もちろんメイデンは全部聴きました。このアルバムもすごくいいと思います。個人的に思うところ、この作品でメイデンはひと区切りです。 この後ブルースが脱退、その後の顛末はどなたでもご存知だと思いますが、振り返るに、聴きどころは本作までだったと実感しています。 捨て曲がないとか、実はあるとか、意見は分かれているようですが、この作品を高評価に押し上げているのは、シンガリに据えられた 一般に奇跡的な超名曲として名高いタイトル曲の存在にあると言ってもいいでしょう。終わりよければ全てよしとはよく言ったもんだ。 お約束の、冒頭からのスピードチューン、「BE QUICK OR BE DEAD」も十分にカッコいいし、3曲目「AFRAID TO SHOOT STRANGERS」 だってあまりにも感動的で落涙ものです。が、しかし、あくまでも私見ですが、アルバム全体から受ける印象は、ひつつ前の作品である 「NO PRAYER FOR THE DYING」と大して変わりません。逆に言うと、決定打を欠くという理由で、「NO PRAYER ~ 」は不当に 低い評価を受けていると思えてなりません。一般論でもそうですし、ここでの書き込み数を見ても、その傾向は明らかです(判官贔屓)。 おっと、話が違う作品にそれてしまいました。要は、この(8)、9作目をもって、私にとってのメイデン黄金期は終わりを告げたのです。 巷のウワサでは、新作のレコーディングが終了したとか...。もちろん、聴くつもりです。でも決して本作以前には戻れません。過去に 囚われず前進することがアーティストとして使命ですから...。「FEAR OF THE DARK」、私にとってメイデンの記念碑です。
一連のメイデン作品の中にあって、最も地味だという評価が大勢を占めるようです。強いて言えばそうかもしれません。 それでも、エイドリアンの脱退、ヤニックの加入というゴタゴタがあったわりには、結構頑張ったんじゃないですか。 全編を通して聴くと、確かに中盤に印象の薄い曲もあるにはありますが、①②③なんかは全然違和感ないし、ラストを 飾る「MOTHER RUSSIA」は、凍てつくロシアの大地が目に浮かぶような情景描写が実に見事な力作だと思いますよ。 ブルース作の「BRING YOUR ~」に至っては、最初にやや場違いな印象を持ちましたが、何回か聴くうちに、すっかり 馴染んでしまっています。恐らく、皆さんの不満は、展開が単純で、あっさりした曲が多いということなんでしょうか。 しかし、思うに、結果論ですが、「THE X FACTOR」以降の作品に比べたら、本作の方が断然いけてますよ。間違いない。 何となくメタルが下火になって久しい中、重鎮として現役で頑張っているメイデンですが、創作活動のピークは次作の 「FEAR OF THE DARK」までだったのでしょう。だからと言って、彼らの偉業が色褪せることは決してありません。 本作は、メイデンのアルバムとして、十分な思い入れを込めて聴くだけの価値が、まだまだあります。聴きなされ!
最近リマスター盤で聴き直した。ニコが加入したはじめてのアルバム。どちらかというと地味な存在か(書き込み数がそれを物語る?)。 全編を通して平均以上だが、コレという決定打を欠いていいるのかもしれない。もちろん「THE TROOPER」みたいな必殺チューンだって あるんだけどね。個人的には、ニコのドラムスが暴れまくる「WHERE EAGLES DARE」、“If you're gonna die、"の掛け合いがやめられない、「DIE WITH YOUR BOOTS ON」、飛び跳ねるリズムが軽快な 「SUN AND STEEL」、♪タァ ~ ンタララァ ~♪という物悲しい調べで幕をあける「TO TAME A LAND」あたりが聴きどころだと思っている。 余談ながら、発売当時はなんでもかんでも「邦題」をつける風潮があり、アルバムタイトルどころか、ほぼ全曲にわたって漢字の上塗り がされていることに、今更ながら辟易する。結局、こういう余計な解釈、表現は、つまらない誤解を生む原因になりかねないと思う。
VOにブルースを迎えた3作目からの路線の中で、本作とその前の6作目が明らかにひとつの到達点であると言える。 皆さんご存知の通り、この後、エイドリアンやブルースの脱退という「お家騒動」が勃発し、バンドに大きな危機が 訪れるのです。もちろんバンドは、この忌々しき事態を乗り越えるワケですが、これ以降若干色調に変化が生じます。 激速スピードチューンから起伏に富んだ長尺曲に至るまで、実にバランスよく散りばめられており、全く飽きさせない。 初期時代の勢いを感じることができるのは、恐らく本作までです。20年が過ぎようとしていますが、全く色褪せません。 個人的には、殿を務める「ONLY THE GOOD DIE YOUNG」がオススメですが、まあ、お好みで . . . 。
あとあと振り返るに、この作品はひとつのターニングポイントだったように思える。ブレイズのVOを評価する以前に、楽曲そのものの質の問題だ。 その後、たとえブルースが戻ったとしても、本作以前の作品を上回るアルバムが出ただろうか。正直、どれも期待はずれに終わっていないだろうか。 傑作として名高い「FEAR OF THE DARK」をピークに、どう考えても、メイデンの楽曲群は陳腐化してしまったと感じないわけにはいかない。 スティーヴのプログレ癖の更なる開花が主たる要因という意見もある。べつに曲が長くても一向に構いませんが、退屈しない展開がないと困ります。 ブルースが唄っても、つまらない曲はつまらないのです。ブレイズのせいにしてかたずけるのは、それこそ言語道断というものです。 このアルバムが分岐点になったのです。本作を含めたそれ以降の作品も、全て期待を込めて購入し、聴きましたが、その内容は心の中に残りません。 結局、一度脱退したブルースやエイドリアンが元のサヤにおさまった現在のメイデンは、単なる妥協の産物でしかないのかもしれない。