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解説 - ジェノサイド
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1. Usher-to-the-ETHER ★★ (2014-06-26 01:43:11)

2010年より雑誌で連載が開始、2011年に単行本、2013年に文庫版という形でリリースされた小説。私は安生正氏の「生存者ゼロ」を読み終えて「何か面白そうな本ないかな?」と探していてつい手に取ってしまったんですが、この小説も「生存者ゼロ」同様に、人類が滅亡の危機に晒される作品。なんか壮大なスケールの話が読みたい気分だったのかもしれません(笑)。

この小説、結論から言えばかなり面白かったです。
特に人類滅亡の原因となりうるものの正体が明かされたときには、センス・オブ・ワンダーを感じられて凄くゾクゾクし、「これが小説を読む醍醐味だ」とも感じました。また、作中でのエピソードの挿入も上手く、人類滅亡の要因を研究した資料「ハイズマン・レポート」はここだけ読んでも興味をそそられるし、余りにもむごい少年兵の生い立ち、及びその救いのない結末はハリウッド的なエンタメ感に溢れる作品に、ピリッとした緊張感を与えてると思う。読者を引き込み、ページを捲る手を止まらなくさせるような、エンターテイメントとして非常に上質な作品だと思います。

ただし、やはり不満点も幾らかあるんですよね…。
まず余りにも自虐史観に立ちすぎてるという批判が目に付きますが、これは自国の汚点を敢えて描く事で、読み手に当事者感を与えたかったのではないかと。確かに娯楽作品としては押し付けがましさを感じなくもないですが、話全体から見れば枝葉に過ぎない部分だしまあ良いです。文章は読みやすいですが、専門的記述は若干クドめかもしれません。蛋白質の構成とか説明されてもピンと来ないし、ピンと来なくてもストーリーを追うのに全く問題無いので、もっと簡潔に出来たのでは、とも思いますね。でも、イラク戦争を石油利権で片付けてるのは、乱暴だけど娯楽小説としては許されるのかも。背景を何ページにも渡って長々と説明されても本筋から外れるし。

ただ、伏線の張り方が不十分なのは頂けない。主人公が韓国人の留学生を相棒にするにあたり、日本人と韓国人の関係について罪悪感を持っているようなエピソードが挿入されるのに、それが留学生との関係に於いて何も反映されていなかったり、コンゴに向かう傭兵達は多大な犠牲の上に選び出されている筈なのに、今ひとつこの4人である必然性が薄く感じられたり…。また、粗暴な日本人兵「ミック」と優秀過ぎて主人公を食ってる留学生「正勲」は、明らかに掘り下げが足りていないように感じます。特に正勲は活躍の割にバックボーンが薄いせいで物語を進める為のコマの様に思えてしまう…。

もう一つ不満だったのは、「人類の脅威となりうるもの」の正体自体は非常に興味深かったんですが、その描写や人類に対しての攻撃方法、人類からの自衛方法が期待してたよりも陳腐に感じられたのが残念。この辺りの描写を、例えば貴志祐介氏の「新世界より」の世界の変容の仕方であるとか、山本弘氏の「アイの物語」「去年はいい年になるだろう」に於けるアンドロイドの思考・行動様式くらい、緻密かつ知的好奇心を煽るように描いてくれていれば、個人的には大傑作だったんですが。まあ、アレが人類の脅威となるという発想と、それを絡めた壮大なストーリーだけでもエンタメとしては傑作とは思いますが。

確かに面白かったんですが、貴志祐介氏の「天使の囀り」「新世界より」を読んだ時のような、この話の面白さを一刻も早く誰かと共有したくなり、いても立ってもいられなくなるようなあの感じ、それが得られたとは言えないですね…。その感覚を求めて小説を買ってるんですが、最近でそれに近い感覚を得られたのは山本弘氏の「神は沈黙せず」くらいでしょうか。ぶっちゃけ貴志氏の新作「雀蜂」も微妙な内容だったし…。そういう感覚を味あわせてくれる小説を知ってる方がいたら、是非私に教えて頂きたいです。



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