リフで寒々しさを演出する、いわゆる「DISSECTION系」のメロブラですが…ここまでDISSECTIONへの憧憬と敬意が感じられる音楽性のバンドは、他に無いのではないでしょうか。温度だけでなく辺りの景色の明度までも下げるようなブリザードリフ、暗黒美の中にも気品の感じられるメロディ、中音域でのシャープながなり声など、基本的な部分も似てますが、クリアながら氷の礫を思わせる歪みの掛かった音質や死神ジャケのアートワークまで、徹底して意識してる感じ。パートによっては「Unhallowed」「Thorns of Crimson Death」の変奏にすら聞こえるフレーズも。
個人的に、こういう芯までDISSECTION系なメロブラって貴重だと思うんですよね…。リフで寒々しさを描くメロブラでも、DARK FUNERALはブルータルだし、KEEP OF KALESSINはテクニカル、NAGLFARやOLD MAN'S CHILDはメタリックなど、意外と純粋に「DISSECTION系」って少ないんですよね。それっぽい音楽性のバンドでも、トラッドやプログレ風のフレーズを挟んだりすることが多いし、このバンド程徹底してるのは非常に稀。DISSECTIONが3rdでメロデス方向に行き、リーダーの自殺で解散した事に嘆いた方の中には、このバンドのデビューに快哉を叫んだ人も多いのでは。
一部では「Storm of the Light's Bane」を継ぐアルバムとしても名高い作品。個人的には、「Unhallowed」「Black Horizons」など、ブラックのクラシックと言える名曲を遺したDISSECTIONと比べると、まだ楽曲そのものは少し弱く思ってしまいますが、この路線を変えずに頑張って頂きたいバンドです。