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クーカイさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 101-200

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クーカイさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 101-200

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BLACK SABBATH - Sabotage ★★ (2005-02-05 17:20:00)

で、こちらは意外とほめている人が多くないことに驚いた。
オジーの存在感、楽曲の良さ、スケール感の大きさ、そして荘厳なイメージ等、全てにおいて名盤であることを主張している。
そしてある意味非常にメタリックでさえあるように感じる。
正直言って、実は本作が1st~6thの中では最も怖い気がする。


BLACK SABBATH - Born Again ★★ (2005-02-05 17:14:00)

結構、ほめている人が多いのに驚いた。
出来のよさについては、同感。
でも、すみません。怖くなかったです(笑)
ギランのVoは(いつもそうだが)決してメロディアスとは言えないが、ダークでヘヴィな作風と良くマッチしている。
HM全盛期前半の時期にあって、なんだか妙に存在感をアピールする一枚。もちろん一聴の価値あり。


NEIL YOUNG - Harvest Moon ★★ (2005-02-05 17:08:00)

この間、息子と2人でスキーに行った時に車内で聴いた。
久し振りに聴いたが、しみじみと良かった。
アコースティックな本作は、あの傑作『HARVEST』の続編と言ってよいだろう。
優しくて、哀しくて、それでいて凛とした強さが垣間見える。アートワークも秀逸。
傑作。


DIO - Master of the Moon ★★ (2005-02-05 16:48:00)

日本盤を購入した。
B誌のレヴューを読むと評価はそれほど高くなかったので、少し小粒な出来だった前作から更にスケール感が減少した作風を予想した。
だが、聴いてびっくり。
今のところ結構な回数を聴きこんでいる。
冒頭は1stの1曲目を思い出させ、なかなかの好感触。そして、続く2曲目が良いのだ。DIOの新譜を聴いて歌メロがすぐに耳に残ったのは久しぶりである。名曲じゃないか?これ。
3曲目以降は十分DIOっぽいのだが、ちと小粒。特に4曲目は歌メロの一部が「HUNGRY FOR HEAVEN」(3rdの5曲目)に酷似しており、懐かしさと同時に複雑な思いを抱いた。だが、総じて飽きずに聴け、理由が良くわからないのだが、たいして異ならないはずの前作より断然好きである。
とはいえ、これがDIOの傑作の1枚ですか?と尋ねられると、無言でうつむくしかない。なによりこれでは最後に一花咲かせたとは言えない。
誰か早急にロニーにロイ・Zを紹介してやってくれ!
あと、銘菓ひよこさんには悪いが、アートワークはあの「怒ったロボットちゃん達」に次ぐ出来の悪さだと思う。まあ、DIOのジャケットのアートワークはどれもトホホなのだが。


ANTHRAX - The Greater of Two Evils ★★ (2004-11-22 22:45:00)

俺はベラドナさんのVoが苦手なので、正直ジョンが歌いなおしてくれて嬉しい。
こんなことを書くと古くからのファンに叱られるのだろうが仕方がない。安心して聴けるのだ。
リリースのタイミングが遅いのでは?という意見もあるようだが、俺はここで出して正解だと思う。前作のオリジナルアルバムが復活作として遜色ない出来だったし、炭素菌騒動も一応落ち着いて、ツアーも長期間頑張り、今の彼等の活動は安定し、かつ充実している。
もう一度エールを送りたい。
「頑張れ!ANTHRAX!」
そうそう。本作品について。「これがスラッシュだ!」という気合の入りよう。走る走る。
HMは個人的にはヘヴィにグルーヴするのも良いけど、走る方が好きだ。名盤。


LOUDNESS - ROCK SHOCK ★★ (2004-11-22 22:34:00)

①は賛否両論あろうが、俺は好きだ。格好良い。
でも、やっぱりオリジナルと同じようにやってもらわなければならないものもある。
それは④と⑥。
少しブルータルなアレンジとなってはいるが、ほぼそのままで納得できる出来だ。
なんといっても5thで受けた衝撃が原体験にあるもので。
②もギターソロがピロピロいっていて「く~っ。これだよこれ!」という感じ。
やはりなんだかんだいってもLOUDNESSは格好良いな。
ただ、一つだけ苦言を呈すると、Voが少し引っ込み気味に聴こえてならない点が気になる。
せっかく熱唱しているのに。


U2 - How to Dismantle an Atomic Bomb ★★ (2004-11-22 22:23:00)

某誌によれば、『THE JOSHUA TREE』以来の傑作だとか。
「またまた~。上手いんだから。そういう言い回し」
聴く前にはそう思わないでもなかった。
しかし。
聴いた今ではこう思う。
「そうかもしれない」
まあ、そうであるかどうかは聴いた人が各々判断すればよいだけの話だ。
だが、傑作であるのは疑いない。
まず、1曲目がとてつもなく格好良い。
「VERTIGO」この曲はU2一流のHRな名曲である。
この曲だけでなく、ところどころに1stや2ndの楽曲が持つ雰囲気を、おぼろげに感じることがままある。1stで「OUT OF CONTROL」や「THE ELECTRIC CO.」を、2ndで「GLORIA」を聴いて喜んでいたくちにはこたえられない作品だ。
HRっぽいU2をまた聴けるとはなあ。ただただそれが素直に嬉しい。


SAXON - Lionheart ★★ (2004-10-31 14:29:00)

SAXON、最近アルバムのアートワークが格好良いと思いませんか。
それだけでなく内容も充実していますね。本作も冒頭からかっ飛ばしてくれて、思わず「ウォー」と雄叫びを上げたくなる心地良さです。
タイトルトラックも絶品です。
本作を聴いたら、『KILLING GROUND』が聴きたくなり、続けて聴いてしまいました。あらためて、「良い作品を連発しているなぁ」と感動した次第です。
政則さんが書いた「マンネリズム」は褒め言葉ですね。AC/DCなんかもそうですけど。頑固職人というか、伝統芸能というか。いずれにせよ、SAXONの楽曲がHMの超一級品であるという点は疑いないでしょう。
ここ日本でも売れてくれないかな。


MEGADETH - The System Has Failed ★★ (2004-10-31 14:08:00)

まいったな。
これ、間違いなく「皆が聴きたかったMEGADETH」だよ。
捨て曲も無い。個人的には⑧が他の曲に較べて少し「普通」かなと思えるだけで。
①~③を聴いて何も感じ入ることがなかったら購入は控えた方がいいね。
①は4th以前の作品に収録されていてもおかしくはない作風だ。②はサビのメロディが秀逸で、7thに収録されているメロディックな曲の系譜上にある。
③は前半に歌、後半はリフですっ飛んでいくのは2ndの「あの曲」を彷彿とさせる。
まあ、他の曲も含めて、リフの切れ味が戻ったことと曲の展開が複雑なことはムステイン印の「インテレクチュアル・スラッシュ」が復活したと言って良いと思うし、5th以降の作品で追及してきたメロディアスな部分も良い形で残されていると思う。
一つ気に入らない点があるとすると、音質にもっとシャープさが欲しかったな。ブルータルな感じが出ているのは良いとしても、リフの殺傷度を高める為にはやはりもう少しザクザクした音でないと。ま、些細なことだけれどね。
正直、絶賛する言葉しか出てこない。立派な「復活作」だよ。
では、何が「まいった」のか。
いや、『THE WORLD NEEDS A HERO』がなかったことにならないかなと思って・・・。こんな(良い)の聴いちゃうとね。


MANIC STREET PREACHERS - Lifeblood ★★ (2004-10-23 21:59:00)

'04年発表。
個人的には、まずは5thに近いこの作風を歓迎したいのだが、本作は単に5thの路線に戻ったというような単純なものではない。
なにより嬉しいのはU2などの影響が垣間見えることだ。それがほどよいスパイスとなり、マニックスが持つ抒情性や哀愁がさらに際立って聴こえる。
全曲、美しく透明感が素晴らしい。特に好きなのは⑤と⑥か。他の曲も聴き込めばますます良さがわかってくるようだ。
アートワークも美麗で秀逸。
名作である。


SILVERTIDE - Show and Tell ★★ (2004-08-29 03:04:00)

'04年発表。1st。
私も5150さん同様、BLACK CROWESに似ているとの印象を持った。
BCの作品で言えば5thの作風に近いか。
アメリカからこういう新人バンドが現れてくることを、切実に待ち望んでいたのだが、ついに現れたことを非常に嬉しく思う。グランジやミクスチャー、メロコアやファンパンクの影響を感じさせない作風は、ようやく王道ハードロックが戻ってきたということを宣言するものである。グランジやファンパンクだって悪くないが、王道ハードロックが全く存在しないのは寂しいしつまらない。
本作は新人のフルアルバムとしては出色の出来だが、それだけではなく7曲目の存在が個人的にはツボだ。文句なしの名曲と思われる⑦を聴くためだけでも本作を買う価値があるのではと思う。最近出てきた新人達は、アルバムトータルで聴くと「すごく良い」が、「この1曲!」というのが欲しいと常々思っていた。
本作にはそれがある。今から2ndが楽しみだし、この1stがぜひアメリカで売れて欲しい。


BLUE OYSTER CULT - Mirrors ★★ (2004-07-29 16:00:00)

'79年発表。パンクロックの台頭により、恐竜扱いされたバンドの少しもがいている姿が本作に透けて見える。
とはいえ、しげさんが書かれているとおり①はライヴで聴いても素晴らしい。アルバム冒頭を飾るにふさわしいBOCらしい名曲である。もちろん③の出来のよさは言うまでもない。
他の曲の中には一部BOC特有の毒気が足らない物も見受けられる。普通のAORとしては出来は良いのだが。いずれにせよとりあえず捨て曲は無い。
駄作ではない。良質な作品と評価したい。


BLUE OYSTER CULT - On Your Feet or on Your Knees ★★ (2004-07-29 15:47:00)

'75年発表。4作目。ライヴ盤としては1枚目。
上のお二人も語っておられるが、これを聴いてBOCにはまらなければ、それは嘘というものだろう。
マグマが噴出しているかのごとく、熱く、混沌として、制御できないエネルギーの放出の様はただただ心地良い。
HRファンなら一度は聴いておくべきだ。


ANTHEM - Eternal Warrior ★★ (2004-07-29 15:40:00)

はっきり言わせてもらう。
傑作である。
1曲目を聴いて欲しい。凄いぞ。
ミュージシャンにとって「前作を超えるものを作る」というのは大変なことだ。
彼等はやってのけた。
今、世界中を見渡してみても、これほど徹頭徹尾ヘヴィメタルなバンドはANTHEM以外にどれだけいるのだろう。
混じりけ無しのHM。純度100%の超鋼鉄音楽。褒め言葉ではなく、客観的表現として捧げさせてもらう。


BLUE OYSTER CULT - The Revölution by Night ★★ (2004-07-28 23:17:00)

'83年発表。
前半はキーボードの割合が多く、ギターはおとなしめの印象を受けるが、後半はハードでギターが派手な曲が多くなる。
「ニューヨークの冷めた狂気」というのがやはり一番しっくりくる音作りで、楽曲の質は押しなべて高い。①のリフは「BOC印」がばっちり押され、「やっぱこれこれ」という感じ。歌メロのサビもキャッチー。⑦はBOCのテーマソング?⑨で終わるのがなんとも言えず美しい。
必殺の1曲はないかもしれないが、全曲好きだ。そういう意味で名盤。


STONE TEMPLE PILOTS - Tiny Music... Songs From the Vatican Gift Shop ★★ (2004-06-17 23:27:00)

'96年発表。3作目。
本作は相当な難産の末にようやく発表されている。
製作過程の中では相当ウェイランドと他のメンバーとの間がギクシャクしていた時期もあると聞く。その割には奇跡のように出来が良いアルバムである。
結局2ndから3rdの頃に出来た深い溝は埋まることがなく、5th発表後STPは休止状態になってしまうのだが、逆に言えばよく5枚もアルバムを作ったというべきか。
本作は表現の幅が広がり、ウェイランドの歌メロもポップセンスに磨きがかかっている。楽曲群はヴァラエティに富み、ヘヴィロックの枠組みだけでは収まらないスケール感を主張している。本作をベストに挙げる人も多かろう。私も品質の高さについて異論があろうはずもない。
ただ、聴くのがつらいのだ。ウェイランドの声が非常に痛々しく感じられるのだ。
その痛々しくぞっとするような寂寥感ですら本作の魅力の一部となっている点で、個人的に本作は恐ろしくヘヴィな1枚に感じられる。


JUDAS PRIEST - Defenders of the Faith ★★ (2004-06-16 00:09:00)

HMの教科書のようなアルバムです。前作も良い作品なのですが、正直なところタイトルトラックが終わった後の3曲が、「なぜここにこいつらを並べるのだ・・・」という印象を受けたので本作の方が好きです。
本作も前半に比較し後半が若干弱いのですが、それは前半があまりにも強烈すぎるからでしょう。前作ほど「あらら。竜頭蛇尾・・・」という思いをさせられなかったので、アルバムトータルで見ても出来は非常に良いと言えます。
しかし、JPは曲の配置があまり上手くありませんでしたね。IRON MAIDENなんかは名曲と良い曲の間に「そこそこの曲」を紛れ込ませるのが上手ですが、JPの場合「そこそこの曲3連発!」とか「似たようなテンポの曲攻撃!」とかがたまにあるので、もったいないなあと思います。でも、逆にいえば「名曲3連発!」とかをやって「凄え!」と思わせるからそうなってしまうとも言えますが。


JUDAS PRIEST - British Steel ★★ (2004-06-15 23:53:00)

アルバムタイトルを見るといかにもHMなのですが、上で指摘されている方も居られるように、本作は純然たるHM作ではありません。どちらかというと基本的な形はHRです。
また、音が結構きれいに整理されているので、一聴したところスカスカに聴こえないこともない。それもまた違和感を感じる原因かと思われます。
しかし、そんなことはどうでも良いのです。曲が格好良いのですから。
本作はJPには珍しく(失礼!)、捨て曲が無く曲の配置も良く考えられている名作です。この完成度の高さは、管見ながら『PAINKILLER』と『DEFENDERS OF THE FAITH』に匹敵するものと評価しています。これがまた、良い時期に発表されたのでした。時流を先取りすることに秀でていたJPの面目躍如といったところでしょうか(たまに失敗しますが)。


VELVET REVOLVER - Contraband ★★ (2004-06-05 00:06:00)

STPを愛する俺が本作のことを気に入らないわけはない。
聴くのに不安は感じなかったが、まさかここまで直球勝負とは。スコット君・・・。
はっきり書くが、本作はギターが派手になりアップテンポな曲が増えたSTPである。
というより、STP=スコットだったんだな。このバンドのカラーを良くも悪くも決定づけている。
STPのことが嫌いな人は聴かない方が良い(そもそも始めから購入していないか)。
STPを聴いたことがない人で、本作を少しでも気に入った人はSTPの作品にも接するべきだ。
まずは発売おめでとう。祈りたいのは活動の継続だ。
今度はキャリアを台無しにするなよ。スコット=ウェイランド君。


UFO - You Are Here ★★ (2004-06-01 00:04:00)

'04年発表。
『現在地』というタイトルが泣かせる。
ヴィニーはギターに味が出てきたねえ。上手い。
でも個人的にツボにはまったのはリズム隊の仕事かな。ジェイソン。しびれるね。
それにしても本作発表時のピート=ウェイのインタヴューは大爆笑ものだったな。近年稀に見るロケンローなお言葉満載の名インタヴューだった。間違いなく酒飲んでいるし、ところどころになんの脈絡も無く挿入される「俺は危険な人生を歩んできたんだ」とか最高だ。自分が離れていた時期の諸作品についてもやたらと冷淡なのはお約束。しかも「WAYSTEDはアメリカじゃUFOより売れていたんだ」だって。
というわけで、本作を聴いて気づいたんだがUFOはピートです。この人のキャラでもっています(笑)。


THE DATSUNS - Outta Sight/Outta Mind ★★ (2004-05-31 23:45:00)

'04年発表の2nd。
本人達がインタヴューの中で言明しているとおり前作はファストな曲が多かった。その前作に較べると、本作はぐっと音楽的引き出しの数が増えている。
冒頭はさすがに勢いのある曲が配されているが、それにしたってグイグイ押すだけの曲ではない。歌メロがメロディアスで、なかなか一筋縄ではいかない。
この1曲目で得た印象は、結局のところアルバム全体の印象でもある。
個人的には「単なる1stの延長線上にある作品」を期待していたので、この聴き込みに耐え得る作風は以外だったのだが、何回か聴いて今は大いに満足している。
2ndでこんな作品出すようじゃ、末恐ろしい。このバンドは化けるぞ。きっと。


PETER GABRIEL - Peter Gabriel Ⅱ ★★ (2004-05-31 22:15:00)

'78年発表。ソロ2作目。全英10位、全米45位。
1stで身辺整理はすませたとばかりに、本作はロバート=フリップのプロデュースのもと、より独自の世界を構築している。
楽曲自体はピーターが書いており、フリップ色が強いかと言うとそうでもない。しかしフリップは1st同様かなり気持ち良さそうにギターを弾いている。また、おそらくトニー=レヴィンだと思うのだがベースもブンブンいっている。そのせいか、ピーターのソロの中でも比較的ロック色が濃いような気がする。
①はプログレ・ハード・ポップな名曲。⑤はフリップのメタリックで引き摺る様なギターが印象的。個人的に本作で最も好きな曲。
ワールドミュージック傾倒以前の作品では本作と前作は甲乙つけ難い。名作。


U2 - War ★★ (2004-04-20 00:16:00)

'83年発表。3rd。
ゴリゴリと硬質な作風は、初期のU2の到達点とも言える。
叙情的でもあるメロディは、しかしひたすら閉塞感に満ちており、すぐにもそこから逃げ出さなければ押しつぶされてしまいそうな気にさせられる。
U2のカタログの中でも、最もヘヴィでシリアスな1枚と言えよう。そして冷え冷えとしており硬いのだ。北極海に浮かぶ氷山や、ほうき星の核のように。


U2 - Zooropa ★★ (2004-04-20 00:05:00)

'93年発表。『ACHTUNG BABY』からあまり間をおかずに発表された本作は、個人的にはU2の諸作品の中でも最も過激な1枚と位置付けている。言うまでもなく、初めてU2を聴こうとする人は本作を最初に手にとってはならない。
前作から導入されたデジタルなアレンジが本作からさらに支配的になり、完全にエレクトロ・ポップの世界が展開されている。あの大ヒットした前々作をU2作品の標準規格に据えて考えると、本作は悪夢以外の何物でもなかろう。
しかし、「U2とはこうあるべき」みたいな思い込みをなくして聴いてみると、これもまためくるめくU2ワールドなのだ。
本作のキーワードは「やりたい放題」である。あまりにもシリアスかつカリスマティックな存在に祀り上げられてしまった自身を、前作で少し茶化してみた。しかしそれでも大真面目すぎたため、本作では羽目を外してみたという具合か。作り手側にとっては「これでもついて来れるかい」というところだろう。
「暴走して歯止めが利かない状態のU2」というのはかなり暴力的な言い方だろうか。ある意味「踏絵」のような作品であるとも言える。


PETER GABRIEL - Peter Gabriel Ⅰ ★★ (2004-03-26 22:30:00)

'77年発表。ソロ第1作目。
実際にはアルバムタイトルは単に『PETER GABRIEL』と付けられており、「Ⅰ」は便宜上付されているにすぎない。それは4作目まで踏襲される。要するにソロ1作目から4作目までは皆『PETER GABRIEL』なのだ。
まあ、ともあれ1作目。GENESIS脱退後初めての作品なのだが、本作は「身辺整理」の意味が込められている。牧歌的、マザーグース(寓話)的な部分はGENESISを強く想起させる。それでいて様々な新しい要素も含んでおり、それらがピーター一流の調理法によって料理されている。本作から3作目まではロバート=フリップとトニー=レヴィンが参加し、バックアップも万全である。一見地味な印象も受けるが、間違いなく名作であると断言したい。
①・②・⑨などの名曲を含み、他の曲も完成度が非常に高いのだが、やはり④が本作の最重要曲であろう。この人を喰ったような曲が、ピーターの心情をもっとも良く現している。
失礼だが
君は私の甘い思い出を色褪せさせているね
古きよき時代よ再びと?
私を独りにしてくれないか
独りにしておいてくれ
ほっておいてくれ


PETER GABRIEL - Up ★★ (2004-03-25 22:48:00)

'02年発表。'00年の『OVO』を挟み、『US』から10年後に発表されたソロ作7枚目。
①を聴いて暗然とした。
結局この人はずーっと闇の中だったのだ。この1曲目の印象が強すぎて、私の中の本作の位置付けは「陰惨なアルバム」という印象が拭い去れない。
とはいえ、あまりに痛々しすぎようが、暗い闇に沈みこんでいくような感覚に襲われようが、アルバムの完成度はやはり高い。『US』の裏側が本作と言えるが、ネガティヴな感覚に満ちているわけではない。暗い部屋の中で、月光に照らされ鏡に映った顔は、やはり決然とした意思に満ちている。ピーターは救われてはいないが決して負け犬ではないのだ。
唯一⑥がやや皮肉っぽくてポップだが、この曲は是非みのもんたさんに捧げたい。人間、たまには反省することが必要だ。誰でもそうだが。


PETER GABRIEL - Us ★★ (2004-03-25 22:37:00)

'92年発表。ソロ6作目。
'89年発表の『PASSION』を挟み、実に6年ぶりのオリジナルアルバムであったのだが、この作品には騙された。
何がって?
作品の質や内容に関しては文句無い。それどころか、私は本作こそが彼の最高傑作ではないかとさえ思っている。ピーターの離婚がきっかけとなって自閉症気味になってしまった娘さんへ「どうか僕と話をしてくれないか」と語りかける①、前作『SO』のヒットシングル「SLEDGEHAMMER」を想起させる④、沈み込むような歌詞ではあるが、淡々とした歌声が徐々に叙情性を増してきて深い感動を呼ぶ⑦、寓話的でポップな⑨、他の曲もそれぞれ非常に味わい深く、ここの楽曲及びアルバムトータルで見ても非常に完成度が高い。
では、何に騙されたのか。それはこの作品に漲るポジティヴな雰囲気にだ。
私はてっきり彼が救われたのかと思ったのだ。
そうじゃなかった。『UP』を聴いてそれがわかった。


PETER GABRIEL - So ★★ (2004-03-25 22:22:00)

5作目のソロアルバム。'86年発表。
良くは知らないが、おそらく彼のソロ作の中では最も売れたのではないだろうか?
①と②、③、⑦は凝ったヴィデオ・クリップも作られ、耳に聞覚えのある方も多いだろう。
私は②のヴィデオ・クリップを見て、この人にはまった。
作風でいうと彼のソロ作の中では最もポップであり、かつメジャー感が色濃く漂う。わけも無くスケールが大きく感じられたりもする。
ちなみに③のヴィデオ・クリップは2種類あり、私はケイト=ブッシュと抱き合って回りながら歌うヴァージョンが好きだ。
でも、この作品の本質は①や⑥なのだと思う。②や⑦のようなヤケクソ気味の明るさは、この人が背負っているものの裏返しなのだ。よく笑う人ほど、実は人一倍寂しがりやなのだ。


R.E.M. - Out of Time ★★ (2004-03-13 00:00:00)

'91年発表。WB発第2弾。
底抜けに明るい①から始まる本作は、全体を通して明るく溌剌とした作風。だがその明るさが空々しかったりもするちょっと一筋縄ではいかない作品。
などと言いつつ、実際のところは⑥にとどめをさされていたりする。「笑顔輝く幸せな人々」。歌詞の内容はともかくとして、メロディが凄く綺麗。
名盤。


TOAD THE WET SPROCKET - Dulcinea ★★ (2004-03-12 23:48:00)

'94年発表。
アメリカという国は面白い国で、グランジの旋風が吹き荒れる一方でTOAD~のようなメロウなメロディを奏でる正当派ロックバンドがしっかり売れていたりする。R.E.M.もメランコリックな楽曲とハードな楽曲を同居させた作品を、本作と同時期に発表して売れていた。
①も良いが③が最も好き。AFNでよく流れていた。
'90年代はHR/HMの暗黒時代のような捉えられ方をされているかもしれないが、その影には本バンドやCOLLECTIVE SOUL、SOUL ASYLUMのようなバンドが存在していた。ロック全体でみると決して悪い時代ではなかった。


BIG COUNTRY - The Crossing ★★ (2004-03-12 23:38:00)

'83年発表。記念すべき1stアルバム。
今現在BIG COUNTRYのことを覚えている人がどれほど居るのかわからないが、'80年代に洋楽に関心を持っていた人なら、間違いなく1曲目は耳にしたことが有ると思う。聴けば絶対に「ああ、この曲知ってる」と思うはず。
スコットランド民謡調のフレーズを全世界に鳴り響かせたのは凄い。2nd以降の諸作は知らないが、この1stは間違いなく名盤。'96年にデジタルリマスターされて再発しているので、興味を持った方は是非。


U2 - All That You Can’t Leave Behind ★★ (2004-03-12 23:28:00)

「どうしても捨て去れないもの」っていう言い回しが泣かせる。
1曲目は素晴らしい名曲。まさかもう1度このような曲に巡りあえるとは。
テクノっぽさを手法の一つとして用い前作までに獲得したものを残しつつも、自分自身の模倣に陥らずに自らの核を掴み取った名作。


U2 - Pop ★★ (2004-03-12 23:22:00)

初めに聴いた時は「おやおや」と思ったね。
でも『ZOOROPA』で慣らされていたし、軽い失望はすぐに雲散霧消していった。
最初の3曲も良いけど、⑥が大好き。
何をやってもU2はU2ということがよりはっきりした作品。


U2 - Achtung Baby ★★ (2004-03-12 23:18:00)

そうそう。ykさんが言うとおり、ここでファンの入れ替えがあったね。
俺の知り合いもここから先の作品を聴かなくなった。
良い曲が多いし、物凄くど派手にイメージチェンジを図ったのに、U2らしさはしっかり残されているという、奇跡のようなバランス感覚を誇示した作品。
個人的に一番好きな曲は④かな。
しかし、このバンドってなにやるんでも真面目だよねえ。マクフィストにしたって「肥大化・偶像化したロックスターのパロディ」を真剣にやって、なんだか訳わかんないことになってた。結局みんな絶賛するしかなかったという。U2らしいや。


STEELY DAN - Aja ★★ (2004-03-11 01:02:00)

'77年発表。
まあ、これしか持っていないのだが。それでも書かせて欲しい。
HM/HRを聴くようになってからしばらくは、意味も無くポップや邦楽を蔑むような目で見ていた。中でも(本当に全く理由が無いのだが)大嫌いだったのが「大人の雰囲気漂うお洒落なポップソング」だった。例えば本作のような。
年齢を重ね、色々経験すると良いことが一つある。物事を測る尺度が複数手に入れられることだ。
それでSTEELY DAN。大人っぽくてお洒落だが、全く手が抜かれていない。特に本作は腕っこきのスタジオミュージシャン総動員だ。「あのシンバルの音は、なかなか良く叩けたと思うんだ」とかいう発言を目にすると、ポップ職人の心意気というものを感じてしまう。
何が対象にしろ、真剣に作られて血が通ったものを目にすることは嬉しいものだ。アジアに対する誤まった理解は大目に見るとして、本作はなかなかに名作だ。


R.E.M. - Monster ★★ (2004-03-11 00:43:00)

'94年発表。
1曲目の冒頭、ノイジーなギターが「ジャーン」とかき鳴らされた瞬間に私は本作に惚れていた。
前作と比較すると何か「ギラギラ感」が増したような気がする。意味も無くU2の『ACHTUNG BABY』を想起する。
1曲目も良いが、私にとって本作で最も重要な曲は9曲目「I TOOK YOUR NAME」だ。何年も前に研修で奈良に滞在していた時、商店街の角にあるCD屋でBGMに流れていたのを聴いた。「あれ?この曲なんだっけ?俺、知ってるぞ」一瞬、R.E.M.だとわからず、やけにヘヴィでルーズなリフに聞き惚れた。今でもこの曲は大好きだ。何を歌っているのかは知らないが。


R.E.M. - Automatic for the People ★★ (2004-03-07 20:02:00)

'92年発表。ワーナーブロスからの3作目。
おそらく大ヒット作ということなんだと思う。ビルボードで何位を取ったかは知らない。
彼等のことを「世界で最も重要なバンド」だとは思っていないし、「僕達にはR.E.M.が居る」ことなどどうでもいい。そもそもどうしてあんな青臭いコピーを書いて平然としてられるのか。
R.E.M.はただのロックンロールバンドだ。それ以上でもそれ以下でもない。
本作はギターの歪み具合が絶妙で、曲のメロディも素晴らしい。全体的に暗いトーンが支配的課と思えば、要所々々で明るいメロデイを持つキャッチーな曲も配され、全体的を通して聴きやすい。非常に優れたロックアルバムだ。
①・②・③の冒頭のロック3曲も良いが、④の泣けてきそうになるバラードも良い。他の曲も重いものからメロウなものまで押しなべて完成度が高い。
彼等のことをお洒落でひねたポップバンドか、もしくはグランジ崩れと思ってまだ聴いていない人は是非聴いてみてほしい。


BRIDES OF DESTRUCTION - Here Come the Brides ★★ (2003-12-29 16:27:00)

これ、いいよぉ~。
確かに一撃必殺の大傑作ってなわけではないけれど、じわじわ利いてくる良作だね。
冒頭のスピードナンバーが気に入れば、もうBODの虜でしょう。
Voのロンドンはかなりの個性派。1曲目の東洋音階風で微妙に難しいメロディも、まったく危なげない。良いパフォーマーだと思う。
ニッキーのコメントでは、なんだかこのバンドに関してはしゃかりきになって働くつもりはないようなことを言っていたけれど、是非ライヴをやるべきだし、馬車馬のように働くべきだと思う。
頂点取れんじゃないの?下手するともう一度。


MANIC STREET PREACHERS ★★ (2003-10-26 23:28:00)

GEORGEさんも仰るとおり、1stだけはHRとして聴いてもよい作風です。
1曲目が素晴らしく格好良い曲で、他にも佳曲が多数収録されておりました。
彼等は存在自体が面白く、1st発表前に「1stをチャートの1位に送り込んで解散だ!」と発言し物議を醸し出しました。意地悪なマスコミが「おいおい。冗談でしょ?」と揶揄したところ、「ふざけんな。マジだ!」とリズムギタリストでヴィジュアル方面及びイデオロギー担当のメンバーが自らの腕に刃物で「4REAL」(だったと思う)と刻んだ事件もありました。
1stは残念ながら1位にはならず、「まさか2ndを作らないよね・・・」と一部(大部分?)の人々は解散することを予測していたのですが、彼等は2ndを発表。当時は「禁断の2nd」と呼ばれ、ここ日本でも「マニックスを解散させる会」などが発足したりもしました。
2ndは質は低くないのですが、もの凄くダークなトーンが支配的で1stにあった破天荒なのりが無くなっておりました。しかし絶望的な美しさがチョイと見えたりして悪くありません。ちなみにHRではありません。
3rdはスピードチューンがいくつか戻ってきたのですが、どちらかというとパンキッシュなのりで、これもHR的な作品ではありませんでした。私的にはこの3rdは神経症的にも聴こえなかなか好きになれませんでした。この3rd発表後、リズムギタリストが失踪し、今に至るまで生死が不明となっています。
4thは残った3人で作られたのですが、元々このバンドのメインソングライターはVoとG担当のジェームズなので、音楽的な喪失感はあまりありません。全英で1位となりました。私は装飾過多のような気がして未だに聴きこめずにおります。
5thは4thの無駄なところを削ぎ落としたような作風で、一部HRっぽい良質なアルバムです。私は結構気に入って聴いていました。特にSONYのデジタルヴィデオカメラかなにかの宣伝に使われていた曲は、「久々に良い曲書いたなあ!」と思わせるものでした。
と思っていたら6thは、また3rdのころのサイコパンクというか、サイココアというかあの神経症で憂鬱な作風になってしまいました。これもあまり好きではありません。
以上、ざっとこれまでの作品を概観してみました。純粋にHRっぽいのは1stのみで、一般的に売れたのは4th。また、5thも良い出来だと思います。サイコ系及びパンクロック系が好きな人なら3rdと6thもいけるかも。2ndは綺麗な作風ですがちと暗い。だいたいこのように評価できます。
ですが、一番格好良いのは1st発表前にリリースされているミニアルバムだったりして・・・。といいつつ、なんで好きでない作品が全体の半分も占めているのに、未だにアルバムが出たら買っているんだろ。俺・・・。裏切られることも多いけど、たまーにツボにビシッとくる曲をかくので、見逃せないでいるというのが正直なところなんでしょうね。


THE DARKNESS - Permission to Land ★★ (2003-10-16 00:17:00)

'03年発表。1st。
いやあ、嬉しいねえ。全く。
一言で言うと、王道HR以外の何物でもないね。だけれども、Voのファルセットが効果満点で、凄く「キャラが起っている」。このヴォーカリストの存在感だけで、本作の成功は約束されたようなものではなかろうか。
いかがわしく、猥雑で、バッタもん臭くて(類義語反復か?)、それでいて格好良い。ジャスティンについては俺はQUEENのフレディよりエアロのスティーヴンを想起したね。なんか顔が似ているし。
なんかお馬鹿なアートワークも含めて、俺は本作を支持する。この'70年代臭さがプンプンするHRがイギリスで売れていることに乾杯だっ!


CATHEDRAL - Caravan Beyond Redemption ★★ (2003-10-12 03:46:00)

'99年発表。5th。
2nd以降の彼等独特のキャッチーさを加えた諸作品の中にあって最高の出来と評価している。個人的に最も好きな作品。
ただ、GEORGEさんも上でおっしゃっている様に、ドゥ-ムを求めると肩透かしをくらう。かといって普通のメタルかというとそのおどろおどろしさに圧倒される。そういった見方からすると、意外とレコード会社は売り方に苦慮したのではなかろうか。なんとなくこのへんの展開がMEGADETHに似ているなとも思う。
とはいえ、私もパクネさんと同意見。異界への扉を叩く気があるのなら、本作が一番敷居が低い。


DAVID BOWIE - Reality ★★ (2003-10-12 03:33:00)

'03年発表。オリジナルスタジオアルバムとしては26枚目だそうな。
作品の基本的なトーンは前作と共通する。個人的な感触ではポップ感が(前作比)約2割増しってところだろうか。
落ち着いて聴けるし、ボウイ独特の節回しというか「切れているところ」も堪能できる優れた作品と評価できよう。
この人、本当に『'hours...'』で悟りを開いたんだろうか。
ただ、日本盤ボーナストラックの⑫は蛇足かも。カヴァーとして非常に出来が良いのは認めるが、大作⑪で聴き終えたほうが製作者の意図をより良く汲めると思う。⑫で終わると作品の印象が結構違ってくる。やたら明るいというか。


BAD MOON RISING - Blood ★★ (2003-10-03 22:32:00)

'93年発表。2nd。
書き込みもされていないし、なんかあまり評判も良くない。
だが、昨日中古盤屋で見つけ、思わず購入してしまった。
う~ん。確かに決めの1曲に欠けているような気はするが、私は結構気に入った。
傑作と言い切ることには躊躇をおぼえるが、これは明らかに駄作ではない。ブルージーなHRで、前作より少し湿り気を帯び翳りがある。
本作は時代に迎合しているだろうか。確かに当時はピッカピカの笑顔でど明るいアメリカンHRなどを演奏したら背中を刺されるような雰囲気はあった。だが、本作に漂う「翳り」はグランジロックで括られたバンド群が表現しようとしていたものや、生き残りを賭けたHMバンドが怒りや、ヘヴィさとともに体現しようとしていた「ダーク」さなどとは本質的に違うと思う。
もともとこのバンドにはブルーズの影響が少なからず見えていたことを考えると、ブルーズの暗い側面がクローズアップされただけなのだという気がする。
うん。やっぱり好きだな。このバンド。3枚集まってしまったけれど、どの作品にも非常に満足している。


THE WILDHEARTS - The Best of the Wildhearts ★★ (2003-10-02 01:21:00)

うん。このベスト盤は良いね。確かに全て聴き所だと思います。
彼等の特徴はハードなギターサウンドを基調にしつつも、かならず歌メロにキャッチーなサビが入るところ。ハードでありながらポップであるという、非常に贅沢なバンドです。
才能はあるんだけれども、なかなか継続的な活動を行なえないバンドの経営状況が恨めしい。


AC/DC - Ballbreaker ★★ (2003-10-02 00:59:00)

'95年発表。
曲に問題はないと思います。はっきり言いますが、リック=ルービンのプロデュースに問題ありでしょう。この人、確かWOLFSBANEの作品でもこじんまりとした音作りをしていませんでしたっけ。
AC/DCには生々しい音やラフな音作りがお似合いで、そういう音作りだからこそ曲中の「空間」というか「隙間」も生きるのに。こんなに整理されて綺麗に小さくまとめられた音じゃ、曲が可哀相です。と、いうわけで皆さん。本作を聴く時にはせめて大きな音で聴きましょう。


SODOM - Code Red ★★ (2003-10-02 00:47:00)

'99年発表。
実はこういう音楽の熱心な聴き手とは言えないのだが、たま~に聴きたくなるのも事実。正直なところ聴いていてSLAYERの「あのアルバム」を思い出した。
とにかく激烈であまりにも暴力的な音ゆえ、例え「あの野郎、ぶっ殺してやる!」と怒りに煮えたぎっていても、本作を聴くと逆に怒りが収まってしまいそうな気がする。「ま、いいか。なんか、すっとしたわ」とか。
とはいえ、HMを聴くと暴力的になる。とか。あの殺人犯は事件を起こす前にHMを聴いていた。とかで下らない議論になるのは何故なのかねえ。はっきりいって関係ないと思う。ただの偏見だよねえ。だって、ある殺人犯が事件の直前に聴いていたのが某局の『みんなの歌』だったらどうするよ。多分どのマスコミもそのことを騒ぎ立てないんじゃないかな。


DAVID BOWIE - Heathen ★★ (2003-10-02 00:27:00)

'02年発表。
『異教徒』と名付けられた本作は、前作同様これまでのキャリアを総括するような安心して聴ける作風となっている。常に何か別のものを生み出そうとして躍起になっていたボウイは、もうここには居ない。だが、色々なものを犠牲にして、血を吐きながら獲得した「音」がここには惜しげもなく並んでいる。創るべき人が創るべくして創りえた、小さくも広大な音世界。
老成などしちゃいない。ボウイはボウイだ。


DAVID BOWIE - 1.outside ★★ (2003-10-02 00:09:00)

'95年発表。
コンセプトとストーリーをひねりすぎて、ギャグ一歩手前となってしまった悲劇の作品。
とはいえ音楽性は次の作品のはっちゃけぶりを暗示するようでもあり、なかなか興味深い。
個人的には本作の肝は「THE HEARTS FILTHY LESSON」が収録されている所に有る。
映画『SEVEN』のエンディングに流れるこの曲は、映画を観終えてささくれだっている私の神経を、ビシリと刺激した。誰だよ、これ。エッ!ボウイなの?
今でも格好良く、切れまくっている曲だと思う。


DAVID BOWIE - Eart Hl I Ng ★★ (2003-10-02 00:02:00)

'97年発表。
正直、本作でのボウイはコンセプトをうだうだと考えるのを止め、単純に自分の興味のおもむくままに音楽を作っている。それが結果的に今の自然体のボウイを生み出した。本作でボウイは自らのキャリアの寿命を延ばすことに成功したのだと思う。
音楽性はなんのひねりも無いジャングルビートに、ポップなメロディとたまにノイジーなギターが乗っかるというもの。それが格好良い。それが気持ち良い。
前作が、やけに力が入っているんだけれどちょっと方向性がトホホなんじゃないか?という作品だったので、この転身を私は当時も今も高く評価している。
といっても前作(『1.OUTSIDE』)も嫌いじゃないのだけれど。


SONIC YOUTH - Dirty ★★ (2003-10-01 23:47:00)

'92年発表。8作目。
NIRVANAの大ブレイクが影響して、彼等のキャリアの中でも最大の異色作となったのが本作。
6作目の『DAYDREAM NATION』収録の「TEEN AGE RIOT」と双璧をなす(彼等にしては)ポップかつキャッチーな曲である「SUGAR KANE」が聴ける本作は、私個人としては彼等の最高傑作であると信じて疑わない。もちろん、真性SONICファンを自認する方々に言わせれば、「これを最高傑作だなんて。わかっていないね」というところかもしれない。
バンド自身も本作を最後にこの路線からきっぱり決別。9作目では『SISTER』(5作目)の頃の音作りを想起させる作品を発表した。
「SUGAR KANE」はアーノルド=シュワルツネッガー主演映画である『END OF DAYS』にも収録されている。「おお、この曲の良さを忘れられない人が居たのか!」と少し嬉しかった。また、山田正紀さんというSF作家(大御所)が、『デッド ソルジャーズ ライヴ』の一エピソードでこの「SUGAR KANE」を取り上げていたことにも驚いた。


SONIC YOUTH - Goo ★★ (2003-10-01 22:32:00)

'90年発表。7枚目。
僕はこの作品と6th、8thが好き。本作も含めてSONIC YOUTHが最もHRっぽい音作りをしていた頃の作品だから。
本作では「TUNIC(SONG FOR KAREN)」と「MILDRED PIERCE」に衝撃を受けたなあ。前者は聴きながら、子供の頃飼っていた亀が居なくなっちまって、探してもみつからなくて、半年ほど後に食器棚の裏からミイラ化して発見されたのを思い出した。それと、夜の7時で暗くなっているのに、職場の前の道路でカラスがギャ-ギャ-鳴いていたこととか。なんかそういう、そこはかとなく嫌な感じ。
後者は早朝に気持ちよく車を飛ばしていたら、突然目の前に車に轢かれた猫の死体を見つけて急ブレーキを踏むような感覚を味わえます。最後に驚いた。この手の展開って最近は珍しくもないんだろうけど、当時は「凄い嫌なものを聴いちゃったな・・・」と少しビビリました。
純情だったから(嘘。笑)


QUEENSRYCHE - Tribe ★★ (2003-09-28 04:29:00)

ちょっと暴言を吐きます。
ここにきて実は『THE WARNING』以降の作品が全て揃いまして、本作に至るまでを『HEAR IN THE~』や『Q2K』も含めて聴きなおしてみたのですが、正直なところこのバンドは『PROMISED LAND』で完成させた形を今に至るまで深化させているのだなと感じました。
いや、なにを言いたいのかというと『HEAR~』や『Q2K』は別に問題作でもなんでもないのではないかと。『Q2K』にしたって『EMPIRE』と通ずるところがあるような気がするし。
上の方々はさすがに熱心な聴き手のようで、非常に的を得た評価をされていると思います。このバンドは最盛期の作品においてですら一聴して即良さがわかるという作風ではなく、聴き手に聴き込みを要求しております。非常に聴き応えのある良質な作品を届けてくれており、それは本作も変わりありません。
私も今さら『OPERATION~』の頃に戻って欲しいとは思わないなあ。それはRUSHに「『MOVING PICTURES』をもう一度作って!」というようなもんだし。そう。このバンドってRUSH系の新化(深化)バンドなんですよね。最低限の商業的成功は収めつつ、これからも自らの信じる道を歩んで欲しいと思います。


RAGE - Soundchaser ★★ (2003-09-28 03:50:00)

クトゥルフ神話に題材を求めた割には、凄く元気で妙に明るくて笑ってしまった。
だがそれはそれとして、今回も印象的なリフ、メロディ、フック満載の高品質作となったのは疑いない。
HMの剛直な部分とメロディアスな部分を余さず表現し、曲展開はちょっぴり複雑、リズムギターはザクザク、ギターソロは流麗なものを聴かせてくれるというこのバンドの持ち味は今回もバッチリ生かされています。
なんか3rd~4thのころのMEGADETHに少し似てないかなあ。もちろん褒め言葉として。
HMを聴きたければこれを聴きな!ってなところですかね。う~ん。やっぱこのギター聴いていて気持ち良いなあ。傑作!


HUGHES TURNER PROJECT - Hughes Turner Project 2 ★★ (2003-09-28 03:37:00)

いや、誰かが必ず書き込んでくれていると信じていたのだが。
発売後1ヶ月ほど経つのだが、私が最初になってしまうとは・・・。そんなに反響がなかったのだろうか。
あのね。素晴らしい作品です。前作の焼き直しでなく、2人のプロジェクトとして独自の方向性で新しい魅力も作り出してきているし。「単に上手い奴が2人で歌っている」っていうんじゃなくて、超強力なツインヴォーカルが堪能できるとともに、しっかり2人の個性が浮き彫りにされた楽曲もあります。
妙に現代性を意識せず、かつ古臭く感じさせないという絶妙な匙加減で作られた楽曲群はお見事!曲の並びも良く考えられていて、聴き始めると止まりません。文句無く王道HRの傑作でしょう。
是非聴いて下さいね。いや、本当に。冗談じゃなくて。


DEEP PURPLE - Bananas ★★ (2003-09-28 03:21:00)

一言で言うと、どの楽曲も良く練りこまれてフック満載の素晴らしい作品である。
モーズ加入後の最高傑作であることは間違いなく、ジョン=ロードの不在もマイナスとはなっていない。
個人的にはタイトルトラックのような楽曲をせめてもう1曲入れてくれれば、と思わないでもないが、それはタイトルトラックが素晴らしい緊張感を孕んだ名曲だからだ。ギターとオルガンのバトルはこのバンドの十八番で、それをしっかり「売り」として認識されているのは嬉しいし、もっと聴かせて欲しい。
このバンドに問題が一つあるとすれば、それはギランがあといつまで歌えるかということだ。新作リリースのペースをもっと上げて欲しい。
さすがの私も、ギランが居なくなったこのバンドをDEEP PURPLEとは呼べない。


IRON MAIDEN - Dance of Death ★★ (2003-09-28 03:07:00)

2003年発表。13枚目のスタジオアルバム。
アートワークのメインテーマは『死の舞踏』で、中央に死神に扮したエディが立ち、踊りの輪の中に入るよう手を差し出している。向かって右端に最も手前に居る女性も虚ろな目で我々をいざなう。
音的には『THE NUMBER OF THE BEAST』(3rd)以降に構築したこのバンドの持つあらゆる面を総括したような印象を受けた。個々の楽曲についてはすでに上で様々な方が触れているので、ここで全てについて改めて論じないが、①は「ACES HIGH」を彷彿とさせる名曲である。実のところ、このバンドは必殺の一撃を1曲目に持ってくることは少なかったりする。意外と、「疾走感はあるのだが、ややラフ、あるいは少し大味、もしくはちょっと複雑」な楽曲が多い。そんな中で、本作の幕開けは『POWERSLAVE』、『FEAR OF THE DARK』に似ている。
続く②はこのバンドの魅力が大炸裂である。印象的なイントロもさることながら、個人的に最も感動したのは「THE TROOPER」で見られたような2本のツインギターの絡みが、クローズアップされるようになった点だ。しかも現編成はトリプルギターなので、ツインリードギターのバックにはしっかりとザクザクしたリズムギターが刻まれ、さらにそこにハリスの剛直なベースが絡んでいる。この辺の音作りはどうしたって3rdから5thあたりの諸作品を思い出してしまう。
加えて大作として6th以降に確立した複雑かつ抒情性に満ちた楽曲を配している。そういう意味では持っている手札を全て見せた感がある。
結論を言う。本作は『NO PRAYER FOR THE DYING』(8th)以降の諸作品中最も質が高い傑作アルバムである。しかも3rd~5thに肉薄するような仕上がりの。


OASIS ★★ (2003-08-19 23:40:00)

これも、「やっちゃった」ってなところですかね。
LOU REEDに引き続き、またもや非HR/HMで追加してしまいました。
METALLICAのラーズが好きだからとかどうとかというのは関係なく、良いバンドです。
個人的には2ndが最も良い楽曲が揃っており、そこそこハードで一番好き。次が5th、その次が1st、その次に3rdで4thは未購入(妹のをさらっと聴かせて貰ったのだけれど、なんかピンとこなかった)といった感じ。
よかったら、聴いてみてください。


OASIS - Definitely Maybe - Live Forever ★★ (2003-08-19 23:35:08)

衝撃のデヴュー作の3曲目。
正直話題になった「SUPERSONIC」なんかよりもこの曲の方がピンときた。
歌メロが目茶苦茶切ない、名曲。
カラオケで歌おうとするとしょぼいけど。


OASIS - Heathen Chemistry - Little by Little ★★ (2003-08-19 23:30:35)

現時点での最新作中、最もお気に入りの一曲。
なんか寂しげで儚げで、それでいて優しいメロディがたまらなく心地良い。歌詞の内容はちょっぴり後ろ向きだけれども。
こういう曲が書けるなら、これからも応援していく。


JEFF BECK - Jeff ★★ (2003-08-19 23:07:00)

ここんところずーっと聴いている。
だけれども全然飽きない。
『WHO ELSE!』以降のデジタルビートを背景に持つ路線を、今作も踏襲しているのだが、もう"デジタルビートに印象的なフレーズをのせる"などの次元ではないな。この人の音楽は。
デジタルビートのリズム中に、がっちり「ジェフ印」が刻印されたフレーズをグリグリねじ込むっていうのが適当な表現か。
同一路線を歩む方法としては、同じことを質を下げずに続けていくという方法と、作品を出すたびに進化していくという方法があるが、当然ジェフは後者。しかもまだまだ遊び足りないという感じ。本当にこの人の好奇心、探究心、表現することに対しての貪欲さには呆れ返る。
まあ、聴いてみなよ。すげえから。ってな作品。


DAVID BOWIE - Low ★★ (2003-08-19 22:49:00)

'77年発表。10作目。全英2位、全米11位。
ベルリン3部作の幕開けとなる本作は、タイトルが全てを表している。
どうしようもなく憂鬱で、深く沈んでいて、だからこそ美しい作品だ。
前半はポップな小作品が並んでいるが、そのわざとらしいくらい明るい曲調からは妙に寒々しい印象を受ける。ちょっと奇妙で少し綺麗な世界だ。
後半はインストゥルメンタルが並ぶが、本作の肝はこれらの楽曲にあると思う。
どこまでも続く曇天の空。雲の切れ間は何処まで行っても見つからない。そんな感じ。
だが、殺伐としておらずあくまでもそのメロディの美しさに心を奪われてしまう。
ボウイの作品の中で(自分が持っているものの中では)本作が一番好きだ。


AC/DC - Highway to Hell ★★ (2003-08-03 01:57:00)

'79年発表。ボン=スコット時代の集大成的アルバム。
とにかく、1曲目のタイトルトラックのイントロだ!これがワンフレーズ鳴り響いただけで、自分の周囲の空気がガラリと変わるぞ!問答無用の名曲だ!
例えば、悪魔が(歌詞の内容にはこの際触れずに)「地獄に向かっている高速道路」のプロモーションにAC/DCの「HIGHWAY~」を使ったと考えてみよう。そのあまりにも陽気でポジティヴでガッツの湧いてくるリフを聴いた途端、なんの迷いも無く地獄へ向かってハイウェイを爆走することを選んでしまいそうなくらいだ(でも、駄目だよ。これ聴いて現実の高速道路をふっとばして走っては)。
ま、細かいことはどうでもいい。傑作。


THIN LIZZY - Live and Dangerous ★★ (2003-08-03 01:40:00)

とにかく、ツインリードの絡みがもろにツボに入りまくりです。
ベースもうねうね、ドラムもタイト。これまでにHRバンドが発表した全ライヴアルバムの中でも出色の出来だと思います。
途中、しっとりと聴かせる曲も織り込んでいますが、全体的にはライヴならではの躍動感に満ちたハードな楽曲が目白押し。HRを好きで良かったなと思わせてくれる傑作ライヴアルバムです。
THIN LIZZYを初めて聴こうとする人は、このライヴアルバムを最初に聴くと良いでしょう。購入するならリマスター盤を。


QUEENSRYCHE - Rage for Order ★★ (2003-08-03 01:28:00)

今日、ちょっと手伝い仕事に行く途中の電車の中で聴いていた。というか、ここのところ気に入ってちょくちょく聴いている。
上の方で様々な方々がすでに色々と熱く語っておられるが、全くそのとおり。一聴して「こりゃ、良い。最高!」とはならないが、一度聴くと妙にひっかかり気がつくとじわじわとお気に入りになっている。非常に緻密で緊張感に満ちた彼等一流のHMは、今聴いても全く古ぼけていない。彼等の最高傑作という評価も頷ける。
まあ、本作を皮切りに『OPERATION~』も、『EMPIRE』も、『PROMISED LAND』もどれも非常にレベルが高く、それぞれに独特の味わいが有る。おそらく本作と『OPERATION~』がバンドのキャリアとしては頂点(セールス的には『EMPIRE』)。なのだろうが、出来る事なら本作から『PROMISED LAND』までの4作品はセットで聴いておきたいところだ。
なんにせよリマスターで再発されたことだし、未聴の方は是非!
あ、そうそう、ライキチさん。ウルトラマンにも色々居るじゃないですか(笑)。ほら、頭部のシルエットが似ているのが居ませんか?ね?(笑)


BAD COMPANY - Straight Shooter ★★ (2003-08-02 01:27:00)

'74年発表。2ND。
実のところ、BAD COMPANYは現時点で本作しか持っていない。せめて不朽の名作と言われている1STぐらい買おうかと思うのだが、「良いことはわかっている。あとのお楽しみ」と考え、未だ購入に至っていない。
とりあえずこの2NDだが、一口に言うと非常にキャッチーなHRである。
軽快なHRナンバーの①で幕を開け、どことなくカントリー調の②、優しげな③を経て、4曲目以降も名曲揃いだ。もっともハードなのは⑤だが、これにしても非常に明るいノリ。だがきっちり少しだけ湿っている。どの曲もどことなくホンワカしており、どこかちょっぴり湿っている。古き良き時代の傑作アルバム。


MOTT THE HOOPLE - All the Young Dudes ★★ (2003-08-02 01:17:00)

'72年発表。5作目。
デヴィッド=ボウイがプロデュ-スを担当。個人的には1曲目にTHE VELVET UNDERGROUNDの「SWEET JANE」がカヴァーされているのが感慨深い。また、3曲目のタイトルトラックは全ロックファン必聴の名曲。非常に感動的であり、この大袈裟さ加減はQUEENをも想起させる。とりあえず名曲。
アルバムトータルで見ると決してハードではなくポップロックと言ってよい作風だが、名作。


MR. BIG - Deep Cuts: The Best of the Ballads ★★ (2003-08-02 01:05:00)

'00年発表。バラードもしくはバラード系の曲のみを集めたベスト。
HM/HRが嫌いな妻にも聴けるアルバムとして、本作は重宝している。しかし、購入しておいてなんだが、このような企画盤が発表されることからもこのバンドがどういうバンドだったか、レコード会社からどのように売り出されていたのか、そしてそれがある一部のメンバー達の思惑とどれほどのギャップがあったのかがわかろうというものだ。
やはり、「TO BE WITH YOU」が当たってしまったのがそもそもの間違いである。エリックを天狗にしたのみならず、バンドのパブリックイメージを決定付けてしまった。
HRバンドはバラードを最大のヒットにしてはいけないという好例。購入しておいてなんだが。


URIAH HEEP - The Magician's Birthday ★★ (2003-08-02 00:54:00)

実はHEEPのアルバムはこれしか持っていないので、このバンドについて正当な評価を下すことが出来ない。しかし、本作だけを評価するならライナーノーツで伊藤政則さんが書いているように「プログレッシヴ・ロックとハード・ロックの中間のサウンド」である。
ロックンローラー気質のプレイヤーによる幻想的なサウンドというか、奇妙な味わいが本作には存在する。8曲目のタイトルトラックは文句なしの名曲だと確信するが、それにしたってどこかが微妙に歪んでいる。それを美しいと感じるか醜悪と感じるかで、本作の評価も大きく異なろう。当然私は前者であるが。
ロジャー=ディーンのアートワークを見て、YESばりのプログレッシヴ・ロックを期待すると大いに肩透かしをくらう。だが、先入観に囚われないで聴けばこの奇妙は音楽は中毒性を持っている。はまるよ。


ROLLINS BAND - Weight ★★ (2003-08-02 00:39:00)

'94年発表。2NDアルバム。
1STの作風の延長線上にありながらも、ベーシストの交代による影響なのか、あるいは音楽性の変化がベーシストの交代を招いたのか、1STよりも重々しくグルーヴィな作品である。疾走する曲も少ない。でありつつ、サウンドプロダクションと曲構成は整合性を重視したものとなっており、そういう意味では妙に綺麗にまとまって聴こえる。
個人的にはこのバンドには破天荒で八方破れな曲展開と、疾走する曲の出来の良さを求めていたので、重いが妙にこじんまりとまとまった本作は長い間好きになれなかった。
しかし何年か寝かした後に久しぶりに聴くと、これがまあまあ聴ける。やはり妙な小奇麗さを感じてはしまうが、うねうねとうねるグルーヴに乗っかったヘンリーの咆哮も、また良し。


RATT - Invasion of Your Privacy ★★ (2003-07-30 03:15:00)

実のところ、RATTとの出会いはMOTLEYよりも先であった。「YOU'RE IN LOVE」の存在はかなり早くから知っており、「RATTって格好良いな」と思った記憶がある。しかし、本作をCDで入手したのはほんのつい最近。1STは随分前に入手して愛聴していたのだが、本作は長い間「購入保留」の状態だった。
この2NDは基本的には1STの延長線上で、音楽性が大きく変わりもしなければなにか新機軸を打ち出しているわけでもない。そこがいいのだ。RATTはウォーレンがへたなブルーズ趣味に傾倒しだしてからおかしくなったと考えるのは私だけであろうか。そういう意味で、ウォーレンはあまり好きなギタリストではなく、DIOへの加入もなくなったと聞いて嬉しかったりするのであった。
ちなみに本作は傑作である。ミドルテンポの楽曲をこうまでスリリングに聴かせてくれるバンドとして、やはりRATTは稀有な存在であった。


PEARL JAM - Tokyo,japan March 3rd 2003 ★★ (2003-07-30 03:01:00)

'03年発表。題名のとおり今年の3月3日に行なわれた、武道館公演を収録したライヴ盤。
CD2枚組みで収録時間は約2時間20分。ライヴ盤といえばすでに『LIVE ON TWO LEGS』('98年発表)が存在するが、もし彼等のライヴパフォーマンス未体験の方が居たら、やはり本作がお勧め。
個人的には本作における最も美しい部分は6曲目『DISSIDENT』から9曲目『GIVEN TO FLY』までの流れである。特に7曲目『LOVE BOAT CAPTAIN』は感動的だ。以前『RIOT ACT』の項で"特に突出した楽曲が存在しない"みたいなことを書いたが、訂正する。この曲は(他の曲もだけれど)素晴らしい。
また、以前『DISSIDENT』の項でライヴ盤大量リリースについて批判したが、それも撤回したい(というか保留にしたい)。なぜかというと本作の成立する背景がえらいことになっているからだ。なんと最近の彼等は全ライヴを録音し、ネット上で注文を受けるとMP3ファイルに落とした音源を配信、後にCDを送付するということをしているらしい。要するに自分が行ったライヴが「凄い良いライヴだったな」と思えば、その音源(CD)が入手できるのだ。これはファンにとっては夢のような話だろう。前述したライヴ盤の大量リリースがこのようなファンを重視した行為(単にブートレッグ対策というのではなく)なのだとしたら、それは高く評価してよいと考える。
ただし、ネット上での音源の配信と作品の発表というのは(おそらくこれからはこうした形が主流になるとはいえ)、まだ試験的な段階と言え今後注意を払って見守っていく必要がある。そのような意味で「保留」。
いずれにせよ、本作は非常に出来の良い高品質のライヴ盤であることは疑いない。


JEFF BECK - Wired ★★ (2003-07-08 00:05:00)

'76年発表。『BLOW BY BLOW』に続くギターインストゥルメンタル路線2作目。
なかなか新譜が出ないので、仕方なく(とはいえいつ聴いても良いなあ)昔のを聴いているんだけれど、本作も格好良いね。前作よりも少し黒っぽいかな。やはり一番のお気に入りは「BLUE WIND」。ジェフ=ベックの曲って曲名もクールだよね。


LOU REED - Rock'n'roll Animal ★★ (2003-07-07 23:55:00)

'74年発表。ソロになってから1枚目のライヴアルバム。
本作の聴き所はなんといっても1曲目。「SWEET JANE」のイントロである。後にアリス=クーパーバンドに加わるスティーヴ=ハンターとディック=ワグナー(この2人は前スタジオ作の『BERLIN』にも参加)が、ツインリードで弾きまくる様はやはり格好良い。
などと書くと、おそらくコアなルー=リードファンからは非難轟々であろう。「あの名曲SWEET JANEを破壊している」とかなんとか。だが私はHR/HMリスナーのルー=リードファンなので、やはり流麗なツインリードには胸が躍ってしまう。買えとは言わない。だが、一聴の価値あり。


LOU REED - The Blue Mask ★★ (2003-07-07 23:36:00)

'82年発表。11枚目のスタジオアルバム。
古巣のRCAに戻り、音楽性もルー一流の詩情に溢れ、かつ時にエッジの立った楽曲が並んでおり復活作と評価されている。スタジオライヴの手法でレコーディングされているため、その緊張感は凄まじい。アルバム随一のハードな楽曲のタイトルトラックを聴いてみて欲しい。そのギターの轟音と激情迸る歌声は半端なヘヴィロックバンドを一蹴する。もう20年以上経つのに、全く古臭さを感じさせないところも凄い。傑作。


LOU REED - Set the Twilight Reeling ★★ (2003-07-07 23:26:00)

'96年発表。17枚目のスタジオアルバム。
本作は総体で見ると、あまりHM/HRファンに訴えるところは少ないかもしれない。しかし、最初の1曲「EGG CREAM」、これは格好良い。ズルズルと引きずるようなヘヴィなリフ。しかしそれはキャッチーですらある。全く、ルーという人はハードで格好よいリフをかかせたら天下一品なのだ。他にHRっぽい曲は収録されていないのだが、普通にロックが好きな人なら一度は聴いてみるといい。どれも聴き応えがあり、バラエティに富む。名盤である。


DAVID LEE ROTH - Skyscraper ★★ (2003-06-22 22:38:00)

'88年発表。2ndソロ作。
以前から「いつか見つけて買ってやろう」と思っていたのだが、先日ようやく見つけた。
一言で言うと1stと同じくらい良い。あるいは作品のまとまり具合から言うと1stを凌ぐ。傑作である。
本作の中での代表的な曲としては②が挙げられるのだろうが、⑥や⑦なども良い。①と④もクールだ。ただし、1stに較べてスティーヴとビリーのプレイが少し抑え目だ。あのあくの強い2人を完全に制御してしまっている。それが勿体無いと言えば勿体無い。逆にいえばやっぱデイヴは凄いな・・・と。
3rdにはあの幻の名手(頑張れ!)ジェイソン=ベッカーを起用するなど、デイヴはプレイヤー選択眼を持っている。この路線でイングヴェイとかバケットヘッドとかを起用して一作ずつ「今回はデイヴ様VS○○」というノリで作品を発表していれば今ごろはもっとビッグになっていたかも。


BAD MOON RISING - Opium for the Masses ★★ (2003-06-22 22:25:00)

'95年発表の3rdアルバム。本作はようやくメンバーが固まった環境で製作された。とはいえ、カルとダグが1stで提示した音楽性に、微塵のゆらぎもない。
などと断言すると、「なに言ってんだ!3rdはグランジっぽくて音楽性ががらりと変わったんだ!」とコアなファンから怒られそう。確かB!誌のレヴューもパッとしたことが書いてなかった。
しかしグランジブームからすでに10年経った今、あらためて聴いてみると1stの音楽がよりハードに、心持ち少しラフになった感じで個人的にはかなりツボだ。大いに気に入った。
また、本作はしっかり「この1曲!」というのが存在する。実のところ1stは全体的に出来が非常に良いのだが、「これ!」というのがなかったのでどうも印象が地味なのである。対してこの3rd。冒頭からのせてくれる。1曲目はかなり格好良い。しかしヴォーカルの音を少しいじっているので、古くからのファンは「身売りしたな。そんなに売れたいか」と思ったかも。
アルバムの構成としてハードな曲の配置に気を使っており、一息に聴かせてくれる。見事だ。
こんなに良質な作品を出してもバンドを存続できなかったのは、やはり時代が悪かったのか。グランジブーム自体に罪は無いと思うが、ブームに踊りまくる音楽業界の体質には毎度の事ながら反吐が出る。


BAD MOON RISING - Bad Moon Rising ★★ (2003-06-22 16:40:00)

'91年発表。1stアルバム。
本作発表の段階では正式メンバーはカル=スワンとダグ=アルドリッチの2人のみである。要するにBMRはこの2人のプロジェクトとしてスタートした。ということはつまり、亡きLIONの後継者として待ち望まれていた中で本作が発表されたことを意味する。
などと偉そうに書いてはみたが、実は私がこの作品を入手したのはつい最近のことである。
DIOでのダグのプレイに耳を引かれ、さらにはWHITESNAKEにも参加したということで、BMRに興味が湧いたのだ。最初に聴いたのは3rd。これがなかなか気に入ったので、3rdより評判の良い1stがどうしても聴いてみたくなったというわけだ。
結論。私は3rdの方が好きだ。だが、本作も名盤であると評価したい。
なにが良いかというと、非常にオーソドックスなHRを一生懸命やっているということ。①と②はなんか明るい感じだが、③のバラード以降はH・Wさんも言うように、湿り気を帯びた英国の香りがする良質のHRが並ぶ。個人的には③・⑥・⑧も良いが④・⑦・⑨などのハードな楽曲の存在に価値を見出したい。


VOIVOD - Voivod ★★ (2003-06-15 14:18:00)

そう。ジェイソン=ニューステッド参加というのは大きな売りの一つだが、やはり旧来のファンにとっては何よりもスネイクの復帰が嬉しい。
私としてはこのバンドに望むものは、スラッシ-でヘヴィでプログレッシヴでスペイシーなちょっと他では聴けないHMなのだが、この復活作では期待していたものが全て揃っており、それだけでなく「剛直さ」まで加わっている。復活作としてこれ以上はない出来だ。
あとは、最悪な場合ジェイソンが居なくなっても私は構わない。なにより必要なのは、この音楽性を維持した上での継続的な活動だ。そういう意味でOZZFESTへの参加は、是非とも意義あるものにしてもらいたい。「おかえり!」


METALLICA - St. Anger ★★ (2003-06-08 16:29:00)

・・・。さて。何から書こうか。
まず、私は彼等のファンであるが、あまり深い思い入れを持たずに各作品に接している。コアなファンから見れば非常にいいかげんな奴である。なにせ1stから3rdまでの一連の流れを愛しつつも3rdを溺愛してはおらず、プロダクションに難がある4thの価値も認めている。BLACK ALBUMに対しても、非常に複雑な屈折した思いを抱きつつも決して嫌いではない。好きだ。『LOAD』以降の流れに関しても、空洞化したHMのど真ん中をMETALLICA流のやり方で埋めようとしたことに好感を感じている。『LOAD』・『RELOAD』で唯一気になったのは曲の長さと収録曲の多さぐらいだった。
こんな人間が書いているんですよ。というのを前提にして読んでほしいのだが、今作は問題作でありつつ大傑作であると思う。
なにが問題か。それはやはりサウンドプロダクションだ。特にスカタン、スカタンとやたらと軽々しいドラムの音は気にならないといったら嘘になる。ただ、それは作り手の方では確信犯的にそういう音を狙っているのであり、生々しさを増していると言われればそれも肯首し得るものではある。もう一つの問題は徹底的に練らなかったアレンジである。いや、この言い方はおかしいな。要するに作りっぱなしなのだ。ただし、上の方でどなたかも仰っていたが、アレンジがこれまでのように練られていないにも関わらず、長い曲でも飽きずに聴ける。これは凄いことだ。アルバムのトータルランニングタイムにしてもかなり長いのだが、聴き始めればあっという間だ。つまらないとすぐに眠ってしまう私がだ。これも凄いことである。
今作の作風は、これまでの作品のどこかに戻ったものではない。ましてや総括などでもない。あるのは初期衝動のみ。ロックの初期衝動のみだ。
売れたい音では決してない。それどころか売れようが売れまいが全然お構い無しだ。「やりたいようにやる」というのを具現化した作品であり、ここ数作で時折見られた妙な余裕もない。だから大傑作なのである。こんな作品は彼等にしか作れない。彼等ほどの大物がやろうと思えば出来てしまうが、いままでにどんな大物バンドだってやらなかった。今作はそういう作品である。
待ったかいがあった。そうじゃないか?


MOTORHEAD - March ör Die ★★ (2003-06-03 06:34:00)

'92年発表。
前作『1916』の影に隠れいまいち評価が低いようだが、個人的には「どこを切ってもMOTORHEAD」で、非常に楽しめる1枚。
なによりも1曲目の「STAND」。この曲の存在に尽きる。
困難に立ち向かっていこうとする存在について歌ったこの曲は、少しいじけた気分のときに聴くと絶好の応援歌となる。キャッチーで猥雑でスピードがあって粗暴な名曲。
他の曲も彼等ならではのフックが用意され、最初から最後まで楽しめる。名作。


BLUE OYSTER CULT - Cultösaurus Erectus ★★ (2003-06-03 06:21:00)

'80年発表。架空の恐竜(?)であるカルトサウルス・エレクタスをアートワークの主題にし、ナメクジの大親分かつろくろ首のご先祖的な雄姿を視覚化しつつ、タマゴの化石や頭蓋骨をでっち上げた楽しさ溢れる1枚。
音的には『FIRE OF UNKNOWN ORIGIN』の前作にあたるため、『FIRE・・・』と共通するキャッチーなメロディを持つ楽曲が主体となる。'80年代初頭の作品なので、あの妙に安っぽいシンセサウンドが若干時代を感じさせるのだが、メロディとアレンジがいかにもBOCなので逆に「味」となっている。
1曲目の「BLACK BLADE」の作詞はマイクル=ムアコックが担当。この人はかの異色ヒロイック・ファンタシーの名作であるエルリック・サーガの作者。「BLACK BLADE」(黒き剣)とは主人公エルリックの愛剣かつ忌むべき存在であるストームブリンガーのことである。要するにSF作家に作詞を依頼したってこと。
笑ってしまうのが5曲目の「THE MARSHALL PLAN」で、曲の途中にあっと驚くワンフレーズが挿入され一瞬ギョッとする。ヒントは「マーティン=バーチ プロデュース」。
「BOCって何聴いても良いねえ」と改めて思わされた1枚。


GLENN HUGHES - Songs in the Key of Rock ★★ (2003-06-03 05:59:00)

'03年発表。
『FROM NOW ON...』以来の最高傑作との呼び声も高い、現時点での最新作。
確かに、HR度の高さから言えば『FROM・・・』を凌ぐ出来栄えで、アルバム途中にしっとりとした曲を配置するなど楽曲の並びにも気を使い、名作と呼んで差し支えないと思う。
また、本作ではギターの二人が非常に良く頑張っており、HTPで感じた「ときに妙にあっさり聴こえるギター」(それでも十分楽しめた)ではなく、「濃厚なハードロックギター」が全編とおして聴かれ、それがまた嬉しい。
ただ惜しむらくは、『FROM・・・』に収録されていた「THE ONLY ONE」やタイトルトラックのような、メロディアスかつ抒情性に満ちた必殺の名曲があと1曲欲しかった。凄い贅沢な要求なんだけれどね。ともあれ、この路線の追求は絶対正解である。HTPの次作が今から楽しみだ。傑作が発表されるに違いない。


GRAVE DIGGER - Rheingold ★★ (2003-05-29 22:45:00)

実は購入を躊躇していたんである。
キーワードとして「壮大な」とか「オーケストレーション」とか「シンフォニック」とかが語られると、警戒心が働くのだ。
しかし、上で見られるようにHIGASHIさんが褒めているんである。
買った。
買って良かった。
はっきり言うが、クリスのヴォーカルは「へたうま」の部類の中でも積極的に「へた」と評価できる。ただし、パワーメタルの世界の中ではそれも「あり」で、雰囲気重視のヴォーカリストといえよう。そのため、楽曲の良し悪しはクリスの歌メロでは決まらない。なんせ器用な歌いまわしが出来ない(しない)んだから。楽曲の良し悪しを決めるのはあくまでもギターのリフである。
正直、マンニを獲得してこのバンドは化けた、と思う。本作でもHIGASHIさんが絶賛するように、格好良いリフがバンバン聴ける。
B!誌のレヴューを読んでちょっと腰が引けていた私だが、前作に引き続き本作も愛聴盤となることは疑いない。クリスさん。マンニを大切にね。それと最後に「HIGASHIさん。有難う」


ANTHRAX - Among the Living ★★ (2003-05-06 23:40:00)

前言撤回。ごめんなさい。ANTHRAX。
昨日、旅行先で購入しなおした。帰ってきて聴いてみた。いいじゃん。どうして前に持っていたときに売ろうなどと考えたんだろう。
やっぱり①はヴォーカルが外れまくっているような気がするし(とはいえ、そういう曲なんだろうけどさ)、代表曲とされる②や③・④なども今一歩名曲になり損ねているような気がするし、素直に「あ、これいいな」と思ったのは⑥だけなんだけど、アルバムトータルで聴くとかなりツボにくる。2ndを越すことはできないけれど、同じ路線でかなり頑張っている。名盤と評価して良いと思う。
再度ごめんなさい。見損なってました。


QUEEN - The Miracle ★★ (2003-05-06 23:27:00)

'89年発表。13枚目のスタジオ作。
本作が発表された時点では、まだフレディの病については公にされていなかった。故に当時は非常に能天気に聴いていた。余計な思いを抱かずに聴けたという意味では幸せだったのかもしれないが、フレディ亡き今、彼がどんな思いで歌っていたかを考えながら聴くのが、やはり本作に接する上で正しい姿勢だと思う。
本作は純然たるHR作ではない。彼等のキャリアを総括する作風である。つまりなんでもあり。
初期のHRを想起させるものとしては④が挙げられ、中期のポップなHRを感じさせるものとしては②、⑥が挙げられる。もちろん後期のブラック・ディスコ系の曲もある。⑤がそれだ。当然全てが最新型QUEENの楽曲として作られており、古臭さは微塵も感じさせずに温故知新を形にしている。
と、以上に色々書いたが、実は私にとって本作は10曲目の「WAS IT ALL WORTH IT」が全てだ。ハードなギターや煌びやかなアレンジなど、この曲にはQUEENの全てがある。発売当時も好きで何度も繰り返し聴いていた。
先日、久しぶりに聴いたら不覚にも涙が出そうになった。
「身も心も捧げ
夜、眠れなくなるほどの価値があったろうか?
ロックン・ロール無しでは生きられず
限りない戦いを続ける価値があったろうか?
それほどの、それほどの価値があったのか?
そうだな。全て価値ある経験だった。
それだけの価値はあったさ」
私が死んだら葬式でこの曲を流してもらおうと思う。


LOU REED - The Raven ★★ (2003-05-01 23:19:00)

'03年発表。
聴いていると様々な情景が浮かんでは消える。
個人的には8曲目の「PERFECT DAY」が衝撃的だった。この曲は元々は2ndに収録されていたポップで優しげな可愛らしい曲だったのだ。それが歌う人間とアレンジが変わると、ここまで表情を異にするものか。ほとんど神に近づかんばかりの美しさではないか。
意味も無く、「今まで俺は何をしていたんだ・・・」と思ってしまう。
ルーは自分のスタイルを作品を発表するたびにソリッドにしていく稀有な存在である。ROCKにはまだまだ未開拓の原野が広がっている。その原野の中を颯爽と歩むルーの姿は、いつ見ても聴いても勇気づけられる。


DAMN YANKEES - Don't Tread ★★ (2003-05-01 23:03:00)

'92年発表。2nd。
この作品のどこが悪いのか!?・・・なんちゃって。だって誰も書き込んでねえんだもん。
グランジブーム真っ只中に発表された本作は、1stの双子のような作品である。構成はほとんど同じ。ポップあり、バラードあり、ハードなチューンもありのゴージャスな出来。だから1stが気に入った人で本作を嫌いだという人は多分いないだろう。だって驚いたことにあれだけ出来の良かった1stと同程度もしくは上をいく仕上がり具合なんだから。こんな作品を2枚も出しちゃ普通なら大ブレイクなんだけど、いかんせん時代が悪かった。
個人的には珠玉の名バラード③(「HIGH ENOUGH」級の名品)と、⑨やラストの曲(テッドらしいよなあ。おい)が好きだ。
名盤。まだの人は聴くべし。


STYX - Cyclorama ★★ (2003-05-01 22:50:00)

'03年発表。
最初にはっきり言っておく。本作は「久々のクリーンヒット」ではない。「逆転満塁場外ホームラン」である。
全く、聴いていて随喜の涙が止まらない。本当にもう。
失礼。やや興奮している。正直なところそんなに期待はしていなかったのだ。なにせ前作があんなふうだったし。だが、STYXの楽曲で好きな曲を挙げるとトミーの曲が多いことに気づいたのである。要するに私にとってデニスの不在は「寂しいが我慢できないほどではない」程度なのだ。だったら、買って聴こうじゃないか!そんなのりだったのだ。
で、聴いてみたらこれがあんた!(って誰に言ってんのか)素晴らしい出来である。とりあえず冒頭の「ナ~ンミョ~ホレ~ンゲ~キョ~」が脱力を誘うのだが、曲が始まってみると立派なパワーポップで、なかなかの好感触。その後の数曲もDAMN YANKEESでやっていたような曲で、トミーの良い所(いや、他のメンバーの曲も混じっているんだけどね)が十分発揮されている。特に⑤はテンポがよくサビがキャッチーな名曲。ここまでが最新型STYXのお披露目目。そして問題はこの後なのである。⑥から⑨の曲があれれ?なんか懐かしいSTYX節が聴こえてくるぞ・・・と思っていたら、⑩で懐かしいあの曲を小品に仕上げ区切りを付け・・・。その後はなんと'70年代後半のSTYXが大復活である。そう、あの名作群の名曲たちと同じ匂いのする曲が3連発。もう私のような人間にはたまりません。これぞ、アメリカン・プログレ・ハードである。これがSTYXである。
凄いサービス精神旺盛な本作は、確かにデニスが居たら作る事が出来なかったのだろう(前作でのデニスの曲は毒にも薬にもならないポップチューンだったし)。あの甘い声が聴こえないのは寂しいが、このレベルの作品が今後も聴けるのであれば、ぜひ現体制で末永く活動してもらいたい。そう願わずにはいられないのである。


PRAYING MANTIS - Time Tells No Lies ★★ (2003-04-16 00:13:00)

これさあ、俺にとっちゃあ「幻の名盤」だったんだよねえ。
数年前にCD化されたのを購入して聴いた時には、「なんかぬるいつくりだな」と思った。
でもそれは大きな間違いだった。ポップなメロディを流麗なツインリードで聴かせてくれる、良質なHMアルバムだと最近ようやく気づいた次第。
名盤。


SYKES - Out of My Tree ★★ (2003-04-08 22:57:00)

'95年発表。SYKESとしては1st。
正直、購入当初からつい最近に至るまであまり好きではなかった。BLUE MURDERの2ndが更に明るくなったような作風が、当時注目を集めていたファンパンク(GREEN DAYとか)に影響を受けたかのように思えたのだ。私はGREEN DAYの『DOOKIE』は好きだが、HRバンドがファンパンク的な音を出すことについては嫌悪感しか感じない。「こらこら。あんたがやるこたあないでしょ!」とつっこみたくなる(だからBUCKCHERRYの2ndも嫌いだった。冒頭からもろ影響が丸見えで)。
だが、先日久しぶりに引っ張り出して聴いてみたら、自分がとんでもない誤解をしていたことに気がついた。
サイクスはファンパンク的なことをやろうとしていたのではなく、ロックの基本、自分のルーツに帰ろうとしていたのだ。どうも2曲目(SWEET的と言われてはいたが・・・)のみに注意が向けられてしまい、他の曲の良さに気がつかなかったのである。
丹念に聴いてみると、ジミ=ヘンドリクスのようなギターが聴ける曲や、しっかり疾走するハードな曲もあり、良い作品であることがわかる。
最も好きな曲は⑤。こういう気だるく湿ったちょっと甘い曲はサイクスの真骨頂。


LED ZEPPELIN ★★ (2003-04-08 01:22:00)

C3さん。逆回転の話は、私はEAGLESの「HOTEL CARIFORNIA」で聞いたことがあります。
まあ、昔「メタル雑談」かどこかでも書きましたが、このバンドの場合ジミー=ペイジがアレイスター=クロウリーの自宅だった城を購入したり、「黒い噂」にはことかきません。関係者に死人やけが人が続出して、メンバーが「頼むから売り払ってくれ!」とジミーに懇願したそうです。
「BABE I'M GONNA LEAVE YOU」の赤ちゃんみたいな音、確かに聞こえますね。なんか残響が入っちゃったような感じだけれど、なんだろう。でも、本物の「怪しい音」でも良いんじゃないんですか?このバンドの作品なら、何が入っていても不思議ではないし、それがスパイスになるのも一興かと。


BLACK LABEL SOCIETY - The Blessed Hellride ★★ (2003-04-08 01:02:00)

4枚目のスタジオ作。
前作も個人的にはかなり「ツボな作品」であったが、今作はその3rdを遥かに凌ぐ仕上がりである。
ザクザクしたギターが耳に心地よい。各曲もしっかりフックを持ちつつバラエティに富み、通しで聴いていて飽きさせない。
ただ、惜しむらくはB!誌のレヴュアーの誰かも書いていたけれど、ザック自身が弾くベースが少し淡白なこと。ここはやっぱりジェイソン=ニューステッドみたいな人に弾いて貰いたいところだ。あの人が作り出すグルーヴィーな空間ってかなり格好良いから。
何にしろとりあえず名盤。ザック兄貴、やっちゃいましたね!ってな感じ。


DIAMOND HEAD - Canterbury ★★ (2003-04-05 00:45:00)

'83年発表。メジャーデヴュー後2作目。
ふっふっふっふ。
先日、ついに手に入れました。これはね、まるでALCATRAZZの2ndのような問題作。
当時のファンの人は、あまりの変貌ぶりに愕然としたんだろうな。なんか初期のDEF LEPPARDにも似てるキャッチーなHMです。でも出来は良いんで、「METALLICAがカヴァーしたあのバンドだろ?!」という人は除いて(あまりにもイメージの変化が激しいんでね)、NWOBHMに興味のある人なら聴いて損は無いと思います。


WARRANT - Cherry Pie ★★ (2003-04-05 00:08:00)

この間聴いていて思ったんだけど、もしかして1曲目の『CHERRY PIE』って、DRAGON ASHの「アイ ラヴ ヒップポップ」の元ネタなんだろうか。すっげえそっくりなんだけれど。


TESLA - Psychotic Supper ★★ (2003-04-03 23:17:00)

'91年発表。3枚目のスタジオ盤。
実はTESLAって長い間このアルバムしか持っていなかった。先日ようやく2ndを見つけて購入。少しずつ聴き込んでいるところ。
2ndの評価が高いのに反し、この3rdは誰も書き込みをしていないところを見ると、評価が低いのだろうか。でも俺はこの作品がかなり好きだ。
全体的にはヘヴィメタリックになったTHE BLACK CROWESっていう印象。アルバムの前半はどちらかというとキャッチーな部分も多く見られるHRで、あっという間に5曲目まで聴いてしまう。特に亡きスティーヴ=クラーク(LEPPSのギタリストね)に捧げられた5曲目は絶品かつ感涙もの。個人的には6曲目のリフも格好良い。
小曲の⑦を間に挟み、それから後ろはHM的な「リフが命」の佳曲がズラリと並ぶ。これも気持ち良い。もう間違いなく名盤。太鼓判をドーンと押したい。
ただ、難点は俺の持っている箱入り初回盤だけなのかもしれないけど、ボーナストラックが3曲も入っていること。個人的にはこの音質も若干悪く、出来もそれほど良くないボーナストラック3連発は要らなかった。アルバムの最後が締まらない。せめてボーナストラックの前に1分くらいの無音が欲しかったな。


DEEP PURPLE - In Concert ★★ (2003-03-28 23:40:00)

このライヴ盤は聞きしに勝る名盤です。
もの凄い荒削りで、DEEP PURPLEお得意のインプロヴィゼーションもこれでもかってくらいです。『MADE IN JAPAN』と双璧をなすライヴの名盤と言っても過言ではないでしょう。
脂の乗り切った全盛期の名演を、ぜひ堪能して下さい!


ARMORED SAINT - Revelation ★★ (2003-03-28 22:31:00)

'00年発表。復活作。
ANTHRAXのVoであるジョン=ブッシュが在籍していたバンドが、再結成して発表したのが本作。だから弱いのよ。この手のメタルには。
これは凄え。この一曲だけは!というのがないのが玉に瑕なのだが、いやいやどうして格好良い楽曲がずらずらと並んでいるざんす。特に好きなのは①と⑤。
疾走するにしろグルーヴィーにうねるにしろ、このどこか湿り気を帯びた正統派メタルはとてもアメリカのバンドとは思えない。大好きです。ジャケットのアートワーク(ただし、人によっては「わかんねえな。こういうの」という意見もあるだろう)も含めて買って良かったと満足した一枚。


WHITESNAKE - Slip of the Tongue ★★ (2003-03-11 19:17:00)

発売当初は「駄目じゃん。これ」と思った。
だが、WSも復活することだし、スティーヴ=ヴァイのことも好きになっていたので改めて聴いてみた。
これが結構いける。
上の方々やB!誌の広瀬さんも書いておられるが、デイヴィッドのVoが多少聞苦しい点を除けば、出来としては決して悪くない。当時はやたらにゴージャスな音作りにちょっと引いてしまったが、今になってみると当時の狂騒的な音楽シーンを象徴しているようで興味深い。
とりあえず捨て曲なし。ただし色々と問題もあるので、なにはともあれ買うべしとは言わない。機会があったら聴いてみて。


YNGWIE MALMSTEEN - Odyssey ★★ (2003-03-11 19:05:00)

つい先日買ってきたばかりです。
実のところ、私はイングヴェイの作品はことごとく売り払っております。『RISING FORCE』、『MARCHING OUT』、『THE SEVENTH SIGN』、『MAGNUM OPUS』の4作品。全て聴いた後に「うぅむ・・・」と唸り声をあげ、その後ほとんど聴くことがなかったため、きれいに売り払いました。まさにファンの皆さんからすれば、怒髪天をつく許されない所業でありましょう。
こんな私が言うのもなんですが、本作は最高です。
なにより、曲が名曲揃い。それに音が良い。そして、歌メロが充実している。
これ、全てジョー=リン=ターナー効果であると言って間違いないでしょう。そう。私はジョーのファンです。それは脇においておいても、やはり本作の出来は格別です。「なんだ、やれば出来ていたんじゃん」というのが率直な感想。
イングヴェイは絶対にセルフプロデュースと、ただ単に上手いだけの雇われヴォ-カリストとの仕事をやめるべきです。とはいえ、それが出来ないのが天才イングヴェイの証だったりするのですが・・・。