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長い長い殺人
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1. Usher-to-the-ETHER ★★★ (2014-08-07 22:18:33)

1989年から1992年に渡り小説誌で連載され、文庫化されたミステリー小説。感想を書こうと思って検索してみたら、意外にも昔の小説なんですね。でも今読んでも古さを感じさせない面白さがあります。

内容は、端的に言えばある保険金殺人を、何人かの関連人物の財布を擬人化し、その視点で見た、オムニバス形式のミステリー。一見奇を衒ったような試みですが、これがストーリーの面白さを演出するのに非常に効果を発揮してるんですよね。財布の持ち主と事件との距離感も様々なら、持ち主と財布の距離感も様々。その10者10様の視点の違いが、読んでいて飽きさせない楽しさに繋がっているように思います。

また、10話+エピローグという構成で全体の大きな話を語る流れになっているんですが、1話ごとに視点が変化するからか、1話1話が独立して読んでも楽しめるような、起承転結のある話になっているのが素晴らしい。入り組んだ人間ドラマが繰り広げられる話や、ミステリーらしいドンデン返しのある話、サスペンスな緊迫感のある話など、エンターテイメント性を大盤振る舞いで発揮してくれている感じ。文体も財布の個性に合わせて変わりますが、どの話においても基本的に軽妙で読みやすいです。

宮部さんは現代物だけでなく、時代物からファンタジーまで幅広く書く、多筆な人ですけど…これはエンターテイメントとしては最高傑作の一つなんじゃないかと思います。どうも最近の宮部さんは、現代物で奮わない(「ソロモンの偽証」も「ペテロの葬列」も微妙だった)感がありますけど…願わくば、こういう分かりやすくエンタメした作品をまた書いて貰いたいものです。



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