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IN THIS ROOM (1997年)
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解説 - IN THIS ROOM
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コメント・評価

Recent 50 Comments



1. mokusatu ★★ (2006-04-13 17:35:00)

97年発表の3rd。前作同様、Ann-Mari Edvardsenがボーカル。
まず断っておきたい。私は「Tears Laid In Earth」「Painting On Glass」「Project Bluebook」とこのアルバムを持っているが、このアルバムが一番好き、いや言ってしまえば、このアルバムしか好きじゃない。巷で言われている難解さは微塵も感じない。その割に「Painting~」は難解で聴けない。「Tears~」は冗長で聴けない。こんな耳をしている私のレビューが参考になるのか、甚だ疑問に思う。だが誰も書いてないし、本当に好きなアルバムなので書いておく。

まず楽曲以前に、音が素晴らしい。輸入盤ジャケットのような、ざらざらして、くぐもった感じのSEとノイズが楽曲の背後にいつも流れていて、おぞましく、不穏な空気が支配している。クラシック的でない女声は、ソプラノボーカルのように幻想的でない、現実的な厭世や狂気、精神破綻を表現出来ていて聴き易く、病んだ心象風景は乱れる事がない。
アルバムは全13曲。コマーシャルな歌ものが①⑥⑬に置かれてアルバムを引き締めているため勘違いされているようだが、このアルバムは歌を聴く音楽ではない (多分これは Kariが残した悪影響)。歌唱だけで勝負する楽曲が少ない為インスト曲が多く感じるが、ボーカル(声)が入ってない曲は実は④と⑫しかない。女声は、熱っぽい歌唱から、切実な祈り、孤独な呟き、病棟からの奇声、死際の断末魔までこなす豊かな表現力で、歌と声の垣根を壊し続ける。弦・鍵盤・SEも同様、美と狂気の狭間で、メロディがノイズに堕す瞬間を、同時にその逆を、虎視眈々と狙っている。

「私の人格を音楽化したらこうなる」と思えるほどのアルバムだからこそ、個人的過ぎるし正直、あまりお薦めはしない。じゃあ書かなきゃいいのだが、過小評価どころか見向きもされてないこのアルバムが何だか可愛そうだったので・・・。あと、以前BUURN!のレビューで、確か70点くらい付けられてて、一人憤慨してたあの頃の気持ちを晴らさせて頂きました (笑)。




2. Usher-to-the-ETHER ★★ (2006-12-28 21:43:00)

何故かこのアルバムだけ買うのが遅れてしまいましたが…。
THE 3RD AND THE MORTALの作品では今まで「MEMOIR」が一番好きだったんですが、
この作品も負けず劣らずのアルバムだと思います。何故今まで聴かなかったんだろう…。
前作同様、ゴシック/ドゥームメタルというよりはプログレッシブロックとして扱った方が
しっくり来そうな内容。音作りが非常に上手く、浮世離れした雰囲気やその空気感に
リスナーを耽溺させる術は前作と比べてもかなり進歩しているのではないでしょうか。
確かに、女性Voのゴシックメタルとして聴こうとしたり、音を分析しながら聴いたりすると
難解に感じてしまうのかもしれません。しかし音に酔いながら聴くと、難解どころか
曲の中に取り込まれてしまうかのような感覚が味わえるはず。ヴォーカルも歌を歌として
聞かせるというよりは、曲に込められた感情を声で表現しているという感じ。そういう所が
フィメールゴシック好きには受けが悪いのかもしれませんが、心象風景を表現した幻想的な
音楽としては間違いなく一級品と言えるかと思います。
要所に良い感じの歌モノも入ってますし、騙されたと思って何度か聴いてみて欲しいですね。
段々と波長が合って、病み付きになってしまうかもしれませんよ?
しかしBURRN!のレビュー、これを聴いて70点くらいって…一体このアルバムの何を聞いたんでしょう(怒)
典型的なゴシックメタルの音じゃないから点数下げてるんだとしたらかなりムカつくかも。




3. 病みの皇帝 ★★★ (2020-03-08 16:01:43)

The 3rd and The Mortalの最高傑作。mokusatuさんとほぼ同意見。

1stは当時としてはエポックメイキング的な作品であり、後続のバンドに大きな影響を与えたのは間違いないが、クオリティの面で抜きん出ているかと言われると疑問符がつく。現代のフィメールゴシックの多くが間接的に彼らの1stの影響を受けているからだと思うが、今聴くと平凡なフィメールゴシックに聴こえてしまう。ところが、本作品(および2nd)のサウンドは完全に、The 3rd and The Mortalしか作り得ないもので、真の意味で唯一無二である。2ndも良いのだが、個々の楽曲のもつカオスをコントロールしきれていない感がある。

翻って本作品では、部分部分を切り取ると何の脈絡もないサウンドのように聴こえるが、通して聴いてみると、不思議と統一感がある。まるで精神が徐々に融解していき、つかみどころのない音楽と同様、様々な感情が押し寄せつつ、拡散と収斂を繰り替えしていくかのような感覚が得られる。①⑥⑬の、ある意味「わかりやすい」曲の配置が絶妙で、間にある曲によって意識が持っていかれそうになる寸前で、はっと我に返ることができる。どれも陰のあるメロディーが美しく、このアルバムのハイライトと呼べそうだが、実際にはこのアルバムの聴き所はつかみどころのない楽曲群だと思う。とにかく音が良い。あらゆる一音一音が心地よく、不穏なノイズさえも、楽曲の個々の世界観を作るのに一役買っている。まるで一曲一曲が一つの世界に対応していて、アルバムを通して聴くと、それらの世界を次々と旅していくような感覚に陥る。⑥以降つかみどころのない曲が連続してしまう(⑨もそこそこ歌モノとして聴けるが)ため、アルバムの終盤に向かうにつれて本当にどこかへ行ってしまいそうな構成だが、最後の最後の⑬で現実世界に戻ってくることができる。

はっきり言ってメタルとは程遠い音楽だが、はまる人ははまるし、はまらない人ははまらない作品だと思う。個人的にははまってしまい、この音楽性を探し求めているが、なかなか見つからない(強いて言えばAtroxあたりだろうか)


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