Moi Dix Moisをそのままシンフォブラック化した②でやられた。最初に聴いたアルバムがThornographyだったのでCradle=メロデスという誤った認識があったが本作ではゴシック、メロデスの要素がありながらも基本的にはシンフォブラックなのでこれで初めて彼らの本領を知ることとなった。ダニの声は幅広くかつ病的なので聴いてるだけで気味が悪い。しかしそこが彼らの魅力でありホラーな演出に一役買っている。また曲によっては女性Voも取り入れているので聴き易い仕上がりになっている。
また反省しなければいけないアルバムが増えてしまった。事前にこれはPunish My Heavenのような名曲もなく、中期以降のようにシンセを多用していないという情報を得ていたので中古があっても購入を見送っていた。最近安くなっていたので購入したが、何度でもリピートしたくなった。初期のIn Flames同様トラッドをふんだんに取り入れた美しくも哀しいメロデスが聴ける。とにかく激しさの中の悲しみがひしひしと伝わり、胸が締め付けられそうだ。どの曲も一切の無駄を削りキラーチューンが選べないほど駄作がない。私の中では北欧叙情メロデスの最重要名盤の一枚となりそうだ。ホント誤った判断をしないですんだなと思うばかりです。
物悲しいピアノから始まる①からの②は早速Serpent節が聴け彼ららしいクサいメロデスが聴ける。ヴァイオリンソロを導入した③、クサいギターが聴ける疾走曲の④、Keijaに劣らずクサいフレーズが満載のHiro作の⑤、近年のIn Flamesの彷彿させるリフとグルーヴ感を持った⑥、三拍子のリズムを含んだ⑦、ミドルテンポの⑧、本作のハイライトである⑨、そして慟哭のギターソロ聴けるデスバラードの⑩と捨て曲がない。結局全部書いてしまったが本作がVeiled In Scarletの布石となったことは間違えないし、タイトル通りSerpentの神盤である。クサさという日本人の強みを生かし、あえてモダンな方向に走らずシンセを最小限に留めオールドスクールにこだわっている点も良い。国内メロデスの最重要名盤で世界に誇れるクオリティを持つアルバムである。