前作 'Chaos To Control'は良くも悪くも、彼らの迸るテクニックやフレーズセンスを上手く曲やメロディーの中に封じ込みきれなくて、「いいパーツは多いんだけど...」どこか消化不良を起こしているアルバム全体を皮肉にも良く現してしまっていた。 ところが本作は、引くべき所は引き、押す場所は全面に一気に押し出すところ、彼らの有る意味驚くべき成長の跡が、完全に整理し切った状態でアルバムに封じ込められている。特に、前作では無制御に近かったテクニックは、きちんとメロディーを引き立たせて、それを際立たせることに徹しているように感じる。プログレッシブ、且つテクニカル、そしてメロディアスで、心にまっすぐ届き易く、有る意味かなり解りやすい1枚。 これでも、彼らのポテンシャルを実はまだ完全に顕わしきっているとは言えないかも知れない。あまりにも曲のメロディーを重視していて、押さえ気味に感じられたから。ピッチャーに例えるなら、前作は力任せでボール先行、本作はストライクを狙って球速を押さえた感じか。そうは言っても僕は本作はかなり好きだが(気に入り度は4.5pts/out of 5)、次作に向けて何かを予感させてくれる、いい1枚と思う。