スウェーデンはボロース出身トリオ編成のゴシック・ロックバンドの1stで、イタリアはフィレンツェを拠点とする新興レーベル『Wormhole Death』からのリリース(2015年)。元BESEECHのエリク・モラリン(Vo,G)とヨナス・ストロムベルグ(G)、元SKINEATERのヨルゲン・ストレム(B)らが中心となって2012年に結成され、彼らが在籍しているTHE MARY MAJOR(女性Voのヘヴィ・ロックバンドで、BESEECHから派生した分家バンド)が活動休止になった昨年あたりから本格的に始動し、満を持してのデビューとなる。
浅い歪みを利かせた簡素なカッティングやゆったり目のアルペジオを駆使するG、アトモスフェリックな暗がりをもたらすシンセを敷き詰めたミドル~スローテンポ主体のダークウェーヴ・ゴシックを展開。JOY DIVISIONやTHE SISTERS OF MERCY等のUKポストパンク勢からの影響が濃厚なサウンドが特徴でメタルならではのヘヴィな激しさは皆無に等しいが、北欧ならではの薄ら寒い寂寥感をまとった暗鬱ムードとメランコリックな倦怠感が一体化した心地よさはなかなかのもの。良くも悪くも曲調は似通っているためふり幅は広いとはいえないものの、躍動感のあるロックンロール調の5や微量にトラッド要素が覗く9、PINK FLOYD的なサイケ色を塗した大曲の4や11などある程度の工夫を凝らしている。
IRON MAIDENの看板ヴォーカリスト(リリース当時はまだ離脱中だったが)、ブルース・ディッキンソンの5thソロ作。TRIBE OF GYPSIESの実力派メンバーらに加えMAIDENを離脱して放浪中だったエイドリアン・スミスをバックに従え、さながらサバスやカテドラルを思わせるほどにドゥーミィなヘヴィさとどこか神秘的な雰囲気を纏った正統派メタルを展開。破壊力抜群の1や4を始め5や7のような展開の妙技を堪能できるプログレ大曲、サイケデリックな浮遊感と憂いに満ちた10と聴き所は多く、MAIDEN時代とは一味違う魅力が満載。ウィリアム・ブレイクの作品を引用したアートワークや錬金術等をテーマにした歌詞と深みのある世界観も特徴で、それらが楽曲のムードと絶妙にリンクしているのがいい。