自分がこのアルバムに関して気に入っているのは、イングヴェイ印ともいえる「北欧様式美メタル」ではなく、 あくまでブリティッシュ・ハードロックに代表されるようなオーセンティックなフォーマットの上で、イングヴェイのギターが聴けるということです。 こういう作品って他にあるようでないんですよね…決して、メロディに傾きすぎた上滑りな作品になっていなくて、 きちんと上質のバンド・グルーヴで貫かれているアルバムというか… パガニーニとかバロック音楽からの影響というのが彼のオリジナリティを決定的なものにしていますが、 あくまでも彼のルーツはジミ・ヘンドリクスであり、彼の姉に買ってもらったディープ・パープルのアルバム「FIREBALL」であると思います。 彼のギタープレイの根っこにあるのは原始的なハードロックスタイルというか… 「SPANISH CASTLE MAGIC」はベスト盤にも収録されていたレニングラードのライヴ・ヴァージョンのほうがカッコいいと思いますが、 「PICTURES OF HOME」「GATES OF BABYLON」「IN THE DEAD OF NIGHT」「MISTREATED」といった曲での パフォーマンスは圧倒的なものがあります。特に「PICTURES」のソロはスゴい。孤高の速弾きももちろん魅力ですが、 やっぱりブラックモアっぽいフィーリングを感じます。だからこそこの曲にインギーのプレイがハマってるんだと思います。 今更ですけど、インギーのリッチーから受けた影響はかなりのものがあるんでしょう。このアルバムのリリース後だと思いますけど、 全3巻の教則ビデオを彼はリリースしました。どの巻だったかは忘れてしまったのですが、 インギーがパープルの「CHILD IN TIME」の「MADE IN JAPAN」ヴァージョンをリッチーのフレーズそのままに完コピするシーンがあったと思います。 おそらく彼が若い頃コピーしたリッチーのフレージングはこの曲だけではないでしょうし、 彼のプレイスタイルの根っこのところにリッチーが根付いているといっても良い。 それが何十年か経って自分独自のプレイスタイルを確立した後でも、パープルの曲を演奏するとそういうフィーリングが出るのかなと…
この曲、どういうわけかマーク・ボールズよりジョー・リン・ターナーのボーカルの方が印象が強いのですが、 上の方のおっしゃる通り正統派ヘヴィメタル調。そしてギターソロの導入部分のスウィープは練習したなぁ… このスウィープだってアルカトラスの「TOO YOUNG TO DIE…」でもうすでにやってるわけだし… 考えてみればこの時期でイングヴェイ奏法の主たるものは出尽くしてますねぇ。 自分は90年代以降のイングヴェイも違和感なく聴けますが、この時期のイングヴェイは芸が細かいと思う。