KING BISCUIT FLOWER HOUR放送用に収録された、TRIUMPHが’81年にアメリカのオハイオ州クリーブランドで行ったライブ音源が’97年にCD化。 彼らのライブ盤と言うと『STAGES』がありますが、絶頂期を迎えたバンドの横綱相撲が楽しめるあちらに比べ、栄光を鷲掴むべくガムシャラに突っ走っていた時期のTRIUMPHの姿が生々しく記録されているこちら。ベスト盤的構成のあちらに対し、一本のショウを丸々収録するこちら…といった具合に、同じライブ盤でもその性質は大きく異なっています。 なので本作におけるメンバーのパフォーマンスは、MCも含め全体的にかなり走り気味という。特にシンガーとしてのみならず、ドラマーとしての実力者ぶりも遺憾なく発揮するギル・ムーア(Vo, Ds)の存在が今作の肝。バンド・サウンドの強力な推進剤の役割も担う彼のパワフルなドラミングに呼応するかの如く、スマッシュ・ヒット・チューン“I LIVE FOR THE WEEKEND”や、中間部にリック・エメットのGの妙技が堪能できるインスト曲“FINGERTALKIN’”を挿し込んだ“ROCK & ROLL MACHINE”等、セットリストもアップテンポでハード・ロッキンな楽曲を中心に構築されていて、バラードリーな“LAY IT ON THE LINE”にすら(スタジオ版にはない)疾走パートを組み込んでみせる徹底ぶり。そうかと思えば一転、初期の大名曲“BLIND LIGHT SHOW/MOONCHILD”を、インプロヴィゼーションを交えオリジナル・バージョン以上にメロウにして壮大、且つドラマティックに再現してしまうのですから、HRからプログレッシブ・ロックまで、TRIUMPHというバンドの表現力の多彩さには恐れ入り谷の鬼子母神。ファンなら必須の1枚ですよ。