87年に発表されたWHITESNAKEの「WHITESNAKE(SERPENS ALBUS)」と、このLIONのデビュー・アルバム。 同じブリティッシュHRスタイルを基調とする音楽性なのに、結果的に前者が大ブレイクして後者が「泣かず飛ばず」に終わってしまったのは、未だに何だか不思議な気がします。 (まぁ知名度が天と地ほど違いますし、比較するコト自体酷だとは思うのですが) カル・スワン(Vo)、ダグ・アルドリッジ(G)、マーク・エドワーズ(Dr)という(今考えると)錚々たる面子の集まりだったのに、(彼らの実力はともかく)内容のイマイチ「華やかさ」に欠ける雰囲気が災いしたのでしょうか。 でもカルの熱唱(それこそデイヴィッド・カヴァーディルに匹敵し得る迫力)もダグの情感溢れるプレイも、非の打ち所が無いほどに輝いています。 楽曲も決して地味じゃ~ありません。非常に高品質且つ粒揃い。特に「Never Surrender」のカッコ良さには心底痺れます。(それと個人的に「In The Name Of Love」のギター・ソロは鳥肌モノ) 忘れたくない隠れた名バンドです。
決してLAメタルでは有りません!!同じにしないでください。地味かもしれませんが、自分にとっての原点、HRの基本を思い出させてくれるのが、このLIONです。AFTER THE FIREなんか最高の曲ですね。もっとも私は、BMRも、BURNING RAINも大好きなんですけど。 ちなみにカルは今はL.A.で映像関係のお仕事をしているらしいです。(もともとそういう勉強をしていた人ですし)
不幸の波状攻撃に翻弄されながらも立ち向かう、大映ドラマのヒロインばりに健気な姿(?)が日本のHR/HMファンの胸を打ったBIG IN JAPAN筆頭LION、'87年発表の1stフル。(国内盤は『宿命の砦』なる副題あり) とは言え、彼らが判官びいきのみで人気を集めたわけじゃないことは、タレント揃いのメンバーと、彼らによってクリエイトされる高品質な楽曲の数々からも明らか。元TYTANの英国人シンガー、カル・スワン(Vo)の情念迸るディープ・ボイスを活かしたサウンドは、基本的にはWHITESNAKE辺りからの影響を伺わせるヒンヤリとした哀感を身に纏うブリティッシュHMなのですが、そこにメタリックなエッジの鋭さや、ライブでの大合唱を誘うキャッチーなコーラス・ワーク、そして若きギター・ヒーロー、ダグ・アルドリッジのフラッシーなGプレイといった、LAメタル仕込みの華やかなエッセンスが加わることで、英米混合バンドたるLIONならではの個性が眩い輝きを放ちます。 特にアップテンポのHMナンバー④は必殺の名曲。今は亡き日曜洋画劇場で繰り返し放送されていたB級アクション映画『処刑ライダー』劇中歌で、LIONの存在なんぞまるで知らなかった時分から「イカス曲だなぁ!」と痺れまくっていただけに、これが彼らの手による楽曲だったと知った時は感激もひとしおでしたよ。他にも重厚な②、バンドの代表曲のリメイク⑥、ブリティッシュ・ボイスが冴え渡る⑦、本編ラストをアグレッシブに締め括る⑨と、収録曲はどれも逸品ぞろい。いや、もしかすると今日びの若いリスナーには地味に響くやもしれませんが、そこで手放なすのはぐっと堪えて、もう数年熟成させた後で改めて聴き直してみると、芳醇な味わいに気付いてガツンとやられることも案外あるのではないかと。