聖飢魔Ⅱの創始者ながら、レコード・デビュー前には既にバンドから脱退済みで、現在は、高校の数学教師という 世を忍ぶ仮の職業に就く、地獄の皇太子ことダミアン浜田殿下が、'96年にひょっこりとリリースしたソロ・アルバム。 デーモン小暮、エース清水、ゾッド星島、ライデン湯沢、ゼノン石川ら、歴代の聖飢魔Ⅱメンバーがゲスト参加している ことでも話題になった本作(人間椅子の鈴木研一も客演)。自主制作盤ゆえ、サウンド・プロダクションは貧弱だが、 初期聖飢魔Ⅱのメイン・ソングライターとして、“THE END OF CENTURY"“蝋人形の館"“悪魔組曲 作品666番ニ短調"等、 数多くの名曲を生み出してきた彼だけに、本作に収められた、サタニックな雰囲気漂う様式美HMナンバーの数々は、非常にハイクオリティ。 特に、劇的な疾走チューン③や、Keyが良い仕事をしている、怪しくも美しい⑧は、初期 聖飢魔Ⅱの名曲群と比較しても まったく引けを取らないカッコ良さを誇る。 ただ問題なのは、そうした楽曲を歌う殿下のVoで、上手い下手以前に、余りに素朴なその歌声は、良い意味で「コケ脅し感」満点の サタニックな楽曲を歌うには不向き過ぎる。(これは、④や⑥で喉を披露している、エース清水やゾッド星島にも言える事だが) 結果的に、⑧で貫禄の歌唱を響かせるデーモン小暮の存在が際立つ仕上がりとなっていて、やはり全編を彼に歌って欲しかったかなぁ、と。 ともあれ、優れたHMアルバムなのは間違いなく、初期聖飢魔Ⅱサウンドを愛する人なら、本作はマスト・バイ。 Say Banzai to His Majesty Damian Hamada!