アルゼンチンの「白ネズミ」団こと、RATA BLANCAが'91年に発表するやいなや、本国では予約だけでプラチナムに到達してしまったという大ヒット3rdアルバム。ついでに自分が初めて購入した彼らの作品でもあります。そら『虹の戦士』なんて邦題付けられたら、RAINBOW信者としてはチェックせんわけに行かんでしょう。 「南米のRAINBOW」の二つ名に託された期待を裏切らない様式美HMサウンドや、中心メンバーたるバルテル・ヒアルディーノの作曲スタイル&テクニカルなGプレイから垣間見える(つかモロ出し)リッチー・フリークぶりは当然今回も健在。1曲目のイントロを聴いた時は“LONG LIVE ROCK’N ROLL”のカヴァーが始まったのかと思ったぐらいのもので。更に“DRINKING WITH THE DEVIL”風の②、④が“FIRE DANCE”に瓜二つで⑤は“KNOCKING AT YOUR BACK DOOR”か?…といった具合に、ロックにオリジナリティを求める向きには失笑の一つも漏れそうな作品ではありますが、個人的にはここまで優れた楽曲を揃え、且つ性根の据わったなりきりぶりを披露されると、これはこれで最早立派な「芸」であり「個性」であると。スペイン語の熱唱によってもたらされるエキゾチックな響きも、彼らと英語圏フォロワー勢との差別化に一役買ってくれています。 音質の向上から、ドメスティックなクサ味が抑えられ、より普遍的様式美HMが志向された(洗練された)楽曲まで、本作を彼らの最高傑作に推す声が多いのも納得の1枚。ただ個人的には、クサメロや歌メロのコブシといった、従来のスパニッシュ・メタル的エッセンスが薄れてしまっている点は少々勿体ないように思ったりもするのですが。