元シン・リジィのキーボーディスト、ダーレン・ワートン率いるDAREの三作目。 しっとり湿り気を帯びた優しく穏やかなメロディはアイルランドの大地や森などの情景が 目に浮かぶよう。静かに湧き出すような感情の流れが心をきゅっと締め付ける。 タイトルトラックのCALM BEFORE THE STORMやCROWN OF THORNS、ASHESなど楽曲群は 佳曲揃いで、D・ワートンの情感たっぷりのVoは実に甘く、切なく、美しい。 gのA・ムーアも無名の新人とは思えないツボを抑えた泣きのフレーズを連発しており、 楽曲にさらなる湿気を与えている。
アルバムタイトルとジャケットのデザインが、本作の雰囲気を代弁しています。 このバンドは、僕はどうも、鉛色の空と冷たい吹きすさぶ風が、とてもよく似合うバンドな気がしています。 優しい、心に沁みるメロディーを、淡々と時に激しく情感豊かに歌い上げる、ダレン・ワートンさんの歌心が熱い。メジャースケールの曲が多いのに、目頭が熱くなる感覚にも囚われたり。癒しのハードロック、だと思います。タイトル曲、Walk On Water、その他全編優しいメロディーに満ち溢れた一枚です。
2ndの荒々しさには面食らいましたが、1st路線に戻ってしっとり落ち着いた哀愁曲を聴かせてくれるこのアルバムを聴くと、やはりDAREって良いなぁと、しみじみ思います。 私の中では、BAD HABITに匹敵する位置付けのバンドです。 ダーレンのハスキーで艶っぽい歌声で囁くように歌われると、そこはもう別世界で、蒸し暑い夏でも、まるで霧に覆われた肌寒い高原にいるかのような気分になります。 全くの新人だったというアンディ・ムーアのギター・プレイは、感情移入の強さといい、メロディの構築力といい、ヴィニー・バーンズをも凌駕するくらいに、このバンドにはまっていて素晴らしい。 THIN LIZZYの「STILL IN LOVE WITH YOU」のカヴァーも秀逸。 湿度90%超の、泣きの哀愁メロディアス・ハード。傑作です。 ジャケも良いですね。