メロデス第一世代として頭角を現し、現在はその音楽性を孤高の域にまで引き上げることで本国フィンランドは勿論のこと、日本でも安定した人気を誇るAMORPHISが’92年に発表した1stアルバム。(日本盤は'95年に2ndアルバムと同時リリース) 本作で披露されているのは、地の底から轟く咆哮Voと重苦しく刻まれるリフ&リズムが、時に轟然と、時にじりじりと這い進む、基本に忠実なデス・メタル。全編に亘って北欧民族音楽由来の抒情メロディが満ち溢れ、メロディック・デス・メタル黎明期の名盤として知られる2nd『TALES OF TEN THOUSAND LAKES』(’94年)や、近年の傑作群における唯一無二のサウンドに比べると、まだまだ相当に粗削りな出来映えではあるものの、寧ろ今聴くと「あのAMORPHISも若い頃はブラスト・ビートを用いて遮二無二にブッ飛ばしてたんだなぁ」と、新鮮に感じる人もいるんじゃなかろうかと。 無論独自の個性も既に芽吹き始めており、侘し気な序曲①を経て、段階的に速度を上げていく重厚な②に繋げる構成や、ツインGの奏でる荒涼とした旋律がデスメタル然としたブルータリティを伴って吹き荒ぶ⑥等は、この時期の彼らだからこそ生み出し得た名曲ですよ。 ちなみにアルバム・タイトルの『THE KARELIAN ISTHMUS』は、フィンランドにとって重要な土地である「カレリア地峡」を意味する言葉。そして彼の地に残っていたフィンランド語の伝承や歌謡を編纂した民族叙事詩が、AMORPHISの曲作りの重要なインスピーレション源として知られる『カレワラ』であるという。斯様にAMORPHISの創作活動の姿勢が、当時から現在まで一貫してブレていなことを伝えてくれる1枚でもあります。