「夜の魔女」「アダムの最初の妻」として語られるリリスをテーマとしたコンセプト・アルバム。とはいえバソリー夫人やジル・ド・レイのように元ネタとなる歴史記録はないので、リリスの神話をもとにした暗黒物語となっています。 音楽の方向性はUsherさんも仰っている通り、前作『Godspeed…』路線の正統メタル&シンフォの融合です。それ自体に文句はないし、これまでと違う試みも見受けられたりするのに、どこか「物足りなさ」があるのがもったいない。 例えば、クレイドルのコンセプトものにつきもののイントロ、インタールード、アウトロなし。物語の主役(ここではリリス)の語り部分が少ない。最初のPVになった「Forgive Me Father(I Have Sinned)」のキーボードよりギター主体のメロディ。このあたりの変化球をもっと上手く活用してたら、それはそれで賛否両論あったかもしれないけど、面白味は増したんじゃなかろうかと思ってしまいます。 あと、単に私が聴き慣れただけかもしれませんが、「あ、ここらでブラスト入って疾走始まるな」とか曲の展開が読めてしまうので、ここらでまた変化に富んだ10分級の大曲を作ってみてはどうだろうとも思います。