1968年にカナダ、オンタリオ州トロントの郊外ウィローデイルにて結成されたロックバンド。
Alex Lifeson、Jeff Jones、John Rutseyの3人で結成されたが、同年Jeff Jonesが脱退し、二代目ベーシストとしてAlexの友人Geddy Leeが加入。1974年、結成6年目にして1stアルバム『Rush』でデビューを果たす。デビュー当初はLed Zeppelin直系と言えるストレートで骨太なサウンドの典型的ハードロックバンドであった。デビュー後、アメリカ・ツアーを前にドラムスがNeil Peartに変わる。以降これを不動のラインナップとして現在に至る。Neilは哲学的な詞をバンドに提供し、これをサウンドで表現しようとする事が動機となり、その後プログレッシブ・ロック的な発展をしていく事となる。5thアルバム『A Farewell to Kings』ではシンセサイザーを用いている。続く6thアルバム『Hemispheres』ではよりプログレ色・大作主義へ徐々に傾倒していった。7thアルバム『Permanent Waves』では、レーベルの意向も強くあり、『短い曲でシングルをリリースする』という目標が立てられた。そして生まれたのが、4分59秒の「The Spirit of Radio」であった。この「耳馴染み易いポップな歌」と「技巧性の高い演奏&複雑なリズムアレンジ」との両立が、以降のRushの独自性になっていく。8thアルバム『Moving Pictures』は全米3位を記録し、アメリカだけで400万枚以上のセールスを記録するバンド史上最大のヒット作になった。
その後エレクトロ・ポップやグランジ等時代の流行を柔軟に取り入れながら順風満帆に活動していたが、1997年に娘を交通事故、翌年妻を癌で立て続けに失う不幸がNeil Peartを襲う。妻の葬儀では引退を示唆し、趣味のモーターサイクルで88,000kmに及ぶ放浪の旅に出る。一時期は完全な解散も示唆されていたが、Neilは旅の後に本も出して復帰を決意。長年Rushのフォトグラファーを担当してきたAndrew MacNaughtanから同じく写真家のCarrie Nuttallを紹介され、2001年9月9日に彼女と再婚。2001年に活動を再開、翌年17thアルバム『Vapor Trails』を発表。音楽性は純粋なハードロックサウンドへと回帰した。20thアルバム『Clockwork Angels』はハードロック調の楽曲にストーリー性を持たせた歌詞を乗せたコンセプト・アルバムという、プログレ時代を髣髴とさせる作品となっている。
2015年にデビュー40周年記念ツアー「R40」を開催。Neil Peartの腱鞘炎悪化のため、これがファイナルツアーになると発表された(ただし解散の予定はなく新曲製作の意欲もあるという)。
Dream TheaterやSymphony X、Shadow Gallery、Primus、Metallica、The Smashing Pumpkinsなど、多くのミュージシャンに影響を与えてきた。幾度かJuno Awardを受賞。1994年にはその殿堂入りを果たした。
2004年までに世界で4,000万枚以上のアルバムを売り上げている。
Current members
Geddy Lee — bass guitar, lead vocals, keyboards (September 1968 – present)
Alex Lifeson — acoustic and electric guitars, backing vocals (August 1968 – present)
Neil Peart — drums, percussion (July 1974 – present)