1981年、イングランドのロンドンにて結成されたロックバンド。
メンバー全員が、既に世界的なキャリア/知名度を得ていたミュージシャンであったため、デビューの時点からスーパーグループとして注目された。「プログレッシヴ・ロックのエッセンスをポップスとして鏤めた3分半の楽曲」というスタイルを確立し、そのスタイルにそってリリースされた1stアルバム『Asia』は数ヶ月後には全米NO.1を9週キープし、シングルカットされた『Heat of the Moment』の大ヒットと相まってアルバムは世界でトータル1,000万枚以上を売り上げた。ここで聴かれる彼らの音楽は非常にポップでコンパクトなものばかりで、かつての壮大な音作りは影を潜めている。いかにも80年代的なサウンドで、その音楽性から産業ロックと呼ばれ、往年のプログレ・ファンや音楽評論家からは批判の声も多かった。翌1983年には2ndアルバム『Alpha』を発表。完全にJohn WettonとGeoffrey Downesの作曲チーム中心となり、初期の中心メンバーであるSteve Howeが作曲に参加した作品が入っていない。シングル『Don't Cry』が全米ポップチャート10位、全米ロックチャート1位となりアルバムも全米6位となる。しかし記録的ヒットを収めた『Asia』の売上の1/5ほどに留まってしまい、ツアーの観客動員数も減ってしまった。バンド内で軋轢が始まり、1983年の初来日ツアー前に、Wettonはアルコール中毒になっていたという理由で解雇されてしまう。しかし、後任のGreg Lakeの声域の方がWettonより低いため、楽曲のキーを半音下げるなど苦労し、歌詞も覚えられない等結果的にぎくしゃくとした演奏形態になった。結局1984年にはWettonが復帰するも、WettonとHoweとの仲がうまくいかず、3rdアルバムのリハーサル中に今度はHoweが脱退。3rdアルバム『Astra』は日本ではオリコン15位を記録するが、全米では67位、シングル『Go』は全米ロックチャート7位、全米ポップチャート46位にとどまり、これまでの巨大な成功とは程遠いものとなった。Wettonは「なぜ急に売れなくなったのかわからない、あれだけの作品で売れなければ今後何を作ればいいんだ」と語り、失意の元、マネージメントのBrian Laneから解雇され、バンドの活動は凍結、事実上の解散状態となった。
1989年に、当時Geffen RecordsのA&RであったJohn Kalodnerの提案で再結成を実現するが、1989年の時点でHoweはABWHに参加していたこともあり合流しなかった。A面5曲が過去のヒット曲を並べたベスト盤、B面4曲が未発表曲という変則アルバム『Then & Now』を発表。日本でのツアーが成功を収める一方でアメリカでのツアー日程が組めず、もはや懐メロバンドとしての需要しか求められていないと感じたWettonは、ソロ契約を得たこともあり南米ツアーの後脱退する。Pat Thrallも同時期に脱退した。Geoffrey Downesのソロプロジェクト」の色彩が強まって行き、Geoffrey DownesとJohn Payne以外はゲスト・アーティストの参加による演奏が多くなり、ラインナップは流動的になる。
2000年代中ごろ、WettonとDownesが偶然の再会から共演アルバムのレコーディングをはじめ、2005年4月には"Wetton/Downes"名義でアルバム『iCon』を発表。このころからこの二人を中心にオリジナルメンバーでのAsia再結成に向けた話し合いが行われ、2006年4月にはDownesがPayneとのパートナーシップを解消する旨を発表。同時にオリジナル・ラインナップ(Wetton、Downes、Howe、Palmer)でのアルバム制作・コンサートツアーを実施する方向であることも正式に発表された。こうしてAsiaは2006年の9thアルバム『Phoenix』で復活をアピールした。この際、脱退を余儀なくされたPayneらの現行のAsiaのメンバーたちは、4人の合意を得てASIA featuring John Payneと名乗り、「初期から現在までの全ての曲」を演奏するAsiaとして活動している。
2013年1月、再度Howeが脱退し、後任にSam Coulsonが参加している。
Current members (リーダーはGeoff Downes)
Geoff Downes – keyboards, synthesizers, keytar, organ, piano, backing vocals (1981–1986, 1990–present)
Carl Palmer – drums, percussion (1981–1986, 1989–1992, 2006–present)
John Wetton – lead vocals, bass (1981–1983, 1984–1986, 1989–1991, 2006–present)
Sam Coulson – guitar, backing vocals (2013–present)