なぜか過小評価されてしまうこのアルバム、「TURBO」と「PAINKILLER」の「橋渡し的アルバム」みたいな評価しかされなかったりすることもしばしば。 確かに焦点の定まっていない気はするし、はっきりいってつならない曲(JUDASにしては)もある。 しかし!タイトル曲である「RAM IT DOWN」の存在により、このアルバムを駄作と呼ぶことはできないはずだ! のっけからのロブのハイ・トーン・シャウト、K.Kとグレンのギターの掛け合いも強烈で、スピード、パワー、メロディといったメタルの三要素を全て兼ね備えたこの名曲は、現時点における私のベスト・メタル・ソングである。 イントロのギター・ソロがかっこいい、ヘヴィな「HEAVY METAL」、ロブの透きとおった声が魅力的でややキャッチーな「LOVE ZONE」、ギター・ソロ前のロブのシャウトが素晴らしく、リフもかっこいい「COME AND GET IT」、明るさと激烈さを兼ね備えた名曲「HARD AS IRON」、デジタルな音作りが気になるものの、壮大で美しい「BLOOD RED SKIES」、ブリティッシュな「I'M A ROCKER」、ロックのスタンダード・ナンバーを破天荒にカヴァーした「JOHNNY B.GOODE」、ヘヴィで力強い「LOVE YOU TO DEATH」、ダークで引きずるような重さの「MONSTERS OF ROCK」といった他の収録曲も、アルバム後半がやや弱い気もするが平均点は軽くクリアしている。
DOKKEN解散後、ドン・ドッケンが、元EUROPEのジョン・ノーラム(g)、元WATCHTOWERのビリー・ホワイト(g)、元ACCEPTのピーター・バルテス(b)、元KING DIAMONDのミッキー・ディー(ds)と結成した、自らの名を冠とするバンドのデビュー・アルバム。 その音楽性はDOKKENの延長線上にあるものの、若干、地味な印象を受けるかもしれない。 ジョージ・リンチの攻撃的でスリリングなギターが入っていないことに寂しさを感じるリスナーも多かったのではないか。 しかし、失ったものの変わりに得たものがあるのも事実で、ジョン・ノーラムが持ち込んだ哀愁がそれであると個人的に思っている。 例えるなら「UNCHAIN THE NIGHT」や「SO MANY TEARS」などの曲が持っていた雰囲気に近いものがあるかもしれない。 これまでのドンのヴォーカルには線の細さを感じさせるきらいがあったが、本作では曲の持つ哀愁や叙情性にフィットした、実にウェットな歌を聞かせてくれている。 「CRASH'N BURN」は「TOOTH AND NAIL」や「KISS OF DEATH」といったDOKKEN時代の名曲にも引けをとらないかっこよさだし、続く「1000 MILES AWAY」も幻想的なバック・コーラスがとても印象的な好曲。 他にも、イントロがカッコイイ「LIVING A LIE」、ギター・リフが風変わりでややキャッチーな「MIRROR MIRROR」、哀愁を感じさせるクラシカルな「STAY」、爆撃音から導かれるギターのメロディが美しい「DOWN IN FLAMES」、ドラム・ソロから始まるアグレッシヴな「THE HUNGER」などはDOKKEN時代のコンパクトな楽曲を彷彿させる出来栄えだ。 「WHEN LOVE FINDS A FOOL」の作曲クレジットにはグレン・ヒューズの名も。 ただし、ジャケットのチープさはいただけないな。
シンセイサイズド・ギターを導入したキャッチーな作風が「問題作」となったのは周知のとおり。 今だからこそ「いい作品である」という評価も出来るが、「SCREAMING FOR VENGEANCE」、「DEFENDERS OF THE FAITH」とHEAVY METAL史に残る名盤を立て続けに発表した後の路線変更であったため、戸惑いを感じたのは事実。 しかし、同じアルバムを作り続けないのもPRIESTの魅力であり、楽曲の完成度も非常に高い。 良くも悪くもアルバムの印象を決定付けた「TURBO LOVER」、明るく疾走感のある好曲「LOCKED IN」、サビを合唱したくなる「PRIVATE PROPERTY」、反抗心あるキッズへのロック・ナンバー的な歌詞の「PARENTAL GUIDANCE」、明るいロックン・ロール賛歌「ROCK YOU ALL AROUND THE WORLD」、幻想的なイントロを持つドラマティック曲「OUT IN THE COLD」、リフがちょっとAC/DCを想起させる「WHITE NIGHT,HOT & CRAZY DAYS」、シンセ全快ながらも哀愁感ある「HOT FOR LOVE」、悲哀に満ちたメロディが絶品の「RECKLESS」と、80年代のアリーナ・ロックを意識したかのような作風である。 所々に散りばめられた哀愁も見逃せない。名盤です。
前作「SCREAMING FOR VENGEANCE」と並び称される、ヘヴィ・メタルの名盤。 個人的には前作の方が好きだけど、本作の方が湿り気のあるブリティッシュなサウンドで、曲の哀愁度も上だと思う。 JUDAS屈指のスピード感に満ちたHMの超名曲「FREEWHEEL BURNING」、1曲目の勢いを失うことなく、かつ、メロディに哀愁のある「JAWBREAKER」、展開が非常にドラマティックで、泣かせるギター・ソロを聴かせる、これまた哀愁度抜群な「ROCK HARD RIDE FREE」、「THE HELLION」にも匹敵するほど劇的なオープニングからの展開が素晴らしい「THE SENTINEL」、ヘヴィでモダンなサウンドの「LOVE BITES」、スラッシュ・メタルのような荒々しさの「EAT ME ALIVE」、他人の作品だが、古典的な歌メロとギター・リフがかっこいい「SOME HEADS ARE GONNA ROLL」、ロブの歌唱とギター・ソロが美しいバラード「NIGHT COMES DOWN」、引きずるような重さの「HEAVY DUTY」から、最後はメタルの挽歌とも言うべき「DEFENDERS OF THE FAITH」で締めくくられる。 前半の素晴らしさと比べてしまうと後半の曲の出来は落ちるが、捨て曲はない。 この「アルバムが一番!」というファンも多いのでは?
JUDASのアメリカでの成功を決定付けた名盤中の名盤。 前作まで曲のシンプル化を辿っていたJUDASであったが、本作ではリフのかっこよさはそのままに、疾走感、メロディ、ギター・ソロと失いかけていたものを取り戻し、メタル・ゴッドの冠にふさわしいアルバムとなった。 威厳に満ちたオープニングの「THE HELLION」から超名曲「ELECTRIC EYE」への流れの素晴らしさについては言うまでもないだろう。 間髪入れずに雷鳴のようなドラミングで始まる「RIDING ON THE WIND」も格好いいギター・リフを持った名曲だ。 ギター・リフの格好よさではこちらも捨て難い「BLOODSTONE」、他人の曲であるも哀愁のあるメロディが美しい「(TAKE THESE)CHAINS」、ロブの情念のこもった力強いヴォーカルが印象的な「PAIN AND PLEASURE」と続き、復讐の叫びとの邦題がピッタリな、ロブの凄まじいスクリームとツイン・リードの教科書とも言うべきギター・ソロが聴ける「SCREAMING FOR VENGEANCE」、そしてギター・リフが恐ろしくかっこいい、JUDAS最大のヒット曲ともなった「YOU'VE GOT ANOTHER THING COMIN'」、哀愁、メロディアス、ポップと色々な要素を兼ね備えた隠れた名曲「FEVER」、明るいリフとメロディに高音ヴォーカルか乗った「DEVIL'S CHILD」でアルバムの幕を閉じる。 個人的には本作こそが最高傑作。
トミー・ハートがFAIR WARNINGを脱退し、元BONFIRE等のベーシストだったヨルグ・ダイジンガーらと結成したバンドのデビュー・アルバム。 ブリティッシュ・ハード・ロックのような趣のあるサウンドが特徴であり、FAIR WARNINGと似ている点はトミーのヴォーカルくらいではなかろうか。 バンド名の由来ともなったFOREIGNERのカヴァー「SOUL DOCTOR」の軽快な疾走感が耳を引くが、トミーが本領を発揮したバラード「BEFORE THE NIGHT IS OVER」や「YOU'RE ALL THAT I WANT」、「WILD AND ON THE RUN」の美しさを是非体感して欲しい。 このバンドならではと言えるような特徴に乏しいため、地味な印象の拭えない作品ではあるが、ライヴをやりたいとの真っ当な理由でFAIR WARNINGを脱退したトミーには頑張って欲しい限りである。
ヘヴィで緊張感に満ちた前作「CRANK」から一転して、明るくfunなアルバムと形容したくなる本作。 しかし、これが魅力的なハード・ロック・ソングが満載で悪くない出来! て言うか、むしろ前作のようなヘヴィ・メタルな音作りが変化だったのであり、バンド本来の方向性に立ちかえったと言えなくもない。 シンプルで覚えやすい「ONGOING AND TOTAL」、明るいギター・メロディが印象的な「DO YOU UNDERSTAND?」、ホーン・セクションを大胆に挿入したリーダー・トラックの「ALL SUSSED OUT」、パンキッシュな勢いに満ちた「AFRAID OF FLYING」等、コンパクトでカッコイイ曲ばかり。 THE WiLDHEARTSとか好きな人なら、このアルバムもきっと気に入るのでは?
「TURBO」と並んで問題作とされているこのアルバム。 バンドの肝でもあったギター・ソロは激減し、前作以上に贅肉を削ぎ落としたシンプルな作風であるため、JUDASはヘヴィ・メタルの最高峰であってほしいと願う向きには物足りないかもしれない。 ライヴでも演奏されることの多い、ギター・リフが魅力的な「HEADING OUT TO THE HIGHWAY」、JUDASの作品中でおそらく最もシンプルなギター・リフの「DON'T GO」、ヘッド・バンギングを誘う超名曲「HOT ROCKIN'」、イントロのギターが妙に明るい「TURNING CIRCLES」、メロディアスなサビとギター・ソロ、ロブの歌唱が素晴らしい名曲「DESERT PLAINS」、イントロのギター音やサビのない歌が実験的ですらある「SOLAR ANGELS」、跳ねるリズムがキャッチーな「YOU SAY YES」、明るくキャッチーな「ALL THE WAY」、「LIVING AFTER MIDNIGHT」のような明るさとノリを持った「TROUBLESHOOTER」、イントロのメロディアスなギターとロブのハイ・トーンが心地よい「ON THE RUN」と楽曲の出来は決して悪くは無いが、初期の頃のような様式美は薄れてしまった。
正統派ヘヴィ・メタル・ファンには涙モノの1枚! スラッシュ・メタル張りの複雑な曲展開に乗せて、美しいギター・ハーモニーとジョン・サイリースの驚異的なハイトーンを聴かせてくれる素晴らしい内容である! バンドのテーマ曲とも言うべき「AGENT OF STEEL」1曲だけでも聴く価値はあるが、他にもキング・ダイアモンドのような歌唱の「TAKEN BY FORCE」、マシンガン・ピッキングの疾走曲「BLEED FOR THE GODZ」、疾走キラー・チューンの「144,000 GONE」、ハイ・トーンを駆使した「GUILTY AS CHARGED」、イントロのギター・ハーモニーがかっこいい「BACK TO REIGN」も良い出来だ。 なぜ、こういうサウンドを持つバンドが、この日本でブレイクしなかったのかが不思議である。
ハードロック・ブームを意識したかのようなモダンな雰囲気が漂う作品。 アンガス&マルコム自らのプロデュースによる音はビッグできらびやかだが、もっと低音を利かせて欲しい気もする。 「SHAKE YOUR FOUNDATIONS」や「SINK THE PINK」は一緒に歌いたくなるし、「DANGER」は、なんてことのないイントロになぜかかっこよさを感じる。 「PLAYING WITH GIRLS」のモダンなギター・リフもいい。 彼らの本質は何一つ変わっちゃいないんだが、どこかアグレッシブさに欠ける気がするのも事実。
2003年の来日記念アルバム。 「CRUCIBLE」の中でも疾走感に満ちた「WRATH OF GOD」と「HANDING OUT BULLETS」に、未発表曲の「FUGITIVE」と「SHE」を収録、さらにCDエキストラとして「BETRAYAL」と「IN THE MORNING」のPVが見れる。 未発表曲はいずれもダークで、「CRUCIBLE」に収録されていても違和感のない曲(SHEのギター・ソロは美しい)。 それよりも、このCDの売りはPVの方だろう。 特に「BETRAYAL」はとてもカッコイイ出来だ。
パンキッシュだった前作に比べ、よりハード・ロックに近づいたという印象。 歌詞からしてロックン・ロールなオープニングの「I LOVE TO ROLL」を耳にした時点でK.O.された。 北欧のバンドらしい哀愁を持った「PAYBACK」や「THE CLASH」、展開があまりに劇的な「COLOURS」、SUPER SHIT 666でもやっていた「STAR WAR」、ポップでパンキッシュな「HEAVEN 2.9」、思い切りRAMONESしている「TOO TOUGH TO MAKE SOME FRIENDS」等、捨て曲は見当たらず、ボーナス・トラックの2曲もよい出来。 一般的には前作「TOTAL 13」の人気が高いようだが、私は断然こちらが好きだ!! 「BRAND NEW HATE」は名曲!!
ギターのアモット兄弟は勿論のこと、ベースのシャーリーにドラムのダニエル、そして新ヴォーカルにアンジェラを迎えたラインナップは実力・個性共に申し分なく、いよいよ隙のない凄いバンドになってきたなという印象。 デス・メタルをなんとなく敬遠している人にとっては入口的なアルバムになるのではないだろうか? アンジェラの声は同じデス声でも、前任者のヨハンのようにメロディをなぞるタイプではなくヒステリックに吐き捨てるタイプであり、好みは分かれるところだと思うが、このブルータルな声がメロディアスなバックの演奏を引き立てているように思う。 ピアノの調べから疾走する曲展開がかっこいい「ENEMY WITHIN」、MEGADETHの「HANGAR18」を彷彿させる「BURNING ANGEL」、サビのバックで流れるギター・メロディが美しい「HEART OF DARKNESS」、トリッキーなギターと驚異的なドラム・プレイが聴ける名曲「RAVENOUS」、METALLICAの「ORION」のようなギター・ソロの「SAVAGE MESSIAH」、リズミカルなイントロとギターのハモリが印象的な「DEAD BURY THEIR DEAD」、アンジェラの声に恐怖感さえ感じる「WEB OF LIES」、マシンガンのようなギター・ピッキングの「THE FIRST DEADLY SIN」、引きずるようなヘヴィさがPANTERAのような「BEHIND THE SMILE」、単純ながらも美しいギターを聴かせるインストの小曲「SNOW BOUND」、アルバム収録曲の全ての要素を兼ね備えたような最後の曲にふさわしい「SHADOWS AND DUST」と捨て曲も見当たらない。 私の中では2001年度のベスト・アルバム。
はっきりいって最近のRAGEはメンバー・チェンジの影響もあり、人気に陰りの見えたバンドというイメージがあった。 しかし、本作における全く隙の見当たらない素晴らしい出来栄えはどうだ!! 楽曲はバラエティに富んでおり、かつてのようなフックのあるメロディが蘇るなど個性も申し分ない。 各メンバーの演奏も過去最高ではないだろうか。 軍隊の行進を想起させるドラム・リフに始まる「ALL I WANT」やサビにいたるまでの盛り上がり方が素晴らしい「INSANITY」はライヴで一緒に歌うには持ってこいの名曲。 まるでJUDAS PRIESTのような「DOWN」、過去のRAGEの楽曲に近いタイプの「SET THIS WORLD ON FIRE」、クワイアがスリリングな雰囲気を醸し出す「DIES IRAE」、ドラムの2バス連打とギターのマシンガン・ピッキングが渾然一体となって押し寄せる「WORLD OF PAIN」と続く。「SHADOWS」の美しいギター・ソロに導かれて始まる「LIVING MY DREAM」はサビのメロディがあまりにも感動的。 マイク・テラーナの迫力あるドラムに圧倒される「SEVEN DEADLY SINS」、まるでイングヴェイの曲のような「YOU WANT IT,YOU'LL GET IT」、ヴィクターの素晴らしいテクニックが窺えるインスト曲「UNITY」でアルバム本編は終了。 ボーナス・トラックの「DARKNESS TURNS TO LIGHT」も本編の曲に劣らず素晴らしいどころか、シングル・カットされてもおかしくないほどの出来。 個人的には2002年度のベスト・アルバムに挙げたい。
この哀愁の根底にあるのはやはり北欧の血なのだろうか。 ガレージ・ロック、パンク的ハチャメチャさだけがこのバンドの持ち味ではないのだが、ここまでメランコリックな作品になろうとは、いい意味での驚きである。 タイトル曲の「BY THE GRACE OF GOD」や「RAINY DAYS REVISITED」、「GO EASY NOW」ではそれが特に顕著に表れている。 「BETTER THAN YOU」や「U.Y.F.S」のような明るくキャッチーな曲もよい。 大袈裟ではなく、THE ROLLING STONESを想起させるかっこよさです。 ボーナス・トラックもとてもよい出来映え。
ヴァイキーが前作「THE DARK RIDE」を失敗作とし、その要因としてローランド、ウリ、ロイ・Zの名を挙げてメンバー・チェンジ&プロデューサー交代を行ったことから、本作は最もファンが求めていると思われるヴァイキー色の濃い作品になるだろうと思っていた。しかし、想像以上に正統的なサウンドになったなというのが個人的な感想である。個人的には、マイケル・キスクにはKEEPER~のころのクサいメロディが実によくはまっていたと思うが、アンディ・デリスには本作のような正統派サウンドが合っていると思っているので、その点は素直に喜びたい。 ただ、気になった点が2つ。1つ目は「HELLOWEENらしいクサいメロディの曲=コミカルな曲」になってしまっているように感じられること。「JUST A LITTLE SIGN」や「THE TUNE」などはいい曲ではあるものの、妙に明るくコミカルな点が少々気になってしまう。「EAGLE FLY FREE」や「I WANT OUT」などにはいい意味でのメロディのクサさと緊張感があった。2つ目はアンディが曲によって似合わない低音で歌っていること。「LIAR」なんて歌が入るまではメチャクチャかっこいいのに、この低い声で台無しにしてしまっているように思う。もっと高いピッチで歌っていればアルバムを代表する名曲になっていたかもしれないのに。 「PERFECT GENTLEMAN」のような「NEVER BE A STAR」、イントロのメロディがかっこいい「DO YOU FEEL GOOD」、アンディの高音シャウトが印象的な「LISTEN TO THE FLIES」など、いい曲が揃っているが、このアルバムのハイライトはなんといっても「OPEN YOUR LIFE」と「HELL WAS MADE IN HEAVEN」の2曲である。この哀愁はアンディが歌ってこそ出せるものだと実感。
はっきりいって最近はメロ・スピというものに嫌悪感さえ抱いていた。 歌メロだけがキャッチーで、バックの演奏は2バス連打とマシンガン・ピッキングを繰り返すだけというバンドが余りに多いからである。 しかし、このKAMELOTというバンドは演奏技術も高くてインスト部分だけでも素晴らしい上に、ロイ・カーンの美しいヴォーカルが乗るのだからたまらない。 まるで映画のサントラのような「REGALIS APERTURA」からメロディアス・スピード・メタルの名曲「FOREVER」、さらにサビのメロディが美しい「WINGS OF DESPAIR」のギター・リフへと続く流れは、まるでJUDAS PRIESTの「THE HELLION」~「ELECTRIC EYE」~「RIDING ON THE WIND」の流れを彷彿とさせる(誉め過ぎかな?)。 「DON'T YOU CRY」は哀愁漂うバラードで、こういうタイプの曲がロイの声に一番合っているように思う。 タイトル曲「KARMA」はドラマティックな曲で、ヘヴィなバックの演奏にのる美しいピアノの音色が印象的だが、難を言えば、アルバム全体に言える事でもあるが、サビにおけるロイの歌唱にもっと爆発力が欲しかった。 「ACROSS THE HIGHLANDS」はキャッチーなギター・リフと哀愁のあるメロディを持った個人的に好きなタイプの曲。 組曲「ELIZABETH」は構成にもう一ひねり欲しかった気もするが、「FALL FROM GRACE」はアルバム中、最も速くストレートなヘヴィさを持ったナンバー。 ボーナス・トラックの「FUTURE KING」も本編に収録されていても違和感は無い出来。 これがアメリカのバンドってことにも驚きである。