日本盤デビューとなる4thアルバムです。帯に「デス・メタル、ニュースクール・ハード・コアとグラインド・コアの究極のブレンド」なんて書いてありますが、たしかにハード・コアっぽさもあるブルータル・デス・メタルです。 テクニカルで、色々楽しいことやってます。展開も多く、複雑。おどろおどろしい雰囲気より、冷徹に攻撃性を追求したような音づくりです。でもヴォーカルは激重デス・ヴォイス。 このバンドは歌詞がシリアスです。社会に満ちた欺瞞、偽善、腐敗に対する怒りが爆発しています。視点の持って行き方が相当に知的です。(1)「PRAISE THE LORD (OPIUM OF THE MASSES)」の「イスラム教徒を殺すユダヤ教徒、ユダヤ教徒を殺すキリスト教徒/終らない循環、そして全てが敗者」なんて歌詞は、今まさに世界的に問われている問題。 ただ単に過激な言葉を並べ立てたり、闇雲に権威に反抗するような子供っぽさはありません。目的がはっきりしている感があり、対訳の載った日本盤の購入をお薦めします。私自身、全てに共感を覚えているわけではありませんが、語るに足りることを歌っていると思います。なぜブルータルな音楽をやるのかという必然性もそこに浮かび上がっていて、非常にリアル。
以前6thの『INFERNAL』を買って、その時は良さが分からず、「なんか散漫でメロデスとしちゃつまらないな」なんて思ってすぐ手放してしまいました。で、腐るほどメロデスがあふれた今頃になって、中古でこの3rdアルバムを購入。ごめんなさい、舐めてました。 上でロージーさんが指摘されてるように、彼らは最近多い「声だけ濁声で演奏は全然デスじゃないメロデス・バンドたち」(←嫌いじゃないけど)とは一線を画しています。デス・メタル本来の危険な空気がプンプンしていて、これぞメロディック・デス・メタル。ギターとかドラムの音づくりはちょっと迫力に欠けるように感じますが、強烈な音楽です。 ところで6曲目のMANOWAR「BLOOD OF MY ENEMIES」のカヴァーは、B!誌のM田氏が解説で「まるでオリジナルであるかのようにハマっている」なんて言ってますが、個人的に違和感ありまくりでしたが。いきなりデスメタルの間にMANOWAR節が出現したら変だって!(笑)。 しかしこの作品、ほんと多彩ですね。特に終盤。SISTERS OF MERCYっぽいゴシック/ニュー・ウェイヴ曲(10)「SACRIFICED」から、腕がつりそうな高速リフで始まる(11)へ。で、(12)「FEEDIN' THE CHARLATAN」が凄い。ハードコアの影響が強い感じなんですが、ハードコアとメタルが融合したモダン・ヘヴィネス的に聴こえます。MACHINE HEADを思い出しました。ちなみにMACHINE HEADの1stが出たのは確か翌年の'94年。先鋭的です。(13)は美しいインスト。 (14)「BLEED」も(12)と同系統ですが、こっちはさらに爆走R&R的なノリもあって、メンバーのMOTORHEAD好きが出てるのかも。 '93年時点で、もうデス・メタルにメロディを導入するだけでは飽き足らなくなっていたこのバンド、進みまくってたんだなぁと今頃気づかされました。 >こうじさん そのサイド・プロジェクト、ちょっと興味あります。アルバムなんかも出してるんでしょうか? >ヴィレさん なんか日本盤ボーナス曲は14曲目の「BLEED」だけみたいですが、輸入盤は12曲でしたか?
私も『VAIN GLORY OPERA』だけ聴いて、後はパスしていたんですが、ここでの評価につられて試しにと思って買いました。 正直、びっくりしました。こんなに強力なバンドになっていたとは。 ヴォーカルも変なアクがなくなって聴きやすくなったし、サビメロの昂揚感といったら、メタラーでなくても興奮させてしまいそう。 (4)「DOWN TO THE DEVIL」にはもう降参です。 しかしこのバンド、ジャケをもうちょっとなんとかしたらもっと売れそうなのにっていうアルバムが多いですね。なんて地味なアートワークなんでしょう…。
ジョー・サトリアーニ、スティーヴ・ヴァイという超絶ギタリストたちと共にG3としてツアーを行ったことでHM/HRファンにも名が知れているであろうエリック・ジョンソンの3rdアルバムです。 「ポスト・ジミ・ヘンドリックス」の異名をとってたりするらしいですが、ジミヘンとは全然違いますので、御注意を。ギターによる表現の力をもってそう言われてるらしいです。 この人の特徴はギターの音色や響きの作り方でしょうか。透明感があり、光を感じさせる美しさです。夢見るような音楽。メタルとは全然違いますね。 これ見よがしなテクニカルさよりメロディを大切にしていて、都会的な洗練されたセンスが目立っています。特に歌入りの曲はAORって感じで、ソフトで落ち着いた雰囲気があります。声も綺麗で、(5)「LONELY IN THE NIGHT」なんかは素晴らしいポップ・ソングのバラード。 (8)「SONG FOR LYNETTE」はエリックのピアノがまた実に繊細かつ叙情的で、総合的な音楽クリエイターとしての素晴らしさが垣間見えます。 激しさはないし、ちょっと眠くなっちゃうかもしれませんが、美しい音楽が好きなら買いです。少しMARILLION(フィッシュ脱退後)なんかを連想しちゃいました。
バンド名から、どれほど暗く絶望的なバンドなのだろうかと思って聴いたら、キーボードのゲーム音楽みたいなメロディにずっこけ、最初の印象は良くありませんでした。 でもそういうバンドなんだと思って聴き直すと、クサいメロディを堪能できる良いアルバムです。ただしこのヴォーカルのデス声は不必要に感じます。迫力にも欠けるし。 ACCEPTの「SICK, DIRTY AND MEAN」をカヴァーしているのが思い切り謎ですが、アクセントになっていて楽しめました。 お気に入りは「THE RIVER FLOWS FROZEN」です。やっぱりクリーン・ヴォーカルの歌の方が味があります。