どう擁護しようとも過去の名盤と比べれば明らかに劣ると言わざるを得ない。 しかし、駄作かと問われればそうとも決め付けることも出来ないサウンドがここにはある。 リーダー・トラックでもある1曲目の「GET'S ME THROUGH」がヘヴィで地味な曲であるため、なおさら印象が悪いのだが、リフがかっこよく、個人的に気に入っている「FACING HELL」、「GOODBYE TO ROMANCE」や「ROAD TO NOWHERE」の流れを汲む美しいバラード「DREAMER」、ザックらしい暴れっぷりのギター・リフが楽しめる「THAT I NEVER HAD」、美しいピアノの音色に導かれる「RUNNING OUT OF TIME」、ギター・サウンドがBLACK SABBATHを想起させる「BLACK ILLUSION」、スローな曲調から疾走する様がかっこいい「ALIVE」、オジーの裏声が妖しい「CAN YOU HEAR THEM?」等は押さえておきたい。
文字どおり日本武道館でのライヴ音源。 選曲はBESTとはいい難く、前半の「DOWN TO EARTH」収録曲を中心とした構成は正直ダレる。 「NO MORE TEARS」を境に過去の名曲群が立て続けに演奏されるものの、チューニングがオリジナルよりも下げられているので違和感を感じることもしばしば。 同じテイクのDVDも発売になっているが、こちらは映像がともなっていることもあり、オジーの強烈な個性とザック、ロバート、マイクの演奏の凄さが視覚的にビンビンと訴えてきて飽きさせることのない内容となっている。 CDには未収録の「SUICIDE SOLUTION」とザックの凄まじいギター・ソロが聴けるDVDの方がやはりオススメ。
日本人好みの疾走感・透明感を持ったサウンドで話題になったデビュー・アルバムに続く2nd。 オープニングが壮大な「WEBALLERGY」、歌メロがメロディアスな「SAN SEBASTIAN」、イントロのキーボードがスリリングな「WOLF & RAVEN」はファンが喜びそうな典型的なソナタのスピード・チューンであり、この3曲がもてはやされるのはわかるが、そこいらの凡百メロスピ・バンドと違ってこのバンドはミディアム・テンポの曲も充実しているのがポイント。 ただ、「SAN SEBASTIAN」だけは個人的にはあまり好きになれない。 悪い曲ではないが、歌メロが美しい割にはバックの演奏があまりに単調な気がしてしまう。 それでも哀愁のあるメロディがとてもかっこいい正に名曲の「BLACK SHEEP」、中盤の「ヘイ!ヘイ!」の掛け声がよいフックとなっている「LAND OF THE FREE」、トニーの伸びやかな歌唱がなかなか素晴らしい「LAST DROP FALLS」、サビのメロディが美しいミドル・テンポの「SING IN SILENCE」、ピアノをバックに歌う静かな曲調から暖かみのあるサビへの展開が美しい「TALLULAH」等、内容は充実している。 「RESPECT THE WILDERNESS」もボーナス・トラックにしておくには惜しい出来栄え。
NEW ENGLANDのドラマーによるソロ・アルバム。 NEW ENGLANDの美旋律メロディーに涙した者の期待を決して裏切ることの無い、ポップで透明感のあるサウンド満載の好作品。 「DON'T YOU STEAL」なんてモロNEW ENGLANDだし、「MORE THAN YOU'LL EVER KNOW」では他のメンバーも参加している。 「SHE IS LOVE」、「WHEN THE SKY CRIES」、「NEVER LOVE」といったバラードも充実。 売れる音ではないが、コンスタントに作品を発表し続けてほしい。
前作「JAGURATOR」はブルータルな作風で、それが結構鼻に付くところがあったのだが、本作はモダンでありつつも伝統的なHMを主体とした作品になっている。 オープニングの疾走曲「MACHINE MAN」は一発で気に入ったし、続く「ONE ON ONE」もヘヴィなミディアムテンポの佳曲。 「HELL IS HOME」は美しくもダークな曲で、「JEKYLE AND HYDE」は過去のPRIESTにはないタイプの個性的な曲。 パワー・バラードの「CLOSE TO YOU」、リッパーの唸るような低音ヴォイスが印象的な「DEVIL DIGGER」と続き、往年のJPを彷彿させる「BLOODSUCKERS」では、リッパーの驚異的なハイトーンが聴ける。 うねるようなヘヴィさを持つ「IN BETWEEN」、思わずヘッド・バンキングしたくなる「FEED ON ME」、現代風サウンドの「SUBTERFUGE」、アコースティック・ギターによるバラード「LOST AND FOUND」、デジタルなヘヴィ・サウンドの「CYBERFACE」、ラップ的な歌唱から美しいメロディを聴かせる「METAL MESSIAH」で本編終了。 ボーナス・トラックの「WHAT'S MY NAME」はリッパーが作曲に関わった曲。 最初は素晴らしい出来栄えであると感じたのだが、やはり過去の名盤に比べると曲の出来にばらつきがあるように思う。 モダンなサウンドを意識しているにも関わらず古臭く感じてしまうのは自分だけだろうか? スコット・トラヴィスのドラムが今回は大人しいのも気になるなあ。
正直、これまでのこのバンドはシアトリカルなイメージばかりが先行していて、曲の方はもう一息って感じだったが、このアルバムは2001年のベスト・アルバム候補に挙げられるほどの名盤である。 いい曲が多いばかりでなく、バラエティに富んでいるのでだれることがない。 N.W.O.B.H.Mのバンドのような「THERE WILL BE BLOOD TONIGHT」、哀愁させ感じさせるメロディが印象に残る「HELL IS FOR HEROES」や「LOVIN' YOU IS MURDER」、「STATE OF PAIN」、キャッチーでいかにもアメリカンな「DEAL WITH THE DEVIL」、シタールを使うなどオリエンタルなメロディを持つ「ZANZIBAR」、インダストリアル風の新境地「WE ONLY COME OUT AT NIGHT」、不気味なメロディの「THE WORLD IS MINE」、美しくドラマティックなバラード「BELIEVE」、「GENERATION LANDSLIDE」はALICE COOPER、「(THIS AIN'T) THE SUMMER OF LOVE」はBLUE OYSTER CULT、「WE'LL BURN THE SKY」はご存知SCORPIONSのカヴァー。 本来、こういうサウンドをHEAVY METALって呼んでたんだよなあ。