'99年発表。'97年発表の復活作『RETURN TO PARADISE』(ライヴ盤)に続き発表された。多分デニスを含む編成では最後になるであろう作品(また仲直りしてデニスが復帰することもあるかもしれないが)。 スタジオ盤としては現時点で最新作。 個人的には、冒頭でいきなりAORな「I WILL BE YOUR WITNESS」に面食らった。 STYXの作品は1曲目に勢いのあるナンバーや、アルバム全体の雰囲気を象徴する少し派手目のナンバーを持ってくることが多かったのだが、少しおとなし過ぎる始まりである。 以下の楽曲も、かなり良い曲が並んでいるのだが、どうもしっくりこない。 クレジットを見て納得。トミーとデニスの共作が無いのだ。トミーとJYは共作しているが、デニスは常に単独クレジットである。 まあ、黄金期の作品においても3人(デニス・トミー・JY)がそれぞれ単独で曲を書くことが多かったのだが、今回は1曲ぐらい3人でつくってバンドの一体感を感じさせて欲しかった。 ちなみにアルバム収録曲14曲中、デニス5曲、トミー4曲、トミー/JY3曲、トミーとジャック=ブレイズの共作が2曲と、アルバム製作はトミーが主導権を握っていたことが伺える。 もともとSTYXはデニスが自分の意見を通してしまうことが多かったので、バンド内のパワーバランスが変化したと言ってよいだろう。と思っていたら、案の定デニスが脱退してしまう。 作品の内容は決して悪くない。質は高い。買って損はないアルバムである。 それでも、昔からのファンにしてみれば往年のSTYXが持っていた魅力の数々を、バラバラに解体して目の前に出されたような印象を受けた。 トミー主導の次作にちょこっと期待している今日この頃である(やっぱりデニスの不在は寂しいが)。
'99年発表。第2弾復活作。かつT.Showが帰ってきた!期待せずにいられない。 重い足取りで開始されるI Will Be Your Witnessは、アルバム全編に溢れる 落ち着いたテンポ、控えめなハードネス、翳り、重みのある暗さを象徴している。 これは過去のSTYXが標榜した派手さ、仰々しさといった一面と反する関係にある。 そして、当然ながらプログレHR度は低いアルバムと言えよう。 本作には、メロディ・センスの良いT.Showならではの佳曲が収録されている (例えば、I'll Be Your Witness、Brave New World、Number Oneなど)。 悔やむは、De Youngの冴えがあまりみられないことか。歌謡性のあるバラードや 意外なヒップホップ調のHigh Crime & Misdemeanorsでらしさはあるのだが。 本作は、派手さをそがれた歌謡性のあるバンドの1枚とみなされる。佳曲揃いである。 ちょっとハードなAORのような系統が好きな方には、お薦めできるアルバムと思う。