ難い、CHINA入門盤にお薦めする1枚。


TONY MILLS - Beyond the Law - Bonnie's Farewell ★★★ (2019-10-14 22:41:29)

タイトルから推察するに「俺たちに明日はない」で知られる
ボニー・パーカーについて歌っているのであろうバラード。
メランコリックな曲調を、ミルズのエモーショナルな歌声と
哀愁を帯びたサックスの音色がより一層引き立ててくれています。


TONY MILLS - Beyond the Law ★★ (2019-10-12 01:34:17)

膵臓癌との闘病を終え2019年9月18日に永眠された、SHY、SIAM、TNT、SERPENTINE等での活動で知られる英国人シンガー、トニー・ミルズ。その彼が生前「北欧のメロハー請負人」ことトミー・デナンダーや、EDEN’S CURSEのピート・ニューデック(曲作りのみならず共同プロデュースも担当)らのインプットを得てレコーディング作業を行い同年に発表した、残念ながらソロ名義では最期となった作品。
雑誌インタビューにおいて、病状がかなり進行し投薬も既に手遅れの段階にあること、もしかしたら6か月後には生きていないかもしれないことを率直に語ってファンに衝撃を与えたミルズですが、本作における力強く伸びのある歌声からは、病魔の影など欠片も感じ取ることは出来ません。それはサウンドの方も同様で、彼が子供の頃に夢中になったギャング映画に着想を得ているという楽曲は、適度にポップで適度にキャッチー。遺作とはいえ過度にウェットだったり悲壮感が漂っていたり大仰だったりはせず、むしろエネルギッシュにロックしまくる姿勢にいっそ胸を打たれます。特にKeyが緊張感を醸成する、パワフルなアルバム表題曲②、物憂げなサックスがハードボイルドな雰囲気漂わす抒情バラード⑧、ヘヴィ・メタリックとさえ言えそうな疾走ナンバー⑩等は、本編の「動」と「静」の魅力を代表する名曲ではないかと。
音楽性は若干異なりますが、闘病生活を送りながらも最期まで爽快なハードポップ道を貫き通した、ファーギー・フレデリクセンのソロ・アルバムを聴いた時に受けた感銘を思い出さずにはいられない…そんな1枚であります。合掌。


Ciro Dammicco - Ciro Dammicco - Autunno ★★★ (2019-10-10 00:29:15)

アルバムを締め括る抒情的なインスト・ナンバー。
胸をかき乱すように奏でられるピアノを始め、楽器陣が醸し出す
劇的な泣きと儚い美しさに、こちとら聴く度に蕩けるチーズと化してしまいますよ。
個人的にアルバムで最も聴き返す頻度の高い至高の逸品。


Ciro Dammicco - Ciro Dammicco - Tu Mi Eri Scoppiata Nel Cuore ★★★ (2019-10-10 00:15:40)

アルバムのOPナンバーにしてハイライトを飾る名曲。邦題は“君を想う”
ピアノとアコギによる抒情的な導入部から、メロトロンを用いて
ドラマティックに盛り上がるコーラス・パートが発散する哀愁が胸を締め付けます。
イタリア語による濃い口な歌い回しも、楽曲に備わった憂愁を倍増させてくれていますよ。


Ciro Dammicco - Ciro Dammicco ★★★ (2019-10-08 23:51:08)

NEW TROLLSの『CONCERTO GROSSO Part1』に涙して以来、「あの感動よ、もう一度」とばかりに、折に触れてイタリア産のプログレ物をチェックするようになりましたが、元々そっち方面に関する知識が薄弱な上に、当然と言えば当然の話ながら、かの国のバンド全てが濃厚な泣きメロを奏でているわけもなかったという。ただ、そうした中にあって個人的に『CONCERTO~』と並ぶ大当たりだと思っているのが、後にポップ・グループDANIEL SENTACRUZ ENSEMBLE を結成して“哀しみのソレアード”を大ヒットさせるイタリア人シンガー/ソングライター、チロ・ダッミッコ(ダミッコ?ダミコ?呼び名がまちまちでどれが正しいのやら)が'72年に発表したこのソロ・デビュー作です。邦題は『オータム』。
基本的には、濃い口なイタリア語による歌い回しが一層エモーションを掻き立てる、ダッミッコの情熱的なVoが主役のカンタトゥーレ作品で(日本だったら布施明とか上条恒彦辺りが歌っていたポップスに通じる魅力あり)、そのサウンドに複雑さや実験性は皆無。全編を詩情豊かに潤すメロトロンの活躍や、哀切な調べを奏でる生ギター、ピアノ、フルートを丹念に織り込んだアレンジ等から、プログレ愛好家の評価が高いのも納得の作品。中でも聴く者の胸を締め付ける猛烈な泣きを発散するOPナンバー①と、EDを甘く切なく締め括るアルバム表題曲⑩は哀メロ野郎終生の友となる珠玉の逸品。HR的ダイナミズムも感じられる③、サビメロの盛り上がりが感動的な⑤や、優しく包み込むようなバラード⑥も胸打つ名曲ですし…って、要は捨て曲なしの名盤であると。
哀愁のメロディを愛する向きは一度はお聴き頂きたい!と強くお薦めする1枚。


Ciro Dammicco (2019-10-08 23:42:36)

後にDANIEL SENTACRUZ ENSEMBLEを結成し、’74年には“哀しみのソレアード”を世界的に大ヒットさせた(全米チャート最高第2位)ことで知られるイタリア人ドラマー/シンガー/ソングライター。ピンクレディーも“リンダ・ベラ・リンダ”をカヴァーしていましたっけね。
‘72年と'81年にソロ・アルバムを発表していて、特にメロトロンが全面的にフィーチュアされている前者は、プログレ・ファンの間でも高い人気を誇る。


DUST - Hard Attack - Suicide ★★★ (2019-10-07 23:25:29)

フラゼッタのイラストが違和感なくハマる、
荒々しいヘヴィネスが跳梁するアルバム・ラスト・ナンバー。
Gが鋭角的に荒れ狂いDsが雷鳴の如く轟くインスト・パートは
まさしく元祖HMといった趣きでテンションが上がります。


DUST - Hard Attack - Learning to Die ★★★ (2019-10-07 23:20:49)

ドカスカと炸裂感に溢れるマーキー・ベルのドラミングと、
動~静~動とダイナミックに繰り広げられる曲展開が
『地獄の鎮魂歌』を発表した頃のMANOWARを思わせもする
埃っぽいドラマ性を宿した6分越えのエピック・チューン。


DUST - Hard Attack ★★★ (2019-10-06 23:13:27)

フランク・フラゼッタのファンタジックなイラストを配したジャケットが印象的な1枚。後にRAMONESに加入するマーキー・ラモーンことマーキー・ベル(Ds)が在籍していたことで知られるNY出身トリオで、本作は’72年発表の2ndアルバム。雑誌なんかでクラシック・ロック特集が組まれると「隠れた名盤」として取り上げられる機会も多く、昔から気にはなっていたのですが、先日CDショップに足を運んだら何と国内盤が発売されているじゃありませんか。しかも1,000円ぽっきり(税別)。こりゃお買い得でっせぇ。
…ってな宣伝活動はさておき。朴訥とした哀愁を伝えるVoとアコギを有用して曲展開に静と動の起伏を設け、土煙蹴立ててダイナミックにドライヴしまくるHRサウンドは、マニア筋からの高評価も納得のカッコ良さ。特にリード楽器の役目を担うマーキー・ベルの豪快なDs(RAMONES時代とはかなり異なる)は本作の大きな聴き所です。抒情的に始まり緩急を効かせながら熱量を高めていく①、初期MANOWARに通じるエピック性も宿す④、メタリックな攻撃性を放射するインスト・ナンバー⑤、ヘヴィに叩きつけられる曲調を突いてGが鋭角的に暴れ回る⑦といった、炸裂感溢れるドラミングが映える楽曲の数々を聴けば、伊達や酔狂で北欧ヴァイキング・メタルを先取りしたようなマッチョなアートワークを採用し、表題『HARD ATTACK』を名乗っているわけじゃないことが分かりますよ。
甘く美しいストリングスの調べに酔いしれるバラード③や、本編をアコギのイントロとアウトロで挟む構成等からはプログレッシブ・ロックの薫りも漂いますが、全体としては「元祖HM作品の一つ」と評されるのも頷ける圧の強い仕上がり。これが最終作とは残念至極。


MOLLY HATCHET - Locked & Loaded ★★★ (2019-10-04 00:36:28)

オリジナル・メンバーが一人もいなくなろうとも、燃え盛る南部魂を胸に活動を継続するMOLLY HATCHETが、WAKEN OPEN AIRを始めとするドイツ各地で行った白熱のライブの模様をまとめ、'03年に発表した2枚組実況録音盤。
フラゼッタのジャケットを一目見て「MANOWARみたいな筋肉メタルを演ってるに違いない」と勢い込んで1stアルバムを購入し、流れ出して来た素朴なサザン・ロックに肩透かしを食った身とはいえ(今ならその良さも十分理解できるのですが)、本作に刻まれている、凡百のHR/HMバンドが尻まくって逃げ出すガッツとエネルギーが牙を剥くパフォーマンスには「痺れる」以外の選択肢はありません。ライブの開巻を告げるSEからしてPRETTY MAIDSやオジー・オズボーンでお馴染みのクラシックの超名曲“FORTUNA”ですよ。この劇的なOPだけでテンションは早くも最高潮に達してしまいます。早いな。
往年の名曲から近作の楽曲まで、バランス良く並べたセットリストで観客をエキサイトさせるライブは、軽快に踊るピアノ&ハーモニカに心浮き立つDISC-2③、砂塵舞う荒野を思わすDISC-2⑤、観客大合唱のDISC-2⑧、ライブの大団円を演出するヒット曲DISC-2⑪等、いかにもサザンロック然とした魅力を放つ楽曲の豪快さ/埃っぽさを際立たせる一方で、滅法男臭いVoの熱唱と、オヤジの哀愁背負うツインGの熱き情動の迸りも生々しく増強。殊に力強い曲調に憂いを帯びたメロディが載ったDISC-1⑩、2本のGが濃厚な泣きメロを涙腺に叩き込んでくるエピック・チューンDISC-2⑨⑩のカッコ良さは強力無比。
これ聴いてしまったら最後、一度でいいからライブを体験してみたくなること必定ですよ。入門盤にするなら、下手なベスト盤よりも本作をどうぞ。


707 - Mega Force - Mega Force ★★★ (2019-10-03 00:19:18)

今だったら「嘘」「大げさ」「紛らわしい」とJAROに訴えられそうな東宝東和の過大広告に釣られて
劇場へ足を運んだチビッコ達をガッカリさせたというアクション映画『メガフォース』の主題歌。
近所のレンタルビデオ屋閉店セールで購入したVHSを繰り返し見ているうちにすっかり大好きになってしまいましたが。
バンドとジョナサン・ケインの共作曲で、しつこいぐらい繰り返される“LIKE A MEGAFORCE”の歌詞を
気が付けば一緒に合唱している愛すべき名曲。


707 - Mega Force ★★★ (2019-10-01 23:54:51)

待遇改善を図りレーベル移籍を果たした707が、'83年に発表した3rdアルバム。実際は2ndとの間に、レコーディングはされたがお蔵入りしてしまった幻のアルバム『THE BRIDGE』('04年に正式リリースが実現)もあるのですが、まぁそれは置いといて。
専任Key奏者の再加入や、東宝東和のハッタリ宣伝に乗せられて映画館へ見に行ったらタックコムの期待を裏切る小ささに子供心にガックリ来たアクション映画『メガフォース』の主題歌を収録していたりと、色々語るべきポイントの多い本作なれど、何はさておき先ず特筆すべきは名シンガー、ケヴィン・チャルファントの加入ですよ。従来のツインVo体制に不満はありませんでしたが、更に一段も二段もレベルが上の専任シンガーが歌うことで、楽曲の個性がクッキリと際立ち一層輝いて聴こえるのは間違いのないところ。
サウンドの方は前作の流れを順当に引き継いだ、煌びやかなKeyを身に纏ってポップ&キャッチーに弾むAOR/産業ロック。ピアノをフィーチュアして抒情的に始まりドラマティックに盛り上がるバラード③、本編中最もロックしている④、華やかな高揚感に満ちた⑤等、ケヴィンの激ウマVoを得た本編は秀曲に事欠きません。そしてやはりハイライトはアルバム表題曲①。ジョナサン・ケイン(JOURNEY)のペンによる由緒正しきメロハー・チューンとはいえ、しょっぱいB級映画の主題歌がビルボードのメインストリーム・ロック・チャートで最高第11位にランクインしてしまうのだから、80年代は無邪気な時代だったのだなぁ、と思わずホロリ。
今もって日本盤未発売ってのが信じらない高品質な1枚。「正義は勝つのさ!80年代でもな!」のキメ台詞を唱えながら、久々に『メガフォース』のVHSを引っ張り出して来てしまいましたよ。


707 - The Second Album - Live Without Her ★★★ (2019-09-30 23:50:50)

従来の持ち味である胸に沁みる哀愁のメロディ・センスと、
2ndアルバムで増強されたハード・ロッキンなエッジとが
理想的な融合を果たした、2ndアルバムのハイライトを飾る名曲。


707 - 707 - Whole Lot Better ★★★ (2019-09-30 23:46:25)

哀愁を帯びたメロディを切々と歌い上げるVo、物悲しいピアノの美旋律、泣きのG、
そして美しくも切ないストリングスの音色が、こっちの涙腺を破壊せんと
情け容赦ない攻撃を加えてくる劇的なバラード。


707 - 707 - Waste of Time ★★★ (2019-09-30 23:40:45)

きびきびと進む前半からテンポ・チェンジしてドラマティックに
展開していく曲展開と、アレンジ面において重要な役割を果たす
Key(ピアノ)の華麗な活躍ぶりに拍手喝采なアルバムのハイライト・ナンバー。
ハードに駆け巡るGソロもカッコイイ。
改めて聞き直すとSAVATAGEに通じる魅力を感じたりも。


707 - The Second Album ★★★ (2019-09-29 23:07:04)

特にタイトルは付けられておらず、単に『SECOND ALBUM』(そのまんまだ)と呼称される’81年発表の2ndアルバム。前作で素晴らしい鍵盤捌きを披露していたKey奏者のデューク・マクファデン('05年に心臓の合併症で死去)が脱退し、後任は迎えずKeyの座はセッション・ミュージシャンで賄ってトリオ編成でレコーディングされています。(元RUNAWAYSのシェリー・カーリーがゲストVoとして⑤に参加)
そのせいなのか、はたまたREO SPEEDWAGONのオープニング・アクトとして全米のアリーナやスタジアムをツアーして回った成果か、本作ではサウンドの主導権がGへと移り、より明るくシンプルなHR路線を志向。抒情味が薄れてしまったため、当初はあまりピンと来ず「全米チャートで150位台に沈んでしまったのもさもありなん」とか思ったりしましたが、メロディは相変わらずキャッチーですし、脇に回ったKeyが80年代らしい華やかさを演出するようになった楽曲は、ツインVoを活かしてエネルギッシュに疾走するOPナンバー①や、シングル・カットされたポップな③を始め、改めて聴き直すとこれがなかなかに乙な味わい。特に、ハード・ロッキンなエッジと哀愁のメロディが同居した⑧のような「このアルバムならでは」と言える名曲は、707の作曲センスの高さを証明してくれています。またここでの音楽的軌道調整が、後の『MEGAFORCE』(’83年)のヒットに繋がる伏線にもなったのではないかと。
レコード会社のバックアップが得られずセールス的には振るわなかったものの、バンドの成長ぶりがしかと刻まれたアメリカン・メロハーの力作に仕上がっています。


707 - 707 ★★★ (2019-09-27 08:59:19)

中心メンバーのケヴィン・ラッセル(G、Vo)により結成され、ボーイング社製ジェット旅客機の名前からバンド名を頂いて707を名乗ったミシガン州デトロイト出身の4人組が、’80年に発表したセルフ・タイトルのデビュー作。日本ではケヴィン・チャルファント(Vo)が在籍していたバンドとして知られていますが、この時点では彼はまだ未加入。アルバムでは弦楽器隊とKey奏者の3人が曲によって交代でVoを担当しています。
パチンコ・パーラーみたいなバンド名ゆえ音楽的イメージが沸き難いものの、本作に託されているのは、全米シングル・チャート50位台にランクインするヒットとなった軽快にロックするOPナンバー①を皮切りに、キャッチーなメロディを洗練された演奏とアレンジで聴かせるAOR/産業ロック。よりHR志向が強まりをみせる次作に対し、リード楽器としてサウンドの鍵を握るKeyの存在感の大きさといい、泣きのGを始めとするインスト・パートの充実っぷりといい、本作からは初期TOTO等に通じるアメリカン・プログレ・ハード風味も仄かに漂う。
こと抒情性に関しては707のカタログ中でも随一であり、時に流麗に、時にしっとりと楽曲を彩るピアノが全面的にフィーチュアされているのが個人的には評価ポイント。特に緩急を飲み込む曲展開がドラマティックな⑧から、ストリングスをフィーチュアした美しくも悲しいバラード⑨へと繋がっていく終盤の流れには辛抱堪らんものがありますよ。
707の代表作といえば'83年発表の『MEGAFORCE』であることに異論はありませんが、個人的に彼らのアルバムで最も贔屓にしているのは間違いなく本作です。


GLENN HUGHES - Live in Australia - Nights in White Satin ★★★ (2019-09-26 01:36:16)

“サテンの夜”の邦題で知られるMOODY BLUES初期の名曲を
生ストリングスをフィーチュアしてカヴァー。
ダークでメランコリックな抒情メロディを、エモーショナルな
シャウトを交え情熱的に歌い上げるグレンの歌声が、ライブならではの
臨場感を伴ってグイグイと胸に迫ってきますよ。


GLENN HUGHES - Live in Australia - A Whiter Shade of Pale ★★★ (2019-09-26 01:21:23)

PROCOL HARUMの不朽の名曲のカヴァー。
マーク・ボニーラのソロ・アルバムでもこの曲をグレン・ヒューズは
歌っていましたが(それ目当てでアルバムを買った思い出)、
より一層シンガーとしての実力がダイレクトに発揮された
このライブ・バージョンも絶品ですよ。


GLENN HUGHES - Live in Australia ★★★ (2019-09-24 23:15:06)

グレン・ヒューズが’06年に、オーストラリアはシドニーのライブハウスで行ったアコースティック・ギグの模様を収録した実況録音盤。こんなんが発売されているとは露知らず、最初目にした時は簡素なジャケットの印象も手伝って海賊版かと思ってしまいましたよ。
聴き始める前は「アコースティックで70分のライブはキツイんじゃないかなぁ」と不安に思っていたのですが、これが完全なる杞憂。リラックスしたグレンのMCや観客の暖かい歓声がアットホームな雰囲気を伝えてくれるライブは、いきなり名曲“COAST TO COAST”で開幕。新旧のソロ・アルバムからDEEP PURPLE、TRAPEZEに至るまで、グレンのキャリアをざっくり振り返る構成のセットリストは、名曲群の大盤振る舞いな上、抑えたトーンから一気に駆け上がるハイトーンの伸びといい、エモーショナルな表現力といい、齢50(収録当時)を超えて尚衰えることを知らない彼の神掛かった歌声が、ライブにダイナミックな起伏を作り出してくれていて、「弛緩」「中弛み」といった負の要素の発生を許しません。
殊に、“サテンの夜”の邦題で知られるMOODY BLUESの泣きのバラード“NIGHTS IN WHITE SATIN”、マーク・ボニーラのソロ『AMERICAN MATADOR』(’93年)にゲスト参加した際にも歌っていたPRCOL HARUMの代表曲“青い影”、そして観客の唱和を誘う第3期DEEP PURPLEが生んだ名曲“MISTREATED”におけるグレンの熱唱は、まさに「ソウルフル」という言葉の意味を体現するかの如き素晴らしさを誇っていますよ。
シンガー/グレン・ヒューズの実力を十二分に堪能できる1枚。HR/HMサイドにフォーカスした『BURNING JAPAN LIVE』(’95年)と併せて聴くと一層趣き深いのではないかと。


GLENN HUGHES - First Underground Nuclear Kitchen - Love Communion ★★★ (2019-09-23 22:57:42)

身体を揺する粘っこいグルーヴにグレンの躍動感溢れる
歌声(とBプレイ)が乗っかったホットなロック・チューン。
都会的なクールネスを演出するホーン・セクションの導入も効果的。


GLENN HUGHES - First Underground Nuclear Kitchen - Too Late to Save the World ★★★ (2019-09-23 22:52:51)

抑え気味に始まり、グレンの熱を帯びたVoに煽られるように
後半に向けて盛り上がっていくドラマティックな逸品。
作品全体としてはHR/HMとは若干の距離を感じさせる作風ながら
この曲はグレンの歌も楽器陣の演奏も、間違いなくハードにロックしています。


GLENN HUGHES - First Underground Nuclear Kitchen ★★★ (2019-09-22 10:04:23)

その音楽性ゆえ敬遠され、中古盤屋じゃ安値で見かける機会の多いグレン・ヒューズ(Vo)のソロ・アルバム。ただ何故か’08年発表の本作だけはプレミア価格が付けられていて、FRONTIER RECORDSからのリリース(日本盤の発売はキング)だし、もしかしてメロハーでも歌ってくれているのか?と期待してしまいますが、CDを再生すると流れ出すのは、黒いフィーリング全開の粘っこい歌声と、柔軟なリズムのコンビネーションが生み出すグルーヴに思わず身体が横揺れを始める、いつも通りのファンク/ソウルを基調としたサウンドです。
同じ虹紫ファミリーで、「メタルを歌うのに打ってつけの声の持ち主ながらメタル自体はあんまし好きじゃない」という似た志向の持ち主だったグラハム・ボネットが、近年はガンガンHM街道を邁進しているのに対し、こちらは相変わらずのマイペースを維持。何せ表題『FIRST UNDERGROUND NUCLEAR KITCHEN』の頭文字を取るとF.U.N.K.になるってんだから、その拘りは徹底していますよ。
尤も、HR/HMと若干の距離を感じる音楽性だから本作にガックリ来たかと言えば、そんなことは全然なく。盟友チャド・スミス(Ds)やJ.J.マーシュ(G)といったお馴染みの面子による表情豊かな演奏と、ソウルフルな節回しから一気に駆け上がるハイトーンまで、衰え知らずのグレンの神唱を得て躍動する楽曲は、都会的洗練を身に纏わせ、グルーヴのみに偏重することなくメロディは存外にキャッチー。特にホーン・セクションが映えるクールな④、ストリングスをフィーチュアしたドラマティックなバラード⑩等の出来栄えは絶品です。
演りたいことを演りたいように演ってるグレンの幸福感がこっちにも伝播してくる1枚。


SAMMY HAGAR - Not 4 Sale - Karma Wheel ★★★ (2019-09-20 00:06:26)

重厚にしてドラマティックな曲調、憂いを湛えたメロディ、
泣きのGソロ、それに何よりシンガーとしての実力全開な
サミー・ヘイガーの絶唱に、思わずハートを鷲掴みに
されてしまう名曲ですよ。


SAMMY HAGAR - Not 4 Sale ★★★ (2019-09-19 00:20:51)

‘96年にVAN HALENを脱退したサミー・ヘイガーが、'02年にSAMMY HAGER AND THE WABORITAS名義で発表した作品。
VAN HALENの偉大さは知っていても、代表作を2、3枚持っている程度でとても熱心なファンとは言い難い身ゆえ、サミー・ヘイガーのソロ・アルバムなんて更に興味の対象外になってしまうのは致し方なし。申し訳ない。しかしながら本作は、そうした一歩引いたリスナーの首根っこをフン捕まえてグイッと引き寄せるだけの魅力が備わっていました。
気の合う仲間達とリラックスして作り上げた感のある、伸び伸び開放的な作風と、サミー曰く「レコーディングから完成まであっという間だった」という短期集中型の制作過程が見事にマッチ。一応、映画『ロック・スター』挿入歌“STAND UP”がリーダー・トラックということになるのかもしれませんが、あの映画に全く好感を持ってないこっちにとっちゃ、それよりも2曲目以降こそが本作の本領ですよ。一緒に歌わずにはいられないリフレインを持つ②、爽やかな哀愁薫るメロハー③④、LED ZEPPELINのカヴァー・メドレー⑤、アクセルを踏み込んでブッ飛ばすハード・ドライヴィンな⑨といった楽曲の数々を、真っ赤に燃る炎の如き歌声がエネルギッシュに盛り立てる本編は、問答無用で聴き手を高揚させる爽快感に満ち溢れています。流石はVOICE OF AMERICA。ラストを締め括るドラマティックなバラード⑩にも涙がちょちょ切れるかと思いましたね。
どうせ能天気なロックンロール演ってんじゃないの?というサミー・ヘイガーに対する偏見を綺麗さっぱり払拭してくれる1枚。


L.A. GUNS - Hollywood Forever ★★★ (2019-09-16 22:29:58)

「遅れて来たLAメタル・バンド」として人気博すも、中心メンバーのフィリップ・ルイス(Vo)とトレイシー・ガンズ(G)の仲違いにより、2つに分裂してしまった時期もあったL.A. GUNS(現在は両者の関係も修復され一緒に活動しており、バンドもファンも皆ハッピー)。本作はその分裂期にフィル率いる方のL.A. GUNSが発表したアルバムです。
当時はそうした泥仕合の印象が悪過ぎて購入はスルー。その後、安売りされているのを発見して全く期待せずに聴き始めたぐらいの後ろ向きな態度だったのですが、意外や意外。これが結構な完成度を有しており、耳からポロッとイヤフォンが零れ落ちてしまいましたよ。
このバンドらしいバッド・ボーイズ・ロックンロールを基軸としつつも、経年によりサウンドの方には若干落ち着きが感じられるようになっていて、しかし、それによりメロディの哀愁味が明らかに増すという結果オーライぶり。特に憂いに満ちた②、じっくり聴かせる④、重厚な⑦、フィルの熱唱が胸を打つ⑨等、ミドル~バラード系の楽曲には耳惹かれずにはいられません。一方でアルバムの最初と最後にバンドがRAINBOWからの影響を語る①や、ノリの良い⑪のような疾走ナンバーを配し、全体の流れにメリハリをつける姿勢も「単に枯れただけと見縊んなよ?」ってなバンドの意地が感じられ頼もしいじゃないですか。
フィルのしわがれVoも相変わらず味わい深く、人によっては「いつまで経っても上手くなんねぇな」と思わるかもしれませんが、飾らない分直球で刺さってくるヘタウマ感を今も変わらずに保ち続けられるのは立派な才能。L.A. GUNSに欠かせぬ看板声ですよ。
そんなわけで予想以上に楽しめた1枚。次作も買わないと。


WARRIOR - Ancient Future - All I Need ★★★ (2019-09-13 00:33:13)

WARRIORの1stデモに収められていた3曲の名曲のうちの一つ。
“FIGHTING FOR THE EARTH”と“DAY OF THE EVIL”は
デビュー・アルバムで聴けましたが、この曲だけはスルーされていたので
ここに収録されているのはありがたい。(但し日本盤のみの収録)
良く伸びるハイトーンVoや、ツインGによる劇的な盛り上げっぷりが
『運命の翼』を発表した頃のJUDAS PRIESTを彷彿とさせる逸品です。


WARRIOR - Ancient Future - Learn to Love ★★★ (2019-09-13 00:19:08)

パラモア・マッカーティのVoとロイ・ZのエモーショナルなGを両軸に
じっとりと湿度高めで盛り上がっていくドラマティックなバラード。
このレベルの楽曲を収録予定だったことからも、幻に終わった
2ndアルバムの完成度の高さが窺い知れるというものです。
発表して欲しかった…。


WARRIOR - Ancient Future ★★★ (2019-09-12 00:34:22)

LAメタル・シーンが活況を呈する’85年に1st『未来戦士』でデビューを飾り、どこかヨーロッパの薫りのする正統派HMサウンドと、日系人ギタリストのトミー・アサカワを擁する編成、それにドラマティックな名曲“FIGHTING FOR THE EARTH”のインパクトを以てHR/HMファンの間で話題を呼んだWARRIORが復活。IRON MAIDEN脱退後、迷走していたブルース・ディッキンソンを再起へと導き、当時「メタル再生請負人」としての評判を高めていたロイ・Z(G)のバックアップを受けて、'98年にこの再結成第1弾アルバム(通算2作目)を発表しました。
個人的に本作の目玉は、嘗て幻に終わった2ndアルバム用に書かれた楽曲④⑤⑨、そしてWARRIORの名を一躍シーンに知らしめる切っ掛けとなった伝説の3曲入りデモテープに収録されていた⑪の4曲。抒情的なバラード④や、いかにも80年代という軽快な疾走ナンバー⑨等、それらはどれも素晴らしい出来栄えを誇っていますが、特にドラマティックに盛り上がっていく曲展開と、パラモア・マッカーティ(Vo)の艶やかなハイトーンが『運命の翼』の頃のJUDAS PRIESTを彷彿とさせる⑪の名曲ぶりは抜きん出ています。これが聴けただけで本作を買った価値はあった!と。
上記楽曲に比べると、90年代の流行の要素が多少なりとも取り入れられている新曲はやや地味な印象で分が悪い。それでも、力強いハイトーンVoとロイ・Zの色気迸るGプレイがフックを作り出す収録曲の数々は、②を筆頭に聴き応え十分に仕上げる手腕は流石。
発表されたことすら忘れられてしまっている感すらありますが、個人的には結構お気に入りの1枚です。


HURRICANE - Liquifury - Happy to Be Your Fool ★★★ (2019-09-08 00:48:40)

じっくりコトコト煮込むような感じで盛り上がっていくスロー・ナンバー。
仄かにブルージーな薫りも漂いますが、埃っぽさは全くない辺りがこのバンドらしい。
こういうノリの楽曲を歌わせたらケリー・ハンセンは絶品です。


HURRICANE - Liquifury ★★ (2019-09-06 00:36:19)

ルディ・サーゾの弟ロバート・サーゾ(G)、カルロス・カヴァーゾの弟トニー・カヴァーゾ(B)、後にASIA等に加入するジェイ・シェレン(Ds)、そして現FOREIGNERのケリー・ハンセン(Vo)という面子により結成され、文字通り台風の如く大暴れすることが期待されましたが、いつの間にか温帯低気圧化して解散してしまったLAのHURRICANEが復活。'01年にFRONTIERS RECORDSからこの3rdフル・アルバムを発表しました。
尤も、正式メンバーはケリーとジェイの2人のみ。残りのパートはセッション・ミュージシャンで賄うという、バンドっちゅうよりはプロジェクトというべき体制でレコーディングは行われています。ただダグ・アルドリッジが参加するも大味なアメリカンHM化が進行しやや拍子抜けだった2nd『SLAVE TO THE THRILL』(’90年)に比べると、本作はメロディのフックと湿り気がかなりの戻ってきていて、プログレ・ハード風味もあった1st『OVER THE EDGE』(’88年)と、よりギター・オリエンテッドな作風を提示した前作『SLAVE~』の中間ぐらいに位置する、バランスの取れたサウンドに仕上がっています。
特に、イントロ①の焦らしを蹴破って歯切れ良くロックする疾走ナンバー②、ジェイ・シェレンのシュアなドラミングが気持ちいい④、ブルージーな薫りも漂わせつつエモーショナルに盛り上がっていく⑥、都会的な愁いを帯びて駆け抜ける⑩辺りは、そうした本作の魅力を分かり易く体現している楽曲ではないかと。あと、これらの楽曲におけるケリー・ハンセンの情熱的な歌声の素晴らしさについてはいちいち言及しません。最高に決まっています。
復活作として上々の出来栄えでしたが、後が続かなかったのが残念ですね。


ANGELICA - Walkin' In Faith - Soul Search ★★★ (2019-09-05 00:15:15)

本編中においては比較的ハード寄りの楽曲ながら
聴き終えて強く印象に残るのはキャッチネスや爽やかさ
という辺りがこのバンドならでは。
テクニカル且つ歌心を感じさせるGプレイと、
伸びやかなハイトーンVoもそうした印象を増幅してくれます。
しかしBがうるさい(笑)


ANGELICA - Walkin' In Faith ★★★ (2019-09-04 00:09:53)

カナダ出身のクリスチャン・メタル・バンドANGELICAが、'90年に発表した2ndアルバム。但しバンドといっても、シンガーはデビュー作で歌っていたクリスチャン・メイトのロブ・ロックから、近年はスティーヴ・ウォルシュのソロ作に参加していたりするジェローム・マッツァに交代しており(これ1枚きりで脱退)、不在のドラマーの座はドラムマシンで補う等、リーダーのデニス・キャメロン(G)とその相方ロバート・バレン(B)のデュオ・プロジェクトとしての性格が益々強まっているのですが。
それでも、透明感を湛えたハイトーンVoと、全編を優しく包み込むボーカル・ハーモニーがいかにもCCMらしい柔和な雰囲気を醸し出すポップ・メタル・サウンドは質の高さをキープしており、美しいインスト曲⑩を始め、たっぷりと尺を取って弾きまくるバカテクぶりを誇示しながらも、楽曲の邪魔をしない(むしろ曲の一部として見事に機能している)華やかなデニスのGプレイも相変わらず冴え渡っています。
ソフトな作風からすると、ロバート・バレンのBがブンブン唸りを上げる音作りがややチグハグな印象を残すのと、メロディの哀愁味が強いわけではないため、曲によっては油断していると右から左へフワッと流れて行ってしまう掴みの弱さも否めませんが、キャッチー且つ爽やかに走り抜けるメロハー・チューン④と、ほんのりドラマティックなインスト・パートが冒頭に付け足されている⑥という秀でた逸品の存在もあって、個人的にANGELICAのカタログの中では聴き返す頻度が最も高い作品となっています。
彼らの代表作として本作の名を挙げるファンが多いというのも納得の1枚。


WHITECROSS - Triumphant Return - Behold ★★★ (2019-09-03 00:07:15)

哀愁を帯びつつも、希望に満ちた曲調が感動を呼ぶバラード。
粗い声質のVoが若干不似合いな感が無きにしも非ずですが
この辺は好みの問題じゃないかと。
直球勝負のキリスト賛歌の歌詞をさておけば、結婚式にだって使えそうですよ。


WHITECROSS - Triumphant Return ★★ (2019-09-01 00:13:22)

レックス・キャロルのバカテク・ギタリストぶりが一部マニアの間で注目を集めた、イリノイ州出身のクリスチャン・メタル・バンド、'89年発表の3rdアルバム(ついでにリアル・タイムでの日本デビュー作じゃなかったか)。本国アメリカよりもヨーロッパでの人気の方が高かったようで、ドイツのGAMMA RECORDSと契約を交わし、日本盤はテイチクのMETAL MANIAからのリリースでした。
尤も、メロディに欧州風味の翳りやドラマ性の類は希薄であり、ついでに言うとSTRYPERっぽくもない。初期はRATT、DOKKENを思わせるポップ・メタルを、90年代以降はそこにブルージーなテイストをブッ込んだりと、その時々のHR/HMシーンの流行に目端を利かせた、節操のない…もとい、機を見るに敏なサウンドを披露していた彼らですが、本作においてはカラッと明るいアメリカンHMを溌剌とプレイ。このバンドに終始付き纏う「決め手に欠ける」という弱点は相変わらずながら、重厚なプロダクションを得て(プロデュースはバンド自身が担当)、安定感を増したスコット・ウェンゼルの歌唱と、テクニカル且つアグレッシブに咲き誇るレックスのGプレイにも支えられて、ビルボード・チャート上位を騒がせたって不思議じゃないヒット・ポテンシャルを感じさせるバラード⑤、あるいは仄かな哀愁が薫るミッド・チューン④等、曲作りの腕前は益々洗練されて来ています。
前2作に比べ、音作りも楽曲もグッとヘヴィ・メタリックに引き締まった本作が、個人的にはWHITECROSSのカタログの中でもベストな1枚に挙げたくなるぐらいお気に入りだったりします。


ROADHOUSE - Roadhouse - Hell Can Wait ★★★ (2019-08-29 23:13:38)

エモーショナルに響き渡るピート・ウィリスのGと
ポール・ジャクソンのVoにうっとり聞き惚れてしまう抒情バラード。
当時シングル・カットもされていて、UKチャートでは
TOP10に食い込むヒットとなっています。(最高第9位)


ROADHOUSE - Roadhouse - Time ★★★ (2019-08-29 23:08:52)

PVも作られているミッド・チューン。
雄大なスケールと哀愁のメロディに彩られた曲調、
楽曲が持つ透明感を引き立てるピートのGプレイと
Voの歌声が実に心地良い。


ROADHOUSE - Roadhouse ★★★ (2019-08-28 00:45:34)

アルコール依存症の悪化と、「よりハードなサウンドへ進むべき」との主張がコマーシャル志向を固めていた他メンバーとの意見の対立を招き、結果3rd『PYROMANIA』(’86年)レコーディング途中でDEF LEPPARDから追い出されてしまったピート・ウィリス(G)。その彼が、自身がリーダーを務めるバンドとして立ち上げたROADHOUSEが’91年に発表した最初で最後のフル・アルバムがこれ。
味もそっけもない本作のジャケットを一目見て「期待できそうもねぇ」とか思ってしまいましたが、ところがどっこい。ゆったりとシンプルでノリ易いリズムの上を、ピートが奏でる透明感を湛えた哀愁のメロディと、空間の広がりを感じさせる爽快なボーカル・ハーモニーが華麗に舞うHRサウンドは、否が応にもDEF LEPPARDを意識させつつ、本家にも決して引けを取らないポテンシャルを提示。己の早合点を大いに反省した次第です。
バンドが本格的な成功を掴む前に追い出されてしまったため過小評価されがちなピート・ウィリスなれど、雄大な哀メロ・ナンバー②と、ポール・ジャクソンのエモーショナルなVoが心地よいバラード⑥というPVも作られた2曲、あるいは涼し気に駆け抜けていく⑧、ラストを重厚且つダイナミックに〆る⑩といった秀逸な楽曲の数々を聴くにつけ、大ヒット曲“PHOTOGRAPH”を始め、LEPS初期の名曲作りに関与してきたこのギタリスト/ソングライターの実力を見くびっちゃあいけませんな、と。自戒を込めて。
'91年というシーンの転換点でリリースされてしまったことが不幸な1枚。それにしても廃盤のままほったらかしというのは納得がいかないなぁ。


THRESHOLD - Dead Reckoning - Pilot in the Sky of Dreams ★★★ (2019-08-26 23:41:36)

10分近くある大作ナンバーながら、大仰に構えたところはなく、
憂いに満ちたVoを前面に押し立て、それをGとKeyが抒情的にバックアップする様は
さながらメロディアスHRの如し。特に儚く舞うボーカル・ハーモニーの
泣きっぷりは涙腺を直撃してきますよ。長さを全く感じさせない名曲です。


THRESHOLD - Dead Reckoning ★★★ (2019-08-26 00:34:00)

カール・グルーム(G)率いるTHRESHOLDが'08年に発表した7thアルバム。後追いで聴いた次作『MARCH OF PROGRESS』(’12年)の傑作ぶりに感銘を受け、買ったはいいが積んだままにしていた本作も慌ててCD棚から引っ張り出してきましたよ。
EDGE OF SANITY等の活動で知られるフィンランドの鬼才ダン・スウァノがゲスト参加、デス声でコーラスを加える重厚にしてアグレッシブなOPナンバー①が物語る通り、本作においても、精緻に絡み合う楽器陣のアンサンブルとドラマティックな曲展開を活かし繰り広げられるプログレ・メタル・サウンドの切れ味は、一切鈍ることなく健在。メカニカルに刻まれるリフ&リズムが醸し出す冷ややかな空気と、切なさを湛えた抒情メロディやコーラス・パートを美麗に彩るボーカル・ハーモニーとが絶妙に描き出すコントラストは、さながら雲間から差し込む陽光のように聴く者の胸に優しく染み入ってきます。
特に9分以上に及ぶ大作ながら、憂いに満ちたVo、テクと表現力兼備のG、楽曲をウェット且つ劇的に彩るKeyの的確な仕事ぶりが相俟って、大仰さや複雑よりもメロハー物に通じる泣きメロとハーモニーの美しさにこそ悶絶させられる⑤はアルバムのハイライト。ここをクライマックスに、キャッチーな哀メロの波状攻撃に翻弄される④、疾走感溢れる⑥といったTHRESHOLDの魅力を凝縮させた名曲が連続する本編中盤は、とりわけメロディの素晴らしさが際立っています。
尚、そんな本作において絶品の歌唱を披露してくれていたアンディ・マクダウェル(Vo)は、この後体調不良からバンドを離脱。’11年に腎臓癌により急逝されています。合掌…。


TIM RIPPER OWENS - Play My Game - The Shadows Are Alive ★★★ (2019-08-23 01:20:40)

抒情的なイントロに始まり、ドゥーム・メタルばりに
タメを効かせた前半から、重々しくテンポアップしていく
アルバムの締め括りに相応しい重厚感を湛えたヘヴィ・チューン。
SAVATAGEのクリス・キャファリーが秀逸なGソロを提供してくれています。


TIM RIPPER OWENS - Play My Game - Death Race ★★★ (2019-08-23 01:16:07)

リッパー在籍時のJUDAS PRIESTで、
こういう楽曲がもっと聴きたかった
と思わずにはいっれないタイトで
アップテンポのHMナンバー。


TIM RIPPER OWENS - Play My Game - The Cover Up ★★ (2019-08-23 01:10:27)

リッパーのスクリームと、ジェフ・ルーミスの火を吹くようなGが
真っ向ぶつかり合う様がスリリングな疾走ナンバー。
歌メロにもうちょいフックがあれば尚良かった。


TIM RIPPER OWENS - Play My Game ★★ (2019-08-22 00:53:11)

ロブ・ハルフォードの復帰に伴いJUDAS PRIESTからの脱退を余儀なくされたティム“リッパー”オーウェンズ(Vo)が、様々なバンドやプロジェクトへの参加を経て’09年に発表した自身初となるソロ・アルバム。
ダグ・アルドリッチ、ジェフ・ルーミス、ルディ・サーゾ、クレイグ・ゴールディ、ブルース・キューリック、ビリー・シーン、ボビー・ジャーゾンベクetc…。端から名前を挙げてったらスペースが幾らあっても足りないほど大勢のゲストを迎え、更に収録曲全ての曲作りに自ら関与する等、まさに満を持してといった感じで'制作された本作で聴けるのは、ヘヴィでパワフル、そしてある程度モダンなアグレッションが加味されたJUDAS PRIEST型の正統派HMサウンド。リッパーも「これぞ俺のフィールド!」と言わんばかりに、鼓膜をつんざくスクリームを随所で炸裂させ、ファンの期待に応えてくれています。
個人的に彼についてはJP時代から「歌は上手いのに曲に恵まれない人」とのイメージを抱いていたのですが、本作に収録されている、ジェフ・ルーミスのスリリングなGプレイが楽曲の持つ疾走感を倍加させる③、ドラマティックなヘヴィ・バラード⑧、本編中最もJP成分が高い⑪、重厚/劇的/ドゥーム・メタリックな⑫といった楽曲からは、リッパーのシンガーとしての実力だけでなく、作曲家としての才も十二分に感じ取れるのではないかと。
ただ全体を見渡すと収録曲の出来・不出来に若干ムラが目立つのも事実なので、次はこのジャンルに強いプロデューサーと組んでアルバムを作ってくれると尚良し。マット・シナー辺りがリッパーのためにも曲を書いてくれたら最高なのですが。


SATAN - Court in the Act - Break Free ★★★ (2019-08-20 23:37:44)

“TRYAL BY FIRE”と並ぶアルバムのハイライト・ナンバー。
俊敏に舞うツインGの妙技に悶絶&ガッツポーズ。
ドカスカと突進するリズムや合唱を誘う掛け声コーラスを聴くと
彼らが後続のスラッシュ・メタル勢を触発したのも良く分かります。


SATAN - Court in the Act - Trial by Fire ★★★ (2019-08-20 23:26:11)

BLIND GUARDIANがカヴァーしたことでも知られるSTANの代表曲。
どこかエキゾチックな風情漂うダークな緊迫感を纏って刻まれる
Gリフがとにかくクール。GチームがブライアンのヘタウマVoに負けじと
全編に亘ってスリリングに歌いまくり、楽曲をドラマティックに盛り上げてくれています。


SATAN - Court in the Act ★★★ (2019-08-20 00:04:30)

NWOBHMを語る上で欠かすことの出来ない名作の一つと誉れ高い、SATANが'83年に発表した1stアルバム。一度は聴いてみたいと思っていたもののCD化されたのは結構遅く、BLIND GUARDIANが“TRYAL BY FIRE”をカヴァーしたりして再評価の機運が高まった90年代に入ってから漸く実現。当初の感想は「音、悪っ」と(苦笑)。数年前に紙ジャケ/SHM-CD仕様で再発された際にも買い直してみたのですが、元が由緒正しきNEAT RECORDS謹製だけに、リマスターによる恩恵はあんまり感じられなかったり…。
とはいえ、収録楽曲の数々はやはり極上。特にミステリアスなイントロ①を導入部に劇的に炸裂する②は名曲中の名曲で、後のスラッシュ・メタル誕生にも大きなインスピレーションを授けたとされる、「NWOBHM界隈の翼君と岬君」ことスティーヴ・ラムゼイ&ラス・ティッピンズのゴールデン・コンビが阿吽の呼吸から繰り出す特異なリフ・ワーク、せかせかと忙しなく疾駆するリズム、ブライアン・ロスのニヒルなヘタウマVoといった、今に至るもSATANサウンドの美点として輝き続ける要素がここには凝縮されています。
昔はこの名曲のインパクトがデカ過ぎるせいで後続の楽曲の印象が完全に吹っ飛んでしまっていたのですが、緩急の効いた曲展開が技ありな③あり、ドラマティックに本編を〆る⑩ありと、現在では本編に捨て曲はないとの認識でファイナル・アンサー(ボーナストラック⑪⑫もまた美味)。2本のGがスピーディに絡み合いながら劇的に昇り詰めていく⑤のクールさなんて「ヘイルSATAN!」と悪魔主義者ばりに万歳三唱するレベルですよ。
色合いの美しいアートワーク含めNWOBHM屈指の名盤との評価に偽りなしな1枚。


XENTRIX - Bury the Pain ★★★ (2019-08-18 01:31:16)

風の便りに再結成したらしいとの噂は耳にしていたけど、新作を発表する気配はなかったので「じゃあこっちには関係ねえや」と油断していたXENTRIXから突然届いた再結成第1弾アルバム(’19年発表)。しかも、どうやら初来日公演まで決まっているようで、何?この盆と正月が一緒に来たような目出度さは。
しかも音楽性の方もこれが嬉しくなるぐらい変わっていません。ゴリゴリのBランを始め、アンディ・スニープがミックスを担当した音作りで現代的アグレッションを加味しつつも、ザクザク刻まれるGリフ、重々しさも纏った疾走感、構築美に気の払われた曲展開、湿気った旋律を滾々と紡ぐ2本のG、野太い声(チャック・ビリー似)でメロディをなぞって吼えるVo…と、まさに英国産スラッシュの王道を行くサウンドを実践してくれており思わず頬が緩みます。再結成から作品発表までかなり時間が空いたのも、結果的には流行に左右されず自分達の持ち味をじっくり洗い出す良い準備期間になったのではないかと。
ツインGを活かしたドラマティックなイントロから疾走へ転じる①、抒情的な導入から腰を据えて盛り上げていく④、METALLICAやTESTAMENTを彷彿とさせる⑤、アコギを有用して静と動のメリハリを演出する⑨といった逸品の数々は、XENTRIXの1stや2ndアルバムに収録されていても違和感のないカッコ良さを誇っているのではないでしょうか。
ただバンドに「これこそが本来あるべき姿の3rdアルバム」とか言われてしまうと、3rd『KIN』(’91年)を愛して止まない身としては「そりゃないぜセニョール」と複雑な心境にならざるを得ないのですが。


EXUMER - The Raging Tides - The Raging Tides ★★★ (2019-08-15 23:38:06)

鋭利でキャッチーなGリフを前面に押し立ててスマートに疾走するアルバム表題曲。
欧州風味のダークネスを湛えたGソロもしっかり練られていて
かつての「無理を通せば道理が引っ込む」出鱈目っぷりは影を潜めています。
若干の寂しさを覚えつつも、でもこれも十分カッコイイですよ。


EXUMER - The Raging Tides ★★★ (2019-08-15 23:24:49)

80年代に2枚のアルバムを残し解散したEXUMERが、1st『POSSESSED BY FIRE』(’86年)発表後にバンドを去った中心メンバー、メム・フォン・シュタイン(Vo、G)を擁するラインナップで復活を果たしたのは00年代初頭のお話。ただ、その後待てど暮らせど作品リリースの動きはなかったので「ああ、ライブで小銭を稼ぐだけなのね」と油断していたら、ここ数年で3枚のスタジオ・アルバムを次々発表。それまでのブランクを取り返すようなアクティブな活動っぷりを見せてくれて意表を突かれましたよ。
本作は’16年発表の復活第2弾アルバム(通算4作目)で、プロデュースは前作同様ヴァルデマー・ゾリヒタが担当。アートワークには『13日の金曜日』のジェイソンと『北斗の拳』の雑魚キャラを足して2で割ったようなお馴染みのマスコットキャラが登場しています。
再結成後の彼らの音には本作で初めて触れたのですが、ストレートに突っ走るピュアピュアなスラッシュ・サウンドはそのままに、演奏にしろ楽曲にしろ随分とスマートになっていて、「おお、普通だ」と。1stの悪路をダンプカーで強引に走破するような出鱈目っぷりが影を潜めていることを残念に思う向きもありましょうが、アレは若き日のEXUMERのガムシャラさが生んだ奇跡であり、決して狙って再現できるものではないので諦めるしかねぇ。
鋭利且つキャッチーに刻まれるGリフと、欧州風味のダークネスを孕んだGソロが疾走するOPナンバー①でいきなりMAXに達したテンションが、本編の一本調子な構成とリズムのキレ不足が相俟って、聴き進めるうちに徐々にパワーダウンしていくいかにもB級スラッシュ然とした弱点さえも、「味」として愛しく思えてしまう1枚。


ASTONISHMENT - Astonishment - Keep the Spirit ★★ (2019-08-12 01:13:48)

喉よ裂けよといわんばかりの今西の攻撃的なシャウトと、
ササクレたリフの壁を築き、滑らかにソロを奏でる太田のGとが
硬質なリズムに乗ってパワフルに押し出して来るOPナンバー。
金属質な今西のVoがササクレた曲調にマッチしていて、
緊迫感を引き立ててくれています。


ASTONISHMENT - Astonishment ★★ (2019-08-10 23:24:14)

後にARK STORMでも行動を共にすることとなる太田カツ(G)と今西洋明(Vo)が中心となって結成したバンド、ASTONISHMENT(前身であるPSYCHO STORM時代には木本高伸(B)や堀江睦夫(Ds)も在籍)が'94年にレコーディングしていたデモテープを、MANDRAKE ROOT が'00年にCD化。この頃のMADRAKE ROOTは太田カツに限らず、TERRA ROSA、梶山章、CONCERTO MOON等々、色々なアーティストのデモ音源で商売していたなぁ、と。まぁそれはともかく。
帯には「早過ぎたメロディック・パワー・メタル」と記されているものの、アグレッシブな音楽性に「メロディック」な要素は薄め。あとネオ・クラシカル色も皆無で、どちからと言えば90年代型ヘヴィ・ミュージックのエッセンスが塗された殺伐としたパワー・メタルを実践しています。太田のGプレイにしても十分テクニカルではあるものの、構築美以上に勢い重視のスタイル。また元がデモだけに音質も相当にラフいのですが、流麗なメロディを聴かせるよりも、毛羽立ったリフ&リズムで殴りに来るこのササクレたサウンドには、今西の鼓膜に突き刺さる荒々しい歌唱含めて、案外マッチしているのではないかと。特にアップテンポのOPナンバー①の迫力とか、楽器陣の見せ場を配し、展開多めで突き進む③等はなかなかのカッコ良さですよ。
アルバム・サイズで聴くには少々フックと潤いに欠ける作風なのですが、全5曲で20分ちょいという胃もたれを起こさない丁度いいボリュームにも助けられ、最後まで一気に楽しめる1枚となっています。


HEADHUNTER - Parasite of Society - Read My Lips ★★★ (2019-08-08 23:18:49)

イントロでカマされるGリフのカッコ良さだけで星3つは確定でしょう。
スラッシーなアグレッションとパワー・メタリックなメロディの絶妙なマリアージュ。
リフにリードに縦横無尽に駆け巡るシュムーデルのGが存在感を発揮しています。


HEADHUNTER - Parasite of Society ★★★ (2019-08-08 01:15:35)

DESTRUCTIONを追い出されたシュミーアが、元TALONのギタリスト、シュムーデルと、ドイツ屈指の腕利きドラマー、ヨルグ・マイケルを誘って結成したバンドHEADHUNTER。3枚のアルバムを残し解散した彼らが再結成を遂げ、'08年に発表した復活の4thアルバム。
まずオリジナル・メンバーの3人がちゃんと再結集してくれているのが嬉しい。そして音楽性も、ファン人気が最も高い1st『PARODY OF LIFE』(’90年)の作風をきっちり踏襲。映画『第三の男』のテーマ曲(エビスビールのCMソングとしても有名)の牧歌的なイントロをブチ破って、噛み付くように歌うシュミーアのVoとヨルグの激烈なドラミングが映えるゴリゴリのパワー・チューン②が炸裂するOP、その勢いを引き継ぐリーダー・トラック③、シュムーデルが全くブランクを感じさせない劇的なGプレイを披露する重厚な④という前半の立ち上がりだけで、アルバム全体の完成度を確信するには十分というもの。
以降も、SKID ROWが誇る慟哭のバラード“18 AND LIFE”や、JUDAS PRIESTが放ったスラッシュ・メタルのご先祖様的疾走ナンバー“RAPID FIRE”のカヴァー⑥⑫や、更にはシュミーアが日本語詞にチャレンジした⑬等、本編には多彩な楽曲が揃っており、中でも攻撃的なGリフを伴ってスラッシーに突進する怒涛の⑦と、エキゾチックなイントロに始める妖しくドラマティックな⑨は屈指の出来栄えを誇るアルバムのハイライト。
本業のDESTRUCTIONやら、サイド・プロジェクトのPANZERもあって何かと多忙なシュミーアですが、そろそろHEADHUNTERの新作もお願いできればなぁと。


ENTOMBED - Clandestine - Severe Burns ★★★ (2019-08-07 00:11:28)

鼓膜をジリジリと灼くGリフ、欧州の濃い闇を湛えたメロディ、
手数の多いドラムがけん引する、下っ腹に響くヘヴィネスと
爆発的疾走の波状攻撃によるダイナミックな曲展開と、
初期ENTOMBEDのカッコ良さを端的に示してくれている名曲じゃないかと。


ENTOMBED - Clandestine ★★★ (2019-08-06 01:12:39)

北欧デス・メタルを語る上で欠かすことの出来ない重要バンドであり、後にTHE HELLACOPTERSでブレイクするニッケ・アンダーソンがVoとDsを兼任していたことで知られる5人組が、’92年にEARACH RECORDSから発表した2ndアルバム。日本盤はご存知トイズ・ファクトリーからのリリースで、邦題は『密葬』でした。
作を重ね作風の幅を広げていった彼らですが、ここで炸裂するのは暗鬱な歌詞を重低音で咆哮するVoからダウン・チューニングされた楽器陣による無慈悲な突貫まで、基本に忠実なデス・メタル・サウンド。プロデュースはトーマス・スコグスベリが担当し、ENTOMEDやDISMEMBERらによって生み出されたとされる、チリチリジリジリと高音で刻まれるGリフ等、スウェディッシュ・デスの代名詞というべき音作りも既に完成を見ています。また地の底から湧き上がるようなVoは正統派のデス声である一方、リード楽器の役目も果たすドラムの抜けの良い暴れっぷりのお陰か、ドロリとした粘着性や重苦しさは然程でもなく、そこはかとなく劇的な⑦、キレキレなリフ&リズムが疾駆する⑧を始め、2ビート主体で楽曲が走り抜ける際にはスラッシュ・メタルに通じる爽快さが感じられるのも好ましい。
タイトな演奏、爆発的疾走パートに荒涼としたドラマ性を醸し出すヘヴィ・パートまで、緩急を効かせたダイナミックな楽曲構築術、そしてダン・シーグレイヴの手による荘厳なアートワークの世界観を踏襲したかのようなダークな収録曲の数々etc…。従来のキワモノ扱いにキッパリとSAY NO!な、ENTOMED初期の代表作にして、急速に人気を拡大しつつあった北欧デス・メタル・シーン勃興期に作り出された傑作の一つ。


DESTINY - Atomic Winter - Atomic Winter ★★★ (2019-08-05 00:20:14)

クセの強い濁声とヒステリックなハイトーンで、高低差の激しいメロディを行きつ戻りつするVo、
ササクレたGリフが、杭を打ち込むようなリズムと共に重々しく突き進むアルバム表題曲。
タメにタメてからテンポアップする曲展開と、うっすらと取り入れられたKeyが、
冷ややかで荘厳な空気を醸し出す、北欧ドゥーム・メタルに通じる魅力も放つ大作ナンバー。


DESTINY - Atomic Winter - The Extreme Unction ★★★ (2019-08-05 00:08:56)

3分弱というタイトなランニング・タイムを全力疾走する
プログレ・メタル寄りの作風を提示する作中にあって
最も正統派HM色が色濃く感じられる逸品。
インスト・パートをドラマティックに彩るツインGと
ごりごりアクセントを加えて来るBもカッコイイ。


DESTINY - Atomic Winter ★★ (2019-08-02 00:31:05)

かつてはデンマークのGEISHA(ミッキー・ディーとかが在籍していたバンド)のメンバーを擁し、現在もオリジナル・メンバーのベーシストを中心に再結成して活動を継続しているという5人組が、’89年に発表した2ndアルバム。US METAL RECORDSと契約を交わし、アートワークをIRON MAIDENとの仕事で有名なイラストレーター、デレク・リッグスが手掛けていたりと、DESTINYの出世作として知られる1枚であります。
濁声Voが歌うクール…つか無愛想なメロディと、スラッシーなリフを荒々しく刻む一方で流麗にハモってみせもするツインG、テクニカルに編まれた起伏の激しい曲展開をフィーチュアする、ややプログレ・メタル掛かったダークなサウンドが本作の魅力。初めて聴いた際は、何となくスウェーデンのスラッシュ・メタル・バンドAGONYのことを思い出したりしたものの、Voがより明快に歌っており、曲によってはKeyやボーカル・ハーモニーを装飾に用いてドラマ性を演出する等、こちらの方がパワーメタル成分強め。
昔は「もうちょいキャッチーさが欲しい」とか思ったもんでしたが、今となっては重厚なコーラス・ワークが印象に残る③、2本のGがメロディアスに動き回る、本編中最も正統派ヘヴィ・メタリックな疾走ナンバー⑥、冷徹且つ荘厳にアルバムの終焉を謳い上げ、ガイガーカウンターの反応音で不気味な余韻を残し幕を閉じる大作⑨…といった楽曲からも明らかな通り、無闇に愛想を振りまかず、陽の光の届かぬ不毛の荒野を想起させる薄ら寒いこのサウンドこそが、『核の冬』というアルバム・タイトルには相応しいと思うに至った次第。
多少クセは強いものの、ハマれば実に味わい深い作品です。


TYRANEX - Death Roll - Fight Them Back ★★★ (2019-08-01 00:45:41)

小気味良く動き回るGリフ、身体を揺するリズム、
シャウトしつつメロディもなぞって歌うリネア嬢の猛るVo
(威勢よく炸裂するコーラスも〇)、そしてメイデン調の
劇的なインスト・パートと、スラッシュと正統派HMの中間に身を置く
TYRANEXというバンドの魅力がタイトに凝縮された逸品。


TYRANEX - Death Roll ★★★ (2019-07-31 00:17:07)

近年は、復活を果たした同郷のフィメール・スラッシュ・メタル・バンド、ICE AGEにも参加している女傑リネア・ランドステッド(Vo、G)率いるスウェーデンのTYRANEXが、'17年に発表した3rdアルバム。
前作『UNABLE TO TAME』(’14年)は日本盤がスピリチュアル・ビーストから出ていたのですが、今回は国内発売はなし。ちぇっ。お陰で新作がリリースされていることに気付くまでに随分と時間がかかってしまいましたよ。
しかし、だからといって内容が劣るなんてことはなく。アクセルベタ踏みの爆走パートと厄いヘヴィ・パートが共存し緩急の効いたOPナンバー①から猛々しくラスト・スパートを仕掛ける⑧まで、(前作同様)30分台と無駄なくタイトに絞られたランニング・タイムの下、爆発的に畳み掛けるリズムに乗せて一気呵成に攻め寄せるスラッシュ・メタル・サウンドの意気軒高ぶりには一点の曇りもありません。獣の如きハイピッチ・シャウトVoの迫力といい、鼓膜からの出血を誘わんとするGリフの情け無用な刻みっぷりといい、正統派ヘヴィ・メタリックな構築美を感じさせるGソロといい、場数を踏むことで説得力を増し、旧作にそこはかとなく漂っていた背伸び感(微笑ましさ)が払拭されているリネア嬢のパフォーマンスも頼もしい限り。特に彼女のIRON MAIDENを始めとするオールドスクールなメタルに対する愛が迸る⑤はアルバムのハイライトに推したい逸品です。
日本盤が出ていてもおかしくなクオリティを有する1枚。というか、今からでも発売しませんかね?日本盤。


ANACRUSIS - Reason - Misshapen Intent ★★★ (2019-07-30 00:37:57)

ダーティなシャウトと物憂げな歌い上げを
使い分けるVoの歌唱スタイルに象徴される通り、
スラッシュ・メタル然とした剥き出しの攻撃性と、
ダークに浮遊するメランコリックなメロディとが
交錯する曲展開がユニークな逸品。


ANACRUSIS - Reason - Terrified ★★★ (2019-07-30 00:30:33)

切っ先鋭く荒れ狂う曲相に、それを制御する精緻な演奏技術、
動から静、そして再び動へと激しくアップダウンする曲展開と
知性と獣性が拮抗するANACRUSISというバンドの個性を
分かり易く叩きつけて来るスラッシュ・ナンバー。


ANACRUSIS - Reason ★★★ (2019-07-29 00:14:47)

日本盤がリリースされたことは終ぞないが、マニア筋からはVOIVODやBLIND ILLUSION、ATHISTといったバンドに匹敵する実力派と高評価を受けている、ミズーリ州出身の5人組が'89年にMETAL BLADE RECORDSから発表した2ndアルバム。
古代ギリシャ語を原義とする難解な音楽用語をバンド名に冠するだけあって、彼らが奏でるのはアメリカのバンドらしからぬダークさを纏った、アグレッシブ且つプログレッシブなスラッシュ・メタル。シャウトを基本に時折妖しげに歌い上げるVo、ササクレた音色でドリルのようにリフを刻む傍ら、メランコリックな抒情旋律も紡ぐG、高低差の激しいリズムを叩き出すDs、そしてリード楽器といっても過言ではない主張っぷりでうねりまくるBとが、静と動、緩と急、躁と鬱を目まぐるしく入れ替えながら展開していくサウンドは、知的と呼ぶには余りにマッド。何やらアングラな雰囲気が濃厚に立ち込めます。
テンション抑え気味のOPナンバー①に代表されるように、前作に比べるとVoの歌う場面が増え、全体的にもメロディが増量された印象を受けますが、その結果、激烈な疾走パートとアトモスフェリックな中間部の対比が効果を上げている②、攻撃的なバッキングに乗せられた、浮遊感を湛えた哀愁の歌メロとの取り合わせがユニークな⑥、技巧を駆使したリフ/リズム・チェンジで畳み掛けながら終盤に向けてギアを上げていく⑪等、ANACRASIS印の名曲のダイナミズムや個性がより一層際立っているので無問題。
マニア筋の高評価をしかと裏付けるテクニカル・スラッシュの傑作。近年で言えば、VEKTOR辺りがツボにハマる方なら本作も必ずや愛聴盤になるのではないでしょうか。


RISK - Turpitude - Hopeless Ground ★★★ (2019-07-28 01:28:43)

ハイミィの男らしい歌声が厳粛な雰囲気を高める、
憂いを帯びてドラマティックなバラード。
Gもエモーショナルなソロを提供して楽曲の盛り上がりに
貢献してくれています。賛否両論あった『TURPITUDE』ですが
この曲聴いた時には「RISK健在」と小声で呟きたくなりましたよ。


RISK - Turpitude ★★ (2019-07-26 01:30:39)

ハイミィ・ミークス(Vo)率いる独産パワー/スラッシュ・メタル・アクトのRISKが、4人編成となって'93年に発表した4thアルバムにしてラスト作。
ジェイムズ・ヘッドフィールドを意識している風に吼えるVoといい、陰鬱なメロディ、ダウン・チューニングの施されたGリフ、疾走感大幅減のリズムといい、90年代にHR/HMシーンを席巻したモダン・ヘヴィネス症候群の病状をもろに患った感じのサウンドが全編に亘って繰り広げられる問題作であり、同じヘヴィ路線でも前作『REBORN』(’92年)は、欧州HMならではの美意識が光るメロディとドラマティックに練られた曲展開が深みを醸し出していたのに対し、本作の場合、冗長な楽曲とダラダラ締まりに乏しい全体の構成から「適当に流行に寄せてみました」という体が感じられ、ファン評価はすこぶる低い。
斯くいう自分も、購入当時は「こんなん作るから解散する羽目になる」と蛇蝎の如く嫌っていたのですが、しかしPANTERAすらオールドスクールなメタルとして括られる現在、改めて本作を聴き直すと、RISK版ドゥーム・メタリックな①、重々しく加速する③、動き回るGリフが印象的な④…といった感じに、意外にも退屈せずに聴き終えることが出来てしまうのですから驚きですよ。特にハイミィの男らしい歌唱が、憂いを湛えた厳粛な曲調にマッチしたバラード⑤は「名曲」と評せるレベルに達しているのではないかと。
そんなわけで、嘗てクソミソに貶しまくっていたことバンドに対して謝罪したくなる1枚。とはいえまだRISKを聴いたことがないという方には本作以前の作品を迷うことなくお薦めさせて頂きますが…。しかしRISKは再結成しませんね。需要はあると思うのだけど。


NEAL SCHON - Voice ★★★ (2019-07-24 00:23:34)

本業(JOURNEY)の合間を縫って定期的にソロ活動にも精を出すニール・ショーン(G)。本作は彼がHIGHER OCTIVE MUSICから発表した通算4作目となるソロ・アルバム。
形態としてはカヴァー・アルバムなのですが、珍しいのは収録曲の大半が比較的新しい90年代のヒット曲(アルバム・リリースが'01年なので、ほぼほぼ10年以内の楽曲ばかり)で占められている点。しかもマライア・キャリーの②、ブライアン・アダムスの③、サラ・ブライトマンが“TIME TO SAY GOODBYE”としてカヴァーした⑧、あるいは映画『タイタニック』の主題歌⑨とか、本来なら歌が主役であるポップ・ソングの数々を、「俺のギターが歌の代わり」とばかりに、インスト曲として再構成してしまっている大胆不敵さ。神経が太いというか、よほど己のギターの腕前に自信がなければやれない所業ですよ、これは。
そして実際、例えば誰しもがセリーヌ・ディオンの「エンダァァァ!」のハイトーン・シャウトを期待しているであろう⑨のような楽曲すらも、美しく官能的なフレーズ・センスを駆使してきっちりインスト・ナンバーとして翻案し、魅力的に成立させてしまっているのですから流石ニール・ショーン、凡人とはリーグが違う。個人的に特にグッと来たのは、ルチオ・ダッラの名曲①(布施明も“慟哭”のタイトルで熱唱してましたっけ)と、カーペンターズがヒットさせたことで知られる⑩という、本編の最初と最後を〆る2曲。どちらも絶品の泣きが溢れ出すエモーショナルなGプレイに心が蕩けるかと思いですよ。
『VOICE』のタイトルに相応しく、全編に亘ってニール・ショーンの雄弁に「歌う」ギターを堪能できる、グラミー賞ノミニーも納得の1枚。


KICK - SWEET LICK OF FIRE - Time ★★★ (2019-07-22 23:57:09)

全体的に湿度高めのアルバムの中にあって、
曇天模様の雲間から差し込む陽光の如く爽やかさ。
本編中において良いアクセントになっている名曲です。


KICK - SWEET LICK OF FIRE ★★★ (2019-07-22 01:06:04)

現VEGAのフロントマンであるニック・ワークマン(Vo)を擁し、IRON MAIDENのスティーヴ・ハリスが運営するBEAST RECORDSからデビューを飾ったイギリス出身の5人組、KICKが’01年に発表した2ndアルバム。
日本でもかなりレコード会社がプッシュしていたように記憶していますが(そのせいかジャケットに漢字があしらわれている)、残念ながらイマイチ人気は振るわなかったようで、今じゃ彼らのカタログは中古ショップの常連。自分もリリースから結構経ってから格安コーナーで売られていたのを250円で購入しましたよ。
しかし内容はこれが非常に素晴らしい!味気ないアートワークはオルタナティブ・ロックでも演っていそうな感じで、実際、重心を低めに構える音作りやアレンジ等からはそうした要素も感じられなくはないのですが、それにも増して、ブリティッシュHMバンドの面目躍如たる哀メロ・センスが全編に亘って冴えに冴えまくっています。ヘヴィに揺らめく前半から疾走へと転じる緩急の効いた曲展開を有する①⑪、哀愁を纏って駆け抜けていく②、既に確かな実力が備わっているニックの熱唱が哀愁を一層引き立てる⑥、猛烈な泣きを発散する⑨といった、英国の曇天模様を想起させる楽曲が胸を打つ一方、Keyを活かした爽やかな④や、ポップなバラード⑧のようなタイプの楽曲も収録することで、本編は豊かなグラデーションとメリハリを獲得。最後まで聴き手を飽きさせません。
どうにも過小評価されている(というか、バンドの音楽性が正しく伝わっていない)感のある隠れた秀盤。VEGAが楽しめる方ならこちらも是非どうぞ。


AUTOGRAPH - Sign In Please - Friday ★★★ (2019-07-19 00:25:26)

花金(死語?)のワクワク感を体現するかのような、
今となっては郷愁さえそそられるパーティ・メタル・チューン。
明るい躍動感に溢れつつも、メロディはどこか胸キュンを誘う。
フラッシーなGとKeyも実に華やかに楽曲を彩ってくれています。


AUTOGRAPH - Sign In Please ★★★ (2019-07-18 00:52:07)

VAN HALENの前座を務めたことを切っ掛けにチャンスを掴み、’84年に発表すると米ビルボード・チャートの20位台まで上昇するヒット(最終的に70万枚を売り上げゴールド・ディスクを獲得)となった、LA出身でKey奏者を擁する5人組の1stアルバム。
LAメタル・ブームの隆盛期に発表されているだけあって、ミドル・テンポの楽曲を中心として、全楽器がユニゾンで刻むシンプルなリズム、きらきらシンセ、スティーヴ・プランケットのハスキーな(オッサン声ともいう)Voとハーモニーを活かした覚え易いコーラス・ワーク、そしてGIT講師も務めていたというタッピングの名手スティーヴ・リンチのテクニカルなGプレイがフィーチュアされた本作で聴けるのは、まさに「LAメタルど真ん中」といった趣きのサウンド。NIGHT RANGERとの比較は確かに的を得ていて、あちらを更にカラッと高温の油で揚げた感じのような音…とでも申しましょうか?
昔、ヒット・シングル②(邦題“れでぃおUSA”)を初めて聴いた時は、哀メロ愛好家としちゃ「もっと湿り気をおくれよ…」と全くピンと来なかったのですが、今となってはこのザ・80年代!な底抜けの明るさこそが本作の肝であると確信している次第。しかもキャッチーなメロディ・センス、ギター・ヒーロー然としたフラッシーなGプレイと、単なる添え物に終わらず要所を華やかに彩るKeyとが、楽曲に効果的にフックを作り出してくれていて、大味さを殆ど感じさせません。
心浮き立つ鮮やかなポップ・メタルの名曲⑧を筆頭に、澱んだ空気をスカッと吹き飛ばしてくれる実に抜けの良い1枚。ジメジメと鬱陶しい梅雨の時期のお供に是非。


VEGA - Stereo Messiah - My Anarchy ★★★ (2019-07-16 23:57:24)

憂いを湛えたヴァースから、爽快なコーラスへと至る曲展開が
霧の中を抜けて視界が一気に視界が開けるような解放感を味わえます。
声質自体が潤いを帯びているニック・ワークマンが歌うことで
爽やかさと共に一抹の切なさが漂うあたりもまたぐっとくる名曲。


VEGA - Stereo Messiah ★★★ (2019-07-15 23:58:34)

スティーヴ・ハリスが主宰するBEAST RECORDSからデビューを飾るも、今一つパッとした印象が残っていないKICK(2ndアルバムは傑作)の元シンガーであるニック・ワークマンと、FRONTIERS RECORDS付きの作曲家として、これまで数多のアーティスト/プロジェクトに優れた楽曲を提供して来たトム&ジェームズのマーティン兄弟(ちなみに双子)。以前からの知り合いだったというこの3人を中心に結成されたメロハー・グループVEGAが、'14年に発表した3rdアルバムがこちら。
プロデュースを現IT BITESのジョン・ミッチェル、マスタリングはHAREM SCAREMのハリー・ヘスが担当するという座組の下、曲作りの技前が冴え渡る兄弟と、実力派シンガーが超人タッグを組むのですから、完成度の高さは聴く前からある程度は保証済み。そして実際、アートワークからしてこれまでよりもグレードが上がっている本作は、当方の予想を更に上回るクオリティを提示してくれていたという。
HRのエッジと躍動感を保ちつつ、フレッシュなポップ・フィーリングを携えた②から、憂いを孕んだ⑦、悲哀の旋律が胸を打つ泣きのバラード⑫まで、収録曲はいずれもキャッチーなメロディに彩られた逸品揃い(DEF LEPPERDのカヴァー⑨にはジョー・エリオットがバックVoとして参加)。中でも耳を惹くのが巧みにフックを盛り込んだサビメロ作りの上手さで、爽快感に満ちた名曲⑩はその好例。曲調は爽やかでも、声質自体が憂いを帯びているニックのVoに歌われることで醸し出される、どこか切ない情感が辛抱堪りませんよ。
VEGAの他のカタログも聴いてみたくなること請け合いの充実作。


ELIZA - Something Like Hot - Battle Field, Running Wild ★★★ (2019-07-15 23:51:35)

音質のハンデをものともしないキレのある演奏、やや線は細いが
オラオラと挑みかかるように歌うVo、劇的に絡み合うツインGと、
「アルバムの最後をスピード・ナンバーで締め括るバンドは信頼できる」
という自説を補強してくれる名曲の一つ。


ELIZA - Something Like Hot ★★★ (2019-07-13 02:01:41)

80年代の北海道HR/HMシーンを盛り上げ、近年再始動を果たしたELIZA。それに伴い音源の発表も活発化してくれていて、長らく入手困難だった’84年リリースの本1stフル・アルバムも、ボーナス・トラックとしてライブ音源6曲を追加収録する形で再発の運びとなり、後追いファンとしてありがたい限り。
派手なルックスにまず目が行く彼らですが、音楽性の方はLAメタルに通じるワイルドなノリの良さと、NWOBHMを通過した切れ味の鋭さを併せ持ち、そこに北海道出身バンドらしい(?)繊細且つ湿ったメロディも注入した、独特な味わいのHMをプレイ。楽器陣の演奏はタイト且つ疾走感に溢れ、Voもインスト・セクションに比べるとやや線の細さが気になる場面はあれど、それでも十分健闘している部類。特に、アルバムのラストに配された代表曲にして名曲⑪や、憂いを湛えたツインGが疾走するスピード・ナンバー②③、ドラマティックに聴かせるメドレー⑨⑩のカッコ良さは一聴の価値ありですよ。
あとは、貧相なサウンド・プロダクション(一応再発盤ではリマスターされていますが)と、良くも悪くも80年代の日本のHMバンド感全開な歌詞――例えばスギちゃんばりの「〇〇だぜぇ」といった語尾の言い回し――を許容できるかどうかが本作の評価の分かれ目ですが、どちらも繰り返し聴き込めば気にならなくなるレベル。少なくともリピート再生が全く苦にならないぐらい楽曲の粒は揃っています。
セルフ・リメイク作『BATTLE FEALD』(’18年)に本作の再発と来て、あとはそろそろ新作アルバムのリリースを期待したいところですね。


RICK PRICE - Heaven Knows - Church on Fire ★★★ (2019-07-11 00:19:19)

シングル・カットされたわけじゃないが、アルバムのハイライト・ナンバー。
心地良くドライヴする演奏、透明感も湛えた哀愁のメロディ、
リック・プライスの清涼感溢れる歌声に、ホットなGソロまでトッピングされて
その名曲ぶりときたら、この曲目当てにアルバム『HEAVEN KNOWS』購入しても
お釣りが来る勢いですよ。


RICK PRICE - Heaven Knows - Not a Day Goes By ★★★ (2019-07-11 00:14:15)

リック・プライスの名を知らしめたデビュー曲。(全豪チャート最高第5位)
乾いた哀愁を帯びたメロディが、適度にロックのエッジを効かせた演奏と
爽やか&伸びやかなリックの歌声でキャッチーに包まれた名曲。
そりゃヒットしますわなと。


RICK PRICE - Heaven Knows ★★★ (2019-07-10 00:20:20)

デビュー前から話題を集めていたオーストラリア出身のシンガー/ソングライター、リック・プライス(Vo)がSONY MUSICとの契約を得て、マイケル・トンプソン(G)、ジョン・ロビンソン(Ds)らLAシーンでも指折りの実力派セッション・ミュージシャン達をバックに従えてレコーディングを行い、'93年に発表した1stアルバム。
オーストラリアと聞くと、どうしてもAC/DC系のワイルドなロックンロールを想像してしまいがちですが、ここで披露されているのは、清潔感漂わすイケメンなご本人のルックスと、透明感のある歌声を反映させたような、瑞々しく洗練されたハードポップ。オーストラリアの澄み渡った広い青空を想起せずにはいられない甘く爽やかなサウンドからは、アーシーな雰囲気や埃っぽさは殆ど感じられません。
作品全体としてはHR/HMとは若干の距離を感じざるを得ない音楽性ではあるものの、哀愁を効かせつつ溌剌とロックする③や、ホットなGプレイがフィーチュアされた(個人的にアルバムのハイライト・ナンバーに推したい)エネルギッシュな名曲⑥もあったりするので油断は禁物。勿論「そりゃヒットするわ」というフックの備わった、全豪シングル・チャート最高第5位にランクインした先行シングル曲②や、これまた話題を呼んだらしいアルバム表題曲でもある甘美なバラード⑤といった、アルバムの主役たるポップ路線の楽曲の完成度の高さも、いくら誉めても誉め足りないぐらいですよ。
いきなり総合チャート最高第3位にランクインを果たしたという大ヒット作というのも納得の、キャッチーなメロディ大盤振る舞いの名作。


RICK PRICE (2019-07-10 00:19:04)

音楽一家に生まれ育ち、若くしてセッション・ミュージシャンとして名を上げると、'88年に行われたオーストラリアの建国200年祭のテーマ・ソングを歌ったことで知名度大幅アップ。'90年にソニーとの契約を交わし、'91年に1st『HEAVEN KNOWS』でデビュー。シングル“NOT A DAY GOES BY”が全豪チャートTOP5入り、アルバムもチャート最高第3位の大ヒットとなる。
その後も定期的にアルバム・リリースを重ね、近年だと、'17年に同郷のシンガー/ソングライター、ジャック・ジョーンズと組んで発表した、米ウェスト/コーストの名曲にトリビュートを捧げるカヴァー曲集、その名も『CALIFORNIA DREAMING』がアルバム・チャートTOP10に入るヒットを記録している模様。


PHILLIP BARDOWELL - In the Cut - Voices of the Heart ★★★ (2019-07-08 23:56:26)

ジム・ピートリック提供。物悲しい曲調に
フィリップ・バードウェルのエモーショナルな
歌声が映える劇的なピアノ・バラード。
終盤の盛り上がりっぷりに胸が熱くなります。


PHILLIP BARDOWELL - In the Cut - Heart of a Hero ★★★ (2019-07-08 23:51:45)

HR然としたホットなエッジと、哀愁を纏ったキャッチーなメロディが
一体となって躍動する、スタン・ブッシュの曲作りの手腕が冴え渡る逸品。
それを見事に歌いこなすフィリップ・バードウェルのVoも素晴らしい。


PHILLIP BARDOWELL - In the Cut ★★★ (2019-07-08 01:57:33)

ブルース・ゴウディ率いるUNRULY CHILDや、ブラジル出身のマルチ・アーティスト、アレック・メンドンカのプロジェクトN.W.O.等への参加で知られるシンガー、フィリップ・バードウェルが'05年に発表した2ndソロ・アルバム。
ここ日本ではイマイチ知名度に乏しい御仁ですが、本作のレコーディング・メンバーには、プロデューサー兼ソングライターのトミー・デナンダー(G)と、ダニエル・フローレス(Ds)という当代きってのメロハー職人2人が名を連ねている上、作曲者欄に目をやると、マーク・スピロ、スタン・ブッシュ、ボビー・バース、カート・クオモ、それに我らがジム・ピートリック等々、実に強力な面子の名前がクレジットされており、お店でこれを見た時は「そりゃ買わないわけにはいかんでしょうが」と思わず呟いてしまいましたよ。
実際、相変わらずエモーショナルで伸びやかなフィリップの歌声といい、それを堅実に盛り立てるバックの演奏といい、哀愁のメロディに包まれたキャッチーなメロハー・チューンが居並ぶ本編は、聴き手がこの顔触れに期待する作風&品質にきっちりと応えてくれる素晴らしさ(「マジックが起きている」レベルにまでは至っていないのが惜しくもあるのですが)。
中でもやはり、ホットなロック・ソング③、一転して温もりを湛えた抒情バラード④というスタン・ブッシュ提供の2曲、それと「流石ジム・ピートリック!」という哀メロが沁みる⑩辺りは、両人を贔屓する己の欲目を抜きにしても、アルバムのハイライト・ナンバーに相応しい輝きを放っているのではないかと。あとボビー・バースが手掛けたポップな⑦も良い。
ぼちぼち彼氏のソロ・アルバム第3弾に期待したくなる充実作です。


BRUCE TURGON - Outside Looking In - These Tears Must Fall ★★★ (2019-07-07 01:20:22)

ルー・グラムとの共作曲で、彼もバックVoとして参加。
どうせならリードVoも担当しちゃえば良かったのに。
尤も、ブルースのVoに文句があるわけではなく、
青い炎が揺らめくような熱唱で、このアルバムでも1、2を争う
ドラマティックな名曲を盛り上げてくれています。
憂いを湛えた重厚さを増幅するBプレイも◎ですよ。


BRUCE TURGON - Outside Looking In - Faith ★★★ (2019-07-07 01:12:13)

憂いを帯びたメロディをエモーショナルに歌い上げるVoとG、
ピアノの美旋律が、どことなく都会の冬(日の昇る直前の朝)を
思わせる冷ややかな空気を運んでくる、ムーディで重厚なHRナンバー。


BRUCE TURGON - Outside Looking In ★★★ (2019-07-05 00:40:42)

ルー・グラムの幼馴染で、BLACK SHEEP~ソロ時代~SHADOW KING~FOREIGNERと、長らく彼の相棒役を務めてきたブルース・ターゴンが、自らVoとBを兼任してレコーディングを行い、'05年に発表したキャリア初となるソロ・アルバム。
その門出を祝うように、プロデューサーにPINK CREAM 69のデニス・ワード、レコーディング・メンバーとして盟友ルー・グラムの他、リッキー・フィリップス、ロニー・モントローズ、デニー・カーマッシ、トム・ギンメル、ダイアナ・ミルズetc…といった多彩な面々が集結。但しここで追求されているのは飽くまでアンサンブル重視の抒情的なメロディアスHRであり、都会的なクールネスも漂わす洗練されたサウンドからは、やはりブルース在籍時代のFOREIGNERに通じるものが感じられます。特にルー・グラムとの共作である憂いを帯びた重厚な⑦と、暖かみに溢れた曲調が聴く者を勇気づける⑩は、どちらもアルバムのハイライト級の逸品。またブルースが単独で書き上げた、冷ややかな哀感を湛えるドラマティックな⑤の出来栄えも特筆しておきたい素晴らしさですよ。
全体的にやや控えめ…人によっては「地味」とも受け取られかねない作風ながらも、質の高いスロー/バラード・ナンバーを中心に本編を構成しつつ、適度にエッジの効いたロック・チューンも散らしてメリハリを設ける等、バランス感覚は良好で、聴くほどに味わいを増す1枚。派手さはなくとも優れたバイプレイヤーとして堅実に仕事を積み重ねてきたブルース・ターゴンというミュージシャンのキャリアと二重写しになる良盤ではないでしょうか。


DANNY VAUGHN - Traveller - Restless Blood ★★★ (2019-07-03 00:23:58)

カラッと抜けの良い曲調がアメリカンなノリの良さを担保する一方、
流麗に閃くピアノとキャッチーなメロディは仄かな哀愁を運んできます。
ダニー・ヴォーンというシンガーの資質にぴったりフィットした名曲。


DANNY VAUGHN - Traveller - Lifted ★★★ (2019-07-03 00:18:14)

ピアノとVoのみのしっとりとした導入から、全楽器が加わり
快活にテンポアップするアルバム後半のハイライト・ナンバー。
要所でのピアノの良い仕事と、胸のすくようなダニー・ヴォーンの
歌いっぷりの良さが楽曲の爽快感を盛り上げてくれます。


DANNY VAUGHN - Traveller ★★★ (2019-07-02 00:43:08)

FRONTIERS RECORDS肝煎りのメロハー・プロジェクトFROM THE INSIDEの成功に手応えを感じたダニー・ヴォーン(Vo)が、WAYSTEDから数えてキャリア20周年の節目を迎え、自身の原点である「クラシカルなメロディアス・ロックのスタイル」をこれまで以上に尊重するべく'07年に発表した1stソロ・アルバム。
レーベルの意向で北欧メロハーに通じる透明感と哀愁を湛えたメロディアスHR路線が徹底されていたFROM THE INSIDEに比べ、意表を突いてアイリッシュ風味漂うOPナンバー①で幕が上がる本作は、そこにほんのりアメリカンな要素(土の薫り)も加味。全ての曲作りをダニー本人が手掛けていることもあって、より彼自身のシンガーとしての資質に寄り添ったサウンドが展開されています。
それでいて、例えば以前VAUGHN名義でリリースされた作品ほどアーシー過ぎないのもポイントで、共作者としてクレジットされているSHOTGUN SYMPHONYのチャーリー・カルヴや、CONTAGIOUSのトニー・マーシャルといった手練れのソングライター勢の助力を得ることで、過度な泥臭さを抑え、ポップ且つ爽やかな味付けがなされた収録楽曲の数々は実に美味。中でも快活な曲調にピアノの隠し味が映える④と、ポップな高揚感に満ち溢れたキャッチーな⑦はアルバムのハイライトを飾る名曲ですよ。
聴く者の心を暖めるエモーショナルな歌声の素晴らしさについては既に広く周知されていますが、フックを巧みに盛り込んだ曲作りの腕前もこのレベルだったとは…と感心しきりの、TYKETTOの名盤『FOREVER YOUNG』(’91年)に匹敵するクオリティを有する1枚。おみそれしました。


MYRATH - Shehili - Dance ★★★ (2019-06-30 23:08:04)

エキゾチックでメロディアスでシンフォニック。
MYRATHの魅力が分かり易く伝わる(良い意味で)コマーシャルな出来栄えで、
レコード会社のプッシュでリーダー・トラックに選出されたというのも納得。


MYRATH - Shehili - Wicked Dice ★★★ (2019-06-30 23:02:12)

これまで以上にリフ&リズムはヘヴィになっているのですが、
ザヘル・ゾルガディが熱っぽく歌うしなやかなメロディは
しっとりと憂いを帯びていてキャッチー。エキゾチックな旋律を
奏でるGソロと、時折閃き楽曲の抒情性を増幅するピアノも
非常に良い仕事をしてくれています。


MYRATH - Shehili ★★★ (2019-06-27 23:32:13)

飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進中のMYRATHが'19年に発表した最新作。日本でも着実に人気が高まっているようで、バンド側もそれを意識してか今回はボーナス・トラックで日本語詞にもチャレンジしてくれているという。嬉しいじゃありませんか。
母国チュニジアの芳醇な民族音楽のエッセンスをふんだんに取り入れ、テクニカルでドラマティックなプログレ・メタルと大胆に交配してみせたサウンドは、オリエンタルな個性を分かり易く打ち出せる反面、曲作りの幅を広げ難く、作を重ねる毎にマンネリ化していく危険性も孕んだ諸刃の剣。…のようにも思うのですが、情熱的に歌い上げるVo、官能的なリードGと、積極活用されるヴァイオリンやチュニジアの伝統楽器によって奏でられる、アラビアンなメロディの濃厚な哀愁はしっかりと保持する一方で、リフにリズムに、これまで以上にメタリックなアグレッションも強調することで新風が吹き込まれた収録曲の充実っぷりを聴く限り、まだまだMYRATHにその心配は無用な模様。
果てしなく広がる砂漠の海を幻視する序曲①を皮切りに、妖し気な曲線美を宿す③、硬質なリフ&リズムとしなやかなメロディが組み合わせされた⑥、パワー・メタリックな⑦、ザヘル・ゾルガディの色気溢れる歌声に聴き惚れる甘美な⑧、本編ラストを締め括るエキゾチック&シンフォニックな⑫等、絢爛と繰り広げられる音世界に捨て曲の類は一切なし。中でも個人的にお薦めは⑤でして、エキゾチックな旋律美とプログレ・メタリックな構築美、おまけにライブ映えしそうなノリの良さまで兼ね備えた隙のなさに痺れましたね。
上昇気流に乗るバンドの勢いや雰囲気の良さが、しかと反映された力作ではないでしょうか。


LUCIFER'S FRIEND - Black Moon - Call the Captain ★★★ (2019-06-26 00:09:32)

張りのあるジョン・ロートンの歌声にしろ、
タイトに疾走する楽器陣のパフォーマンスにしろ
溌剌として若々しく、全く年齢を意識させないHRナンバー。
それでいてインスト・パートでは老獪なアレンジが光っています。
ニクイねどうも。


LUCIFER'S FRIEND - Black Moon - Palace of Fools ★★★ (2019-06-26 00:04:42)

重量感溢れる前半から軽快に疾走する後半へと繋がる
メリハリの効いた曲展開を、ジョン・ロートンの表情豊かなVoと
仄かにプログレ・テイスト薫るドラマティックなアレンジとで彩った、
芳醇な英国臭が実に味わい深い逸品。


LUCIFER'S FRIEND - Black Moon ★★★ (2019-06-24 23:37:20)

ジャケットに、お馴染みの凸凹コンビが復活していて思わずニッコリさせられる、’19年発表のLUCIFER’S FRIEND再結成第2弾アルバム。(通算11作目)
ジョン・ロートン(Vo)、ペーター・ヘスライン(G)、ディーター・ホーンズ(B)ら中心メンバーの年齢は揃って70歳を越え、後期高齢者まであともう一息という陣容ゆえ、「体を壊してツアーに出られなかった」とか「体調が万全でなくレコーディング・スケジュールに支障が出た」とか、バンドの存続以前に心配すべきニュースが山盛りなLUCIFER’S FRIENDですが、出している音の方は、ショッピング・チャンネル観覧席のオバ様方が羨望の溜息を洩らしそうな張り艶を保ち続けるロートンの歌声といい、タイトに躍動する楽器陣のパフォーマンスといい、これがまぁ、相変わらず実に若々しい。
それもボトックス注射打ちまくった痛々しい若作りではなく、アダルトな円熟味と、経年劣化に抗う瑞々しさが自然体で共存するブリティッシュHRサウンドからは、一緒に来日公演を行った仲でもあるURIAH HEEPに通じる風格が醸し出されていますよ。
ロートンのダンディな熱唱に痺れる②、プログレ・タッチの重厚なドラマ性迸る④、からのタイトな疾走ナンバー⑤、ジャジーで小粋な哀愁のバラード⑥、ヴァイオリンをフィーチュアして、ヘヴィ且つ劇的に本編を引き締める⑧等、優れた楽曲が揃うアルバムを聴くと、当初は引退も視野に入れていたというメンバーが、本作の出来栄えに確かな手応えを感じ、「俺達ぁまだまだやれる!」とその考えを撤回する気になったのも当然だなと。
前作『TOO LATE TO HETE』に匹敵する力作。今度は単独来日公演をお待ちしております。


DON AIREY - Keyed Up - Adagio ★★★ (2019-06-24 00:49:31)

クラシックの名曲“アルビノーニのアダージョ”のカヴァー。
壮絶に泣きまくるGは故ゲイリー・ムーアの名演で、
レコーディングは'09年9月に行われていた模様。
楽曲の素晴らしさ/演奏のクオリティ両面において
まさに「お宝音源」との評価に相応しい逸品。
ドン・エイリーに感謝ですよ。


DON AIREY - Keyed Up ★★★ (2019-06-23 02:11:45)

現在はDEEP PURPLEに加入し、故ジョン・ロードの後任という大役をこなすドン・エイリー(Key)が'14年に発表した作品。彼のソロ・アルバムを購入するのは『K2-栄光と悲劇の物語-』(’88年)以来でして、日本盤が発売されたのもアレ以来なのだとか?
'11年に急逝したゲイリー・ムーア(G)の参加音源が収録されていることから購入を決意しましたが、ゲイリー以外のゲストの顔触れもまぁ渋い。盟友グラハム・ボネット(Vo)の参加は予想の範疇にしても、PERSIAN RISKのカール・センタンス(Vo)とか、元BLACK SABBATHのローレンス・コットル(B)とか、再結成SWEET SAVAGEのメンバーだったサイモン・マクブライド(G)とか、英国HR/HMシーン一筋に歩んできたドンのキャリアを物語るかのように、派手さはなくとも滋味溢れる面子が集結しています。
本作で聴けるのは、ドンの操るハモンド・オルガンが時にブルージーに、時にクラシカルにサウンドの基盤を作り、そこに参加メンバーの演奏が阿吽の呼吸で絡む正統派のブリティッシュHR。歌入り楽曲よりもインスト・ナンバーの方が、Voパートよりもインスト・パートの方が遥かにテンションが高い辺りが微笑ましく、中でも急逝したキース・エマーソンにオマージュを捧げるスリリングな③、RAINBOW時代から重要なレパートリーであり続ける“DIFFICULT TO CURE”のセルフ・リメイク⑧、そしてゲイリー・ムーアのギターが期待通りの泣きを発散する“アルビノーニのアダージョ”の翻案カヴァー⑩は、アルバムのハイライトと呼ぶに相応しい素晴らしさ。
ドンが発表した他のソロ作もチェックせんといかんという気分にさせられる1枚。


RALF SCHEEPERS - Scheepers - The Pain Of The Accused ★★★ (2019-06-20 23:13:21)

ジャケットにフィーチュアされた、2、3人は人を殺めてそうなルックス(失礼)とは裏腹に
剛から柔まで、ラルフ・シーパースの卓越した歌唱力が遺憾なく発揮された
ドラマティックな大作ナンバー。しかもこれをラルフ自身が作曲しているのだから大したもの。
そして嘗ての僚友カイ・ハンセンが劇的なGソロで楽曲の盛り上がりに華を添えるという
至れり尽くせりなアルバムのハイライト。