紆余曲折を経て2014年に再々結成を果たした老舗のアメリカンHM/HRバンドが2016年にリリースした3rd。フロイド・ローズは参加してませんが、ジョナサン、リック、エヴァンの3人の名前がある事が重要ですかね。ジョナサンの歌声が随分とビフ・バイフォードになっていて『The Right Way』みたいなタテノリナンバーを聴いていると昔のSAXONに聞こえるくらいの激似ぶりに驚きますが、音楽性も1st、2ndともまた違った豪快なロックサウンドを披露、思想の強い一部のマニアから完全に嫌われているSAXONの『Power & the Glory』『Crusader』あたりのアメリカンマーケットを意識した親しみやすさと、小気味よいノリが気持ちよくなり響いております。押しの強いギターサウンドも随分と古い暖簾を掲げているが、Frontiers Recordsの手によって復帰したのがなんとも感慨深いですね。
Q5という名を最初見た時は「プログレ・グループ?」と思いましたが、実際はトレモロ・アーム・ユニットの開発者として知られるフロイド・ローズ(G)が、T.K.O.の元メンバーらと共にシアトルにて結成したツインGを擁する5人組のデビュー作。 エッジの効いたGリフと、溌剌と弾むタテノリのリズムの上に憂いを帯びたメロディが乗るキャッチーなポップ・メタル・サウンドは、LAメタル真っ盛りの'84年リリース作品に相応しい華やかな雰囲気をその身に纏い、ジョナサンKことスコット・パルマートン(Vo)のハスキーなシャウトが炸裂するアグレッシブなOP曲“MISSING IN ACTION”、哀愁のHRナンバー“LONELY LADY”、冷やかでスペーシーな感触を伝える表題曲“STEEL THE LIGHT”といった名曲が連続するアルバム前半の完成度の高さは「お見事」の一言に尽きますね。(絶品の泣き虫バラード“COME AND GONE”が控える後半もなかなか) フロイド・ローズはここに収められたセンス溢れるGプレイやフック満載の曲作りの巧さを通じて、ギター開発者としてのみならず、プレイヤーとしてもコンポーザーとしても類稀なる才能を誇る事を見事に証明してみせたんじゃないでしょうか。 レコード会社のバックアップ体制が貧弱だったのか、はたまた地元の音楽雑誌で「'84年度ワースト・アートワーク」に選出されてしまったというビザールなジャケットが足を引っ張ったのか(日本盤は欧州盤のデザインに準じているので一安心)、アメリカでは全く話題に昇ることなく埋没してしまった事が非常に惜しまれる1枚。 尚、バンドはもう1枚アルバムを出したあと解散。