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ORPHANED LAND - Mabool: The Story of the Three Sons of Seven ★★★ (2014-05-09 19:26:45)

旧約聖書の『創世記』、特に「ノアの方舟」をモチーフにした、実に壮大なオリエンタル・プログレッシヴメタル。
民族楽器、アコギ、女声、クワイアetcを用いた豊富なアレンジと泣き度満点のギターによる展開は実にドラマティックで、「映画を観るよう」という意見も納得である。

アルバム前半はへヴィなリフとオリエンタル/泣きのギターを主体としたプログレ。
この時点で既に高品質なのだが、更に凄いのが後半。ギターの情感、そしてドラマティックさが更に高まっている。
特に⑩からの、洪水が世界を破壊していくシーンから再生の象徴たる虹が掛かるシーンに至る所は、メタル史上屈指のドラマティックさだと思う。

気に入り度…96/100

おすすめ…The Storm Still Rages Inside


PAIN OF SALVATION - Remedy Lane ★★ (2014-05-12 20:32:55)

「主人公は幼少期の想い人と結ばれなかった。
時は経ち、新たな想い人と結ばれるも、その妻が中絶、自殺未遂をする。
癒しを得ようとブダペストに旅立ち、二人は愛し合うも、満たされぬ思いは残ったままである。」
こんなシチュエーションのもと繰り広げられる、過ぎた愛や欲望の結果生まれる悲劇の物語(と思われる)。

比較的オーソドクスなプログレメタル(2、4、7、11)、愛にまつわる絶望を感じさせるダークさ(3、6、8、13)、
癒しを求めるような叙情的なメロディ(5、9、12)がバランスよく配置されている。
雰囲気は全体的に暗めで、閉塞感が漂う。4.はリーダーのDanielの妻が流産したという実体験に基づいた曲だそうだが、そのせいかどこか生々しいダークさである。

超絶技巧やキャッチーなメロディ等、Dream Theaterのような分かり易さはやや希薄である。
しかしながら、高い演奏力に裏打ちされた緻密なバッキングが素晴らしく、聴く度に「こんなフレーズを弾いていたのか」みたいな発見がある。
最初に述べたコンセプト以外にも様々な感情や主張が込められており、正直現在でもその全てを正しく拾えたとは全く思わない。
そういった意味でも、聴く度に新たな発見がある良いアルバムだと思う。

気に入り度…89/100

おすすめ…Chain Sling


PAIN OF SALVATION - The Perfect Element, Part I ★★★ (2015-10-31 22:56:26)

音楽的には、難解さや奇抜さに頼らず、緻密なリフやリズム、コーラス等の構築、ここぞで繰り出されるダークな雰囲気を纏った泣きメロによる、
プログレというだけでなく、純粋にロック/メタルとしても非常に優れた作品であるというのが第一印象。
カオティック或いはインプロ然としたフレーズではなく、緻密なフレーズの巧みな切り替えによる場面転換の手法が個人的に好印象で、
曲最初の雰囲気からは想像もつかない場面転換を難なくやってのけている。

これらの要素が、暴力や虐待の連鎖の中にある者達の嘆き、諦観、怒り…という感情を雄弁に語りかける。
更には、親から虐待を受け育った男とその男から性的虐待を受ける女性という、単なる虐待・被虐待の関係を悲劇的に描くに留まらず、
節々に感じる、虐待を受けたが故の喪失感を埋める為に女へ過剰に依存するといった、二人の微妙な関係性が何とも考えさせるところである。

コンセプトアルバムとしては難解な部分も有る作品ではあるが、音楽的には難解さは余り無いので、意外と多くの人に受け入れられるのではないだろうか。
加えて、難解な部分も受け入れられる人には、二度美味しい、そんなアルバムである。

気に入り度…94/100

おすすめ…King Of Loss


PANOPTICON - Social Disservices ★★★ (2014-12-06 21:12:38)

カスカディアンと扱われるアーティストの中ではそれなりに有名と思われる、USAの独りブラックの3rd。

音圧よりも、時にサイケデリックさを伴う雰囲気づくりを重視した音像は確かにカスカディアンのそれと言えるかもしれない。
しかし一方で、精神を圧迫し、蝕み、見る影もなく潰すかのような陰鬱さ、或いは瘴気が不規則に凝縮したかのような轟音ギターや暴走するドラム等があり、
それらがカスカディアンらしからぬネガティヴィティを強く醸し出してもいる。
短からぬサンプルが曲の前後にあるとはいえ、4曲50分という長尺性もそれに拍車を掛ける。

また、そうして精神が破壊され、抜け殻となってゆく人物を象徴するかのように美しくも儚いストリングス、後半になると現れる浮遊感のある儚いギターも印象的である。
序盤で精神を崩壊させ、最後には諦観の色を強めていくという、アルバム全体でストーリーになっているかのような展開もドラマティック。
④の歌詞「Not even the dignity of suicide is given to me」や、
ディスクに印字された「生きる事は苦しむ事、生存とは苦痛の内に意味を見出す事」というNietzscheの言葉、
それらが諦観と鬱な結末を示しているようにも思える。

USAブラック好きは勿論、ディプレッシヴブラック好きも気に入るかもと思われる作品。
少なくとも私の感性には「病的でドラッギーな印象」がかなりマッチしましたね。

気に入り度…94/100

おすすめ…Resident


PANTERA - Vulgar Display of Power ★★★ (2017-06-19 22:22:20)

「へヴィメタル」(=重金属)を文字通り具現化したか様なアルバム。
鉛の様なぎらつきを放つ強烈にヘヴィなギターとリズム隊、時にクリーンも交えて叙情性を見せながらも怒りをぶつけまくるヴォーカルが一部の隙も無く攻め立てる。
演者もリスナーも猛烈なテンションの坩堝に落とす至高の作品。

気に入り度…10/10

おすすめ…Mouth For War


PARAMNESIA - Paramnesia ★★ (2015-07-03 22:37:25)

フランスのアトモスフェリックブラックの1st。
曲名は1stEPからの通し番号。

フランスのバンドだが、フレンチブラック的な病度やカルトさは控えめで、
自分が見たサイトではAsh BorerやFell Voicesに似ているとも評されていたが、確かにその通りだと思う。
①の5分過ぎの美麗な激流を思わせるメロディックトレモロなどを巧みに交えた本格派カスカディアンブラックで、靄に覆われたかのような音質までも本場に負けず劣らず。
20分強が2曲とこれまたカスカディアンらしいが、フレーズの良さと適度なリフレインの長さでしっかりまとまっており、曲展開の面でも適度な陶酔感を醸す点も好印象である。

一方で、②のアルペジオを交えた不穏なイントロから瘴気的なリフに雪崩込むパート等病んだフレーズも良く、
そういったフレーズとカスカディアンの融合の上手さはPanopticonを彷彿とさせる。
彼らと比べると、怒りを取り除き、寒々しさを増強させた感じである。

弱い所を強いてあげるとすれば、オーソドクスなカスカディアンに対する+αが少ないところだが、この手のブラックが好きであれば十分納得できるクオリティ。
カスカディアン・アトモスブラック好きは聴いておくとよいだろう。

気に入り度…89/100

おすすめ…Ⅳ


PORTAL - Vexovoid ★★★ (2017-06-24 12:20:53)

重低音重視でうねるギターとリズム隊が混然となって進むデスメタル。
そのうねりが異常で、異形の生物を想起させるというよりかは、音自体がグロテスクという悍ましさ。
一応ブラストによる疾走とスローの使い分け等、緩急はあるものの、えげつないまでの暗黒性に一部の隙も無く、
良い意味で「単調」であり、それ故に全編に亘って脳を腐食してくる様な感触である。
個人的には、メタル史上最も悍ましいアルバムの一つだと思う。

気に入り度…9.5/10

おすすめ…Kilter


QUO VADIS - Day Into Night ★★ (2014-12-08 18:41:02)

デスメタルの名産地、カナダはケベックのメロデス/テクデス。2nd。

メロデス時代のCarcassからおどろおどろしさを抜き、よりシャープにした印象のアルバム。
リフやリードはメロディックではあるが、メロデスらしい哀愁や泣きの込められたものは少なく、
それよりはどちらかというとスラッシュや正統派メタル的な勇壮で高揚感を煽る感じである。

また、どの楽器陣も中々の力量だが、特にドラムが素晴らしい。
細かな金物使い、緻密に刻まれるリフにユニゾンしたバスドラ連打など、曲の高揚感の底上げに多大な貢献をしている。
ケベック産デスメタルと言えば、CryptopsyやGorguts等変態・バカテクなバンドも多いが、このアルバムではテクニックが純粋に疾走感やシャープさに向いている印象である。

とまあ、こういった意味で、メロデス然とした泣きを求めるには不向きな作品ではあるが、緻密に刻まれるリフが心地良く、スラッシュに近い快感を味わえる作品だと思う。

気に入り度…81/100

おすすめ…Element Of The Ensemble, Part III: Absolution


REGARDE LES HOMMES TOMBER - Exile ★★ (2016-01-30 01:29:01)

…何となく示唆的で、赤い色彩が目を惹く、良いジャケットです。
1stとジャケットの構図がほぼ似ているあたり、第二章となるアルバムだったりするのかもしれない。

音楽的には、簡潔に言うと、宗教色を強め、コンパクトになったAltar Of Plaguesか。
ポストハードコア的な攻撃性は血腥さを、ブラックらしいトレモロは魔的な雰囲気を醸し、
神界より天罰を課され、生き地獄となった世界を逃げ惑う地上の民、みたいな聖典の一場面を克明に描いているかのようである。
加えて、DSOの3rdで使われてもおかしくない5.の荒涼たるリフ等、フレンチブラックの病んだ雰囲気も持っている。

アルバムの後半はオーソドクスなスラッジパートがそれなりにあるが、その内非現実感が薄れて重さが先行する所は、個人的にだれるところではあった。
しかしながら、スローなスラッジパートでも、トライバルなドラミング等によりテンションを落とさずに殺伐とした雰囲気を放っている点にこのバンドの力量を感じている。

気に入り度…89/100

おすすめ…A Sheep Among The Wolves


RIVERSIDE ★★ (2016-02-23 21:28:27)

ギターPiotr Grudziński氏が死去とのこと…
名盤『Out Of Myself』でのエモーショナルな彼のギターは忘れえない名演である。
RIP


RIVERSIDE - Out of Myself ★★★ (2015-11-03 22:19:37)

のバンド、Opethと似ていると見る向きもあるようだが、個人的にはPain Of Salvationの方が近いと感じた。
というのも、Opethの様などこか他者を寄せ付けないような雰囲気と比べるとというよりかは、苦悩や諦観等、人間の感情の歪みに寄り添った感じを受けたからである。
この点、POSの名盤3rdにも通ずるものがあり、それをよりコンパクトにし、シンプルな曲展開にした印象。

また、ここぞで繰り出される泣きのギターメロの秀逸性等も共通するところだが、この作品のヴォーカルやエモーショナルなギターはより湿り気がある。
湿り気をストレートに感じさせることでダークさをそれ程前面に出しておらず、曲のテンションもあまり大きく変動させないことで、
全体として聴き易いアルバムに仕上げており、しかもクオリティの面でも見劣りしていない。

コンセプトは、
「同一人物に宿る二つの人格がある。一方はその事実がもたらす違和感に苦悩する。もう一方は共にありたいと願うも、他方を苦しめたくないために、消え去る事を決意する。」
と言った感じか。
①の超エモーショナルなギター、⑧のスリリングかつ荘厳なインストパート等、印象的なメロディにより、最初に挙げた苦悩等の要素をひしひしと感じさせる名盤である。

気に入り度…92/100

おすすめ…The Same River


S.V.E.S.T. - Urfaust ★★★ (2015-03-01 00:51:34)

まず音質に関して、ノイジーさは中々、荒目で音量のバランスが多少悪い気もするが、ブラックとして普通に許容範囲である。
曲展開を追うのに若干支障をきたすものの、逆にそれが最大の特徴であるカオティックさを蔓延らせていて、このアルバムにとってある意味で理想的な音質。
そのカオスはかなりのもので、凄まじすぎて最早善悪を超越したような、時に神々しくもある存在にまで昇華しているように思える程。
また荒い音質とカオスの後ろから微かに聴こえるフレーズも素晴らしく、
ブラックらしい荒涼としたリフ、この世全ての概念から乖離したかのような浮いたシンセ的音色のメロディ等、印象的なフレーズが随所に聴ける。

曲者揃いのフレンチブラックの中でもアングラチックでかつ癖の強い作品ではあるが、個人的にはフレンチブラックの金字塔の一つではないかと思える程気に入った。
DSOの『SMRC』や『Kénôse』辺りと同等レヴェルの評価を受けてよいアルバムだと思う。

気に入り度…96/100

おすすめ… Putréfiance Rédemptrice


SACRAMENTUM - Far Away From the Sun (2013-04-10 22:55:24)

スウェーデンのブラック/デスメタルバンドの1st。1996年。

寒々しく邪悪なブラック/デスといえば、Dissectionが有名だが、このアルバムは彼らに引けを取らないクオリティを持っていると思う。
Dissectionは吹雪を彷彿とさせる破滅的で官能的な寒々しさを特徴とするブラック/デスだとすれば、
こちらはよりブラックらしい邪悪さが強く、時に勇壮なメロディも見せてくるよりストレートにブラックらしい音楽性である。
あまりドラマティックな展開を見せたり、印象的なギターメロディを挟んだりはせずに、小細工無くリフをつなげているところもブラックらしい。
ただ、リフの変化のみに展開を頼る、強引な曲展開が多くなっているがゆえに、曲全体やアルバム全体としてややダレる点は少し気になった。
とはいえ、オールドスクールな北欧ブラック/デス好き、Dissection好きには普通にお勧めできる作品である。

おすすめ…Cries From A Restless Soul


SATYRICON ★★ (2015-10-06 22:58:38)



SATYRICON - Nemesis Divina ★★ (2012-06-19 20:06:45)

冷たく荘厳さに満ち、時に神々しささえ感じるリフ&旋律が素晴らしく、シンセやピアノの効果的なアレンジもそれに拍車をかける。
ラテン語のタイトルに冠せられた「神の宿敵」の名の通り、アルバム全体にわたって世界の終末、そして新たな秩序が構築されていく世界に流れていそうな旋律が支配する。
また、名手Frostのドラムは言わずもがな。曲展開上、1349でのような全開ドラムではないが、ブラストを始め、流石の演奏である。音が引っ込んでいるのが勿体無いけれども。

ここまで書くとややメロディックな普通のブラックで、事実今の基準で聴けばその通りだが、個人的にこの作品に関して面白いと思う点はリフの繋げ方である。
トレモロや刻みの単純なリフレインだけでなく、拍子や譜割を巧みに変えながら展開していく所がフレーズの多彩さ・面白さに貢献している。

…まあ、そこが面白いと言っても全てが気に入ったかと言えばそうでもないし、 強引な展開も多い。
しかしながら、ブラックの基本の一枚として十分聴いておくべきクオリティだと思う。

気に入り度…88/100

おすすめ…Nemesis Divina


SATYRICON - Nemesis Divina - Du som hater Gud ★★ (2012-11-23 14:31:20)

アルバムの中では割とシンプルな曲だが、邪悪かつ荘厳なリフが素晴らしい。
ラストのピアノもいい味を出している。
ミドルパートでは前作のような妖しさも感じる。


SATYRICON - Nemesis Divina - Mother North ★★ (2012-04-30 15:31:53)

神聖という言葉が正にぴったり。
荘厳極まりないリフはいつ聴いても鳥肌もの。


SATYRICON - Nemesis Divina - Nemesis Divina ★★ (2012-09-29 22:30:44)

「神の宿敵」の名の通り、邪悪極まりない笑い声が聴きどころ。
そこから冒涜的なメロディで疾走するパートも素晴らしい。


SATYRICON - Nemesis Divina - The Dawn of a New Age ★★ (2012-10-16 17:34:18)

展開は強引なところもあるが、荘厳で神々しいメロディが素晴らしい。
特に4:27辺りからのメロディは、ブラックの中でも屈指の荘厳さを誇るパートではなかろうか。


SATYRICON - The Shadowthrone (2012-06-18 20:09:43)

Satyriconと言えば3rdが有名だが、この作品ではヴァイキングよりのブラックをプレイしている。
ただフレーズは勇壮なものもあるが、それよりも陰鬱で得体の知れない不気味な感じの方が強い。
3rdに比べるとフレーズや展開力は全体的にまだ少し弱いが、時に3rdに匹敵するものも見せてくれる。
①の中盤からの流れや⑤のエンディングなどは3rdにも引けを取らない。

おすすめ…In The Mist By The Hills


SATYRICON - The Shadowthrone - In the Mist by the Hills ★★ (2012-09-28 20:38:30)

イントロの不穏なフォーク然としたリフが良い。
中盤では迫力あるブラストが味わえる。


SAVATAGE - Gutter Ballet ★★ (2016-05-29 00:09:01)

独特なフックのあるリフと美しいピアノやギターソロが一体となり、時に荘厳さすら醸すドラマティックへヴィメタル。
若干ヒステリックにも聴こえるヴォーカルも、独特な妖しさを、時には適度な激情を与え、曲にマッチしている。

各要素がハイレヴェルであるが、取分け、メタルらしいアグレッションの中に時折出現する、水晶の如き美しき調べに心を揺さぶられる。
名曲たる②を筆頭に、どの曲にもハイライトにしたい瞬間があって、名作の呼び声に素直に頷けるアルバムである。

気に入り度…90/100

おすすめ…Gutter Ballet


SCHAMMASCH - Contradiction ★★ (2017-07-01 23:37:33)

若干のアヴァンギャルドさを含むカルトブラックで、古代カルトの儀式をそのまま音に封じ込めたかのような神秘性は中々のもの。
ドゥーミーなパートとどすの利いたマントラの様なヴォーカルを主軸に据えることにより、攻撃性やストレートな邪悪さを敢えて抑えているが、それが神秘性をより引き立てている。
感性と理性を同時に融解させ、教義を叩き込まれる感触。
9曲84分と長めかつ個々のパートの冗長さもなくはないが、カルトブラックとして及第点以上のアルバムである。

気に入り度…9/10

おすすめ…Contradiction


SECRETS OF THE MOON - Carved in Stigmata Wounds ★★ (2014-10-14 00:25:09)

ドイツのブラックの2nd。2004年。

メロディックで不穏なムードを放つトレモロとメタルとしてのダイナミズムを両立した良盤で、
この点Watainあたりを彷彿とさせ、ブラックに留まらずエクストリームメタルとして良質な作品と言える。
しかも、③の前半で聴ける、ブルータルな刻みをバックに魔的なトレモロの魔的なトレモロで魅せるパートなど、フレーズそのものに加えて合わせ方も上手い。

粒の揃ったブラストや効果的なフィルを連発する心地良いドラム等楽器陣の力量も中々で、
複雑なリズムのパートを違和感なく聴かせている点、デスメタリックで冷徹な刻み等が凄みを与えている。
1曲当たりのランタイム&アルバム全体のランタイム(全約72分)が長く、⑤辺りは曲展開が凝り過ぎなどとは思うが、
一方では不条理さを醸すプログレッシヴさを与えてもいて、大きくはマイナスになっていない。

気に入り度…87/100

おすすめ…Carved In Stigmata Wounds


SEPULTURA - Arise ★★ (2013-08-16 22:02:18)

基本的には、非常に心地良い溜めの効いた、アグレッシヴ&グルーヴィーなリフで疾走していく前作同様の上質なスラッシュを聴かせてくれる。
スラッシュとはいっても、ベイエリアのクランチの効いたリフよりかは、不気味にうねりながら刻まれるオールドスクールデスに近いものである
(Metallum辺りでもDeath Metalと併記されていたりする)。

前作と違う所を挙げると、疾走パートがやや減った所である。
しかし、今作では前作までの荒削りで無駄な部分がかなり減り、曲に良い意味での起伏があり、その御蔭でリフの良さが前作以上に際立っていると思う。
勿論、 疾走パートでは変わらず爆走してくれるので問題は無く、全体的に進化している。

気に入り度…87/100

おすすめ…Arise


SEPULTURA - Arise - Arise ★★★ (2013-09-23 23:49:50)

圧倒的な疾走感とリフのかっこよさを誇るスラッシュ史上最高峰の超名曲。
ただ刻みまくるだけでなく、緩急をつけた展開やグルーヴを高めるリフ捌き等も面白い。


SEPULTURA - Beneath the Remains (2013-08-15 22:32:47)

まだ荒削りな部分も多く、リフの良さを完全に活かしきるところまでは行っていないのは気になった。
けれども、アグレッシヴでかっこいいリフに疾走感と爆走スラッシュの良さが凝縮していて、グルーヴィーなかっこよさもあるのも面白い。
この点については名盤「Arise」に引けを取らず、確かにこっちの方が好きな人がいても変ではない。

おすすめ…Beneath The Remains


SEPULTURA - Beneath the Remains - Beneath the Remains ★★ (2013-08-23 23:49:21)

美しいアルペジオから爆走へという展開、ベタだがSepulturaがやると本当に映えるなあ…
勿論凄まじい刻みリフで爆走する本編も素晴らしい。


SETHERIAL - Hell Eternal ★★ (2012-06-20 23:39:54)

王道のファスト/ブルータルブラックであるが、特徴は物凄い暴虐性である。
地獄の業火で聴き手を焼き尽くすかの如くトレモロリフ、邪悪さ十分のハイテンションな喚き声、そして豪速かつ音量十分なブラストで攻めまくり、
ブラストとシンクロしたようなリフなど、ブラックの中でも最もブルータルな部類ではなかろうか。
音圧も凄まじく、聴いていると心身共に削られていく気がする。
正直多少聴き疲れする作品ではあるが、印象的なフレーズも多く、聴いていて退屈になる所もあまり無いので、アルバムを通して聴くに足るクオリティである。

因みに、1st『Nord...』とのカップリング再発盤も出ているが、こちらの2曲目終盤に音飛びと思しき現象が発生しているので注意
(アレンジかもしれないし、自分のだけかもしれないが)。

気に入り度…81/100

おすすめ…Towards Thy Realm


SETHERIAL - Hell Eternal - Hell Eternal ★★ (2012-11-23 22:37:55)

この曲も邪悪さ、荘厳さが凄まじい。
地獄絵図を見ているかのようだ。


SETHERIAL - Hell Eternal - Towards Thy Realm ★★ (2012-10-01 17:26:04)

イントロの邪悪なリフを聞いた瞬間あまりの暴虐さに魔界を連想してしまった…。
このブルータルさはブラックに慣れた耳でもビビる。


SETHERIAL - Nord... (2012-06-20 17:24:20)

寒々しくブルータルに疾走するスタイルで、時折うっすらと聞こえるシンセもまた寒々しくて良い味を出している。
ヴォーカルのテンションがかなり高く、断末魔の悲鳴のようだ。
①③は10分超と聴き応えのある内容であるが、他の曲も含め曲展開が散漫な印象。
全体的にもう少しコンパクトにした方が良かったと思う。
とはいえ、寒々しいブラック好きにはお勧めである。

おすすめ…In The Still Of A Northern Fullmoon


SETHERIAL - Nord... - Över det blodtäckta nord (2012-09-30 16:36:30)

14分とかなり長いが、聞き飽きない。
10:06と11:52辺りからの寒々しいちょっとしたギターソロがツボ。
ただ、もう少し曲の中でメリハリがついていたらなお良かった。


SKÁPHE - Skáphe (2016-12-24 00:04:13)

不気味且つ僅かに神秘性を湛えたフレーズが渦巻く、カオティックブラック。
この世の理を外れた存在を描く様な音像は、Blut Aus Nord辺りに近い感触であるが、
このバンドはよりrawで、暗黒性が強く、Misþyrmingらアイスランド勢を思わせる側面もあり。
他と一線を画す様な要素はないが、及第点以上の暗黒性に浸かれる秀作である。


SKÁPHE - Skáphe² ★★ (2016-12-24 23:44:44)

物凄い瘴気と狂気である…
辺り一面を瘴気で染めあげ、全てを腐敗したグロテスクな存在に変えかの様な、どす黒い音像が印象的なカオティックブラック。
今作からMisþyrmingのD.G.氏が参加したからかかもしれないが、元々ソロでやっていた時の禍々しさが更に際立ち、ブラックとしてのレヴェルが高まったように思う。
成程、良い意味で不快指数満点のブラックメタルである。

気に入り度…85/100

おすすめ…Ⅰ


SLAYER ★★★ (2012-06-22 16:18:45)

まさにスラッシュの帝王。自分の生まれる前からこんなクレイジーな音楽をやっているなんて…
彼らが居なければエクストリームメタルシーンは大分違ったものであっただろう。
エクストームメタルやってる人でSlayerの影響を受けていない人はいるのだろうか?


SLAYER (2013-05-03 15:33:04)

RIP Jeff
初めて買ったメタルアルバムが「Reign In Blood」だったが、自分のメタル生活は正にこの男のリフから始まったと言っても過言ではない。
地獄や死をこれでもかと表現した男が遂にその世界に旅立った。
あの世でも素晴らしいリフと狂気のソロの数々を奏でることを切に祈る…


SLAYER ★★★ (2015-05-23 00:02:05)

Jeffが亡くなり、Nuclear Blast移籍後初となる新作アルバムの11th『Repentless』が今年9月11日に発売の模様。
Jeffの遺作曲『When The Stillness Comes』が視聴できますが、
齢50程のおっさん達による、しかもメンバー2人が離脱してしまった後とは思えない、相変わらずの「凄み」ですね…
個人的には、South~やSeasons~が若干モダン化した感じかなと思いました。
http://www.nuclearblast.de/en/label/music/band/news/details/3880596.3400479.slayer-announcement.html


SLAYER - Divine Intervention (2011-12-12 18:25:52)

3rd程ではないが、速い曲も多く、切れ味鋭い攻撃性はピカイチ。
上でも発言されている方がいるが、かなり殺伐とした印象で、デスやブラックなどとは一味違った怖さをも感じる。
当時の新加入ドラマーのポール・ボスタフもデイヴに負けず劣らず凄まじいドラミングをしている。

おすすめ…Dittohead


SLAYER - Divine Intervention - Dittohead ★★ (2012-03-29 01:21:42)

Slayerの中でも最速クラスの曲。
無法状態が題材で、疾走感は正に暴力的である。


SLAYER - Hell Awaits ★★ (2011-09-28 03:29:09)

リスナーに与える不気味さや恐怖感はSlayer史上最高で、凡百のデス・ブラックをも超えていると思う。
①のサビのトレモロなんて、これだけ聴いたらデスかブラックと思える位のイーヴィルさである。
また、Slayerにしては凝った展開が多めかつ曲が長いが、だれることなく聴かせてくれる。
音質は少し薄くて悪いが、むしろそれが不気味さを引き立たせていて、ある意味では理想の音質とも言えるかもしれない。

1stは過激&高速なNWOBHMといった趣だったが、今作の時点で既にSlayerの音楽性を確立してしまったともいえる良作。
Slayerといえば『Reign In Blood』だけど、この2ndも十分聴くべきアルバムである。

気に入り度…87/100

おすすめ…Hell Awaits


SLAYER - Hell Awaits - At Dawn They Sleep ★★ (2012-11-24 16:00:09)

珍しくミドルテンポ中心の曲だが、不気味さは全く失われていない。
ドラムソロは流石Dave。印象的なツーバスが時折入ってくる。


SLAYER - Hell Awaits - Hell Awaits ★★★ (2012-05-01 15:57:40)

呪文のようなイントロからミドルテンポの刻み、そして疾走へという展開がかっこいい。
肝心のリフやギターソロも不気味で背徳的。

ちなみにイントロはテープ逆再生によるものらしく、あの呪文は「Join us」を逆さに言っているらしい。


SLAYER - Hell Awaits - Kill Again ★★ (2012-10-03 22:09:47)

イントロのリフとドラミングを絡めたフレーズが良い。Slayer特有の狂気が感じられる。


SLAYER - Hell Awaits - Necrophiliac ★★ (2012-06-21 18:32:23)

Slayerの中でもトップクラスに猟奇的な旋律で、聴いていて寒気がする。
終盤の「Heeell」のパートでのTomは本当に悪魔に取り憑かれていたのではなかろうか。怖すぎる…


SLAYER - Reign in Blood ★★★ (2011-03-23 18:07:47)

猟奇的なリフ、カオスなギターソロ、徹底的に無駄を削ぎ落としスピードとアグレッションにこだわった作風、Tomの狂気じみた早口ヴォーカル&シャウト、Daveのスリリングなドラミング…
あらゆる面で至高のスラッシュである。

自分が最初に手にしたメタルアルバムであり、非常に思い入れが深い。
これを上回るアルバムに今後出会えるだろうか…と初めて聴いたメタルにも関わらずその時は思ってしまった。
エクストリームメタルを聴く者は必ず聴いておくべきアルバムであり、歴史的な30分である。

気に入り度…94/100

おすすめ…Raining Blood


SLAYER - Reign in Blood - Altar of Sacrifice ★★ (2012-06-22 16:08:27)

冒涜的な高めの音程のリフが印象的。
Jesus Savesとセットで聴くべし。


SLAYER - Reign in Blood - Angel of Death ★★★ (2011-09-09 01:06:49)

文句のつけようが全くない伝説的スラッシュ。
グロテスクかつ残虐なリフと狂気に満ちたギターソロに身を任せましょう。


SLAYER - Reign in Blood - Criminally Insane ★★ (2012-11-24 18:02:10)

静かな狂気を感じる曲。
あとこの曲の星の少なさには同感。もっと評価されるべき。


SLAYER - Reign in Blood - Epidemic ★★ (2013-06-27 19:23:22)

リフのカッコよさと疾走感は勿論、Daveの絶妙なスネアフィルが映える曲。


SLAYER - Reign in Blood - Jesus Saves ★★★ (2012-05-12 14:19:23)

何よりヴォーカルが滅茶苦茶速い。機関銃ヴォーカルとでも言うべきか。
この曲のテンションと早口はなかなか真似できないだろう。
徐々に疾走感を増していく展開も冴えている。


SLAYER - Reign in Blood - Necrophobic ★★★ (2012-03-29 01:38:33)

名実ともにSlayer最速曲(bpm248らしい)。
1分40秒とかなり短いが、効果的なテンポチェンジもあり、内容は非常に濃い。


SLAYER - Reign in Blood - Piece by Piece ★★ (2012-10-04 16:48:20)

前後の2曲のインパクトの強さのために軽視されがちだが、良い曲だ。
徐々に疾走感が増していく展開は流石。


SLAYER - Reign in Blood - Postmortem ★★ (2012-07-03 20:41:58)

Raining Bloodへの繋ぎとか関係なく良い曲だと思う。
前半はミドルテンポだが、その分グロい旋律が際立っている。
アルバムを聴くときは、Raining Bloodとセットで聴きましょう。


SLAYER - Reign in Blood - Raining Blood ★★★ (2012-05-01 23:50:57)

Angel Of Deathと並ぶスラッシュクラシック。
リフがまるでナイフのように切れ味が鋭く、かっこいい。本当に血が降ってきそう。
最後のノイズパート(ソロではない)はまさに暴走という言葉がピッタリだろう。何をやっているかわからないほどカオティック。


SLAYER - Reign in Blood - Reborn ★★ (2013-04-11 13:08:28)

ヴォーカルの早口が凄まじい。
リフもグロいのにかっこよく、アルバムの中では地味な方だが十分に良曲。


SLAYER - Seasons in the Abyss - Seasons in the Abyss ★★ (2012-05-02 14:11:13)

スロー~ミドルテンポで6分超というSlayerの中では異色だが、展開も悪くないし、不穏なムードは健在。
血なまぐさい感じはなく、静かな狂気を感じさせる。
あとはデイヴのドラミングの盛り上げの上手さが光る。


SOMBRES FORETS - La mort du soleil ★★ (2016-06-04 00:29:16)

同郷のディプレッシヴブラックの盟主Gris的なメランコリック・ブラックとシューゲイザーブラックの中間位の音楽性による、
アンビエント・ライクなディプレッシヴブラック…といったところか。
他のバンドを引き合いに出せば、暗黒性を消したAltar Of Plaguesのような感触。
怠さはほぼ無く、メロディックなトレモロやメランコリックなアコギ等、何れの要素も心を揺さぶってきて、時には神々しさすら感じる。
音像・音響の良さも光り、①の様に敢えて不確かな輪郭のフレーズを用いるなど、畏怖にも似た感情を覚える独特の美麗さが放たれている。
良いフレーズを折角持っているのに、活かしきれていない曲展開だけは気になったものの、ディプレッシヴブラックの中でも優れた作品ではないだろうか。

気に入り度…94/100

おすすめ…Des Épaves


SPAWN OF POSSESSION - Incurso (2013-02-06 15:23:39)

スウェーデンのブルータル/テクニカルデスメタルバンドの3rd。2012年。

NecrophagistやObscura系統のテクデスをより長尺にした感じで、ブルータル度は一般のブルデス等に比べると薄いが、リフや曲のクオリティは全体的に高い。
前述のバンドに比べると、変態的なフレーズや変拍子は多用されておらず、テクデスにしては比較的ストレートで聴きやすい方である。
また、テクデス界隈では有名なギタリストChristian Müenznerが参加しており、彼らしい摩訶不思議で地球外物質をイメージさせるような摩訶不思議なリードギターやネオクラギターソロが随所で発揮されている。
ただ、これはと思うような印象的なフレーズがあまりないのは少し残念なところ。
それが改善されれば更に良い作品を生み出せると思う。

おすすめ…Apparition


SPIRITUAL - Pulse ★★ (2016-06-25 18:34:26)

元DarkseedのStefan Hertrichによるソロプロジェクト。
自分は、最初EPとしてリリースされたものに2曲加えた、2006年にフルレングスとしてリリースされたものを所持。

一言で言うと、エスニックゴシック。
ゴシックのセオリー通り、女性ヴォーカルを絡めたりするが、トライバルなパーカッションを入れたりしていることで、
メランコリックさではなく、古代世界を思わせる神秘性が先行する印象。
曲によっては、攻撃性を抑えたInsomniumを思わせるようなところもあり、普通のゴシック好きより、メロデス好きのほうにより受け入れられそうな気もする。

気に入り度…81/100

おすすめ…This Battle Is Yours


SUFFOCATION - Pierced From Within ★★ (2014-01-28 00:07:00)

ブルデスの原型として有名な作品の一つ。…ではあるが、手数やブラストの頻度は現在のブルデス基準からするとそれ程ではない。
ストップ&ゴーを多用した複雑なリズムワークを交えながらも、
潰れ過ぎず、しかしキャッチーになり過ぎない良質なリフやアタック音の強いベース等が作る躍動感もあるという、比較的聴きやすい、良い意味で直球のデスメタルである。

気になった所を挙げるとすれば、曲展開に若干整理がついてなく、見せ場となるパートが不足している点(ブルデスには良くある事態ではある)。
しかしながら、それを補うに足る上記要素が随所に配されており、聴いていて退屈に思うことはあまり無かった。

気に入り度…81/100

おすすめ…Pierced From Within


SUMMONING - Stronghold (2012-05-03 23:20:53)

オーストリアのアトモスフェリックブラックメタルバンドの4th。1999年。

キーボードが比較的前面に出たアレンジで、アルバム全体がかなりアトモスフェリックなものとなっている。古代ローマにでもトリップしそうな音。
ブラストや邪悪さはないが、喚きヴォーカル等ブラック的要素もちゃんとあり、トレモロリフも使い方が上手いなと思わせるところも随所にある。

おすすめ…A Distant Flame Before The Sun


SUMMONING - Stronghold - The Loud Music of the Sky (2012-06-23 15:03:45)

哀愁を感じるトレモロリフを多用したアルバム中最もブラックらしい曲。


SVART CROWN - Witnessing the Fall ★★ (2014-12-15 23:56:11)

マッシヴな音像やアンサンブル、吠える様なドスの利いたヴォーカル等、ブルータルなデスメタリック成分が強いのが特徴。
効果的なアルペジオ等フレンチブラック特有の不穏さや混沌さを纏いながらも、それらにより放たれる高純度の純粋な闇が混沌すらも塗潰す程に荒れ狂う様である。

硬質で無慈悲なリフと不穏なトレモロの組み合わせ方も巧みで、近年のDSOにも匹敵、或いは超えているとさえ思える暗黒のリフ捌きは見事の一言。
DSOのように神性は無いが、それを補って余りあるどす黒さである。
曲の長さについても、コンパクトかつ各曲に見せ場があって、ブルータル色が強いながらもアルバムを通して飽きず疲れずに聴ける。

フレンチブラック好きには勿論、デス好きにもお勧めできるアルバム。
前者ならDSO、後者ならUlcerate辺りを気に入った人ならこの作品を楽しめると思う。

気に入り度…90/100

おすすめ…Colosseum


SVARTIDAUƉI - Flesh Cathedral ★★★ (2014-08-04 22:54:56)

瘴気をそのまま音にしたかのような音で、聴いていて思い浮かんだのは濃い霧の漂う荒れ果てた墓場とかそんな感じ。
どす黒い音塊で迫るリフ、ややメロディックながらも精神融解を誘うようなギターワーク共に素晴らしい。
特に随所に挟まれるメロディックなフレーズが最も気に入った点。陰湿なトレモロの中に現れる神秘的なアルペジオ等、実に魅力的である。
この点において、『SMRC』以降のDeathspell Omegaにも通ずる所があるが、向こうの神性を表現するような感じとは違い、こちらはどす黒さを更に高めているという印象。

ギターワークが優れているだけでなく、ヴォーカルやリズム隊に関しても、音量・音質及び力量のいずれも十分である。
潰れたがなりヴォーカルはあまり前に出ては来ないけれど、怨念を持った悪霊が呪いに来るみたいで不気味。
展開に関しても、全曲10分超、総ランタイム約56分という中々の長さでありながら、だれる所は殆ど無い。

バンド名はアイスランド語で「黒死病」の意。この作品は、そんなバンド名に恥じぬどす黒さである。
まだ2010年代半ばではあるが、既に2010年代ブラックの必聴盤の一つに挙げてもいい作品だと思う。

気に入り度…93/100

おすすめ…Sterile Seeds


SVARTIDAUƉI - Flesh Cathedral - Sterile Seeds ★★★ (2014-10-14 23:49:10)

他曲に比べて疾走が少ない曲だが、その分陰湿でカルティックな雰囲気が濃く、どす黒さ割増である。
どの曲もどす黒くて非常に良い本作でも一際素晴らしい名曲。


SWALLOW THE SUN - The Morning Never Came ★★ (2012-05-04 14:58:28)

フィンランドのメロディックデスドゥームメタルバンドの1st。

メランコリックなリフとこれまたメランコリックだが美しいキーボードとでじわじわと攻めてくるデスドゥーム。
明確なオリジナリティは無いものの、両者のバランスが絶妙な上、
ただ徒に沈み込む様なスローパート一辺倒で押すのではなく、無慈悲な刻みや儚い美メロ等も絶妙に絡めてくる御蔭で、アルバム全体を通して飽きることなく聴き通せる。
絶望とまではいかないまでも、それらが醸し出す陰鬱な雰囲気は、仄かな美を湛えたジャケットの廃屋の如しである。

気に入り度…86/100

おすすめ…Silence Of The Womb


SWALLOW THE SUN - The Morning Never Came - Deadly Nightshade ★★ (2012-10-05 19:45:53)

この曲はアルバム中最も絶望感を感じさせる。
非常にメランコリックで重苦しいリフが素晴らしい。


SWALLOW THE SUN - The Morning Never Came - Silence of the Womb ★★ (2012-11-25 00:57:04)

クリーンヴォーカルが入るパートのメロディが何とも切なくて素晴らしい。
キーボードが良い味を出している。


SWALLOW THE SUN - The Morning Never Came - The Morning Never Came ★★ (2013-02-09 23:06:08)

クリーンヴォイスパートが物悲しく、永遠の雪を想起させるメロディが素晴らしい。
それ以外も素晴らしく、アルバム中最長曲だが全くダレない。


SYMPHONY X - The Divine Wings of Tragedy ★★★ (2015-11-08 16:16:59)

当初、ネオクラやパワーメタルの分類を見て「進んで聴かんでもいいや」などと思っていたが、それを後悔させた作品。

緻密なだけでなく、適度なへヴィネスをも伴ったリフ、そして淀みの欠片もない美麗なメロディ&ギターソロが満載であり、テクニカルなメタルとして最高峰のクオリティを誇る。
それだけでなく、壮大なコーラスや星の瞬きの如く幻想的なKey等のプログレ的なアレンジが随所に用いられ、ただでさえ美麗なフレーズの数々に彩りを加えている。
①のうねりすら感じるへヴィネス、④の荘厳なチャーチオルガン、⑨の幻想的な泣きメロ…と、魅力的な所を挙げればキリがないが、
こういった多様な要素をふんだんに用いたこのアルバムは、壮大な物語を見ているかのようである。

気に入り度…92/100

おすすめ…The Accolade


SYSTEM OF A DOWN - Toxicity ★★ (2017-01-21 15:47:53)

ヘヴィリフ、オリエンタルな要素、叙情メロなど、色々入り混じった変態性を見せながらも
それぞれが妙にかみ合い、しかもキャッチーなものとなっているというある意味で奇跡的なアルバム。
聴いていて唯々楽しい作品であり、理屈を超えた中毒性がある。

気に入り度…8.5/10

お薦め…Prison Song


Sigur Rós - Ágætis byrjun ★★★ (2014-05-14 18:45:59)

Simon Reynoldsという批評家曰く、ポストロックとは
「using rock instrumentation for non-rock purposes, using guitars as facilitators of timbre and textures rather than riffs and power chords」だそうだ。
本作は正にこの言葉がぴったり当てはまる。
ギターはボウイングにより演奏されていて 、リフや明確なメロディを演奏する事が殆どない。
それよりもストリングスやベース等の方が明確な旋律を担っており、ギターは専らノイジーでアトモスフィアの演出に使われている。
ドラムはビートを刻んでいると言えるパートは少ない。ブラシスティック等を絡めて抑制された演奏が雰囲気を高めている。
ヴォーカルはファルセットを主体とした安らかな声。何となく少年少女の楽しげな声を思い出すのは自分だけだろうか。

という訳で、リフやビートではなくアトモスフィアを味わうのがこのアルバムだと思うが、そのアトモスフィアが素晴らしい。
非現実的で曖昧な空間、幻想的な世界が広がっている。
ジャケットに羽の生えた胎児が描かれているが、その純粋無垢さを象徴するかのような音像である。
言葉や知的概念の刻みつけられていない、何にでも昇華する可能性を秘めたような生命の持つ純粋無垢。
この作品を聴いていると、それを垣間見たかのような、清らかで安らいだ気持ちになる。

気に入り度…91/100

おすすめ…Hjartað Hamast (Bamm Bamm Bamm)


Sigur Rós - Ágætis byrjun - Hjartað hamast (bamm bamm bamm) ★★★ (2014-08-02 00:23:09)

ストリングスを巧みに用いた曲展開が絶妙な曲。
寂しげなヴォーカルとベース、焦燥感を駆り立てる金物が主体のパートから、光溢れる世界に到達したかの如き歓喜を感じるストリングスパートへの展開は圧巻。
外したいというのが嘘みたいな名曲。


Sigur Rós - Ágætis byrjun - Starálfur ★★★ (2014-08-02 00:30:56)

ストリングスのメロディが非常に美しく壮大な曲。
天上の楽園があるのならば、そこに流れているのはこんな感じであろうと言いたくなる程に美しい。


TAAKE - Nattestid... (2012-10-06 14:48:58)

勇壮でメロディックなリフで攻めまくるスタイルだが、そのメロディが良く、大海原が浮かんでくるようだ。
たまに出てくるノリの良いパートもギリギリのところで曲と合っている。
ただあまり展開に必然性が感じられず、曲としてあまりまとまっていない印象を受ける。
それがなければ恐らく良盤の可能性もあった作品だと思う。

おすすめ…Ⅰ


TERRORIZER - World Downfall ★★ (2013-09-29 00:50:17)

グラインドの礎を築いた伝説的1st。

デス色をそれなりに含む王道のグラインドコアで、絶妙な切り返しや躍動感あるリズムワークを交えながら、爆走をもってイーヴルかつ爽快なリフを只管に炸裂させてくる。
グラインドらしく、どの曲も同じような曲調ではあるが、どの曲も爽快なリズムとリフが満載であり、アルバム全体を通してだれることなく聴け、ヘドバンせずにはいられない。

さて、もう一つのハイライト、ワンバス説でも話題のPeteのワンバスドラミングだが、噂通りの凄まじさである…
爆走感を煽りまくるブラストやスラッシュビートは言うに及ばず、時折入るツーバス並みのワンバス連打はヘドバンも忘れて笑いが込み上げてきた。
本当にワンバスかどうかなどどうでもよくなる素晴らしさ。

色々言ってみたが、結局の所爽快なリフ満載で割と聴き易い作品だと思うので、未聴の人がいたら聴いて欲しい。

気に入り度…87/100


TERRORIZER - World Downfall - After World Obliteration ★★ (2013-11-17 21:36:23)

はっちゃけたようなリズムとブラストを上手くミックスし、初っ端から圧倒的な疾走感を堪能できる名曲。


TESTAMENT - The Legacy ★★★ (2016-07-09 23:03:34)

ベイエリアスラッシュの金字塔。
ハイレヴェルなクランチリフと疾走感もさることながら、名手Alex Skolnickによるスラッシュ屈指の流麗さを誇るリード&ギターソロが発表から30年近く経った今も輝き続ける。
超名曲の①の気高ささえ感じるギターソロをはじめ、名フレーズ満載の名盤である。

気に入り度…91/100

おすすめ…Over The Wall


THANTIFAXATH - Sacred White Noise ★★ (2015-06-25 19:42:30)

近年では、KralliceやCult Of Fireなど邪悪でノイジーなだけではないトレモロを巧みに用いたバンドが現れてきているが、
このバンドもリフのアイディアの面で全く負けていない。
①の初っ端から聴けるグロテスクに音程が上下するトレモロ、Kralliceの名曲『Dust And Light』のイントロをより寒々しくした様な荘厳な②のイントロ等、
トレモロのアイディアが多彩。
しかも、トレモロのメロディの輪郭自体ははっきりしていながら、要らぬ叙情性を発生させることなく、
あくまで不安や堕落、神秘性等が蠢く、吐き気を催す様な異常世界を保ち続けている点が素晴らしい。

④のイントロ、漂うようなアルペジオのギターを絡めた抽象的な夢の中にいるようなアンビエント調のパート等、
サイケデリックなパートも随所に絡めて飽きさせない工夫もある一方、
ミドルやスローのところに冗長さがあり、折角のトレモロの余韻が退屈に変わる所など、曲展開の面で若干のマイナスポイントはある。
しかし、曲も短めで聴くには十分耐えるし、それを補って余りある優れたリフが満載で、トレモロ好きは聴くべきアルバム。
バンドメンバーに関して名前すら一切不明という、フレンチブラックにも劣らぬ謎っぷりであるが、
上質のトレモロとアヴァンさを持ち、かつ十分なネガティヴィティをも纏った良質なブラックである。

気に入り度…89/100

おすすめ…Where I End And The Hemlock Begins


THE CROWN - Deathrace King ★★★ (2013-04-12 01:30:32)

デスラッシュの爆走感(疾走すら生温い)と攻撃性、そしてロックンロールのノリを見事に融合させた傑作。
⑤と⑨を除き全て爆走曲だが、圧倒的な爆走感とクソかっこいいリフのおかげで全くダレない。
加えて捨て曲もなく、非疾走の2曲も悪くないし、爆走曲に関しては全曲良~名曲クラス。
世界一ヘドバンに相応しいアルバムと言っても過言ではないと思う。理屈は不要、未聴の人はすぐにでも買って全力でヘドバンすべし。

気に入り度…92/100

おすすめ…Deathexplosion


THE CROWN - Deathrace King - Blitzkrieg Witchcraft ★★★ (2014-10-16 10:01:35)

爆走は勿論、シンガロング必至の熱いコーラスとノリが爽快な名曲。


THE CROWN - Deathrace King - Deathexplosion ★★★ (2013-05-16 20:30:17)

クソかっこいい曲揃いのアルバムの中でも最高のかっこよさを誇る曲。
爆走に乗るクソかっこいい刻みリフが実に心地よく、ヘドバンせずにいられない!


THE CROWN - Deathrace King - Rebel Angel ★★★ (2013-06-27 20:16:11)

デスラッシュとロックンロールの融合において、これ以上素晴らしい曲はないだろう。クソかっこよすぎる。


THE FACELESS - Planetary Duality (2013-04-12 14:11:50)

アメリカのテクニカルデスメタルバンドの2nd。2008年。

テクニカルながらもグルーヴィーなリフが心地良く、曲もコンパクトでダレる所もあまりない。特に1.等で聴けるリフとバスドラのユニゾンが素晴らしい。
摩訶不思議でスペーシーなギター、複雑な曲展開やテンポチェンジを難なく聴かせてくれる点も良い。
そういった意味では全体的に良質なテクデスである。

…なのだが、欲を言えば突き抜けた個性が欲しかった所。
ヴォコーダーの使用等もあり、Cynicなどプログレ・変態系からの影響をかなり受けていると思われるが、味付け程度であって、それ程作品の個性を出すには至っていないと思う。
要はこの手の流麗なメロディを取り入れたテクデスの枠内に留まってしまっている。

ただそれを気にしなければ良質なテクデスなので、テクデス好きは聴いて損はないアルバムである。

おすすめ…Prison Born


THE FACELESS - Planetary Duality - Prison Born ★★ (2014-10-16 21:49:13)

荒れ狂う楽器陣が心地良い、ブルータルな良曲。
特にサビのギターとバスドラのユニゾンが圧巻である。


THE LEGION - Unseen to Creation ★★★ (2014-02-02 15:25:02)

一言で言って寒い。とにかく寒い。
Dissection辺りが猛吹雪によって体温を徐々に奪って命を奪う感触だとしたら、
こちらは死の実感を与える間もなく永久の氷漬けにされ、地獄の最下層に流れる川コーキュートスに逝かされるようなイメージ。
それをアルバム全編に渡り感じさせ、寒々しいブラックが好きな人には堪らないだろう。
無慈悲さを感じさせる刻みリフ等も上手く使われていて、寒々しいトレモロ一辺倒にならずに、飽きる事無く聴き通せる点も素晴らしい。
Emilのドラムは文句無し。豪速ブラスト、切れ味鋭いフィルや金物使いがアルバムの寒さと無慈悲さを更に高めている。

どの曲も圧倒的な寒さと無慈悲さを誇るが、特に印象に残ったのは②~④と⑦である。
前者はこれだけで名盤確定レヴェルの名曲群。後者はEmperorの1st並みの荘厳なシンセをフィーチャーした曲。

インストの3曲は要らなかったとは思うが、それ以外に関しては個人的にファスト/ブルータルブラックの理想を体現した作品。
ファスト/ブルータルブラックの中でも最も寒々しく、クオリティの高い作品ではなかろうか。

気に入り度…95/100

おすすめ…Redeemer


THERGOTHON - Stream From the Heavens ★★★ (2015-12-30 23:20:37)

超スローなテンポは勿論、潰れた音色の引き延ばされたギター、歪みきったグロウル、生気の欠片も無いノーマルヴォイスの囁き等、
どの要素も異常なまでにテンションを欠いているのが特徴。
これらの要素が相当な破滅性を放っており、絶望を感じる心すら死に絶えた、破滅の極みの世界を思わせる。

…が、延々とこれらの要素で引っ張っていく訳でもない。儚いシンセやアコギによるアレンジ等、叙情性を醸す要素もあったりする。
では、これが破滅性を壊してしまうかと言うとそうではなく、「フューネラルドゥームとしての」抑揚を多少与えると共に、破滅性をより際立たせている。

フューネラルドゥーム黎明期の作品ではあるが、既にフューネラルドゥームとして完成された作品。
個人的には、1周廻って、寧ろ究極に近い美しさを感じたまであるほどである。

…余談ではあるが、除夜の鐘代わりにこれを聴き、煩悩諸共心を一度砕いてみるのもいいかもしれない…

気に入り度…98/100

おすすめ…The Unknown Kadath In The Cold Waste


THULCANDRA - Fallen Angel's Dominion (2012-05-04 17:45:56)

簡潔に言うと、雰囲気はほぼDissectionの2ndまんま。全体としては「Storm~」に、ヴォーカルは「The Somberlain」に近い。
ただちゃんと彼らなりのカラーはある。Dissectionに比べてスラッシーなリフが多く、邪悪さが際立っている。
一方で、凍えるような美しさは(あくまでもDisssectionと比較すれば、であるが)やや薄く、これを個性と見るか、後継者としての力量不足と見るかは意見が分かれるかもしれない。

おすすめ…Everlasting Fire


THULCANDRA - Fallen Angel's Dominion - Spirit of the Night (2012-10-07 19:42:09)

「Thorns Of Crimson Death」に旋律やリズム、展開に至るまでそっくりな曲。
本家よりは少しコンパクトだが。


TIAMAT - Wildhoney ★★★ (2015-06-26 19:51:55)

陰鬱なへヴィリフと精神を異世界へ吸引する様な音色の儚いメロディを中心とした、デスドゥームとゴシックの中間の様な音楽性。
一方で、タムを効果的に交えたトライバルなドラミングや薄らとした音色やキャッチーなエレキピアノ等を多彩に使い分けるシンセなど、プログレ的な趣もある。
それがゴシック・ドゥームにありがちな、過度な倦怠感を感じさせず、また耽美一辺倒でもない要因となっており、コンパクト性もあってアルバム全体でも聞き飽きる事は無い。

歌詞に
「In dream's realm can no one die
Sleep safe my little boy」
などとあるが、そんな幻想世界と苦悩と仄かな喪失感を孕んだ現実との狭間に誘うかの様な名盤。
ゴシック好きは勿論、プログレ好きにもお薦めである。

気に入り度…92/100

おすすめ…Whatever That Hurts


TOOL - 10,000 Days (2013-02-12 15:09:24)

前作までの複雑怪奇な音楽性に比べればかなり聴きやすくなった(Toolにしてはだが)。
歌メロがよりキャッチーになり、静の部分でよりストレートに不穏さが表現されていて、「普通の」プログレへ多少接近した作品だと思う。
良い意味でも悪い意味でも気持ち悪さが薄くなったけれども、相変わらず個性と高品質を両立させているのは流石である。

おすすめ…Vicarious


TOOL - 10,000 Days - Vicarious ★★ (2013-04-13 18:05:38)

Toolにしては分かり易いリズムとフレーズが多く、前作までのような不穏さは薄いが、ストレートな曲やってもかっこいいことを思い知らされる。歌詞はやや過激だが。


TOOL - Lateralus ★★★ (2013-02-11 18:19:34)

掴み所の難しい複雑怪奇な音と形容し難い不穏な雰囲気が最大の特徴。
普通のメタルのような強烈なリズムやシャープさを伴うのではないミュートの効いたリフの多用、
あるいは音量やスピードを抑え、「隙」を持つフレーズが実に独特である。
タムを効果的に交えてトライバルさを演出したり、繊細さと豪快さを的確に使い分けるテクニカルなドラミングも魅力的。
時にギターと同格に近いリードを魅せながらも複雑なリズムを巧みに演出するベースもグッド
変拍子を始め自由自在に曲を展開するテクニックも凄いが、それ以上に各要素のもたらす陶酔感が素晴らしい。

しかもそういう陶酔感のみならず、キャッチーさ、烈しさ、そして妖しさを併せ持つヴォーカル等によって、躍動感すらも覚える。
先に述べた形容し難い雰囲気と相まって、印象的な人体模型のジャケットの如く、生命の持つ神秘性と活力が有機的に絡み合う、本当に独特な世界を見せてくれる。

あと敢えて不満を挙げるとすれば、インストを始め余計な部分が少なからずある事だろうか。
しかしアルバムの全体に致命的な影響を与えてはいないので、それ程気にならない。

最初はとっつにくいアルバムだが、それをそれを乗り越えればそれ以上の快楽をもたらしてくれる作品である。

気に入り度…91/100

おすすめ…The Grudge


TOOL - Lateralus - The Grudge ★★★ (2013-04-13 02:49:14)

全編にわたって貫かれるヘヴィネス、妖艶さと激しさを併せ持つヴォーカル、不穏さを演出するギターリフとドラム。いずれも最高。
大名盤のオープニングを飾る名曲。


TOOL - Lateralus - The Patient ★★ (2013-06-28 23:51:15)

イントロのミュートリフからメタリックなパートへ盛り上げていく展開が素晴らしい。
あと終盤の怪しくもほのかに哀愁漂うメロディがあるが、こういうパートがあるおかげでランタイムの長いこのアルバムを飽きずに聴かせているように思った。


TOOL - Lateralus - Triad ★★ (2013-09-29 20:30:05)

不穏なリフによるカオティックな雰囲気が印象的なインスト。
個人的な意見だが、⑬を除いてこちらをエンディングにしたほうがよかった気もする。


TOOL - Ænima (2013-02-10 21:39:46)

この音楽を何と形容したらいいのか…
ミドルテンポで変拍子を交えながら展開していくプログレッシヴ・オルタナティヴメタル…なのだがその独特さが抜きん出ている。
メロディやリフは割と聴き易いながらも雰囲気が不穏かつ複雑怪奇で、その異形さいびつさがなんとも聴いていて気持ちが悪い(褒め言葉)。
本当に言葉で表すのが難しい音楽だ…

おすすめ…Stinkfist


TOOL - Ænima - Stinkfist ★★ (2013-04-12 21:00:25)

ミドルテンポの重厚なリフとドラミングが心地良く、見事。
得体の知れなさとキャッチーさを兼ね備えた名曲。


TRIUMPHATOR - Wings of Antichrist ★★ (2014-12-17 20:48:19)

曲の8割位は占めているブラスト、ブルータルリフ、そしてがなり声に呻き声と悪魔の咆哮を魅せる名手Ariochのヴォーカルと、あらゆる要素から邪悪と残虐が迸る。
⑤以外はほぼブラストで疾走していて、曲毎の個性などはあまりないが、
ブラストにユニゾンした単音リフ等が放つ圧倒的な邪悪と残虐に身を委ねればそんなことはどうでもよくなる。
また、他から少し浮いたようなキュルキュルした狂気のギターや、
やはり邪悪極まりないがブラストに比して緩やかに動く(ブラックメタラーにとっては)心地良いメロディなどもあって、
圧倒的な邪悪と残虐さを彩り、かつ通して聴くのに飽きさせないものとなっている。
Funeral MistやMardukがかなり引き合いに出されているが、Mardukは未聴故にFuneral Mistのみの比較で言うと、
彼らよりは邪悪さは低め、ブルータリティと荘厳さでは上である(尚、両者ともこれらの要素においてブラックトップレベルではある)。

最後に、本編でもやばいAriochのヴォーカルだが、オリジナル盤最終曲の無音後の咆哮は更にえげつない事になっている。
全人類の憎悪の叫びを掻き集めたような凄まじい禍々しさで、ブラック史上最凶のヴォーカルの一つである。

気に入り度…86/100

おすすめ…Infernal Divinity