正確には『SONGS FOR DRELLA』はヴェルヴェット時代の盟友JOHN CALEと組んで製作されたものなのだが、アルバム製作の主導権を握っているのはルーなので、ここで紹介させていただく。 この曲はケイルのピアノのバックに、ルーがフリーキーでノイジーなギターを奏でているのが特徴。曲調もテンポが良く明るいのだが、どこか湿っているようなところがあり、その少し物悲しいメロディが好きな1曲である。
'84年発表。メジャーデヴュー作。 私が彼らを知った時にはすでに2ndが発表されており、この作品は後になって購入し聴いた。 3曲目の「ROUND AND ROUND」がアルバムを代表する名曲だと聞いていたので、かなり期待して聴いたのだが、個人的には「良い曲」ではあるがこんなレベルで代表曲と言われているのは腑に落ちないという感想を持った。 私にとって本作の価値はむしろ5曲目以降にある。この⑤から⑩までの6曲は1曲たりとも捨て曲は無い。アップテンポなもの、キャッチーなもの、リフにフックがあるもの、歌メロが印象深いものなど、バラエティも豊かで名曲揃いである。特に好きなのは⑩の「SCENE OF THE CRIME」だ。 後半の流れの凄まじい充実度により、本作は間違いなく名盤と評価できる。
'72年発表。 言っておくがハードではない。だが、たまーに無性に聴きたくなるのだ。 全編アコースティックで、ニール=ヤングのナイーヴな一面を堪能できる。このおっさんは轟音ギターのノイズ親父として名を馳せているが、他方ではこのような優しい歌をそよそよと歌ったりもするのだ。特に4曲目の「HEART OF GOLD」が有名。傑作。
'99年発表。『ABANDON』リリース後のツアーで、オーストラリアはメルボルンでのライヴを収録したもの。2枚組。 曲目はやはり『LIVE AT THE OLYMPIA '96』と重複するものが多いが(どうしても外せない曲ってあるよね)、『ABANDON』収録曲が聴けることと、モーズのソロが収録されていることが売りである。 特筆すべきはモーズのソロで、「イントロでポン」(・・・何じゃそりゃ)というか、「人間イントロスロットマシーン」(ああ・・・。ますます訳がわからん)というか、かなり面白いソロが聴ける。ちなみに私はツェッペリンとビートルズ、それにキンクスしか判らなかった。まあ、要するにギャギャギャ・・・というリフを刻みながら、途中で有名なバンドの有名な曲の、有名なフレーズを挿入するというものなんだけれど、遊び心に溢れていて個人的には感心した次第である。もう、絶対にリッチ-ならやらない代物だ。 総合的に見てかなり聴き応えがあるアルバムだし、音質も『~OLIMPIA'96』より良い様な気がする。ただ、あえて難点を挙げると、ギランがかなり高音を苦しげに歌っていることだ。気にしなければそんなに気にならないが、とにかく高音が出ない。誤魔化しながら歌っている姿は少し痛々しい。それでも、声の状態はかなり良かったほうだったのだろう。本当に駄目な時は全然駄目らしいから。
2000年発表。 AC/DCってたまに無性に聴きたくなる。"全部同じに聴こえる"なんていう方もいるかもしれないが、そんなことはない。本当にこの人達は歩くリフ袋というか、リフのアイデアが尽きることがないのが凄い。 ビールをガンガン飲りながら聴きたいのが『HIGHWAY TO HELL』とか『BACK IN BLACK』だとしたら、本作はどちらかというとウィスキーでもあおりながら聴きたい作風。渋い。渋いがハード。なんか聴きながらやたら元気になってしまう彼等の音楽は、本作においても健在。たいしたもんである。格好良いぞ!親父!
'93年発表。第7期唯一の作品。多分リッチー在籍時最後の作品となろう。 さて、本作だが個人的にはどう贔屓目に見ても傑作・名作とは言えない。 だが、決して駄作ではないと思う。何故か。 ①・③・⑤・⑦を除く他の楽曲に注目して欲しい。これが結構キャッチーなところもある、ブルーズテイストの佳曲なのである。 また、先ほど除外した⑤も、なにもあえてDPがやらなくても・・・とは思うが、しっかりしたフックをもつ良い曲だ。単にDPっぽくないだけ。 そういう意味で、本作は私にとっては駄作ではなく、ブルーズベースのDPが聴ける興味深い作品である。リッチーだってギタープレイに関しては決して手を抜いてはいないと思うけど。確かに気合入りまくりとは思わないが、結構随所でトリッキーなフレーズをさりげなく挿入しているし。 た・だ・し。いただけないのは過去に自分が書いた曲のリフやメロディーを使いまわししているところである。 皆さんもう周知の事実として触れていないが、あえて書かせてもらう。 ①は『BENT OUT OF SHAPE』の「FIRE DANCE」に、③は同じく『BENT~』収録の「STRANDED」に、そして⑦は『DIFFICULT TO CURE』収録の「SPOTLIGHT KID」にリフあるいは歌メロが類似する。「SPOTLIGHT KID」に関しては、『THE HOUSE OF BLUE LIGHT』収録の「DEAD OR ALIVE」も少し似ていたりするが、いかんせん曲の完成度が違う。「DEAD OR ALIVE」の方が断然出来が良い。 このように後期RAINBOWの楽曲にわざと似せて曲を作ったのは、リッチーの確信犯的な意思表示である。どんな音楽がやりたかったのかは、脱退後にリリースしたRAINBOW名義のアルバムに収録された楽曲群を聴けばわかる。 しかし、プロのアーティストとして才能の枯渇ではなしに、わざと過去の名曲に似せて曲を作るという行為は、新しい曲を望んでいるファンに対してどうだろうかと思う。あまりにもファンのことを無視しすぎているのではないだろうか。本作品においては、その一点のみが残念でならない。メンバー間の諍いにファンを巻き込むべきではなかったと思う。 と、熱い語りはここまで。 杉山武志氏の『PURPLE COLLECTION』を読むと、⑩もRAINBOWの楽曲に類似しているらしいのだが、私にはどの曲がそうなのかわからなかった。「NO RELEASE」がちょっと似ているかなあと思ったが、違うような気もする。知っている人がいたら教えて下さい。 結局のところは、RAINBOW類似の楽曲もヴァージョン違いと思って聴けば、それなりに楽しめるのである。やっぱり駄作・凡作ではないのだ。本作は。
'85年発表。8枚目のスタジオ作にして、ジョー、ブラッド復帰作。そう、復活作と言う鳴り 物入りの発表だった。「低迷期3部作」第3弾。・・・まあ要するに復活に失敗してしまったわ けなのだった。 1曲目はジョーのソロ作のタイトルにもなった、「LET THE MUSIC DO THE TALKING」。出だしとしてはかなり格好良い。ただし、この勢いが続かない。 本人達も後に自覚するのだが、本作発表時点で、本気になってまた頂点を目指そうと思っていたメンバーは皆無であったようだ。ドラッグも止められず、楽曲も昔自分達が作っていたものを無 理に真似たような、なにかちぐはぐな出来。それが本作の印象である。 LAメタル全盛期に、'70年代テイストを纏って「復活」を声高に叫んでも古臭さが匂いたつ だけであったが、それでも何故か「駄作」と言い切れない。それが私にとっての本作である。 「出来の悪い子ほど可愛い」というか、なにか不真面目な部分はあれど必死なところが見え隠れ しているのが好きなのかもしれない。「味わい深し」と言っておこう。
'82年発表。7枚目のスタジオ作。 「低迷期3部作」(勝手にそう呼んでいるが、『NIGHT IN THE RUTS』 ~『DONE WITH MIRRORS』までの3枚)の中では第2弾である。 多分本作は一般的には評価が低いのかもしれないが、実のところは勝負作だったのだ。 1曲目からやたらとテンションの高いスティーブンのVoが、本作にかける意気込みを 十分すぎるほど感じさせる。なにせジョーが辞めてブラッドも去ったため、エアロは両 翼をもぎとられたようなもの。ここが踏ん張りどころだった。 というわけで、本作は個人的には気合の入った充実作という位置付けである。 楽曲も粒揃い。ただ、やはりジョーとブラッドが不在であったのが、エアロであってエ アロではない不思議な雰囲気を醸し出していることは否めない。
'99年発表。'97年発表の復活作『RETURN TO PARADISE』(ライヴ盤)に続き発表された。多分デニスを含む編成では最後になるであろう作品(また仲直りしてデニスが復帰することもあるかもしれないが)。 スタジオ盤としては現時点で最新作。 個人的には、冒頭でいきなりAORな「I WILL BE YOUR WITNESS」に面食らった。 STYXの作品は1曲目に勢いのあるナンバーや、アルバム全体の雰囲気を象徴する少し派手目のナンバーを持ってくることが多かったのだが、少しおとなし過ぎる始まりである。 以下の楽曲も、かなり良い曲が並んでいるのだが、どうもしっくりこない。 クレジットを見て納得。トミーとデニスの共作が無いのだ。トミーとJYは共作しているが、デニスは常に単独クレジットである。 まあ、黄金期の作品においても3人(デニス・トミー・JY)がそれぞれ単独で曲を書くことが多かったのだが、今回は1曲ぐらい3人でつくってバンドの一体感を感じさせて欲しかった。 ちなみにアルバム収録曲14曲中、デニス5曲、トミー4曲、トミー/JY3曲、トミーとジャック=ブレイズの共作が2曲と、アルバム製作はトミーが主導権を握っていたことが伺える。 もともとSTYXはデニスが自分の意見を通してしまうことが多かったので、バンド内のパワーバランスが変化したと言ってよいだろう。と思っていたら、案の定デニスが脱退してしまう。 作品の内容は決して悪くない。質は高い。買って損はないアルバムである。 それでも、昔からのファンにしてみれば往年のSTYXが持っていた魅力の数々を、バラバラに解体して目の前に出されたような印象を受けた。 トミー主導の次作にちょこっと期待している今日この頃である(やっぱりデニスの不在は寂しいが)。
HIGASHIさん、質問。 かなり前になりますが、本作と『STRONG ARM OF THE LAW』との2枚セットで、『THE BACK TO BLACK COLLECTION』と銘打ったCDを見つけ、購入しました。 AXE KILLERというフランスのレーベルから出されているのですが、聴いてみるとやたらと音が良い。これってデジタルリマスタリングしてるんですかね。
'99年発表。作品的には'70年発表の『CONCERTO FOR GROUP AND ORCHESTRA』の焼き直しと言えなくもないのだが、『CONCERTO~』の楽曲だけでなく、ジョンのソロ作やロジャーのプロジェクト、GILLAN=GROVERの作品などからの楽曲もLIVEで聴けるので、かなりお得感はある。 ラストの「SMOKE ON THE WATER」にはロニー=ジェイムス=ディオがゲスト参加。やっぱ上手いってこの人。
'02年発表。メイデン久々のライヴアルバム。『BRAVE NEW WORLD』までのキャリアを総括。従って、当然のことながらスタジオ最新作からの曲が多い。だが、これが良いのだ。 まず、「THE WICKER MAN」。ライヴ・ヴァージョンで聴くこの曲は、かなり格好良い。「INTRO」が終わり、この曲が始まる瞬間はゾクゾクするような興奮を覚える。かの名作『LIVE AFTER DEATH』で、チャーチルの演説から「ACES HIGH」へと移る瞬間を思い出させる。 2曲目の「GHOST OF THE NAVIGATOR」も、「RIME OF THE ANCIENT MARINER」を想起させる。全般的に『BRAVE NEW WORLD』収録曲はライヴでは魅力が格段に増している。 だが、本作での一番の聴き所は、やはりCD1の8曲目「SIGN OF THE CROSS」と、CD2の2曲目「THE CLANSMAN」である。やはり、ブルース=ディッキンソンというヴォーカリストは、唯一無二の存在であることが思い知らされる。とにかく上手い。 メイデンにはライヴ・アルバムが多い。どの作品もバンドの歴史を総括する役割を担っており、いずれ劣らぬ名盤揃いだが、本作も間違いなく名盤である。全く、IRON MAIDENというバンドは、どれほどの高みに到達しようと満足することを知らない。次のスタジオアルバムも、凄いぞ。きっと。
'90年発表。13枚目。あの全米で大ヒットした復活作『LAP OF LUXURY』の次作である。 最初に断っておくが、私はあの『CHEAP TRICK AT BUDOKAN』がピンとこなかった人間である。しかも中古盤屋に売ってしまった。だから、正直なところこのバンドの持ち味というものを、ひどく偏った見方で捉えていると思う。 ゆえに、本作も外部ライター大賑わいで、CHEAP TRICKのファンからは評価が低いのかもしれないが、私から言わせてもらえば大傑作である。全曲捨曲無し。どの曲も耳を捉えて離さない良いフックを持っている。しかも抜きん出て出来のいい曲を2曲も含む。ハードポップ路線での代表格が6曲目の「BUSTED」、バラードの代表格が9曲目の「WHEN YOU NEED SOMEONE」である。特に後者に関しては、これまでに聴いたバラードの中でもトップの5曲に入る傑作だと、信じて疑わない。 本作を聴いてしまうと、全米大ヒットの前作が単なるプロローグにすぎなかったと思えてくる。傑作。
RAINBOWの全作品のなかでも、特に大好きなものを挙げよと言われると、いくら絞っても二つまで。一枚に絞れない。そして二枚のうちの一方が本作。『RISING』である。 個々の楽曲に関しては、実は「STARGAZER」と「A LIGHT IN THE BLACK」以外はあまりピンとこない。しかし、アルバム全編を聴き通すと、とんでもない完成度を誇っていることに愕然とする。私にとって本作はそういう作品であった。トータルイメージとしては、「STARGAZER」の詩世界が全てである。魔法使いと、天の高みへと届かんとする塔。詩の中で主人公達は鞭打たれ、苦役に喘ぎながら肉を削ぎ、骨を砕き、塔を建てていく。 最後に魔法使いが塔から墜落するシーンが、強烈にイメージされる。 特別キャッチーな曲や、ポップな曲があるわけでもないのに、本作が名盤であるとの評価を受けているのは、それはジャケット・アートから歌詞から音楽からなる全てが、リッチー=ブラックモアという天才の美学を体現したHR以外のなにものでもないからであろう。芸術的なと形容しても遜色ないような、孤高のHR。これも言うまでもなく傑作。
RAINBOWとDEEP PURPLEのどちらが好きか?と問われたら、私は迷わずDPを選ぶ。だがそれは、RAINBOWがつまらないバンドだったということを言っているのではない。当然、偉大なバンドだと思うし、彼等の全カタログを見渡しても名盤ばかりで駄作は一作もない。 ベストはどれかという設問だと答えるのが難儀だが、好きな作品は?と訊かれると即座に挙げられる。ただし二作品だが。どちらか一つと言われると、これもまた難しい。 この『BENT OUT OF SHAPE』は好きな二作品のうちの一つだ。ジョー=リン=ターナーがVoをとっていたころの最終作だが、キャッチーさやポップさを散りばめた、ある意味万人受けするHRをかっちり作りつつも、リッチーのソロが楽曲を壊す一歩手前の鬼気迫るものになっているところが本作の特長だ。楽曲も粒ぞろいで、バラード系の2曲(②・⑦)は名曲。その他の楽曲も、ハードなものはハードにとツボをはずさず作られている。 個人的に最も好きなのは9曲目の「SNOWMAN」。虚空に消え行くようなローゼンタールのキーボードに、烈火のごとく燃え盛るブラックモアのギター。静と動の対比がみごとなこの曲が、本作のイメージを代表していると考える。いうまでもないが、傑作。