これがGILLANの最高傑作と断言します。SECRET OF THE DANCEとROLLERはMOTORHEADも真っ青の疾走感。MR.UNIVERSEはキーボードのフレーズがかっこいい。VENGEANCEはややポップでキャッチー。ブルースっぽい渋い曲や泣きの曲などバランスも良い。オヤジになって声が変になり、せんだみつおみたいなルックスになってからのイアン・ギランしか知らない人にぜひ聴いてほしい。イアン・ギランってかっこいいミュージシャンだったんですよ。
GILLANが'79年に発表した本1stフル・アルバムは、アートワークこそAORシンガーのソロ作品のようでHR/HM的な凄みはゼロですが、内容の方はと言えば、これがイアン・ギランのDEEP PURPLE脱退後の試行錯誤を断ち切り、開き直ったかの如くアグレッシブなサウンドがギュウ詰めで最高にエキサイティング。 NWOBHMの隆盛と歩調を併せるかのように突っ込み気味に疾走する“SECRET OF THE DANCE”や“ROLLER”“MESSAGE IN A BOTTOLE”といったスピード・ナンバーの数々は、「ヘヴィ・メタル」と表現しても全く差し支えのないハッちゃけぶりが魅力。 またKey奏者コリン・タウンズの存在が、ギランの強烈なシャウト、バーニー・トーメの豪快なGプレイとタメを張る程に目立ちまくっているのも個人的には嬉しいところです(作曲面でも大きく貢献)。“SHE TEARS ME DOWN”や“MR. UNIVERSE”は、彼の渋さと華麗さの同居した流麗なKeyワーク貢献度大の名曲。そしてラストを締める号泣モノのバラード“FIGHTING MAN”では、その三者の個性がエモーショナルに絡み合うという・・・。 イアン・ギランのVoが真価を発揮するのは次作以降に譲りますが、GILLAN史上最も攻めの姿勢が打ち出された本作は、HR/HMファン向け入門盤としてお薦め1枚です。
ディープ・パープルなら第三期派な僕にとってイアン・ギランは偉大なシンガーではありませんでした。大人になるにつれChild In Timeの厳かな雰囲気とギランのキレまくったシャウトの凄みを理解してからは彼のソロにおけるキャリアに着手、再結成パープル以降の年々衰える姿を見ているだけに一抹の不安はあったのですが、期待を煽るイントロに①に導かれ激しく疾走する②、味わい深いバラード③、爆裂する④コリン・タウンズの鍵盤プレイが華麗に舞う⑤とバランス良く流れる展開のカッコ良さに痺れました。時代は1979年、パープルファミリーの中でここまでメタル度の高い攻撃的なサウンドで勝負を賭けていたとは驚きです。NWOBHM幕開けにギランは時代を見越した音で火蓋を切っていたんですね。今作は複数のヴァージョンがリリースされており参加メンバーが違うのですが、僕が所持している2007年に再発されたギターがバーニー・トーメ(パンクロック出身のギタリスト、ランディ・ローズ死去のあとオジーに参加を要請された事でも知られていますね)。ドラムはミック・アンダーウッドがクレジットされているヴァージョンです。コリン・タウンズが推奨したシンプルなロックスタイルを基調としたエキサイティングなHM/HRサウンドを歌うギランに改めてシンガーとしての凄みを体感させてもらいました。