1996年発表の2nd。プロデュースはPaul NorthfieldとJagori Tanna。Enhanced CD。"彼らの代表作"という声も多い。 本作のヒットで彼らは1996年度MuchMusic Video Awardsの『Favourite Group』に選出される。 しかし、本作を最後にヴォーカルのEdwinが脱退、ソロ活動に入る。RushのAlex Lifeson(G.)が1曲参加。 アルバム・タイトル『Scenery&Fish』の"fish"は"人"の意味もある。したがって"scenery(景色、舞台)"と"fish(人)"で、 "世の中(全体)"を意味すると考えられる。楽曲は、前作のような派手で荒々しいバンド・アンサンブルは減り、 アコースティック・アレンジが増え、音作りが生々しくなった。その反面、歌とメロディを重視しており、ヴォーカルの魅力が堪能できる。 ほとんどの曲が5分以上だが、細部までよく練られているため、冗長な感じはない。 全体的に哲学的な印象を受ける歌詞の世界は、1st以上に難解。はっきり言ってよく分からないが、 5曲目「Three Days Old」の一節"The scenery and fish, they are bad"に象徴されるように、暗く、重い。 主に歌われているのは"疎外感"であり"狂気"であると思われるが、決して絶望的な世界ではない。とくにラストの開放感は爽快。 また、彼らの代表曲のひとつである「One More Astronaut」の宇宙を彷徨う宇宙飛行士の姿は、1stの「Levitate」に通じる。 そして、特筆すべきはラストの「Earth,Sky&C.」。この曲はCarlos Santanaに捧げられている。"C"はCarlos Santanaの"C"と"Sea"の意か。 歌詞は1番が"Earth"、2番が"Sky"について。"C(Sea)"は直接歌われていない。その点は謎だが、中盤のギター・ソロのフレーズは、 本作発表以前の94年当時、彼らがライヴでSantanaの「Hope you're feeling better」をカヴァーした時にすでにプレイされている。 このことから、このギター・ソロの部分が恐らく"C"であると考えられる(推測の域を出ないが…)。 とにかく、自分で道を切り開いていこうとする人物の姿(Fish)が自然の情景(Scenery)を通して歌われており、 "The scenery and fish, they are bad"とは全く異なる開放的な世界が展開されている。これまでの重くけだるい雰囲気を一掃する疾走感に溢れた曲で、 本作のテーマにとっても、彼らの音楽面においても、集大成といえるだろう。7分を長く感じさせない名曲である。