もしこれからU2を聴かれようとされる方はこの「ヨシュア・トゥリー」や80年代のベスト、あるいは2000年の「ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND」 から聴かれてはいかがでしょうか?? …本作は87年発表、U2の大ベストセラーです。後半は結構地味な曲が多かったりするんですが、代表曲/名曲がいっぱい入っています。 「I STILL HAVEN'T WHAT I'M LOOKING FOR(終わりなき旅)」と「WITH OR WITHOUT YOU」は全米1位。 「WHERE THE STREETS HAVE NO NAME(約束の地)」と「IN GOD'S COUNTRY(神の国)」もヒット。 「約束の地」はベスト盤だとオープニングがかなり割愛されているのでこのオリジナルの方が魅力的です。 ヘヴィなギターサウンドでレーガン政権のアメリカを非難した「BULLET THE BLUE SKY」はカッコよすぎ。今でもライヴの定番です。 ボノの歌唱は力強いし、サウンドの要を握るエッジのクールなギターは全編冴えわたりです。 …自分は良く分からないのですが、アイリッシュミュージックとアメリカの音楽というのはつながってるんですかね…
自分がこのアルバムに関して気に入っているのは、イングヴェイ印ともいえる「北欧様式美メタル」ではなく、 あくまでブリティッシュ・ハードロックに代表されるようなオーセンティックなフォーマットの上で、イングヴェイのギターが聴けるということです。 こういう作品って他にあるようでないんですよね…決して、メロディに傾きすぎた上滑りな作品になっていなくて、 きちんと上質のバンド・グルーヴで貫かれているアルバムというか… パガニーニとかバロック音楽からの影響というのが彼のオリジナリティを決定的なものにしていますが、 あくまでも彼のルーツはジミ・ヘンドリクスであり、彼の姉に買ってもらったディープ・パープルのアルバム「FIREBALL」であると思います。 彼のギタープレイの根っこにあるのは原始的なハードロックスタイルというか… 「SPANISH CASTLE MAGIC」はベスト盤にも収録されていたレニングラードのライヴ・ヴァージョンのほうがカッコいいと思いますが、 「PICTURES OF HOME」「GATES OF BABYLON」「IN THE DEAD OF NIGHT」「MISTREATED」といった曲での パフォーマンスは圧倒的なものがあります。特に「PICTURES」のソロはスゴい。孤高の速弾きももちろん魅力ですが、 やっぱりブラックモアっぽいフィーリングを感じます。だからこそこの曲にインギーのプレイがハマってるんだと思います。 今更ですけど、インギーのリッチーから受けた影響はかなりのものがあるんでしょう。このアルバムのリリース後だと思いますけど、 全3巻の教則ビデオを彼はリリースしました。どの巻だったかは忘れてしまったのですが、 インギーがパープルの「CHILD IN TIME」の「MADE IN JAPAN」ヴァージョンをリッチーのフレーズそのままに完コピするシーンがあったと思います。 おそらく彼が若い頃コピーしたリッチーのフレージングはこの曲だけではないでしょうし、 彼のプレイスタイルの根っこのところにリッチーが根付いているといっても良い。 それが何十年か経って自分独自のプレイスタイルを確立した後でも、パープルの曲を演奏するとそういうフィーリングが出るのかなと…
アルバム収録時間が70分以上と、1枚通して聴くにはちょっと長すぎる感もあるけど、いいアルバムです。 キャッチーさということでいえば前作に軍配があがるかもしれませんが、今作はさらにブリティッシュ・ロックの真髄(?)に近づいたともいうべきな味わい深さがある。 特に大作だけど、ダニーのエモーショナルな歌が光る「EMPTY CITY」などはブリティッシュ・ロックの歴史に残る名曲といってもいいと思います。 他にも、ダニーの力強くソウルフルなヴォーカルがいい「DOES IT FEEL LIKE LOVE ?」、 ホーンの入った、ポップで躍動感のある「EVERYBODY WANTS HER」、郷愁のバラード「A BETTER MAN」、 力強く躍動感のある「LIKE A SATELLITE」、物悲しい旋律の「TODAY WORLD STOPPED TURNING」などなど名曲多し。 日本盤に収録されているビートルズ、というよりジョー・コッカーのカヴァー「WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS」も良い。 それにしてもダニーのソウルフルな力強いヴォーカルが素晴らしい。曲も華やかさはないですが、とても味わい深いものばかり。 特に好きなのは「LOW LIFE IN HIGH PLACES」で、特に後半、ギターソロの直前から爆発的に盛り上がっていくところ。