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クーカイさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 201-300

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クーカイさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 201-300

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WOLFSBANE - Wolfsbane ★★ (2003-02-27 23:26:00)

'94年発表。ブレイズがメイデンに加入することになり、解散することが表明された後に発表された3rdアルバム。
解散が予定されていた中での発表だったので、気合が抜けて腑抜けた内容だろうと思うとそれは大きな間違い。これが最高傑作なのだ。
2ndも良かった。もちろんだ。しかしこの3rdも良いのだ。2ndはバラエティに富んだ作りで、バンドの持つハードな側面とソフトな側面を上手に表現していた。だが本作は徹頭徹尾ハードである。焦点がグッと絞られているのだ。しかも似たような楽曲が並ぶことはない。どの曲も歌メロのサビの部分に工夫が凝らされている。そして、テンションは後ろの楽曲ほど高まっていく。リフもキャッチーかつ切れ味を増していく。これが解散を決めたバンドが作る作品か?
もう一度言う。本作がWOLFSBANEの最高傑作である。


WOLFSBANE - Massive Noise Injection ★★ (2003-02-27 23:13:00)

'93年発表。マーキーで収録されたライヴ盤。
本作を聴くと、ブレイズがいかに優れたパフォーマーであるかが良くわかる。
男っぽく勢いのあるヴォーカルは、アップテンポで騒々しい楽曲でこそ本領を発揮するのだ。
確かにブレイズは「上手な」ヴォーカリストではない。それは認める。だが、決して音痴だったり下手糞ではないのだ。この最高にハイパーでラウドでハードロックな15曲の楽曲は、ブレイズだからこそこんなにも光り輝いているのである。
また、ブレイズはメロディを丁寧に歌い上げるタイプのヴォーカリストでもない。どちらかといえば前のめりになってすっ飛んでいく楽曲に、テンポ良く歌詞をのせることにたけた、イアン=ギランタイプのヴォーカリストである。スティーヴ=ハリスは彼の特質を生かそうとするなら、1stや『KILLERS』のようなアップテンポでザクザクした音作りのアルバムを作るべきだったのだ。まあ、それも今となってはどうでも良い。
頼む。再結成してくれ。


LOU REED - Songs for Drella - Forever Changed ★★ (2003-02-18 22:24:39)

正確には『SONGS FOR DRELLA』はヴェルヴェット時代の盟友JOHN CALEと組んで製作されたものなのだが、アルバム製作の主導権を握っているのはルーなので、ここで紹介させていただく。
この曲はケイルのピアノのバックに、ルーがフリーキーでノイジーなギターを奏でているのが特徴。曲調もテンポが良く明るいのだが、どこか湿っているようなところがあり、その少し物悲しいメロディが好きな1曲である。


LOU REED - New York ★★ (2003-02-18 22:15:00)

'89年発表。本作が発表されてからもう10年以上経つなんて、信じられない。
本作はルー=リードにとって、一里塚的な作品である。前作までに様々な実験を重ねてきたルーが、2本のギター、ベース、それにドラムというシンプルな編成で製作に臨んでおり、自分にとっての「ROCK」とはなにかを見つめ直した作品であると言える。
また、本作はニューヨークという都市と、そこに住む人々を題材にした叙事詩である。それまでも「詩」にこだわってきたルーの歌詞が、一層鋭さを増しかつ豊かな世界を描き出すようになった。
「ROCK」であることを目指した結果、2本のギターはノイジーになり、互いを挑発するように絡み合う。そのギターをベースとドラムの名手が緊張感溢れるプレイでしっかりと支えている。そして、ときに皮肉で、ときに荒々しく、ときに優しげなルーの詩。ROCKの歴史の中でも10本の指に数えられる名作である。
「本を読むように、映画を観るように聴いて欲しい」
ルーがそう書いているが、まさしく、そのように聴いて欲しい。ソリッドでハードでメロウ。ROCKの全てがここにある。


LOU REED - New York - Dirty Blvd. ★★ (2003-02-16 01:58:59)

これまでにルーのライヴには2度行った。面白いことに、この人のライヴでは観客は席に座ったままで聴く。そしてアンコールになると皆、恐る恐る立つのだ。ルーが客に「座って聴いていろ」というわけではない。皆、ルーの気迫に気圧されて、立つに立てず「ご拝聴」状態になってしまうのである。
そしてアンコールで演奏されるのがこの曲である。リフが軽快でキャッチーで格好良い。非常にノリの良いロックソングだ。


LOU REED ★★ (2003-02-16 01:50:00)

ああ。ついにやってしまいました。追加を。
こ~いちさんのこのサイトで、非HM/HRのアーティストのところをわざわざ見ている人は少ないとは思いますが、どうしても紹介したくて・・・。
ルー=リードは、元THE VELVET UNDERGROUNDのVo.・Gでリーダーだった人です。'70年にバンドを脱退した後、'72年にソロデヴューを果たし、現在までに19作のスタジオアルバムを発表しています。
ちなみに1stにはYESのスティーヴ=ハウとリック=ウェイクマンが参加しています。
2ndはデヴィッド=ボウイとミック=ロンソンがプロデュースしており、名盤として評価されています。続く3rdはボブ=エズリン(この人はKISSの作品も手がけています)が苦労しながらプロデュースし、これもまたルーのキャリアの中では評価の高い一枚となっています。蛇足ですが、KISSの作品中『ELDER』(手許に資料がないため、綴りに自信無し)というのがあったかと思いますが、このアルバムのコンセプトを考えたのはルーです。多分KISS唯一のコンセプト・アルバムではないかと思いますが、思いっきり売れなかったようです(苦笑)。
4th以降も、完成度にばらつきはあれど非常に内容の濃い諸作品を世に送り出していますが、中でも11番目のスタジオ作である『THE BLUE MASK』はスタジオライヴの形で製作されており、その殺気に満ちた音が衝撃的な名作であります。音的にもHRに似た感触が得られるものなので、HM/HRリスナーにも訴えるものが少なからずあると思います。
'89年発表の『NEW YORK』は超名盤と絶賛されましたが、この作品以降はどの作品も傑作と評価してよいかと思います。また、必ずリフが格好良いHR的な楽曲が収められていることも特長として挙げられましょう。
特に2003年2月に発表された『THE RAVEN』は、ルーのキャリアの総決算みたいな作品で、楽曲といい、音作りといい、ゲストに迎えたミュージシャン・俳優・女優といい、超一流なものとなっています。最高傑作のレベルを、新作のリリースの度に更新していく稀有な存在が、ルー=リードという詩人・ロッカーです。ぜひ、一度聴いてみてください。
初めて聴かれる方は、『NEW YORK』、『LIVE IN ITALY』、『ECSTASY』、そして最新作の『THE RAVEN』をお勧めします。


RATT - Out of the Cellar ★★ (2003-02-16 00:56:00)

'84年発表。メジャーデヴュー作。
私が彼らを知った時にはすでに2ndが発表されており、この作品は後になって購入し聴いた。
3曲目の「ROUND AND ROUND」がアルバムを代表する名曲だと聞いていたので、かなり期待して聴いたのだが、個人的には「良い曲」ではあるがこんなレベルで代表曲と言われているのは腑に落ちないという感想を持った。
私にとって本作の価値はむしろ5曲目以降にある。この⑤から⑩までの6曲は1曲たりとも捨て曲は無い。アップテンポなもの、キャッチーなもの、リフにフックがあるもの、歌メロが印象深いものなど、バラエティも豊かで名曲揃いである。特に好きなのは⑩の「SCENE OF THE CRIME」だ。
後半の流れの凄まじい充実度により、本作は間違いなく名盤と評価できる。


SKID ROW - Slave to the Grind ★★ (2003-02-16 00:45:00)

'91年発表。2nd。
他の所で様々な方が言われているとおり、私も作品トータルの出来では1stに軍配が上がるように思う。好きな曲の数も1stの方が多いし。
しかし、1stから3rdまでのうちで(どれも大好きだが)最も好きな1枚を選ぶとなると、この2ndを選ぶ。ヘヴィな部分とキャッチーな部分が絶妙なバランスで共存している、非常に男っぽい作風のHRを体現した本作は傑作である。
そして何よりもタイトルトラックの存在。2曲目に配されたこの曲は、いまだに聴くと総毛立つような興奮を覚える。私は3rd発表後のライヴを見たことがあるが、やはりオープニングはこの曲だった。ちなみにライヴでのバズは大変上手かった。不世出のエンターテイナーであり、優秀なヴォーカリストであった。
この2ndの路線でせめてもう1枚作ってくれていたら・・・。本作を聴く度にそう思わずにはいられない。


ANTHRAX - We've Come for You All ★★ (2003-02-15 00:13:00)

'03年発表。9作目。
最初に断っておくが、私はANTHRAXのファンではない。
2nd、3rd、6th、7thと聴いたが、まだ持っているのは2nd一枚のみ(認める。これは名盤)である。他のは売ってしまった。
売った中では3rdが最も嫌いだった。本当にもう積極的に嫌い。なにが嫌だったかというと、べラドナのVoがキーを外しているように聴こえて仕方がなかったためである。代表曲が収録された名盤のはずなのに・・・。そう思ったが、最終的には自分の耳に従った。「これは聴けない」。
6thは出来は悪くなかった(どころか結構格好良かった)のだが、どうにもMINISTRYなどのインダストリアル系の模倣に聴こえてしまい、あまり好きになれなかった。そして7thはゴリゴリ・ザクザクした楽曲が多くてアグレッシヴなのは良かったのだが、似たような曲が並んでいるような気がして、それに加えて「この一曲!」というのも無くて、これもまたあまり聴き込めなかった。
そんな私が言うのもなんだが、本作は良い。かなりの好印象である。
何が良いのかというと、⑤・⑧・⑩・⑪などのリフあるいはサビの歌メロがキャッチーな曲の存在である。これらが従来から彼らが得意としていたゴリゴリ・ザクザクな楽曲の合間に配置され、相乗効果で互いの価値を高めているのだ。
これは聴ける。これは良い。積極的に大好きだ。頑張れ!ANTHRAX!


GUNS N' ROSES - Appetite for Destruction ★★ (2003-02-13 21:52:00)

'87年発表。メジャーデヴュー作。
ぶっちゃけた話(もう死語か?)、捨て曲は無いが名曲揃いだとは考えていない。いや、あくまでも個人の嗜好の問題なのだが。
本作はチャートアクションが発売当初かなり鈍かった。しかし、構わずツアーをやっているうちに、噂が噂を呼び気がつくとバカ売れしていたという次第。何が噂となったのかというと、曲の出来の良さというより、メンバー全員が当時絶滅危惧種だった「ロケンローラー」だったからだと思われる。要するにイメージ先行型。であるから、メジャーデヴュー前にケラングだかローリングストーンだかの表紙を飾ってしまったりするのだ。
ただ、イメージが先行したものの彼らの場合きっちり実力が伴っていたところが偉い。
①は問答無用の激HR。シンプルなリフだが中毒性のあるこの曲は、アルバムのオープニングにピッタリ。②はアクセルの芸達者なところをアピール。⑤はキャッチーなメロディが印象的。⑥は誰でも知っている名バラード。⑦は猪突猛進ぐあいがたまらなく快感。⑨はイントロを聴いただけで名曲と知れる。⑫は最後をビシッと締める疾走する曲。と、個人的にはこの7曲を名曲だと認識している。他の曲は、出来は悪くないがふつ~のHR。だが、どの曲も彼らならではのドライヴ感を持っている。
まあ、1枚のアルバムで12曲中7曲が名曲なら文句は無いでしょ。これが売れたことによりアメリカン・ハードロックの春が再び来るかと思ったが、ほどなくしてグランジロックの嵐が吹き荒れ(その吹き荒れ具合も楽しかったんだけど)、未だにこういう作品を作る新人は現れていない。そういう意味では、歴史に名を残す傑作と言って良いと思う。そう、最後の「ロケンローラー」達による「ハードロッキン」なアルバムだったということ。


IRON SAVIOR - Condition Red ★★ (2003-02-05 01:01:00)

実のところ、C3さんに勧められていなかったら聴いていなかったと思う。
正直言ってもの凄く気に入りました。
何が良いか。まずなによりもギターのエッジが立っているところ。
色々なところで書いたが、私はジャーマンメタルと言われるものはどうも苦手なのだ。ただし、以前に確かYOSIさんがいみじくも看破されていたとおり、ジャーマンメタルと言っても初期は雄雄しいコーラスをサビに配したパワーメタルをプレイしているバンドをジャーマンメタルと呼んでいたのだ。その時期のもの及びその系譜を引くものは私も大好きなのである。例えばACCEPTなどがそうだ。また、男っぽいコーラスはないがSINNERやGRAVE DIGGERも大好きなバンドだ。
で、本作であるが、曲的にはHELLOWEENの2nd発表後にブレイクした、スピーディーでメロディアスな楽曲が主体を占めている。ただし、サウンドプロダクションが良いのだ。ギターがギターの音で鳴っている。最近のジャーマン系やメロディアス・スピード系のバンドで何が大嫌いって、キーボードが前面に出てきてその背後に埋もれながらギターがリズムを刻んでいるというのが一番嫌いだ。何故か。それはどうしても音作りがカラオケボックスで聴かれる様な、シンセでギターのメロディを奏でているようなショボイ音に聴こえてしまう為だ。ショボイギターでメロディアスな楽曲を聴いていると、演歌を聴いているような気になってくるのだ。
もちろんこれはあくまでも私見であり、純粋に好みの問題である。演歌も別に嫌いではない。しかし、HMを聴きたいときに演歌が流れてくると、やはり途中で止めてしまう。本作にはこのような不快感が全く無い。
まるでHELLOWEENの1stや2ndを聴いていた時のような、ワクワクする感じが甦ってくる。全くもって快作だ。嬉しくなってくる。C3さん、本当に有難うございました。


NEIL YOUNG - Harvest ★★ (2003-02-05 00:32:00)

'72年発表。
言っておくがハードではない。だが、たまーに無性に聴きたくなるのだ。
全編アコースティックで、ニール=ヤングのナイーヴな一面を堪能できる。このおっさんは轟音ギターのノイズ親父として名を馳せているが、他方ではこのような優しい歌をそよそよと歌ったりもするのだ。特に4曲目の「HEART OF GOLD」が有名。傑作。


KING CRIMSON - The Power to Believe ★★ (2003-02-01 02:00:00)

'03年発表。『LEVEL FIVE』、『SHOGANAI』で徐々に姿を見せていた「NUOVO METAL」の全貌が明らかにされた作品。
かくいう私も『SHOGANAI』までは「NUOVO METAL」というのがいかなるものなのかということを意識してCRIMSONに接していた次第である。
だがしかし。そんなことは本作を聴いてどうでもよくなってしまった。
本作のキーワードは「不穏」と「静謐」である。メタリックな楽曲は、いつ何が起こっても不思議ではないという不穏な空気を孕み、不気味ですらある。これらの曲を聴くスリルは得がたい快感だ。一方、合間に挿入される安寧と静謐を表現する楽曲(小曲を含む)は、誰も居ない山奥の湖に映った満月を眺めるかのようだ。孤独だが優しく美しい世界が表現されている。
いつまでも聴いていたくなる、本作はそんな作品。で、言うまでもなく傑作。


IRON MAIDEN - Powerslave ★★ (2003-02-01 01:40:00)

'84年発表。スタジオ作としては5作目。
ブルース=ディッキンソン加入後、メイデンは2枚の傑作をものとし、アメリカ制覇に王手をかけた。その駄目押しとなったのが、本作である。
捨て曲云々の話が上記でなされているが、個人的には捨て曲はないと考えている。ただし、「弱い曲」はある。強いてあげるなら⑤と⑥がそれだ。
しかし、それはあくまでも他の収録曲と比較しての話だ。1曲目の「ACES HIGH」を始めとして名曲が並ぶ中、⑤と⑥が並の出来だったというだけの話。決して駄曲ではない。
アルバム冒頭を飾る超名曲の①はもちろん、キャッチーなサビがエイドリアン一流の出来である②や、久々のインストだった③、切れ味鋭いリフが印象的な④、リフがなんだか訳もなく古代エジプトを感じさせるタイトルトラックの⑦、14分という長尺ながら聴き手を離さない驚愕の⑧など、聴き所だらけの本作は間違いなく名作である。


BLACK SABBATH - Forbidden ★★ (2003-01-14 23:24:00)

'95年発表。
『HEADLESS CROSS』を褒める声は多い。『TYR』を絶賛する声も多く聴く。『CROSS PURPOSES』を再評価しなければという声もある。しかし、本作に限っては語る者がいない。そんなに駄目な作品だろうか。
いいや。そんなことはない。確かに少々「ヘヴィネス」を意識した1曲目で、「あれれ、マーティンの持ち味を殺しちゃってる」と思う人は多いかもしれない。その第一印象が後々まで尾を引き、作品をトータルで考えた時に「今一つ・・・。いや、今三つくらいの出来か」という感想を抱くことになっているのかも。ICE-Tも参加しちゃっているし。でも、他の曲に関して言えば、先に挙げた作品群に収録された楽曲にひけをとらないものもある。本作だけが駄作扱いされるのは、なんとも納得がいかないのだ。
結局、少しばかりトホホなのはアートワークだけのような気がする。このアメコミ仕様の死神さんは、可愛いばっかりでサバスが体現している美しいHRにはそぐわない。


MICHAEL MONROE - Not Fakin' It ★★ (2003-01-14 23:01:00)

'89年発表。気合を入れなおし、メジャーから放たれた2ndソロ作。
全編、ギミック無しのロックンロールが展開され、心地よいことこの上ない至上の逸品。個人的には'89年の名盤3選に選んでいる。他の2作?もちろんモトリーの『DR.FEELGOOD』とエアロの『PUMP』だ。モトリーとエアロは聴いたことがあっても、本作を知らないという人が居たら、それは大層勿体無いことをしている。
ぜひ聴いてみてもらいたい。1曲目からぶっ飛んでいるから。


KANSAS - Device-Voice-Drum ★★ (2003-01-12 16:37:00)

'02年発表。2枚組ライヴアルバム。
最初は「なんかやけにテンポダウンしていないか?」と思った。余裕を持った演奏というより、少ししまりがないというか、ゆるいような感じだ。
しかし、それも束の間。ライヴが進行するうちにメンバーものってきているのがわかるくらい、徐々にアップテンポになってくる。聴いているこちらもドンドン演奏に引き込まれていき、これは結構快感。
というわけで、本ライヴアルバムは是非最初から最後まで2枚を続けて聴いてもらいたい。選曲もほぼベスト選曲だし、初めてKANSASに接する人でも楽しめる作品となっている。


OVERKILL - The Years of Decay ★★ (2003-01-05 15:13:00)

'89年発表。
「THRASH METAL」という言葉は当時、過激なMETALの代名詞だった。しかし、今本作を聴くと全然普通のHMである。もちろんザクザクしたリフのスピーディーな曲も収録されているが、メロディアスな曲、叙情性に満ち満ちた曲もあり、非常にバラエティに富んだ内容である。曲の展開が若干複雑なところはどこかMEGADETHを想起させるものもあるし、全体的に完成度は非常に高い。
「このような"良いバンド"が数多く存在していたというのが'80年代だったのだな・・・」と、思わず遠い目をしてつぶやかせてしまう、本作はそういう良質な作品である。


PINK FLOYD - The Dark Side of the Moon ★★ (2003-01-05 14:13:00)

うん。やまねこさんには悪いが、こういう作品だからこそ気軽に聴いてみて欲しい。
「プログレッシヴロックは難解」そう思っている方がいるとしたら、それは大きな間違いである。「プログレッシヴロック」とは、平たく言えば、「未だかって誰も聴いたことがない音楽を創造する」ということを目的とした音楽である。それはメロディや詩世界やコンセプトなど、様々な分野において追求されており、あくまで多元的なものなのだ。理解しがたいような抽象的な歌詞を、テクニカルなフレーズにのせて歌うものを「プログレッシヴロック」だと思っているのなら、それはすぐ改めてもらいたい。この『狂気』(邦題)を聴いて。
若い人など特にそうだ。「プログレッシヴロック=DREAM THEATER」という傾向がまま見られるが、それはプログレッシヴという意味を一面的にしか捉えていない。さもなければ裏と表の両面でしか考えていない。プログレッシヴとは様々な顔を持っているのだ。
本作の基本的なフォームは、「ブルーズベースのHR」だ。しかし、そのフォームで表現される世界のいかに豊潤で美しいことか。
バカ売れしたのは伊達じゃない。本作を知らずして死ぬなかれ。


SICK OF IT ALL - Scratch the Surface ★★ (2003-01-02 00:30:00)

'94年発表。ハードコアバンドの顔役のメジャーデヴュー盤。
帯に「彼らこそがリアルハードコアバンドだ!!」とあるが、どう聴いてもHRにしか思えない為、HR/HMバンドとして紹介させてもらう。解説もB!誌の前田さん(俺は、B!誌執筆陣の中でもこの人はかなり好きだ。音楽の好みは決して同じではないが)なので、まあ良かろう。
思うに、'90年代中頃って、結構HR/HM起源のバンドでもハードコアっぽい音を出しているものがいたような気がする。例えば、THE ALMIGHTYとか。
作品の内容はというと、ザクザクしたリフと吐き捨て型のヴォーカル、グラインドするリズム隊によって構築された楽曲は、かなり切れが良く格好良い。ハードコア起源のバンドだからして、アルバム一枚が15曲収録で40分弱というのも見事。あっという間に駆け抜けてしまい爽快である。


DEEP PURPLE - Abandon ★★ (2003-01-02 00:11:00)

'99年発表。『ABANDON』リリース後のツアーで、オーストラリアはメルボルンでのライヴを収録したもの。2枚組。
曲目はやはり『LIVE AT THE OLYMPIA '96』と重複するものが多いが(どうしても外せない曲ってあるよね)、『ABANDON』収録曲が聴けることと、モーズのソロが収録されていることが売りである。
特筆すべきはモーズのソロで、「イントロでポン」(・・・何じゃそりゃ)というか、「人間イントロスロットマシーン」(ああ・・・。ますます訳がわからん)というか、かなり面白いソロが聴ける。ちなみに私はツェッペリンとビートルズ、それにキンクスしか判らなかった。まあ、要するにギャギャギャ・・・というリフを刻みながら、途中で有名なバンドの有名な曲の、有名なフレーズを挿入するというものなんだけれど、遊び心に溢れていて個人的には感心した次第である。もう、絶対にリッチ-ならやらない代物だ。
総合的に見てかなり聴き応えがあるアルバムだし、音質も『~OLIMPIA'96』より良い様な気がする。ただ、あえて難点を挙げると、ギランがかなり高音を苦しげに歌っていることだ。気にしなければそんなに気にならないが、とにかく高音が出ない。誤魔化しながら歌っている姿は少し痛々しい。それでも、声の状態はかなり良かったほうだったのだろう。本当に駄目な時は全然駄目らしいから。


SAXON - Heavy Metal Thunder—Live: Eagles Over Wacken ★★ (2002-12-21 22:51:00)

'02年発表。過去の名曲群をリレコーディングして1枚に収めたもの。
私のように新参者のファンにとっては、過去の名作群を後追いしたくてもなかなか容易ではないので、こうした企画盤は砂漠で見つけたオアシスのようなものである。
あのBOCも『CULT CLASSICS』でベスト選曲をリレコーディングして収めていたのだが、BOCが過去に録音した楽曲の権利でもめたため、その対応策として『CULT CLASSICS』を製作したのに対し、SAXONはおそらく(推測だが)前作『KILLING GROUND』で過去の名曲を数曲リレコーディングしたことが好評だったためと思われる。
思うに今、SAXONには順風が吹いている(と願いたい)。アートワークも含めて、傑作な1枚。
・・・追伸。HIGASHIさん、ぜひご感想を!


NEIL YOUNG - Mirror Ball ★★ (2002-12-21 00:52:00)

'95年発表。
何故このサイトでニール=ヤングを取り上げるのか。
それはPEARL JAMがからんでいるからに他ならない。
本作は契約上の理由で明記されていないが、バックバンドをPEARL JAMが担当している。そのせいもあってか、1曲目からずしりと重いロックが聴ける。ニール=ヤングといえば"グランジの父"であり、轟音を支配するのに長けているアーティストでもあるのだが、本作で聴けるのはシンプルでハードなロックである。このHRよりの音のせいか、ニールのファンの間では本作の評価は低い。だが私は本作を愛してやまない。
⑥の「DOWN TOWN」のようなキャッチーな曲も魅力的な、傑作アルバムである。


BLUE OYSTER CULT - Imaginos ★★ (2002-12-21 00:36:00)

'88年発表。BOCがクトゥルー神話にがっぷり組んで世に放った、最高のコンセプトアルバムである。
全体のムードとしては、'80年代半ばの低迷期を吹き飛ばすかのような重厚なつくりになっている。どの曲もBOCらしい少しひねくれたポップセンスが伺えるハードロックだが、中でも④は気に入っている。加えて⑥であの名曲「ASTRONOMY」をテンポアップし、ビートをきかせてリメイクしているのが興味深い。なかなか格好良いのだ。やはり良いメロディを持つ名曲というのは、いかなるアレンジを施しても名曲たりえるのだと感心した次第である。
この作品が復活の起爆剤にならなかったのが、なんとも惜しい。間違いなく傑作である。


STEVE PERRY - For the Love of Strange Medicine ★★ (2002-12-21 00:24:00)

'94年発表。ソロ2作目。
この人の場合ソロ1作目もそうだったのだが、1曲目に凄く良い曲が収録されており、2曲目以降も良い曲が並んでいるのだがメリハリに欠けるため、作品のトータルイメージが悪いという傾向がある。
バラード系やスローテンポの曲が好みなのはわかるが、同じ曲調のものが並ぶとさすがに飽きるのである。
というわけで、本作の目玉はずばり1曲目。良い曲だ。2曲目からあとは恋人と2人きりでいるときなどにBGMとして流すには最高。アルバム単位でいうと決して悪い作品ではなく、良質なアメリカンロック作だと言える。


BOSTON - Boston - Foreplay / Long Time ★★ (2002-12-21 00:12:38)

BOSTONには多くの良い曲があるが、この曲は最高である。一番好きだ。
なによりも「FOREPLAY」の部分。痺れる。プログレハードバンドとしての面目躍如たるものがある。そして続く「LONG TIME」。「FOREPLAY」で物凄く深遠なものを垣間見た気がしたので、何を歌っているのかと思いきや・・・。
「長い付き合いだった。
俺は行くぜ 」
家出する男の歌だった・・・。
だが、これもまたポップで明るくてカラッとしていて良いのだ。
まあ、いろんな意味で最高の一曲。


TERRY BOZZIO & BILLY SHEEHAN - Nine Short Films ★★ (2002-12-20 23:45:00)

'02年発表。超有名ドラマーと超有名ベーシストによる超絶テクニカルロック作。
そう。どこをどのように切っても、「テクニカルロック」と形容する他はない。「テクニカル」な演奏の洪水でありつつ、「テクニカルロック」の金太郎飴状態である。
レヴューがくどいって?皮肉っぽい?
あたり。
本作の特徴の一つに「くどい」ことが挙げられる。正直、聴くのに気合が必要である。ねじり鉢巻を締め、正座して聴くような。はっきり言って内容は素晴らしい。だが、くどい。
何曲かは、ゆったりと聴かせるような余裕を持った曲があっても良かった。この2人がどのくらい凄いかは衆目の一致するところであるのだから、テクニカルロックマラソン状態でなくてもよかったのではないか。そんな気がする。
目茶苦茶良い(凄い)作品ではあるが、食いつきの良さからいえばNIACINの4th(こいつは名盤!)や、ビリーのソロに軍配が上がる。


BLUE OYSTER CULT - Career of Evil ★★ (2002-12-20 22:41:00)

'90年発表。ベストアルバム。
実のところ、本ベストアルバムはBOCの全カタログ中で最もお薦めしてはいけない代物である可能性が高い。
以下にその理由を列記する。
①最も有名な代表曲を収録していない。
②ライヴヴァージョンとオリジナルヴァージョンがごちゃまぜ。
さて、①についてだが、皆さんはBOCの代表曲を3曲挙げよ言われたら、頭にどの曲名が浮かぶだろうか。「ASTRONOMY」と「BURNING FOR YOU」はかなり高い確率で挙がってくることだろうと思うが、実はこの2曲が収録されていない。オリジナルアルバムでは対の存在となっている「FLAMING TELEPATHS」が収録されているのに、何故か「ASTRONOMY」はカットされているのである。もうこの事実だけで、ベストアルバムとしては致命的であろう。いや、そもそもベストアルバムとは言えないのではないか。
そして②についてだが、13曲収録のうち、8曲がライヴアルバムから引っ張られてきている。それなら全部ライヴヴァージョンにしてライヴベストにしたほうが良かったのではないか。BOCはライヴバンドだ。その方が魅力が伝わったかもしれない。
要するに非常に中途半端な代物なのだ。代表曲は収録されていない、作品としての統一感も無い。PINK FLOYDのベストアルバムと較べると雲泥の差である。
加えてせっかくの深民さんのライナーが誤字だらけ。校正したのか。
つまり本作が示しているのは、いかにレコード会社がBOCに思い入れが無いかということである。いまだにまともに日本盤が出ないのも、いたしかたないことなのだ。そして、かような可哀相なベスト(ではない)アルバムだからこそ、私は本作が愛しくてしかたがないのである。


BLUE OYSTER CULT - A Long Day's Night ★★ (2002-12-15 22:15:00)

AZさん、早速教えてくださって有難う御座います。
ガーン。買っておけば良かった・・・。いや、もう早速入手の手はずを整えます。レヴューはその後ということで・・・。
本当に、本当に有難う御座いました。またわからないことがあったら教えて下さい。


PEARL JAM - Riot Act ★★ (2002-11-24 17:34:00)

'02年発表。スタジオ作として7作目。
タイトルだけ見ているとなにか凄く過激な音を想像してしまうが、実際のところは非常にストレートなハードロックに仕上がっている。
これまでの作品に見られたようなパンキッシュでアップテンポな、まえのめりな感じの楽曲も収録されていない。そういう意味では「地味だ」との評価を受けるかもしれない。
しかし、本作の価値は実はそのような所にはなく、そしてもちろん「LOVE」解禁や、政治色が強まった詩世界にあるのでもないと個人的には思う。様々な音楽的実験を展開し、前作あたりで「なんでもあり」という開放感を獲得したこのバンドが、本作でストレートなロックを奏でているということ。それはある意味自分達の内奥から滲み出てきたものを、そのままの形で楽曲へと昇華させているということに他ならない。
この作品は不思議だ。これといって突出した楽曲も無く1曲目などむしろ淡々と始まるのに、一度聴き始めると最後まで聴かせてしまう。間違いなく傑作だと確信する。


FOO FIGHTERS - One by One ★★ (2002-11-23 00:08:00)

'02年発表。4作目。
目出度い事に流動的であったメンバーが固まったらしい。CDのケースを裏返すと、しっかり4人で写ったグループショットが見られる。素晴らしい。
音の方も、やたらと確信に満ちている。ゴリゴリした質感の突っ走る楽曲が増え、彼らの(というかデイヴの)持ち味である哀愁を帯びつつ爆走する切れたROCKが満載である。演奏もアルバムのトータルイメージもタイトで、言うこと無しの傑作アルバムに仕上がっている。
今なら期間限定で2,000円で売っている。えらいお得だろ、これは。買って聴いてやってよ。


CATHEDRAL - The Carnival Bizarre - Electric Grave ★★ (2002-11-19 22:20:15)

'95年発表の3rdアルバムは、5thと同じくらい気に入っている。つまり、私はドゥ-ミーな彼らよりメロディアスな彼らの方が好きなのだ。
この曲は、3rdの中では「HOPKINS」と双璧をなす出来の良い曲だと思う。とにかくリフが格好良いのだ。CATHEDRALの楽曲群の中でもベストソングだと思う(って書いたら1stからのファンの人に怒られるかな?)。


BLACK SABBATH - Tyr - Heaven in Black ★★★ (2002-11-19 22:08:15)

'90年発表の『TYR』は、BLACK SABBATHの諸作品の中でもかなり好きな一枚である。Voにトニー=マーティンを擁し、ボトムをニール=マーレイ、そして今は亡きコージー=パウエルで固めたラインナップも好きだ。
その『TYR』の最後を飾ったのが、この疾走する名曲である。コージーのドラム、リフメイカーの面目躍如たるアイオミのメロディアスなプレイ、マーティンのヴォーカルも熱い。完璧な1曲だ。


NIRVANA ★★ (2002-11-17 16:57:00)

YOSIさん、お久しぶりです。早速のご意見有難う御座います。嬉しいなあ。
御指摘の件は実は予想していました。結果的にオルタナティヴロックの定義づけをかなり"一部限定"なもので括って書いたもので。そうそう、ありましたね「ミクスチャーロック」。
YOSIさんの文章を読んで改めて当時の流れを考えるに、確かに私の定義ではオルタナティヴロックの説明はかなり不十分だったと思います。私も理解としてはYOSIさんの定義づけでよろしいかと思います。ご指摘、有難う御座いました。
というわけで、ここの私の文章を読まれた方は、あわせてYOSIさんの文章もお読みになって下さい。
さ、次は何処で語りましょうか。リクエストお待ちしております(大嘘)。


SPIRITUAL BEGGARS - On Fire ★★ (2002-11-04 14:21:00)

皆さんが褒めているところを水を注すつもりは毛頭ないが、あえて苦言を呈しておきたい。
いや、私もこの作品のクオリティの高さを認めていないわけではない。メンバー個々人の持つ技量の高さ。'70~'80年代のROCKをそのままパクルのではなく、十二分に消化した上で構築された楽曲群。熱く激しく艶のあるVo。だが、今一つ物足りなく、残念な部分があるのだ。少しぐらい私個人の好みから外れるものが有ったとしても、目をつむって褒め倒しても良いのだが、それではあまりにも勿体無いのだ。彼らはもっと上を狙える。政則さんや広瀬氏が言うような、オリジナルの'70年代ROCKを啓蒙する役目だけを担わされた存在ではないはずである。私はそう信じている。
本題に戻そう。今一つ物足りないところは、Scary-Kさんが書いておられるように、歌メロのフックの無さと、バラエティに富まない楽曲群である。
歌メロに関して言えばワザとポップさやキャッチーなところを排除しているように見受けられるのだが、'70年代のHRバンドの名曲にはポップでもキャッチーでもなく格好良いとしか言えない楽曲が存在していたことを考えると、まだまだ"格好良さ"が足りない。そういう所は改善する余地が十分にあると思う。
ミドルテンポ一辺倒な部分は、このバンドの出自を考えると当然と言えなくもないのだが、それでも少しアップテンポに突っ走る曲や、軽快な曲が有って良い気がする。重くてグルーヴィーな曲も良いが過ぎたるは及ばざるが如しである。
残念な部分は、サウンドプロダクションである。個人的に音を詰め込みすぎな感がある。この手のROCKはある意味個々の楽器の音の「間」の取り方というか距離感が大事だと思う。スカスカにしろとは言わないが、ちょっと音が隙間無く詰まり過ぎていて、せっかくの楽器のからみもダイナミズムが失われている場面が往々にしてある。非常に勿体無く思う。
色々書いたが、現在こういう音を出すバンドはほとんど居ない。ある意味空洞化のど真ん中に位置しているのだから、売りようによっては天下が取れるかもしれないのだ。ぜひ頑張ってもらいたい。


ANTHEM - Overload ★★ (2002-10-13 11:46:00)

'02年発表。復活後2作目。
例えて言えばなにが頭に来るって、ラーメン屋に行ってぬるいラーメンを出されることほど、頭に来ることは無い。ラーメンって"熱い"もんだろ。出された直後にスープがごくごく飲めてどうすんだって。
だが、この『OVERLOAD』とANTHEMに限って言えば、期待したものが裏切られることは無い。それどころか期待以上のものが待っている。
もう、全編熱い。前作もそりゃあ熱くて最高の作品だったが、本作を聴くと"あれですら、まだ道半ばだったか・・・"と思えてしまう。
もう「聴き所満載!」なんてレベルは超えている。全曲、どれをとっても最高の出来である。各人のプレイは当然ながら魂のこもった鬼気迫るものだが、なかでも特筆すべきは清水のギターである。本作でのこの人のギターは凄い。上手いとか早いとかいう形容では全然表現できない。なにしろ格好良いのだ。「ああ。こういうギター(ソロ)が聴きたかったんだよ!」というフレーズ、メロディがバンバン出てくる。正直なところ、「次はどんなソロか」が楽しみで全10曲あっという間に聴けてしまう。
楽曲の出来は前作以上にキャッチーかつフック有りだが、とにもかくにもHMである。HMの教科書と言ってもいいのではと思えるくらい、HM以外の何物でもない。熱く、激しい。
正直なところ、今年はビッグネームも含め色々なバンドの作品に接したが、年間ベスト5には間違いなく入れたいと思う。それほど素晴らしい作品である。
坂本さん、清水さん、本間さん。そして柴田さん。本当に有難う御座います。日本にANTHEMが居て良かった。


GAMMA RAY - Heading for Tomorrow ★★ (2002-10-06 12:41:00)

HELLOWEENを辞めたカイがどのような音楽を作りたかったのか。
購入当初、もう興味津々で聴いた。結論としてはQUEENありのJUDASありの、とにかくよく出来た作品だと思った。
私は2ndは未聴で、3rd・4thと聴き5th以降は追うのを止めたが(だってVoに上手い人入れればいいのにさ、ミュージシャンとしてのエゴ丸出しじゃん。曲がもったいないって)、この1stだけは名盤として評価したい。
しかし、ジャケットはなあ。紫外線に当たっていると身体に悪いって、お二人さん!誰も教えなかったんだろうか(嘘、うそ。でも確かにあれじゃ"まんま"だよねえ。もうちょっとちゃんとしたデザイナーを雇えばよかったのにね)。


JUDAS PRIEST - Jugulator ★★ (2002-10-06 12:18:00)

'97年発表。
そりゃあどうしたってあの名盤『PAINKILLER』と較べれば、見劣りするだろう。
しかし、この怒り(憤怒と言っていい)に満ち満ちたブルータルなサウンドは買いだ。
①がもっとアップテンポの曲だったら、と思わないではないが、④とか⑨など激烈なナンバーの存在はこの作品の価値をぐっと高めている。
アーティストが自らの心情を激白したという意味において、そしてリッパーが実力を表現しきったという意味においても、本作は名盤として位置付けられると思う。
聴くたびに頭に血が上る、ある意味危ない1枚。しかしとても気に入っている。


BLACK SABBATH - Sabbath Bloody Sabbath ★★ (2002-10-06 11:19:00)

'73年発表。5th。本作の特徴はシンセサイザーを使ってちょっと遊んでみましたってところ。
とはいえ、前作までにつかんだ方法論を全く無視したのではなく、自分達の持ち味の一つであるキャッチーさ(言い換えれば"軽快さ")やポップな部分を、もう一度整理しなおしてわかりやすく提示して見せたのだと思う。
ここ日本じゃ名盤というと、1stや2nd、ちょっとひねったファンだと3rdや4thを挙げる人が多いが、この5枚目の本作も名盤である。
笑っちゃうのは、シンセを使った曲が両極端だってこと。4曲目の「SABBRA CADABRA」にはシンセにYESのリック=ウェイクマンが参加。図太いギターに負けることなく、しかも違和感を感じさせずにシンセとピアノでフレーズを織り込んでいる。
リックは、かのNYのロック詩人LOU REED(VELVET UNDERGROUNDのリーダーだった人)の1stにも参加しており、'70年代初頭はセッションワークで稼いでいたと思われる。というか、職人肌だから呼ばれれば音楽性に関係なく何処へでも行く。ある意味結構無節操。
6曲目「WHO ARE YOU」のシンセはギーザーが弾いているのだが、これが可笑しい。絶対にこの「ミニョーン」という音を使って、妖しげでしかもキャッチーな楽曲を作ってやろうと画策したのに違いない。個人的にはこの1曲だけで「買って良かった」と思った。
いやもう、実のところ2ndと同じくらい好き。いとおしい1枚。


COVERDALE・PAGE - Coverdale・page ★★ (2002-10-05 00:54:00)

レコード会社の企画によって結成され、アルバム発売、興行、「集金完了?」「ああ。こんなもんじゃない?」「じゃあ、さよなら」と解散した割には、すんげー良く出来たHRアルバム。
それにしてもデヴィッドの声の潰れようはなんなんだろう。
その後に出したソロではまともな声だったので、あれは絶対にロバート=プラントとの比較を嫌っての所業に違いない。
とはいえ、もう全編ペイジ節全開。①・④・⑩がお気に入りだが、⑩は特に凄い。気迫に満ち満ちたプレイが聴けるし、リフメイカーの面目躍如である。他の曲も押しなべて完成度は高く、動機は不純とはいえ、やはり2人は一流のミュージシャンである。しっかり仕事している。
最後に一言。
「ジミーさん。もうかった札束を菓子箱の上げ底に忍ばせて、ロバートさんのお家に遊びに行ったって本当ですか?・・・お主も悪よのう。ほっほっほ」
おあとがよろしいようで。


LIVING COLOUR - Vivid ★★ (2002-10-04 23:43:00)

'88年発表。1stアルバム。
私は2ndは聴いたことがなく、3rdは試聴はしたが購入しなかった。だから、彼らの熱心なファンとは言えない。
しかし、この1stだけは気に入って良く聴いた。なにより1曲目の「CULT OF PERSONALITY」が格好良かったし、他の曲もポップとファンクとハードロックが絶妙に混じり合っており好きだった。
この作品は一聴したところ目茶苦茶明るいが、実は非常に重いメッセージを含んでいる。
「いや、あんたから盗みを働こうとは思わないさ。
いやいや、あんたを殴ったりなんかしないって。
いいや。お前をレイプする気はないよ。
だけど、どうして俺に、
その妙なヴァイヴを送って寄越すのかね?」
(「FUNNY VIBE」)
皮膚の色が違うってだけで蔑まれることが、どれほど嫌なものかは理屈ではわかっていても本当に理解することはできない。そういう日本人の私はせいぜい新婚旅行先のイタリアで、「あの日本人、英語が少しわかるって言っていたけど、全く通じない。嫌になるわね」とイタリア語で言われて(悪口って言葉がわからなくても通じちゃうんですね)、ムッとするのが関の山だ。
「テレビを見ると
お前のアメリカはいい感じだ。
だが窓の外を見ると、
俺のアメリカは地獄そのものだ
お前のアメリカにはどうやったら行ける?
どこを通ればお前のアメリカに行けるのだ?」
(「WHICH WAY TO AMERICA?」)
こんな歌詞をキャッチーにファンキーにハードに歌う。これをROCKと言わずして何と言う?
WHAT'S YOUR FAVORITE COLOR BABY?
・・・LIVING COLOUR!!


UFO - Lights Out ★★ (2002-10-02 23:00:00)

'77年発表。『PHENOMENON』と肩を並べる名盤と考える。
なんといっても4曲目「LIGHTS OUT」。この曲だけは聴かずに死んで欲しくない。HR/HMを聴く人間でこの曲を気に入らない者は多分いないのではないだろうか。
他には軽快な幕開けを告げる①やしっとりとした③が名曲。
アートワークはやはりヒプノシスで、アルバムにずっしりとした存在感を与えている。


UFO - Phenomenon ★★ (2002-10-02 22:52:00)

'74年発表。この作品からマイケル=シェンカーが加入した。
UFOを聴く時いつも思うのだが、このバンドは実は非常にオーソドックスなHRバンドである。しかしそこにシェンカーのギターが加わると絶妙な湿り気を帯びるのである。
「DOCTOR DOCTOR」は永遠の名曲である。これほどまでに哀愁に満ちた名曲となると、他にはBLUE OYSTER CULTの「(DON'T FEAR)THE REAPER」ぐらいしか思いつかない。
ヒプノシスの手によるジャケットのアートワークも秀逸。楽曲やアートワークも含め、トータルな意味で考えてもこの作品の発表はロックの歴史に残る"現象"である。


DAVE MENIKETTI - Meniketti ★★ (2002-09-23 23:13:00)

'02年発表。Y&TのVo兼Gのデイヴ=メニケッティによる作品。
この作品についてはH・Wさんも語っておられるので、どうかそちらも参照して欲しい(新譜感想No.429及び、この曲を聴け!「I REMEMBER」の項、特に「I REMEMBER」の項は爆笑もの)。
私はY&Tを聴いたことがなく、従ってデイヴ=メニケッティの音楽にも今回初めて接したわけだが、この作品は大いに気に入った。ブルーズベースの侠気溢れるHRである。
アメリカンテイストな明るくからりとした雰囲気の曲もあるが、あくまで基軸となるのはFREE、BAD COMPANY起源のブルーズHRである。ラップやヒップホップやハードコア等とのハイブリッドがもてはやされ、純然たるHM・HRが不遇な扱いを受けている(最近はいくらかましになったか?)このご時世に、このような作品を堂々と発表し、しかもそれが実に溌剌とした良質の作品なのだから、確かにこの人は「人間国宝」なのだ。
「自分に正直でありたい」、「自分が最も得意とするものを最良の形にしたい」とは誰しも思うものだが、それを実現するのは至難の業である。それを成し遂げた「人間国宝」に喝采の拍手を送りたい。


THE BLACK CROWES - Live ★★ (2002-09-22 00:16:00)

'02年発表。2枚組のライヴ盤。彼等自身の楽曲をフルヴォリュームで収録した初めての作品。
契約上の制限であの名盤5thからの楽曲が収録されていないのは非常に残念だが、それでもこれだけの名曲の数々を惜しげもなく並べられると気にならなくなってしまう。
最新作『LIONS』の曲と1st・2ndからの楽曲が多いのだが、本当にこの人たちの曲作りの上手さというのをしみじみと感じてしまった。ある意味何の飾りも無いストレートなROCKなのだが、魅力的なリフやソウルフルなVoはもちろん、所々にあいている"間"の取り方さえもが格好良いのだ。それがライヴバンドとして定評がある躍動感に満ちた演奏で聴けるのだからこたえられない。
全部聴くと2時間ほどある作品を、スルメをかじるように聴きますので、どうかゆっくり休養してください。そのかわり、必ず活動を再開して下さいよ。とバンドのメンバーに伝えたくなる好盤。本当、解散だけは勘弁ね。マジで。


KIX - Live ★★ (2002-09-16 05:57:00)

'93年発表。KIX唯一のライヴ盤。
こうした作品が、ライヴ収録から約1年半後に日本特別企画盤として発売されるところに、このバンドの不幸が表れている。『HOT WIRE』の売上に追い風を吹かせるならもっと早く発売しなければ意味が無い。全くアメリカ本国のアトランティックは何を考えていたのか。
そもそもKIXとアトランティックの契約も、バンドにとっては"搾取されている"ようなものだったそうだし、アルバム発売の際のプッシュも全然十分なものではなかった。名盤を3枚立て続けに出しライヴだって頻繁にやっていたのに、どうして4thのゴールドディスク獲得がバンドのキャリアの頂点になってしまうのか。KIXについて考えると本当にアトランティックだけは許せない。恨み骨髄とはまさにこのことである。
とはいえ、以上に述べたことは本作の内容とは一切関係ない。非常に出来の良いライヴ盤である。バンドの地元で収録しているので観客とのやりとりも最高だ。
なにより"あの当時の"(私も見に行った『HOT WIRE TOUR』の)セットリストとほぼ同じなので、NHKホールでのバンドの雄姿をまざまざと思い出してしまう。
かなり古いが、もしドラゴンボールが全部集まったら神竜にぜひお願いしたい。「KIXを再結成してください」


BON JOVI - Bounce ★★ (2002-09-16 05:34:00)

'02年発表。スタジオ作として通算8作目。
前作『CRUSH』の作風に対しては、出来の良さは認めるがどうも個人的に納得がいかなかったので(理由はほぼこたろうさんと同じ)、本作に対しては並々ならぬ期待と不安を抱いて発売を待っていた。
はっきり言う。本作は傑作である。
なによりハードな曲がまた戻ってきたのが嬉しい。しかもそれらはどれもガッチリとフックを持つ名曲・佳曲である。①・②は歌詞の内容もメロディも文句のつけようがない名曲で、⑦・⑪も素晴らしい。また、バラードも充実しており、要所要所で作品の流れにきっちりとアクセントを付けている。一度聴き始めると、あっという間に最後まで聴いてしまう。これはアルバムトータルでの完成度の高さを物語っている。
本作の製作に臨み、彼等が作ろうとしたものは一言で言うと「9/11の事件から1年経つ今、人々を勇気づけ、元気づける作品」だったそうだ。"自分達に出来ることはなにか"を見据えた時、そのような結論に達したのだそうだ。なによりジョン達のこうした思いに感銘を受けるし、彼らの目的は見事に達成されている。このバンドはまだまだ信用できる。


TANK - Still at War ★★ (2002-09-08 23:35:00)

'02年発表。この前発売された、できたてほやほやの最新作。スタジオ作としては実に15年ぶり、6枚目である。
あのHIGASHIさんをして「待っていろよ。TANK」といわしめた本作は、問答無用、疾風怒濤の傑作である。私もこのサイトでは色々なバンドの色々なアルバムを積極的に褒めて勧めてきた。それはひとえに「こんなに良いバンド、良い作品があるんだ。聴かずに死ねるか!死なせられるか!」という思いがあったからである。であるからして、なかには「おいおい、ちょっと褒めすぎなんじゃ・・・」というものもあったかもしれない。しかし、本作だけは別格である。もう、素直に「良い。最高!」である。
何が良くて何が最高!なのか。
それはとにもかくにもリフとVoのメロディラインの持つ格好良さと、必殺の煽情力である。
良いフックを持つHM/HRの楽曲の中には、ポップ・キャッチーとは形容しがたい、「格好良いリフ・メロディ」を持つ曲と言うしかないものが存在する。例えを挙げるとIRON MAIDENの「KILLERS」、「ACES HIGH」などである。
本作に収められている楽曲群はまさにそれだ。とにかくリフ。そしてメロディ。確かにかの名作「HONOUR & BLOOD」で聴けたような、哀愁を感じさせるギターソロを期待すると少々肩透かしをくらった印象を受けるかもしれない。しかし、そんなことがどうでも良くなるガッツィーなHMがここにはある。ぜひ聴いて欲しい。できるだけ多くの人にこのバンドの凄さを知ってもらいたい。


KING CRIMSON - Level Five ★★ (2002-09-04 23:17:00)

'02年発表。新曲3曲を含むミニ・ライヴアルバム。
ミニアルバムで新曲および新しいテーマをお披露目するのは、『THRAK』発表前に『VROOOM』でやっているのだが、本作も同じ役割を与えられている。
やはりどうしたって新曲に注意が向けられる。第5段階の"Nuovo Metal"なんだそうだ。こうしたネーミングがいかにも「そそる」のだが、2曲目の「LEVEL FIVE」を聴く限り、確かに新しい段階へと移行したと感じられる。
基調になっているのはトレイ=ガンのヘヴィなリフで、それにあわせてフリップとブリューが時にはリフに同調し、時にはある種フリーキーなメロディを縦横無尽に駆巡らせるといったところ。
他の新曲2曲はヘヴィメタリックではないが、一聴して異世界へと誘ってくれる、静謐さや安らぎさえ感じさせる佳曲。
この3曲で提示された路線で次作を作るということであれば大いに期待できよう。


SAXON - Forever Free ★★ (2002-08-29 00:05:00)

'92年発表。スタジオ作としては11作目(ですよね?HIGASHIさん)。
前作の『SOLID BALL OF ROCK』も相当の充実作であったが、本作はその前作を凌いでいる。バンドの創作意欲も充実していたようだ。
なんといっても冒頭のタイトル曲。スピード感に満ち溢れ、歌メロにがっちりとフックを持つこの曲は、一度聴いたら忘れられない魅力がある。というわけで、真夜中に子供が夜泣きをし、それを妻がうんざりした顔で抱きかかえながら、寝たふりをしている私の顔をうらめしそうな顔で見ている時などに頭の中で鳴っている。「FOREVER FREE」!(嘘です。笑)


MERCYFUL FATE - Don't Break the Oath ★★ (2002-08-28 23:47:00)

'84年発表。2作目。
Voはあのキング=ダイアモンドである。リズムチェンジの多用による複雑な楽曲構成、ザクザクしたリズムギターに絡む流麗なリードギター。曲はどこか物悲しくも美しいメロディが主体となっており、個人的には大好きな世界である。こう書いてみると、なんだかブルース=ディッキンソン加入後のIRON MAIDENと共通する部分が多いなあと、改めて思った次第。もちろんMAIDENほどのメジャー感は無いが、そこはかとなく漂うB級臭さがまたいいのだ。場末の飲み屋だが酒が安くつまみが美味いといった感じ。わかる?
このバンドのポイントは良くも悪くもVoにある。情感たっぷりに歌っていたかと思えば、脳天から出すような高い声で歌うキングのVo。この声が生理的に嫌いという人は多かろう。
というわけで、ここに踏絵を用意しておく。踏めたあなたは、このバンドを好きになれる資格がある。「あなたは河村隆一のVoが平気ですか?」
平気な人は大丈夫。あの高音でひっくり返る歌唱法が気にならないのなら、キングのVoも平気だ。平気でない人は?大丈夫。私は河村さんは駄目だがキングは平気だ。
あっ!石を投げないで!(LUNA SEA及び河村さんのファンの方、すみません。ちょっと悪乗りしすぎましたが、決して馬鹿にしているわけではありません。念のため)


BON JOVI - Crush ★★ (2002-08-19 23:51:00)

今回の遠出で持っていった(同じく持参したのはRAINBOWとDEF LEPPARD、U2)。購入当初も、「う~ん・・・。ちょっと渋いなあ」と、評価は後回しにしていたのだが、今回はじっくり聴けると思い、持っていった。
でも、やっぱり渋すぎる。渋いのが悪いとは言わない。泥臭いのもかまわない。しかしおとなし過ぎやしないか。
確かに『THESE DAYS』で本格的に追求し始めた路線が、ほぼ彼バンドの理想に近い形で具現化されている。成功はしているのだ。だが、それで良いのだろうか。
私は、このバンドのことは「ポップ職人」だと思っている。タイプは違うが同様のバンドとしてはAEROSMITH、DEF LEPPARDなどが挙げられる。しかし、今挙げた2つのバンドとBON JOVIとの決定的違いは、良い曲に対する貪欲さにややかける点である。「そこそこ良い曲」で満足してはいないだろうか。「IT'S MY LIFE」は良い曲だ。だが、それだけで終わってしまっては異様に食い足りなさを感じてしまうのだ。
3rd、4thの頃に戻れとは言わないが、最近の彼らは少し肩の力を抜きすぎている。だいたい、作風がジョンのソロ作とほとんど同じではないか。BON JOVIという「バンド」に拘るなら、もう少し自分達の持ち味についてメンバー同士で喧嘩するくらい話し合って欲しいと思う。彼等の凄さはこんなものではないのだ。ちょっと(自分達にとって)居心地の良い場所に居すぎている。(遅いけど)猛省を促しつつ、そのうち出る新譜を大いに期待して待ちたい。
頼むぞ。


DEF LEPPARD - X ★★ (2002-08-15 23:46:00)

この間家族で旅行した時に、車の中で良く聴いていました(一緒に持っていったのはRUSHの新譜とOASISの新譜)。
私は『ADRENALIZE』で顕著だったメロディの単純さが嫌いだったので、「ポップだ」という今作は結構ドキドキしながら聴いたのですが、感触としては『HYSTERIA』の頃の、「フックがありつつも聴けば聴くほど色々なメロディが聴こえてくる、タペストリーを鑑賞するかのような楽曲」が復活していたので嬉しかったです。
確かに『HYSTERIA』の完成度には及ばず、そこが残念といえば残念。『HYSTERIA』を超えられなかった原因は、楽曲があまりにもポップ一色で統一されたことに有ると思います。
「GODS OF WAR」や「WHITE LIGHTNING」、「PAPER SUN」などに代表されるダークで重い楽曲や、「RUN RIOT」などに代表される疾走系のハードな楽曲を、ツボになるところで収録していればもっと良い作品になったのではと思います。
とはいいながらも、現時点で望みえる最高の作品であることは間違いなく、21世紀の名盤として高く評価したいと思います。


NIRVANA - In Utero ★★ (2002-07-28 00:55:00)

'93年発表。スタジオ作として通算3枚目。
実はここ数年本作を聴くことはない。
理由は単純。聴いていると死にたくなってくるから。
発表当時、良く聴いていたのは6曲目の「DUMB」と12曲目の「ALL APOLOGIES」だった。
スティーヴ=アルビニの作った音は、ザラザラした質感を持ち生々しい。前作の持っていた音の整合感は喪失したが、ロックが本来持っていた生きることに対する嘆き、悲しみ、怒りを表現するのに、これ以上の音はなかろう。そしてカートの歌声。詩。
ロック史上に名を残す傑作アルバムであるとともに、呪われた人の生を、切り裂いた腹から臓物を掻きだすように告発した作品。
そしてカートは子宮へと帰っていった。二度と生まれてくることは無い。


TEMPLE OF THE DOG - Temple of the Dog ★★ (2002-07-27 23:43:00)

'91年発表。PEARL JAMのストーン=ゴッサード、ジェフ=アメン、マイク=マクレディと、SOUND GARDENのクリス=コーネル、マット=キャメロン(現PEARL JAM)とが組んだ"夢の"プロジェクト。
本作は、MOTHER LOVE BONEのVoであったアンドリュー=ウッドへの追悼盤である。
MOTHER LOVE BONEはPEARL JAMの母体となったバンドだが、メジャーデヴュー作発表前に、アンドリューがドラッグにより死去。解散を余儀なくされた。
アンドリューの死を悼んだ、クリス(アンドリューのルームメイトだった時期がある。苦楽を共にした仲であった)がシアトルの仲間達に呼びかけたのが、このプロジェクトの始まりだ。
聴いて欲しい。クリスの熱唱を。これが魂のこもった歌というやつだ。そして楽曲は'70年代のHRを彷彿とさせる、どこか懐かしい印象を与えつつも決して古ぼけていない、良質なものが10曲収められている。特に冒頭の2曲は熱く、混沌としていて、美しく、そして物寂しい名曲である。


AC/DC - Stiff Upper Lip ★★ (2002-07-20 01:33:00)

2000年発表。
AC/DCってたまに無性に聴きたくなる。"全部同じに聴こえる"なんていう方もいるかもしれないが、そんなことはない。本当にこの人達は歩くリフ袋というか、リフのアイデアが尽きることがないのが凄い。
ビールをガンガン飲りながら聴きたいのが『HIGHWAY TO HELL』とか『BACK IN BLACK』だとしたら、本作はどちらかというとウィスキーでもあおりながら聴きたい作風。渋い。渋いがハード。なんか聴きながらやたら元気になってしまう彼等の音楽は、本作においても健在。たいしたもんである。格好良いぞ!親父!


AEROSMITH - Nine Lives ★★ (2002-07-15 00:08:00)

'97年発表。スタジオ作としては12作目。
思うに『PERMANENT VACATION』以降の作品群の中では、最高にエアロな作品だと思う。勿論ここ10年間に発表された全HRアルバムの中でも、最高峰に位置する作品であろう。
このバンドの持ち味というのは、フックのあるメロディやリフづくりに秀でているのみならず、なによりも猥雑さ、ロックの持ついかがわしさをクールに体現しているところだと思う。
そういう意味では、『PERMANENT~』・『GET A GRIP』・『JUST PUSH PLAY』は少々お行儀が良すぎる(とはいえ、これらの作品ももちろん高品質だ)。復活後におけるエアロらしい傑作という意味では『PUMP』と本作を挙げたい。
ただし、『PUMP』は前半の派手さケバさに比べ後半が渋い作りとなっているので、そのギャップの激しさを考えるとアルバムトータルの完成度では本作に一歩譲る。
冒頭、いきなりハードにすっとばすタイトルトラック。もうこれでノックアウト。この格好良さはなんなんだ!と思っていると、必殺のシングルカット曲②が始まる。以下、非常にバラエティに富みつつもしっかりエアロ印の烙印が押された名曲達が、列をなしてあなたを待っている。
一度アルバム完成にこぎつけながら、もう一度作り直したバンドを大いに讃えたい。また、それをやきもきしながら見守ったレコード会社も。ロック職人達の面目躍如たるものが、本作においてしっかりと我々に提示されている。あんたら、やっぱすげえよ。全く格好良い親父達である。


DEEP PURPLE - The Battle Rages On... ★★ (2002-07-14 18:39:00)

'93年発表。第7期唯一の作品。多分リッチー在籍時最後の作品となろう。
さて、本作だが個人的にはどう贔屓目に見ても傑作・名作とは言えない。
だが、決して駄作ではないと思う。何故か。
①・③・⑤・⑦を除く他の楽曲に注目して欲しい。これが結構キャッチーなところもある、ブルーズテイストの佳曲なのである。
また、先ほど除外した⑤も、なにもあえてDPがやらなくても・・・とは思うが、しっかりしたフックをもつ良い曲だ。単にDPっぽくないだけ。
そういう意味で、本作は私にとっては駄作ではなく、ブルーズベースのDPが聴ける興味深い作品である。リッチーだってギタープレイに関しては決して手を抜いてはいないと思うけど。確かに気合入りまくりとは思わないが、結構随所でトリッキーなフレーズをさりげなく挿入しているし。
た・だ・し。いただけないのは過去に自分が書いた曲のリフやメロディーを使いまわししているところである。
皆さんもう周知の事実として触れていないが、あえて書かせてもらう。
①は『BENT OUT OF SHAPE』の「FIRE DANCE」に、③は同じく『BENT~』収録の「STRANDED」に、そして⑦は『DIFFICULT TO CURE』収録の「SPOTLIGHT KID」にリフあるいは歌メロが類似する。「SPOTLIGHT KID」に関しては、『THE HOUSE OF BLUE LIGHT』収録の「DEAD OR ALIVE」も少し似ていたりするが、いかんせん曲の完成度が違う。「DEAD OR ALIVE」の方が断然出来が良い。
このように後期RAINBOWの楽曲にわざと似せて曲を作ったのは、リッチーの確信犯的な意思表示である。どんな音楽がやりたかったのかは、脱退後にリリースしたRAINBOW名義のアルバムに収録された楽曲群を聴けばわかる。
しかし、プロのアーティストとして才能の枯渇ではなしに、わざと過去の名曲に似せて曲を作るという行為は、新しい曲を望んでいるファンに対してどうだろうかと思う。あまりにもファンのことを無視しすぎているのではないだろうか。本作品においては、その一点のみが残念でならない。メンバー間の諍いにファンを巻き込むべきではなかったと思う。
と、熱い語りはここまで。
杉山武志氏の『PURPLE COLLECTION』を読むと、⑩もRAINBOWの楽曲に類似しているらしいのだが、私にはどの曲がそうなのかわからなかった。「NO RELEASE」がちょっと似ているかなあと思ったが、違うような気もする。知っている人がいたら教えて下さい。
結局のところは、RAINBOW類似の楽曲もヴァージョン違いと思って聴けば、それなりに楽しめるのである。やっぱり駄作・凡作ではないのだ。本作は。


DIO - Lock Up the Wolves ★★ (2002-07-07 07:00:00)

'90年発表。スタジオ作としては5枚目。
発表当時はなんだかえらい叩かれようでした。
まあ確かにローワン=ロバートソンのギターはどこか少しお行儀のいいところがあります。
でも、しっかり聴かせどころはつくっているし、リフだってかなり格好良いリフ弾いています。
①、⑥、⑧は名曲。特に①と⑧の疾走感は応えられません。
他の曲もハードでありながらキャッチー、それらはいずれも心地よくヘヴィです。
本作もまたDIO一流のHR作品として、名作だと思います。


MOTLEY CRUE - Dr. Feelgood ★★ (2002-07-06 23:53:00)

'89年発表。5作目。
モトリーの最高傑作というと、やはり本作になるのだろう。
発売当時はB!誌の酒井康氏が③と④の2曲を特に褒めていたが、実際に買って聴いてみると、
③と④だけが私にはピンとこなかった。音楽の好みは人によってわからないと、しみじみ思った
ものである。
というわけで、ほとんど全ての曲の完成度が高く、名曲「DR.FEELGOOD」、
「KICKSTART MY HEART」、「WITHOUT YOU」、
「DON'T GO AWAY MAD(JUST GO AWAY)」を収録する本作は、モ
トリーの最高傑作であるとともに、'80年代HR界を代表する名盤でもある。
個人的には⑧も好きだ。ニッキーのベースがやけに格好良く聴こえる。


MEGADETH - Hidden Treasures ★★ (2002-07-06 23:37:00)

'95年発表。来日記念盤。
①以外はヴァージョン違いかアルバム未収録曲(日本盤ボーナストラックになっているものが2
曲あり)である。
まさに『隠された秘宝』で、個々の楽曲はそれぞれ興味深く聴ける。なかでもお気に入りは、8
曲目の「ANGRY AGAIN」と、9曲目の「99 WAYS TO DIE」である。
「ANGRY~」はシュワルツネッガー主演映画『LAST ACTION HERO』のサン
トラに、「99~」は『THE BEAVIS AND BUTT-HEAD EXPERIENCE』
に収録されていたものである。共にリフの格好よさは悶絶もので、アルバムに収録されていない
ことが信じられない。要するにMEGADETHというバンドは企画物に楽曲を提供するさいに
手を抜いていないということなのだ。
それにしても、帯、「メガデス驚異の"穏された秘宝"・・・」(後半省略。原文ママ)
"隠された"だろう!細かいことだが、こういう間違いは白けるので担当者の方はくれぐれも注
意してほしいもんである。


IRON MAIDEN - Fear of the Dark ★★ (2002-07-06 23:11:00)

'92年発表。スタジオ作としては9作目。
実は私も本作に関しては長い間(購入から現在までだから10年間)、"捨て曲多し"との印象
を強く持っていた。特に③~⑨は曲調が似ているように思え、どうも好きになれなかった。
しかし、こんなことはあまりないのだが、ここにきて急に③~⑨の楽曲の良さが見えてきた。
これまでも聴き込む努力はしてきたのに、良さがわからなかった曲が急に輝きだしたのである。
というわけで、①と⑫は疑いなく名曲、②はキャッチー、⑩は疾走感あり、⑪は軽快な佳曲であ
るとともに、③~⑨に関してもドラマティックな名曲・佳曲が並んでいる。
10年目にして名盤と知るというのも、なんだかなあと我ながら思うがまあ良しとして・・・。
ただし、やっぱりギターのサウンドにエッジが足りないように思う。スティーヴってギターの音
をマイルドに丸めてしまうのが好みなんだろうか?


BADLANDS - Voodoo Highway ★★ (2002-07-06 00:45:00)

'91年発表。2nd。
1stよりも各楽曲のもつキャッチーさが後退したため、一聴するとものすごく無愛想な作品に思える。
しかし、"野蛮さ"は相当レベルアップしており、単に泥臭いだけでなくやたらと威勢の良いブルーズ・ハード・ロックが聴ける。
当時ジェイクが「いやあ、この間イングヴェィに会ったら、"SHINE ONのソロ、どうやって弾いてるんだ?"とたまげてたよ」と言っていたのが可笑しかった。
確かにこの「SHINE ON」は凄い。火花が散るようなプレイが聴ける。
他の曲も、どこがどう良いのか説明に窮するのだが、なんか格好良いのである。
というわけで、1stと毛色の異なるこの作品も結構愛聴した。お気に入りである。


DEF LEPPARD - High 'n' Dry ★★ (2002-07-04 23:48:00)

'81年発表。2nd。
1stですでにアメリカ寄りの音作りをし、自国の辛辣なマスコミから叩かれたにも関わらず、
2ndでも同じ方向性を貫いた。全くえらい。しかもメロディと音作り(プロデュースはロバ
ート=ジョン"マット"ラング)に磨きをかけ、はい、名盤の出来上がり。
①は疾走する佳曲。3曲目のタイトル曲はミドルテンポでキャッチーな名曲。忘れてはならな
いのは、4曲目の名バラード。アルバムトータルでも(若干青臭いところがありつつも)完成
度は高く、彼らが自分達の音楽に対して自覚的になった、初期の名盤として評価できよう。


DEF LEPPARD - Slang ★★ (2002-07-04 23:31:00)

'96年発表。スタジオ作としては6作目。
この作品の最大の特徴は、アコースティックなアレンジを施された曲
が多いことが挙げられる。そしてアルバムジャケットや2曲目に代表
されるように、オリエンタルなムードが漂っている。
そこまでは良い。そこまでは良いのだが、二つの理由で本作は傑作ア
ルバムになり損ねているのである。
まず、一つ目。ヴィヴィアン=キャンベルに気を使いすぎ。
よりによって毒にも薬にもならないポップソング「WORK IT
OUT」(いや、決して悪い曲ではないのだ。ただ、本作に収められ
て全体の雰囲気を乱していることが気に入らないのだ)を収録しただ
けでなく、1stシングルにカットするとは。
二つ目。メロコアやファンパンク勢に影響されたのか、シンプルでポ
ップでやけに明るい楽曲が収録されていること。
「SLANG」はいらなかった。これも悪い曲ではないのだが、本作
の中では思い切り浮いている。
この2曲は収録せず、インド風でも東洋音階でもなんでもいいから、
LEPPSにとっての「KASHMIR」になるような、本作を代表
する大作を収録すればよかった。そうすれば本作は間違いなく傑作ア
ルバムとなっていたであろうに・・・。
ちなみに①は「SLANG」のシングルにオリジナル・ヴァージョン
を収録。アルバム収録ヴァージョンも、テクノっぽい味付けをし、ダ
ークな雰囲気でなかなか格好良いが、オリジナルのほうはトリッキー
なギターソロが聴け、純正のHR曲になっている。おすすめ。
まあ、うだうだ書いたが決して悪い作品ではない。私もきくさんの意
見に賛意を表したい。


HALFORD - Crucible ★★ (2002-06-30 16:20:00)

いやあ。やっと聴きました。HALFORD。
これに先がけて聴いたのが、宇多田とOASISの新譜。
どちらも出来が良かったです。
そして本作。なんだかみんなの感想の中にモダンヘヴィネス臭さを嗅ぎ取ってしまい、
ちょっと個人的には好みから外れてしまうかなと思ったのですが、はっきり言いましょう。
名盤です。この作品は。
2曲目の歌メロが、テンポダウンした「PAINKILLER」に聴こえてしまうのが
多少気にはなるが、他の曲は総じて出来が良いです。前半に速い曲を持ってきたのはGOOD。
前作はなんか得意科目に余裕で望んだかのような仕上がりで、楽曲は良く出来ているのになんか
好きになれなかったのですが、本作はロブのこれまでの音楽遍歴が絶妙にブレンドされており、
「今までのことは無駄ではなかったんだな」と思える良い作品です。


AEROSMITH - Done With Mirrors ★★ (2002-06-25 23:18:00)

'85年発表。8枚目のスタジオ作にして、ジョー、ブラッド復帰作。そう、復活作と言う鳴り
物入りの発表だった。「低迷期3部作」第3弾。・・・まあ要するに復活に失敗してしまったわ
けなのだった。
1曲目はジョーのソロ作のタイトルにもなった、「LET THE MUSIC DO THE
TALKING」。出だしとしてはかなり格好良い。ただし、この勢いが続かない。
本人達も後に自覚するのだが、本作発表時点で、本気になってまた頂点を目指そうと思っていたメンバーは皆無であったようだ。ドラッグも止められず、楽曲も昔自分達が作っていたものを無
理に真似たような、なにかちぐはぐな出来。それが本作の印象である。
LAメタル全盛期に、'70年代テイストを纏って「復活」を声高に叫んでも古臭さが匂いたつ
だけであったが、それでも何故か「駄作」と言い切れない。それが私にとっての本作である。
「出来の悪い子ほど可愛い」というか、なにか不真面目な部分はあれど必死なところが見え隠れ
しているのが好きなのかもしれない。「味わい深し」と言っておこう。


AEROSMITH - Rock in a Hard Place ★★ (2002-06-25 23:00:00)

'82年発表。7枚目のスタジオ作。
「低迷期3部作」(勝手にそう呼んでいるが、『NIGHT IN THE RUTS』
~『DONE WITH MIRRORS』までの3枚)の中では第2弾である。
多分本作は一般的には評価が低いのかもしれないが、実のところは勝負作だったのだ。
1曲目からやたらとテンションの高いスティーブンのVoが、本作にかける意気込みを
十分すぎるほど感じさせる。なにせジョーが辞めてブラッドも去ったため、エアロは両
翼をもぎとられたようなもの。ここが踏ん張りどころだった。
というわけで、本作は個人的には気合の入った充実作という位置付けである。
楽曲も粒揃い。ただ、やはりジョーとブラッドが不在であったのが、エアロであってエ
アロではない不思議な雰囲気を醸し出していることは否めない。


STYX - Brave New World ★★ (2002-06-22 17:06:00)

'99年発表。'97年発表の復活作『RETURN TO PARADISE』(ライヴ盤)に続き発表された。多分デニスを含む編成では最後になるであろう作品(また仲直りしてデニスが復帰することもあるかもしれないが)。
スタジオ盤としては現時点で最新作。
個人的には、冒頭でいきなりAORな「I WILL BE YOUR WITNESS」に面食らった。
STYXの作品は1曲目に勢いのあるナンバーや、アルバム全体の雰囲気を象徴する少し派手目のナンバーを持ってくることが多かったのだが、少しおとなし過ぎる始まりである。
以下の楽曲も、かなり良い曲が並んでいるのだが、どうもしっくりこない。
クレジットを見て納得。トミーとデニスの共作が無いのだ。トミーとJYは共作しているが、デニスは常に単独クレジットである。
まあ、黄金期の作品においても3人(デニス・トミー・JY)がそれぞれ単独で曲を書くことが多かったのだが、今回は1曲ぐらい3人でつくってバンドの一体感を感じさせて欲しかった。
ちなみにアルバム収録曲14曲中、デニス5曲、トミー4曲、トミー/JY3曲、トミーとジャック=ブレイズの共作が2曲と、アルバム製作はトミーが主導権を握っていたことが伺える。
もともとSTYXはデニスが自分の意見を通してしまうことが多かったので、バンド内のパワーバランスが変化したと言ってよいだろう。と思っていたら、案の定デニスが脱退してしまう。
作品の内容は決して悪くない。質は高い。買って損はないアルバムである。
それでも、昔からのファンにしてみれば往年のSTYXが持っていた魅力の数々を、バラバラに解体して目の前に出されたような印象を受けた。
トミー主導の次作にちょこっと期待している今日この頃である(やっぱりデニスの不在は寂しいが)。


AEROSMITH - Night in the Ruts ★★ (2002-06-16 11:54:00)

'79年発表。ライヴ盤を挟み、スタジオ作としては6作目。
いわゆる"低迷期"に発表された作品ゆえに、その評価は一般的には低い。
もちろん前スタジオ作までに見られた、ある種ギンギンなエキサイトメントは存在せず、地味な仕上がりではある。
メンバー間の不和、パンクロックの台頭という内憂外患ともいえる製作環境であったにも関わらず、しかし本作は駄作ではない。
本当に困ったとき、人はどうするか?しかもその人物が表現者だった場合。
その人物は自らの創造力の核となる部分を、しっかりと見つめなおすだろう。
彼らが行なったのは、その作業だった。
絶頂期を通り越し、バンドのキャリア半ばにして自らの本質を問い直した、過渡期の作品として本作は位置付けられる。カヴァー曲が多いのもそのためだと考えれば肯けよう。
もう一度言うが、本作は駄作ではない。裸のエアロ、自分達のルーツに立ち返ったエアロがここにいる。冒頭の2曲は佳曲。後半にも良い曲は多い。⑤がお気に入り。


BLUE OYSTER CULT ★★ (2002-06-03 23:25:00)

>ぎゃははははははははははは。ひ~っ。C3さん。勘弁です。
ネット見ててこんなに笑ったのは初めてです。そりゃあ、背筋も凍りますわな(笑)。100枚勝手に発注されてはねえ。消費税抜きで25万円だもんなあ。
99枚を私に送りつけるのは勘弁して下さい(笑)。仕事やめて行商に出るようですから(笑)。
しかし駄目ですね、日本クラ○ンも。RAGEの新譜もここから出てますから、3年後くらいにふと欲しくなった時に「100枚からつくります」と言われかねませんなあ。
そうそう、少しバンドについて語らねば。
BOCの売りは、端的に言うと以下のとおりです。
①技巧派
②ポップセンス有り
③メロディアスな楽曲多数。
④と思えばゴリゴリした質感の疾走系の曲も多数あり。
⑤歌詞にオカルト、ゴシックホラー、SFからの影響が大。
代表曲はみなさんご存知の、「(DON'T FEAR)THE REAPER」、「BURNIN'FOR YOU」、「ASTRONOMY」。
以上がメロディアス、もしくはポップ抒情系の曲。突進系では、
「DOMINANCE AND SUBMISSION」、「THE RED AND BLACK」、「CITIES ON FLAME」、「HOT RAILS TO HELL」、「ME262」、「7SCREAMING DIZ-BUSTERS」。
重金属系では「E.T.I.(EXTRA TERRESTRIAL INTELLIGENCE)」、そしてRACER Xもカヴァーした「GODZILLA」。
こう見ていくと、初期の曲に突進系が多く、中期以降に抒情系が増えていくのがわかります。HMVやヴァージン・メガストアなどではBOCのコーナーがあったと思うので、今でも多少なりとも作品が置いてあると思うのですが・・・。
見つけたら即ゲットのお勧め作品は以下のとおり。
『SECRET TREATIES』'74 前期の傑作。「ASTRONOMY」収録。
『AGENTS OF FORTUNE』'76 中期の傑作。「(DON'T FEAR)THE REAPER」収録。
『FIRE OF UNKNOWN ORIGIN』'81 後期の傑作。「BURNIN' FOR YOU」収録。
でも、彼等の楽曲に触れるにはとりあえずベスト盤が手っ取り早いかも・・・。オリジナルアルバムが店にないとしたら本当に残念です。


SOUNDGARDEN - Down on the Upside ★★ (2002-06-01 01:48:00)

'96年発表。メジャーデヴュー後4作目(通算5作目)。
現時点での最終作(ベスト盤除く)。
個人的には1曲目「PRETTY NOOSE」に尽きる。この曲は彼等の残した楽曲群の中でもベストだと思う。
他の収録曲も、重い質感を持ちグネグネとうねる曲が多く、ツボにはまると快感になる。
前作『SUPERUNKNOWN』のコインの裏側にあたる作品。


SOUNDGARDEN - Badmotorfinger ★★ (2002-06-01 01:39:00)

'91年発表。メジャーデヴュー後2作目(通算3作目)。
彼らはこの作品でブレイクした。なんと言っても1曲目の「RUSTY CAGE」が出色の出来。上り調子のバンドの勢いを丸ごとパックした、好作品。


SOUNDGARDEN - Superunknown ★★ (2002-06-01 01:34:00)

'94年発表。メジャーデヴュー後3作目。ただし、『ULTRA MEGA OK』から数えて4作目とされることのほうが一般的。
本作は彼らにとっての「勝負作」と考えて良いだろう。前作でブレイクした結果、本作に関してはレコード会社もバンドも「これでもくらえ!」と言わんばかりの気迫に満ちている。
実際、楽曲も充実している。全16曲(ボーナストラック含む)とかなり長尺な作品なのだが、収録曲数に比例し、聴き所は多い。
個人的には①、②、⑤、⑦がベスト。特にタイトルトラックの⑤は、独特のうねりや、キャッチーかつサイケである妖しげなリフが最高に気持ち良い。


FOO FIGHTERS - There Is Nothing Left to Lose ★★ (2002-06-01 01:01:00)

'99年発表。3rd。
1st、2ndがどことなく閉塞感を感じさせたのに対し、本作は開放感やリラックスしたムードがそこはかとなく漂っている。
しかし、製作時のデイヴはそれどころではなかったはずだ。本作レコーディング直前にまたもやメンバーチェンジ。
どうもこのバンドの場合メンバーが流動的で、バンドの活動がその都度妨げられているのがなんとも歯痒い。
それでも『失うものは何も無い』などと題名にしてこのような良質な作品を届けてくれるのだから、このバンド(とデイヴ)は信用に値するのだ。
今後もぜひ頑張って欲しい。


FOO FIGHTERS - The Colour and the Shape ★★ (2002-06-01 00:50:00)

'97年発表。2nd。
本作は、前作の作風を引き継ぎながらも、新しい境地の開拓も行なっている。とはいえ、もともとデイヴが持っていた音楽的ヴォキャブラリーの範疇にあるものが、自然と滲み出てきたような印象である。
明るさや威勢の良さは前作の方が上だが、哀愁というかなにか心の琴線に触れる甘酸っぱい(うーん、表現が難しい!)メロディは本作の方が多い。⑩、⑬が特にお気に入り。


FOO FIGHTERS - Foo Fighters ★★ (2002-06-01 00:43:00)

'95年発表。1st。
本作と次作の『THE COLOUR AND THE SHAPE』は同一の作風で、双子の兄弟みたいなもの。ただし、片方は見た目陽気で、もう一方は思慮深い顔をしている。陽気な方が本作。
カート=コバーンの没後、残されたメンバーの活動について多大な関心が寄せられた。Bのクリス=ノヴォセリックは自身のバンドを結成しつつも、活動の主体はNIRVANAのライヴ盤の編集作業に重きを置いた。一方Drのデイヴ=グロールもバンドを結成、それがFOO FIGHTERSである。
本作は、方法論的には強弱法を採用した楽曲の構築など、NIRVANAと質感を一致させる面が多い。また、歌詞世界も物事や感情の暗い側面を映し出すものがあり、これもカートの世界観とある部分一致する。
しかし、決定的に異なるのはポジティヴな印象を受けるメロディが、これでもかと詰め込まれているところである。この点、グランジバンドだったNIRVANAとは大いに異なる。本作は一聴したところ、NIRVANAの2ndをより元気に明るくしたような印象を受ける。
同時期に流行っていた、ファン・パンクやメロコアバンドの諸作品を彷彿とさせる作風だとも言えるが、基本的にはこれもHRと言って良いのではないかと思う。
良い曲が多く、①、②、④、⑤、⑦、⑪、⑬などが気に入っている。


SAXON - Denim and Leather ★★ (2002-05-31 01:39:00)

HIGASHIさん、質問。
かなり前になりますが、本作と『STRONG ARM OF THE LAW』との2枚セットで、『THE BACK TO BLACK COLLECTION』と銘打ったCDを見つけ、購入しました。
AXE KILLERというフランスのレーベルから出されているのですが、聴いてみるとやたらと音が良い。これってデジタルリマスタリングしてるんですかね。


DEEP PURPLE - In Concert with the London Symphony Orchestra Conducted by Paul Mann ★★ (2002-05-31 01:25:00)

'99年発表。作品的には'70年発表の『CONCERTO FOR GROUP AND ORCHESTRA』の焼き直しと言えなくもないのだが、『CONCERTO~』の楽曲だけでなく、ジョンのソロ作やロジャーのプロジェクト、GILLAN=GROVERの作品などからの楽曲もLIVEで聴けるので、かなりお得感はある。
ラストの「SMOKE ON THE WATER」にはロニー=ジェイムス=ディオがゲスト参加。やっぱ上手いってこの人。


KIX - Show Business ★★ (2002-05-31 01:13:00)

'95年発表。スタジオ作では6作目。
前スタジオ作の『HOT WIRE』があまりにもハードで格好良かったため、購入当初はちょっとポップ過ぎ、おとなし過ぎという印象だった。
しかし、数年ぶりに聴きなおしてみるとなかなかどうして、元気なKIX印の刻印が押された良質のアルバムだということがわかった。
再結成してくれないかな。目茶苦茶良いバンドだったよ。KIXは。


ANDREW W.K. - I Get Wet ★★ (2002-05-31 01:06:00)

方法論的には、THE WILDHEARTSやデヴィン=タウンゼントがすでにやっていることに類似している。キャッチーな楽曲を、おそろしくノイジーに演奏する。しかも物凄い音数をクリアーに聴かせる。
楽曲の邦題は馬鹿みたいな題名ばかりだが(揶揄しているのではない。傑作な邦題だと思う)、この人のポップセンスは並外れている。
ある種偏執的な音作りといい一種の天才だと思う。


TANK - Honour & Blood ★★ (2002-05-31 00:56:00)

あちゃー。モルドフさんに先を越されてしまいました。
TANK、俺が追加しようと思っていたのに・・・。
モルドフさんも言っていますが、本当、格好良いHMです。MOTORHEADの弟分ですが、もうちょっとHM寄りですかね。CD化されていますので、突進型HMが好きな方はぜひ聴いてみてください。発売元ロードランナー㈱、販売元ビクターエンタテイメント㈱、品番はRRCY-2033です。'97年にCD再発されていますので、店によっては置いてあると思うのですが・・・。


RAGE - Unity ★★ (2002-05-31 00:39:00)

RAGEはこの作品で初めて聴くのだが、もろにツボにはまった。
楽曲にはばっちりフックがあるし、ギターソロも往年のHMらしいテクニカルかつメロディアスなソロが堪能できる。
痒いところに手が届く、最高品質な作品。


RUSH - Vapor Trails ★★ (2002-05-31 00:33:00)

正直なところ、殺られました。この作品には。
『TEST FOR ECHO』で一つ頂点を極めたと思っていたので、次はどのような方向性を提示してくるのかと思っていたら、まさか原点回帰とは・・・。
もう、なにも言うことはありません。ニールのドラミングは凄まじい躍動感を感じさせるし、ゲディのベースはとにかくうねるし、とにかくメロディアス。そしてアレックスのギターはとにかく"ハードロックな"ギター。格好良くかき鳴らしてくれています。
ニールの歌詞も、ものすごくポジティヴだし、良かった良かった。
幸せです。


MANOWAR - Warriors of the World ★★ (2002-05-31 00:25:00)

一言で言うと、血沸き肉踊る素晴らしい作品。
エッヂの立ったリフ、メロディアスなギターソロ、荘厳な曲調、威厳さえ感じさせるエリックの歌。HMを聴いていて心底良かったと思える。
とにかく、エリックが上手い。聴かせる。大満足な一枚。期待を裏切らないバンドMANOWARの面目躍如たるものがあります。


RUSH - Test for Echo ★★ (2002-05-14 22:16:00)

スタジオ作では通算16作目。'96年発表。
前作で少しグランジーな音にちょろっと色目を使った(ただし、彼等の場合売るために流行の音を取り入れるのではなく、「へー、またこういうハードなプレイが流行っているのか。なんか昔を思い出して血が騒いでくるな!」というノリだと思う)彼等だが、本作ではその"グランジーなノリ"も咀嚼しており、また一歩進化した感がある。
RUSHというバンドは、だいたい4作品の中である一つの方向性を追求するのだが、同一の方向性の中でも少しずつ方法論を変えてくる。それでいながら、前作までに試した方法論が必ず楽曲群のどこかに息づいているのが特徴。故に、聴き手は「裏切られた」と思うことなく、RUSHの"実験の成果"を楽しむことができるのである。
本作は『PRESTO』から始まった第4ターンの最終作にあたり、『PRESTO』で提示された、"コンパクトな楽曲でHR特有のダイナミズムを、ハードかつオーガニックに表現する"という方向性の完成形を見ることができる。
発売間近となった最新作はまた方向性が変わっていると思うが、彼らはどこに向かおうとしているのか。楽しみである。


ALICE IN CHAINS - Alice in Chains ★★ (2002-05-09 22:48:00)

あ~あ。レインが逝っちまったよー。だからアーティストはドラッグやっちゃいけないんだよ。やったって良いことねえんだから。「曲想が湧いてくる」?馬鹿言っちゃいけない。「LSDでラリるのは禅の悟りの境地と同じだ。脳内における麻薬物質の作用をみると・・・」?ふざけんなって。
らもさんがどっかで書いていたけど、「ドラッグの使用に伴う弊害は本人の責任に帰する。それ以上の罪を問わない」とかなんとかカーター元大統領が言ったそうだ。確か"ドラッグやって身体壊すのはやった本人の勝手"という意味で言ったとか。
だが俺はその意見には反対。人間はそんな強い存在じゃないんだよ。死ぬまでやるか、やっている最中に人を殺すかするんだから。本人がやめねえんだったら、周囲の奴がやめさせるしかないんだ。
この3rd。凄く出来がいいよ。1曲目からグイグイ彼等の世界に引き込まれていくけど、特に出来が良いのは3曲目の「SLUDGEFACTORY」とそれに続く「HEAVEN BESIDE YOU」、そして12曲目の「OVER NOW」だ。個人的には彼等の最高傑作かつ集大成は本作だと思う。だからぜひともこの次の展開を見たかった。新曲を聴きたかった。ヘヴィなのに、それでいて哀愁漂うアコースティカルなバンドでもあった。こんな存在は他にはなかったのに。
あー、頭にくる。


DEEP PURPLE - Made in Japan ★★ (2002-05-04 15:00:00)

'72年発表のライヴアルバム。日本盤タイトルは『LIVE IN JAPAN』。
作品の内容については、もう上の方でいろんな方々がたくさん書いておられるので、私は'92年リリースの3枚組と、'98年リリースのリマスター盤についてちょっとご紹介を。
3枚組は、8月15日と16日の大阪公演と8月17日の東京公園を収録。アンコールは15日では「BLACK NIGHT」、17日で「SPEED KING」を収録。
リマスター盤は2枚組で、アンコールは「BLACK NIGHT」、「SPEED KING」、「LUCILLE」を収録。「BLACK~」と「SPEED~」は8月17日の東京公演のものを、「LUCILLE」はその前日の大阪公演のものを収録しています。
改めて購入するならリマスター盤がいいでしょう。
それにしても、感嘆すべきは'72年当時に録音機材をかき集めた(当初は機材を持ってくるつもりでいたのだが、不可能になり急遽日本の機材を使うことになった)関係者と、「こんな機材じゃ録音しても無駄だよ」(日本製の機材はあまり知られていなかったため、録音スタッフは性能が低いと思い込んでいた)といいつつも、きちんと良い仕事をした録音スタッフです。蓋を開けてみたら素晴らしい音で演奏が記録されていたのだから、何が幸いするかわかりません。
教訓。仕事は真面目に。あ、違うか。


METALLICA - Metallica ★★ (2002-05-03 01:54:00)

実はちょっと評価に苦しむ作品。いや、名盤であることは疑いない。それに私はこの作品が好きだ。「ENTER SANDMAN」をたまにカラオケで歌うことすらある。
だがしかし、この作品がリリースされたことによってHM界に与えた影響力を考えると、素直に「大好きです!死んだら棺桶に入れてください!」と言えないのである。
いや、わかっている。彼らは悪くない。ヘヴィかつグルーヴィな音にシフトしたのは、売れ線を狙ってやったことではないし、ジェイムズの歌が上手くなったことは歓迎すべきことなのだ。
それでも私は言いたい。本作のリリース後、疾走する昔ながらのHM・HRがほとんど壊滅状態に陥ってしまったのだ。猫も杓子もヘヴィ、ダーク、グルーヴィ。全くUSの音楽業界が腐り果てているのを目の当たりにする思いだった。そりゃALICE IN CHAINSとかお気に入りのバンドが浮上できたのは嬉しかったけど、みんながみんな同じような音楽やらなくてもいいじゃん。というわけで、逆恨みに近い複雑な思いを抱かせた本作は、傑作なんだけどちょっと憎い一枚。


METALLICA - …and Justice for All ★★ (2002-05-03 01:35:00)

初めてアルバム単位で彼らに接した、思い出深い作品。
1曲目が始まった途端、「うわ、凄え!」と思った。ヘッドフォンで聴いていたのだが、ジェイムズのリズムギターが目茶苦茶低い音域までカヴァーしていて、ウォンウォンいって聴こえてきたからだ。もうこの瞬間に彼等の音楽が異端であることがわかった。
しかし、どうしたことか彼らはその過激な音楽性と反比例するかのように、どんどん巨大な存在になっていった。「ONE」のヴィデオ・クリップがきっかけだったとか、3rdで注目されていた社会的事象を鋭く切り取った歌詞世界が、いよいよ注目されるようになったのだとかいわれていたが、そんなことはどうでも良かった。アンダーグラウンドの代表のようなバンドが、突然メインストリームになっているのだ。ただただそれが痛快だった。
当時ジェイソン加入後初の作品ということで、熱狂的なクリフファンが「つまらねえベースライン弾いてんじゃねえ。ジェイソンやめろ」とB!誌で吼えたけっていたが、「ベースの音、聴こえるか?」と、もの凄く不思議に思った。というわけで、本作はベースがほとんど聴こえません。それでも、名作。


WOLFSBANE - Down Fall the Good Guys - Broken Doll ★★ (2002-05-03 01:09:15)

「あんた、自分のやっている仕事が好きかい?それとも、動物園の中にいるような気がしているのかな?どの檻にも壊れた人形が入っているようなさ。みんな様々に壊れ砕かれているけど、見た目は皆同じようだ。
・・・幸運の女神はいつか俺達の上にも輝いてくれるさ・・・」
たまに引っ張り出して聴く『DOWN FALL・・・』アルバムの中で、中盤に登場するこの曲はなんだか少しほろ苦く、それでいて元気づけられる名曲。
隣の兄ちゃん達がバンドを組んだかのような親近感が、彼らにはあった。それは歌詞にもにじみ出ている。再結成してくれないかな・・・。


IRON MAIDEN - Rock in Rio ★★ (2002-04-21 03:14:00)

'02年発表。メイデン久々のライヴアルバム。『BRAVE NEW WORLD』までのキャリアを総括。従って、当然のことながらスタジオ最新作からの曲が多い。だが、これが良いのだ。
まず、「THE WICKER MAN」。ライヴ・ヴァージョンで聴くこの曲は、かなり格好良い。「INTRO」が終わり、この曲が始まる瞬間はゾクゾクするような興奮を覚える。かの名作『LIVE AFTER DEATH』で、チャーチルの演説から「ACES HIGH」へと移る瞬間を思い出させる。
2曲目の「GHOST OF THE NAVIGATOR」も、「RIME OF THE ANCIENT MARINER」を想起させる。全般的に『BRAVE NEW WORLD』収録曲はライヴでは魅力が格段に増している。
だが、本作での一番の聴き所は、やはりCD1の8曲目「SIGN OF THE CROSS」と、CD2の2曲目「THE CLANSMAN」である。やはり、ブルース=ディッキンソンというヴォーカリストは、唯一無二の存在であることが思い知らされる。とにかく上手い。
メイデンにはライヴ・アルバムが多い。どの作品もバンドの歴史を総括する役割を担っており、いずれ劣らぬ名盤揃いだが、本作も間違いなく名盤である。全く、IRON MAIDENというバンドは、どれほどの高みに到達しようと満足することを知らない。次のスタジオアルバムも、凄いぞ。きっと。


MEGADETH - Killing Is My Business... and Business Is Good! ★★ (2002-04-20 14:03:00)

'85年発表。1stアルバム。全てはここから始まった。
複雑かつ、鋭利な刃物でザクザクと切り裂くようなリフ。目まぐるしく変わる曲の展開。それでいて曲の主題は明快で、しっかりとしたフックを持っている。ムステインが創出した"インテレクチュアル スラッシュ"は、すでに本作で恐ろしいほどの完成度を誇りつつ提示されている。
しかし、発表当時はサウンドプロダクションが最低であったため、この名作は本来得るべき評価を与えられなかった。そりゃあ、そうだ。これだけ高い音楽性のものが最低の音質で聴こえてくれば、そのギャップだけで「なんだよ、これ」と思われて当然だろう。発表当時、B!誌のレヴューで「音が悪すぎる」と酷評されていたのも当たり前のことである。
しかし、本作は甦った。デジタル・リマスターという言葉を、これほどまでに有難く感じたことは無い。最高である。MEGADETHに駄作は一つもないが、そのカタログ中においてさえ本作が最高レベルの出来であったことが、はっきりとわかる。
ぜひ、ジャケットも一新されたデジタル・リマスターヴァージョンを聴いて欲しい。ダイヤモンドがやっと本来の輝きを取り戻したのだ。


HUGHES / THRALL - Hughes/Thrall ★★ (2002-04-06 23:29:00)

'82年発表。HUGHES/THRALL唯一の作品。
以前から名盤との評価を聞き気になっていたのだが、ついに先日購入し聴いてみた。
いや、間違いなく名盤である。楽曲はまさしくアメリカンHR以外のなにものでもないので、グレン=ヒューズがそれまでに作ってきた、ファンキーな要素を少し含むロックを想像すると肩透かしを喰らう。しかし、ギターの音作りにクセがあるパット=スロールとのコンビネーションは、本作をただのアメリカンHR作品以上のものにしている。ちなみにパットのギターはどことなくブライアン=メイを思い起こさせる。
どの曲も本当にクオリティが高いが、特に①やヘヴィなリフが格好良い⑤が気に入っている。


CHEAP TRICK - Busted ★★ (2002-04-06 23:15:00)

'90年発表。13枚目。あの全米で大ヒットした復活作『LAP OF LUXURY』の次作である。
最初に断っておくが、私はあの『CHEAP TRICK AT BUDOKAN』がピンとこなかった人間である。しかも中古盤屋に売ってしまった。だから、正直なところこのバンドの持ち味というものを、ひどく偏った見方で捉えていると思う。
ゆえに、本作も外部ライター大賑わいで、CHEAP TRICKのファンからは評価が低いのかもしれないが、私から言わせてもらえば大傑作である。全曲捨曲無し。どの曲も耳を捉えて離さない良いフックを持っている。しかも抜きん出て出来のいい曲を2曲も含む。ハードポップ路線での代表格が6曲目の「BUSTED」、バラードの代表格が9曲目の「WHEN YOU NEED SOMEONE」である。特に後者に関しては、これまでに聴いたバラードの中でもトップの5曲に入る傑作だと、信じて疑わない。
本作を聴いてしまうと、全米大ヒットの前作が単なるプロローグにすぎなかったと思えてくる。傑作。


HAMMERFALL - Legacy of Kings ★★ (2002-04-06 22:56:00)

実のところ、私はメロディック・スピード・メタルとか、ジャーマンメタルと呼ばれる、あるいはそれらに類するバンドの音楽が苦手である。いや、馬鹿にしたり貶めたりするつもりは毛頭無いのだ。私が苦手なものが大好きという人が大勢いることも知っている。ここ日本においてはジャーマンメタル勢の人気はかなり高いし、本サイトにおいてもSONATA ARCTICAの熱烈なファンの方々が大勢いらっしゃる。
というわけで、これはあくまでも個人的嗜好の範疇の話なのだが、なにが苦手かってドラムがドコドコドコドコドコ・・・と始まってしまうともういけない。そして、こちらの再生機器の性能が低いことも要因になっているのかもしれないが、ギターの音とキーボードの音がダマになってドーンと耳に飛び込んでくるのも苦手。そんなわけで、正直なところメロディック、スピード、ジャーマン、と名のつくものはほとんど聴かないのだ。
しかしである。このHAMMERFALLの2nd。これは珍しく、非常に楽しんで聴けた。苦手なバスドラ連打もなく、音も分離して聴こえる。ちょっと古臭いくらいのHMを一生懸命やっているというのが好ましい。どことなくMANOWARを想起させる男臭さもある。私は決して彼等の熱心なファンではないし、作品もこれしか聴いたことがないが、本作は結構いい線いっていると思う。力作。


RAINBOW - Rising ★★ (2002-03-24 00:36:00)

RAINBOWの全作品のなかでも、特に大好きなものを挙げよと言われると、いくら絞っても二つまで。一枚に絞れない。そして二枚のうちの一方が本作。『RISING』である。
個々の楽曲に関しては、実は「STARGAZER」と「A LIGHT IN THE BLACK」以外はあまりピンとこない。しかし、アルバム全編を聴き通すと、とんでもない完成度を誇っていることに愕然とする。私にとって本作はそういう作品であった。トータルイメージとしては、「STARGAZER」の詩世界が全てである。魔法使いと、天の高みへと届かんとする塔。詩の中で主人公達は鞭打たれ、苦役に喘ぎながら肉を削ぎ、骨を砕き、塔を建てていく。
最後に魔法使いが塔から墜落するシーンが、強烈にイメージされる。
特別キャッチーな曲や、ポップな曲があるわけでもないのに、本作が名盤であるとの評価を受けているのは、それはジャケット・アートから歌詞から音楽からなる全てが、リッチー=ブラックモアという天才の美学を体現したHR以外のなにものでもないからであろう。芸術的なと形容しても遜色ないような、孤高のHR。これも言うまでもなく傑作。


RAINBOW - Bent Out of Shape ★★ (2002-03-24 00:12:00)

RAINBOWとDEEP PURPLEのどちらが好きか?と問われたら、私は迷わずDPを選ぶ。だがそれは、RAINBOWがつまらないバンドだったということを言っているのではない。当然、偉大なバンドだと思うし、彼等の全カタログを見渡しても名盤ばかりで駄作は一作もない。
ベストはどれかという設問だと答えるのが難儀だが、好きな作品は?と訊かれると即座に挙げられる。ただし二作品だが。どちらか一つと言われると、これもまた難しい。
この『BENT OUT OF SHAPE』は好きな二作品のうちの一つだ。ジョー=リン=ターナーがVoをとっていたころの最終作だが、キャッチーさやポップさを散りばめた、ある意味万人受けするHRをかっちり作りつつも、リッチーのソロが楽曲を壊す一歩手前の鬼気迫るものになっているところが本作の特長だ。楽曲も粒ぞろいで、バラード系の2曲(②・⑦)は名曲。その他の楽曲も、ハードなものはハードにとツボをはずさず作られている。
個人的に最も好きなのは9曲目の「SNOWMAN」。虚空に消え行くようなローゼンタールのキーボードに、烈火のごとく燃え盛るブラックモアのギター。静と動の対比がみごとなこの曲が、本作のイメージを代表していると考える。いうまでもないが、傑作。


JOHN PAUL JONES - The Thunderthief ★★ (2002-03-20 23:50:00)

'01年発表。2作目のソロアルバム。
ミュージシャンという人種はプレイヤーとアーティストに分けられると思うのだが、この人はまぎれもなくアーティストである。ジョン=ポール=ジョーンズ。言わずと知れた、元LED ZEPPELINのベーシスト。
作品の感触はJEFF BECKの最近の2枚に良く似ている。感性が全く古ぼけておらず(ただ8曲目の琴の使い方はベタベタだが・・・ま、それも愛嬌)、自分の表現したいテーマが明確なためだろう。ベースがうねりまくる楽曲があるかと思えば、ピアノの弾き語りがある。そうかと思えばやたらと手数の多い(ベースね)アップテンポの曲もある。非常にバラエティに富みつつも、アルバムに統一感がある。
ものすごい長いキャリアの持ち主なのに、まだソロ2作目だということに驚いてしまうが、なにはともあれベースが気持ち良い。傑作。


BLACK LABEL SOCIETY - 1919☆eternal ★★ (2002-03-16 09:11:00)

'02年発表。BLS名義でのスタジオアルバムとしては3作目。
などと書いてはみたが、実はこれ1枚しか持っていない。しかし、非常に気に入ったので他の作品も欲しくなってきた。
ゴリゴリのメタル、怒涛のごとく突進するファストチューン、地を這うような重いリフ、そして哀しく美しいメロディ。本作ではこれらが全て表現されている。Voはザック本人。曲によってはオジーに似ていて可笑しいが、それはオジーのアルバム用に書かれたものなのだろう。他にはベースもプレイしており、マルチアーティストぶりを発揮している。
惜しむらくは、後半にあと1曲でいいから早い曲が欲しかった。とはいえ、十ニ分に"ヘヴィメタル"な本作は、確かに「アイアン」である。名作。