1973年11月、オーストラリア、シドニーにて結成されたロックバンドである。
Malcolm YoungとAngus Youngの兄弟を中心として結成されている。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第72位。
バンド名の由来は、電化製品の裏側に書かれていた「AC/DC」により、Young兄弟の姉が大音量で演奏していた彼らを掃除機の喧しさに例えて名付けたものといわれる。地元オーストラリアでは、AC/DCは愛着を込めて「Acca Dacca」と呼ばれている。
Angus Youngのスクールボーイスタイルの衣装も姉の提案によるもので、バンドのトレードマークになっている。
「AC/DC」とは、本来「交直両用」の意であるが、バイセクシャルを表す隠語(日本語の両刀使いに近いニュアンス)でもあったため、バンド初期には勘違いしたゲイバーからの出演依頼がたびたびあった。
60年代末から70年代にかけて隆盛を誇ったハードロック、ことに「ブルースを基調とした骨太でソリッドなロックンロール」の部分をよりプリミティヴに抽出し徹底させた音楽を志向し、デビューから現在に至るまで硬質かつ武骨にしてシンプルなロックンロールを中心に演奏し続けてきた。いわゆるハードロックバンドには珍しく、極めてタイトなミッド~スロー・テンポの楽曲が非常に多く、なおかつそうしたリズムでありながらもその高揚感はいささかも減じられない。長きにわたって変節のない質実剛健な音楽性が特徴で、時にブルース調の曲を演奏するものの、Motorheadと同様に昔も今もほとんど変わっていない。ファンは減るどころかむしろ増え続けていると思われる。
70年代末、パンク・ロックブームに沸くイギリスでは、それ以前に活躍したハードロックバンドがオールドウェイヴと揶揄され消えていく中、AC/DCは生き残ることに成功する。それは、バンドが熱狂的なファンをイギリス全土で獲得していた為だが、ファンや音楽誌などからオリジナル・パンクと同一視されたという側面もあった。特に、ライヴでのパフォーマンスはパンク的な印象が強く、ボン・スコットのパフォーマンスはSex PistolsのJohnny Rottenを強くイメージさせた。一方で、Angus Youngは観客に向かって尻をさらすパフォーマンスで悪名高かった。また、高い演奏技術や凝った楽曲への志向をことさらに露にすることよりも、創世記のロックンロールのワイルドさに忠実であろうとするAC/DCの音楽性は、パンクロックと相性が良かった。同業者のファンが多いことで知られるAC/DCはRamonesのJoey Ramoneをはじめとして、多くのパンクロッカーからも敬愛されている。
1973年にデビューして以来、楽曲やライヴでのパフォーマンスなどによって欧米にも人気を広げていったが、1980年に、ヴォーカルのBon Scottが急死し、危機に立たされる。しかし、新ヴォーカリスト、Brian Johnsonを迎えて発表した『Back in Black』は、世界的に空前の大ヒットを記録し、次作『For Those About to Rock (We Salute You)(邦題:悪魔の招待状)』 では初のビルボード1位を獲得するといった活躍を見せる。だが、今日でも全米チャートの上位常連であるが、日本での人気は欧米ほど高くなく、また、彼らの全盛期であった1980年前後、日本ではQueenの様な、ルックス的にも音楽的にも華やかなバンドが人気で、AC/DCの様な武骨なバンドは人気がないというバンド側の先入観もあり、2001年の来日公演は実に19年ぶりであった。
2013年には結成40年を迎えたが、2014年、リーダーでもあるMalcolm Youngが認知症の療養ために引退、またドラマーのPhil Ruddが居住先のニュージーランドで、男性2人の殺人を依頼したとして訴追され、自宅から覚せい剤が押収された。結果、ギタリストにYoung兄弟の甥(長兄Alex Youngの息子)のStevie Youngが、新ドラマーにChris Sladeが迎えられた。
2016年4月、『Rock or Bust』に伴うワールド・ツアーにおいて、Brian Johnsonにドクターストップが掛かり途中降板した。以前から患っていた聴力障害を抱えており、本人は引退を示唆している。代役は、Axl Rose(Guns N' Roses)が務めている。
2013年までに、アメリカだけで7,150万枚以上のアルバム、世界で2億枚以上のレコードを売り上げている。(うち、5,000万枚は『Back in Black』)
Current members (リーダーはAngus Young)
Angus Young – lead guitar (1973–present)
Stevie Young – rhythm guitar, backing vocals (1988, 2014–present)
Chris Slade – drums (1989–1994, 2015–present)
Axl Rose – lead vocals (2016–present)