タイトル曲の「HEART OF THE STORM」は濃厚なブリティッシュ臭が漂う佳曲でバーニーの ギターもブルージーに唸ってますが、彼のトーンとシンセの相性はけっして良くはないです。 しかしブリティッシュ・ブルースと係わりの深い彼がよくこの方向で行こうと決断したなぁ。 レコード会社が猛烈にプッシュしていれば売れてたよこのバンド。 これは言っちゃいけないけど、MTV向きのルックスじゃないことが災いしたのかもね。
上のいくつかの意見に散見できるように、音質面、曲の構造など若いメタラーにとっては、とても 楽しみ難い作品なのでしょう。無理やり褒めるべき部分を見つけ出すより正直な意見だと思います。 僕がこの作品を購入したのは「DEFENDERS OF THE FAITH」リリース前。この時でさえ 入り込むには時間がかかったように記憶してます。なので「PAINKILLER」以降からのファンは これを聴くのはぶっちゃけツライでしょう。
「SCREAMING FOR VENGEANCE」~「DEFENDERS OF THE FAITH」の時期にK.Kが使っていた HAMERというメーカーのフライングVタイプ、あれはカッコ良かったなあ。 伝統的なギブソンのフライングVのように見えて細部はK.Kのこだわりが満載の戦闘仕様。 その名も「VECTOR K.K」! 「TURBO」以降は、あの初心者マークみたいなVタイプの使用頻度が高くなっていくんだけど 個人的に、フォルム的には「VECTOR K.K」が好きだなあ。
この1stでもそのセンスは遺憾なく発揮されています。一聴しただけで冷たい質感と同時に鉛を 飲み込んだかのような重さが感じられます。不安感を煽る音のチョイスは見事。 叙情メロディが素晴らしい「THEN CAME THE LAST DAYS OF MAY」はアメリカン・ニュー・シネマ のような歌詞世界と鬱なアンサンブルが絶妙です。 かと思えば、「STAIRWAY TO THE STARS」のようにキャッチーな曲もあったりしてデビューの 時点でいわゆるBOCをBOC足らしめる主要項目は出揃ってますね。 しかも本作を含む初期の作品は攻撃的なリフの頻度も高く、この時代しか認めないというファンも 多数存在します。彼らの魅力はそれだけじゃないんだけどなぁ。
中でも「THE SIEGE AND INVESTITURE OF BARON VON FRANKENSTEIN'S CASTLE」の 劇的な構成に圧倒されますね。マジで涙が止まりません。このバンドのファンでよかった。 リリース直後、ソッコーで入手して以来、毎日幾度となく聴いてきましたが未だに飽きることなく 感動できるってスゴイことだよなあ。
これは当時盛り上がっていたHMの影響があるんではないでしょうか。 冒頭の「HEART BREAK KIDS」では今までに無いスピーディーで整然としたフレーズを キメています。そして彼らの真骨頂ハードR&Rの「TAKE ME TO YOUR PARTY」。 疾走感とサビの切ないコード進行が何度でも聴きたくなるアッパーな佳曲です。 アリス・クーパーのカヴァー「SCHOOL'S OUT」は日本語の歌詞がナイス。