'79年発表。名曲「BABE」、「BOAT ON THE RIVER」を含む。アメリカン・プログレ・ハードものとしては、これが最後の作品であろう。本作の次に発表されたのが、爆発的なヒットとなった『PARADISE THEATER』だが、『PARADISE~』以降はコンセプト作は作ってもすでにプログレ・ハードではなくなっている。 同じアメリカン・プログレ・ハード・バンドであるKANSASも、プログレ・ハードからの転向を同じ時期に試みていたが、KANSASの方は上手くいかなかった。STYXは見事に成功したわけだが、それも束の間、ライヴ・アルバム『CAUGHT IN THE ACT』発表後、分裂・解散状態になってしまう。 '70年代の手法を用いて最高のものをつくりあげ、'80年代型STYX快進撃の布石としたという意味でも、本作の存在は大きい。 ただ、現時点でのKANSASとSTYXを比較してみてみると・・・。複雑なものを感じてしまうのも事実なのであった。
GRAND ILLUSIONあたりで手ごたえを掴んだSTYXの到達点は、本作のように プログレ感覚をやや後退させたコンパクトで洗練された音創りに集約・象徴される。 そんなわけでSTYXの音楽性の収束的な意味合いが、本作には内包されていると言えよう。 アルバムのハイライトは、STYX最大のヒット曲Babe、アコギ民謡舞曲とでも形容したくなるBoat On The River、De Youngらしいコミカルなメロディアス曲Why Meあたり。 個人的には本作は過去2作と比較して薄っぺらな印象があり、あまり好きではない。 しかしながら、STYXの歌謡性を知る上で本作は、重要な作品であると思う。