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Odz Manouk (Usher-to-the-ETHER)


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Odz Manouk

2010年発表のデモ音源に、TUKAARIAとのスプリット音源を付け、リマスターを施し2012年にProfound Loreから再発された音源集。500枚限定、トールケース/デジパック仕様。

このバンドも、基本は2ビート疾走に紙ヤスリのようなザラついた音質のリフ、トレモロリフによる邪悪メロディを絡めたパートの多い、如何にもプリミティブブラックという感じの作風ですが…同時期にProfound Loreより音源をリリースし、スプリットの相手でもある同郷のTUKAARIA同様、ジャンルのテンプレを踏襲するだけでない、一歩踏み込んだ深さのある音を出してますね。

特にメロディ面においては、陰鬱さはTUKAARIA以上かもしれません。今正に蠱毒が作られんとしているような、毒々しいメロディであったり、不協的な気味悪さと神秘性を同時に感じさせるものだったり、オカルティックで本能的な嫌悪感・恐怖感を煽るようなトレモロリフ多め。時に宇宙的なSEを混ぜたりなどの工夫も相俟って、凡百のバンドには作りえないグロテスクな感触を与える音に。

ただし、ひたすら暗黒・オカルト趣味に彩られた作品ではあるんですが…一部ではギターソロにメロウなベースラインを絡ませたり、意外にメロディアスな側面もあるのも特徴ですね。ヴォーカルも曲によって喉痛めそうな絶叫だったり、腸を吐き出しそうなドスの効いた声を出したり、かなり感触が違いますが…レコーディング時期は2005年から2011年に及ぶらしく、そういった制作スパンの長さがパフォーマンス・フレーズ等のバリエーションに繋がっているのかも。

全編通じて日常ではまず体験できないような、濃密に満ちた邪気を感じさせてくれる作品。プリミティブブラックの粗い音質が受け入れられる暗黒音楽好きなら、まず買って損はないのではないでしょうか。

Usher-to-the-ETHER ★★★ (2012-11-05 19:11:15)