ユーゴスラヴィアの分裂に題材をとった、'95年発表のコンセプト・アルバムです。 曲だけを聴けば、『EDGE OF THORNS』がやっぱり一番かなとも思いますが、ストーリーを追いながら聴くと、このアルバムは本当に感動的。 ジョン・オリヴァが全曲歌っちゃったりすると暑苦しすぎですが、メインがザッカリー・スティーヴンスでジョンがおまけというバランスだと、丁度いいです。 やっぱりSAVATAGEはクリス・オリヴァのギターでないと…という方も多いと思いますが、クリス・キャファリーとアル・ピトレリのコンビも良いメロディとプレイを注ぎ込んでいます。 (6)「THIS ISN'T WHAT WE MEANT」以降の怒涛の展開は、泣きまた泣きの音楽世界を描き出します。(11)「NOT WHAT YOU SEE」で感動が最高潮に達するところなんか、何回もリピートで聴きたくなっちゃうくらい。 ストーリーも話題になり、ヨーロッパではかなり売れた作品だったはず。これはメタルのコンセプト・アルバムの中ではかなりの傑作だと思います。
アルバム・タイトルやガーゴイル・ジャケが、「我々はヘヴィ・メタル・バンド以外の何者でもありません」と主張しているかのようです。 本当に'97年の作品かと疑いたくなるほど、昔ながらのHM/HRをやっているのが、逆に眩しかったり。 アルバム後半は特に佳曲がそろっていて、充実しています。(9)「CUT OUT THE DISEASE」はブリティッシュの威厳を感じる密かな名曲。
'96年発表の4thアルバムです。 2ndまでのB級ジャーマンの方が、ある意味インパクトが強く、個性が際立っていた気もしますが、バンドとしては明らかな成長が見られます。 (1)「PUPPET ON A STRING」をゲストのラルフ・シーパースが歌っているのに、2曲目以降も聴き劣りしないくらい、ヴォーカルのハリドン・リーが上手い。もはやB級とは言えません。 スピード・ナンバーだけでなく、ミドル・テンポの楽曲も、メロディがしっかりしていて魅力的。 QUEENの「INNUENDO」をカヴァーするなどという恐れ多いことをやってますが、意外にこれがはまっていて驚きました。
ちょっと展開が多く、プログレっぽさも持った疾走シンフォ・メタルという感じでしょうか。 聴いていて、疾走するところよりも、静かで叙情的なパートの方に魅力を感じます。それもまあ、静と動の対比により生じた魅力とも言えますが。 けっこう意外性のあるアレンジにハッとさせられたりして、(3)「UNDER THE FLAG OF MARY READ」中盤のヴォーカル・パートとか、(5)「EMOTIONS」にサックスが使われているのも面白いです。 コンセプトの幻想的なストーリーや、ジャケのデザインはかなりそそるものがありました。 多少ヴォーカルが不安定だったり、音づかいが安っぽかったりという不満点もなきにしもあらずですが、十分楽しめる良いアルバムです。こういうヴォーカル、けっこう好きだし。 ところで(10)「LOST LAND OF LYONESSE」にボーナス・トラックって書いてありますが歌詞もコンセプトに入ってるし、バランス的にもないとおかしいのに、何故ボーナス扱いなんでしょう?
『AMOK』が大好きだったために、なかなか『DOWN』以降の作は馴染めなかったのですが、その大きな要因は、ヴォーカルの無表情さでした(ファンの人ごめんなさい)。 ところが最初はほとんど惰性で買ったこのアルバムでは、歌唱の表情がぐっと広がり、いきなり興奮することができました。歌メロもかなりキャッチーに。 けっこうノリノリだったりして、暗さや絶望感では前作の方が上かもしれませんが、感情はこちらの方が伝わってきました。 救いのない歌の合間に(8)「YOU ARE THE ONE」みたいなラヴ・ソングが入っていると、余計に泣けます。