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Still Holding on (失恋船長)


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Still Holding on

リッチー・ブラックモアを父に持つ、ユルゲン・ブラックモアがマイケル・ボーマンとタッグを組み結成されたソロバンドの1st。黄色いスポーツカーが映るしょーもないアルバムジャケットで1990年にリリースされるのですが、マニアの間で話題になるも時期の悪さや、親父のアイデアを丸パクリする商魂あるいみ、ファンサービスのせいもあり、パッとしなかった印象が強い。しかし、個人的には大好物のサウンドであり、ジャーマン仕込みの硬質なHM/HRサウンドに溶け込んだ普遍的なメロディアスロックの旨味、それらが巧みに絡み合い楽曲を構築、ワイルドでハードなのにメロディアスと言う、叙情派サウンドのお手本のような充実度があり、時期とジャケが良ければもっと認知されていたと思う。
ミュージシャンの2世は大成しないのかぁなんて思ったりもするが、マイケルの熱を帯びた歌唱スタイルと、くどさを中和する豪華なコーラスワークも機能しながら実に丁寧で質の高いサウンドを築き上げている。
フックのあるメロディと売れそうなアイデアを提供した制作人には感謝申し上げます、なんですがユルゲンのギターがもっと個性や我儘に振舞ってくれるとクレイジーな魅力も出るのですが、少々小奇麗に纏まった感は否めない、このシャリシャリとした音色も懐かしいのだが、今の若い人には聴きなれないギターサウンドだから新鮮でしょうね。
メロディアスでハード、適度な攻撃性と疾走感、フックのあるメロディと弾けるポップセンス、でも甘くなりすぎずロックなテイストは失っていない。メロディ派の基本となるような面は全て補完しています、泣いて泣かせて泣かれて飲んでみたいなマイナー調のサウンドばかりではないのも秀逸、この大衆性も完備した洗練度と媚びを売らない姿勢には感服しますよ。いまこそメロディ派のマニアが再考する一枚でしょうね。でも流用に対する潔癖な方は止めた方が良いかもです。

失恋船長 ★★★ (2021-07-02 02:04:18)