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帰ってきたクーカイさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 301-400

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帰ってきたクーカイさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 301-400
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SAXON - Sacrifice - Wheels of Terror ★★★ (2013-07-29 14:32:25)

 後半にミドルテンポの曲が固まっている『Sacrifice』ですが、9曲目の「Wheels of Terror」の存在が、アルバム・トータルの聴き応えを確かなものにしています。要所にビシッと楔が打ち込まれるかのように。
 ギター・ソロのあたりからアップテンポに展開する、この曲の存在がなかったら、『Sacrifice』は「前半は凄く良いんだけど、後半の印象が地味かな」という感想になったかもしれません。
 曲単体の出来と共に、その配置についても良く考えられている、なかなかの名曲です。


SAXON - The Inner Sanctum ★★★ (2012-02-15 00:12:58)

 もう、上の方で様々な方々により絶賛されているので、今更付け加えることもないのだが、やはり良い作品に接すると、何か書きたくなってしまう。
 私も、本アルバムは名作だと思う。
 冒頭の3曲。これで勝負は決まったようなものだ。正直、あまりにも良すぎて、じっくり聴きこみたいという意識を強く持ち、この次の作品に手が出せなかった。変な理屈だが、頂点を見たような気がして、新しい作品を聴き失望したくなかったのだと思う(失望すると決まっていたわけではないのだが。バンドに失礼な話だ。だけどそれから数年。『CALL TO ARMS』は買った。名盤だと思う)。
 本アルバムは、日本盤が出るのを待ちきれず、DVDがついた輸入盤を購入した。
 SAXONはアルバム毎に日本のレコード会社との契約を結んでいるとのことで、日本盤が出たり出なかったりしている。今はインターネットで音楽が買える時代なので、聴こうと思えば手段は色々ある。だが、店頭でCDの現物を手にし、レジに持っていく時の喜びは、やはり格別だ。日本にもHIGASHIさんをはじめとし、ここに書き込みされている熱心なファンの方々がいるので、ぜひ、作品を複数枚日本で発売する契約を、バンドと結んでくれるレコード会社に現れて欲しい。キングレコードさんとか。駄目ですか?


SCORPIONS - Sting in the Tail ★★★ (2015-03-30 19:31:47)

 それで、爪の垢を煎じて(他のバンドに)飲ませてあげたいってのは、本作の存在(と、次作ね)があるからなのである。
 私はこのバンドの'70年代の作品は未聴なのでわからないが、'80年代以降はあらかた聴いているので断言してしまうのだけれど、本作は素晴らしい。ほとんど偉業と言って良い。自らの最盛期の音楽を、“なんとか再現してみました”ってんじゃなく、堂々と、「俺たち、こういう音楽好きなんだよ。作るのは大の得意さ!!」と提示したというのは。出来ないよ!?こんなバンド見たこと無いね!
 それで、さすがの私もコメント出来なかった。だってラスト・アルバムだって言うんだもん。
 そりゃあ、色々考えちゃうよね?このぐらいビッグ・ネームで勢いも落としていないバンドが、これだけの作品を作ることの出来るバンドが、どうして引退宣言をしなければならないのだろうか?!!!どうにも得心がいかなくて、(本アルバムは素晴らしいのだけど)今までコメント出来なかった。
 だが、有難いことに復活宣言である。しかも、本作に負けずとも劣らない充実作(そのうちコメントしたい)でもって。こうでなくっちゃあいけない。
 思わず熱くなってしまったが、還暦すぎてようがなんだろうが、ロッカーは死ぬまでロッカーだ。
 ロッカーを自認する諸君。これを聴かずに死ぬことなかれ。
 ぜひ、聴いて下さい。


SEBASTIAN BACH - Angel Down ★★ (2011-09-29 21:53:39)

 2007年発表。実質的にこれが1stソロ・アルバムと言えよう。
 上で幾人かの方が触れているとおり、プロデュースはロイ=Z。言わずと知れた、メタル・アーティスト復活仕掛け人だ。
 『Kicking & Screaming』が発表されたので、ここで改めて聴いてみた。これまでは、たまに聴き「後半が弱いなぁ」などと思っていたのだが(あと、「2曲目、悪くないんだけど、少し全体の雰囲気の中では浮いているような・・・」などとも)、いやいやどうして、悪くなかったんではないか。
 確かビルボードでは予想外に早くチャートを転げ落ちてったような記憶があるが(そのことは、当時も今も自分自身の評価とは、あまり関係ないのだが)、後半もなかなか聴かせる。バラードも良い。
 作品のトータルイメージはSKID ROWの3rdが一番近い気がしたが、②やAEROSMITHのカバーである③やバラードや、好き勝手にやっているので、統一感に欠ける。でも、それが魅力なのかもしれない。
 傑作とは言わないが、いかにもバズらしい、味わい深い作品だ。遅ればせながら、そう思う。


SEBASTIAN BACH - Give 'Em Hell ★★ (2014-04-12 19:21:05)

 私は前々作・前作と聴いていたが、本作が最も好みだ。中でも2曲目のリフは格好良く、久々にバズの唄う名曲だと思う。全編通して聴いても、スルスルとあっという間に聴き終えてしまい、また最初から聴きたくなる。曲の配置にも気を遣っているのだろう。カヴァーも、いかにもバズの曲っぽい仕上がりになっている。
 B!誌のインタヴューで本人が、俺はもっとアルバムを作るべきかもしれないな、と語っていたが、レコード会社から尻を叩かれて、少し慌てて作ってこんなに良いのなら、そのとおりだ。もっと作って欲しい。
 今のところ、この男のアルバムに駄作は無く、徐々に質が高まっている。
 たいしたものだ。


SEBASTIAN BACH - Give 'Em Hell - Harmony ★★ (2014-04-30 21:22:10)

 それで、前半で好きなのが、この曲だ。
 リフがとても格好良いのだが、それを書いたのは元G N’Rのダフ・マッケイガン。
 ただ、ダフがこのリフを自分のソロかバンドの曲に仕上げたなら、おそらくパンキッシュで勢いはあるものの、いささかシンプルに過ぎる楽曲になったのではないか。
 バズの上手いところは、少しプログレッシヴとも言えるような、起伏とフックに富んだ楽曲にしているところだ。流石だと思う。


 こう言ってはなんだが、俺たちは一線を超えた。
 後戻りは不可能。
 あんなカビの生えた騙し文句に引っかかったなんて、信じられない。

 自分をケリ飛ばしたいね。
 俺には分からなかった。

 調和。
 俺たちが犯した罪の終幕は
 愛の如く激しいものなのか
 忘れるのはたやすい
 自らを損ない
 死を迎えるその日まで
 俺はこの唄を歌う
 それが俺に出来る全て
 俺は正気さ

 
 


SEBASTIAN BACH - Give 'Em Hell - Taking Back Tomorrow ★★ (2014-04-30 20:37:29)

 『Give ’Em Hell』が気に入っている。
 良い曲(気に入っている曲)が多いのだが、後半で好きなのが(今は)この曲。
 バズとボブ・マーレットのコンビは、良い歌メロを書いていると思う。リフがハードで、歌メロがキャッチーという、バズが追い求める理想的な楽曲は、前作と比較してもますます磨きがかかってきたように思う。


 9時5時の仕事で生活している。
 生きているっていう気がしないな。
 「永遠」に頭から突っ込んでいる。
 アマンダ・バインズのように。
 頭のネジが飛び、一線を超える。
 許しを乞うっていう発想がない。

 間違った決断を下し、
 逃げられないってことがある。
 この状況が変わることは、あり得ない。

 明日を取り戻す。
 俺が過ごした偽りの歳月とは別に。
 明日を取り戻すんだ。
 今日から。
 上手いことやってやるさ。


 まるで、今の私の状況のようだ(ここまで酷くはないが。あ、悪いことをした時は素直に謝りますよ)。
 大変な共感をもって聴いている。

 あ、そうそう。この曲、PVが面白い。
 「冗談でしょ」っていうコメントもあったが、スーツ姿で熱唱するバズはなかなか格好良いっすよ。
 まだ見ていないなら、チェックだ!


SEBASTIAN BACH - Kicking & Screaming ★★ (2011-10-06 21:45:18)

 ヤングラジオさん、お久しぶりです。お元気そうでなにより。
 追加していただいたので、書き込みさせていただきます。
 結論から言いますと、私は前作より気に入っています。まぁ、欲を言えば、“この1曲!”っていうのが欲しいところですが、総合的に結構高い水準をキープしているように思います。
 バラードが2曲ありますが、どちらも良いですね。
 基本的にニックが作詞した歌詞はやや青臭くて、私はバズ作詞の曲に共感を覚えてしまうのですが(言うまでもなく、それは私が良い年齢したおっさんであることと、無関係ではないのですが)、ニックは逸材ですね。良いパートナーを見つけてきたなぁと思います。今回はバズとニックでがっちりタッグを組んでの共作する時間がそんなになかったようですが、次の機会にはぜひ全曲にバズの刻印を焼き付けてもらいたいと思います。
 本作が出たばかりでなんですが、なんだか新世紀のオジーとランディみたいで、今から次作が大変楽しみです。


SEX PISTOLS - Never Mind the Bollocks Here’s the Sex Pistols ★★ (2014-08-24 00:42:46)

 「パンク」って“態度”(アティテュードね)やファッション、そして思想のジャンルであって、音楽のジャンルではなかったんだな、と教えてくれた一枚。

 ものすごくキャッチーなメロディ満載の、本当に良く出来たロック・アルバムっすよ。
 ほぼ捨て曲無しかな。あるのかもしらんけど、基本的には聴きだしたら最後までノリノリで聴けますね。

 ところで、「典型的なパンク・ロックのアルバム」って、どこに定点を設定したら良いと思います?
 どれ(といっても、大して聴いちゃぁいないけれど)聴いても、ちょっとずつ違うんで、実は幻想みたいなのじゃないかと、最近思っています。(あくまで音楽のジャンル内での)「典型的なパンク」。


SIXX:A.M. - Modern Vintage ★★★ (2014-12-08 20:23:08)

 さて。
 今年は凄い(凄かった)。
 大物達のリリース・ラッシュ。例年に無くもの凄い数だった。
 1月から色々あったが、HMに限って言っても夏にはJudas Priest、Accept。秋以降もSlashから始まり以降は怒涛の如く(つい先日はAC/DC。その前はPink Floyd)。
 本作もその中の1枚だ。リリース後すぐに購入して聴いていたのだが、なかなかコメントが出来なかった。でももう良いだろう。
 1stを持っていて、それをもう一度聴いてからにしようかと思ったのだが、もういい。とりあえず(あの美しいのだがあまりにも痛々しい)1stのことは。

 これはMotley Crueとは音楽性を全く異にする。
 だが、'70年代のRockに対する敬意に満ち溢れ、メロディに対する拘りが尋常ではなく、明るい曲調、ポップなもの、美しいもの、ハードなもの(アシュバのギターが凄い)。あらゆるものがあり、しかも新しい。
 既存の何かと比較するのが、ちょっと難しい。
 似たようなものが他にもあるように思えるが、実は(本人達が言うように)全く新しいものの可能性がある。
 だが、どちらでも良い。
 本作は何か素晴らしいものだ。
 少なくとも、私が今年聴いた諸作品の中で一番良いアルバムは、これだ。


SIXX:A.M. - Prayers for the Blessed ★★ (2017-01-09 18:37:38)

 カーステレオで聴いていて、ようやく馴染んできた感じ。
 前作(VOL.1)よりも若干ハードかな。だがやはりハッと注意を引くメロディが歌メロとかギターソロに仕込まれており、そこのところの魅力にはまるとあなたも(もちろん私も)このバンドの虜なり、と。
 中盤に配置されているインスト曲は、DJの凄さを余すところなく伝えてくれるし、ハードなギターはHRバンドとしてマストだよな!というこのバンドの意志表明でもある。新たなギター・ヒーロー売出し中というところで、「もうギターソロはだせぇよな」という一昔前のトレンドを完全に墓場行き・・・にさせることを意識しては全然いないんだろうが、やっぱりHRはギンギンのギターの格好良さでなんぼ、というところだろう。
 前作と一緒に聴くのも良いし、本作だけでももちろんイケている。

 ダークでヘヴィで美味しいメロディが随所に仕込まれていて、まぁとりあえず素直に格好良いHRを聴きたけりゃこれを聴いておけ!という一枚。


SIXX:A.M. - Prayers for the Damned ★★★ (2016-05-09 19:12:34)

 ↑早いねヤングラジオさん。流石だな。

 私は前作が大好きなのだが、本作も負けず劣らず気に入ってしまった。
 B!誌のインタヴューでDJが言っていたけれど、ギターがたくさん入ったアルバムだ。これは個人的にはとても嬉しい。
 ヘヴィな音楽やダークな音楽は、ギターレスでも作ることが出来る(実際にある)。だが、ハードな音楽は、やはりエレキギターがないと。私はエレキギターの音が好きなので、DJのギターがたっぷり聴ける本作は、もうそれだけで“買い”だ。

 もちろん、本作の魅力はDJのギターだけにあるのではない。
 ジェイムズの恐ろしくレベルの高い歌唱力、ニッキーの存在感バッチリのベースも大きな魅力なのだが、何より楽曲がフック満載だ。聴かせどころをたくさん持っておりアレンジも良く練られているのだが、作り込まれた感じがあまり強くないという、絶妙に美味しい楽曲群が並んでいる。本当に優れたアーティストが、楽しみながら真剣に楽曲を練り上げたことが伝わってくる。

 今から今年の秋頃発表予定の「Vol.2」が楽しみなのだが、何よりこの「Vol.1」を聴き込まないと。
 隠し部屋がたくさんある忍者屋敷のような本作は、ヘヴィでハードで、隠し味にきっちりキャッチーなフックも忍ばせた、本当に美味しい名盤である。

 ぜひ世界征服を目指して欲しい。
 及ばずながら、この私も加勢する。


SKID ROW - Revolutions Per Minute (2014-04-30 22:09:19)

 上の皆さんは随分優しい。
 それに較べて、この私の意地の悪さはどうだろうか。
 仕事がドツボに嵌って、八つ当たりをするための生贄を求めているのだ。

 これだけの前フリをしておけば、多少辛口で書いても全て読み手の想定内に収まるかと。

 正直なところバズの最新作(『Give ‘Em Hell』ね)を聴いてしまうと、本作の煮え切らなさ、脱力のあり方には悲しみを超えて怒りすら覚える。比較的ハードな楽曲にしても、「パンキッシュ」というよりは「遅れてきたファンパンク」みたいだし。
 ソングライターは、全盛期(1st・2ndの頃)の名曲を書いた同じ人間なのに。

 まだ前作の方が良かった。
 もっとも、最近発表されたEP2枚はフォローしていないので、「今更何言っちゃってんの?最近のSKID ROWは違うぜ。かなりイカしてるぜ」と言われてしまうのかもしれないが。
 それを差し引いても、やはり本作はどうしても好きになれない。何度聴いても。

 ぶっちゃけ、ジョニーが悪いのではないと思います。


SKID ROW - Revolutions Per Minute - Strength ★★ (2014-04-30 22:48:54)

 たった今こき下ろした『Revolutions Per Minute』の収録曲の中では、比較的善戦している。

 でも、なんだろうな。違和感が・・・。と思ったら他人の曲だったという。
 こういうの、自分で書いてもらえませんか?昔は凄かったじゃないスか。

 「良ければいいじゃん。ケチつけんな」って?
 いや、しかし。だったらアルバム全編でこの路線をしっかり追及してよ。ちょろっと入れるんじゃなくってさ。と、恨み言を思わず言ってしまいたくなるという・・・。

 「可愛さ余って憎さ百倍」というのは、こういう感情を指すのでしょう・・・。


SKID ROW - Revolutions Per Minute - You Lie (2014-04-30 22:59:39)

 何が悪いって、これ。この曲ですよ(あと4曲目も)。

 私は正直箸休めとも受け取れなかったですね。
 カントリー、聴かないし。
 後半激しくなるけど、ファンパンクみたいだし。
 他の項目でも書いたけれど、私、ハードロックバンドがファンパンクっぽいリズム使いで曲作るの、嫌いなんですよ。

 はっきり言いますが、初めて聴いた時は顎が外れて足元に落ちた気がするほどガッカリしました。

 そして、もっと言うと、この曲のミックス違いがボーナストラックとして収録されていることが、アルバムの印象を決定的に悪くしたのは、言うまでもありません。


SKID ROW - Thickskin - Born a Beggar ★★ (2014-04-30 22:20:21)

 そうそう。『Thickskin』が好きなのは、この曲があるからです。
 これは名曲だと思うし、だからジョニー・ソリンジャーのこともそんなに悪く評価しなかった。

 少しばかりせつない歌メロに、ハードでラフなバッキング、と。
 1stアルバムを発表した頃のSKID ROWの魅力って、そういうところにもあったんじゃないんですか?
 「どうですか!どうなんですか?!」って、レ〇チェ〇の胸ぐらを掴み訴えたい、今日この頃ではある。


SKID ROW - Thickskin - Hittin' a Wall ★★ (2014-04-30 22:30:27)

 『Thickskin』の中では、この曲もイカしている(死語か?)と思ったものだ。
 ゴリゴリと硬質なリフでグイグイ引っ張っていくのが宜しいんじゃないかと。

 こういう曲があったので次作に期待していたのだが・・・。


SKILLET - Awake ★★★ (2011-12-04 00:48:31)

 いきなり、別のバンドの話から始めるのもなんだが、私にとってNICKELBACKは、“気づいたら大活躍していたスゲェ良いバンド”である。で、このSKILLETも同じ。
 このアルバムしか持っていないんだけど、とても良い。印象的な歌メロが次から次へと出てくる。あっという間に、全編聴けてしまう。
 音作りも、モロに好みだ。ギターのエッヂが立っているし、Drの姉ちゃんはドラムも歌も上手い。そしてついでに可愛い。KeyはVo.の奥方だが、この人も必要なところに必要なフレーズを上手に入れてくる。センスが良い。
 このようなバンドがチャートの上位につけているというのは、アメリカって結構まともになったんだなと思える。まぁ、昔ほどビルボードに影響力が無いにしてもだ。
 LEPPSとかNICKELBACKが好きな人に、ぜひ聴いてもらいたい。


SLASH - Slash ★★★ (2012-07-26 19:04:33)

 私は“あのバンドの1stアルバム”については、ロケンロー・ワールドの奇跡の一つと捉えており、あのメンバーで、あの時代で、あのタイミングだからこそ生まれた作品と考えている。つまり、努力すれば同じような作品をつくることが出来るとは、小指の先ほども考えていない。
 だからして、スラッシュについてもその実力は正直(今にして思えば)過小評価していた。スネイクピットもあんな感じだったし。そこそこ良いんだけど、まぁ、こんなもんでしょみたいな。
 だが、本作を聴いて評価はがらりと変わった。
 この人、本当に才能あったんだな、と。
 本作は、「この曲は、あの人に歌ってもらうと良いな」と、ヴォーカリストにいろいろな人(超ビッグ・ネームを多数含む)を起用し、全く制限を設けなかったため、とんでもない傑作となった。私はこの作品の次のアルバムも大好きなのだが、2作続いてホームラン級の仕事を見せられては、もうスラッシュの才能を認めないわけにはいかない。
 ギター職人スラッシュの本領が発揮された本作は、色々な意味で名盤である。


SLASH FEATURING MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORS - Apocalyptic Love ★★ (2012-07-08 18:08:44)

 評価は限りなく三ツ星に近いが、今後まだまだ良い作品が発表されるのではないかと期待を込めて二つ星。
 SLASH’S SNAKEPITの2枚、そしてVRの2枚、そしてソロの前作と、スラッシュの仕事を追っかけてきている。SNAKEPITの2ndは以前少し褒めたが、本心では(まぁ1stより好みだな)という感じで、気に入った楽曲も数曲あったためコメントさせていただいた。ぶっちゃけ、前作が発表されるまでは、スラッシュの凄さがわかっていなかった。
 前作では(へぇ。こんなことも、そんなこともできるんだ!)という驚きを感じ、本当に才能のある人なんだなと認識を改めたわけだが、今作は前作に負けない出来だと感じると共に、SNAKEPITの1stから勘定しても、最も好みかもしれない。まぁVRの2ndも良く聴くので、控えめに言っても「VRの2ndと同じ位好きだ」と言って良い。
 マイルズ・ケネディは本当に上手い。多分実際に何でも歌えてしまうのだろう。そして性格は真面目。スラッシュが惚れ込むわけだ。
 マイルズの声はスラッシュが少し触れていたが、ロバート・プラントを想起させる。それにメロディの作り方が上手だ。フックがあり、盛り上げるツボも心得ている。
 スラッシュは前作でやりたい放題やったせいか、本作では何の制限も設けていない。そのためか、これまでの諸作の中で一番「あのバンド」の音像に近い。故に色々と期待してしまうのはもう仕方がないのだが、個人的には「いいじゃん、もう」と思わないでもない。こんなに出来が良いんだから、素直に楽しみたい。そのように思う。
 本作を聴くとかなり気分が良くなる。ストレートに格好良い、ブルーズがほんのちょっと入ったアメリカンHRである。


SLASH FEATURING MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORS - Living the Dream ★★★ (2018-10-22 19:28:26)

 2018年発表。“SLASH FEATURING MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORS”名義となってからの3枚目。マイルズやTHE CONSPIRATORSの面々と組んでからのスラッシュの仕事ぶりには絶大な安定感を感じる。仕事好きなアーティスト(スラッシュ)が、腕っこきを揃えて伸び伸びと好きな音楽を作っているわけだが、その路線は1stの方向性を揺るぎなく追及している感だ。
 前作に三つ星を付けたので、可能なら五つ星を付けたいくらいである。本作はそれぐらいのお気に入りだ。

 このアルバムを聴いていると、青々と茂り、香りのよい花や甘い果実をたくさんつける木が頭に浮かぶ。
 例えば、スラッシュが思いついたクールなリフが種子だとする。それに水を与えるのがマイルズだ。リフや曲の骨組みを聴き、それに合う歌メロを作り出す。曲の種子が発芽するわけだ。それをメンバー全員で面倒をみて育てる。肥料をやる。水を注ぐ。剪定をする。クールなプレイが曲をどんどん膨らませていく。だが、決して樹木(曲)が望まない方向で育てることはしない。

 そのようにスクスクと気分よく生い茂った、花を咲かせた、実を結んだ素敵な12曲が、本作に収録されている。
 アメリカン・ハード・ロック(若干のブルーステイストあり)の一つの到達点と言って良いと思う。

 そりゃあオールド・スタイルだが(当たり前だ。そういう自分達が好きなジャンルの音楽を追及しているわけだから)、驚くほど瑞々しく新鮮だ。


SLASH FEATURING MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORS - Living the Dream - Boulevard of Broken Hearts ★★★ (2018-10-22 21:28:17)

 このバンドのアルバムって、前作もそうだけどこの曲のように終盤にも(個人的に滅茶苦茶)格好良い曲を仕込んでくるのが特徴だと思う。聴いていて良い意味で気が抜けない。昔ながらにアルバム単位で作品を提示し、そして最後の最後まで手を抜かない職人気質の仕事ぶりが感動なのだ。

 イントロのダークなリフの刻みから、やや明るく展開していく歌メロ、けれども基調としてはシリアスな、個人的にとてもツボな一曲。アルバムを聴いていて最初に気に入った曲でもある。

 もちろんスラッシュのソロも格好良い。月並みな言い方だけれども、もう「格好良い」以外に言いようがない。弾き過ぎておらず物足りなくもない、曲が必要としているメロディが十全に提示されている。

 聴き手としては「だからアンタが好きなんだよ。これからもついていくよ」というしかないですね。
 


SLASH FEATURING MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORS - Living the Dream - Mind Your Manners ★★ (2018-10-22 20:54:04)

 ミドルテンポでグルーヴィーな2曲目(Serve You Right)と、アップテンポで始まるも一筋縄ではいかない変化球的な3曲目(My Antidote)を挟み、再び全開で突っ走る4曲目。
 どこまでも気持ち良く伸びるマイルズのヴォーカルと、ハイウェイをガンガン飛ばしていくがごとくに気持ち良いスピード感が最高な一曲。もちろんソロも弾きまくり。


SLASH FEATURING MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORS - Living the Dream - The Call of the Wild ★★ (2018-10-22 20:37:15)

 本作の冒頭を飾る。イントロが始まり高まる期待は、次の瞬間にトップスピードで突っ走り始めるともう裏切られることはない。
 この1曲目の出来の良さは、本アルバムの質の高さを十二分に提示しているわけだ。
 アップテンポでフットワークも軽快。ソロもスリリングなこの曲はアルバムの開幕を高らかに宣言するにふさわしい。
  
  啓示のように
  一筋の光明のように
  精霊のように
  三位一体
  死後の世界

  それは新たな宗教
  それは最適なやり方
  それは新たな夜明け
  俺達が入れ替わるまでは 
 


SLASH FEATURING MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORS - Living the Dream - The One You Loved is Gone ★★★ (2018-10-22 21:14:43)

 5曲目にもややメロウな曲(Lost Inside the Girl)があり、それもとても良いのだが(特に盛り上がるサビの部分やその後のスラッシュのワウワウいって最後はメロディが泣きまくるソロが)、8曲目に配置されたこういう王道のバラードもたまらなく良い。全く似ていないのだが、スラッシュが在籍するもう一つのバンドの「11月の雨」を想起してしまった。

 マイルズは本当に曲に合うメロディを自然な感じで載せていく、(曲の枝葉を)伸ばしていくのが得意なのだが、そのあまりにもスムーズなメロディを「物足りない」として評価しない向きもあろう(私はマイルズの“自然な生成”の歌メロが好きだけど)。しかし10曲に1曲くらいの割合で、自然に伸びていったものが本当に驚くほど美しい曲に成長したことを目の当たりにすることがあるのだ。それは多分私だけでなく、多くの人が同意してくれると思う。この曲がその一曲だ。

 スラッシュのソロも、まさにこの曲の中にあってこれ以上のものはなかろうという絶品のメロディを奏でているのは、もう言うまでもない。

 名曲。


SLASH FEATURING MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORS - World on Fire ★★★ (2014-09-11 17:43:45)

 ちょっと突き抜けたね。これは。
 曲数多いけど、個人的には一アルバム12曲程が好みなのだけれど、まぁ良いです。もうCDはアメリカでは無くなったも同然なのだろうし、アルバムという概念は旧来とは異なものに、いや、もう無いのかもしれないから。

 傑作ですね。
 スラッシュがギター弾きまくり。あふれ出るリフで曲作りまくり。
 それで成長が著しいのがマイルズ。前作までは、「うん。ここで高いメロディくると、気持ち良いよね」と、痒い所に手が届くという意味でも上手さを見せてくれました。だが本作はただ上手いだけじゃないんだよね。歌メロの構成と展開が完全に一皮剥けたね。
 ラスト3曲が聴きどころです。もちろん序盤、中盤も相当イケてます。
 “The Real Hard Rock”です。


SLAYER - Reign in Blood ★★ (2011-09-29 23:39:51)

 すでに歴史的な評価が定まっているので、今更なんですが・・・。
 以前、買ってきたけどあまりのウルサさに絶句。しばらくして中古盤屋に売り飛ばしました。熱狂的なファンの方に殺されそうな所業です。
 でも、なんだかやっぱり初めて聴いた時に受けた衝撃を忘れられず、数年を経て先日再購入。馬鹿ですね。
 一日中聴いていたいとは思わないけれど、殺傷力がゴルゴ13並みに高いので、たまに聴きたくなります。
 (同じような作品としてSlipknotの2ndが挙げられます)


SONIC YOUTH - Experimental Jet Set, Trash and No Star ★★ (2014-01-07 23:02:49)

 発表当時、あまり好きになれなかった。
 『Goo』や『Dirty』の音楽性とガラリと変わっており、そして私は何より『Goo』や『Dirty』が好きだったからだ。
 だが、先日本当に久しぶりに引っ張り出して聴いてみたら、これが結構良い。
 ほとんど骨格だけの音楽で、無駄な脂肪や筋肉が一切ついていないアスリートさながらのサウンドだ。轟音がなければ、ポップですらない。
 だが、ロックだと思った。
 全編、通しで聴いたら結構気に入った。自分の耳をリセットするのに良い音だと思った。


SONNY ROLLINS - Saxophone Colossus ★★★ (2012-07-26 19:12:25)

 この人は、基本的には作り出す音楽が“天才のひらめき”に満ちており、聴いているとプログレッシヴ・ロック的なエキサイトメントを感じるわけだが、本作においてはASIAの1stのような作品と捉えている。歌ものがばっちりはまった感じで、まぁ文句なし。誰でも良さがわかる。
 言うまでもないが超名盤。


SOUNDGARDEN - King Animal ★★ (2012-12-11 23:33:59)

 イングヴェイの新譜と一緒に購入した。
 久しぶりのスタジオ盤なわけだけれど、このバンドの旨味を上手に楽曲に練り込んでいる。クリスの歌メロのキャッチーさは、解散前の5作品にはない明るさと解放感に満ちているような気がする。ただ、少しお行儀よくまとまり過ぎたかなぁという気がしないでもない。もうちょい、ドロッとしたところやキレてるところを感じさせてくれても良かったかなぁ。
 でも、アルバム全編を通して良く作り込まれているし、どの曲も聴かせどころを持っており退屈さを感じさせないのは凄い。この完成度は、STONE TEMPLE PILOTSの復活作(まだコメントしていないけれど、傑作だと思う)と同じ位高い。良いアルバムだと思うし、再結成した意義は十二分にあると思う。


SOUNDGARDEN - Live on I-5 ★★ (2017-07-09 19:16:24)

 作品の(評価の)良し悪しとは全く無関係ではあるが、ここにきてこのタイミングでクリス・コーネルを失うことになるとは、予想だにしなかった(ニュースを目にした時、正直とても驚いたし残念であった。衝撃を受けたという表現が物足りないほどであった)。彼の魂がどのような深淵を覗き、いかなる風に吹かれ、波のうねりに身を任せたのかは知る由もない。
 ただただ、ご冥福を祈るばかりである。

 このライヴアルバムは確かとうとう日本盤が出なかったと記憶しているのだが、1996年の北米ツアーでレコーディングされたものを編集しまとめたものだ。①~③⑤⑧⑨⑮がカリフォルニア州のデル・マー(11月30日)で、④⑩⑭がワシントン州シアトル(12月18日)、⑥がカナダのヴァンクーヴァー(12月7日)、⑦がオレゴン州セーラム(12月8日)、⑪~⑬⑰がカリフォルニア州オークランド(12月5日)、⑯がワシントン州シアトル(12月17日)となる。
 曲間はフェイドアウトなしで編集されているので、一つのライヴを疑似体験出来る。おそらくはライヴにおけるベストテイクで構成されていると思われ、1996年と言えば5th発表に伴うツアーであり、ある意味全盛期におけるライヴベストという趣きであろう(ちなみに①③④⑪⑬⑯が4th『Superunknown』、②⑤⑥⑰が3rd『Badmotorfinger』、⑦⑨⑫⑮が5th『Down on the Upside』、⑧がThe Beatlesのカヴァー。⑩が1st発表前の『Screaming Life EP』収録曲。⑭がThe Stoogesのカヴァー)。

 言うまでもないことだが、クリス・コーネルの熱唱が本作で聴ける。

 これも言うまでもないことだが、クリスがいなくなってとても寂しい。
 もうSOUNDGARDENの新作が聴けなくなったことも、非常に残念だ。


SPEEDTRAP - Powerdose ★★ (2013-12-31 18:18:40)

 悪い癖で、「初期のスラッシュ・・・」とか「TANKを・・・」とか、「Motorheadが・・・」などの字句が踊ると、ついつい買ってしまう。で、聴いて思い出すのだ。
 「俺、スラッシュって初めスルーしていたんだっけ・・・」と(理由?どの曲も同じように聴こえた気がしたから。耳が慣れたら、そうではないことがわかったけど)。
 しかし、この作品は悪くない。いや、悪くないどころか、良い。
 一曲一曲が、きちんと差別化でき、通しで聴いていて飽きない。そしてあっという間に聴き終えてしまう。結構、スカッとしますよ。旦那(誰に言っているのか)。
 理屈っぽい音楽も大好きだが、本作のような理屈抜きで早くて格好良い音楽も大好きだ。
 名盤でしょう。


SPIRITUAL BEGGARS - Ad Astra (2014-09-06 17:31:42)

 うーむ。
 久しぶりに引っ張り出して聴いたのだ。
 わざわざ久しぶりに引っ張り出して聴くという行為は、私が本作を“まだ、作品に対する判断は保留にしておきたい”と今の今までとっておき、発表から14年経った現時点で評価できていない、ということを意味している。そして、「これは駄目だ」と簡単に切り捨てられないから、そういう仕儀に至っているわけだ。
 14年というのは長い。当時生まれた子がいたとして、これを書いている現在で中学2年生だ。
 それで、聴いてみてどうだったか。正直なところ退屈してしまい他のCDに替えてしまった。

 「何故なのだろう」と自問してみる。
 決して悪い作品ではないのだ。だが、何曲か聴いていると「もういいや」となってしまう。実のところ次作もそうで、次作の評価は当時“音の隙間に欠けるプロダクションのせい”と結論付けた。
 「何故、自分は彼らの作る音楽が退屈なのか」というのは、ちょっとじっくり考えてみたい気がした。
 同じギタリストが製作した、別バンドのアルバムについては非常に好印象な事を考えると、多分、音楽の質の問題ではない。おそらく'80年代以降に生まれた全ての音楽の影響が、'70年代的なHRの中に“雑味”として含まれていることが理由なのだという結論に達した。
 こうなると、もうこれは個人的な好みの問題だ。その雑味が好きな人もいれば駄目な人間もいるだろう。で、私は後者だ。

 ちょっと“雑味”については、別の機会にもういちど取り上げてみたいな。
 というわけで、本作については“コメントのみ”ということで。


STEVE HARRIS - British Lion ★★ (2012-10-31 18:32:53)

 スティーヴのUFO好きが、上手い具合にはまった良盤である。
 この湿り具合がいかにもブリティッシュ・ハードで、私はこういうのが大好きだ。楽曲はハードなもの、キャッチーなものなどヴァラエティ豊かであり、全編するすると聴けてしまう。
 ヴォーカリストは、まぁ確かに線が細いかもしれないが、変声期を迎える前のフィル・モグみたいで、やはりこの湿り具合をスティーヴはとったのだと思う。
 でも、このように書いている私は、あのTHE FIRMが大好きであり、その作品は確かB!誌で60点台か70点台の評価をもらっているため、あまり、額面どおりに受け取らない方が良いかも(と警告しておく)。
 とは言え、やっぱりブリティッシュ・ロックが好きな人なら、このスティーヴ・ハリスが初めて放つソロ作は楽しめると思うな。


STING - 57th & 9th ★★ (2017-01-01 09:29:56)

 ①から⑩までが本編。①と⑥がアップテンポでレコードのA面とB面の冒頭の曲みたい。
 アルバムタイトルが『57th&9th』で、STINGが音楽活動の拠点としている(自宅がありスタジオがある)ニューヨークをテーマにした作品かと思うと実はそうではない。タイトルの『57th&9th』は、つまりSTING自身がその界隈を日々歩きつつ思考した成果がアルバムに結実した、という意味でつけられている。
 収録された曲のテーマは多岐にわたる。ミュージシャン(アーティスト)として生きることに関する曲(①②)や恋愛に関する曲(③⑧)。気候変動(④)や難民問題(⑨)。「いわゆるロード・ソング」(⑥⑦)もある。セルフライナーノーツが掲載されており、この作品に関する作り手の思いとしては、曲に込めた意図をしっかりと伝えたいということなのだろう。
 そのような意味で本作はアルバムを作ることを明確に意識し発表された、単なる楽曲集以上の意味を持たされた作品である。
 ①⑥を除きテンポがゆっくりな曲も多く、⑦のようにアコースティックな曲もある。楽曲の配置にも気が遣われており通しで聴いて楽しめ、かつ個々の楽曲をじっくりと味わいたくなるアルバムのように感じた。本編10曲〔ボーナス扱いの楽曲が本編の後に3曲。①⑨のヴァージョン違いとTHE POLICEの1stアルバム冒頭の曲(Next To You)のライヴ・ヴァージョン〕というのも昔のレコードアルバムのようで、アルバム全体を聴きとおして音楽に浸るというのが、本作の正しい聴き方のように思える。


STING - 57th & 9th - I Can’t Stop Thinking About You ★★ (2016-12-11 21:49:36)

 朝食時に観ている情報バラエティ番組にSTINGが出てきて取材を受けていた。
 その時にかかっていて、とても久しぶりにこの人の新曲というやつを聴いたのだが、なかなか良い曲だと思った次第。プロモーションに乗せられてアルバムを購入した。

 アップテンポで、冒頭のギターのメロディがTHE POLICEというかSTINGというか。まぁ、この人特有の節回しが気持ち良い一曲だ。アルバムを通しで聴いた中でもおそらくアルバムを代表する曲と捉えて良いかと思う。

 情報バラエティ番組でインタヴューしていた女性が、失恋の唄だと思ってSTINGにそれを確認していた。実は違うらしくて、曲を作る中での創作の一場面というか、生みの苦しみがテーマになっている曲らしい。だが、インタヴュアーが抱いた印象も決して的外れではないような気がする。「君について考える事がやめられないんだ。君が存在していようがいまいが関係なく」というのは、理想の異性を追い求める感情に通ずるものが確かにある。

 歌詞の内容もなかなかに深いものがあるのだが、アップテンポのロックを唄うSTINGはやっぱ良いっすよ。
 名曲。


STONE SOUR - Hydrograd - Somebody Stole My Eyes ★★ (2017-08-26 20:58:03)

 それで後半(と言っても終盤だけど)で今気に入っているのがこの曲。

 前半のガムシャラな感じも格好良いのだが、やはりコーラスの部分のメロディの上手さに秀逸なものがありお気に入り。

 コリィ・テイラーは、関わっているもう一つのバンド(私は1st・2ndだけしか聴いていないけれど)でも、あの殺伐とした楽曲群の中にあってハッと耳を引く唄メロを載せるのが得意なのは知っていたが、このバンドの方がその魅力を十分に堪能できることがわかった。

 それはともかく名曲。


STONE SOUR - Hydrograd - Song #3 ★★ (2017-08-26 20:43:14)

 ヤングラジオさんは私より多くのバンドを聴いており、その一部は私が好きなジャンルのバンドも含んでいる。なので、私が未聴で「これ、手を出そうかな。どうしようかな」というバンドでのヤングラジオさんのコメントは大いに参考になる。その内容によって購入しても大丈夫かどうか、なんとなくアタリがつかめるからだ(ヤングラジオさんお世話になっています。有難うございます)。

 このバンドは正解。
 『Hydrograd』で初めて聴いたのだが、結構愛聴している。
 強いて言うなら曲数が多いので、全貌を把握するのにちょっと根気がいるのだが、聴き始めの時期に一番最初に気に入ったのがこの曲。哀愁漂うナイーヴな出だしのメロディに耳を惹かれ、サビの部分も完璧。こういう、キャッチーなメロディを持っているのだがポップでもライトでもない楽曲は好きだ。

 『Hydrograd』は聴き込んでいくと後半にも良い曲が並んでおり、名作だと思う。


STONE TEMPLE PILOTS - Stone Temple Pilots(2018) ★★★ (2018-10-22 21:56:22)

 もう半年以上前にリリースされており、新譜紹介というには今更ながらの感が無きにしもあらずだが、本当に良い。このアルバム。

 アップテンポな1曲目が格好良いのに感涙。それを聴いて思うに、スコット在籍時のひねくれポップセンスに裏打ちされた歌メロが変わりなくここにある、ということだ。
 以前、スコットが唄メロを書いていたのは間違いないと確信している。何故ならVELVET REVOLVERでもその天才的なメロディセンスを発揮していたからだ。確かスコットは、ありきたりなリフ(や骨組みとなるメロディ)の曲は取り上げない、と発言していた。自分が歌メロを載せるのにふさわしいか否か選別していたのだ。

 だが、本作でもスコット在籍時と変わらぬ、甘いというよりは苦い、ストレートというよりはカーブが多い、素直なというよりはひねくれている、それでいて絶妙なバランスでポップな歌メロが、新ヴォーカリストにより歌われている。
 歌メロを誰が書いているかはこの際、脇に置いておく。肝心なのはこの新作がSTPの新作以外の何物でもない、ということだ。

 1曲目はまぁ頑張ったが2曲目以外はまぁまぁ、という作品ではない。全曲、いける。全曲、STP。
 個人的にはアルバムトータルでみて、あの名盤である2ndに肉薄するような充実の度合いを見せていると感じる。

 よくやりました。偉いよあんたら。


STONE TEMPLE PILOTS - Stone Temple Pilots(2018) - Middle of Nowhere ★★ (2018-10-13 18:23:20)

 Vo.にジェフ・グートを迎え製作された「バタフライ・アルバム」の冒頭を飾る一曲。
 「復活の狼煙」という言葉があるが、この曲こそ”Stone Temple Pilots復活の狼煙”という表現にふさわしい。

 アップテンポでライヴの幕開けにもジャスト・フィットではなかろうか。このバンドだけでなく、最近購入した他のバンドのCDの曲の中でも、格好良さからするとベストだと思う。もちろん繰り返し聴いている。
 ジェフ・グートがスコットに似ているかとか、スコットと較べるとどうかというのは、あまり意味がない。なにせスコットがもう他界しているので。だから似ているかどうか、上手いかどうかという見地から聴いてはいないのだが、聴いて思うのはSTP以外の何物でもないということだ。この曲だけでなく、他のアルバム収録曲も合わせて思うに。


  夜行列車に入れ込まないことだ。
  辺鄙なところで降ろされるのがおちだからな。
  犯罪者たちがこの全てを手中にしている。
  だから全てが終わるまで戻って来るな。

  宣伝文句は耳馴染が良い。
  だがあまり期待しない方が良いな。
  俺が言うべき言葉を、お前は好まない。
  しかし、だからといってお前が言えることは何もない。
  お前に打てる手はないよ。

  正しいやり方がある。
  そして間違ったやり方がある。
  それから、俺のやり方がある。
  おまえはそれを忘れない方が良い。

  彼女は飾らない男に恋をした。
  お前は自分がどこにいるのか見当もつかないだろう。
  お前は彼女の望みをかなえられないんだよ。
  というわけで、もっと大人になんな。


STONE TEMPLE PILOTS - Stone Temple Pilots(2018) - Thought She'd Be Mine ★★★ (2018-10-22 22:14:28)

 アルバムの6曲目。
 とても良い曲だし、いかにもSTPのメロウサイドの曲だ。

 歌詞の内容は、ある程度の年になった異性愛者の男性なら「うん。わかるわかる」というもの。誰かを好きになったらこういう目に会う事ってあるよね。

 単なる甘ったるいバラードにならないのはスコット在籍時と変わらない。
 この曲をとっても、見事な復活だと思う。

 中盤にこういう素敵な曲を配し、次の7曲目にハードな曲を持ってくるところが、アナログな感じで好きだな。要するにこの曲がA面ラストで7曲目がB面の始まりなのかなぁと。


STONESOUR - Hydrograd - Somebody Stole My Eyes ★★ (2017-08-26 20:58:03)

 それで後半(と言っても終盤だけど)で今気に入っているのがこの曲。

 前半のガムシャラな感じも格好良いのだが、やはりコーラスの部分のメロディの上手さに秀逸なものがありお気に入り。

 コリィ・テイラーは、関わっているもう一つのバンド(私は1st・2ndだけしか聴いていないけれど)でも、あの殺伐とした楽曲群の中にあってハッと耳を引く唄メロを載せるのが得意なのは知っていたが、このバンドの方がその魅力を十分に堪能できることがわかった。

 それはともかく名曲。


STONESOUR - Hydrograd - Song #3 ★★ (2017-08-26 20:43:14)

 ヤングラジオさんは私より多くのバンドを聴いており、その一部は私が好きなジャンルのバンドも含んでいる。なので、私が未聴で「これ、手を出そうかな。どうしようかな」というバンドでのヤングラジオさんのコメントは大いに参考になる。その内容によって購入しても大丈夫かどうか、なんとなくアタリがつかめるからだ(ヤングラジオさんお世話になっています。有難うございます)。

 このバンドは正解。
 『Hydrograd』で初めて聴いたのだが、結構愛聴している。
 強いて言うなら曲数が多いので、全貌を把握するのにちょっと根気がいるのだが、聴き始めの時期に一番最初に気に入ったのがこの曲。哀愁漂うナイーヴな出だしのメロディに耳を惹かれ、サビの部分も完璧。こういう、キャッチーなメロディを持っているのだがポップでもライトでもない楽曲は好きだ。

 『Hydrograd』は聴き込んでいくと後半にも良い曲が並んでおり、名作だと思う。


STYX - Mantra (2017-02-06 20:49:22)

 Great American Broadcast Companyから2015年にリリースされた。
 内容はシカゴのラジオ局であるWKQXが放送した、1977年9月22日のマントラスタジオでのライヴ。

 ①The Grand Illusion
 ②Lorelei
 ③Mademoiselle
 ④Fooling Yourself(The Angry Young Man)
 ⑤Suite Madame Blue
 ⑥Light Up
 ⑦Come Sail Away
 ⑧Lady
 ⑨Midnight Ride
 ⑩Miss America

 以上10曲を収録。
 内容的には本音を吐くと星を二つ付けたいところなのだが、音があまり良くない。
 ライヴ盤は音質が悪いと聴く気が失せるので、購入にあたっては注意を要する。本作も'77年の録音が21世紀になって出てくることが、“お宝発掘”なのか“Styx好きな奴が買うだろ。出しちゃえ”なのかは微妙なところ。
 だが、個人的見解を申せば、私はStyxのファンなので多少の音の悪さは目をつぶる。
 ステレオ録音なのに全体的に右に偏移して聴こえることとか、ベースとドラムの音がこもっており音量も小さいこととか、所々録音の保存状態が悪かったのか音がよれていることとか、瑕疵を挙げだすときりがない。だが、“まぁ雰囲気だろ”と聴いてしまう。
 ぶっちゃけ、他のバンドだがもっと音が悪いライヴ盤もっているし。好きなバンドだとなんだかんだ良い所を見つけて聴いてしまう。

 皆、声が出ているし、ギターもハードだし、演奏が溌剌としている。そりゃあそうだ。アメリカン・プログレッシヴ・ロックの頂点へと到達しようとしている、ノリにノった時期のライヴなんだから。結構楽しい。
 繰り返すが、内容だけなら「良い!」なのだが、「“良い!”んだ。聴いてみようかな」と購入し、「なんだよこれ!聴けたもんじゃねぇ!」という被害者が出ないとも限らないので、「まあまあ」。


STYX - Paradise Theatre - A.D. 1928/Rockin' the Paradise ★★★ (2014-06-01 19:09:46)

 今、思うに、この曲のギターが格好良かったから、いまだにHR/HMを聴いているのだと思う。
 少なくとも、DEEP PURPLEやMOTLEY CRUEのギターの音に拒否反応が出なかったのは、この曲のおかげだ。

 「エレクトリック・ギターの音って、うるさいだけじゃなくって、格好良いんだ!」

 と、中坊の頭に刷り込んでくれた、この曲に感謝だ。また、ギター・リフの格好良さ(大切さ)に気づかせてくれたのも、この曲であったのだろう。
 と、いうように、この曲は名盤『Paradise Theatre』の冒頭(その前に前奏曲があるけれど)を飾るだけあって、ロックのイカしている部分をわかりやすく教えてくれた、教科書のような曲だ。
 思い出深い、というレベルを超えて、名曲だ。


STYX - Paradise Theatre - The Best of Times ★★★ (2014-12-22 21:32:19)

 「STYXのあれ」、「生涯に聴いたバラード3本の指」のもう1曲がこれだ。
 これも、もうベッタベタに甘い。絞れば砂糖水が出てくるぐらいに。
 だが、本当に良く出来ているバラードだと思う。


SYKES - 20th Century ★★ (2014-12-13 12:12:03)

 前作もそうであったが、BLUE MURDERの再来さえ望まなければ、本作も楽しく聴ける。
 ギターをバリバリ弾き倒し、楽曲の出来も悪くない。
 個人的には、ジョン・サイクス本人による作品解説、というか制作過程について書かれた文章が面白い。どうも深民敦さんがレコード会社のジョン担当だったようで(アートワークのクレジットに、ジョンの名と共に並んでその名が見える)、ジョンの文章であるにも関わらず、深民さんの苦労が偲ばれるものとなっている(笑)。
 制作体制はあまり良くなかったようだ。ドラマー不在で作り始め、トミー・オースティンが④(昔録ったテイクを使用)、トミー・アルドリッジが①、ボニー・ボナパルトが⑥と⑧、残りをサイモン・フィリップスが担当している(そういう意味ではサイモンは救いの神)。
 ミュージシャンの写真で掲載されているのも、ジョンとベースのマルコ・メンドーサの二人だけだし。
 ジョンはここ数年引き籠り状態が続いている。それを思うと、厳しい時代('90年代後半)で厳しい制作環境だったにも関わらず、本作のように溌剌とした作品を作らせた深民さんは偉い。
 ジョンに必要なのは、少し痛めにケツを蹴り飛ばしてくれるレコード会社の担当者か、マネージャーだと思われる。


TESLA - Bust a Nut ★★ (2012-12-04 17:55:47)

 私は3rdを発表当時に購入し、それなりに気に入って聴いていた。あえて言うなら「ちょっと曲数が多いかな・・・」と思ったくらいだ。だが、1st・2ndと、この4thスタジオアルバムは長い間聴かずにいた。別に避けていたわけではなくて、当時はアルバム購入資金にも限りがあり(良く考えりゃ、今でもあるのだが)、なかなかTESLAまで手が届かなかったのだ。
 何年か前に本作を中古盤屋で見つけた。
 聴いてみると、結構良い。今日も引っ張り出して聴いていたのだ。やはり「もうちょっと曲数少なくても良かったのにな・・・」とは思うが、しみじみ名作だと思う。
 収録曲はおしなべて、リフが若干へヴィと言うかダークと言えなくもない。だが、唄のメロディが思いがけない明るさでキャッチ―な感じに展開する曲があり、そういうのって好きだ。
 アルバム全編を通しで聴いても、聴き応え、聴かせどころが十二分にある。
 普通に名作だと思う。


TESLA - Five Man Acoustical Jam ★★★ (2011-12-04 01:46:01)

 リラックスしたムードの中、でもやっぱりROCKのダイナミズムも味わえるという名盤。
 STONESのアルバムにも同じようなのがあり、それも格好良いんだけど、企画としてはTESLAの方が先。
 バンドの実力もアイデアの良さも、共にばっちり浮彫にされた好企画盤っすねぇ。


TESLA - Mechanical Resonance ★★ (2012-12-04 20:23:16)

 これ、この一年の間に中古盤屋で買ってきた。もう最近、中古盤屋でCDあさるのが唯一の楽しみみたいになっていて・・・。「おぉ。これ。懐かしいなぁ」とか言って。
 それはともかく、良く見ると本作って'86年の発表なんだね。
 1stでこの完成度は凄いと思う。王道、ストライクゾーンど真ん中、剛球一直線なアルバム。今聴くと「良いなぁ」と思うけど、発表当時に聴いていたらどうだったかな。ちょっと若僧(当時の俺のことね)にはこの格好良さはわからなかったかもしれないね。


THE ALMIGHTY - Powertrippin' ★★ (2014-01-07 21:27:58)

 作品としての出来と思い入れの深さから言えば、次作が頭抜けていることは疑いが無い。だが、本作も結構好きだ。たまに聴きたくなる。
 本作は音の押し出しが強くて、リフでグイグイ引っ張っていくタイプの音楽が収録されている。前作がもう少しルーズなロケンロー臭さを持っているのに対し、本作はハードコア臭が強い気がする。“漢”の臭いが強烈というか。
 ただ、作品トータルで評価すると、後半がやや弱いかなという気がする。前半グイグイきてそのまま突っ走るなら、曲数を少し減らした方が良かった。
 まぁ、でも良盤だと思います。


THE ALMIGHTY - Soul Destruction ★★ (2014-01-07 21:35:17)

 私は4枚目の『Crank』が最も好きなのだが、この2枚目を最高とする方の気持ちもわかる。普通にラフでワイルドなハード・ロックだから。
 私は次作を聴いた後にこれを聴いたので、初め「いやに後ろに引っ込んだ音だなぁ」と思った。だがそれは逆なのかもしれず、3枚目の音が前に出過ぎているのだ。音と音の間に隙間も感じられ、それは私に普遍的なロックンロールの空気を感じさせる。
 ちょいとキャッチーなフックを持つ曲も収録された本作は、独特の魅力がある。やはり良盤と言えよう。


THE ANSWER - Everyday Demons - Dead of the Night ★★ (2017-01-12 22:06:59)

 昨日あたりから久しぶりに『Everyday Demons』を聴いている。
 で、今日改めて腰を据えて聴いていたのだが、この「DEAD OF THE NIGHT」が今のところ一番気に入っている。
 リフが良いな。ベースがブンブン鳴っているのもクール。こういう隙間が適度にあって各楽器の音が臨場感を伴い響いてくる音づくりは最高だね。この手の音楽はこうでなくちゃ。
 そしてなによりアップテンポでノレる。

 名曲でしょう。


THE ANSWER - Raise a Little Hell ★★ (2017-03-02 17:58:21)

 『Solas』がとても気に入っているので、その前作(本作のこと)が気になって購入した。
 これもなかなか良いねぇ。1stや2ndの頃に較べると、音作りが若干シンプルになっているかな。ワーッと迫ってくるという感じではなく、幾分スッキリした印象を与える。
 楽曲は昔ながらのハードロック。最初聴いた時は「少し地味かな」と思ったのだけれど、何か引っかかるので(そういう時は大抵、後でジンワリと効いてくるメロディがあるものだ)繰り返し聴いていた。やはり、ありましたね。フッと耳を引くリフやヴォーカルメロディが。わかりやすい(キャッチーな部分もある)前半の楽曲、例えば①・②・④も良いんだけれど、後半の楽曲も侮れない。多分、この後お気に入りの楽曲が増えてくると思う。
 こういう楽しみ方が出来るようになると、もうこのバンドに惚れたということを(私の場合は)意味するので、多分ちょこちょこと3rd・4thアルバムを揃えることになるだろうな。


THE ANSWER - Raise a Little Hell - Gone Too Long ★★ (2017-04-29 23:14:17)

 これも好きな曲(どこか明るくて、それでいて哀しげな)。
 それでこれも愛を失う曲。

 長すぎた不在。

 なんとなくメンバーの実体験が反映されているような・・・。
 ツアーから帰ったら恋人がいなくなっていた、みたいな。


THE ANSWER - Raise a Little Hell - Strange Kinda' Nothing ★★ (2017-04-29 21:10:39)

 相変わらず『Raise A Little Hell』を良く聴いている。
 最近気に入っているのはこの曲だ。
 アコースティックでギターと唄のメロディがそこはかとなく切なげなのが好きだ。まぁこの曲が切ないのは失恋の歌だからなのだが。
 こういうどこか明るくなりきれない諦観を感じさせる楽曲というのは、ブリティッシュロックバンドならではのものだと思う。
 


 それは感じたことのない種類の喪失感
 その始まりから経験のない種類の欠落だった

 もし俺が自分のことをかなりのものだと考えていたなら
 それは誤りだった
 最初から妙な感じのつまらない奴

 負傷兵の叫び
 立ち上がり倒れるために生まれた
 俺は自分が強いと思っていたけれど
 少しも・・・少しもそうじゃなかった

 毎日俺の心はバラバラになっていった
 お前のいない人生
 それは神に見捨てられた奇妙な子守歌

 俺が眠る時、俺の心の中には少なくとも何かがある
 お前が夢に現れるんだ
 それはこちら側にある見たこともない無

 傷ついた兵士の叫び
 栄光と没落のための誕生
 俺は強いと思っていたけれど
 だけど全然そうじゃなかった。これっぽっちもね

 あるいは今にもこの戦いは終わるかも
 やがてそのうち俺達は平穏を見出すだろう
 だけど今はこんな感じの喪失感
 俺にわかるのはそれで全て

 
 


THE ANSWER - Rise ★★★ (2014-09-06 17:59:04)

 それで、Spiritual Beggarsの『Ad Astra』を途中で止めて、取り替えたアルバムがこれ。
 発表当時は少し思っていたより土臭くって、「あぁ、こういうの待っていたわ」と素直に思えなかったのだけれど、まぁ、ちょくちょく引っ張り出してはいた。
 改めて聴いてみると、うん。格好良いよ。良いアルバムだよ。
 『Ad Astra』と何が違うのか。同じ'70年代の音楽を基盤にRockするという行為は同じであるとして。もちろんこちらのバンドの音楽は“雑味”がないのだ。
 では“雑味”(あくまで私の主観的な印象としての話だ)とは何か。
 本作を聴いていて思ったのだが、“雑味”が無いというのは、つまるところパフォーマーそれぞれの歌唱・演奏に必ず聴かせどころがある、ということだと気付いた。Spiritual Beggarsの音楽というのは、全てのパートが“熱い”のだ。それって要するに方法論としては、‘90年代以降のスラッシュメタルの方法論だと考える。各パートが激烈なパフォーマンスを同時にぶつけ合っているのだ。総和として非常にテンションの高いものになってはいるのだが、緩急に足りないという。
 だが、‘70年代のHRの方法論は違う。それぞれに見せ場が設定されている。同時に熱いものをぶつけ合うのではなく、見せ場が設定される。歌舞伎みたいなものだ。
 このバンドは全てのパートが巧者だけれども、やっぱりVo.とG.が良いよね。個人的にはG.が弾きまくっているのは、とっても気持ちが良い。

 発表からずいぶん経ったけど、名盤ですね。


THE ANSWER - Solas ★★ (2017-02-06 00:32:06)

 THE ANSWER。このバンドの作品は1stアルバムと2ndアルバムを聴き、その後は購入してこなかった。
 1stと2ndの出来が悪かったからではなく、とりあえずはこの2枚を大事に聴きたいなと思ったのだ。
 それが何故、今回久しぶりに新作(本作)を購入することにしたのか。それは音楽性の変化である。これまでもアルバムが発表されるたびにレヴューをチェックしていた。「最初の2枚を超えた」などのコメントが書かれていたら、それは即買いだ。だが、そういうことはなかった。しかし、今回はガラリと音楽性を変えてきたというではないか。アイリッシュテイストが濃厚で、リフロックの手法を踏襲していないという。後者については、このバンドの特長でなによりファンが求めている要素を、あえて除いたということを意味する。“売れない”ことを覚悟してでも作りたかった音楽なのだ。
 つまり、どうしても生み出されなければならなかった作品、というのが本作なのである。これには非常に興味をそそられた。

 聴いた結果、1曲目の「Solas」が良すぎる。一発で気に入ってリピートした。2曲目以降もリフがガンガンくる曲は現れない(後半で1曲、若干ハードな曲を収録しているが、それにしたって音作りはかなりシンプルな印象である)。それでも、私はこういう音楽が好きである。LED ZEPPELINやU2のアルバムにたまに収録されている、神秘的な楽曲に通ずるものがある。それに、全然別のバンドのように聴こえないところが良い。確かに音楽性は1stや2ndとは大きく異なるのだが、やっぱりTHE ANSWERに聴こえる。

 おそらく本作はこのバンドに大きな飛躍を約束するだろう。もちろん、本作がバカ売れすることは(多分)ない。けれども、本作はこのバンドが新たな領域に突入し、自分達が求めている音を勇気をもって作り上げられることを証明した。次作は何をやっても良い。どの道を通ってどこに行こうが良い環境を作ったのだ。

 次作が今から楽しみだ。このバンドの進化の行く末を確認するために、私は次作を買うことになるだろう。
 


THE ANSWER - Solas - Left Me Standing ★★★ (2017-04-21 21:19:16)

 そのスピード感と冒頭及び中盤の山場ほかに配される「オオーオオーオオー」というコーラス、歌メロのサビのメロディが格好良い。明るく展開していくキャッチーでノリの良い曲である。

 だが、明るい中にもそこはかとなく哀愁が感じられる。何故かと思ったら、歌詞は愛し合った誰かと別れる内容であった。


 風と共に去りたい。
 遠くへ運んでくれないか。
 遥か遠くへ。


 もう昔のことだが、同じようなことを感じたことがあったな。


THE BEATLES - Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band ★★★ (2017-10-24 21:03:32)

 それでこれ。FOO FIGHTERSの新譜を聴いたら聴きたくなった。
 22.の方も言及されているが、50周年記念エディションが発売されており、2枚組である。1枚目は「NEW STEREO MIX」で、音がとっても良いように思える。まるで今のバンドの最近の作品みたい。
 アルバムの内容については、もう今更言うまでもなく。
 ロックのエッジも立ちつつ、豊かなメロディがもうとめどもなく。

 2枚目は「SGT.PEPPER SESSIONS」でアルバム収録曲順に使われなかったテイクやインストヴァージョンを並べている。最後に「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」のアウト・テイクと2015年ステレオ・ミックス、「PENNY LANE」のインストヴァージョンと2017年ステレオ・ミックスを収録。

 お祭りアイテム。みんなで祝いましょう。


THE CLASH - The Clash ★★ (2015-04-26 19:09:22)

 パンクのアルバムって、持っているのは約20年後に勃興したファン・パンク(GREEN DAY)やメロ・コア(OFFSPRING・BAD RELIGION)を含めても、ほんの数枚ってところなのだが、本作は格好良い。
 ポップなロックでとにかく威勢が良くて、そして適度に湿っていて。一曲一曲が饒舌じゃなくて(曲が短い)。
 本作はSEX PISTOLSの『NEVER MIND THE BOLLOCKS HERE’S THE SEX PISTOLS』にちょっと似ていて好きだ。もちろんPISTOLSっぽいから好きというわけではない。PISTOLSより不良を感じる(笑)。ま、音楽の出来が良い。

 パンク・ムーヴメント自体は、「う~ん。果して繰り返し訪れるべきものなのかなぁ」と、’90年代後半には業界の作為的なものを感じたものだが(出てきたバンドやインディは良いんだけど、メジャー・レーベルが目敏く乗っかったというか)、’70年代に起ったものについては、その影響は大きく評価せねばなるまい。これがなければIRON MAIDENもTHE POLICEもなかったわけだから。
 メイデンの方はレコード会社に「髪を短く切ったら契約してやる」と言われて、スティーヴが一念発起したという話だし、ポリスの方はパンクとレゲエとロックのクロスオーバーだったわけだ。

 本当に、音楽の諸形態が互いに影響を与えつつ、系統分岐していき、それぞれで進化していく有様は、30年以上見ているが未だに興味が尽きない。ただ、さすがに最近のはつまんないものが多いけれど。

 たまに原点を聴くと、癒されますね。


THE DATSUNS - Smoke & Mirrors (2011-10-29 23:08:26)

 んで、2ndのコメントを書いた時に、良い化け方を期待していたのですが、化け方が不満だったのがこの3rdです。
 決して駄作ではないのですが、どうにもガレージ・パンクっぽいノリはちょっと期待していたところとは異なり・・・。とうとう私は4thは買いませんでした。
 結局1stが一番好きです。


THE DOORS - The Doors - Light My Fire ★★★ (2014-04-21 09:50:19)

 すでに上で複数の方々が指摘されているように、オルガンの音色とメロディがとても印象に残ります。
 私もやはりこの曲の魅力を一言で表すと、「妖しさ」になると思います。
 単純ながらこれまた印象的なベースのフレーズも、延々と反復されることにより密儀的な雰囲気を醸し出しているし、それをバックに宗教音楽を想起させるオルガンが響いています。
 ドラッグカルチャーなるものとの関係性については良く知りませんが、当時流行のカウンター・カルチャー(サブ・カルチャー)の空気を伝えてくれる時代と密着した曲であると同時に、どの時代をも超越した普遍性をも持ち合わせている、奇跡のような名曲でしょう。


THE DOORS - The Very Best of the Doors ★★★ (2016-12-12 20:37:14)

 2007年にRhinoから出されたデヴュー40周年記念ベストアルバム。
 結構手間暇かかっているベスト・アルバムなのだが、その詳細は「Light My Fire」の項を参照の事。

 本ベストで私が何を最も高く評価するのかというと、「The End」の『地獄の黙示録』サウンドトラック・ヴァージョンが収録されている事。
 「The End」も「Light My Fire」に負けず劣らず名曲かつ気色の悪い曲なのだが、映画『地獄の黙示録』で流れてきたのを聴いた時には、この映画の為に存在する曲と言い切ってしまってもよいくらいのはまりようであった。

 The Doorsについては本ベストしか持っていないので良く知らないのだが、本ベストに関して言えばライナーノーツを読む限り、代表曲は収録されているようだ。このバンドが結成されるにきっかけとなった(キーボードのレイ・マンザレクが、L.A.のヴェニス・ビーチに寝転んでいるジム・モリソンに会った時に、ジムが書いていたのを読んでもらいレイが「すげえよ、それ」と言った)「Moonlight Drive」も入っている。

 てっとり早くこのバンドの概略を掴むには、良いベスト・アルバムではないかと。


THE DOORS - The Very Best of the Doors - Light My Fire ★★★ (2016-12-12 19:38:00)

 何故別立てで改めて登録したのかというと、私が聴いて書き込んでいるのは「40周年記念リミックス」ヴァージョンだから。
 別立てするほど何が違うのかというと、「~(前略)ブルース・ボトニックは、~(中略)~6枚のオリジナル・スタジオ・アルバムをすべて5.1チャンネルのサラウンド・ヴァージョンとするべくリミックスを担当した。各アルバムのマルチ・トラック・テープまでさかのぼり、オリジナル・アルバム盤ではオミットされていた様々な音をふんだんに使用して全く新しいサウンド・デザインのヴァージョンとして完成、いわばドアーズのデヴュー40周年記念ミックスである。本盤は、それら全曲の新ヴァージョンからセレクトしたナンバーを通常の2チャンネル・ステレオへと変換させて構成した、(後略)~」のみならず「マスターテープのピッチを上げテンポアップを図ることによってよりハードな雰囲気に変えている(後略)~」からだ。
 要するに、①5.1サラウンド用にリミックスしたものを2チャンネル・ステレオ用に変換し、②オリジナル・ヴァージョンでは消されていた音を聴こえるようにし、③ピッチを上げてテンポアップしている、わけである。
 オリジナル・ヴァージョンとどれほど変わっているのかは私は確認していないが、とりあえず別項を設定するべきであろうと考えた理由はそこにある。

 曲自体は当然素晴らしい。とてつもなく妖しく(妖艶と言って良い)かつ優れたポップ(ロック)ミュージックとして成立している奇跡のような一曲である。
 この一曲の中にコインの表と裏が表現されている。生と死がある。エロスとタナトスがあると言い換えても良い。
 長い間奏は聴いていると全く長いように思えない。サイケデリックとも評されているが、何か宗教音楽のような響きを感じる。そのメロディには背徳的な何かが含まれている。
 「開けてはいけない」と言われた函を開けたパンドラがその時何を感じたか、この曲を初めて聴いた時のことを思い返すと、何となく理解できるような気がする。

 子供は聴いてはいけません!な、名曲。


THE DOORS - The Very Best of the Doors - The End(Edit Version from the Film Apocalypse Now) ★★★ (2016-12-12 21:36:37)

 ライナー・ノーツによると、『地獄の黙示録』サウンドトラック盤がこのヴァージョンの初出なのだが、2007年のRhinoから出されたベスト盤より前にサウンドトラックやベスト盤に収録されていたものは、4分台に編集されていたらしい。2001年の『地獄の黙示録 特別完全版』のサウンドトラックに収録されていたものは6分8秒のもので、2007年のRhino盤に収録されたものはそれである。


 これが終わりだ。素晴らしき友よ。
 これで終わりなのだ。我がたった一人の友よ。
 我々の綿密な計画の終わりだ。
 あらゆる我慢の終わりだ。
 終わりだ。

 安寧も驚愕もない。
 終わり。
 再び君の瞳を覗きこむことはないだろう。

 どうなるか君は想像できるか?
 そう。限界がなく、束縛もない
 絶望の地にある見知らぬ誰かの手札は
 絶望的だ。

 ローマの荒れ野のような苦痛に負け
 そして全ての子供たちは狂気のふちに
 子供たちは狂気のふちに・・・・


 来いよ、ほら・・・
 ひどい、ひどいよ・・・
 殺す、殺す、殺す・・・。


THE FIRM - Mean Business - Dreaming ★★★ (2014-11-23 19:14:29)

 想い出の一曲である。
 トニー・フランクリンの作詞・作曲だ。
 フレットレス・ベースのウォーミーな音色が幻想的な曲調にぴったりと合っており、他の人はどう思うか知らないが個人的には完璧な名曲だと思う。シングルカット出来る曲だとは思わないし、カットしたところで売れる曲だとも発表当時も今現在も思わない。
 だが、中盤以降テンポアップし、機を心得たように切り込まれてくるジミー・ペイジのギターソロはひたすら格好良く、靄に包まれた夢幻の空間を揺蕩うようなポール・ロジャースの唄は、これ以外の形はあり得ないかのようだ。クリス・スレイドのプレイも、曲の持ち味を生かして徐々にクライマックスに持っていく手腕は絶妙である。もちろんトニーのベースはただただ心地良い。
 かなり想い出補正されていることは認めるが、本当に良い曲だと思うし、いつ聴いても感動する。
 ポップでも、キャッチーでも、過度にヘヴィでもダークでもない。聴く人によってはこんなつまらない曲はないと言うのかもしれない。だが、名曲である。


THE FIRM - The Firm - Midnight Moonlight ★★★ (2014-11-24 20:04:26)

 上で二人の方がすでに語られているとおり、この曲もThe Firmの残した、The Firmにしか作り得ない名曲である。
 メロディや曲展開の見事さ、ロジャースの熱唱は無論だが、やはり個人的にはトニー・フランクリンのベースが耳に心地よいのだ。
 真夜中の月明かり。
 まさにそれ以外にどのような曲名があるのか。
 ドラマティックかつロマンティックな名曲。忘れられない一曲である。


THE POLICE - Message in a Box:the Complete Recordings ★★ (2015-07-10 23:27:20)

 一時期流行ったBOXセットものの中でも、ほぼ究極的な作品。
 「全部集めました」っていうのは、なかなか言えない。そもそも、「全部集まっていたって、半分以上は退屈な曲だろう?」と思われては成立しない商品なわけだ。このバンドだからこそ、リリースが可能であったのだろう。
 リリース当時、丁度オリジナルアルバムを1枚ずつ集めるか否か思案中の時期だったので、思い切って(確か1万円弱だった気がする)購入した。今でもたまに聴くし、まだまだ全てを聴き込めている気がしないため、非常に息の長い付き合いとなっている。これだけ楽しめれば、1万円でも安かったように思えなくもない。
 一方、同じ位の値段だったように記憶しているYESのBOXセットは、THE POLICEのこれほどには満足できなかった。ただの4枚組(レア・トラックを含む)ベストだ。と言ってもしょうがないんだけど。THE POLICEのオリジナル・スタジオ・アルバム5枚に比し、YESは(リリース時点で)倍以上のアルバムを出していたし。当然ながら、「全曲集めました」と言った時にはアルバムを1枚ずつ買い揃えていくのと大して変わらないこととなる。それに音楽性も変化しているので、好みの時期のアルバムを買うので十分なのだ。

 なぜかYESの話になってしまったが、THE POLICE。良いバンドですよね。


THE SLUT BANKS - 1996 Find My Way ★★ (2017-04-14 22:49:12)

 All Time Best Album(①)1枚、New Mini Album(②)1枚、Promotion Video Collection(③)1枚の合計3枚組。値段は多少張るが、こういうのって私のような新しいファンには有難い。
 ①はこのバンドのブレなさ加減がとっても素敵なベストアルバム。全23曲収録。でも、これに収録されていない楽曲で、良い曲が他にもあるのがこのバンドの懐が深いところ。
 ②は7曲の新曲。まだあまり聴き馴染んでいないというのもあるけれど、現時点では『Roxy Baby』収録曲の方が好みかな。だが悪くない。決して悪くない。
 ③は特典映像のインタヴューが非常に興味深かった。動いている増田勇一さんが見られるのも、個人的には得点高し。もちろん内容そのものも濃くて素晴らしい。
 もう20年も前からやっていたんだ。もっと早く聴いていればよかったな。と思いますね。


THE SLUT BANKS - Roxy Baby ★★ (2017-04-14 22:38:02)

 結構色々手を出して、自分の好みのバンドはあらかた把握した気になっていても、やっぱりまだまだ良いバンドはたくさんある。
 このバンドもその一つ。比較的最近の発見。
 全然良い例えではないのだが、Rolling StonesとMotor Headが前者3:後者7くらいの割合で混ぜ合わさったような感じ。とっても格好良いざんすよ。
 歌詞は日本語なのだが、これが良いんだな。クサいんだけど臭くない、歌謡曲ちっくになるギリギリのラインまで攻めていながら、ロックなポイントは外していないというか。日本語(ハード)ロックの一つの到達点だと思う。
 全曲それぞれ良いんだが、今は2曲目(「Rock Baby」)と6曲目(「雨に打たれたとでも思へ」)が特に好き。後者はエレファント・カシマシのやさぐれロック曲の中にほろりと入っている、抒情無頼系楽曲(「風に吹かれて」とか)にテイストが通ずるものがあって、しみじみ良いんすよ。


THE SLUT BANKS - Roxy Baby - Rock Baby ★★★ (2017-04-21 20:51:23)

 曲の印象がAEROSMITHの「Back In The Saddle」を想起させる(テンポはもっと速い。あえて言うなら「Rats In The Cellar」よりちょっと早いテンポ)。
 リフのガガッ、ガー(デデッ、デーでもジャジャッ、ジャーでも良い)や、唄い出しの威勢の良さといい、ギターソロといい、とにかくイカしている。「イカしている」は死語かもしれないが、イカしているとしか言いようがない。格好良い。
 Rockの格好良さを「これでも喰らいやがれ!!」とばかりに体現してみせた名曲だ。


THE SLUT BANKS - ダイレクトテイスト ★★ (2018-03-17 23:08:37)

 楽曲については、前スタジオ作(Roxy Baby)の方に好きなものが多く収録されている。
 だが、今作も悪くない。同じくらい好きだ。
 音がね。音が良いんすよ。バンドの狙っているところに届いているね。

 カネタクさんのドラムの音が本当に良くとれている。ギターの音色も『Roxy』より良いかな。
 蛮音感が半端なくレベルアップしているね。最高に格好良いっす。

 ホント最高です。


THE SMITHS - Meat Is Murder ★★ (2013-05-18 19:27:09)

 これも、“いつか聴いてみたいな”と思っていて、中古盤屋でみつけたアルバム。
 正確には、本作を探していたのではなく、THE SMITHSというバンドの作品ならどれでも良かったのだが。
 いや、しかし。評価が定まっているバンドのアルバムなので、ここで改めて書く必要もないのだけれど、名盤ですね。ジョニー・マーのギターはアコギをかき鳴らす風で、でもメロディはしっかり印象的、ロックのエッジも感じさせます。あと、ベースのメロディが良いですね。こういうベース、好きです。
 モリッシーのVo.は好き嫌いが分かれるところだったろうな、と。昔、RO誌の記事を読んで(その当時は、ソロ・アルバムを出した頃だった)、“こういうアーティストなんだろうな”と、ほぼ思った通りの歌声、それに歌詞。嫌いな人なら「この軟弱野郎!!」と罵声を浴びせるかもしれませんが、僕は嫌いではありません。むしろ好きかも。でもやっぱり、“なんだか、クネクネしてんなぁ”と思うけど。
 もう一枚、別のアルバムが見つからないかな。


THE SMITHS - Meat Is Murder - The Headmaster Ritual ★★ (2013-05-18 19:39:15)

 メロディが好きです。
 歌詞読んでいると思いますね。「(学校)行かなきゃ良いじゃん」
 私も、それは(逆説的な意味で)“良い”学校出ていますから。気持ちが少しわかる。先生方は割と話せる人たちが多くて、頑張っていたけど、生徒がね。泥棒はいるわ、やる気はねぇわ、あまり使いたくない言葉だけど、馬鹿だわ。
 あれからもう随分経つけど、みんなちゃんとした大人になっているっぽいので、やっぱ、人間てすごいよね。「だって、人間だもの」(〇つ〇)という感じでしょうか。


THE THE - Dusk ★★ (2015-01-11 20:29:20)

 THE THEはこれしか持っていないし、今後も多分他の作品を買うことはしないと思うのだが、本作は名盤だと思う。
 全くキャッチーじゃないし、本当に太陽が沈みあたりを闇が徐々に覆っていく、というイメージそのままの作風である。
 各曲はどこか寒々しかったり、何か陰鬱だったり、一切の救いも出口もないような印象を伝えてくるのだが、聴き終えた後に感じるのは「それでも救済はある」ということだ。
 どんなことにも終わりはある。そして、それは必ずしもハッピーエンドではないかもしれない。
 だが、少なくとも次の一歩を踏み出すことが出来るのは、それだけでも幸福なことではないだろうか?


THIN LIZZY - Jailbreak ★★ (2017-07-15 14:06:29)

 もう、大体のところは上の方々のご発言を読めばわかるのだが。

 最近本作を良く聴いている。
 随分前に購入した輸入盤CD。フランスで作られたもので多分リマスターされていない。録音レベルが低く音はモコモコしている。
 しかも、これもかなり以前の夫婦喧嘩の結果、ブチ切れた妻が報復でCDにコーヒーをかけ(他にも被害多数)、紙の部分はよれておりコーヒーのシミがついている。ただCDの盤面には傷がついていないので、聴く分にはなんら問題はない。

 そういうわけで音はあまり良くないのだが、作品の良し悪しとはあんまり関係なく。なんか聴いていてほっこりする9曲が並んでいる。やはり名曲は①⑤⑥⑨なのだろうが、他の曲もなかなか味わい深い。スコット・ゴーハムとブライアン・ロバートソンのツインリードがどの曲でも気持ちが良すぎるし、ブライアン・ダウニーのドラミングって結構好きだ。勿論唯一無二のフィル・リノットの唄(半ば語りでサビを素敵なメロディにのせて歌う)。

 もうすでに評価も定まっており、改めて言うまでもないのだけれど、名盤!

 ああ、そうそう。夫婦げんかもよい(しょうがない)のだが、相手の所有物に手をかけるのは良くないと思う。見るたびに思い出すから。もちろん、相手に対し「私は怒っていた」ということを生きている間中思い起こさせたいのなら、有効な手段だが。長期的にみるとあまり夫婦関係の良い展望には役立たないけれど。


TOKIO - HARVEST - Mr.Traveling Man ★★★ (2016-08-06 19:48:53)

 『Harvest』は発表当時に購入し、ときどき引っ張り出しては聴いている。長い付き合いになっているし、そこそこ愛聴盤になっていると言って良いだろう。

 数日前、やはり何年かぶりに聴いていた。
 本曲は初めて聴いた時から好きだった。メロディは哀愁が漂いつつも芯の強さを感じさせるものがあり、何ともハード・ボイルドだ。
 歌詞も優れている。(生まれ故郷の)北海道にある、どこまでも真っ直ぐな道とギラツク太陽。遥か向こうに青く大雪山連峰が見える、みたいな(実際にどこかと問われるとイメージの世界でしかないのだが)。雄大さを感じさせると共に、迷いながら、傷つきながらそれでも進むという強い決意を感じさせる歌詞だ。

 で、ここで初めて気づいた。歌詞カードを見ながら聴いていたのだが、この曲の作詞・作曲者名が「清水昭男」であることに。
 もしや・・・。と今更ながら思ったのだが、どうもANTHEMの清水さんらしい。

 この曲には(そしてANTHEMにも)、(発表)当時から今に至るまで随分と勇気づけられてきたのだが、いやぁ。清水さんにはお世話になりっぱなしっすね。

 だからってわけでは全然ないのだが、名曲です。


TOKIO - HARVEST - 宙船(そらふね) ★★★ (2016-08-07 16:04:36)

 何故『Harvest』購入に至ったのかというと、この曲が収録されていたからだ。
 タイトルは忘れたが、長瀬さんが主演したドラマの主題歌に使用されていたのをたまたま聴いたわけだ。当時色々と打ちのめされるような思いをしていたため、聴いてかなり勇気づけられていた。

 「おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな」

 まったくそのとおりだ。
 社会に出てみないとなかなか実感できないのだが、世間には本当に色々な人がいる。
 「こいつ、邪魔だな」と思った時に、本気でその対象の排除に取り掛かる人間というのは実在する(これを読んでいるあなたが、そうでなければいいのだが)。
 
 意識的に対象を追い込んでいくタイプの人もいるし、無意識のうちに切り捨てていく人もいる。それをしていくばくかの罪悪感を感じる人もいるが、「俺はあいつに嫌な思いをさせられたんだ。犠牲者は俺だ」と完全に正当化できる人もいる。自然にそれを為し、全く何の感慨を持たない人もいる。

 いずれにせよ、悲しい事だが上記の方々に何かについて腹を割って話すのは止した方が良い。仕事上のつきあいで日々顔を合わせなければいけない場合は、あたりさわりのない付き合いにおさめておくに限る。友達になれるなどと思わないほうが良い。
 一緒に仕事をしていると、どうしても相手に自分の背中をあずけるような局面が出てくるのだが、上に書いたような人物が同僚だとなかなか困ることとなる。後ろから刺してくるからだ。
 (私はできなかったけれど)若いうちから人をみる目は養っておいた方が良い。

 「ちょっとオールをまかせたいんだけど、いいかな?」
 と頼んで、
 「おう。まかせておいてくれ」
 という人間と一緒に仕事を出来ているなら、それは大層幸せな事だと思う。
 余計な心配をせず、自分の仕事に集中できるからだ。

 作詞・作曲の中島みゆきさんが自分で歌ったヴァージョンは、もっと迫力(というかドロリとした情念)が感じられ、そちらも凄く良いのだが、TOKIOのヴァージョンもとても格好良いと思う。
 名曲。


TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS - Echo ★★★ (2014-03-03 01:56:45)

 自分でも理由が良くわからないのだが、どうもTOM PETTYが好きなのだ。多分この人独特の切ないメロディがツボなのだと思う。
 本作も、冒頭からツボに入りまくり。特に、一曲目、静かに始まったと思って聴いていたら、途中からドカンとバンドが入ってくるところなどロックだと思うし、やっぱりメロディが切ない。
 私は、トムがソロアルバムを出して以降の作品がどちらかと言えば好みで、そこはかとなく寂しげで、切なくて、だからといって過剰にメランコリックというわけではなく、むしろ少しダークなロックソングを愛好している。
 本作を聴いていると、起きると細部が思い出せないのだけれど、誰か懐かしい人に会って話をした夢を見たことを思い出す。懐かしい人といっても実在の人物ではなく、初恋の人やら好きだった人やらが一つの人格に統合された形で現れたような感じなのだけれど(ま、夢ですからね)。


TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS - Full Moon Fever ★★★ (2013-07-24 00:23:11)

 以前にも書いたが、TOM PETTYが好きだ。
 この人は、アメリカン・ロックならではの乾いた雰囲気をまといつつ、メロディは切ないというか、少し湿り気を帯びているところが(私にとって)大きな魅力だ。
 本作はトム初のソロ・アルバムなのだが、THE HEARTBREAKERSも(確か、ドラマーを除いて)全面的にバックアップしている。故に、ほとんどTOM PETTY & THE HEARTBREAKERSのアルバムである。
 1曲目の「Free Fallin’」でしっとりと始まり、2曲目の「I Won’t Back Down」へと続く流れは最高である。その後も緩急をつけながら、ポップで湿ってて、それでしっかりロックな楽曲が並ぶ。
 名盤である。


TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS - Full Moon Fever - I Won't Back down ★★★ (2013-03-17 05:27:07)

 ちょっと弱っている時に聴くと元気がでますね。

 「俺は引き下がらない。引き下がらないよ。
  地獄の門に立たされてもね。
  俺は引き下がらない

  浮足立つことなどない。回れ右などさせられない。
  この世界が俺を引きずり倒そうとしても、
  しっかり地に足をつけ、引き下がらない」

 (トムはいつものように)飄々と歌っていますが、固い決意がそこにはあります。
  

 


TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS - Greatest Hits - Mary Jane's Last Dance ★★★ (2013-03-17 05:12:40)

 '93年の『GREATEST HITS』発売に際し収録された、(当時の)新曲。
 BON JOVIのジョンがトムから影響を受けているんだろうな、と初めて思ったのは、ジョンの2ndソロ・アルバム収録曲の一つが、この曲に少し似ていたから。
 どっちも踊りが関係する曲なんだけれど、こちら本歌の方は、イントロのギターが少しばかりメランコリックで、それがまたクール。
 終始、物憂げな曲調ですが、絶妙なキャッチーさがあり大人の曲ですね。大好きです。


TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS - Hard Promises - The Waiting ★★★ (2013-03-17 04:07:28)

 BON JOVIの「Because We Can」に影響を与えたと思われる曲。 
 歌いだしのメロディが何となく似ています。

 この曲は恋愛の歌ですね。

 「待つっていうのは、身に応える
  毎日、君が切るカードは違うし
  信じ、心から受け入れてほしい
  待つって身に応えるよ」

 どうも恋が成就した後、その喜びと共に唄っているようなんですが、良い曲です。

 この人(達)の曲は、アメリカンなんだけど、絶妙にメロウなメロディが織り込まれていたりして、たまに無性に聴きたくなります。
  


TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS - Hypnotic Eye - Red River ★★★ (2014-11-06 18:14:19)

 ギターのリフもヴォーカルのメロディも、いかにもトム・ペティで、しかも大層出来が良いように思う。
 このなんというか、メロウというか、奥深い切なさというか。表現に苦しむのだが、イギリスのバンドとは異なる独特の湿り方と、変な言い方だが“乾いた泥臭さ”は、やはりアメリカ南部的な節回しなのだろう。大好きだ。


 彼女はピクチャー・フレームに入った、イエスの立体画を手に入れた。
 子供を得たが、名付けたことはついぞない。
 彼女は毛の上で蛇を揺すっている。
 そこに誰もいないような話し方をする。

 そう。今夜、俺と紅い河で会おう。
 水は清く冷たい。
 俺と紅い河で会いなよ。
 そしてあんたの魂の中を見おろそう。
 心の内側を覗くのさ。

 彼女はロザリオと兎の脚を手に入れた。
 彼女への贈り物におあつらえ向きの、黒猫の骨。
 彼女は虎の歯とゾッとしない棒切れを得た。
 だが、トリックに使うわけではない。

 そうさ。今夜、俺と紅い河で会うんだ。
 水は澄み凍えるくらいだ。
 俺と紅い河で会いなよ。
 それであんたの魂の中を見おろそう。
 心の内側を。

 俺はジプシー街へ下り彼女のもとへ。
 あちこち見回りスピリット・クイーンを捜す。
 泥と粘土ですっかり彼女の身体を化粧する。
 河で全てを洗い流そう。

 そう。今夜、俺と紅い河で会うんだ。
 水は澄みわたり冷たい。
 俺と紅い河で会おう。
 あんたの魂の中を覗くのさ。
 魂の奥底を。



 


 
 


TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS - Southern Accents - Don't Come Around Here No More ★★ (2013-03-17 04:44:59)

 これがTOM PETTY & THE HEARTBREAKERSを知るきっかけになった曲です。
 私もPVが好きでしたね。『不思議の国のアリス』が元ネタで、トムが帽子屋に扮して名演技を見せています。

 歌詞の内容はというとアリスには(多分)関係なく、「もう、このへんには来ないでよ」と、おそらく女性に別れを告げています。あるいはストーカーを追い払っているか。
 唄っている内容とはアンバランスに、美しくストリングス・アレンジされたメロディが癖になる名曲です。


TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS - Southern Accents - It Ain't Nothin' to Me ★★ (2017-02-06 21:40:48)

 所々で入るホーンも格好良い、ちょっとアップテンポな一曲。ライヴ・ヴァージョンもイケてる。
 斜に構えた歌詞もイカす。

 俺達は人類を月に立たせた(俺にとっちゃあ、そんなことどうでもいい)
 いずれもっと送る(俺にとっちゃあ、そんなことどうでもいい)
 金歯のニューギニア原住民
 おまえは気にするかもしれないが
 俺にとっちゃあ、そんなことどうでもいい

 だけどおまえが踊る時、俺はすぐに付き合う
 そうさ、おまえが踊るなら、俺は問答無用で付き合うぜ

 笑顔の政治家たち
 リッチなミュージシャンの曲
 東京に長距離電話をかけたら、女王がお茶しに来た
 おまえには意味のあることかもしれないが
 俺にとっちゃあ、そんなことどうでもいい

 俺の脚にまとわりつく犬
 俺は卵の上を歩いている
 後ろ向きに歩いている宣教師たち
 彼らは触れると流血する
 おまえは気にするかもしれないが
 俺にとっちゃあ、そんなことどうでもいい

 だけどおまえが踊る時、俺はすぐに付き合う
 そうさ、おまえが踊るなら、俺は問答無用で付き合うぜ


 


TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS - Wildflowers ★★★ (2013-03-17 08:34:04)

 '94年発表の2ndソロ・アルバム。
 2曲目の「YOU DON’T KNOW HOW IT FEELS」が目当てで購入したのだが、聴いてみると、1曲目のタイトルソングや4曲目の「YOU WRECK ME」が気に入ってしまった。
 初めて聴いてからもう20年近く経とうとしているが、今でもコンスタントに手に取っている。
 名曲・佳曲を多数収録した名盤である。

 


Twister (2014-07-05 20:56:42)

 これは映画もそれなりに良かった。スピーディーな展開。サブ・ストーリー(主人公とヒロインの恋の行方)もしっかり。見終えた後の満足度高し。など。監督が『Speed』のヤン・デ・ボンさんなので、まぁ、ハズレの無い映画だとは言える。
 ただ、こういう“良く出来たハリウッド映画”って、繰り返し観ても3回が限度な気がする。やはりいささか深みに欠ける部分が、そのうちにどうしても気になってくる。
 で、このサウンド・トラック・アルバムは、1曲目のVan Halen(「Humans Being」)目当てで購入した記憶がある。あと、14曲目のEdward & Alex Van Halen名義の「Respect The Wind」も。
 「Humans Being」は、いかにもサミー在籍時のVan Halenナンバーではあるのだが、今聴くと当時の音楽業界の状況を反映してか、明るく開くコーラスを除いては結構ヘヴィ。
 そして「Respeect The Wind」は好インスト・ナンバーだが、ゆったりしたテンポで哀愁が漂うもの。個人的にはこういう路線より、もっとスケール感をバンと出して、少々明るさをまぶして欲しかったという感想を当時は持ったし、今も同じに思う。収まりが良すぎて、こじんまりとしてしまったように思う。
 サウンド・トラック・アルバムとしては、“この映画の為に書きました”という曲がそこそこ多いので、まぁ、良い楽曲集として評価できるのではないかと。


U2 - No Line on the Horizon ★★★ (2014-11-02 01:21:56)

 なんか上の方々のコメントを見ると評判はあまり芳しいとは言えない。実際、セールス的にも期待されていたほどには良くなかったようなことを伝え聞く。

 だが、私は本作が結構好きで、良く聴く。
 U2というバンドの、どのような点が気に入っているのかというと、安全な道(方法論)を避けるという、音楽への接し方の徹底してストイックな態度だ。これまで、“ヌルイ”作品を発表したことは一度もなく、本作もそうだ。

 それだけではなく、本作が好きな理由の一つとして、作品に薄いヴェールのような神秘的な雰囲気が被せられていることも挙げられよう。
 どうしてそのような雰囲気を纏うことが可能だったのか、そしてどのようなメロディもしくはアレンジだとそうなるのか、具体的に挙げられないのだが、とにかくそのように感じられて仕方がない(間違っても楽曲を無視し、ジャケットのアートワークの印象だけでそのように捉えているわけではない、と明言しておこう。逆に、楽曲群の雰囲気を完璧に表したアートワークであるとの評価はするが)。

 名盤である。

 


U2 - Songs of Innocence ★★★ (2014-11-14 22:36:39)

 今までに聴いたことがないくらいにシンプルなU2である。
 だが不思議なことに、これまでと同様に作品が有する深みはそのままだ。アレンジがシンプルになったから単純化したという印象はない。
 具体的な名称を挙げられないのだが、とても美味しくて甘いお菓子を舌の上に乗せたら、あっという間に溶けていくような、そんな楽曲たちが並んでいる。アルバム全体の構成も一本調子ではなく、起伏が設けられ良く練られているように思う。

 大上段に構えて集大成したという、そういう作品ではない。原点回帰しました、という感じでもない。
 自然体でU2のアルバムを作ったらこうなりました。そりゃあ、これまでの作品で色々やったことの成果が、ちょっとずつ反映されているかもしれませんがね・・・。という作品である。
 新たな名盤。


U2 - Songs of Innocence - Every Breaking Wave ★★★ (2015-02-16 18:38:44)

 本作の楽曲は皆好きだが、中でも今一番気に入っているのがこれ。
 こういう優し気で、寂し気で、悲しい(でも勇気づけられるような)楽曲は、U2とかR.E.M.でないと聴けない。だから長い間聴き続けているのだけれど。

 もし君が行ってしまったら?
 もし君が君の道を行き、僕も自分の道を歩んだら
 僕たちはそうなるの?
 僕たちはそのように、潮の満ち引きに為す術もないのかな?
 ねぇ君。通りにいる犬だってみんな知っているよ
 僕たちの愛が成就しないことを
 僕たちには、潮の流れのままに身をまかせる覚悟が出来ているのだろうか
 砕けていく波の全てを、追わないことを


U2 - The Unforgettable Fire - Pride (In the Name of Love) ★★★ (2014-11-14 23:05:23)

 一番上の方と同様に、U2というバンドの名前を頭に刻んだ、最初の切っ掛けとなったのがこの曲。
 多分、ラジオのヒットチャートか何かで流れてたんじゃないかな。当時、エアチェックというやつを熱心にやっていたし。
 だから、後追いながらアルバムをCDで集めだした時、最初に買ったのがこの曲が収録された『The Unforgettable Fire』だったように覚えている。その次に、出てからそんなに経ってなかった『Achtung Baby』・『Zooropa』を聴き、やっぱりMTVなんかでプロモーション・ビデオを観て記憶していた『The Joshua Tree』を買い、その他のアルバムに進み、みたいな感じだった。
 『Zooropa』発表の頃あたりから本格的に聴きだしたとして、すでに20年以上経っている。
 「PRIDE」を初めて聴いた頃というと更に遡り、中坊だった。
 そういう意味では、この曲はまあ青春の一曲だな。

 エッジの特徴的なギターや、ボノのヴォーカル、キャッチーなのだが単なるポップソングに堕すことを許さないボノのヴォーカル・メロディ。青い空をどこまでも上昇していくかのような、開放感。U2の名曲は数多くあるが、その中でも一つの画期を成す名曲であろう。


UNISONIC - Light of Dawn ★★ (2014-08-03 17:07:59)

 良く出来ています。
 だが、正直な心情を申しますと、期待が大きすぎたのでしょう。あまりに予定調和的な部分が強すぎて、少しばかり物足りません。
 いや、とても良いアルバムですよ。マイケル・キスクが本当に気持ちよく歌っているし、カイとマンディのギターも前作以上にこなれてきており、聴き応えは確実にアップしています。前作を82点とすると、本作は87点をつけて良いでしょう。
 では、何が足らないのか、というと、デニス・ワードがマイケル・キスクを研究するにあたり、方向性をちょっと間違えたかな、と。
 率直に言うと、本作のキーワードは“安心”と“皆の望み”の二点です。要するに、「みんなが、マイケル・キスクの歌に望んでいるものって、こういうのでしょ?」というのが、デニスが作った今回のアルバムだと、私は感じました。で、私はというと、そういう安定感よりは、半歩進めて後頭部をガツッと殴られるような衝撃が欲しかったかなぁ、と。贅沢ですね。それはわかっているんですが。
 「マイケル・キスクは、ここまで歌っちまうぜ!凄いだろ?!」という、ちょいキレ気味な部分が垣間見たかったかな。
 まぁ今回は、マイケルが気持ち良さげにしてるから、それだけで良しとしましょう。


UNISONIC - Light of Dawn - Exceptional ★★ (2014-08-11 00:47:34)

 おっと。
 好きな曲がもう一曲増えた。
 改めて聴いてみると、これも結構良い曲だ。
 2ndアルバムは、現時点では後半の楽曲群の方により大きな魅力を感じているのだが、前半も、この曲が配され、そんなに悪くないかも。
 ギターのハーモニーが気持ちよく、少しウェットなメロディがなかなか良い。


UNISONIC - Light of Dawn - Throne of the Dawn ★★★ (2014-08-11 00:33:14)

 発表された2ndアルバムの中で、気に入った曲が2曲ある。これはその1曲。
 アップ・テンポだというのもあるのだが、少しダークなリフとヴォーカルのメロディ・ラインが非常に魅力的だ。
 マイケル・キスクが上手いヴォーカリストだということは、ファンの皆が知っている。そして、ハイ・トーンが魅力的だということも、周知の事実だ。ライヴで再現可能ということも。
 明るく開いていくようなメロディ・ラインが、この人の十八番ではある。だが本曲のように、違った魅力が伝わってくるような曲を、もっと聴きたいな、とも思う。
 マイケル・キスクの場合、そもそも「HMを歌うのは嫌だよ」と公言していたので、そういう人にUNISONICは2ndでHMを元気一杯歌わせているわけだ。それだけで「よくやりました」と褒めてあげたいのだが、マイケルの魅力が全開する王道パターンだけではなく、別のパターンを色々と試してもらいたい。このバンドならHM/HRの枠内で、かなり高いレベルでそれを可能としてくれるのではないか、と期待している。


UNISONIC - Unisonic ★★ (2012-04-01 15:55:45)

 久しぶりにマイケル・キスクがメタル寄りのHRを歌うのを聴いた。
 私はHELLOWEENの1stと2ndがとても好きで、キスクの歌唱力も高く評価していたのだが、ソロ1作目を聴いてがっかりしてしまい、これまでの間聴くことをしなかった。
 本作でのキスクの歌は、“あの頃”と変わっておらず、表現力が増した部分があるようにも感じ、まことに感慨深い。
 本作の聴きどころは、キスクの歌だけではない。ツイン・ギターが素晴らしく良い。
 B!誌で二人のギタリストがそれぞれで語っているように、リズム・ギターも二人で刻んでおり、これは聴いていて飽きない。ギターはかなり聴き応えがある。音楽の種類は異なるが、THIN LIZZYやIRON MAIDENが有するそれと同質のものを感じた。
 楽曲は、ASIAや最近のJOURNEYが、ハードさが2割増しになったような印象を受ける。要するにキスクが居た頃のHELLOWEENっぽさを求めると、失望する可能性が少しあるのだが、カイが居るのでメタルのエッジは加わっている。
 個人的にはとても満足した。彼らの傑作アルバムは次作以降に現れるものと期待するが、本作も名盤である。
 


VAN HALEN - A Different Kind of Truth ★★★ (2012-02-13 10:13:43)

 正直、ここまで素晴らしい作品が発表されるとは思っていなかった。
 ①でちょいとジャブをかまし、②以降、ガコンガコンとギアチェンジ。④でトップスピードでそこから先、最後までジェットコースターよろしくVHワールドを堪能できる。傑作である。
 確かに、B!!誌の広瀬編集長が言うように「JUMP」はないし、それで良いと私も思う。
 エディのギターは切れまくっていて緩急自在。さらりと簡単そうに変態リフも刻んでいる。
 息子はというと、これがしっかりと上手い。少しテクニカルなプレイヤーである気配がありつつ、しっかりグルーヴしている。聴いていて根拠をさっと挙げられないのだが、ビリー=シーンを思い出すところがあった。
 デイヴはというと、この人は本当に変わらない。相変わらず、節回しとそのだみ声が強烈な個性を放っている。で、基本的にやっぱり上手い。
 CD発売、ツアー敢行という流れも、「やるときゃやるぜ!」という思い切りの良さに溢れている。 
 「今、CD売れないし、デジタル配信の方がバンドは儲かるし・・・。いや、そもそもたまにライヴやって懐メロをプレイしているのが、一番儲かるよね」なんて言っている某バンド達に爪の垢を煎じて飲ませたい。
 もう一度繰り返すが、本当に素晴らしい、傑作大復活アルバムである。


VAN HALEN - Fair Warning ★★★ (2012-10-29 18:55:08)

 このバンドの諸作品の中で、最後に(つい先日)購入したのが本作。
 理由はアートワークが薄気味悪かったためなのだが、聴いてみたらこれがまぁなんと。とても素晴らしい。
 エディのギターがとんでもないことになっているのも良いのだが、曲としてもコーラスがとてもキャッチ―だったりして、正直、①~⑤を聴いて完全にノックアウトされた。超名盤である。
 私はこのバンドの作品(曲)で同時代的に聴いていたのが『1984』以降で、その中でもヴォーカルがサミー・ヘイガーに交代した『5150』が最も好きだ。1stから5thは完全に後追いなのだが、この4thがこんなに良かったとは!!デイヴ時代の作品の中では、一番好きである。

 蛇足だが、アートワークがやはり気になったのでちょっと調べてみたら、なんのことはない、結構有名な画家の作品(「The Maze」という、暴力的な情景がセルで区分けされ、全体で人間の形となっている作品)の一部をいくつか選び、再構成して作ったものだった。元の作品は、全体を見ると気持ち悪いものではなく、作者の暴力的な妄想もしくは、世界で絶えない暴力的な事象を悲しむかのような作品だった。
 作者について「精神病院の患者」と言うのは、決して間違いではないが、「精神病(統合失調症や鬱病といわれている)を患って病院に入院した画家」と言った方が適切かも。インターネットでちょろっと見ただけなので、誤りもあるかもしれないが。「The Maze」はネットで検索すると簡単に見れますので、興味のある人はどうぞ。作者名はKurelek。本作の印象が少し変わるかもよ。


VAN HALEN - Tokyo Dome Live in Concert ★★★ (2015-04-18 18:51:35)

 さて。申し訳ないんだが、ライヴ盤には、ちとウルサい。

 ダメなライヴ盤というのは、例えば以下に列挙するとおりだ。
 
①声が出ていない
 ダメなんである。スタジオ録音では出ていた高音が再現されていないのは。
 いや、実はそれはまだマシな案件か。
 そもそも、高音が出ないどころか、スタジオ・アルバムではそこそこ聴けるんだが、ライヴではド下手糞というバンドもある。ほとんど妖怪不祥事案件だ(RA〇Tとか?。でもライヴ盤をリリースしていないのだから、オノレを知っているんである。エラい)。
 とにかく、Vo.だけでなく、ライヴでの演奏でアルバム収録曲が再現されていないのは、厳しい(厳しいどころか、③に続く)。
②音が悪い
 ダメなんである。音が悪いのは。
 そもそも聴き苦しいので、作品に没頭できないのだ。これは録音技術の進歩とは全く別の次元の話で、大昔のライヴでも、もの凄い臨場感や雰囲気を伝えてくれるものがある一方、最近のでも「あんだこりゃ」というのは存在するんである。DEF LEPPARDの『MirrorBall-Live&More』とか(あ。書いちゃった)。
③ライヴ演奏がスタジオ録音ヴァージョンそのまんま。プラスα全く無し!
 ダメなんである。スタジオ録音ヴァージョンと全く同じでは。
 だいたい、そんなものリリースする必要があるんだろうか。ちょっとテンポが走るとか、演奏は荒っぽいんだがキレているとか、スタジオ・ヴァージョンでは聴けないものだから、リリースする価値があるってもんだ。そもそも、ライヴ会場に足を運ぶ理由って、そこだろ?!
 そういうわけで、“スタジオ・ヴァージョンがきちんと再現されています”程度のものは、ライヴ盤としての存在意義は無いのだ。

 それで本作だが、正直1曲目の「Unchained」はエディのギターにゾクゾクきたものの、デイヴの唄のテンポがなんだか怪しいように聴こえて、「おいおい。こりゃ大丈夫なのか?とんでもない駄作つかまされたか?」と一瞬思ったのだが、杞憂だったわけである。

 最高のライヴアルバムである。デイヴもエディも、アレックスも、ウルフガングも、皆、最高だ。
 コーラスワークもバッチり。名曲の雰囲気は完全に再現されており、再現されているどころでなく、それにプラスしてエディのギターが切れまくり。デイヴのエンタテイナーぶりが爆発しまくり。声絶好調。
 アレックスは相変わらずダカダカ、シャンシャンと派手で、ウルフガングはやっぱり上手いと思う。やるな!坊主!

 ライヴ会場に行った人は、本当に良いライヴを体験しましたね。
 繰り返すが、ちょっと珍しいほど出来の良いライヴ盤だ。しかも2枚組、全26曲収録で2,500円だ。
 買え!買って聴け!
 そしてノレ!ノリまくれ!!