発売当時、ブリットポップのブームでUKロックに注目が集まっていたこともあってか、様々な音楽雑誌で大きく取り上げられていた記憶があります。 このアルバムのインド風味で雰囲気たっぷりかつキャッチーなメロディや、グルーヴィーで躍動感のある演奏と歌には、いま聴き返しても興奮してしまいます。 緩急のつけ方が巧く、勢いよく飛ばすところは飛ばし、サイケデリックでゆったりした曲でもアレンジの意外性で飽きさせずに聴かせてくれるのが素晴らしい。 THE BEATLESやTHE STONE ROSESの影響なんていうのもあるのでしょうが、しっかりオリジナリティを出して、時代を超えたロックを鳴らしています。
実に奇妙な音楽です。アフリカン・リズムを取り入れているのでしょうが、楽器の組み合わせ方や音色、コーラスの重ね方やメロデイのせいか、あまり民族音楽的な印象は受けません。 複雑で性急なのに整合感もあり、物凄い熱量と醒めた視線を同居させたような、歪んだ雑種ロック。なんだこりゃ。 先に『NAKED』を聴いていて、あちらはこれほど変てこじゃなかったので油断して聴いて、度肝を抜かれました。 どことなく都会的で機械的・近未来的な音楽に聞こえますが、ポリリズムの組み合わせ方のセンスが独特で、集中して聴くと頭が混乱します。 デイヴィッド・バーンとブライアン・イーノのアルバム『MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS』も、同じようにひねくれていて頭が疲れますが、こちらの方が変態というか、おかしな感じに洗練されて、かえってグロテスクに感じます。 ノリノリで楽しむことも可能なのでしょうが、私にとっては肉体ではなく頭で味わう類の音楽。いつ聴いても金縛りにあってしまう、刺激的な超名盤です。
『Round About Midnight』や『Kind of Blue』と並んで、マイルスの名盤として有名・・・ですが、前記2枚とは全くの別物です。 いわゆる「ジャズ」なるものを期待して聴くと、だいぶ趣が違います。エレクトリックでノイジーですが、銘菓ひよこさんのおっしゃるように、フュージョンやロックとも言い難い。ファンクの影響はあっても踊れない。 実際はファンクやロックのファン層にも受けて、よく売れたアルバムのようですが、わけわからんし、けっこうダルいというのが正直なところ。 とはいえ、まずジャケが素晴らしい。LPサイズで買って、飾りたい衝動に駆られます。タイトルとあいまって、どことなく淫靡で呪術的。この圧巻の音絵巻にぴったりで、そそられます。 そしてメンバー超豪華。ウェザー・リポートと、リターン・トゥ・フォーエヴァーと、マハヴィシュヌ・オーケストラはここから派生しています(フュージョンの大元締めみたい?)。 リズム隊大増強による混沌ポリリズムと刺激的なエレキ・サウンドにとんがったホーンの突き刺さり具合は独特で、わけわかんないなりに、大音量で聴くと気持ちいい。特にタイトル曲はゾクゾクします。 聴いていて普通にかっこいいのは、皆さん挙げられている「Spanish Key」です。けっこう盛り上がります。 正直、この前後のライヴ作品(『1969 Miles Festiva De Juan Pins』や『At Fillmore』や『Live Evil』)の方が断然ノリがよくて好きですが、電化マイルスの基準点的作品として、けっこう頻繁に手の伸びるアルバムです。
歴史的名盤との呼び名も高い、'94年発表の1stアルバムです。超豪華プロデューサー陣が才能ある若者を盛り立てて作り上げた、世紀の一枚といった感じ。 シンプルで落ち着いた、実に渋い、陰気とさえ感じられる作品なのですが、中毒性も高く、ついついじっくり聴いてしまいます。 即効性ということでいえば『It Was Written』や『Hip Hop Is Dead』の方がすんなりと聴けましたが、繰り返し聴くなら、このアルバムが一番。 コンパクトにまとまっていて、密度が濃く、隙がない作品です。