MANOWARみたいな徹底的にドラマティックなメタルを志すジャンルをEPICメタルと呼ぶのですが、このバンドもその中の1つ。CIRITH UNGOL、MANILLA ROADらと並び、EPICメタルの元祖として一部マニアの間で崇められています。 本作は82年発表の1stアルバム。邦題は確か「危険地帯」だったと思います。で、内容ですが...これはマジで危険地帯で、とても一般リスナーにはオススメ出来ません(笑)とにかくヴォーカルが酷すぎです。歌えてるトコは歌えてるのですが、「キャン!」と甲高く鳴くシャウトが余りにも情けなく、浮きまくっているのです。最初聴いた時HELICONを連想しましたが、実際HELICONの数倍は奇妙です。楽曲アレンジも甘く、安っぽすぎ。もの凄くBな内容です。 VIRGIN STEELEというカッコイイバンド名、上半身裸で剣を掲げる勇ましいメンバーフォト、何だか雰囲気の良いジャケットアートにかなり期待をしていたのですが...こりゃダメだぁ(笑) しかしクラシックを取り入れた「MINUET IN G MINOR~DANGER ZONE」、バラード「STILL IN LOVE WITH YOU」、ソロで頑張る「CHILDREN OF THE STORM」あたりは、詰めの甘さが目立つものの、なかなか良い線行っています。基本的に危険地帯なのでB級好きな方以外は手を出さない方が良いですよ(笑)
ジャック・スターのプロキャリア最初の作品と言われるバンドの1st。のちに音楽性の違いでバンドを離れバンド名義も引き継げなかった男なのですが、今作ではイニシアチブを握りジャックのギタープレイをフィーチャー、RAINBOW系の楽曲からアメリカンハードありと、わりと典型的なアメリカンメタルをやっています。そこにねじ込まれるジャックが持ち込んだヨーロピアンな感性、のちにマイク・ヴァーニー主催のUSメタルなるコンピ作に提供するChildren of the Stormも収録と将来の有望株として、マイナーリーグでしのぎを削る活動をしていました。なんと言っても今作はデモ音源を叩き台に短気でレコーディングした代物、それ故に、そこまでのクオリティは期待できないが、Still in Love with Youのような大泣かせのバラードあり、男らしいメロディックメタルDanger Zone、バラードの後を引き継ぎ流れ出すドラマ性の高いChildren of the Stormなど質の高い楽曲も収録されている。 古き良きアメリカンメタル、今の主流とはかけ離れたスタイルだが、こういう音を待ち望んでいるマニアにはたまらんでしょう。まだ海のものとも山のものともつかぬ、そんなサウンドってどこか引き寄せるものがありますよね。ワタクシはこういうサウンドに焦がれます。欠点をあげつらうよりも長所を愛でるタイプなので、問題なしなのですが、メジャー流通に慣れている方には厳しいでしょうね。