生ストリングスを用いたシンフォニックでシアトリカルなアプローチのサウンドと、HMらしからぬ曲タイトル、しかもそれがアルバムのリーダー・トラックという事で「音楽性の変化に影響あるかも」と考えたのは全くの杞憂で、スタイルの幅を広げてもBATTLE BEASTらしいメロディー・ラインの魅力は不変。 むしろ、分家筋のBEAST IN BLACKではやらないだろうなというサウンドで、今後の両者における重要な個性の違いとなる予感がします。
'19年発表の5thアルバムです。 「ハリウッド映画のエンディングなんてもう沢山!」というタイトルに対する違和感と、YouTubeで先行配信された表題曲の過剰にシンフォニックなアレンジに「全編こんなのだったら嫌だなぁ」と聴く前は若干の不安もあった本作ですが、蓋を開けてみればPOP&キャッチーを推し進めたいつもの路線に、ちょっと新味が加わった実にらしい作風で、すんなりと耳に馴染みました。 前作ではまだ多少は感じられたアントン・カバネン色もほぼ払しょくされましたが、楽曲のクォリティーにはいささかの影響もない様子、更にメロディアス度の増した楽曲を実に伸びやかに歌い上げるノーラ・ロウヒモのヴォーカル・パフォーマンスにも圧倒されます。 「もっとBEASTらしい荒々しさを!」という方も、 "Raise Your Fists" 、 "The Golden Horde" のエピック・チューン二連発で満足間違い無し!
と概ね気に入っている本作ですが、その一方で、ややヴォーカル中心に偏ったマイルドなサウンド・プロダクションに物足りなさを覚えたのも確か、もっとバッキングに音圧があれば良かったのにと思ってしまいました。BEAST IN BLACKの新譜との比較も、楽曲の充実度は互角でも、ギターの華やかさで差がついている印象。 次作では、その辺りの改善も期待したい所です。