オフコース解散後、ソロ・アーティストへと転じた小田和正(Vo)が渡米してレコーディングを行い、'86年に発表した1stアルバム。 それまでオフコース時代の代表曲“さよなら”ぐらいしか知らなかったこの人に興味を持つようになったのは、ご多聞に漏れず“ラブ・ストーリーは突然に”のメガヒットがきっかけ。とはいえソロ・アルバムまで追いかけてみようとは思っていなかったのですが、何となくレンタルCD屋で本作を手に取ってクレジットをチェックしてみれば、編曲にも全面関与するダン・ハフ(G)を筆頭に、ジェフ・ポーカロ(Ds)&デヴィッド・ハンゲイト(B)のTOTO組、後にダン・ハフとGIANTを結成することとなるアラン・パスクァ(Key)ら、西海岸セッション・ミュージシャンの一流どころがバックを固めているじゃありませんか。こら聴かいでか!と。 実際、今も昔も変わらぬ小田の甘くクリアな歌声と、美麗に舞うボーカル・ハーモニー、どこか切なさを誘うメロディに彩られたAOR/シティポップ・サウンドはじっくりと浸れるクオリティの高さを有しており、特にシングル・カットもされた“1985”は、アーバンな哀愁纏った楽曲自体の素晴らしさと参加ミュージシャン勢の的確な仕事ぶりが相俟って、個人的にはアルバム・ハイライト級の感銘を受けた名曲に仕上がっていますよ。 こうなると引き続きダン・ハフが参加している小田の2ndソロ『BETWEEN THE WORD & THE HEART』(’88年)も聴くべきなのかなぁ…とボンヤリ考えているうちに20年以上が経過し、年号や世紀まで変わってしまったという。
1983年12月、"バラッド '77〜'82"の当初と同様カセットテープのみの形態で発売されたがCD化されず廃盤となったベストだそうな。現在までこのタイトル名義での作品は無く、原坊ヴォーカル曲やキーボード/ピアノが前面に出た曲が主体、かと思えば"ボディ・スペシャル II (BODY SPECIAL)"や"東京シャッフル"は全くそうではないし、名義はあくまでサザンオールスターズですから一体何なんでしょうねという世界。現物を知らず今更再発も望めない謎商品です。 side A 1. そんなヒロシに騙されて 2. かしの樹の下で 3. ボディ・スペシャル I (BODY SPECIAL) 4. ボディ・スペシャル II (BODY SPECIAL) 5. 南たいへいよ音頭 6. 私はピアノ side B 1. 東京シャッフル 2. 流れる雲を追いかけて 3. EMANON 4. シャッポ 5. Ya Ya (あの時代を忘れない) 6. NEVER FALL IN LOVE AGAIN
ゆりやんレトリィバァの熱演が話題のドラマ極悪女王。その人気ぶりは凄まじく、とうとう今作の配信が決定した。幻の珍品の復活。既にゆりやんがカヴァーしているDump the Heelも披露されているが、彼女、さぞや苦労したろう。 なんと言ってもダンプ松本の壊滅的な歌声、その極悪ぶりに、どう歌メロを理解すれば良いのか苦労したはずだ、とにかく凄かった。藤波辰巳は殿堂入だが、80年代らしいよなぁ。こんなクオリティで商品化されるんだから昭和のえげつなさを感じますよね。
2015年の"葡萄"まで続く連続オリコン1位記録のスタートとなった1980年3月リリースの3rdです。サザンが初めて発表した本格的なトータルアルバムとの評価もある本作。シングルは先行発売の9.5.に続いて7.が同時発売の計3曲。11.のコメントで触れた通りレコーディングに集中するためTVなどメディア露出を控えることに。"FIVE ROCK SHOW"と銘打って5箇月連続でシングルをリリース、それが本作収録の5.7.と"いなせなロコモーション"、"ジャズマン (JAZZ MAN)"、"わすれじのレイド・バック"で後半3曲はシングルのみの発売でした。しかも5枚のシングルは"洋楽的要素が強すぎ自己満足の域を出てなかった"ためセールス的に失敗したと言われます。その一方でアルバムは狙い的中の充実した内容となり前述のように晴れてNo.1を獲得。シングル曲以外でも、大人の事情かサザンではシングルにならず同年高田みづえがカバーし大ヒットになった4.を始めとして、オープニングのギターが映える1.、ブルージーな2.など、攻めのスタジオレコーディング活動から生まれた成果と言えるでしょう。しかしこの後サザンはお茶の間から姿を消し、大局的視点で見れば低迷期に入ってしまったと。確かに私も当時は"栞~"や"チャコ海"までご無沙汰していました。