KANSASのメインソングライターのKERRYの1980年発表のソロアルバム。様々なタイプの曲が収録されているが、耳を引きつける曲はやはりKANSASのようなドラマティックでメロディアスなナンバーだろう。目玉曲はロニージェイムスディオが歌っているMASK OF THE GREAT DECEIVER。7分以上の曲だがあっという間に聴き終えてしまう。ラストを飾るGROUND ZEROはあのデヴィッドパックがVOを担当しているが、これも壮大で美しい曲で、彼の集大成という感じだ。
KANSASの中心メンバーだった、ケリー・リヴグレンが'80年に発表した初のソロ・アルバム。 BLACK SABBATH加入直前のロニー・J・ディオ(Vo)を筆頭に、多彩なゲストを迎えてレコーディングされた本作は、『暗黒の支配者』なる大仰な邦題が物語る通り、7~8分台の長尺曲も収録するなど、ドラマティックな大作主義が打ち出されていて、この時期にAOR/産業ロック路線への傾斜を深めていた、KANSASに対する(当人の思惑はどうあれ)カウンター的内容に仕上がっています。 そのKANSASのスティーヴ・ウォルシュ(Vo)が歌う流麗にしてポップな③や、アーシーで埃っぽい④のようなタイプの楽曲も収録されていますが、やはり本編の聴き所として機能しているのは、ロニーが歌うことを前提にアテ書きされたような、起伏と陰影に富む②や、タイトルからしてRAIBOW時代を彷彿とさせるバラード⑤、そしてフィル・イハート(Ds)やロビー・スタインハート(Vio)らも参加して、70年代KANSASの再現が試みられている(そして達成されている)8分越えの大作ナンバー⑦といったドラマティックな楽曲の数々。 アメリカン・プログレ・ハード時代のKANSASにおいてケリーが果たした役割の大きさを実感させられると共に、本作発表後間もなく、彼がKANSASから離脱することになるのも「さもありなん」と納得の1枚。