一言で言うなら、エリック・アダムスのシンガーとしての実力を再確認させるアルバム。 特に、オペラティックな「NESSUN DORMA」、壮大な「VALHALLA」~「SWORDS IN THE WIND」、エルビス・プレスリーが取り上げていたという「AN AMERICAN TRILOGY」での歌唱は正に変幻自在。 アルバムには、勇壮な典型的MANOWARサウンドの「CALL TO ARMS」、美しいピアノの音色から力強く展開するドラマティックな「THE FIGHT FOR FREEDOM」に始まり、ラストは「HAND OF DOOM」、「HOUSE OF DEATH」、「FIGHT UNTIL WE DIE」の怒涛のHMナンバー3連発!! この3曲が全て最後に集中してしまったのが惜しい。 バラエティに富んだ前半部、メタルな後半部と意識してこのような曲順にしたのだろうが、曲構成に変化が欲しかった。
ヘヴィなサウンドのDISC1と組曲「SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE」を収録したDISC2の2枚組。 自分の求めていたDREAM THEATER像はDISC2に詰まっている。 オープニングにふさわしい劇的な「OVERTURE」から感動的な「LOSING TIME/GRAND FINALE」まで、まるで物語のワンシーンが目の前に浮かぶようである。 スリリングな「THE TEST THAT STUMPED THEM ALL」の存在や、「OVERTURE」のフレーズも飛び出す「GOODNIGHT KISS」からアコースティック・ギター中心の美しい「SOLITARY SHELL」への流れなんて最高。 逆にDISC1を聴いた当初は、ここまでヘヴィなサウンドになることは予想しておらず、名盤「IMAGES AND WORDS」の爽快感に酔いしれた身としては正直とまどった。 しかし、何回か聴いて曲を理解するうちに考えが改まったのも事実で、「THE GLASS PRISON」のスリリングな展開はバンドの新境地を開くことに成功しているが、他の曲はちょっと退屈に感じた。 ただ、いつまでも「IMAGES AND WORDS」のころのサウンドにこだわっていても仕方ないわけで、そういう意味では本作のような挑戦的な姿勢は評価できる。 あとは良い曲を作ってくれさえすればそれでいい。
前作で往年のスタイルに戻しつつあったが、本作の1曲目「SUNLESS DAYS」を聴いて「またヘヴィ路線か?」と疑ったものの、これがヘヴィなギターリフとヴォーカルラインのハモリが絡み合ったなかなかの出来栄えの曲。 続く「LITTLE GIRL」もリフがZEPPELINぽくてよいし、「EVERYBODY NEEDS(TO BE WITH SOMEONE)」は爽やかでキャッチーな好曲。 「GOODBYE MY FRIEND」はドンがピアノの調べをバックに伸びやかに歌い上げるバラード。 「HEART FULL OF SOUL」でフックのきいた歌メロを聴かせ、今作のハイライトといっていい疾走曲「UNDER THE GUN」へと続き、アコースティックギター中心の「I'VE FOUND」で本編終了。 ボーナストラックの「DANCIN(THE IRISH SONG)」なども本編に入っていても遜色のない出来。 本作は楽曲もよく、決して悪いアルバムではない。 しかし、まるでドンのソロアルバムのようで、ジョージがいた頃のスリリングさは殆ど皆無。 ジョン・ノーラムも自己主張しきれていない(させてもらえない?)気がする。
80年代に活躍したバンドの多くが無理にヘヴィ路線に進み、失敗した例は多いが、彼らはいきのいい若手がバックを固めていることもあり、ごく自然に過去の伝統を踏まえつつ時代に乗った音を出しているように思う。 「PARK MANOR~CRUCIBLE」のヘヴィなオープニングは賛否両論あると思うが、続く「ONE WILL」は正統的なメタル・ナンバー。 そしてアルバムのハイライトである「BETRAYAL」ではイントロがPRIESTの「EXCITER」や「PAINKILLER」を彷彿させる名曲で、ボビーの凄まじいドラム・プレイとロブの超絶スクリームが聴ける。 続く「HANDING OUT BULLETS」もヘヴィかつスピーディーな好曲。 ボビーが叩きまくりの「HEARTS OF DARKNESS」、うねりのきいた「CRYSTAL」、ザクザクとしたギターリフの「HERETIC」、ヘヴィな曲調からスピーディーに展開する「GOLGOTHA」あたりは正直中だるみするが、ロブが低音で歌うブルータルな「WRATH OF GOD」で再び疾走感を取り戻す。 続く「WEAVING SORROW」も少々退屈だが、妖しい曲調の「SUN」で東洋的なカッコイイギターリフを聴かせてくれる。 本編ラストの「TRAIL OF TEARS」もヘヴィだがサビのメロディは美しい。 ボーナストラックの「ROCK THE WORLD FOREVER」ではヘヴィなリフが押し寄せ、「IN THE MORNING」はPRIESTの「BEFORE THE DOWN」のような美しさ。 ほとんどが疾走感のある曲で占められていた前作とは対照的に重さに重点を置いたようなアルバムだ。 賛否両論あるだろうが、古臭さは全くなく、自分は結構好き。
ブルース復活後のスタジオ・アルバム2作目。 大作志向が強く感じられる曲が目立つが、エイドリアン作曲ならではのサビがキャッチーな「WILDEST DREAMS」、イントロのリフが格好いい「RAINMAKER」、「SIGN OF THE CROSS」や「BLOOD BROTHERS」を想起させるヘヴィさと曲展開の「NO MORE LIES」、怒涛のリフで始まり、高いキーで歌うブルースの歌唱が魅力の「MONTSEGUR」、メランコリックなリフが印象的なドラマティック大曲「DANCE OF DEATH」、イントロが「LORD OF THE FLIES」に似ている正統派ナンバー「GATES OF TOMORROW」、ニコが作曲に関わったストレートな疾走曲「NEW FRONTIER」、映画のサウンドトラックのような雰囲気と複雑な曲展開を持つ「PASCHENDALE」、ニコのバスドラをバックに壮大に曲が展開される「FACE IN THE SAND」、ギターソロ、その後のリフと歌メロの展開が素晴らしい「AGE OF INNOCENCE」、「PRODIGAL SON」にも似た美しさを持つアコースティック・バラード「JOURNEYMAN」と、曲のクオリティは高く、駄曲もない。 しかし、ここ最近の作品で感じることであるが、今後に語り継がれるような名曲は今回も発見できなかったというのが私の正直な感想である。 荒々しいライヴ感のある音作りも個人的には苦手。 LIVEで実際に聴いてみたいですね。
上で皆さんが語られているとおり、代表作でもあり問題作。 それまでの売りの一つでもあったギターソロが激減し、曲のメロディよりもリフの重さに重点をおいたかのような、ヘヴィ・メタルの新たな姿を決定付けた様な名盤である。 抜群の格好よさと勇ましさを持つ「BREAKING THE LAW」、ザクザク刻まれるギターにドラムが被さってくるイントロが印象的な「RAPID FIRE」、ヘヴィなリフにキャッチーなコーラスがのる、バンドのアンセム・ソングともいえるヘヴィ曲「METAL GODS」、単調なリフながら格好よくヘヴィな「GRINDER」、まるで聖歌のような美しさを持つ「UNITED」、一緒に歌いたくなるほどキャッチーで、アンコールでもお馴染みの代表曲「LIVING AFTER MIDNIGHT」、ハモるリフが印象的な「YOU DON'T HAVE TO BE OLD TO BE WISE」、ダークなリフで構成された「THE RAGE」、延々とリフが紡ぎ出される「STEELER」、とやはり捨て曲はない。 ジャケットも個人的には◎。
明るくさわやかな前半部と落ち着いた哀愁の後半部とで趣が異なる、なかなかの好作品。 バグパイプを導入した明るい「WILD CHILD」、まるでJOURNEYのような爽快感の「STONE IN MY SHOE」、哀愁漂う「SOUL BEHIND THE FACE」、外部ライターとの協作曲の絶品バラッド「WHEN YOU CAME INTO MY LIFE」、イントロのギターがかっこいい暖かな「YOU AND I」等聴き所は多い。 90年以降の彼らの作品では一番好きかも。 ギターの音もいい。 ただ、ちょっと大人しめの曲が多いのが難点かな。
個人的には本作はハード・ロックからヘヴィ・メタルへの移行作品だと認識している。 これぞHM!の代表的疾走曲「EXCITER」、曲が疾走してゆく様がカッコイイ「WHITE HEAT,RED HOT」、メロディに哀愁を感じさせるカヴァー曲「BETTER BY YOU,BETTER THAN ME」、オープニングからリフが疾走して行く様がたまらなくかっこいい「STAINED CLASS」、イントロのギターが円盤の発着音を思わせる「INVADER」、ロブのシャウトがヒステリックな「SAINTS IN HELL」、PRIEST史上屈指のハイトーンを聴かせる「SAVAGE」、美しさとヘヴィ・リフの共存が素晴らしい名曲「BEYOND THE REALMS OF DEATH」、ミステリアスで恐怖感を感じさせるリフの「HEROES END」といった構成の名盤。 巷で不評のヒャカヒャカギター音だが、個人的に気になるのは1曲目のイントロくらい・・・むしろこのイントロのギターのメロディがまぬけな気が。