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帰ってきたクーカイさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1-100

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帰ってきたクーカイさんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 1-100
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AC/DC - Rock or Bust ★★ (2014-12-07 09:13:43)

 2014年発表。前作『Black Ice』から6年ぶり。
 前作も“久々の新作”で、その重厚感が印象的であったのだが、本作はシンプルかつラフだ。「そうそう。AC/DCって、こういう音を格好良く鳴らすバンドだよね」と、改めて納得させられてしまった。
 音が良い。ギターもベースもドラムも格好良く鳴っている。ブライアンの声は言うまでもない。不変だ。
 リフが良い。ヌルい曲やタルい曲は皆無。全曲ノレる。
 収録時間が長くないのが良い。あっという間に聴けてしまい、すぐにまた聴きたくなる。昔のLPレコード(で良いアルバム)ってこんな感じで聴いていたな、と思い出す。
 一曲がコンパクトで冗長でなく、旨味が凝縮されている感じだ。そのような意味では先日発表されたU2の新譜みたいだ。良い曲が並んでおり、次から次へと間髪入れずに繰り出される。
 制作体制に大幅な変化があったのだが、その音楽性は微動だにせず、逆にバンドの本質的な部分を最良の形で取り出して見せている。プロデューサーであるブレンダン・オブライエンの手腕も影響しているのか。
 名盤だ。

 


ACCEPT - Blind Rage ★★ (2014-08-21 22:08:17)

 このアルバムはかなり良いですよ。3つ星あげたいくらいに(あげてないけれど)。
 前作は冒頭からガツンと王道、ストレートど真ん中で1・2曲目あたりで名盤確定でしたが、本作は変化球できましたね。前半はヘヴィです。前のアルバムとの差別化を図ろうとしたのかは不明ですが、個人的には非常に好印象。
 基本的には全曲が良く練られています。リフもギターソロも。特にギターソロの完成度の高さは、ANTHEMの清水さんみたいですね。「次はどんなソロが待っているのか」。それだけを楽しみに聴いていても、本作はかなりイケますよ。
 そういう意味では、ラフさというかガムシャラな勢いは、少し前作に軍配が上がるかな。でも、トータルな完成度の高さは、本作が少し勝るような気がします。これだけ良い曲が揃っており、配置にも気を遣われていると(後半になるとメロディアスの度合いがグングン増してくる)、聴いている私も満足です。確かに、1曲、特に突出した出来の曲が収録されていると完璧な名盤なのですが、それは難しいよねぇ。この楽曲群の中にあって、さらに良いもの、といっても。“全HM界の中で20年に数曲”レベルの名曲を求めるようなものかとも思います。
 そういう本作なのですが、まぁ、強いて言えばボーナス・トラックはいらなかったかな。いかにも一昔前のCDに良く収録されていた“ボー・トラ”みたいで味はあるんですが、本編ラストの曲の出来が相当良くて(21世紀版「METAL HEART」)、その余韻を殺してしまったのがもったいない。


ACCEPT - Blood of the Nations ★★★ (2012-05-27 19:08:34)

復活作考②

 今さらながらだが、コメントを。
 本当に素晴らしい作品である。
 正直なところ、2年前の発売時に購入したのではなく、先日、最新作(これがまた、とんでもなく良い!!!)と共に入手し聴いたのだが、掛け値なしに傑作である。
 何故、発表時に購入しなかったのかというと、ACCEPTは自分なりに思い入れのあるバンドだからだ。中坊の頃、「(北海道の)旭川にタワーレコードが来る!」ってんで、友人と一緒に行き、そこで「METAL HEART」のジャケットを見て以来、ラジオでウルフの「エリーゼのために」のメロディを取り入れたソロを聴いて以来、このバンドはちょっと自分の中では“青春のバンド”なのだ。
 だからして、正直「全盛期のイメージを大切にしておきたい」と思っていた。
 しかしここにきて、このバンドをめぐる盛り上がりに抗しきれず、自分ものっかってみた。
 もう、涙が出てくるくらいACCEPTだ。ACCEPT以外の何物でもない。
 この場において、他の作品との比較はあまりしたくないのだが、「BALLS TO THE WALL」や「RUSSIAN ROULETTE」と同様の名盤である。
 しかも、信じがたいことにVo.を変えてのこの仕事!
 復活のあり方としては掟破りだが、この出来には参った!


ACCEPT - Stalingrad ★★★ (2012-06-09 22:54:28)

 文句なしに素晴らしい作品。
 私も、もぶるーるずさんと同じく、最高傑作と言い切ってしまっても良いと思うくらい、聴き応えを感じている。
 ギターのサウンドもメロディも最高だし、ツインギターの醍醐味ってやつを、これでもかってくらい味わえる。
 マークの歌も最高だ。ウドに似ているとかなんとかっていうのは、前作を聴いて「もう、そういうレベルで語るようなものではない」と感じてはいた。例えばAC/DCでいうと、ボンの後をブライアンが引き継いだようなもので、どちらも最高ということだ。
 マークの歌は、つぶれ具合とひしゃげ具合が絶妙でエッジが立っており、ハイトーンがこれまた最高。それに加え、今作はヴォーカルメロディにフックが満載だ。
 本アルバムはアップテンポの曲が多く、へヴィでメロディアスで、なによりACCEPT以外の何物でもない。繰り返すが、文句のつけようが本当に無い。

 メタルが好きなら、聴いておかないと後悔するよ。


AEROSMITH - Music from Another Dimension! ★★★ (2012-11-12 16:32:50)

 もぶるーるずさんの意見を批判するわけでなく、「こういう他の意見もありますよ」ということで読んでいただきたいのだが、私は本作を聴いて『TOYS IN THE ATTIC』(3rd・1975年発表)と『ROCKS』(4th・1976年発表)の頃のエアロが帰ってきたなと思った。あの頃の、STONESがより過激になったような楽曲に、鉈をぶん回すかのようなギター。要するに粗暴なエアロが復活している。
 先日コメントしたKISSの『MONSTER』もそうであったが、本作も'70年代の頃の自分達を基準に据えたアルバムと受け止められる。そして、単に回帰するのではなく、これまでに培った、磨き上げた全てを、楽曲にぶちこんでいる。故に、ときたま(本作においては主にバラードで)近作で感じられた雰囲気がフッと立ち上る瞬間がある。
 私は『PUMP』(10th・1989年発表)や『NINE LIVES』(12th・1997年発表)も好きだが、同じ位3rdと4thアルバムも愛している。よって本作の、この集大成というべき出来は大変喜ばしい。
 あえて、苦言というより特徴の指摘として挙げておくなら、本作は突出した楽曲がないように思う(あくまで個人的見解として)。これまでのアルバムなら、いかにも「これが代表曲」という曲が収められていたのだが、本作はそうではない。しかし、味わい深い良い曲がずらりと並び、野球に例えるならホームランは出ないがサイクルヒットで大量得点という感じだ。まぁ、本編だけで、15曲もあるので、さすがに13曲目以降、ちょっとダレるが。
 聴いていて嬉しくなってしまったので、グダグダと長く書いてしまったが、エアロを初めて聴く人も、オールドファンも共に納得の傑作だと思う。


ALCATRAZZ - Disturbing the Peace ★★ (2012-03-24 23:40:28)

 1stも素晴らしいと思うが、本作もかなり好きだ。
 まぁ、私はスティーヴ・ヴァイが好きだからなのだが、本人が「僕が作った唯一のへヴィ・メタルだよ」とコメントしており、そういう意味でも興味深く聴ける。とは言え、本作はへヴィ・メタルではないと思うのだが。
 笑えるのはグラハム・ボネットで、この人は本当に節操がないけれど、優秀な才能を見抜く力はあるし、やはり優れたヴォーカリストである。
 いろいろな意味で、本作は面白い作品。飽きない。


ALCATRAZZ - No Parole From Rock'n'Roll ★★★ (2012-03-26 17:00:28)

 年齢の離れたヴォーカリストは、若いギタリストを呼んで言った。
 「お前、この曲を聴いたことは?」
 ヴォーカリストは自分が以前いたバンドで、彼の後任者が歌っている、ある曲のリフのメロディを歌って聴かせた。
 「あぁ。あるかも」
 ギタリストが答えると、ヴォーカリストは言った。
 「俺は、今のリフは最高だと思うのだが、ヴォーカルメロディは最低だと思う。ついでに言えばタイトルも」
 ギタリストは肩をすくめて見せた。
 「このリフを使って、曲を書いてくれ」
 ギタリストはそれを聴いて眉をひそめ、言った。
 「そういうのって、盗作って言うんじゃないの」
 「盗作ではない。お前の独創的なギターで一ひねり加えるし、ソロも最高なものを入れる」
 そしてヴォーカリストは付け加えた。
 「今作っているアルバムに、似ている曲があると注目されるだろう。あのマエストロに、ギターの新しい時代が到来したことを教える良いチャンスになると思うが?」
 若いギタリストの目が一瞬光ったように見えた。
 「いいよ。やっても」
 ギタリストはそういうと、部屋を出て行こうとした。その背中に、ヴォーカリストは言った。
 「あぁ。俺のメロディも書いておいてくれよ!シャウトが効いたやつをな!」

 というのは全くの作り話だが、あの曲を聴いていて想像してしまった。実際はどうだか知らない。
 捨て曲無しの名盤だということは、すでに上の方々が語っているとおり。
 イングヴェィのギターはかなり気持ちが良い。傑作。


ALICE COOPER - Trash ★★ (2013-05-11 19:10:24)

 これも、“いつかは聴いてみたかったCDを中古盤あさりで”見つけた。
 正直、絶品ですね。
 アリス・クーパーその人も、結構ポップセンスに優れた人で、バンド名義でやっていた頃からフックのある楽曲群を書いている。だが、本作は何と言ってもデズモンド・チャイルド。デズモンドさんの手腕がバリバリに光りまくり。
 なんて言うかデズモンドさんは、アーティストが作った楽曲を聴くと、メロディの膨らませ方がわかるんだろうね。“ここ、こういうラインで持っていくと、かなりイケルな!”みたいな。
 と言うわけで、本作はアリスとデズモンドさんの共作。で、デズモンド色強し。’80年代後半の、ポップでフックががっちりついて、エッジも忘れられていない(でも、しばらく聴き込んでいくと一部飽きも生じる)アルバムを、いくつか思い出しました。全く懐かしい。
 名盤です。


ALICE IN CHAINS - Black Gives Way to Blue ★★★ (2014-05-07 19:14:25)

 実は避けていた。
 レインが亡くなった後のこのバンドを。
 何故、聴く気になったかと言うと、B!誌の増田さんの記事だ。“この人がそう言うのなら・・・”というわけでもないのだが、・・・いや。本当のところは「そういうわけ」なのだ。長年、音楽を聴いてそれに関して書かれた文章を楽しんで、ということを続けていると、「この人は自分と好きな音楽がかぶるな」という人が何人か出現してくる(実はそれだけでなく、書かれたものを継続的に目にしていると、あるアーティストを盲目的にただただ、持ち上げてしまっている人と、そうではなく、アーティストの創造物に対し、“それが、どこから現れて、どのような意味を持ち、どこにいこうとしているのか”を探究しようとしている人の違いも分かってくる。読んでいて圧倒的に面白いのは後者であることは疑いない)。
 そういう人が、「自分は好きだ」という意見を表明していると、聴いてみようかな、と言う気になる。

 で、聴いてみたのだが、全く素晴らしく良い。
 今日は調子が悪かったので、一日布団にもぐりこんでこれを聴いていた。
 最初から最後まで、良い。実は私は1stと2ndは「通しで聴くと、ちょいとしんどいな」という感想を持っており、3rdが一番好きなのだが、その3rdから半歩前進、という感じだ。
 個々の楽曲について、そのうち語りたいことも出てくると思うが、とりあえずこれだけは言っておきたい。レインの不在については今更どうしようもないことだが、ウィリアムが良いとか善戦しているとかそれとは関係なく、本作は素晴らしい。


ALICE IN CHAINS - Rainier Fog - Never Fade ★★ (2018-10-26 19:41:59)

 アルバム収録曲中最もアップテンポな曲。このバンドにしては珍しく威勢が良くて元気。
 歌メロがそこはかとなくキャッチー。特にブリッジやコーラスのところ。
 前作・前々作にも、「お。良いねこれ。好きだ」という曲が1曲は必ずあったわけだが、今回のアルバムで言えばこの曲がそれ。
 アルバムの展開にも素敵な起伏をつけてくれており、良い仕事をしています。
 


ALICE IN CHAINS - Rainier Fog - The One You Know ★★ (2018-10-08 19:05:07)

 音が以前にも増して抜けが良くなったように聴こえる。あくまで印象の話だが。ドロンとした感じが減ったような。これも気のせいかもしれないが、何だか聴きやすいんだよ。
 レイン不在で3作目。だがあくまでAIC。これまでの焼き直しに堕すことなく、バンドの可能性を追求し続けているある意味職人的な仕事がここに。そういうアルバムの開幕を告げる、これまでどおりなのだが清新な何かを含む一曲。


  俺がいようがいまいがどうでも良いことなのか教えてくれよ。
  場面転換。詐欺師。

  お前の知っている俺じゃない。

 

 
 


ALICE IN CHAINS - The Devil Put Dinosaurs Here - Voices ★★★ (2014-04-21 19:59:00)

 実はレインが死んでから以降、このバンドの作品は前作もこの曲が収録されている新作も、聴く気になれなかった。だが、B!誌で増田さんが評価していたので、興味を持った(余談だが、増田さんのインタヴューやレヴューは、共感を持って読める数少ない文章の一つだ)。
 聴いたが、Vo.がウィリアム・デュヴァールになってからの2作品は、どちらも好印象だ。
 中でも、この曲は名曲だと思う。アコースティックなアリスとロックなアリスが絶妙な形でブレンドされている。

 皆、聴いてくれ
 俺の頭の中の声を
 皆、聴いてくれ
 君も俺と同じように聴こえているのか?


AMORPHIS ★★★ (2011-06-18 00:01:39)

 新作『the Beginning of Times』を聴きました。
 とても素晴らしい。
 特に2曲目。激しく、美しく、メロディが頭から離れなくなるくらい印象的です。
 このような作品に出会えるから、HM/HRを聴くことをやめられないんですよね。まだまだ、聴くほどに新発見がありそうな奥深さも垣間見せ、確実に名盤と言えましょう。 作品はこの新作しか知らないのですが、とても良いバンドですね。驚きました。


AMORPHIS - The Beginning of Times ★★★ (2011-10-08 00:52:28)

 もう最近は、あまり新しいバンドを開拓したりしないんですが、B!!誌のレヴューに誘われて本作を購入。
 はっきり書きますが傑作です。
 今、一番好きな曲は②で、このメロディの美しさ、それでいてHMとしてのエッヂを失っていない音作りは、まさに驚嘆の一言。中盤のキーボードソロが、またなんというか、どこか懐かしい感じで・・・。大好きですね。
 こういうバンドとの出会いがあるんで、いまだにHM/HRを聴くことをやめられないんですよ。


AMORPHIS - Under the Red Cloud ★★★ (2016-05-18 21:03:12)

 発売後時を置かずして購入したのだが、聴き込むのに時間が必要だった。
 こういうスーラの点描画や、チベットの砂絵のような細かなところまで気持ちが行きわたった作品は、やはりじっくり聴いてからでないと、コメントがしづらい。パッと聴いて「良いよ、これ!」って言いたいところなのだが、全体像を把握したという実感が伴わないと、筆が進まないのだ。

 実際、一聴して「良いよ、これ!」なのだが、月並みな表現だが本作は奥が深いのだ。もの凄く好きな音なのだが、何に心がひかれるのかな?と考えていた。やはりキーボードで奏でられる民族音楽っぽいメロディだろうか。これがとてもメロディアスで、心に沁みる。ただそれだけでなく、ギターで奏でられるリフはエッジが効いており、ヘヴィ・ミュージックとして絶妙なバランスなのだ。
 キーボードのメロディが耳をひくのは5曲目や7曲目かなぁ。特に5曲目は好きだ。これ、なんだろう。ケルトっぽいメロディのようにも思えるのだが、こういう土着的な音楽はアイルランドや北欧など欧州の周縁部に良く残っているものなのだろうか。
 私は前々作が好きで、今でも変わらず好きなのだが、本作は前々作を超えている気がする。
 傑作だ。


ANDREW W.K. - I Get Wet - It's Time to Party ★★★ (2015-05-09 21:55:45)

 何コレ珍名曲①

 長い間一つのジャンルの音楽を追っかけていると、「何だこれ?!でも良いじゃん!」という曲にいくつか出くわす。この曲もその中の一つ。
 全ての空間を埋め尽くさんとするアンドリュー。同じような手法を取った人と言えば、ジンジャーとかデヴィン・タウンゼントが挙げられる。この手の音づくりは、耳が良くて音作りの才がないと不可能だ。なにせ、埋めると共にその埋めた音が綺麗に聴こえてないと体を成さないからだ。当然、メロディはキャッチーでないといけない。ただ単にウルサイだけでは、音を丹念に重ねてもただのノイズにしかならない。
 そしてネタは“パーティー・マッドネス”。
 ほとんど出落ちである。
 まぁ、2枚目、3枚目のアルバムも、ひたすら〝パーティー”でのしていくのは相当難しい。そして、そんなことは頭の良いこの人の事だから、わかっていたはずなのだ。
 それでも、〝パーティー馬鹿”で一枚作らずにはいられなかった、そしてその記念すべきアルバムの冒頭を飾ったこの一曲は、一人のアーティストが生命を懸けた真に偉大な一曲だ。
 たまにこういう想像を絶する馬鹿者が出てこないと、ROCKもつまらないんである。


ANGRA - Temple of Shadows ★★★ (2012-03-11 05:37:51)

塩野七生さんの『十字軍物語』を読んで①

 読んでいて思い出したのだ。「十字軍に関係するアルバムがあったな・・・」と。
 その一枚がこれ。随分前に購入していたのだが、3曲目から先になかなか聴き進めなかった。
 何故なら、以前から書くように、私はいわゆる「メロディック・スピード・メタル」が苦手だからである(ちなみに1stの『ANGELS CRY』を、聴き馴染めなくて売った人間だ)。
 だが、今回『十字軍物語』のBGMに使用したところ、するすると聴けたではないか。全編を。
 というわけで、まだまだ聴き込みは足りないのだが、本作は上で多くの方々が述べておられるように、音がかなり良い。各楽器が鳴るべき音で収められている。そして、メロディがとても良く練られている。美しい。それでいて、きちんとHMとしてのエキサイトメントも感じさせてくれる。
 とても完成度の高い良い作品であることを、今更ながら知ったわけである。
 喰わず嫌いにしていた人間をも納得させた、充実の一枚だ。


ANTHEM - Absolute World ★★ (2015-01-05 15:17:13)

 以前もどこかに書いたが、何がダメってラーメン屋に行ってぬるいラーメンが出てくることこそダメなものはない。そしてANTHEMについては(変なたとえだが)、ラーメン屋にたとえると熱々のラーメンを毎回期待に違わず出してくれる。今回もそれは変わらない。
 Vo.がエイゾーさんから森川さんに変わったのだが、本作の音楽性はこれまでの世界観をきっちり引き継ぎ、更に前進しようという心意気に満ち満ちたものだ。これは、これまで聴いてきたファンにも納得のいく方向性である。何故なら、森川さんに変わった途端に音楽性が大きく変わった場合には“今まで積み上げてきたものは何だったのか”との疑念を生じさせるからだ。私は前作が大好きで、再結成ANTHEMエイゾー期の諸作品の中でも最高傑作であると受け止めているのだが、本作はその作風を受け継いでいる。新たな最高傑作がもう一枚増えた、という印象だ。とても嬉しい。
 エイゾーさんの時代は素晴らしかった。良い作品をたくさん聴かせてくれた。坂本英三さんにお礼を述べるとともに、これからのANTHEMにも大いに期待したい。
 ますます熱く燃え上がる、漢(おとこ)の唄を聴かせて欲しい。森川さん、お願いしますよ!
 そして田丸さん、ヘルプから正式メンバーへの昇格、おめでとうございます。DVD見ましたよ。折れない心とその頑張り、しっかり伝わってきます。これからもANTHEMのボトムを柴田さんとともにお願いいたします。


ANTHEM - Burning Oath ★★★ (2012-11-30 01:48:20)

 仕事が忙しくかったため、つい先日、やっと購入した。
 誤解を恐れずに書くが、再結成以後の諸作品の中で本作が一番好きだ(「他のが実はイマイチだった」とか言いたいわけじゃないんですよ)。
 ふところの深いバンドが自由にやると、こんなに凄いものになるのかと感じ入ってしまった。このアルバムは全く隙のない素晴らしい作品である。
 冒頭から魅力的な楽曲が並び、気づくと全編聴き通している。スピーディーな楽曲が多いことが、また良い。
 清水さんのギターは、相変わらずツボにはまるメロディが次から次へと繰り出され、本当に組立や構成が芸術的なのだが、今回はどこかが一二本プッツリ切れたかのような狂気まではらみ、格好良いことこの上ない。坂本さんについては「調子が悪かったのでレコーディングに苦労した」、とB!誌のインタヴューで柴田さんが言っていたが、調子の悪さなど微塵も感じさせぬ熱唱ぶりだ。
 本間さんが一時休養となってしまったのは残念だが、ヘルプの田丸さんはとても良い仕事をしていると思う。
 繰り返すが、このアルバムは本当に素晴らしい。全曲が名曲。曲順も考え抜かれており、何度聴いても飽きない。傑作である。


ANTHEM - Burning Oath - Dance Alone ★★★ (2012-11-30 01:54:17)

 他の曲も名曲なのだが、現時点で一番のお気に入りはこの曲。
 アルバムラストの配置というのも良いと思う。最後、思いっきりスカッとする。
 スピーディーな展開とテンポの良い会話が売りの、熱血刑事ドラマのエンディングに流したら、滅茶苦茶はまると思う。
 ハードかつキャッチーかつ爽やかな名曲。


ANTHEM - ENGRAVED ★★ (2017-06-28 22:08:48)

 ANTHEMを聴く、ということは私にとって少し特別な体験である。
 例えば、「何か聴きたいな。ANTHEMでもかけてみるか」という聴き方はしない(いや、あくまで個人的な話です)。「よし。ANTHEMが聴きたい。ANTHEMをかけよう」という聴き方となる。どこか居住まいを正すというか、気合を入れるというか。

 本作は森川さんになってから2作目。失恋船長さんが上でおっしゃっているように、「ここ2、3作で感じられるマンネリズム」というのは確かに気になるところである。そして私はと言えば、マンネリズムを良い方向に評価して聴いている。それはバンドにとって良いことなのか、バンドの将来にとって良いことなのか、というのとは全く無関係な、本当に個人的な聴き方ではあるのだけれど、まぁ無反省に好きなのだからしょうがない。
 おそらくANTHEMがANTHEMではない音楽をやりだしたら、黙って(本サイトで悪口雑言を吐き散らすこともなく)聴くことを止めると思う。でも、ANTHEMの音楽を聴かせてくれているうちは喜んで聴き、コメントをする。
 私的に本作は、清水さんのメロディがたくさん聴けてバラエティが豊かになった良作。
 名盤連続記録更新中です。


ANTHEM - ENGRAVED - DON'T BREAK AWAY ★★★ (2017-07-01 19:36:19)

 「竜頭蛇尾」という言葉がある。初めは良かったのだが、あれれ。なんだか終盤まで勢いが続かない。むしろ退屈。

 だが『ENGRAVED』に関しては、この曲と次のタイトル曲の存在により完全に「徹頭徹尾」(で名曲揃い)である(勿論、間に挟まれた途中の曲もそれぞれに良いのだ)。

 疾走している。そしてハードかつ爽やかなんだよね。爽快。歌メロもキャッチーなんだけどちょっとありきたりな展開にならない。新鮮な感じ。「あれ?そっち行っちゃうの?でも最高だね!」という。
 清水さんの作詞作曲。
 いやぁ最高。こういうの大好き。


ANTHEM - ENGRAVED - ENGRAVED ★★★ (2017-07-01 19:42:29)

 掉尾を飾るタイトル曲。
 凄い格好良い。←ヴォキャブラリーが子供だが、もうそうとしか言いようがない。
 これも結構走っている。ドラマティックかつヘヴィ。このラストの曲に至るまで、今回のクリス・タンガリーディスのプロデュースは完全な成功と言って良いだろう。カリッとして少々ドライな音づくりは、本当にマッチしていると思う。曲の持つハードな質感を損なわず、メロディの豊潤さを際立たせている。
 音づくりはともあれ、本当にこの曲(柴田さんの曲)は問答無用の名曲。


ANTHEM - ENGRAVED - FAR AWAY ★★★ (2017-07-01 19:27:14)

 それで(どのバンドの作品もそうなのだが)、アルバムの2曲目というのは結構肝だ。野球の2番打者が重要なのと同じく。
 1曲目アップテンポ、次は?・・・前の曲同様に突っ走っても良い。あるいはテンポを異にしてアルバムが持つヴァリエーションの豊かさを演出しても良い。ただしどんな手を使おうとつまらない曲はありえない。2曲目で聴き手を退屈させるわけにはいかない(いかにもアルバムありきのアナログな意見だけど。でもいまだにネットで曲単位で購入というのはピンと来ないしやっていない)。
 この2曲目は本アルバムの持つメロディアスな側面をハードに劇的に体現した、ANTHEM一流の名曲であろう。
 歌メロはキャッチーといっても良いかもしれないが、それはもちろん軟弱さを感じさせるものではない。”ドラマティック”と言って良い。ドラマティックさをさらに演出するのが清水さんのギターソロで、この切込み方といいメロディといいこれ以上のものはなかろう。
 実にANTHEMらしいメロディアスな名曲である。


ANTHEM - ENGRAVED - SACRED TRACE ★★★ (2017-07-01 19:48:25)

 復活後ANTHEMの作品で毎回楽しみなのが、清水さんのギターをフィーチャーしたインストゥルメンタル。
 この曲も圧倒的な構築美とテクニック、そして豊潤なメロディ(泣くんすよ。泣きのメロディっすよ)が完璧な一曲。

 清水さんはもっともっと評価されていいと思う。


ANTHEM - ENGRAVED - THE ARTERY SONG ★★★ (2017-07-01 19:12:38)

 ANTHEMのアルバム冒頭の曲というのはいつも楽しみだ。
 アップテンポでガツッとインパクトがあり、アルバムの開幕だけでなくその方向性や音を宣言する一曲だからだ。
 この曲もいかにもANTHEMの名曲で、冒頭にあってふさわしい。
 清水さんのギターソロも冴えまくっており(といっても清水さんのソロで冴えていないものなどないのだが)、森川さんの歌メロもきっちり耳を持っていく。
 『ENGRAVED』の成功を確信させる一曲。


ANTHEM - HERALDIC DEVICE ★★★ (2011-09-29 22:34:59)

 一時期、こればっかり聴いていました。
 『Seven Hills』で惚れ込んで以来、欠かさず聴いています(Live盤を除く)。
 アイデンティティを失わず、かといって過去の作品の焼き直しに陥らず、奇跡のようなバランス感覚で作品を発表していく孤高の存在。
 Anthemこそ、実は進化・深化していく真のプログレッシヴ・バンドであるのではないかと思います。いや、誤解しないで下さい。プログ・ロックという意味で言っているのではありません。AnthemはまごうことなきHM。HMの権化です。


ANTHRAX ★★★ (2011-09-20 16:33:49)

 『Worship Music』、購入してきました。
 一聴して、というか、今もまた聴きながらこれを書いているわけなんですが、3曲目、すごく良いです。3曲目だけでなく、全体的な印象としてかなり好きですね。
 私は以前書いたとおり、Vo.はどちらかというとジョン派なのですが、『Worship~』におけるジョーイは非常に良い仕事をしています。歌メロがとても魅力的で、その上ギターもザクザクいっているので、復活のあり方としてはかなり理想的なのでは。
 いや、それにしてもジョーイ、良い仕事してます。
 『Worship Music』、お勧めです。


ANTHRAX - Worship Music ★★★ (2011-09-29 22:22:33)

 有難いことに、どなたかが追加して下さったのでコメントさせていただきます。
 制作段階でVo.が入ったりやめたり紆余曲折があった本作は、ジョーイ=ベラドナが歌を入れて発表されました。B!誌のインタヴューを読むとミスタ・ベラドナも「俺、最後に呼ばれたんだよね・・・」と、少し寂しそうでしたが、本当に良い仕事をしています。
 私は一時期、ジョーイのVo.がキーを外しているように聴こえる曲があるような気がして、ジョンのVo.の方を高く評価していたのですが(3rd・4thを聴き直し、後にジョーイのVo.も悪くないことに気づきましたが)、本作におけるジョーイの歌は、全く問題なし。というか、良いメロディのっけてます。
 リフも③を筆頭に格好良いんですが、それだけでなくギターソロも相当良いですね。
 久しぶりに興奮して聴いたHMのアルバムです。
 この編成で、出来るだけ息の長い活動をしてもらいたいと、願っています。
 評価三ツ星は多少ご祝儀チックではありますが、「素晴らしい!」


ARCH ENEMY - Burning Bridges - Silverwing ★★★ (2014-06-16 14:37:20)

 ARCH ENEMYを飛び飛びではあるけれど、私の中で一応“たまには(発表された新譜を)買って聴こうかな”バンドとして位置づけさせたのは、この曲である。それだけではなく、アルバム『Burning Bridges』を名盤であると認識するきっかけとなったのも、この曲だ。
 悪いんだが(いや、誰かに詫びているわけじゃないんですよ)、グロウル、スクリーム、デス声の歌で、へヴィなだけなら、聴かない。へヴィで早くても駄目。そこに格好良いリフがあったり、秀逸なメロディがあって初めて聴く気になれるのだ(少なくとも私はね)。
 このギターメロディの爽快感は、B!誌のライターさんの一人が、このバンドのことを“Vo.がよりアグレッシヴになった、JUDAS PRIEST”だと書いたのを、「おお。そのとおりかもしれん」と納得させるものがあった。
 デス・メタルのVo.を、「なかなか格好良いものだし、こういう声で歌う理由というのも、それなりにあるんだな」と思わせた、その功績を称え星三つ。


ARCH ENEMY - Khaos Legions - Bloodstained Cross ★★ (2014-06-16 08:37:56)

 今しがた聴いていたのだが、リフといいソロ・パートといい文句の付けようがない。
 このバンドのアルバムは全てをフォローしているわけではない、というより、持っているアルバムは3rd・4th、それにこの曲が収録されている『Khaos Legions』と(現時点で最新作の)『War Eternal』の4枚のみ。基本的にVo.が普通に歌っている曲が好みなので、全編グロウル・スクリームの曲はどうしても積極的に手が伸びなくなる。
 それでも、たまにARCH ENEMYを聴きたくなるのは、この曲のようにアグレッシヴなVo.とエッジの立ったリフ、ドラマティックなギター・ソロが絶妙にブレンドされた名曲に出合えるからだ。
 


ARCH ENEMY - War Eternal ★★ (2014-06-16 16:22:51)

 別の項目で書いたとおり、このバンドはあまり真剣にフォローしていない。ほぼ、“一見さん”の客に近い。何故、今回購入したのか。それはメンバーチェンジがあったからであり、新Vo.のアリッサ・ホワイト・グラーズに興味を抱いたためである。当然、このバンドでノーマル・ヴォイスの歌はないので、どんな声かというよりは、どんな声質か、はたまたどんな歌い方か?
 すみません。アリッサさんがグッド・ルッキングでキュートなものですから、ついつい・・・。と言うのが本音。私は異性愛者の男性なので、綺麗な女性・可愛らしい女性に弱い(だからと言って、女性Vo.のHM/HRバンドは、そんなに聴かないのだけれど)。
 あと、それだけでなく、前作がなかなか気に入っていたから。とってつけたようだが本当の話(いや、本当ですって)。
 音楽的な方向性はオーケストラが入ったりしているが、あまり大きく変わっていない。
 出来は前作と甲乙付け難い。どちらも格好良いリフで組み立てられた楽曲を擁し、全編気持ちよく聴ける。どちらが好きか、というのはその時の気分次第かな。
 ただ、やはりメンバーチェンジがあったので、作品の雰囲気としては本作の方がやや解放感が勝るか・・・。まぁ、聴く方もVo.が変わったことを前提に聴いているので、なおさらそう感じるのかもしれないが。
 先ほど(「だから、仕事しなさいって」と突っ込みが聴こえる)“Vo.がアグレッシヴになったJUDAS PRIEST”の話を書いたが、本作のボーナス・トラックは「Breaking The Law」だ。結構男前な歌いっぷりで、アレンジもいかにもこのバンドらしい。まるで自前の曲のようにモノにしている。
 うん。名盤じゃなかろうか。


ART OF ANARCHY - The Madness ★★ (2017-05-02 01:26:50)

 2ndアルバム。
 Vo.が1stではスコット・ウェイランドであったのが、CREEDのヴォーカリスト(スコット・スタップ)に代わっている(ウェイランド、亡くなっちゃったからね。もっとも亡くなる前に「あのバンドで俺はパーマネントなメンバーではない」とか言っていたけど)。
 他のメンバーはGUNS AND ROSESにも在籍していたバンブルフット(ロン・サール この人が中心人物)、ベースがDISTURBEDのジョン・モイヤーというわけで、要するに世に言うスーパーバンドっちゅうやつですか?

 それで作風はというと、少しダークな部分もある普通のアメリカンHR。ギターが弾きまくりの部分がポイント高し。歌メロもなかなかメロディアスで、個人的にはこういうの好きですね。なんかサミー・ヘイガー期のVAN HALENがちょいとダークに、そしてヘヴィになったような印象も受けた(4th以前のNICKELBACKと言った方が良いか?)。もちろんギターは激しいっすよ。特にソロが。
 バンブルフット、頑張っているなぁ。今は9曲目の"Dancing With The Devil"が好き。ネイティヴ・アメリカン風味がキャッチーなメロディで仕込まれ、一聴して耳を引く佳曲。


AUDIOSLAVE - Revelations - Revelations ★★★ (2013-08-01 20:06:43)

 名曲だと思う。
 リフが格好良いし、ヴォーカル・メロディはさすがクリス・コーネルというべきだろう。
 へヴィでありながら、スゥィングしているのも良い。

 未だに俺にはわからないんだ。お前の天啓が。
 俺にも一枚噛ませてくれ。
 お前の天啓なしに生きていたくないんだ。


BARONESS - Yellow & Green ★★ (2012-10-14 22:27:43)

 「男爵夫人」である。
 私は今作でBARONESSを初めて聴くので、前作・前々作のことを知らない。だからこのバンドがどのような変化を遂げたのかわからないのだが、少なくとも本作に限って言えば、かなり好みだ。
 あくまで纏っている雰囲気の話なのだが、聴いていてPINK FLOYDに似た瞬間がある。
 PINK FLOYDというのは実に難しいバンドで、後にも先にも本家以外にこのバンドのフォロワーが現れないという事実が、それを物語っている。ブルースとサイケを土壌にし、適当に水くれてりゃFLOYDという花が咲くわけではない。真似だって簡単にはできないのだ。
 だから、BARONESSがFLOYDと同じような空気を持っているというのは、実に興味深いことだと思う。受けた影響が自然な形でじわりと滲んでくるところに、BARONESSの凄さを感じる。
 本作は2枚組だが、なんだかあっという間に聴けてしまう。YELLOWからGREENに移った時にガラリと音が変わるわけではないのだが、でもやはり違っている。
 音楽については、誤解を恐れずに書くと、MASTODONがよりROCKよりになり、サイケやフォーク風味が増したような感じ。
 味わい深く、気品のある名作である。

 最後に。本作発表後のイギリスツアー中に、メンバーの乗ったバスが事故を起こし、メンバーが重傷を負った。心から、メンバーの一日も早い回復を祈りたい。


BEADY EYE - Different Gear, Still Speeding ★★ (2014-05-19 18:18:17)

 それで、オアシスの弟の方、リアムが(オアシスの元メンバーと)組んだバンドがこちら。
 兄貴のノエルのアルバムと同じ年に発表された1stアルバムが本作である。

 方向性としては、間違っていなかったと考える。オアシスというバンドの、主にアティテュードの面がどのあたりにその出自を求められるのか、明確に体現している。溌剌としており、勢いのある良い曲が多数収録されていることにも好感が持てる。名盤であろう。

 だが、私はこのバンドの2ndアルバムは購入しなかった。今後もおそらく買わないだろう。対して、ノエルの2ndは、多分買って聴く。

 その(私の対応の)違いの理由は、どこにあるのかというと、本作がオアシス的な要素で構築されたフレームの枠内に留まっていたことが挙げられる。もちろん、オアシス的なものを待ち望んでいた方々にとっては、本作は文句のつけ所のない良作であろう。しかし、私にとってのオアシスは、足踏み状態だったのだ。
 一歩踏み出して欲しかったのだが、それは為されなかった。
 もしかすると、2ndではそれが達成されているのかもしれないが、とりあえず、今はそれを確認する気にはなれない(他に聴いてみたいアルバムがあり過ぎる!)。


BECK - Mellow Gold - Loser ★★ (2015-05-10 19:31:14)

 何コレ珍名曲②

 実際の所「珍名曲」ではなく、普通に名曲として評価されていると思われる。だが、初めて聴いた時の印象が「おぉ。何だこれ。こういうやり方があったか・・・」というものだったので、何コレ珍名曲。

 RO誌で話題になっていたので、シングルCDを買ってみたわけだ(後に1stアルバムも買い、2ndまで付き合った)。
 フォークとブルーズと、リズムパターンはヒップホップのそれか。今となっては珍しくも何ともないのだろうが、当時は新しかったように思う。誰もやっていないような混ぜ方をしていたので。
 歌メロは何だかダルそうに歌ってはいるのだが、キャッチー。

 俺は負け犬だぜ、ベイビー。
 何故、殺っちまわないんだ?


BEETHOVEN - Piano Sonata"Moonlight"etc./SERKIN - ピアノ・ソナタ第8番ハ短調 作品13「悲愴」 ★★ (2014-05-19 08:41:03)

 最近、車の中でこればかり聴いている。
 第1楽章で、冒頭何か悲しい出来事があったかのように始まったかと思うと、途中からもの凄い勢いで駆け出すところが好き。また、その感情の迸りの後、第2楽章は落ち着いて、穏やかで美しいのだけれどやはり哀しみがあふれ出す、みたいな。
 ベートーヴェンの3大ソナタは、エミール・ギレリスのも持っているけれど(実は最初に購入したのはギレリスの方)、演奏はルドルフ・ゼルキンのものの方が好きだな。


BEN FOLDS FIVE - Ben Folds Five - Jackson Cannery ★★★ (2015-05-10 20:42:43)

 何コレ珍名曲③

 これも実のところ「珍名曲」(珍妙な名曲)なのではなく、普通に名曲なのだが、やはり最初に接した時に「こういうROCKのあり方もあるんだ」と驚かされたので。

 ギターレスのトリオ。ピアノ・ヴォーカル、エレキベース、ドラムの3人組。
 ピアノを弾きながら歌っており、そのバックをベースとドラムが固めているという、ポップスの世界では普通にいる編成なのだが、なにせピアノもベースもドラムもROCKにドライヴしており、格好良いのだ。
 1stアルバムの冒頭を飾るこの曲。ヴォーカルメロディのキャッチーさもさることながら、前のめりなリズム感でピアノもベースもドラムもガンガンいっている。
 '90年代って、ハード・ロックやヘヴィ・メタルはちょっと停滞していたけれど、ROCK全般で見ると、結構イカした新しい音楽が生まれていた、そのことを象徴する一曲。


BETA WOLF - DARK DAYS ★★★ (2011-11-23 00:46:49)

 長い間、こういう新人の出現を待っていた。
 捨て曲無し。曲の並びにも隙は無し(前半も良いが、9曲目以降本編ラストに至るまでの流れは文句無く格好良い)。全くもって素晴らしい。
 まだ、聴き込みが足りない(一聴して「良い」のだが、まだまだ、聴けば聴くほど色々と発見できそうな気がする)が、全体的な印象としては4thの頃のBon Joviが、翳と湿り気を帯びたような感じだ。
 面白いのはメンバーが影響を受けた5枚のアルバムだ。彼らが挙げた大半のアルバムを、私は聴いたことがない。だが、この1stアルバムで鳴っている音は、まごうことなきハード・ロック。'90年代以降細分化が進み、普通に良いHRが姿を消してしまったのだが、シーンもぐるりと一巡し、グランジ以降'00年代までに生まれた種々雑多なラウド・ロックを混ぜ合わせたら、空洞の中央ど真ん中に位置する音が抽出されたということか。推測だが、彼らの翳や湿り気は、Nirvanaに由来するもののような気もし、シアトルの曇天がこんな形で作用するとは思わなかった。
 ご祝儀の意味はあまりなく、単純に賞賛する意味で星三つ。
 次作はさらに・・・ではなく、もうこの1stをしっかりと味わいたい。


BLACK LABEL SOCIETY - Grimmest Hits ★★★ (2018-04-26 19:21:14)

 実は4thアルバム以降、長い間ご無沙汰していた。BLSには。
 久しぶりに購入して聴いてみたら、むせっかえるようなサバス臭。凄い。
 一瞬、オジーが来て歌ってんじゃねぇかと思ったが、どうもそうではないようだ。クレジットされていないし。
 ザックのVo.がまるでオジー。まるでサバス。でもよく考えてみると、昔から似たような声質だったなぁとも思う。
 ヘヴィな楽曲の中に所々しっとりとする曲も混ぜ、なによりどの曲もリフ命、メロディ命。アルバムのトータルな完成度が半端ない。
 名作です。サバスやオジーが好きな方々にはお勧めです。


BLACK LABEL SOCIETY - Grimmest Hits - Disbelief ★★ (2018-04-26 19:14:03)

 アルバム自体が素晴らしいのだが、この曲が良い。好きだ。
 Black Sabbathの5th『Sabbath Bloody Sabbath』収録「A National Acrobat」のリフのうち前半部分を使って新たな名曲を作っている。歌メロは勿論全く別のメロディをのせているわけで、それがまた良いメロディなんだよ。オジー・オズボーンやサバスへの敬意がひしひしと伝わってくる。
 ザックは「サバスは偉大なんだよ!俺は好きなんだよ!」って声を大にして言いたいんだろうなぁ、ということをしみじみと感じますね。


BLACK SABBATH - 13 ★★★ (2013-06-25 20:51:05)

 本作を指して(プリンスの『ブラック・アルバム』のように)「1st~6thの頃に一度作ったのだが、発表しなかったアルバム」だとのアナウンスがあっても、信じてしまうだろう。そして、それは決してアウトテイク集などではないのだ。
 B!誌のレヴュアーのどなたかが書かれていたが、5thや6thで聴かれた鍵盤系での実験は無いので、全くもってソリッドなサバスがここに現れている。
 ここまで、期待された音を期待通りに提供したアルバムも珍しいと思う。なにせ、HEAVEN&HELLが、(良いんだけど)ああいう音だった後なので尚更だ。
 あえて言えば、ラストの曲が取って付けたような(やや)疾走曲で、良いんだけど、この後ろにもう1曲ドヨーンというのが欲しかったかな。
 まあ、これだけのものが提供されたわけだし、細かいことはどうでもいいけど。
 問答無用の名盤。


BLACK SABBATH - 13 - Naïveté in Black ★★ (2013-07-03 20:23:19)

 なんだ。
 どうして最後にいきなり駆け出すのかと思ったら、ボーナス・トラックでしたか。
 なかなか格好良いっすよ。というか、かなり良い曲です。

 でも、聴くならちゃんとボーナス・ディスクに収まっている方を購入して聴いた方が良い、と思う。 日本盤で通常盤だと、ラストにこれがきます。これがラストにあって、私は本編の雰囲気が見事にぶち壊されたと感じた。あの本編にこのボーナスはいらない。まぁ、そんなこと言っちゃうと、安い輸入盤との差別化が出来なくなって、レコード会社は困るんだろうけど。
 私も知っていたら2枚組の方を探して購入したろう。でも、忙しかったし、店にはこれしかなかったし・・・。
 まるで「蛇足」という言葉を絵に描いて額に納めて、部屋に飾って、あまつさえスポットライトを当てたかのような、そういうボーナス・トラックだと思う。一曲、余計に聴かせたのに、こんな暴言を吐かれるとは、レコード会社の担当さんにしてみれば、心外な話なのだろうけど。

 でも、曲には罪はありませんよ。曲には。

 と、昨晩書き込んだわけなのだが、今日、用事があったため仕事を休み、午前中時間があったのでたまに(電車に乗って)行くCDショップを覗いたら、2枚組の日本盤と、2枚組の輸入盤があり、どちらもこの曲は、1枚目のラストに収録されていた。
 ???・・・。要するに、日本盤では、私の購入した1枚ものだろうと、2枚組だろうと、本編終了直後にこの曲が流れることになっているわけだ。そして、輸入盤2枚組でも同様の構成のものがあることが判明した。レコード会社の担当さんの責任ではなかったのである。
 担当さん、ごめんなさい。


BLACKMORE'S NIGHT - Autumn Sky ★★ (2013-05-20 16:40:15)

 最近、私はキャンディス・ナイトの歌声が結構好きなことに気付いた。
 このバンドを聴き始めたのは、もちろんギターがリッチーだからというのが理由だったのだが、今は多分、このバンドとその音楽が好きだからCDを購入している、のだと思う。
 全作品を聴いておらず、とびとびで持っているのだが、本作は1stと前々作(5thだったか)と同じ位好きだ。わかりにくいな。要するに持っている3作が皆、好きなのである。
 強いて言えば、新しい作品ほど、キャンディスのVo.に自信が感じられるかな。あと、楽曲も中世音楽のみに拘るということなく、中世音楽風のアンプラグド・ロックみたいな感じで、風通しの良さも増している気がする。
 まぁ、もの凄く好きで大ファンというわけではないのだが、たまに聴きたくなるし、聴くと気分が良くなります。
 


BLUR - The Magic Whip ★★★ (2015-06-16 21:10:41)

 今年の上半期で最もリリースが嬉しかった作品の1枚である(もう1枚はHelloweenの新譜。こいつも名盤だ)。

 前作はあのクソ忌々しい「COPY CONTROL CD」で2003年にリリースされた『THINK TANK』なので、12年ぶりのスタジオ・アルバムだ。そりゃ、驚くよな。当時8歳だった子供が成人している時間幅だから。リリースを知って、本当に吃驚した。

 音楽性にも驚く。本当に掛け値なしに素晴らしい。前作が、「これはこれで進化しているし、良いように思うよ。これがラストでもまぁ良いんじゃない。グレアムも辞めたし、しょうがねぇよなぁ」的な名作だったのに対し、本作は「これがラストでも構わん。こんなのが作れちゃあアーティスト冥利につきる」的な名作だ。
 音楽的な会話がなされていることが伝わってくるし、これまでの諸作で聴こえてきた「これがBLUR」というメロディが、本当に自然に聴こえてくる。予想外に素晴らし過ぎる集大成的なアルバムだ。あの、3rdまでの方法論がバブルに弾けて袋小路に突き当たった4th、グレアムが切れて逆のベクトルに振り切った5th、穏やかさと神経症的な苛立たしさが同居した不思議な6TH、とうとうグレアムがいなくなり、デーモンの世界観で進化を図った7TH、そしてそれ以降の各々の音楽的冒険が、1st~3rdの名作群と共に俯瞰されるようだ。
 もう一度書くが、もしこれがBLURのラスト・アルバムだったとしても、ファンの一人として何の悔いもないな。ま、俺が「悔いが無い」と書くのもおかしいのだが。
 傑作。


BOB WELCH - French Kiss ★★ (2017-10-21 01:02:12)

 PARISを頻繁に聴いている。そのためBOB WELCHに興味を持ち、ちょっと集めてみた。
 FLEETWOOD MACのBOB WELCH在籍時の作品まで手が伸びていないのだが、ソロアルバムは思いのほかすぐに集まった。6枚しか出てないから。
 本作はPALISの3枚目に収録するつもりで用意されていた楽曲が、PARISが解散したためにBOB WELCHのソロ第1作として発表されたという経緯を持つ。そのようなわけなので当然ながらソロ作品の中で最も興味を引きますよね。だってPARISが大好きなんだもん。

 結論を先に言うと、とっても良いです。

 1~3曲目の流れが良いかなぁ。3曲とも名曲だと思う。メロディが良いし、ボブのヴォーカルが何とも言えず瑞々しい。
 ストリングスを用いたアレンジが、村上春樹さんの短編に出てくる「エレベーターミュージック」(個人的には例えば「白い恋人たち」とか。これはゲレンデミュージックと言った方が良いか?)を想起させるのだけれど、ギリギリのところで良いアクセントになっているものもある。ロックとエレベーター(ゲレンデ)ミュージックの融合。
 7曲目のEbony Eyesが名曲として言及されることが多いのだが、この曲のストリングスのメロディはくさすぎる。いや、決して悪くはないんだけれど、若干エレベーター(ゲレンデ)的世界に振れ過ぎているというか。まぁでも悪くない。悪くないよね。
 終盤にもしっとりしたメロディを持つ佳曲が収められ、アルバム全体としてバランスの良い仕上がりになっている。

 プラチナムを獲得しているのも納得な名盤です。


BON JOVI - Burning Bridges (2015-09-02 19:34:38)

 最初に書いておくが、私はこのバンドのファンである。多分、結構長い間ファンをやっている。ライヴもこのバンドは2回行った(人に誘われてだけど。でも、行きたくなかったら行かない。もう一つ、2回観たのはLou Reed)。

 だが、本作は残念である。
 どういうつもりでリリースしたのか、当の本人からコメントがないので、よくわからないのだが、聴き手の勝手を言わせてもらえば、次の2点において残念。で、作品トータルの印象も、この残念な部分に引きずられ、あまり良くない。

残念な点その1
 3曲目がNICKELBACKの某曲にそっくり。パクったとかどうとかなんか、どうでもいい。偶然に似ていたとしても、同じようなメロディの曲を先行して発表しているNICKELBACKの曲の方が出来が良い。ジョンのソングライティング能力に陰りが見えたかと、聴く度(色んなところで結構良くかかってんだよ、これが)に寂しい気持ちになる。

残念な点その2
 10曲目。
 これ、どういうつもりだ?
 日本語訳を読みながら聴いていて、寂しいを通り越し不愉快だ。
 リッチーへのあてこすりなのか?それとも戻って来てほしいんだが、もうバイバイだ、ということか?

 どうにも得心がいかない。


BON JOVI - Burning Bridges (2015-09-05 15:17:39)

 B!誌を買ってきて読んでいたら、本作のことが書かれていた。

 上記の残念な点その2については、リッチーへのあてこすりではなく、本作をもって契約が終了したレコード会社に対するものとのことだ。
 でも、作品のイメージは変わらず。

 未発表曲集っちゅうことで、ま、一つ。てな感じの、ファン以外は手を出さない方が身のため、という意味で「ファン・アルバム」である。


BON JOVI - This House Is Not for Sale ★★ (2016-11-05 23:42:43)

 いや、俺が最初ってどうよ?!

 いえ。別に良いんですけれど。

 最初に書いておきますが、私はジョンのソロアルバムも喜んで聴く人間ですので、そういうつもりで下のコメントを読んで下さい。

 本作は良いっすよ。少なくとも『Lost Highway』以降のアルバムを「まぁ良いんじゃない?」と聴いていたむきなら、今回だって気持ち良く聴けるんじゃないかと。
 確かにね、ギターソロは超地味。何つーかソロっちゅうよりは、長めのリズムギター?
 リッチー不在の影響が大きくないわけがないよねぇ。

 だけれども、もう随分前からハード・ロックバンドというよりはロックバンドだと思うわけだ。BON JOVIというバンドは。それで少しハードな楽曲もあると。そういう文脈の延長線上に本作もあります。
 個人的には前々作より少し好きかな。前々作も決して悪くないと思っておりホクホクして聴いているんだけれども。

 ちなみに前作に関しては最初から「契約解消のための未発表曲集です」ってアナウンスしてくれれば心安く聴けたのに。
 「あくまで楽曲は楽曲だけで評価する。アーティストのコメントや背景事情は評価に際して加味しない」という姿勢があり、それはそれで一つの音楽の聴き方だと尊重するものだが、私自身はやっぱり作り手(アーティスト本人)が自分の創作物に対して何かコメントしていると、その作品が3割増しで興味深く聴ける。
 そのような意味で前作は、いかにレコード会社に腹を立てていようが何かしらのアーティスト側からの表明があっても良かったと思う。確かに右腕みたいな存在のギタリストが辞めて、長い付き合いだったレコード会社との関係が悪化して難しい時期だったから、何も言いたくなかったというのはわからないではないが。

 話が脱線した。話を戻すが、本作は悪くない。ジョンにはまだまだ頑張って欲しい。


BON JOVI - What About Now ★★★ (2013-03-13 20:16:05)

 12枚目のスタジオ・オリジナル・アルバム。
 印象としては「マッチョになったトム・ペティ」といったところか。多分的を得ていないけれど。
 しかし、随所にトム・ペティからの影響を感じてしまう。当然パクリってわけでなく、ちゃんとBON JOVIの曲になっている。私はトム・ペティが好きなので、本作を高く評価する。
 「この一曲!」というのがあれば、もっと良かったのだけれど、好きだな。このアメリカン・ロックの王道を悠々と歩む作風は。多分、5作目の『KEEP THE FAITH』も、本作のようなところを目指したのだろうけれど、あの時はまだ若かった。今では、いぶし銀の風格が感じられる。
 多分、本作を評価しない人も多かろうが、『KEEP THE FAITH』の後半部分や『LOST HIGHWAY』が嫌いじゃない人は、結構いけると思いますよ。


BOSTON - Boston ★★★ (2011-10-29 22:35:42)

 最近、よく聴いていました。
 ちょっと忙しかったもので、疲れてもいて、神経もささくれていて・・・。
 そんな時に聴くと癒されますね。音も良いです。'70年代の色々なバンドの諸作品と比較しても抜群に。
 1曲目の邦題が、歌詞の内容を考えると「?」なのですが、曲の雰囲気を思うと「!」です。


BRUCE SPRINGSTEEN - Born in the U.S.A. - I'm on Fire ★★ (2014-08-24 00:58:07)

 夜這いの曲っすね。

 いかにもアメリカの田舎の話だなぁ、と聴いていて思います。
 土地は広いんだけど、コミュニティは狭くて、気になる彼女の親父がどこで飲んだくれているのか、あるいは会合に出ているのか、とにかく家にいないことが主人公にはわかっています。

 日本でいうと、明治時代の若い衆が、機屋に住み込みで働いているお姉ちゃんの所に、饅頭持ってダベリに行く、そういう雰囲気に近いような、遠いような(全然遠いか?!)。

 でも、「あの娘(こ)が欲しい」と思えるというのは、悪いことではありません。若いって良いですね。
 しかし、うちの娘の所にそんなのがやって来て、たまたま行き会ったら、ソッコーで殺りますDEATH。

 すいません。酔っぱらってます。今日も仕事なのでもう寝るDEATH(しつこい)。


BRUCE SPRINGSTEEN - High Hopes ★★★ (2014-03-03 01:37:42)

 この人のスタジオ盤を新譜で購入するのは、実は初めてである。
 何故、今回は例外的な扱いになったのかというと、それはトム・モレロが参加しているから。

 ブルースに関しては、長らくベスト盤を愛聴してきているものの、名盤『BORN IN THE U.S.A.』は中古盤屋で購入し聴いていたりする。間違いなく熱心なファンとは言えない私だが、本作は気に入った。
 トムが結構、弾きまくっている。特に10曲目の「The Ghost of Tom Joad」とか。これがかなり感動的で圧巻の演奏だ。感動と言えば、ライヴで演奏されることはあっても長らくスタジオ盤未収録だった「American Skin(41 Shots)」も。

 初回限定で『BORN IN THE U.S.A.』の全曲再現ライヴを収めたDVDが付くのだが、これがまた良い。たびたび書くとおり、滅多にライヴDVDを購入して見ることがない私でも、この映像作品の良さは認めざるを得ない。
 ブルースはもうどう控えめに見ても初老でルックスも太目、E STREET BANDの面々も同様に年をくっている。しかし昔馴染のバンドと気持ちよくロックするその姿は、理由も理屈も関係なく格好良い。観終わった後少なからず感動し、もう一度見てしまった。

 色んな意味で、今年のベストに数えたい一枚である。


BRUCE SPRINGSTEEN - Magic ★★★ (2015-07-12 22:02:00)

 かなりリスナー・フレンドリーな作品だ。
 まずもって1曲目が必殺のROCK曲だし。
 『THE RISING』もやはり1曲目でグイっと持ってかれて、あとは最後まで聴き込めてしまう傑作であったが、本作も同じ位聴き応えがある。
 要所にキャッチーというか耳に心地よいフックを持つ楽曲を配し、全編美味しい。

 名盤。


BRYAN ADAMS - Get Up ★★ (2015-11-03 19:06:02)

 BRYAN ADAMS。
 私にとっては、何というか青春の甘酸っぱい想い出みたいなアーティストだ。なんだか、いい年をしたおっさんが書くと「お前、ちょっと気色悪いぜ」と突っ込みたくなるが。
 だがBRYANも『18 til i die』の頃から(まぁ正確にいうとその前作も異色だったのだが)作風がアーシーで地に足がついた、どっしりと構えるような感じに変化。それ以降はメランコリックに振れたり、ロックに振れたり、アコースティックに振れたりしつつも、基本的には’80年代にブレイクした頃の楽曲群とは一線を画す“大人な”楽曲を収録したアルバムを発表している。
 本作も多分、今に至るまでの脈絡の中で語られるべきアルバムなのだろうが、初めて聴いた時にまず思ったのは「あれ?若返った?」というものだ。
 一曲目、溌剌とした軽快な楽曲で幕が開き、2曲目はいかにも現時点の彼らしい、若々しくもそれなりに年を喰った、格好良いロック。3曲目以降もそれぞれフックを持った楽曲が並び、良い所にROCKな楽曲が挿入されている(タイトルが示しているが④とか⑦とか)。
 本編9曲(ボーナストラックみたいなもんだろう。その後にアコースティック・ヴァージョンが4曲)というのも、とても潔く清々しい。
 本作は久しぶりに「BRYAN、これ格好良いぜ」と、問答無用に親指を立てたくなる優れたアルバムだ(今までのも決して悪くはなかったけれど)。


BUCKCHERRY - Confessions ★★★ (2013-03-04 16:13:18)

 ヤングラジオさんに同意します。

 この6枚目のスタジオ作は、BUCKCHERRYの最高傑作であるとともに、HR史に名を刻む名盤だと思います。本作が持っているスケールやアリーナロック感は、最盛期のMOTLEY CRUEを想起させます。音が似ているっていうんじゃなくて、その存在感が。
 私は前々作の“黒アゲハ”で少し「う~ん。あと一つ何かが・・・」と物足りなさを感じてしまい、前作はスルーしたのですが、今回は凄い。買って良かった。

 のっけから格好良いハードロックをぶちかましてくれ、心を鷲掴み。2曲目以降も、そのタフでラフな、このバンドでなければ鳴らせない音が、次から次へと繰り出されます。楽曲にはこれまでにはなかったぶっとい芯が一本ズドンと通っており、貫録を感じさせます。格好良いの、グルーヴィなもの、しみじみと聴かせるものが勢揃い。曲の並びも抜群ですね(最後のボーナス・トラックは、むしろ邪魔。だけど、これを聴いて、“黒アゲハ”一曲目を見直しましたが)。
 コンセプト作ですが、楽曲それぞれの完成度が異様に高いので、つまみ食いでもいけますね。
 一皮も二皮も剥け、化けました。素晴らしい出来です。


BULLET FOR MY VALENTINE - Gravity ★★ (2018-08-19 18:19:50)

 例えばU2でいうと『ACHTUNG BABY』に位置づけられる作品かな。あ、でもこのバンドの場合『TEMPER TEMPER』で一度実験しているので、『POP』に位置づけても良いかもしれない。
 私はバンドが実験・冒険している場合、余程出来が悪くないと基本的には肯定的に評価するクセがあるのだが、本作は善戦していると思う。『TEMPER TEMPER』はなんだか納まりが良すぎて、こじんまりとした印象があったので、当時思ったままに書いてこのサイトに載せた。『TEMPER TEMPER』と比較すると本作は間口を広げ、手法を深化させ、それでいてこのバンドが元から持っているメランコリックなメロディは殺さずということで、かなり頑張った。そのことは大きく評価したい。

 ただ。いかんせん地味。たびたびU2を引き合いに出すのは、このバンドに対してフェアじゃないのだが、U2は『ACHTUNG BABY』で『THE JOSHUA TREE』から手法をガラリと変えても(単なる個人的な好みだが)、「until the END of the WORLD」や「even BETTER than the REAL THING」などの名曲を提示していた。しかし本作はアルバムを丸ごと聴くと「うん。なるほど」となるのだが、“この一曲”がない。

 ここは“この一曲”が是非とも欲しかったな。と思うわけなんすよ。

 惜しい。


BULLET FOR MY VALENTINE - Scream Aim Fire ★★ (2013-05-01 23:36:53)

 さて。4枚目がそこそこ聴き馴染んできて、予想通り、かなり好きになってきている今日この頃。どうしても今一つ受け付けず、コメントする気になれなかった、この2枚目の再評価である。
 再評価にあたり、聴くポイントは「どうして以前(購入直後)、好きになれなかったのか?」の追及である。何故なのか。何が気に入らなかったのか。
 改めて、とても久しぶりに通しで聴いたところ、曲そのものについては悪くない事を確認した。前作(1st)は結構気に入って聴いていたわけであり、この2ndの曲がアウトなら、1stもアウトだろうな、と思った。では、1stがヒットだったのに、どうしてこの2ndは見逃し三振だったのか。
 さっき、また聴いて、やっとわかった(ような気がした)。
 多分、ドラムの音。
 軽すぎる。
 パタパタパタパタ・・・という感じ。これが気に食わなかったのだと思う。で、曲全体の印象も薄っぺらいものとして感じてしまったと。
 ちなみに、4thを聴き比べると、ボトムの音は4thの方が好み。テンポが速い曲でも、しっかりドラムの「ドォン!」という音が奥行を持って聴こえてくる。
 と言うわけで、本アルバムは「ドラムが軽い」と認識した上で聴けば、それなりに楽しめる(あくまで私個人の感想だけど)。
 きっちり1stの延長線上にある作品であり、それなりに彼らが善戦していたことを、改めて知りました。今まで嫌っていて悪かったね・・・。


BULLET FOR MY VALENTINE - Temper Temper ★★ (2013-04-01 18:23:19)

 うーん・・・。
 本作って、MEGADETHでいうと『RISK』みたいだよね・・・。
 悪くないどころか、むしろ好きなのだけれど、もう一歩及ばず、というか、あと一味!というか。
 私は、1stを「支持する」と言った人間だが、実は2ndを聴いて上記の感覚とは別の意味で、「ちょっと違うかな・・・」と思い、3rdはスルーしました。
 本作を聴いて、改めて1stも聴いたりしているのだけれど、何が一味足りないのだか、今一つ良くわからない。本作の楽曲は良い。1stより好きな部分も多い。ギターのエッジだって十分ある。ソロもピロピロいっている。ツインリードもあるね。でも、1stにあった何かが本作には感じられない。なんだろう。切迫感か?これで4作目なので、足りないのが「切迫感か?」などと言われても、バンドも困ってしまうのだろうが。
 もう少し聴き込めば多分もっと好きになると思う。最終的には1stより良くなる可能性もある。だが、多少なりとも聴き込みが必要なようでは、世界制覇は少し難しい。一発でガツッと、このバンドの良さがわかる楽曲が冒頭にあると良かったのにな、と思いました。


BULLET FOR MY VALENTINE - Temper Temper - Riot ★★ (2013-04-07 07:12:29)

 『TEMPER TEMPER』の中で、目下のところ一番のお気に入りはこの曲。
 キャッチーかつコンパクトにまとめられており、きっちり上手さやエッジが立っているところもアピールしている。良く出来ているなぁ。と思っていたら、帯に1stシングルって書いてある。
 なんだ。売り方わかってんじゃん。でも、バンドが選んだのか?それともレコード会社か?
 この1曲が飛びぬけて良いってわけじゃないのだけれど、好みかそうでないかと聴かれると、これが最も好み。コーラスの「オーオーオー ライオット!」は聴いて一発で覚えられるし、ライヴでも合唱だろう。
 もう2曲ほどこれと同じ位の曲が収録されていたら、『TEMPER TEMPER』は即決で(個人的には)傑作と評価されたのだが。
 名曲っすよ。


CHEAP TRICK - Busted - When You Need Someone ★★★ (2014-12-22 21:28:12)

 HM/HRを聴き始めてもう30年以上経つが、最も印象に残っている数曲のうちの1曲がこれだ。
 ベッタベタに甘いのだが、正直、生涯で聴いた“バラードの名曲”の3本の指に入る(あとの二つはSTYXのあれとNIGHT RANGERのあれか?それともBON JOVIのあれ?)。
 こういうの嫌いな人もいるんだろうが、私は好きだ。
 殺戮の聖典さんも約5年前に書いておられるが、「あまりにも美しく切ないメロディ」というのは本当だ。少なくとも私も同じように思う。美しく、切ない。誰かに恋をしている時に聴くと良いと思う。


CHEAP TRICK - Cheap Trick '97 ★★ (2016-08-06 19:19:26)

 何と言うか音のザラツキがこたえられない。
 それでメロディはキャッチーというか、本当にこの人たちはTHE BEATLESが好きなんだなぁ。卓越したポップセンスが爆発している。
 音がハードなのでロックとしてのダイナミズムも十二分に堪能できる。
 
 名盤。


CHICKENFOOT - Ⅲ ★★ (2011-10-08 01:01:56)

 2NDアルバム。
 前作同様、一聴して地味なのだが、結構キャッチ―なコーラスが入っていたり、気づくとサトリアーニが弾きまくっていたり、アレンジも良く練られ、前作より旨味が増した印象を受けた。
 2作目でどうして『Ⅲ』なのか良くわからないのだが、前作はジャケットを触っていると体温で黒色が薄れアートワークが現れるという、特殊インキを使用したものだったので、今作は「アートワークは3Dだな!」と、ジャケットの遊び心を優先してタイトルを決めたのだろう。なんというか全般的に余裕な一枚。こういうの、好きだなぁ・・・。


CHICKENFOOT - Chickenfoot ★★ (2011-10-06 22:21:31)

 ルーズな空気感をまといつつ、粗削りでごつごつした質感も感じさせる良盤。
 何が格好良いって、この人たちにしか出来ない音楽を、余計なヒネリを加えずサラッと演っていること。
 まぁ本当に良いグルーヴ、良いスイングです。
 一聴、地味なんだけど、繰り返し聴きたくなり、聴いているうちに自然とメロディを覚えてしまうという、味わい深い一枚。喉越し爽やかですがコクもあります。


CHILDREN OF BODOM - Halo of Blood ★★★ (2013-06-24 12:28:27)

 傑作である。
 このバンドの何が好きかというと、アレキシの作るリフが格好良いところ。そして、音が良いところ。
 各楽器がほど良く分離され、それぞれが「こうあって欲しい」という音で鳴っている。ギターはエッジが立っているし、キーボードは千変万化、バックで雰囲気を盛り上げているかと思えば、流麗な、あるいは攻撃的なソロで、ギターとバトルを繰り広げる。ベースもドラムも巧者揃い。幾分複雑な楽曲を、きっちりリズムキープ、テンポチェンジ。
 私は現時点で初期3作と6thが未聴なので、なおさらピンとこないのだが、「メロディの劣化」という評価が良くわからない。初期3作が、そんなに素晴らしいのか。だが、代表作と言われる4th(これも疑いなく傑作)と、前作、そして本作を聴き比べても、リフの格好良さや、各楽曲の完成度の高さ、ツインリードのスリルなどと共に、ギターソロやキーボードソロ(そしてアレキシのVo.)が奏でる(歌う)メロディは、なんら変わりなく、というか楽曲の幅を広げつつ、「良い」としか思えない。
 本作は、聴き終えた時の印象や満足度が4thに似ており、全く感服させられる。
 リフマスターとしてのアレキシは、エディ・ヴァン・ヘイレンに似ており、一聴してキャッチーというか、メロディアスというか、格好良くも耳にすっと入って来るリフが、実は何気に複雑だったりする(私はそれを「変態リフ」と呼んでいる)。本作も変態リフがバンバン出てくる。
 最後にもう一度。本作は傑作。


CHILDREN OF BODOM - Relentless Reckless Forever ★★★ (2012-07-04 23:40:04)

 何故、もっと早くにこのバンドを聴いていなかったのか・・・!
 天を仰いで呟きたい気分である。
 ギターとキーボードのバトル具合はDEEP PURPLEを想起させるし、ツインギターの絡み具合はこれまた絶妙だ。音も良いし、今まで「北欧で、メロデスなんでしょ?」と完璧にスルーしてきたことが悔やまれると同時に、新たな楽しみを見つけてとても嬉しい。
 ゆっくりと旧譜を遡って楽しみたいと思う。
 そういう思いを抱かせてくれた本作は名盤。
 そしてこのバンドはとても良い。本当に。


CHRIS CORNELL - Higher Truth - Nearly Forgot My Broken Heart ★★★ (2016-06-13 12:56:39)

 冒頭に配されることで、アルバムそのものの価値を規定する曲というのは多い。その曲が良い曲ならアルバム全体の印象も良くなるが、その曲が今一つだったなら2曲目以降でアルバムに好印象を与えることは、ややハードルが高い仕事となる。

 それで本楽曲は前者だ。アコースティックでキャッチーで、少しばかりコミカルな部分もある。名曲だと思う。

 メロディを聴いていて心惹かれるものがあると、たまに歌詞の内容が気になることがある。何について歌っているんだろうと。

 日本盤を購入していれば、とりあえず日本語訳を読むのだが、訳詩を読んでいて「?」となることは多い。「この曲って、そういうことなのか?」。・・・訳者もそのアーティストのことを好きで仕事を請け負っているとは限らないので(場合によっては「なんでこんな馬鹿アーティストの詩を訳さなきゃなんないのよ」と思いながら訳している人も、昔いた)、思い入れが無い場合にはやっつけ仕事になってしまう。そんな時は床がわずかに傾斜している部屋のように、いささか妙で違和感を感じる代物となってしまう。
 また、そもそも輸入盤を入手していると、詩の意味を知りたければ自分で訳すこととなる。
 それで、この曲も訳してみた。理由は後者だ。


「危うく壊れた心を忘れるところだったよ」

 太陽を見つめるたびに 続ける理由を見つけようと努めている
 僕が手に入れるものは いつでも焦げ付いた見せかけのもの
 雨が降り注ぎ空が血を流すまではいつも 君は正しい時にやってきた

 赤く熟した林檎のように僕をもぎりとった ものすごく長いってわけじゃないけど 君は齧りついたね
 僕が間違っていたのだろうか それは僕に善をもたらしたのか

 そして僕は危うく壊れた心を忘れるところだったよ
 それは僕を遥か遠くへ連れ去ってしまうだろう 粉々に砕けた想い出からね

 さあ、再び回りはじめよう

 全ての小さな鍵が扉の錠を開ける
 全てのささいな秘密には偽りがある
 太陽の写真を撮ろうと試すんだ
 それは君の理解の助けにはならないだろうけど

 全ての他愛ない言葉は君の口から
 少し傷つけるんだ 血が流れ出す
 全ての小さな血の滴 逃れられない口づけ
 何かの為ではない

 そして僕は危うく壊れた心を忘れるところさ
 それは遥か彼方へと僕を連れ去ってしまう 粉々に砕け散った想い出からね

 さあもう一巡しよう

 全ての素直な感覚が教えてくれる
 これが粉々に砕け散った心へと導いていく
 そして君は知る 僕にはこれが頭に空いた穴のように欠けているのを

 そして僕は危うく壊れた心を忘れるところだった
 それは僕を遥か遠くへと連れ去ってしまう 粉々に砕け散った想い出から

 さあ、もう一度やり直しさ


CINDERELLA - Long Cold Winter ★★★ (2013-07-24 00:34:40)

 私は本作を、ブルージーなハード・ロックアルバムの代名詞のように捉えている。
 ドラマー(フレッド・コウリー)がスタジオ・ワークの経験が浅かったため、ドラムはコージー・パウエルとHEARTのデニー・カーマッシが叩いている。発表当時、フレッドに対してちょっとそのことを気の毒に思ったのを憶えている。
 このバンドの代表曲の一つである「Gypsy Road」を収録し、他の曲も押しなべて完成度が高い。まさに入魂の一枚である。


COZY POWELL - The Best of Cozy Powell ★★★ (2015-02-28 19:11:57)

 う~ん。
 ベスト盤はたまに買うのだが、そういう時って「オリジナルを買うのはちょっと腰が引けてしまうけど、どんな音楽なのかは知りたいな」という時。それでベスト盤が良かったらオリジナル・スタジオ・アルバムが欲しくなる!このベスト盤もそういう1枚。
 全曲、インストの代表曲とのことだが、本当に格好良い。
 ベスト盤を聴いて「これ傑作だな。いやいやベスト盤だったっけ」ということは稀なのだが、これに匹敵するものはフロイドのあれとルー・リードの『NYCマン』くらいか?でもどちらも2枚組だ。CD1枚でこの聴き応えはお得としか言いようがないな。
 ま、本当にエライ(凄い)のは勿論コージーなのだが。とんでもないスター・ドラマーでしたね。


CROWDED HOUSE - Crowded House - Don’t Dream It’s Over ★★★ (2017-05-02 00:10:11)

 私はこのバンドを4thから聴き始め、3rd→1stという例によって変な順序で聴いていたのだが、この曲だけは「あ、この曲聴いたことあるな」と思ったのを憶えている。確か大ヒットしているはずなので、ラジオかなんかで耳にしていたのだろう。コンピレーション・アルバムに収録されているのを見たこともあるし。
 ”Dream”という単語を聴いて、長らく”夢見ることをやめちゃいけない(夢をあきらめるな)”的な曲だと思っていた。しかし、久しぶりにCDを引っ張り出して、何故か腰を据えて歌詞カードを読みながら聴いていたら(そういう気分だったんですよ)、「あれ?なんか違っていたかな?」と。


 自由があり、自由がない
 紙コップで豪雨を受けてみなよ
 戦いは進行し、その多くで負ける
 だけど君がこの道の終着点を目にすることはないだろう
 僕と一緒に旅しているうちはね

 ほら
 終わることを夢想しちゃいけない
 さあ、今
 世界はそうなってきている
 彼らは現れる
 我々を壁で分けるために
 僕達は彼らに勝利はないことを知っている

 今僕は車を引っ張っていて、そのルーフには穴が開いている
 僕は不審の念にとり付かれているけれど、根拠はないんだ
 今日の新聞は戦争の話と三文記事
 でも君はテレビ欄をめくっている

 さて、僕は再びドラム・ビートの元に歩いている
 そして君の心のドアに至るステップを数えている
 先は翳っているが、頂上はかろうじてクリアだ
 解放と救済の感覚を得るんだ

 決して彼らを勝たせちゃいけない


 この歌を男女関係の歌と解釈しても良いんだと思う。アーティストによっては多義的な歌詞を上手に書いて、「リスナーの受け止め方以上の意味はないよ」と言う人もいるし。聴き手が好きに解釈していい、というスタンスだ。
 でも注意深く聴いてみると(読んでみると)、やはりこの曲は世界の現状を憂い、それに負けないという曲だったんじゃないかな。この曲が発表された当時は、まだソヴィエト連邦が存在しアメリカと冷戦の真っ最中だった。そしてベルリンは壁で仕切られ西と東に分断されていたし。

 それで、この曲の持つ政治的(時代批判的)なステートメントは、今でも十分に有効だ。残念な事に。
 超大国同士の冷戦は形を変えて局地的な戦争とテロリズムになり、ベルリンの壁はなくなったが、色々なところで人々が見えない壁に仕切られようとしている。
 早く「“Don't Dream It's Over”って恋愛の曲だよね」という解釈が主流を占める世界になると良いのに。
 


CROWDED HOUSE - Together Alone ★★★ (2017-05-02 00:36:08)

 ’94年発表の4thアルバム。
 音楽の聴き始めが洋楽で、そのうちHR/HMにハマった私も、20代になったらハードやヘヴィでない音楽にも手を出すようになった。このアルバムも何となく興味を持って購入したもの。
 でも当時はやはり耳がHR/HMに聴き馴染んでいるので、威勢の良い曲から好きになっていった。4曲目の"Black & White Boy"や7曲目の"Locked Out"とか。そのうち10曲目の"Distant Sun"のような優しいメロディをもった曲も気に入り、アルバムそのものが全体的にお気に入りに。1枚のアルバムに3曲も大好きな曲を見つけることが出来れば上等ですよね。そしてそれがきっかけになり、アルバムの他の曲の良さにもじんわりと気づいていくという。

 初めて聴いた時から20年以上経つのに、未だに全てを聴き尽くしていない気にさせられる。良いメロディが詰まって、やはりどこかに翳のある名盤です。


DARYL HALL & JOHN OATES - H2O (2013-05-01 23:56:08)

 以前も書いたかもしれないが、最近、中古盤屋で中古CDを漁るのが唯一の楽しみになってきている。
 それで、“以前から気になっていたのだけれど、これまで購入する機会のなかったCD”を見つけて喜んでいる。これもその一枚(再発されていれば、そちらを買うこともあるのだが、探しているCDって、忘れ去られて久しいものも多くって)。
 ちなみに、「やれやれ、やっと見つけたぜ!!」と聴いたアルバムに、がっかりすることは意外と少ない。たいがい、「うん。思っていたとおり、悪くなかったな」と思う。
 だが。この作品については、その逆であった。
 私はこの次のスタジオ作(『BIG BAM BOOM』ね)がとてつもなく好きで、今でも聴くと「音が古ぼけないし、クールだよなぁ」と思う。
 そして、これまでずーっと本作のことを「『BIG BAM BOOM』と同じような作風で、優れたアルバムに違いない」と、勝手に思い込んでいたわけだ。
 いやぁ。音、古いっす。時代をズドーンと感じさせる。それに曲も1曲目は名曲として、他に耳を引くのは・・・あと一曲?
 まだ聴き込みが足らないのですが、今、ちょっとがっかりしています。


DARYL HALL & JOHN OATES - Voices ★★★ (2014-04-21 09:13:42)

 今日は月曜日。久しぶりに何もしない休日だと決めた(つい、いましがた。「もう休み、休み。身体休めないともたない!」みたいな)。どうせ曇りで少し寒いくらいだし。

 で、こういう日は単純に聴いていて気持ちが良かったり、普段あまりきかないのだけれど、たまに聴きたくなるような曲を聴いて過ごすのも良いかなぁ、と。

 ホール・アンド・オーツは、自分にとっては聴いていると中学生の頃を思い出す、懐かしいアーティストだ。
 ’80年発表の本作は、オリジナル・スタジオアルバムとしては9作目である。名曲「Kiss on My List」や「You Make My Dreams」、「Everytime You Go Away」を収録しているが、他の曲もそれぞれに適度にポップで、良い具合にロックのエッジもまぶしてあって、何より、二人の声が気持ち良く聴こえてくる。名曲・佳曲が揃っている。
 そういえば「you’ve Lost That Lovin’ Feeling」はThe FiRMもカヴァーしてましたね。
 個人的には、『BIG BAM BOOM』と同じくらい好きです。
 名盤。


DAVID BOWIE - The Next Day ★★★ (2013-04-07 11:01:10)

 上の方と同感ですな。一曲一曲の質が高いし、様々な曲が収められているので、全編聴いても飽きません。ボーナストラックも含めて。
 ライヴはやらないらしいのですが、“ライヴでやったら格好良いだろうに”という曲も数曲あり、ボウイさんにしか作れないし唄えないロックが、本当にどれも気持ち良いです。
 誰が何と言っても、もうキャリアの終盤にあることは疑いないアーティストが、これほどまでの作品を発表するとは。ボウイさんの井戸はえらく深く水量も豊富なようです。
 偉大なアーティストの傑作です。


DAVID BOWIE - Tonight - Blue Jean ★★ (2016-06-26 18:54:51)

 同時代的に接したボウイの曲はこれ(か、その前のアルバムに収録されていた「Let’s Dance」)。
 当時購入していた『FMfan』の表紙に、この曲が収録されているアルバムのアートワークがド~ンとプリントされていた。

 アルバム単位で聴くと、この曲が入っているアルバムより一作前のアルバムの方が出来が良いような気がする。だが、本曲は『Tonight』収録曲の中では、「’80年代的ポップロックなボウイ」を代表する一曲(のうちの一つ)だと思う。

 名曲。


DAVID LEE ROTH - Eat 'Em and Smile ★★★ (2011-09-29 23:26:02)

 スティーヴ=ヴァイやビリー=シーンという、上手いだけではない超個性派のメジャーリーグ級スタープレイヤー(とは言え、本作発表以前は二人とも玄人好みのアーティストで、今ほど知名度は高くなかったが)をバックにし、出来た音楽はダイアモンド・デイヴのそれ以外ではなかったという、嘘みたいなアルバム。
 同じデイヴィッドでも、カヴァーデイルの方はヴァイ色に染められてしまったことを思うと、ダイアモンド・デイヴのキャラの濃さはすでに劇薬レベル。
 滅茶苦茶で、なんだかわからないけど、ただ呆然と「すげえなぁ。おい・・・」と呟くしかない。書くまでもないことだが、傑作。


DEATH - Individual Thought Patterns ★★ (2011-11-20 17:52:59)

 私はデス・メタルの熱心なファンではないのだが、'93年発表の本作は3年に1回くらいのスパンで引っ張り出して聴きたくなる。そして聴きだすと最初から最後まで聴いてしまう。
 今のバンドでいうと、おそらくメロディックという意味ではARCH ENEMYが最も近い存在のような気がするが、DEATHはメロディックなだけではなく、上の方々も書いているとおり、プログレッシヴでもあった。
 本作を聴いていると、何か現代社会が必要悪的に(だが本当は不必要なのだが)内包している醜悪な理不尽さとか、巨大な擂鉢で人々を構わずゴリゴリと擂り潰すような、冷酷かつ残虐、そして強大な暴力とかを、冷めた目で腑分けしていくようなイメージが浮かぶ。
 発表から約20年経つが、未だに唯一無二のアルバムだと思う。


DEEP PURPLE (2012-07-22 07:03:05)

 ジョン・・・。残念です。
 この人のハモンドとリッチーのストラトとのバトルは最高でした。
 ご冥福をお祈りいたします。

>RIOT1970さん
 初めまして。決して暇なわけではないのですが、少しメロウな気分なので、ジョンへの追悼の意も込めて選曲してみました。以下の通りです。
 ただ、代表曲は網羅していないのでベストではなく、(ボーリンとモーズも好きなんだけど)リッチーが居た頃の曲に限っております。期で言うと第Ⅰ期(MkⅠ)、Ⅱ期(MkⅡ)、Ⅲ期(MkⅢ)、Ⅴ期(MkⅤ)、Ⅵ期(MkⅥ)です。ちなみにⅦ期からは選びませんでした。楽曲自体は箸にも棒にもひっかからないってわけではないのですが、いかんせんリッチーもギランもやる気の無さが透けて見えるので。

Disk 1
①Fireball(FIREBALL)
②Speed King(IN ROCK)
③Highway Star(MACHINE HEAD)
④Child In Time(IN ROCK)
⑤King Of Dreams(SLAVES AND MASTERS)
⑥Mad Dog(THE HOUSE OF BLUE LIGHT)
⑦Mistreated(BURN)
⑧Black & White(THE HOUSE OF BLUE LIGHT)
⑨Space Truckin’(MACHINE HEAD)
⑩Hush(SHADES OF DEEP PURPLE)

Disk 2
①Burn(BURN)
②Under The Gun(PERFECT STRANGERS)
③The Gypsy(STORMBRINGER)
④A Gypsy’s Kiss(PERFECT STRANGERS)
⑤The Mule(FIREBALL)
⑥Rat Bat Blue(WHO DO WE THINK WE ARE!)
⑦Lazy(MACHINE HEAD)
⑧No One Came(FIREBALL)
⑨Knocking At Your Back Door(PERFECT STRANGERS)
⑩Soldier Of Fortune(STORMBRINGER)

 何か、こう並べてみると良い曲が漏れまくりですね。「なんで、あれが入っていなくてこれが入ってんの?!」という声が聴こえてきそうです(というか、自分でもつっこんでいますが)。
 でも、今はこういう気分。


DEEP PURPLE - Come Hell Or High Water ★★ (2012-10-12 23:47:26)

 これも再評価。最近再評価ばかりやっているような気もするが、仕方がない。もうおっさんだからな!新しいバンド聴いているより、どうしても馴染のバンドのCDに手が伸びてしまう・・・。
 発表当時は、「あぁ。リッチーのソロ、やる気がない・・・」などとアンポンタンな勘違いをしてしまったが、今、改めて聴くと、リッチーは確かにバリバリに弾く気満々とは言えないが、少なくとも自らの全盛期のコピーに堕するつもりなど毛頭なかったことが、理解できる。
 真にいさぎよい。
 久しぶりに聴くと、なかなか聴きどころの多い好ライヴ・アルバムだと思えた。


DEEP PURPLE - From the Setting Sun...In Wacken ★★ (2015-11-22 19:21:07)

2015年発表のライヴ・アルバム。収録されているのは、2013年のヴァッケン・オープン・エアにおけるパフォーマンス。
 現時点で最新アルバムである『Now What?』発表に伴うツアーにおけるヴァッケン参戦だ。
 実は、本作に先駆けて発表された武道館のライヴは購入を見送った。だが本作は購入した。何故か。1曲目が「Highway Star」だからだ。『Live In Japan』を彷彿とさせる。
 イアン・ギランはさすがに声が出なくなっている。だが、熱唱している。手抜きは一切ない。往年のシャウトやスクリームとは比較すべくもない衰え具合だが、それでも熱く格好良い。
 インストゥルメンタル陣は相変わらず上手いので、ライヴならではのスリリングな展開にはワクワクさせられっぱなしだ。
 オープニング、ホルストの「火星」(『惑星』より)から、ロジャーのランニング・ベースにスイッチする瞬間が痺れる。格好良い事この上ない。
 ハード・ロック巧者(で大ヴェテラン)の矜恃が示された良盤である。


DEEP PURPLE - Live in Copenhagen 1972 ★★★ (2016-05-09 17:08:31)

 『Machine Head』発表直前の、ノリにノッているこの時期のライヴが、良くない訳は全くないのだ。
 当然ながら最高である。
 個人的に最も感動したのは、CD2冒頭を飾る「Fireball」。イアン・ペイスのドラミングがこの曲では特に炸裂しまくっている。滅茶苦茶ハードだ。
 ペイシーのドラムはリッチー・ブラックモアが評するように「正確」というのがまず特徴として挙げられるのだが、ここでのプレイは正確なのはもう前提条件でしかなく、野蛮で過激だ。
 他のライヴ盤のところでも書いたが、リッチーとギランの掛け合いはやっぱりエロい(コミュニケーションがバッチリだ)し、聴きどころのかたまりのような本ライヴ盤である。


DEEP PURPLE - Live in Graz 1975 ★★★ (2015-03-28 20:50:08)

 常々、MkⅢのメンバーによる、『Made in Europe』の素材となった、どこかの公演を丸ごと一枚のアルバムにしたライヴ盤を聴きたいと思っていた。それは『Made in Europe』の出来が悪くなかったからだ。だが、『Made~』は5曲収録で、少々物足りない。
 で、本作のリリースはとても嬉しかった。
 結論から先に述べるが、本作は最高である。
 リッチー・ブラックモアが脱退直前だから、演奏にやる気がないのではないか・・・。そう懸念される方がいたら、安心して欲しい。それは、ない。むしろ逆にアグレッシヴである。
 リッチーは脱退を考え始めると、スタジオ・アルバムの質は上がらない(「下がる」のではなく、「上がらない」)が、ライヴでのパフォーマンスの質には、あまり影響しないのではないか。そう私は考えている(あくまで私自身が聴いた範囲内での話だが)。あの『Come Hell or High Water』ですら、決して悪くなかった。目の前に聴衆を見ると、一定水準以上の演奏をしてしまう、職人気質のアーティストなのではないかと思う。そして、逆に何かに怒っている時の方が、良いのではないか。
 それでまた、本作のリッチーも切れまくっているように見受けられる。
 本作は音も良いし、演奏の切れ味も鋭い。ライヴ盤としては文句なく最高峰のアルバムとして評価できる。

 話は変わるが、聴いていて可笑しかったのはグレン・ヒューズだ。
 正直、ウザい(苦笑)。いや、ウザいというのは多分、感想として間違っているのだろう。グレンはDPに歌えるベーシストとして雇われたはずだし、ある意味ダブル・ヴォーカルがMkⅢの持ち味だったのだから。だが、ライブの場で、ディヴィッド・カヴァーデイルのMCがあまり無くて、グレンがベラベラ喋っているのは、何だか妙な感じだ。もしかするとカヴァーデイルが当時MCを苦手としていたのかもしれない。あるいは喉をいたわる為にあまり喋らなかったのかもしれない。だが、メイン・ヴォーカリストを脇に置いて、ベーシストが能弁さを披露する、というのは個人的にはどうも・・・(実際、歌で高音部分やシャウトの大半を担当していたとしても)。

 そういう意味ではMkⅢってアンバランスというか、あまり歪んではいけない部分が、根源的に(そして致命的に)歪んでいたんだな、と感じるのである。


DEEP PURPLE - Live in Long Beach 1971 ★★★ (2015-03-30 18:24:24)

 これはもう性(さが)である。でなければ業(ごう)か。欧米の人ならカルマというところだろう。

 『Scandinavian Nights』、持っている(実際のライヴの曲順に並べ直される前のだが)。
 『In Concert』、持っている(10年以上前のだが)。
 『Live In Japan』、持っている(’93年リリースの3枚組と’98年リリースの『Made In Japan』リマスター・ヴァージョンも)。

 もう、Ⅱ期のライヴは良いでしょう。買わなくとも。だいたい、知っているじゃん。どの曲がどんなふうに演奏されていて、どのようにインプロヴィゼーションが展開されているか。わかっているものをわざわざ買うことないじゃん。

 でも買ってしまう。アホか。

 そう。私はアホです。

 それで本作だが、良いに決まっていますよね。最高です。
 なにより、ギランとリッチーが仲良いのがキモい(娘の言葉の受け売り)。ギランのヴォーカルと、リッチーのギターのフレーズとの掛け合いが『Live In Japan』以上だ。これはほとんどMake Loveである。
 どんな夫婦にも当てはまる、「こんな時もあったんですねぇ」の世界だ。

 1曲目(「Speed King」)、やや音がへんてこりん(ギランのヴォーカルのみまともに聴こえて、インストゥルメンタルが小さくなっていくような、へんなレコーディングになっている)だが、インプロが始まるとまともになり、以後最後までイケている。

 私同様、アホな人(一応、「熱烈なパープル・ファン」と言い換えておく)なら買って聴くと良い。後悔しないと思う。
 ギランとリッチーの蜜月の演奏を確認してください。


DEEP PURPLE - Made in Europe ★★ (2012-10-12 22:46:04)

 私は第Ⅱ期がなんと言っても大好きなので、本作は随分昔から持っていたのだけれど、あまり聴き込まなかった。
 だが、最近改めて聴いてみると、これがかなり良い。
 Ⅲ期のライヴテイク・ベストなので曲間がブツギレてて、実況録音盤としての魅力はあまりないのだが、優れた楽曲の優れたライヴ・ヴァージョン集としては、かなり良く出来ている。
 結構楽しく聴けてしまった。名盤である。


DEEP PURPLE - Now What?! ★★ (2013-06-03 16:47:59)

 はい。最初に書いておきますが、私の二つ星はあてになりません。何故なら、このバンドのファンだから。
 前作は悪くはなかった。だが、ちょっと納まりが良すぎた感が。そしてあの何とも言えないデザインのアートワークで印象が・・・。
 本作は、『Bananas』でちらりと垣間見えた、ギターとキーボードをはじめとする、楽器間の会話が戻ってきている。自由な空気が帰ってきている。
 Ⅱ期の頃のDeep Purpleは、おそらくそれなりの時間を費やしたリハーサルに裏打ちされたものだったと思われるが、やはり楽器(Vo.も含む)同志の会話があった。キーボードの存在感は半端なかった。リッチーのギターに負けないくらいに。
 今のDeep Purpleは、もうジョンも居ないし、イアン・ギランもほとんどシャウトをしない(出来ない)。往年のこのバンドに肉薄する、エキサイティングな音楽を創出しているかというと、必ずしもそうではない。
 でも、このバンドにしか作り得ない、このバンドらしい作品を、手を抜くことなく作った。本作のことだ。
 ドン・エイリーのオルガン、ジョンが乗り移ったみたいっすよ。スティーヴ・モーズのギターも相変わらず、良いエッジ立ててます。ギランは叫ばないけど、その声質は、やはりギランとしか言えない馴染み深いものだし、ペイスの正確さは不変。ロジャーも何気にメロディアスなフレーズを聴かせてくれます。
 本作が、もしこのバンドのラスト・アルバムだったとしても、ま、許そう。


DEEP PURPLE - inFinite ★★ (2017-04-14 22:20:02)

 何度も書くようだが、私の二つ星はあてにならない。もう言うまでもなく、このバンドのファンだから。
 路線としては、前作で提示された自由な空気に中で自然発生的にロックしました、という方向性が踏襲されている。ただ全く同じではなく、よりロックにフォーカスされている。前作よりハードでドライな質感が強く印象に残る。
 一曲目にガツンとくる曲が配されたのも久しぶりだ。前作、前々作、そのまた前作と、ゆるーい感じでスルリと始まるアルバムが続いていたので、なんだか嬉しい。まぁガツンと言っても「Highway Star」や「Burn」のような名曲を想像されると困ってしまうのだが、それでもなかなかに重厚な感じの佳曲と言って良いだろう。「Time for Bedlam」。
 二曲目以降もそれぞれ、楽器間の会話を十分に含んだ良曲が収められていると思う。お馴染みの雰囲気を醸し出しつつ、空気は清新だ。「あぁパープルを聴いているなぁ」と大きな実感がありつつ、これまでに見てきた風景の更に先の景色が見えているというか。
 The Doorsのカヴァーも含めて全10曲というのも潔い。
 同じようなことを前にも書いたが、もし本作がDPのラスト・アルバムになったとしても、「彼らは最後まで最高にロックしていた」と言い切って良いと思う。自然体で、ロック仙人達が自由自在にロールした名作だ。


DEEP PURPLE - inFinite - Birds of Prey ★★ (2017-04-21 22:38:49)

 カヴァー曲のひとつ前に配されており、本編最後を飾る曲。
 スティーヴ・モーズのギターが気持ち良く鳴り響く。

 しかし思うんだが『Infinite』におけるモーズのプレイは、あえて自分の特徴(手癖というか、折に触れて聴かれるモーズならではのフレーズ)を封じて、ここぞという時にメロディを印象付けるプレイに徹しているように見受けられる。
 この曲が最もそういうシブさというか、一撃必殺というか、必殺仕事人的なものを感じさせる。
 自分の技をひけらかさないで、一刀両断とばかりにここぞという所で曲の良さを伝えることだけに徹したプレイは、ある意味新境地と言えなくはないだろうか。

 職人の意地、ここにあり。


DEEP PURPLE - inFinite - On Top of the World ★★ (2017-04-21 22:29:10)

 イアン・ギランがB!誌掲載のインタヴューで語っていた”口の中からゴ〇ブリが米をせっせと運ぶのが見えた”曲。
 オルガンソロが格好良い、明るめのヘヴィブルーズと言って良いか。

 しかし、このときのギランって、大酔いしていたんだろうか。でなかったら何かドラッグでも決めていたのか。
 私はどんなに酔っぱらっても、凄い美人に見えていた女性が、酔いが醒めてから改めてみるととんでもなかったという経験をしたことがないので、ちょっと想像がつかないのだが(もっとも、酔って正体をなくす前に気持ちが悪くなって吐いてしまうんだけど)。

 ゴキ〇リはともかく、歌メロのサビがなかなか気持ち良い。


DEEP PURPLE - inFinite - One Night in Vegas ★★ (2017-04-21 22:08:55)

 ピアノがなんとも洒落た感じで聴こえてくるミドルテンポながらノレる曲。スイングしているというか。
 でもギターは結構ヘヴィなメロディを響かせることもあり、ギターソロからオルガンソロの展開もこのバンドならではのロックを感じさせてくれる。

 アルバム中盤の始まりを軽快に飾る佳曲。


DEEP PURPLE - inFinite - The Surprising ★★ (2017-04-21 22:19:26)

 このバンドの持つ抒情的な部分やインストゥルメンタルの緊張感がとても良くブレンドされ、展開も起伏に富みドラマティックな一曲。
 『Infinite』は全体的に味わい深い曲が収録されていて退屈しないのだが、その中でもこの曲は中盤にあってガシッと一つの聴きどころを作っている。
 こういうの、好きなんですよ。


DEEP PURPLE - inFinite - Time for Bedlam ★★ (2017-04-21 22:53:27)

 アルバム収録曲中、比較的アップテンポ(あくまでアルバム収録曲中での相対的な評価だが)な曲。
 アルバム評でも書いたが、重厚な雰囲気を持つ曲でもある。
 このアルバム冒頭にあって相応しい存在感は、かの名盤『Perfect Strangers』の一曲目、「Knocking At Your Back Door」を想起させる。同程度の名曲だと言うつもりはないが、なかなか良い曲だと思う。


DEF LEPPARD - Def Leppard ★★★ (2015-11-07 21:28:17)

 正直な感想。「メイデンの新譜みたいだな。ここで、こうきたか・・・」
 聴いた当初は「おぉ。開き直ったな、この野郎・・・(最後、意味不明)」と思ったのだが、B!誌のインタヴューを読んでわかった。開き直ったというよりは、自由に創作したのだ。ただ自分達が好きな音楽を。
 『YEAH!』で自らのルーツを楽しく開陳してみせて、その次作(あの“荒天だった”「あれ」)では「ありゃ?」という。なんだかオードブル(冒頭の3曲ほど)が滅茶苦茶美味くて、メインディッシュを期待していたら、ただ焼いただけの肉が出てきて塩が振ってあった。素材の味で勝負って言っても限度ってもんが・・・。みたいな。
 それに比べると本作の出来の良さは、本当に特筆すべきものがある。セルフタイトルアルバムであることの必然性が、ガッツリと体現されている。
 この人達は自由にやらせていた方が良さそうだね・・・。と、改めて(『HYSTERIA』以来)思わされ、かつニンマリとさせられてしまった本作は、至高の一枚。アッパレです。


DEF LEPPARD - Songs From the Sparkle Lounge ★★ (2015-04-26 16:59:23)

 全然知らなかったんだけれど、上の方は随分と荒天だったんだねぇ。
 だが、双方の方々の言い分は、それぞれそれなりに共感をもって理解できる。
 私にとってLEPPSは“要聴き込み”のバンドでありつつ、やっぱり一聴して「これはまだ良くわからないけれど、素敵なメロディを持っている」と思わせる楽曲を作るのが、得意なバンドとして認識している。何回か聴いて、それでも「うーん。これ、良いのか?」と思った場合は、素直に出来が良くないというふうに割り切る。

 そんな私が本作についてコメントしようとすると、ポイントが三つある。
 まず最初に誤解がないように書いておくのだが、決して駄作ではない、というのが一点目。しかしながら、印象を一言で表現すると「竜頭蛇尾」というのが二点目。そしてフォローするわけではないのだが、「後半が薄味だけれども、ま、こういうのもたまには良いんじゃない?」というのが3点目である。

 どうも各楽曲の製作環境は、誰かが持って来たリフから発展させたようなパターンが多いと共に、あまり皆で「ああでもない。こうでもない」といじくらず、あっさり作ったようだ。
 そういうわけで、4曲目ぐらいまでは「おお、なかなか・・・」と聴けるのだが(やっぱり白眉は②だろう)、5曲目以降は「徒然なるままに、はい、チョチョイのチョイ」という感じ。ボーナス・トラック前の本編ラスト・ソングなんか、「あ?これが本編最後?」と、ちょっとイメージがそぐわない(悪い曲ではないのだけれど)。

 でも、現時点での最新作。7年経とうが(スタジオ盤では)レイテスト・アルバム。嫌いじゃないですよ。


DENNIS DE YOUNG - And the Music of Styx Live in Los Angeles ★★ (2015-03-28 21:25:57)

 トミー・ショウも好きだが、デニス・デ・ヤングも好きだ。よって、デニスが元気にやっていることを示す本作を聴くことは、非常に気分が良い体験だ。
 本作は2014年3月18日に、ロサンゼルスのエル・レイ劇場にて収録された2枚組のライヴ・アルバムだ。エル・レイ劇場はキャパが最大770名。会場としては小規模だが、そのおかげで親密な空間でのパフォーマンスを堪能できる。
 収録された楽曲は、ほぼSTYXのベスト選曲。それにプラスして、デニスのソロアルバムのタイトル・トラック(「Desert Moon」)も収録されている。
 デニスの偉いところは、自分が作った楽曲だけをやる、というのではなく、トミーの楽曲も代表曲を余さず取り上げている点だ。ケツの穴の小さいことを言わず、観客が聴きたがっているであろう曲を、しっかりチョイスしている。あくまでSTYXの再現に拘っている、その軸に全くブレはない。
 それで、トミーがヴォーカルを取っている曲を、オーガスト・ザドラが唄っているのだが、この人のヴォーカルがトミーそっくりだ。本当に驚くほど似ている。良く探してきたと思う。
 44年(ライヴ収録当時)連れ添った愛妻のスザンヌもバック・ヴォーカルで参加。デニスの声はその艶と色気を全く失っていない。温かい雰囲気の中で展開されるパフォーマンスは、個人的に非常に感慨深いものがある。なにせ洋楽のアルバムで初めて購入したのがSTYXの『Kilroy was Here』だったので。
 お気に入りの一枚である。


DEVIN TOWNSEND (STRAPPING YOUNG LAD) - City ★★ (2012-06-28 20:21:54)

 購入してから随分経つのだが、未だにアルバム全編を通しで聴いたことがない。
 ちょっと、個人的には音が閉塞感に満ち過ぎており、途中でリタイアしてしまう。
 だが、たまに聴きたくなる。何かに苛立っている時とか、怒りを感じている時など。
 少し聴くと、何に対して腹を立てていたのか忘れてしまうか、どうでも良くなってしまう。
 SLIPKNOTの2ndにも似たような効能があるが、こういう機能的な音楽って、常に服用はしないけれど持っていて安心な薬に似ている。


DIAMOND HEAD - Borrowed Time ★★ (2014-05-13 23:11:57)

 このアルバムに関しては、完全に思い違いをしていた。
 私は『SINGLES』→『CANTERBURY』→本作と、変な順序で聴いてきたために、本作については昨日購入してくるまでは、“おそらく『SINGLES』に収録されているような、リフ・オリエンテッドで勢い良くつっ走る楽曲を基軸に、若干ヴァラエティを豊かにしたような作風に違いない”と勝手に思い込んでいた。
 大きな間違いである。
 いや、そもそも、上で幾人かの方々が書かれているコメントを、ちゃんと読みなさいって、ということだ。みんな「そうじゃないよ」って教えてくれている。
 1曲目から6曲目まで、ミドルテンポを基本に、たまに走るパートが挿入されるくらいの楽曲がまとまっている。すでに皆さんご指摘のとおり、多分代表曲の一つであろう7曲目「Am I Evil」はこのアルバムの中では異質だ。正直聴いていささか驚いた。

 だが、そうだからと言って、このアルバムにガッカリしたわけでは全くない。このB級臭さはクセになる。曲によってはギターソロを聴いていると、たまに「音程が外れているのでは」という展開になり、それがなんとなく思っていたより無事な感じで軟着陸を決める。これはスリリングだ。10階に行こうとエレベーターに乗り、到着して降りたら11階だった、みたいな何かに騙されたような感じだ。

 私の買ったのは2008年版マスターでSHM-CD、ボーナストラックが7つ、というなんだか喜んで良いんだか悪いんだか戸惑う(「いや、そこまで名盤か?・・・」と一瞬思ってしまって。いえいえ、名盤ですとも)ヴァージョンだ。
 でも、購入して良かった。しばらく大事に聴いて楽しめそうだ。


DIO - Finding the Sacred Heart: Live in Philly 1986 ★★★ (2013-07-17 20:19:58)

 1986年6月17日、フィラデルフィアのスペクトラムにて収録されたライブ盤。というか、ライヴ映像作品のサウンド・トラック。
 私は習慣的にテレビの前で長時間過ごすことをしないので、気に入ったバンドの映像作品も、ほとんどスルーしている。もっぱら購入するのはCDだ。
 本作もCDで購入したのだが、テレビの前でジッとしているのが苦にならない人には、映像作品の方を購入されることをお勧めしたい。多分、凄いと思う。
 ライヴ盤を買う時に、誰でも悩むことがあると思う。その一つが音に関してだろう。酷いのになると、臨場感の有無以前に、スタジオ音源より音が劣化し、演奏が拙劣になったような代物すらある。
 本作に関して言えば、その心配は全くない。臨場感たっぷり、やや低音が目立つがエッジがしっかり立っているギター、そしてなにより、ロニーの歌唱が素晴らしく良く聴こえる。
 本作はヴィヴィアンからクレイグにギターがチェンジした後の収録だが、クレイグが本当に良く頑張っている。製作に参加していない1st~3rdの楽曲を、良く弾きこなしている。ギターソロはさすがにピロピロと良く囀り、勢いで引き倒しているものの、独創性に欠けるものではあるが。ま、当時は速弾きが持て囃されていたので、ありがちではある。
 本作は、全体的にとても良く出来たライヴ盤である。私は常々3rd発表後のライヴ音源がフルで聴きたかったのだが、本作を聴いてようやく溜飲を下げることができた。
 


DIO - Live - We Rock ★★ (2012-07-09 05:46:39)

 2010年発表。
 DIOの最初期のライヴレコーディングを中心にまとめたもの。全12曲のうち、①~⑨が1983年10月5日(1stアルバム発表のおよそ5ヶ月後)、⑩~⑫が1984年8月(2ndアルバム発表直後)のライヴ音源である。
 私は常々ヴィヴィアン・キャンベル在籍時のライヴをフルで聴きたいと願っていたので、このコンピレーションの発売は嬉しかった。とは言え、御大の逝去が発表のきっかけと考えると、複雑な心境にはなるのだが。
 ヴィヴィアン在籍時のライヴは、随分昔(1986年)に3rdアルバム発表後のツアーを録音したもの(「INTERMISSION」)がリリースされているが、スタジオ録音曲1曲を含み全6曲というのはいかにも食い足りない。それに、ヴィヴィアンは3rdの頃にはDIOを脱退する時機を見計らっていたような節があるので、やはり初期の頃のプレイが(私は)聴きたかった。
 内容はというと、今まで発表されなかったのが不思議なくらい良い。御大の上手さは改めて述べるまでもなく、ラフでスピーディー、ライヴならではのエキサイティングな演奏が楽しめる。音も思ったより良い、というかこの少しざらついた音は好きだ(曲と曲の繋ぎがやや不自然なところや、左右のバランスが不安定な部分も少しあるが、まぁ仕方がないだろう)。
 ヴィヴィアンは性格的に少し難しい人らしく、DIO在籍時のことについて“最初から脱退するまで(その音楽が)好きになれなかった”みたいな発言をしていたりするのだが、プレイには関係なく、火が吹くようなギターを聴かせてくれ満足である。ベース・ドラム等他のプレイヤーも腕は確か。良いライヴ盤である。


DIO - Magica ★★ (2016-07-30 21:43:12)

 先日、隣町のBOOK OFFを初めて覗いてみたら、かの“怒ったロボットちゃんたち”アルバムを見つけてしまった。
 積極的に捜し歩いていたわけじゃないんだけど、中古盤屋に行くと(あるかな?)とみることがあり、まぁなかなか見つからなかった。ロニーが亡くなってDIOの活動というのは新しいものはあり得ない。そのような状況下では旧譜の再発も名作と評価されたもの以外は難しい。ロボット・アルバムは多分発表当時からその評価は厳しく、馬鹿売れしているとも思えない為、(こりゃあ、聴けないで終わるかな)と思っていた。
 それがあったので買いました。これも何かの縁だし、やっと見つけたし。

 どうしてロボット・アルバムの話から始まっているのに、『MAGICA』のコメントを書くのかというと、ロボット・アルバム(いずれコメントするかもしれない)を聴いていて、クレイグ・ゴールディを改めて聴きなおしたいと思ったからだ。

 クレイグが初めてスタジオ・アルバムで参加した4thアルバムについては、1stから3rdの流れを順当に汲む名作だと思っているので、とりあえず置いておく。ここで興味の対象となるのは、本作を皮切りとした後期のDIOだ。

 本作は発表当時に聴いていて、「う~ん。これは・・・地味だなぁ」と何度か聴いた後、その後はあまり聴くことはなかった。しかし改めて腰を据えて聴いてみると、中にはほどほどに良い曲が収められていると思った。⑩とかは後半にあってピシリと作品を良く締めている。
 前半はミドルテンポの曲が多い印象で曲調が似てしまう。若干アップテンポの曲(⑤)とかもあるのだが、配置がアルバム中盤なので刺激が弱まる。コンセプト・アルバムなので、ストーリーを意識して曲を作っているのだろうから、配置については「こうなんだ」と言われると「はい、そうですか」となる。だが、せめて3曲目くらい(本当は冒頭で思い切りガツンといってもらえると良いのだが)に早い曲があったら、アルバム全体の印象も違っていたかもしれない。

 それはそれとして今回感じたのは、クレイグのギターがそれなりに善戦していたことだ。
 メロディも(全体的にヘヴィなのだが)頑張っている。

 この人は技術的には問題無いしメロディセンスも良いと思うのだけれど、どこか地味な印象が拭えないのは自分の(本当の意味での)音楽というのが見つけられなかったせいだろう。「これがやりたいんだ。これが俺の音楽だ」というのが希薄だ。
 リッチー・ブラックモアになりたくて、リッチー並み(場合によってはそれ以上)のテクニックは身につけたものの、そこからさらに先に進んでいくことが出来ていないように思える。多分人柄としてはとても良い人で素直な性格なのかもしれないが、やっぱりどこかで(表現のために)「ここはキレさせてくれ」みたいな局面が必要だったんじゃないかなぁ。
 似たような人にダグ・アルドリッジがいます。

 なにかけなしているような感じになってきたけれども、そうではなくて、本作はなかなかの良作だと思います。
 でも最後の“お話”はいらない。