およそ2年半ぶりとなる3作目で、Voのミッコが自身のメインバンドであるSWALLOW THE SUNの活動に専念するために離脱というアクシデントに見舞われたが、後任にフェロー諸島出身のヨン・アルダラを迎え入れて再出発を図る。気になる新加入のヨンのVoだがこれが思わぬ収穫で、獰猛さ剥き出しのグロウルと独特の気品と色気を醸すオペラティックなクリーン歌唱を自在に操り、ミッコの後釜という大きな壁を難なくクリアしてしまうほどの実力者。
2006年に解散してしまった(しかし2014年の上旬ごろに再結成した模様)、スウェーデンはボロース出身の7人編成ゴシックメタルバンドの3rd。男女ツインヴォーカル体制のTHEATRE OF TRAGEDYタイプのゴシックだが、サウンドのモダンさや浮遊感を醸すアレンジ等ではLACUNA COILあたりにも近い感じ。前作ではゲスト扱いだったロッタ嬢がリードVo役に抜擢され、新たに男性Voポジションとしてエリク・モラリン氏が加入。
程よくモダンで引き締まった音作りにスペーシーなシンセを絡ませた雰囲気作り、あそこまで激ウマではないが時折THE GATHERINGのアネクを思わせるロッタと、TYPE O NEGATIVEやTHE 69 EYESにも通ずる妖艶な低音ヴォイスを持つエリクの妖しい二本立てVoで送るロマンティシズム溢れる耽美サウンドはなかなかに上質。ゆったりした流れの中で2や7といった決め手の曲も引き締め効果をもたらしている。デジパック盤のボートラとして収録されているABBAのドンヨリ淀みまくったカバーも聴き所。