基本的に「このCDを買え!」のコーナーでは、私はフェイバリットとなる一枚のみに対して発言するようにしている。 これは私のポリシーであるが、今後新譜が出て今まで書いたものを上回る作品が出てきた時に対応出来ない、という欠点がたまにキズ。^^; 前書きはさておき、このポリシーに則った場合1枚を選ぶのが困難なバンドの一つがこのOVERKILLである。 散々迷ったが、このアルバムに一票を投ずる事にした。 3rdを後追いで初めて聴いて以来、速攻で1st、2ndを集め十分聞き込み、万全の態勢で買ったのがこの「THE YEARS OF DECAY」である。 当時のB!誌のレビュワーは確か後藤氏で、80点台にとどまったがこれが邦版ライナーを担当しているFar さこた氏であったなら余裕で90点は超えていたのでは、と思わせる内容だ。 #1 TIME TO KILLから始まりシャウトが印象的な#2 ELIMINATION、ひたすら重いリフが這いずりまわるような#5、哀愁のアルペジオから劇的な展開を見せる#8、OVERKILLシリーズを締めくくる#9の圧巻の流れ。。。楽曲のレベルが他のバンドより段違いに高い。捨て曲などあろうはずがない! この作品で彼らは一つの頂点に達したと言えるだろう。スラッシュの歴史を語る上でも外せない重要な一枚だ。
'89年発表の4thアルバム。バンドのメロディ面を一手に担っていたボビー・ガスタフソン在籍時代最後の作品であり、 これまでの集大成的作風ゆえ、本作をOVERKILLの代表作として挙げるファンも多い。 曲調に広がりの見られた前作に比べ、心持ち初期の剛速球路線に揺り戻されてる印象で、キャッチーさは薄れたものの、 より強靭に引き締まったリフ&リズムは、さながら鉄塊の如くガツガツと刻まれ、硬質なサウンド・プロダクションと相俟って、 突進パートでは全身に弾丸を浴びているかのような感覚を味わえる。 その一方で、前作で培ったドラマ性も十二分に活かされていて、「これぞOVERKILL!」な高速スラッシュに、 劇的なインスト・パートを持ち込んだ、名曲中の名曲②“ELIMINATION"、重く引き摺るリフとダイナミックな曲展開が BLACK SABBATHを思わせる⑤“PLAYING WITH SPIDERS/SKULLKRUSHER"、初のパワー・バラード⑧“THE YEARS OF DECAY"、 激しくアップダウンを繰り返す⑨“E.VIL N.EVER D.IES"といった楽曲は、きっちりアルバムの聴かせ所として機能している。 本作を最後にボビー・ガスタフソンが脱退してしまった為、以降、彼らのアルバムで、ここで聴かれるような流麗なメロディ展開を 耳にする機会は、残念ながらかなり減ってしまった。(今のマッチョ路線なOVERKILLも嫌いではないのだけれど)