マックス・ノーマンのプロデュースによる垢抜けたサウンド・メイクと、持ち前の北欧的流麗メロディ・センス & 美麗コーラスとが相俟って何ともゴージャスな音楽性に「化けた」印象の、220VOLT渾身の勝負作(4th)。 正に「高品質」の一言で、一つの作品として改善の余地の見当たらない「会心」の出来映えと言える内容だと思います。 ダイナミズム且つキャッチーさ溢れるアップテンポ・ナンバーも在れば、シットリした哀愁と透明感に満ちたポップ若しくはバラード・ナンバーも在ったりと、楽曲のバラエティも多彩。 特に「Love Is All You Need」の促す高揚感は特筆モノで、個人的にも涙がチョチョ切れるほどにウットリ聴き惚れてしまう珠玉の名曲です。 80年代北欧メタルの名作の一枚。
強烈にメリハリの効いたタテノリHRを聴かせる、オーストラリアを代表する老舗バンド。 このアルバムは彼らの代表作にして、尚且つ最大の『モンスター級』ヒット作品です。 シンプル & ソリッドな切り口のサウンドと、当時新加入したブライアン・ジョンソンのシャープな金切り声との相乗効果によって発揮される「緊張感」は強力無比。 初代ヴォーカリスト、ボン・スコットの突然の死による悲壮な雰囲気は微塵も無いように感じられます。(勿論ショックや影響は有ったに決まっていますが) むしろそれを乗り越えたメンバーの強靭な精神が、よりハードなベクトルと抜群に高い完成度を生み出した歴史的名盤です。 「Hells Bells」「Shoot To Thrill」「Back In Black」「You Shook Me All Night Long」等の名曲を収録。 ・・・ これからAC/DCを初めて聴く人へ。 多分、正直あまりピンとこないというか~ 「地味にしか聴こえない」・「クラシックな印象しか感じられない」という方もいるかと思います。 でも間違いなくロックの『マスターピース』と言えるバンド、そして価値ある名盤の中の1枚ですよ。
跳ねるような躍動感に満ち溢れた、極上スラッシュ作品。 前半部の縦ノリな「勢い」は特筆モノ(②Caught In A Moshはスバらしい名曲)で、中盤の勇壮でカッコいい⑥Indiansや⑦One Worldにも痺れさせられる。 正にANTHRAXの「何たる」かを体現したアルバム。楽しくて聴き心地の良い親しみやすさがあります。
解散の危機を乗り越えて発表された、バンド復活作にして貫禄ある5th。 前2作のような華やかさは(イイ意味で)やや後退し(でも掴みの①I Believeや④In These Armsは爽やかに聴かせる名曲)、特にバラード曲においては風格・渋さすら漂わせる重厚な作品です。(⑤Bed Of Rosesが抜群) 当時は、この音楽性の変化に戸惑うファンも少なからず。 コレを聴きながらセピア色のジャケ写を眺めていると、若かったあの頃を思い出しちゃいます。
確かに今となっては影の薄い(幸の薄い ? )アルバムですね。 まるで「無かったコト」かの様に最近は話題に挙がらない気がします。 内容は、彼らの過去のキャリアを意識した渋くて良質なブルーズ・ロック。 イイ意味で「くたびれ」感・「しわがれ」感を故意に出したような音作りだと思います。(ギターもヴォーカルも) 凄いメンツなんですけど肩の力を抜いて聴けるあたり、流石と言うべきか(やや衰えたと言うべきか ? )・・・。当時はそんな印象でした。 (でも 「 Take Me For A Little While 」なんて鳥肌モンのいい曲ですよ) 初期のブルージーなWSを試してみたいと思ってる人は、このアルバムの後に聴くとすんなり耳に入っていくんじゃないでしょうか ? (もっとも初期のカヴァーディルは断然コレよりパワフルですが) 当時の日本公演、僕も観に行った一人です。 ZEPの曲もWSの曲も両方聴けて得したなぁ、と思ってしまいました(笑)。 ・・・勿論二人とも素晴らしいパフォーマンスでしたよ。
テッド・ポーリー(Vo.)復帰も相俟って、往年のファンにとっては感涙モノの復活作。 「進化」は無いけれど、勿論「劣化」なども無し。 1st・2ndのような『カラッ』とした底抜けの明るさはまぁ減退してるけど、逆に温もりと少し湿った情感に包まれた印象の『聴かせる』メロディアスHRに。 メンバーの経年変化(加齢)に合わせて、ややムーディ指向にシフトしている・・・という表現が適切でしょうか? (もちろんハードにドライヴしてる曲もありますよ) バラード⑤「Fugitive」・⑦「Rocket to Your Heart」とか、ちょっとDEF LEPPARDチック?な⑧「F.U.$」などの惹き込まれるメロディ・センスには、ただただウットリ。
個人的な考えですが・・・ DIOの作品中、傑作と名高い1st・2ndを「様式美大作」とするなら、この3rdは「様式美娯楽作」という位置付け。 あえて「悪い」言い方をするならば、前作までの作風は(HM作品としての高い完成度・スケール感は別として)ロニーの私的世界観に基づく「ある意味」聴き手を選ぶ、やや間口の狭いコンセプトというか音作りといった面がありました。 それに対して本作は全体的にメロディがより親しみやすくキャッチーになり、「メタル」 ~ そして「ロック」作品としてのストレートなアピール度が増している感じがします。(言うまでもないコトですが「日和った」とか、そういうネガティブな捉え方では決してありません。念の為) それは「King Of Rock And Roll」とか「Rock 'n'Roll Children」のように、曲名にも「前向き」の形となって現れているように思います。 ロニーの歌唱が相変わらず素晴らしいのは勿論のコト、魅力溢れる「聴かせる」曲が多い優れたHMアルバムではないでしょうか。
1stの音楽性・様式美メタルを引き続き追求した2nd。 前作との違いは・・・初っ端から「We Rock」~「The Last In Line」と、彼らの代表曲と言えるキラー・チューンが存在するコトでしょう。 楽曲の充実度、全体の完成度はコッチのが少し上・・・かな? 21世紀の今、このアルバムを「初めて」聴く人が・・・どんな印象を受けるのか・どれ程のインパクトを感じるのかは解りませんが(正直古臭いという感想もあるでしょうね)、間違いなくコレは名盤の一枚でしょう。 今時のHM/HRバンドで、(この頃の)ロニーくらいの力量を持つヴォーカリストが・・・はたして何人いるでしょうか。